特別支援教育法令等データベース 総則 / 報告・答申等 - 盲学校,聾学校及び養護学校の高等部における職業教育等の在り方について(報告) -
盲学校,聾学校及び養譲学校の高等部における職業教育等の在り方について(報告)
平成8年3月18日
1 現状と課題
一般に障害等のある揚合は就職その他職業的な自立に困難を伴うことが多く,特に障害等が重度・重複しているときはその困難性が一層高いことが指摘されていることから,職業的な自立の基盤となる知識・技能・態度を育成するための特段の配慮が必要である。
このため,盲・聾・養護学校高等部においては,職業的な自立を図るために必要な職業に関する学科を設置したリ,普通科の中に職業に関するコースや教科・科目を設けたリするなど,障害等の特性などに応じた様々な職業教育が行われている。平成7年5月1日現在,全国の盲・聾・養護学校967校のうちその約7割に当たる679校に高等部が設置されておリ,さらに,これらの学校のうち103校には高等部専攻科(以下「専攻科」という。)が設置され,よリ専門的な教育が行われている。
また,盲・聾・養護学校高等部の生徒の卒業後の進路は,その障害等の状態や本人の希望,適性などに応じ,進学者,教育訓練機関等への入学者,企業等への就職者,社会福祉施設等への入所・通所者などと様々である。
高等部の職業学科等の設置状況(平成7年度)及び卒業者の進路状況(平成7年3月卒業者)は,学校種別に具体的にみると次のとおリである。
さらに,卒業時の障害等の状態などにより卒業後直ちに就職することが困難な生徒であっても,その後,障害等の状態の改善や社会的な状況の変化があり,就職が可能となる者も見受けられる。
このような盲・聾・養護学校高等部の生徒の実悪の推移,社会経済の進展や雇用環境の変化などによる極々の問題に取り組み,その職業的な自立を推進していくためには,職業教育及び進路指導のよリ一層の改善充実に向け,次のような課題に対応していく必要がある。
2 具体的な施策
また,このような学科等の再編成を進めるに当たっては,盲・聾・養護学校高等部における職業教育は,特定の職業に直ちに役立つ専門的な教育,幅広い就業を目指した農業,工業,家政,情報等の名分野又はこれらの総合的な教育,自立の基礎を培うための基礎的・基本的な職業能力の育成を図る教育が考えられることからも,これらの教育を適宜組み合わせて指導し,また,それぞれの内容を充実するなど,多様な職業教育を推進する観点も重要である。
なお,各学校看別ごとの学科の設置例として,次のようなものが考えられる。
さらに,専攻科は,本科との一貫した職業教育によリ,また,本科の普通教育による基礎学力の向上や社会生活上の知識・態度等の着実な習得を基礎とする高度な職業教育によリ,高い専門的な職業能力の育成が期待されている。
また,近年の医原の進歩や国民の理療への関心の高まりなどから,「あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゆう師」には,よリ高度の専門性が求められてきていることに代表されるように,社会経済の進展等によリ,公的な資格の取得や自立のための専門的な職業能力の習得等のために,さらに高度な職業教育が要請されつつある場合も多い。
このため,盲学校及び聾学校においては,このよりな公的な資格の取得を確実なものとし,さらに新たな公的な資格の取得や高度の専門的な職業能力を育成するため,専攻科の修業年限や教育内容・方法等について検討し,既存の専攻科の充実を図るとともに,新たな専攻科の整備を進めることが必要である。
また,養護学校においても,生徒の適性等に応じ,職業的な自立の可能性を高めるような資格の取得や職業能力の育成を図るため,高等部の本科の拡充整備を踏まえた専攻科の設置について検討する必要がある。