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特別支援教育法令等データベース 総則 / 報告・答申等 - 特殊教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の第一次報告について(通知) -


特殊教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の第一次報告について(通知)
(平成9年2月14日 文初特第422号)



                                  文 初特第422号
                                  平成9年2月14日
各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各都道府県知事           殿
各指定都市市長
附属学校を置く各国立大学長
国立久里浜養護学校長

                                                     文部省初等中等教育局長
                                                                    辻村 哲夫



   特殊教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の第一次報告について(通知)




 障害のある幼児児童生徒(以下「児童生徒等」という。)については,盲学校,聾学校及び
養護学校(以下「盲・聾・養護学校」という。),小学校・中学校の特殊学級や通級による指
導などにおいて,様々な工夫と配慮のもとに,社会参加・自立に必要な力を培う教育が展開さ
れているところです。 特に,近年は,児童生徒等の障害の重度・重複化,多様化が一層進ん
でいる状況にあり,これまで以上に一人一人に応じた教育を進めることが強く求められており
ます。このことは,先般の中央教育審議会第一次答申(平成8年7月)においても指摘され,
この教育の一層の充実について様々な提言がなされているところであります。

 このため,文部省としては,平成8年9月に「特殊教育の改善・充実に関する調査研究協力
者会議」を発足させ,特殊教育の諸課題について調査研究を行ってきたところですが,このた
び,別添のとおり,「特殊教育の改善・充実について(第一次報告)」 (以下「報告」とい
う。)が取りまとめられました。

 この報告においては,盲・聾・養護学校高等部の拡充整備と訪問教育の実施,交流教育の充
実,早期からの教育相談の充実について幅広い観点から提言がなされており,とりわけ,高等
部における訪問教育に関しては,平成9年度からの試行的実施の導入が提言されております。

 文部省においては,この報告を踏まえ,今後,関連施策の推進に取り組むこととしておりま
す。貴職におかれても,特に下記事項に留意しつつ,本報告の趣旨及び内容を十分に踏まえ,
必要な検討を行うとともに,その円滑な実施のための体制の整備等について遺漏のないようお
取り計らい願います。

 また,施策を進めるに当たっては,医療・福祉等の関連部局とも連携を図るとともに,貴管
下の学校及び関係機関に本報告の趣旨について周知徹底を図るよう,あわせてお願いします。



                     記


I 盲学校,聾学校及び養護学校における高等部の拡充整備と訪問教育の実施について

 1 高等部の拡充整備
 (1) 高等部の整備について
   各都道府県等においては,盲・聾・養護学校高等部への進学希望者の状況等を踏まえ,
  高等部の整備及び配置について検討を行い,必要に応じ,整備計画の策定や見直しを行う
  などして,地域の実態に応じた計画的な整備の促進を図ること。

 (2) 重複障害学級の設置について
   生徒の障害の重度・重複化,多様化が進んでいる現状を踏まえ,重複障害の生徒の実態
  に応じた適切な教育を行うため,盲・聾・養護学校高等部の重複障害学級の設置の促進を
  図ること。

 2 高等部における訪問教育の実施
  盲・聾・養護学校高等部における訪問教育については,報告の趣旨を踏まえ,平成9年度
 より,現行制度の枠内において試行的実施を行うことができるものとし,これを実施する都
 道府県等にあっては,下記にも留意しつつ,所要の措置を整えること。

  なお,文部省においては,今後,今回の実施の成果等を踏まえ,小・中学部も含めた訪問
 教育に関し,学習指導要領及び関係規定の整備を行うこととしていること。

(1) 実施方法等
   (1) 高等部における訪問教育は,小学部・中学部と同様,学校教育法第71条の盲・聾
    ・養護学校における教育の一形態であり,生徒に就学する学校の高等部の学籍を付与
    して行うものであること。
   (2) 訪問教育に係る学校教育法施行規則第73条の12第1項の特別の教育課程につい
    ては,盲学校,聾学校及び養護学校高等部学習指導要領の第7款重複障害者等に関す
    る特例1の(2)を適用するものとし,個々の生徒の状態等に応じ教育内容・方法を
    適切に工夫すること。
   (3) なお,教職員の配置に関し,訪問教育を受ける生徒で学級を編制する場合は,公立
    高等学校の設置,適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律第14条の規定により
    編制するものであること。

(2) 実施上の配慮事項
   (1) 訪問教育を行う学校においては,学校全体の指導体制の中に適切に位置づけ,全教
    職員の協力の下に効果的な指導が展開できるようにすること。
   (2) 児童福祉施設や医療機関で訪問教育を行うに当たっては,関連部局との連携を密接
    に図り,その理解と協力を得つつ,効果的な指導ができるようにすること。


II 交流教育の充実について

 1 報告で示されている交流教育の意義を踏まえ,障害のある児童生徒等のみならず,すべ
  ての児童生徒等及び各学校の教職員や地域社会の人々にとって有意義なものとなるよう,
  学校や地域の実情を踏まえつつ,多様で継続的な交流の実施に努めること。

 2 交流教育については,学校の教育計画に明確に位置づけて実施されることが望まれるこ
  と。

 3 学校間における交流教育については,学校行事はもとより,学校の様々な教育活動を通
  じ幅広く取り組むようにすること。特に,小学校・中学校の通常の学級と特殊学級との交
  流は,可能な限り日常の様々な場面で実施されるよう配慮すること。

 4 現行の月2回の学校週5日制の下においては,障害のある児童生徒等の参加に配慮した
  各種の事業が展開されているが,今後,さらに,社会教育などとの連携を図りつつ,各地
  域の様々な活動の機会や場を確保するとともに,それぞれの地域の人々との相互理解や連
  携をより深める取組が必要であること。


III 早期からの教育相談の充実について

 1 早期からの教育相談の充実
(1) 早期からの教育相談体制の確立のため,特殊教育センター等を中心として,盲・聾・
   養護学校及び医療・福祉関係機関との連携を図り,早期教育相談連絡協議会(仮称)を
   設置するなど,教育相談のネットワークの整備に努めること。

(2) 盲・聾・養護学校は,その専門性を生かし,教育相談を保護者に対する新たな教育サ
   ービス機能として位置づけ,地域での教育相談センター的な役割を果たす必要があるこ
   と。
    また,聾学校幼稚部の成果を参考としつつ,養護学校等における幼稚部の整備促進に
   ついて検討する必要があること。

(3) 特殊教育センター等は,盲・聾・養護学校の教育相談担当者に対し必要な情報提供を
   行う機能を充実するとともに,研修の機会を充実し,教育相談担当者の資質向上に努め
   ること。
    また,特殊教育センターや盲・聾・養護学校等においては,障害の種類・程度に応じ
   た早期からの教育相談についての研究や実践を深めるとともに,保護者の理解・啓発の
   推進に努めること。

(4) 教育相談については,保護者等が利用しやすいよう,例えば巡回による教育相談や通
   信手段の活用を図るなど,多様な形態・方法の工夫に努めること。

 2 医療・福祉関係機関と一体化した教育相談の充実
  教育相談においては,教育分野及び医療・福祉分野からの相談活動がそれぞれの特徴や機
 能を生かし一体として行われる必要があること。このため,教育委員会主管部局と医療・福
 祉主管部局は,情報交換や研究協議などを通じて一層密接な連携を図る必要があること。 


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