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特別支援教育法令等データベース 総則 / 報告・答申等 - 心身障害児に係る早期教育及び後期中等教育の在り方(報告) -


○心身障害児に係る早期教育及び後期中等教育の在り方(報告)
昭和五七年一〇月七日
文部省初等中等教育局長 鈴木 勲 殿
特殊教育研究調査協力者会議座長 三木 安正

心身障害児に係る早期教育及び後期中等教育の在り方(報告)
別紙
I 早期教育の在り方
1 視覚障害
(1)早期教育の現状
(2)早期教育の意義
(3)三歳未満児への対応
(4)三歳以降就学前幼児への対応
2 聴覚・言語障害
(1)早期教育の現状
(2)早期教育の意義
(3)三歳未満児への対応
(4)三歳以降就学前幼児への対応
3 知的障害及び情緒障害
(1)早期教育の現状
(2)早期教育の意義
(3)三歳未満児への対応
(4)三歳以降就学前幼児への対応
4 肢体不自由
(1)早期教育の現状
(2)早期教育の意義
(3)三歳未満児への対応
(4)三歳以降就学前幼児への対応
5 病弱
(1)早期教育の現状
(2)早期教育の意義
(3)三歳未満児への対応
(4)三歳以降就学前幼児への対応
II 後期中等教育の在り方
1 視覚障害
(1)後期中等教育の現状
(2)後期中等教育の意義
(3)障害の比較的重い者への対応
(4)障害の比較的軽い者への対応
(5)その他の事項
2 聴覚・言語障害
(1)後期中等教育の現状
(2)後期中等教育の意義
(3)障害の比較的重い者への対応
(4)障害の比較的軽い者への対応
(5)その他の事項
3 知的障害及び情緒障害
(1)後期中等教育の現状
(2)後期中等教育の意義
(3)障害の比較的重い者への対応
(4)障害の比較的軽い者への対応
(5)情緒障害者への対応
(6)その他の事項
4 肢体不自由
(1)後期中等教育の現状
(2)後期中等教育の意義
(3)障害の比較的重い者への対応
(4)障害の比較的軽い者への対応
(5)その他の事項
5 病弱
(1)後期中等教育の現状
(2)後期中等教育の意義
(3)障害の比較的重い者への対応
(4)障害の比較的軽い者への対応
(5)その他の事項
III 推進すべき関連施策
1 特殊教育センターの整備
2 教職員の資質の向上


心身障害児に係る早期教育及び後期中等教育の在り方(報告)

 心身障害児の教育については,諸施策の推進と相まって,年々その充実が図られるとともに,この教育に対する関心も次第に高まりつつあり,特に,昭和五四年度の養護学校教育の義務制施行以来,心身障害児に係る早期教育及び後期中等教育の充実が求められており,これが当面の重要な課題となっている。

 すなわち,早期教育についてみると,幼児期は,心身の発達が著しく,可塑性に富み,人間としての基礎を培う上で極めて重要な時期であるが,特に,心身障害児にあっては,できる限り早期に障害を発見し,その障害に即した教育を行い,幼児の障害の状態を改善ないし克服し,望ましい成長発達を図ることが重視されてきている。

 また,後期中等教育については,一般に心身障害児が障害のない者に比べ,社会的自立の困難性が大きいことにかんがみ,これに対して,後期中等教育段階の様々な教育の場において,特に,職業教育を中心とした教育を行うことにより,可能な限り社会的自立を促すことが望まれている。

 このような課題に対処するため,特殊教育研究調査協力者会議では,心身障害児に係る早期教育及び後期中等教育の在り方について,過去三年間にわたって研究調査を行ってきた。一口に心身障害児の教育といっても,障害の種類ごとに,その発展の過程や現状を異にし,それぞれの抱える問題もおのずから異なる面が多いこともあり,審議に当たっては,障害の種類ごとに専門的事項を研究調査するため,多数の専門家の協力を得て五つの専門委員会を設置し,それぞれの専門委員会において,医療,福祉,雇用等も含めた幅広い視野からの検討を加えつつ,早期教育及び後期中等教育の在り方について取りまとめた。本協力者会議は,それらを受けて,総括的な審議を行い,別紙のとおり取りまとめたので,ここに報告する。


別紙

I 早期教育の在り方

1 視覚障害
(1)早期教育の現状

昭和五七年現在,小学部を設置している盲学校(分校を含む。)六八校中四五校に幼稚部が設置されており,学級数は七二を数えている。これらは,ほとんど四歳児及び五歳児の学級である。また,幼稚部を設置しているか否かにかかわらず,教育相談の形でできる限り早期からの相談や指導に取り組んでいる盲学校が多い。

一方,盲学校以外で視覚障害児の早期教育に取り組んでいる機関として福祉センター等があるが,その数は一〇か所程度と少ない。これらの機関においては,乳児期からの相談や指導が実施されている。なお,幼稚園や保育所に在籍する視覚障害児は近年増加の傾向にあるとみられる。

(2)早期教育の意義

視覚障害児は,外界からの情報収集に大きな制約を受けるため,養育の過程で適切な対応や指導が行われない場合,外界に対する興味や関心,対象物に対する積極的な働きかけ,動作等の模倣,空間関係の把握,言葉と事物・事象との対応関係の認識などに発達上の様々な問題が生ずる。そこで,このような視覚障害児の特性に応じた指導や援助を行うとともに,適切な環境を準備して,充実した乳幼児期を過ごさせることにより,望ましい成長発達を促すところに早期教育の大きな意義がある。

(3)三歳未満児への対応

三歳未満の視覚障害児に対する早期教育は,保護者に育児の方法を指導して,家庭教育の充実を図ることに主眼が置かれるが,この場合,視覚障害児の行動観察と発達診断に基つき,保護者に対して指導を行う内容としては,(ア)保護者の精神的負担の軽減,(イ)障害についての保護者の受容と理解,(ウ)家族等の理解と協力,(エ)育児方法の習得,(オ)育児環境の整備,(カ)適応行動(外界の探索,言葉と事物・事象との対応関係の認識,社会性の発達,歩行・運動,身辺処理等)に関する指導の方法などが考えられる。現在,これらの指導は,盲学校における教育相談の一環として行われているほか,幾つかの福祉センター等でも行われているが,組織的に取り組んでいるところは少ない。

そこで,今後においては,特殊教育センター等が盲学校幼稚部と提携するなどして,その教育相談機能を充実させ,必要に応じて家庭訪問等を行って,保護者に対して適切な指導が行われるよう検討する必要がある。

(4)三歳以降就学前幼児への対応
(1) 盲学校幼稚部における対応

盲学校幼稚部においては,幼稚園教育要領に準じた内容とともに,(ア)探索能力の向上に関するもの,(イ)歩行能力の向上に関するもの,(ウ)作業能力の向上に関するもの,(エ)基本的生活習慣に関するもの,(オ)言葉と事物・事象との対応関係の認識に関するものなど,視覚障害という点に主眼を置いた内容を付加して指導が行われている。このような指導を行っている盲学校幼稚部は,視覚障害児のための教育機関として重要な役割を果たしている。
しかしながら,(ア)視覚障害児の数は,中度ないし重度の知的障害を併せもつ重複障害児を含めても極めて少ないこと,(イ)この少ない視覚障害児が地域的に点在しているため,幼稚部への通学が困難な者もかなりいること,(ウ)幼稚園や保育所へ通う視覚障害児が多くなってきていること,などの理由で幼稚部の在籍児数は非常に少ない。
このように在籍児が少ないため,幼稚部においては,同年齢及び同程度の発達段階の子供の集団を構成することが困難であるので,幼稚部においては,今後,地域や学校の実態に応じて,幼稚園や小学部の低学年と提携して交流するなどして適切な集団が構成できるよう配慮する必要がある。
これらのことから,今後,次の点に留意して,幼稚部における教育の一層の充実を図る必要がある。

(ア) 盲学校に幼稚部を設置していない県においては,小学部に入学するまで教育の機会が得られない視覚障害児もみられるので,その設置について検討する。

(イ) 盲学校幼稚部においては,今後指導方法の一層の改善を図るとともに,前述のような方法によって適切な集団が構成できるように配慮する。

(2) 幼稚園における対応

視覚障害児を受け入れる幼稚園は,逐年増加してきているが,障害の状態等,子供の実態を考慮せずに受け入れた場合には,視覚障害児が適切な指導を受けられないばかりでなく,集団からも孤立して発達が阻害されるという問題が生ずる。幼稚園において視覚障害児を教育する場合には,特に視覚障害の特性に応じた指導に配慮するとともに,今後,次の点に留意して,その充実を図る必要がある。

(ア) 特殊教育センター等が盲学校幼稚部と提携するなどしてこれらの幼稚園に対する巡回指導や教材供給等を行うよう配慮する。

(イ) 必要に応じ教職員の量的充実や教職員に対する研修の実施による質的向上に努める。


2 聴覚・言語障害
(1)早期教育の現状

昭和五七年現在,聾学校(分校を含む。)一一〇校のうち,九九校に幼稚部が設置され,三~五歳児の教育が行われている。高等部のみの学校等を除けば,ほほ一〇〇%近く設置されている。更に,近年,多くの聾学校幼稚部が三歳未満の聴覚障害児のために教育相談という形で相談や指導を実施している。

また,就学前の難聴・言語障害児の教育相談の要望が強いため,小学校段階の難聴特殊学級や言語障害特殊学級が,その教育相談に応じている場合が多い。

その他ろうあ児施設としての難聴幼児通園施設は,昭和五六年現在,一六か所設置されている。

(2)早期教育の意義

言語の習得の基礎は,三歳までにほぼ完成するといわれている。聴覚・言語障害児に対して,言語指導を三歳以後に開始することは,言葉の指導の適時性を失うことになる。したがって,可能な限り早期から言語に関する指導を開始する必要がある。

また,近年,幼児聴力測定法等の開発による診断方法の進歩により,低年齢児に対しても,聴覚・言語障害の発見が可能になってきている。障害による心身の発達上の影響は,年齢が進むに従って増大するため,できる限り障害を早期に発見し,発見次第直ちにその障害に即した指導を行うことが極めて重要である。

(3)三歳未満児への対応

三歳未満で障害が発見された聴覚・言語障害児については,地域の特性を十分考慮し,種々の機関,施設等において,本人及び保護者に対する教育相談が行われる必要がある。特に,特殊教育センター等は,聾学校幼稚部との密接な連携のもとに,三歳未満の聴覚障害児に対する教育相談機能を充実させることが望ましい。また,教育相談を行う機関,施設等から遠隔の地に在住する本人及び保護者に対する指導については,通信及び巡回による指導などを行うことも今後検討されてよい。

(4)三歳以降就学前幼児への対応
(1) 聾学校幼稚部における対応

近年,聾学校幼稚部における対象児の障害の状態等の多様化に伴い,特に,心身全体にわたる調和的発達を総合的に促進ずるため,教材・教具の整備,医療・福祉関係機関等との提携の強化など適切な教育条件を整える必要がある。また,幼稚部においては,聴覚障害児の全人的な成長発達を図ることはもちろんであるが,とりわけ基礎的な言語指導の充実が大切であるので,今後,幼稚部においては,聴覚障害児の言語の指導内容・方法,聴覚補償の方法等についての実践的研究に一層の努力が必要である。
なお,幼稚部における教育の望ましい在り方としては,小学部の準備段階としての教育のみに終始するのではなく,それぞれの幼児の実態に即して全人的な教育を行う必要があることはいうまでもない。

(2) 幼稚園における対応

三歳以降の比較的軽度な難聴児及び言語障害児については,幼稚園において可能な限り受け入れるようにする必要がある。そのため,必要に応じ,教職員の量的充実及び教職員に対する研修の機会の確保に努めることが望まれる。
なお,現在,全国の小学校の難聴・言語障害特殊学級の多くが,就学前の難聴・言語障害児の教育相談を行っているが,今後ともそれぞれの地域の実情に応じ,このような教育相談が実施され,充実されることが望ましい。このことに関し,小学校の難聴・言語障害特殊学級と特殊教育センター及び幼稚園との連携,更に医療・福祉関係機関等との連絡を密にすることも必要である。


3 知的障害及び情緒障害
(1)早期教育の現状

昭和五七年現在,知的障害養護学校(分校を含む。)は,四三一校設置されているが,幼稚部を設置する学校は,わずか九校にすぎない。

一方,知的障害児通園施設は,昭和五五年現在,全国に二一七か所あり,五,〇〇〇名程度の知的障害幼児が通園している。このほかに,知的障害幼児のための通園事業が数多く実施されている。

また,近年,幼稚園や保育所における障害幼児の受入れが急速に進み,知的障害児や情緒障害児も幼稚園や保育所の中で一般の幼児と共に教育を受ける者が増加しつつある。昭和五四年度を例にとれば,養護学校就学児(六歳児)の二七・三%が,また,特殊学級就学児(六歳児)の七三・五%が,それぞれ幼稚園や保育所に通園,通所している(全日本特殊教育研究連盟調査)。このように知的障害児や情緒障害児の早期教育において幼稚園や保育所は大きな役割を果たしているといえよう。

(2)早期教育の意義

知的障害における精神発達の遅滞は,恒久的なものと考えられていたが,知的障害に関する研究が進むに従って,教育によって遅滞が著しく改善されることもあり得ることが明らかになり,現在では,知的障害における精神発達の遅滞は必ずしも恒久的なものではないとする考え方が一般的となった。そして,知的障害が教育によって著しく改善される場合,教育が最も大きな成果を生み出す時期として幼児期が注目されるようになってきた。このように知的障害児の早期教育は,精神発達の遅滞の状態,感覚機能,運動機能等の遅れや偏りを早期に把握し,適切な指導を行い,全面的な精神発達の促進を図ることに大きな意義がある。

また,最近,情緒障害児,特に自閉児の早期教育が重要な課題となりつつあるが,自閉児は行動異常や顕著な言語発達遅滞等障害の状態に大きな個人差があるので,それぞれの子供のもつ興味等を手がかりとして,集団の中に参加させ,社会性を育てるため早期から教育を行うことが重要であることが指摘されている。

なお,幼児期において,言語障害,情緒障害,特に自閉症等を知的障害と明確に区別することはかなり困難である場合が多いので,これらを含めて精神発達の障害あるいは精神発達の遅滞としてとらえることが適当であろう。

(3)三歳未満児への対応

三歳未満児の精神発達の障害や精神発達の遅滞については,できる限り早期にこれを発見し,直ちに本人及び保護者に対する指導を開始することが望ましい。この場合,既に幾つかの地域で乳児期からの対応が試みられているように単に教育のみでなく,医療や福祉と一体化した総合的な対応が必要である。

(4)三歳以降就学前幼児への対応
(1) 知的障害養護学校幼稚部における対応

障害の比較的重い者は,養護学校幼稚部や知的障害児通園施設等において,情緒の安定を図り,身辺自立を進め,集団活動に参加できるようにするための適切な指導を受けることが望ましい。しかし,現在の養護学校の設置状況を考えると,それに付設した形で幼稚部を設置した場合には,通学時間・方法の面での制約から幼稚部に通学できるのは,ごく限られた範囲の幼児のみとなり,また,一方,幼児を寄宿舎に入舎させることについても,幼児を家庭から離すという教育上不利な条件の下に置くことになり望ましくない。このため,家庭から通学できる範囲内に小規模の養護学校又は幼稚部のみの養護学校を設置することも考えられるが,この場合には,福祉施策の立場から,通園事業を含めた通園施設が既に数多く設置されていることでもあり,これとの関係を十分に考慮しなければならない。

(2) 幼稚園における対応

障害の比較的軽い者は可能な限り幼稚園で,特別な配慮のもとに一般の幼児と共に教育を受けることが適当である。一般的には,同じ遅滞の程度でも年齢が低ければそれだけ発達上の差が小さく,一般の幼児と共に教育を受ける意義も大きい。この場合,幼稚園に通園しながら必要に応じて特殊教育センター等の専門的な指導機関で適切な指導助言を受けるなどの対応が大切である。
また,必要に応じ幼稚園の教職員の量的充実を図るとともに,教職員の心身障害児に対する理解と認識を深めるように努めることが望まれる。


4 肢体不自由
(1)早期教育の現状

昭和五七年現在,肢体不自由養護学校(分校を含む。)一七四校のうち,幼稚部設置校は,一五校にすぎない。

これに対して,就学前の肢体不自由児が医療や福祉の側面から入所・通園する児童福祉施設等は,昭和五六年現在,肢体不自由児施設七四か所,肢体不自由児通園施設六〇か所を始めとして,心身障害児通園事業等通園による療育の場が相当数設置されている。

このように,多くの就学前における肢体不自由児が,その障害を改善するため,これら児童福祉施設等へ入所・通園している。

(2)早期教育の意義

肢体不自由教育の主な対象である脳性まひ児の多くは,乳児期に運動機能の発達が阻害され,遅滞する。これを放置すると運動機能の発達に異常をきたし,変形や拘縮などの二次的な障害さえ発生してくる。これが,ひいては認知や言語の各機能及び社会性の発達にも遅れやひずみを引き起こすこととなる。

早期教育の実施は,こうした運動機能の障害の状態,認知や言語の各機能及び社会性の発達の遅れやひずみを早期に把握し,適切な学習刺激を与え,各機能の障害の状態等に即した発達を促すうえで大きな意義がある。

(3)三歳未満児への対応

肢体不自由の多くを占める脳性まひに対しては,近年早期における訓練の必要性,重要性が指摘され,肢体不自由児施設等において乳幼児期からの訓練が行われるようになっている。

したがって,.三歳未満の肢体不自由児に対しては,今後においても肢体不自由児施設等において,主として肢体不自由の状態の改善を図るとともに全人的発達を促すための療育を行う必要があり,また,保護者に対しても,子供の障害の状態の改善・克服に資する適切な指導・助言を行うことが望まれる。

(4)三歳以降就学前幼児への対応

肢体不自由児の多くは,障害の改善を図るため,肢体不自由児施設や肢体不自由児通園施設等へ入所・通園しており,しかもこれらの施設は,各都道府県において相当数設置されている。

したがって,肢体不自由児に対する教育的機能の営まれる場を考えるに当たっては,これら施設の設置状況を十分考慮することが必要である。すなわち,今後においても肢体不自由児施設,肢体不自由児通園施設,その他通園による療育の場,保育所,幼稚園及び幼稚部と多様な場が用意される必要がある。更に,特殊教育センターの整備が進めば,これも肢体不自由幼児に対する教育相談の場として機能することが期待される。

(1) 肢体不自由養護学校幼稚部における対応

幼稚部は,肢体不自由養護学校の立地条件,児童福祉施設等の設置状況,肢体不自由幼児数,地域のニーズ等を考慮し,必要に応じて整備するものとするが,幼稚部の在り方については,次の諸点を考慮する必要がある。

(ア) 肢体不自由の程度が比較的重い者を対象とし,通学を原則とする。

(イ) 教育内容については,幼稚園教育要領に示すものに準ずるとともに,必要に応じて,(ア)運動,認知及び言語に関する能力の向上,(イ)基本的生活習慣の形成,(ウ)自立心の育成,(エ)集団生活への参加促進,(オ)情緒の安定,などを図るための内容を加えるものとする。

(ウ) 専門スタッフについては,必要に応じて,肢体不自由の状態等の改善・克服のための指導を主として担当する教員及び整形外科医や小児神経科医等の校医が確保されることが望ましい。

(2) 幼稚園における対応

障害の比較的軽い肢体不自由児については,地域の幼稚園において可能な限り受け入れるようにするとともに,ある程度の数の心身障害児を就園させている幼稚園においては,教職員の量的充実を図るほか,施設・設備を整える必要がある。


5 病弱
(1)早期教育の現状

幼児期の疾患は,一般に病状が極めて流動的であるため,幼児期における疾患別の患者数はその変動が大きく,明確にはとらえがたい。

医療機関等に入院・入所するには至らない程度の病弱児(身体虚弱児を含む。以下同じ。)を受け入れている幼稚園又は保育所は相当数あるが,全国の病弱養護学校(分校を含む。)のうち,幼稚部を設置しているのは,昭和五七年現在九五校中二校にすぎない。

(2)早期教育の意義

幼児期の疾患の早期発見・早期治療は,治療効果を上げ,幼児の望ましい成長発達を促す上で重要である。

病状が急性に経過する疾患の場合は,療養に専念する必要があるが,幼児期の教育が,その後の人間形成に大きな影響を及ぼすものであることを考慮すると,病状が慢性に経過する疾患の場合は,治療が終わってから教育を始めるというのではなく,可能な限り治療と並行して早い時期から教育を行い,心身の調和的な発達を図りつつ,病状・健康状態の回復・改善を促すことが極めて重要である。

(3)三歳未満児への対応

三歳未満の病弱児については,一部の医療センター等で既に先行的な試みを始めているように,医療機関が中心となり,児童福祉施設とも連携を緊密にしながら,医師の指導のもとに,本人及び保護者に対し,早い時期から病状・健康状態の回復・改善を図るための生活指導を行うことが大切である。

(4)三歳以降就学前幼児への対応

(1) 病弱養護学校幼稚部における対応

医療機関等に病弱養護学校が隣接して設置又は併設されている場合で,その医療機関等に長期間にわたって入院・入所している教育対象児がある程度の数に達する場合は,必要に応じて,病弱養護学校に幼稚部を設けることが望ましい。
幼稚部においては,病弱児個々の病状・健康状態等に応じた適切な教育を行うため,次の事項について配慮する必要がある。

(ア) 必要に応じて,病床での指導を行い,また,小学部低学年との合同による集団活動の場や幼稚園児との交流の機会を積極的に設けるとともに,そのために必要な施設・設備及び教材・教具を整備する。

(イ) 家庭における指導の在り方について,保護者に対する適切な指導・助言を行う。

(ウ) 特に,保健・医療機関や児童福祉施設との連携を密接にし,保健・安全管理及び病状・健康状態の回復・改善を図るための指導を適切に行う。

(2) 幼稚園における対応

幼稚園への通園が可能な程度の病状・健康状態の病弱児については,可能な限り幼稚園に受け入れることが適当であるが,幼稚園における病弱児の教育については,次の事項に配慮する必要がある。

(ア) 病弱児個々の病状・健康状態等に応じて,特に必要な場合は,入園時期や通園日数等を弾力的に扱う。

(イ) 必要に応じて,学級編制,教職員の量的充実等について適切な配慮を行う。

(ウ) 保健,医療機関や児童福祉施設との連携を密接にし,必要に応じて,専門的な指導が受けられるようにするとともに,保健・安全管理や救急看護に必要な施設・設備などの条件を整える。

(エ) 幼稚園の教員や保護者等の病弱児に対する正しい理解と認識を深める。


II 後期中等教育の在り方

1 視覚障害
(1)後期中等教育の現状

ア 昭和五七年現在,盲学校(分校を含む。)七二校のうち,高等部本科の設置校は六〇校,専攻科の設置校は五九校,別科の設置校は八校である。また,高等部の在学生徒数は,本科二,二四〇名,専攻科二,〇〇八名,別科一一九名,計四,三六七名である。

学科についてみると,高等部の本科として設置されている主な学科は,普通科と保健理療科であり,専攻科として設置されている主な学科は,理療科である。また,別科には,あん摩,マッサージ,指圧に関する学科等がある。なお,本科,専攻科及び別科の在学生徒総数の約三分の一は,二二歳以上の者であり,この中には,かなりの数の中途失明者が含まれているとみられる。

イ 盲学校の高等部本科の普通科を卒業した者の多くは,専攻科に進んで職業教育を受けるが,保健理療科を卒業した者については,その六割程度の者があん摩マッサージ指圧師等として就職したり開業したりするほか,三割以上の者が専攻科に進学して,更に高度な職業教育を受けている。なお,専攻科には,高等学校卒業後に中途失明などのために入学してくる者も少なくない。

一方,専攻科の理療科を卒業した者の大多数は,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師として就職し又は開業するが,一部には,理療科の教員養成機関に進学するものもみられる。

また,本科又は専攻科を卒業して大学等へ進学する者は,毎年二〇数名であり,このうちの半数程度は点字使用者である。

ウ 盲学校中学部卒業者は,ここ数年四〇〇名程度であるが,このうち九割程度が高等部に進学しており,卒業後直ちに就職する者はわずかにすぎない。また,無業者等が数パーセントみられるが,これらのほとんどは重度の知的障害を併せもつ者である。

一方,中学校の弱視特殊学級の卒業者は,ここ数年二〇名前後であるが,このうち,半数以上の者が盲学校の高等部へ進学し,その他の者は,高等学校へ進学し又は就職している。

盲学校の高等部本科には,中学部から進学してくる者のほかに,中学校から入学してくる者や中途失明のため入学してくる者もかなりみられる。また,盲学校の中学部を卒業した重複障害者(知的障害を併せもつため,特別の教育課程により教育を受ける者)の半数以上が毎年高等部本科に入学している。

エ 昭和五七年現在,盲学校以外で,視覚障害者を対象としてあん摩,マッサージ,指圧,はり及びきゅうに関する職業教育を行っている機関は,国立の視力障害センター等一二か所である。また,これ以外の職業教育を行っている機関は,五か所であり,その内容は,電話交換,コンピュータープログラミング,録音タイプ速記などに限られている。

(2)後期中等教育の意義

視覚障害者に対する後期中等教育は,盲学校の高等部がその中心となるが,障害の比較的軽い者については,高等学校で行われている。

盲学校においては,草創期から,有能な職業人の育成を目的とした職業教育が行われてきた。すなわち,従来からあん摩,マッサージ,指圧,はり,きゅう及び音楽に関する職業教育が伝統的に行われてきたのに加えて,近年では,理学療法やピアノ調律に関する職業教育も行われるようになってきた。これらの職業教育によって,今日まで多くの優れた職業人を世に送り出してきたのである。

現在,高等部における教育は,本科及び専攻科で行われているが,特に本科は,盲学校中学部卒業者の九割程度が進学してくる現状にあるので,一人一人の生徒の能力・適性,進路等に応じた教育を行い,その社会的・職業的自立を目指すことが一層重要となっている。

また,専攻科は,より高度な職業教育を行う場として重要な役割を担っているが,専攻科における職業教育の充実には,その基盤としての普通教育をゆるがせにすることはできない。盲学校の高等部本科における普通教育は,昭和四〇年代の後半からとみに普及・充実し,現在では,盲学校の高等部本科のほとんどに普通科が設置されるに至っている。なお,この普通科の普及と充実は,大学等の高等教育機関に進学する者など,理療以外の道を目指す者にとっても大きな意義をもっているといえよう。

(3)障害の比較的重い者への対応
(1) 盲学校高等部における対応

視覚障害の比較的重い者に対する後期中等教育は,盲学校の高等部で行われている。昭和五七年現在,盲学校七二校のうち,六一校に高等部が設置されており,視覚障害の比較的重い者の受け入れ体制は一応整っているといえる。しかし,盲学校の高等部においては,社会情勢の変化等に対応して一層適切な教育を行うため,今後,普通教育,職業教育及び重後障害教育について,それぞれ次のような改善を図る必要がある。

ア 高等部本科の普通科における教育課程は,養護・訓練を除けば高等学校の普通科に準じて編成される場合が多い。

普通科に在学する生徒の能力・適性,学習の進度等は多様な実態である。高等学校の普通科に準じた各教科・科目の内容の指導を受けた者は,専攻科に進む場合が多いが,近年では,大学等の高等教育機関に進学する者が増加の傾向を示している。このような現状にかんがみ,普通科における教育の一層の充実のためには,徹底した習熟度別の学習指導を行うとともに,視覚障害を補うために新しく開発された設備等の整備に格段の配慮が必要である。

イ 盲学校の高等部における職業教育は,本科の保健理療科と専攻科の理療科がその中心となっており,本科,専攻科いずれも他に二~三の学科があるにすぎない。今後,新しい職域について十分検討し,適切なものについては,これを学科として新設するように努力する必要がある。

本科の保健理療科や専攻科の理療科,理学療法科,音楽科等の既存の職業学科については,今後,時代の要請や地域の実態に対応しつつ更に充実を図っていく必要がある。特に,専攻科の理療,理学療法等の職業教育が,今後は高等教育機関でも行われる傾向がみられることにかんがみ,盲学校の専攻科における職業教育は,施設・設備の整備を進めるなど,その一層の充実を図り,資質の高い職業人を育成するよう努めなければならない。

なお,高等部における職業教育は,盲学校中学部の卒業者のみでなく,今後とも,中途失明者等に対しても広く開放されることが望ましい。

ウ 義務教育終了後の重複障害者の進路は,福祉対策との関連が深いが,どのような種類や程度の重複障害者を高等部において教育すべきかについては,各盲学校の実態やその地域の実情等を考慮して決める必要がある。

高等部において重複障害者を教育する場合には,一人一人の生徒の実態に応じた最も適切な教育課程を編成し,指導することが肝要であるが,そのためには,そうした指導を行うにふさわしい教員を確保し,指導力の向上を図るとともに,施設・設備等の整備に努める必要がある。

なお,重複障害者の教育については,例えば,実用的な社会生活能力を付与することを目的とした「生活技能科」(仮称)を設置してこの分野における教育に対処することも考えられる。

(2) その他の対応

社会的適応や職業的自立の困難な重複障害者等については,各種の福祉対策等の充実が今後一層必要である。

(4)障害の比較的軽い者への対応

視覚障害の比較的軽い者に対する後期中等教育は,高等学校で行われている。高等学校に在学するこのような視覚障害者の中には,特別な教材により学習上の困難を克服している者もいるが,必ずしも十分な配慮がなされていないため,学力の低下をきたしている例もみられる。これら視覚障害の比較的軽い者に対しゃは,必要に応じて特殊教育センター等とも提携して適切な指導が行われるように配慮する必要がある。

(5)その他の事項

(1) 進路指導

中学部等においては,義務教育の最終段階であることにかんがみ,生涯を見通して適切に進路を決定することができるよう,一人一人の生徒の実態を考慮した進路指導を計画的,継続的かつ組織的に行うことが今後一層重要となる。
また,高等部等においては,中学部等における進路指導を踏まえて,適切な進路指導を行う必要がある。この場合,それぞれの学校においては,職業安定機関とも連携をとりながら進路に関する有効な資料を提供して,将来の職業生活等について関心を持たせたり,勤労体験学習や現場実習等の機会をとらえて,いろいろな職場について理解を促したりする必要がある。

(2) 中途失明者等に対する養護・訓練

視覚障害を克服する能力や態度の不十分な生徒に対しては,盲学校における養護・訓練の指導を強化して,学習に支障のないようにするとともに,卒業後の社会生活にも支障をきたさないよう配慮しなけれ.はならない。特に,中途で失明した生徒に対しては,必要に応じて歩行や点字などについて適切な指導が行われるよう配慮する必要がある。

(3) 理療に関する再教育等

視覚障害者が学校教育を終えた後も,理療に関する再教育等について,盲学校がどのような役割を果たしうるか,地域や学校の実態を考慮して検討することが望まれる。


2 聴覚・言語障害
(1)後期中等教育の現状

ア 昭和五七年現在,聾学校(分校を含む。)一一〇校のうち,高等部本科設置校は七八校,専攻科設置校は四一校,高等部のみの学校は八校である。また,高等部在学生徒数は,本科二,六七〇名,専攻科六二二名,計三,二九二名である。聾学校在学者は,昭和三五年度から減少傾向にあり,高等部本科在学生徒数も同様の傾向にある。

高等部本科の学科のうち,比較的生徒数の多い学科は,普通科,被服科,産業工芸科,理容科及び印刷科である。専攻科の学科のうち,比較的生徒数の多い学科は,被服科,普通科,歯科技工科,理容科及び産業工芸科である。

なお,昭和五五年現在の聾学校高等部に在学する重複障害者(知的障害等を併せもつため,特別の教育課程により教育を受ける者)は,本科で八%,専攻科で三%である。これらの者には,比較的軽度な知的障害を併せもつ者が多い(全国聾学校長会調査)。

本科卒業者の進路は,おおむね一般企業等への就職,専攻科及び職業訓練校への進学等であり,専攻科卒業者の進路は,一般企業等への就職がほとんどである。

イ 聾学校中学部においては,従来から卒業者のほとんどが高等部に進学する傾向にあり,昭和五七年三月の中学部卒業者についてみると,卒業者七三七名の九六%が高等部に進学している。

また,一般的傾向として聴覚障害が発見された後,早期に補聴器装用が行われ,その適合ができた者や教育上特別な取扱いを余り要しない軽度の聴覚障害者は,主に中学校難聴特殊学級で教育を受けており,卒業後高等学校に進学する者が多い。

言語障害(脳性まひ及び知的障害等に伴う言語障害を除く。以下同じ。)を有する生徒は,その障害の特性からほとんど高等学校に在学している。

(2)後期中等教育の意義

聴覚障害者に対する後期中等教育は,障害の比較的軽い者については高等学校でも行われているほか,専ら,聾学校の高等部が中心となって行われているが,特に,高等部の教育は,聴覚障害者の将来の社会的自立につながる教育として大きな役割を果たしている。

この時期の教育は,一般的教養を高め,個性の伸長を図るとともに,聴覚障害を克服し,社会における生き方を学習する上で極めて大切である。

今日,多くの企業が業務の高度化,技術化を図っていることから,一般に高等学校卒業以上の者を求める傾向にあり,また,多くの聴覚障害者が専門的職業に就いているという事実が一般社会の聴覚障害者に対する理解,雇用の促進,社会的地位の向上等に大きな役割を果たしていることなどにかんがみ,聴覚障害者が,多様な業種及び職場に進出していくために後期中等教育の一層の充実が期待される。

なお,高等部専攻科は,本科よりも進んだ段階の専門的知識・技能を得ようとする生徒のために設けられているものであり,特に,歯科技工等免許の取得を要する職種に就こうとする生徒にとって不可欠である。

(3)障害の比較的重い者への対応
(1) 聾学校高等部における対応

ア 聾学校高等部において,教育上特別な配慮のもとに高等学校の教育課程に準じた教育課程による学習が可能な者のうち,将来高等教育機関に進学する希望をもつ者あるいはその可能性の大きい者については,普通科において進学向きの教育課程を必要に応じて類型を設けるなどして編成し,教育することが望ましい。また,基礎学力,言語力等で数年の遅れがあり,就職を目標とする者については,職業学科において,卒業後適切な職場を得て,社会的に自立することを目指して教育することが望ましい。

一方,就職を目標とする者で,その者の適性や進路希望に応じた学科が身近にないものについては,普通科において教育することとなるが,その者の適性等に応じて職業に関する基礎的・基本的な教科・科目を配当した教育課程を必要に応じて類型を設けるなどして編成し,教育することが望ましい。

なお,生徒の就職後の実態から,一般企業は,一般的教養を重んじ,一層幅広い職業人,社会人としての基礎的素養を身につけることを求めており,高等部の教育においてもこの点に留意する必要がある。

イ 義務教育終了後の重複障害者の進路は,福祉対策との関連が深いが,どのような種類や程度の重複障害者を聾学校高等部において教育すべきかについては,各聾学校の実態やその地域社会の実情等を考慮して決める必要がある。一般には,聾学校高等部に在学ずる重複障害生徒については,その生徒に適した単純な職業的作業工程を指導することなどにより,可能な限り社会的自立を図ることが必要であり,このため「生活技能科」あるいは「生活応用科」などの学科を設けることも考えられる。

ウ 中学校から聾学校高等部に入学してくる生徒については,その学力,言語力,本人の希望,適性等に応じて,適切な学科あるいは教育課程の類型を選択させて教育することが望ましい。その場合,必要に応じて学校適応のためのガイダンスを行い,学習上及び生活上の問題点についても指導を行うことが望ましい。

エ 聾学校高等部における学科については,生徒の多様な適性や希望,各学校・学科における生徒数の推移,社会経済の動向等を総合的に考慮し,必要に応じて学科の転換あるいは統合を行うことなどにより適正配置を進める必要がある。

また,この場合,生徒数の減少から適正規模を維持できる学科が少なくなっている現状を考慮し,高等部のみの学校の設置も考慮する必要がある。

更に,必要に応じて,近隣の都道府県相互間で広域的に学科の設置を分担すること等も検討することが望ましい。

なお,現在設置されている学科のうち,ニーズの高い学科にあっては,引き続き存続させる必要があることはいうまでもない。

(2) その他の対応

社会的適応や職業的自立が困難な重複障害者等については,各種の福祉対策等の充実が今後一層必要である。

(4)障害の比較的軽い者への対応

一般的傾向として聴覚障害が発見された後,早期に補聴器装用が行われ,その適合ができた者や教育上特別な取扱いを余り要しない軽度の聴覚障害者にあっては,学習指導上及び生活指導上の配慮や援助の下に高等学校で教育することが望ましい。

言語障害を有する生徒については,その障害の特性から高等学校において教育するが,本人の障害克服への意欲が必要であることから適切なカウンセリングを行い,また,周囲の生徒などの障害への理解を図るために他の生徒等に対する指導が大切である。特に言語障害のために消極的になりやすい傾向がみられることが多いので,各学校においては,特殊教育センター等とも連携して,教師等が障害を理解し,相談相手になれるように努めることが望ましい。

(5)その他の事項

聾学校における進路指導については,中学部の段階から,生徒の多様な適性や希望に対応して自校の高等部のみでなく,広く他の聾学校高等部,職業訓練校,福祉施設等を考慮に入れて適切に行う必要がある。

高等部における就職希望者に対しては,職業安定所との提携,職場見学,就職のためのオリエンテーション等を強化し,適切な情報の収集と提供の下に進路指導を行う必要がある。

就職以外の進路についても,聾学校の専攻科のみでなく,大学,短期大学,専修学校,各種学校,職業訓練校,職業リハビリテーションセンター等を考慮し,個々の生徒が適切な進路をとれるように指導する必要がある。


3 知的障害及び情緒障害
(1)後期中等教育の現状

ア 昭和五七年現在,知的障害養護学校(分校を含む。)四三一校のうち,高等部を置く学校は二二五校で,そのうち,高等部のみの学校は一三校であり,高等部在学者数は一一,一六二名である。高等部を置く公立養護学校を未だ設置していないのは五県である。設置されている学科については,普通科が大部分を占め,職業学科としては,インテリア,被服,工業,家政,印刷,農業などに関するものがある。

なお,高等部在学者には情緒障害を併せ有するものも少なからず含まれているものとみられる。

昭和五七年三月の高等部卒業者の進路は,専攻科への進学者一%,教育訓練機関等入学者七%,就職者四九%,施設・病院入所者二三%,その他一九%である。

イ 昭和五七年三月の知的障害養護学校中学部卒業者の進路は,進学者五五%,教育訓練機関等入学者一%,就職者四%,施設・病院入所者二九%,その他一一%である。進学者の大多数は,高等部への進学である。

昭和五七年三月の中学校特殊学級卒業者(知的障害以外の障害の特殊学級卒業者を含む。)の進路は,進学者四〇%(高等学校への進学者二四%,高等部への進学者一六%),教育訓練機関等入学者一四%,就職者三七%,施設・病院入所者等一〇%である。

なお,特殊学級卒業者の高等学校への進学率は,各都道府県により差は極めて大きい。

ウ 知的障害者のみを対象とする身体障害者職業訓練校は,全国に一校しかなく,他に知的障害者の定員を特別に設けている身体障害者職業訓練校が二校あるが,その定数はわずかである。したがって,養護学校中学部や中学校知的障害特殊学級卒業者で一般の職業訓練校に入校している者もかなり多数にのぼるものとみられる。

(2)後期中等教育の意義

知的障害特殊学級卒業者,養護学校中学部卒業者の中には,卒業後直ちに就職し,現実の職業生活,社会生活を通して豊かな成長発達を示す者もいる。

また,卒業後直ちに,児童福祉施設に入所して指導・訓練を受け,そこでの生活によく適応している者もいる。しかしながら,知的障害者についても養護学校高等部及び高等学校において社会性の育成等を目指した教育を行うことが次第に強調されるとともに,中学校知的障害特殊学級卒業者を受け入れている専修学校,各種学校,職業訓練校等においても適切な対応が求められるようになってきている。

養護学校高等部についてみると,当初,中学校知的障害特殊学級卒業者や養護学校中学部卒業者のうち,直ちに就職することが困難な者に限って受け入れる傾向にあったが,次第に障害の多様な生徒を対象とするようになってきている。

知的障害者の後期中等教育は,社会生活を営む上で必要な知識,技能,態度を生徒の実態に即して身につけさせ,社会性の発達を促し,将来可能な限り社会的自立を図る上で大きな意義がある。

(3)障害の比較的重い者への対応

障害の比較的重い者に対する後期中等教育については,児童福祉施設の整備状況を考慮しつつ,養護学校高等部の整備を進めることが望ましい。

(1) 知的障害養護学校高等部における対応

高等部に受け入れる生徒については,一般には,中学部の卒業者を中心として受け入れているが,学校によっては,障害の程度の比較的軽い中学校知的障害特殊学級卒業者を中心として受け入れているところもあり,必ずしも一様でない。中学校知的障害特殊学級卒業者のための後期中等教育の場が概して不備であることを考慮すれば,地域や学校の実態に応じて,入学選考等において弾力的な取扱いが必要となろう。なお,この場合,一部の都道府県にみられるように小・中学部と併設した高等部を置く養護学校のほかに,高等部のみの養護学校を設置して,専ら中学校知的障害特殊学級卒業者の受入れを図ることも検討されてよい。
高等部における教育は,小・中学部における以上に,卒業後の社会生活をより豊かにするための自立的な力を大きく育てることを目指した教育に主眼が置かれるべきである。

(2) その他の対応

養護学校中学部卒業者等の入所している児童福祉施設や知的障害者援護施設においても知的障害者の成長発達に必要な条件を整えることが望まれる。

(4)障害の比較的軽い者への対応

障害の比較的軽い知的障害者を対象とする中学校の知的障害特殊学級の卒業者に対して,用意された適切な後期中等教育の場は極めて少ない。知的障害者の成長発達に必要な教育条件を適切に用意するという考えに基づいて知的障害特殊学級卒業者の後期中等教育に積極的に取り組むことが望まれる。

高等学校については,中学校知的障害特殊学級卒業者で高等学校に入学しているものも少なくない状況にあり,学校の実態に応じて,知的障害特殊学級卒業者でも高等学校の教育課程を履修できる見込みのある者については,教育課程を弾力的に編成するほか,指導方法にも工夫をこらし,このような生徒が適切な高等学校教育を受けられるように配慮することが望まれる。

また,障害の比較的軽い知的障害者に対しては,併せて,専修学校,各種学校及び職業訓練校における適切な対応が望まれる。

(5)情緒障害者への対応

情緒障害者の後期中等教育については,自閉的な傾向をもつ者への対応が重要である。自閉児のうち,精神発育の遅滞の程度が比較的重い者については,必要に応じて,知的障害養護学校の高等部で自閉症の行動特徴等を十分考慮した教育を行うことが適当であると考えられるが,自閉児の教育については今後の研究に待つところが大きい。

(6)その他の事項
(1) 進路指導

教育活動全体を通じて生徒の能力・適性等の的確な把握に努め,その実態に即した組織的,計画的な進路指導を進める必要がある。その際,生徒の障害の多様化に応ずるため,関係機関との連携を密にすることが大切である。

(2) 地域における活動の機会

中学校知的障害特殊学級卒業者,養護学校中学部卒業者等の知的障害者が地域における各種の学習・文化活動に参加する機会が一層拡充されることが望まれる。

(3) 知的障害特殊学級卒業者等に対する事業所等における条件整備

特殊学級卒業者等の就労の場となっている事業所等においても,知的障害者が働く生活を通して豊かに成長発達するように専任指導員の配置など就労を援護するための条件を十分備えることが望まれる。


4 肢体不自由
(1)後期中等教育の現状

ア 昭和五七年現在,肢体不自由養護学校(分校を含む。)一七四校のうち高等部設置校は一〇六校,在学者数は四,五八八名である。設置学科は,その九〇%が普通科であり,その他には,インテリア,工業,商業及び家政等に関する学科がわずかに設置されているのみである。

昭和五七年三月の肢体不自由養護学校高等部卒業者の進路は,大学等(専攻科を含む。)への進学者二%,身体障害者職業訓練校等の教育訓練機関等入学者二〇%,身体障害者更生援護施設等入所者二五%,就職者,その他の者それぞれ二七%である。

イ 昭和五七年三月の中学部卒業者の進路は,高等部ないし高等学校等への進学者がほぼ八〇%を占めており,うち高等部へは全卒業者の七五%の者が進学している。また,施設への入所者等は八%,教育訓練機関等入学者は二%,その他の者が一一%となっている。

ウ 身体障害者更生援護施設のうち,肢体不自由者に関係の深いものとしては,昭和五六年現在,肢体不自由者更生施設五一か所,重度身体障害者更生援護施設四三か所,身体障害者授産施設八一か所,重度身体障害者授産施設八七か所,身体障害者福祉工場一九か所,身体障害者通所授産施設一六か所等が設置されている。

また,近年は地域の在宅者のために,公立ないしは私立の通所による作業所や訓練の場も相当数設置されてきている。

一方,身体障害者職業訓練校は,昭和五七年現在,国立及び公立一八校が設置されており,その他一般の職業訓練校が三四八校設置されている。

(2)後期中等教育の意義

肢体不自由者に対する後期中等教育は,主として肢体不自由養護学校高等部で行われており,生徒の多くは高等部を最後として社会に出る。この観点から高等部における教育は,一般の職場ないし身体障害者更生援護施設等において必要とする知識・技術を生徒の肢体不自由の状態等に即して身につけさせるとともに,可能な限り肢体不自由の状態等を改善し,自立を援助する教育として大きな意義がある。

(3)障害の比較的重い者への対応
(1) 肢体不自由養護学校高等部における対応

現在設置されている高等部のほとんどは,小・中学部と同じ敷地内に設置され,しかも在学者の多くが当該中学部の卒業者であり,また職業学科もほとんど設置されていないところから,次の問題点を指摘することができる。すなわち,(ア)一個学年の生徒数が少なく,しかも障害の状態等が多様であるため,職業に係る教育を適切に行うことが困難であること,(イ)高等部生徒としての意識を育てることに困難さがあること,という点である。
したがって,高等部の整備に当たっては,これらの問題点を踏まえるとともに,今後長期にわたる入学者の実態を的確に予測し,更には地域における身体障害者更生援護施設,身体障害者職業訓練校等の設置状況を十分に考慮して適切に行う必要がある。
その際,以下の二つの形態の高等部について考慮することが望ましい。

ア 〔高等部のみの肢体不自由養護学校〕 現在の小・中学部と連携した高等部は比較的在学者数が少ないうえに,近年は重度の肢体不自由生徒も在学するようになり,職業に係る専門教育の実施が困難になってきている。したがって,地域の実態を十分考慮して,高等部のみの独立した肢体不自由養護学校を設置し,ある程度広域的な地域の生徒を対象として,社会的自立を目指した職業教育を行うよう配慮する必要がある。

この場合,設置学科は,職業学科とし,また,対象生徒は,一般の職場(福祉工場を含む。)において就労可能な者とすることが適当である。

イ 〔小・中学部と連携した高等部を置く肢体不自由養護学校〕 現在の小・中学部と連携した高等部は,比較的狭い地域の生徒を対象としており,障害の重い生徒も通学が可能である。

この種の高等部においては,設置学科は,普通科とし,対象生徒は,障害の程度は重いが自立の期待できる程度の者とすることが適当であり,生徒の実態や進路に即して習熟度別の指導を行うなど,可能な限り自立を目指した教育を行うことが望ましい。

(2) その他の対応

昭和五七年三月中学部卒業者のうち,身体障害者更生援護施設への入所者等は全体の八%,身体障害者職業訓練校等への入学者は二%である。今後においても,肢体不自由の状態が比較的重度の中学部卒業者が入所・通所できる施設等の整備,充実が望まれる。

(4)障害の比較的軽い者への対応

肢体不自由養護学校中学部から高等学校等への進学者は,昭和五七年度七九名である。このように,今後においても肢体不自由の状態が改善された中学部卒業者は高等学校へ進学することが予測される。したがって,高等学校への受入れに当たっては,便所等の設備の改善を図るとともに,受け入れた生徒については,肢体不自由の状態等に応じて学校行事への参加等について適切に配慮する必要がある。また,通信制課程においては,移動能力の乏しい肢体不自由生徒のスクーリングについて弾力的取扱いができるように配慮する必要がある。

なお,専修学校,各種学校及び身体障害者職業訓練校等においても,肢体不自由者の受入れに配慮することが望まれる。

(5)その他の事項
(1) 進路指導

進路の選択・決定は,生徒の障害の状態,能力・適性,興味・関心等に即して適切になされなければならない。特に,生徒の状態が多様化している肢体不自由養護学校においては,中学部段階からの進路指導が,福祉・労働関係諸機関との緊密な連携のもとに計画・実施されることが必要である。

(2) 地域における活動の機会

在宅の肢体不自由者が,生きがいのある生活を送るためには,地域社会とのかかわりをもった生活を送ることが必要である。
この観点から,地域におけるボランティア活動の推進とあわせて,中学部卒業者等のための学校開放,各種レクリエーション,学習活動の機会の増加等地域社会とのつながりをより豊かにできるような配慮が望まれる。


5 病弱
(1)後期中等教育の現状

ア 昭和五七年現在の病弱養護学校高等部の現状をみると,病弱養護学校(分校を含む。)九五校のうち,高等部を設置しているのは二八校にすぎない。また,高等部に設置している学科は,二八校のすべてが普通科のみであるが,各学校の教育課程は,生徒や学校の実態に応じて特色がみられる。

なお,昭和五六年現在の高等部に在学している生徒の疾患の実態をみると,進行性筋ジストロフィー症が四六%を占め,次いで腎臓疾患が二四%,気管支喘息が八%であり,他の疾患の割合は低い(全国病弱虚弱教育研究連盟調査)。

次に,昭和五七年三月の高等部卒業者の進路についてみると,高等教育機関等への進学者は教育訓練機関等入学者を含めて二五%,医療機関・福祉施設入院・入所者は三八%となっており,就職者は一二%にすぎない。

イ 昭和五七年三月の病弱養護学校中学部卒業者の進路の状況をみると,進学者が六七%であり,このうち,高等部への進学率は卒業者の二九%,高等学校等への進学率は卒業者の三八%となっており,他の特殊教育諸学校に比べて高等学校等への進学率は著しく高くなっている。

なお,医療機関や福祉施設への入院・入所者及び在宅者等を合わせると二四%にのぼっており,就職者は三%にすぎない。

ウ 学校保健統計調査によれば,高等学校に在学する生徒の疾病人異常被患率については,昭和五六年現在,生徒の五%に疾病・異常(肥満,脊柱・胸郭異常,心臓疾患・異常,喘息,腎臓疾患等)がみられる。

(2)後期中等教育の意義

青年期は,心身が共に急速に成長発達し,充実する時期であるので,この時期の病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して,その心身の障害の状態,能力・適性等に応じて適切な教育を行うことは極めて大切である。そして,この教育は,病弱者が生きがいのある,充実した生活を送れるようにするとともに,能力の発揮と個性の伸長を図り,病状・健康状態の回復・改善を促し,進路の適切な選択ができるようにすることを目的として行われるべきものであり,その教育の果たす役割は極めて大きい。

(3)障害の比較的重い者への対応

医療管理又は生活上の特別の配慮を要し,長期間にわたって医療機関や児童福祉施設に入院・入所しているなどの病弱者については,病弱者個々の病状・健康状態,医療機関や地域社会の実態等に応じて適切な対応が必要である。

(1) 病弱養護学校高等部における対応

病弱者の後期中等教育の機会を拡充するため,各都道府県の病弱養護学校の一校以上に高等部を設置する必要がある。
また,医療機関等に長期間にわたって入院・入所している教育対象者が,ある程度の数に達する場合は,必要に応じて,分校等を設けることが望ましい。
高等部における教育については,特に,病弱者個々の実態に即した教育的対応が必要である。今後,次の事項に配慮して,高等部における教育の一層の充実を図ることが望まれる。

(ア) 生徒の病状・健康状態,能力・適性等に応じた適切な教育を行うため,必要に応じて,商業などの職業学科の設置,普通科における職業教育の充実,通信による教育の促進など,多様な教育課程の編成等を行う。

(イ) 高等部に在学する生徒のうち,その病状・健康状態の回復・改善等により,高等学校での学習が可能と思われる者については,必要に応じて,高等学校に一定の期間通学できるよう配慮する。

(2) その他の対応

高等部が未設置等のため,高等部で教育を受けることが困難な病弱者については,個々の病弱者や医療機関等の実態に即した適切な対応が必要である。例えば,通信教育による学習が可能な者については,高等学校の通信制課程で教育を受けられるよう,スクーリングについて弾力的な取扱いをするなどの配慮が必要である。

(4)障害の比較的軽い者への対応

(ア) 病状・健康状態の回復・改善等に伴い,高等学校への転入学を希望する者については,転入学の時期等を弾力的に扱う。

(イ) 生徒の病状・健康状態等を考慮して,「体育」などの単位修得の認定,学校行事への参加等について適切に配慮する。

(ウ) 生徒の病状・健康状態等に即した教育的対応について,教職員の共通理解を図り,指導上の協力態勢を整える。

(工) 病弱養護学校,医療機関等との連携を緊密にし,必要に応じて,専門的な指導が受けられるようにするとともに,保健・安全管理や救急看護に必要な施設・設備を整え,その体制を一層充実させる。

(5)その他の事項

病弱者に対する後期中等教育の機会を拡充し,適切な教育及び卒業後の進路の開拓を促進するため,各種の教育関係機関,福祉・労働関係機関等との連携を緊密にし,進路指導を一層充実させる必要がある。また,この場合,病弱者及び病弱養護学校に対する教育関係者や事業主等の正しい理解と認識を深めることが望まれる。


III 推進すべき関連施策

1 特殊教育センターの整備

特殊教育センターは,都道府県における特殊教育に関する中心的指導施設として,心身障害児に係る早期の教育相談,検査,判断,訓練及び特殊教育関係教職員の研修等を行うものであり,現在,既に一六県(二指定都市を含む。)に設置されている。必身障害児に係る早期教育及び後期中等教育を一層振興する上からも,特殊教育センターの果たすべき役割は極めて重要であり,今後,すべての都道府県及び指定都市に特殊教育センターを設置する必要がある。

なお,この場合,特殊教育センターを設置するまでの過渡的な措置として,既存の教育センターの特殊教育に係る部門を拡充し,特殊教育センターの役割を代替させることも必要であろう。

特殊教育センターにおいては,特に早期教育及び後期中等教育に関し,前記の機能に加えて,今後,以下のような役割を果たすことが望まれる。

(1)学校等の要請に応じて,巡回により指導・助言を行う。
(2)特殊教育関係教職員以外の教職員,特に心身障害児を受け入れている学校等の教職員に対する研修を行う。
(3)後期中等教育段階の心身障害児に係る教育相談を行う。
(4)心身障害児に係る教育,医療,福祉,労働等の関係諸機関との連絡を行う。
(5)早期教育についての教育相談その他の機会において保護者の特殊教育に対する理解と認識を深める。

2 教職員の資質の向上

心身障害児に対する教育を振興するためには,心身障害児の教育を担当する教員の資質の向上を図るとともに,一般の教員にあっても,この教育に対する基礎的素養を身につけさせることが極めて重要である。このため,特殊教育関係教職員に対する現職教育の一層の充実を図るとともに,特殊教育関係教職員以外の一般の教職員に対しても心身障害児及びその教育についての理解と認識を深めるほか,大学の一般の教員養成課程において心身障害児に係る専門科目を履修させることなどについて配慮する必要がある。

なお,特殊教育諸学校の新任の校長・教頭の中には特殊教育についての経験を持たない者も少ながらずみられるので,これらの者については,特殊教育についての専門的な知識を修得させることによって,管理者としての指導力を向上させるための研修を行う必要がある。



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