障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

授業の振り返りから教育課程の改善へ

国立特殊教育総合研究所 教育相談センター

菅井裕行

  1. 授業を捉える新たな視点
  2. 子どもの主体的な「学び」の重視

    教育内容の意味の再吟味

    対話的文脈の重視

  3. ドナルド・ショーンによる実践概念からみた授業実践をめぐる二つの様式
  4.  
    A技術的実践 専門化された技術と原理の応用。どんな状況にも有効な科学的技術や原理を基礎としてtheory into practiceを追求。
    B反省的実践 経験によって培った「暗黙知」を駆使して問題状況を省察 複合的な問題に対し「反省的思考(デューイ)を展開して解決に取り組む実践的探求。 thory in practiceを追求。

    「反省的授業」 教師と子どもがともに探求を遂行し合う授業

    反省=リフレクションを通じて、教材やプログラムが再構成される。教師の認識も修正され発展させられる。(教師の枠組み=フレームの見直し)

    教師からの一方的な働きかけや、事前計画の型どおりの実行ではなく、実践の実相を深く捉える方法。 リフレクションを通じて、どんな子どもにも、どんな教師にも対応可能な教材パッケージの開発をめざすのではなく、特定の教材とプログラムを改造し、 教師の構想力や実践力量、その人(=授業者)らしい授業の創造をめざす。

    システムを規定している、あるいは制度的実践を構成している不可視の言説の意識化

  5. 教育課程の捉え直し
  6. カリキュラムの語源=ラテン語での「走路」、人生の履歴(経験)

    教育用語としては、学びの履歴、英米におけるカリキュラムは「学びの経験の総体」を意味している。したがって、教科と教材を制度的に組織した枠組みとしての先決的な計画としてのカリキュラムは、 一つの在り方にすぎない。

    従来からの「文化遺産の継承」「社会適応」としてのカリキュラム編成原理に加えて、 「子どものニーズ」に立脚したカリキュラム編成が求められている。(総合学習の起源)

    A計画事態を、子ども一人一人の教育的ニーズから構成し直すこと

    B教師側の意図や計画を越えたところで展開する授業の実相の捉え直し

    既につぎのことが指摘されていた。「カリキュラム開発研究者や現場の教師が計画した学習環境の系列ないし構造としてではなく、学習者が経験し認識した学習環境の系列ないし 構造に即して考えていくことが必要である。」と(1974年、OECD・文部省共催のカリキュラム開発に関する国際セミナーから)

  7. 授業研究の変革
  8. 「すぐれた授業」「理論検証のための授業」を追求するのではなく、日常の授業という取り組みをリフレクションすること。 個別具体的な実践への「事例的な探求」。

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