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平成17年度第一期短期研修 情緒障害教育コース講義等内容

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講義題目等 講師氏名(所属・職名) 講義内容
専門講義・演習
情緒障害と特別支援教育① ② 渥美義賢
(教育支援研究部・総合研究官)
 近年の情緒障害教育に関連する諸課題や、今後の特別支援教育の在り方等について概説する。また、適宜参加者との協議を交えながら進めていく予定である。
情緒障害教育の展望と課題 石塚謙二
(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課・特殊教育調査官)
 特殊教育行政からみた情緒障害教育の現状や今後の展望について概説し、これからの特別支援教育における課題について考える。
自閉症の教育と医療との連携 佐々木正美
(川崎医療福祉大学・教授)
 自閉症児への総合的な支援の在り方について、TEACCHの例を参考に講義する。
情緒障害の概念の変遷過程 太田正己
(京都教育大学・教授)
 自閉症児の学校教育の歴史について、特に教育方法の変遷を中心に詳しく述べる。
障害児の性教育 蓮香美園
(東京学芸大学附属養護学校・教諭)
 性教育に関する内外の動向を踏まえ、学校教育の中で性教育を進めていく上での諸課題や、指導方法、評価の在り方について講義すると共に、性教育プログラムについて紹介する。
養護学校における自閉症児指導 荒川正敏
(筑波大学附属久里浜養護学校・教諭)
 現在、自閉症の幼児・児童・生徒に対する教育内容、指導方法、教育環境、教育課程等の確立が重要な課題となっている。今回は、「自閉症に特化した養護学校」への移行をねらい、本校で昨年度行われた校内プロジェクト研究及び、今年度「自閉症に特化した養護学校」としてスタートした本校の研究の取り組みを通して、自閉症教育の実際について紹介する。
自閉症の病理 中根晃
(東京都精神医学総合研究所・客員研究員)
 自閉症の概念と診断、情報処理過程の障害や行動障害への対処等について、発達援助の方法を含めて解説する。
精神医学的な子どもの見方 竹内直樹
(横浜市立大学医学部・助教授)
 精神医学的な面接の事例を通して子どもや保護者への見方や対処や小児と成人の精神障害の違い、個々の障害についての診断について講義する。
通級指導教室の役割 笹森洋樹
(教育支援研究部・総括主任研究官)
 横浜市の通級指導教室の例を参考に、児童生徒の入退級のシステムや、通級指導教室の役割について臨床事例を交えながら講義し、併せて、通級指導教室の今後の課題等にも触れる予定である。
子ども虐待の理解と対応 庄司順一
(青山学院大学・教授)
 急増を続けている子ども虐待は、今日、もっとも深刻な問題の一つといえる。虐待は子どもの心身に重大な影響をもたらす。教師を含め、子どもと関わる専門家には虐待の早期発見と通告の義務がある。この講義では、子ども虐待の基本的な理解と対応のあり方について論じる。
養護学校における個人の指導計画および情緒障害特殊学級における自立活動の指導 廣瀬由美子
(教育支援研究部・総括主任研究官)
 情緒障害特殊学級での、自立活動の時間における指導において、事例を中心に、個別の指導計画の作成・実践・評価の観点から講義する。
校内支援体制を活用した障害のある子どもへの支援について 廣瀬由美子
(教育支援研究部・総括主任研究官)
 特別支援教育の背景とその概要について説明し、校内支援体制の構築や特別支援教育コーディネーター等の役割について講義する。
感覚運動による自閉症児のコミュニケーション指導 小林芳文
( 横浜国立大学・教授)
 自閉症児を含めた発達障害児のコミュニケーション能力を育てるために、感覚・知覚・精神運動を中心としたムーブメント教育法によるコミュニケーション支援の在り方について、M.フロスティッグやE.キパードの理論を交えながら講義する
重複障害のある子どもの教育におけるAACの活用 渡邉章
(教育研修情報部・総括主任研究官)
 重複障害のある子どもの教育におけるAACの活用について、具体的な実践例や情報機器等の紹介を交えながら講義する。
ADHD児等における医療と教育の連携 市川宏伸
(東京都立梅ヶ丘病院・院長)
 情緒障害的な行動を呈し、授業に参加あるいは集中困難な学童・生徒は少なくないがその原因は様々である。ここでは児童・小児神経科で対応を必要とする疾患、及び使用される薬物について、臨床における実際とその理論的背景について触れると共に、医療と教育の連携の在り方について論ずる。
情緒障害特殊学級の教科指導 佐藤貢
(仙台市教育局学校教育部教育相談課・指導主事)
 算数科、国語科における授業実践を中心に、総合的な学習や生活単元学習等の指導事例を交えながら、情緒障害特殊学級における指導の実際を紹介する。また、交流教育や保護者、専門機関、教師間及び地域との連携の実際についても紹介する予定である。
教育課程の編成 宮﨑英憲
(東洋大学・教授)
 知的障害養護学校・特殊学級の役割や教育課程について述べる。
発達障害児の思春期・青年期の諸問題 広沢郁子
(東京都立梅ヶ丘病院精神科・医長)
 自閉症児を含む発達障害児の思春期・青年期の問題を整理し、長期的な視野をもった指導の在り方について考えてみたい。
心理検査・発達検査の利用 大柴文枝
(教育相談センター・主任研究官 )
玉木宗久
(教育支援研究部・研究員)
自閉的な特徴のある子ども(自閉症スペクトラム児)の臨床像の理と、指導計画の立案に役立つものとして、CARS(小児自閉症評定尺度)とPEP-R(心理教育プロフィール)を取り上げる。子どものビデオ記録を基に、前者について実習すると共に、後者を利用して、個別の指導計画の立案の実習を行う。
発達障害児の医学概論 太田昌孝
(東京学芸大学・教授)
 発達障害について、特に自閉症のとらえ方について、太田ステージの視点から解説する。
自閉症児の行動観察とその障害 東條吉邦
(茨城大学・教授)
 行動観察の目標、枠組み、具体的な技法および記録方法などについて概説し、自閉症児の示す多彩な行動上の問題について、それらの諸原因(生物学的要因および社会的・環境的要因)と教育的対応の基本について講義する。
情緒障害特殊学級における指導と実際 高橋由紀子
(岩手県一関市立南小学校・教諭)
 情緒障害特殊学級において、特に表出言語のない自閉症児の事例を紹しながら、多面的な評価の在り方や環境設定の仕方、コミュニケーションの取り方等について、実践例を交えながら講義する。
自閉症児の認知発達 永井洋子
(静岡県立大学・教授)
 自閉症児の認知発達について、太田のステージ等を参考に解説する。
中学校における不登校生徒への支援 川端久詩
(神奈川県横須賀市立公郷中学校・教諭)
 中学校における不登校生徒への対応と支援の在り方について、相談学級における具体的な指導事例等を交えながら解説する。
LD・ADHD児等の在籍する通常学級への支援 伏見孝一
(神奈川県横浜市立市ヶ尾小学校・教諭)
 情緒障害通級指導教室におけるADHD児や高機能自閉症児の支援に関して、特に通級児の在籍する通常の学級担任との連携や支援のあり方、連携を巡る諸課題等について述べる。
自閉症児の行動分析の理論と実際 加藤哲文
(上越教育大学・教授)
 応用行動分析の理論的背景について解説し、自閉症児を中心とする具体的な指導事例等を通しながら、体系的に述べる。
情緒障害児の指導 寺﨑裕志
(福岡県福岡市立百道小学校・校長)
 情緒障害教育の対象・指導方法・内容・教育的支援等について述べる。さらにアメリカにおける自閉児指導の実際についても紹介し、我が国の教育と比較してみる。
これからの発達障害教育 大南英明
(帝京大学・教授)
 学校教育における知的障害のある児童・生徒や自閉症の児童・生徒等の教育を充実していくため、これまでの歴史的変遷について述べ、今後のあり方を論ずる。
自閉症児のコミュニケーション指導の実際 是枝喜代治
(東京福祉大学・教授)
 自閉症児の個々に応じたコミュニケーション支援の在り方について、言語を媒介とした方法のみでなく、多様な支援の在り方について事例を交えながら述べると共に、コミュニケーションに関連したアセスメントの幾つかを紹介する。
自閉症の幼児期における支援 木村伸子
(NPO法人山形親子支援ネットワーク代表理事 )
 自閉症の幼児期における具体的対応や支援の在り方について、地域支援の立場から、具体的な実践例を交えて解説する。
養護学校におけるADHD児の指導 三宅幸夫
(東京都立青鳥養護学校・梅ヶ丘分教室・教頭)
 梅ヶ丘分教室におけるADHD児の指導を中心にして、学校での様子、通常級や養護学校での本人への対応、他の子への対応、保護者への対応、学校体制など、ADHD児の教育的対応を包括的に述べ、それらについて一緒に考える。
自閉症児の診断と評価 山崎晃資
(臨床児童精神医学研究所・所長)
 児童精神医学的な自閉症児の診断と評価について、事例等を取り上げながら、講義する。
学校コンサルテーションとコーディネーター 高橋あつ子
(神奈川県川崎市総合教育センター・指導主事)
 相談機関における学校コンサルテーションについて概説し、ケース発動及び学校発動による具体的な相談事例をもとに、学校コンサルテーションのあり方やコーディネーターとしての役割について述べる。
小学校における教育相談 花輪敏男
(山形県立上山高等養護学校・校長)
 学校における不登校・緘黙・いじめ等に対する具体的な相談について、学校カウンセリングの立場で対応を考える。
学校における事例研究の進め方 花輪敏男
(山形県立上山高等養護学校・校長)
 単なる事例報告会ではなく、共有の財産となるように事例を取り上げたいもの。演習を通して事例研究法を学ぶ。
自閉症児の保護者との連携 藤原義博
(上越教育大学・教授)
 近年、保護者の教育への参加が重視され、新学習指導要領でも家庭や地域との連携を深めていくことが示されている。そこで当講座では、特に日常指導が難しい自閉症児をもつ保護者と学校との連携について、その意義と具体的な方法、そして連携を深めるための留意点について考える。
脳の働きとその障害 渥美義賢
(教育支援研究部・総合研究官)
 脳の構造と機能およびその障害についての基礎的な知識と情緒障害児をみる際の脳機能障害と心理・環境要因の関連について講義する。
不登校児童生徒の指導 金澤純三
(開善塾教育相談研究所・所長)
 最近大きな社会問題となっている不登校・引きこもりに対して「訪問指導」の実際を、多数の事例をもとに技術的なことも含めて論ずる。
LD・ADHD児に随伴する行動障害への対応 馬場博雄
(長野県若槻養護学校・教諭)
 情緒障害短期治療施設に入所するADHD児等への対応を基に、情緒的な問題行動のとらえ方、その対応等について具体例を挙げながら講義する。
高機能自閉症等の理解 渥美義賢
(教育支援研究部・総合研究官)
大柴文枝
(教育相談センター・主任研究官)
 高機能自閉症、アスペルガー障害等の概念や行動特徴について解説し、研究報告や事例をもとにその理解や支援のあり方について講義する。
自閉症児の指導と地域との関連 白石安英
(弘前大学教育学部附属養護学校・教諭)
 自閉症児は、その障害特性から、地域社会の中で生活しにくい面が各所で報告されている。ここでは、自閉症児の指導に関して、特に、地域との連携の在り方について事例を交えながら紹介する予定である。
LD・ADHD児の指導 玉木宗久
(教育支援研究部・研究員)
 LD・ADHD児の行動、認知、生理学的特性をふまえ、それらが家庭や学校等日常生活の場でどのように表現されるかを整理し、問題となる行動の促進・緩和要因を考える。また、それをもとにLD・ADHD児の指導で配慮すべき点を検討する。
年長自閉症児・者への対応 須田初枝
(けやきの郷・理事長)
佐々木敏宏
(けやきの郷ワークセンターけやき・施設長)
 思春期・青年期の自閉症児が抱える諸課題について紹介し、社会適応の質を高めるための具体的なケアーの在り方や、今後の福祉の在り方等について述べる。
カウンセリングの理論と実際 大柴文枝
(教育相談センター・主任研究官)
 カウンセリングのあらゆる立場の共通な基盤として、C.R.ロジャースのクライエント中心療法と、彼の教育に関する考え方を紹介します。その上で、相互にカウンセラー、クライエントの立場を交換しながら、双方の立場での体験をすることを通じて、カウンセリングやカウンセリング関係の理解を体験的に深めていきます。
教材・教具の作成と活用 石本隆志
(宮崎県都城市立明道小学校・教諭)
 個に応じた教材・教具の捉え方について講義すると共に、障害や個人の特性に応じた具体的な教材・教具の紹介や、パーソナルコンピューター、インターネット等を活用した内容についても紹介する予定である。
実地研修
題目等 研修先 研修内容
筑波大学附属久里浜養護学校の指導の実際 筑波大学附属久里浜養護学校
副校長 馬場信明
小学部主事 浜津平一
幼稚部主事 吉川明守
 平成16年度より国立大学法人筑波大学付属久里浜養護学校となる。知的障害を伴う自閉症の児童の教育についての研修を行い、自閉症教育のあり方について考える機会とする。
筑波大学附属久里浜養護学校
〒239-0841 神奈川県横須賀市野比5-1-2
情緒障害者施設における指導の実際 社会福祉法人 けやきの郷
理事長 須田初枝
初雁の家施設長
久保義和
やまびこ製作所所長
伊得正則
 昭和60年7月に知的障害者の入所施設『初雁の家』を開所し、自閉症と診断された人達を主な対象に、労働と生活を通して自閉症者のトータルライフを支援している。また、平成2年に福祉ホーム『潮寮』を、平成6年にグループホーム『しらこばとの家』を、平成7年に福祉工場『やまびこ製作所』を開設し、自閉症者の社会参加を積極的にすすめている。
 実地研修により、自閉症者や知的障害者のための施設の現状や、社会自立に向けた諸課題等について学ぶ機会とする。
社会福祉法人 けやきの郷
〒350-0813 埼玉県川越市平塚新田字高田町162
養護学校における指導の実際 学校法人聖坂学院聖坂養護学校
校長 松井務
副校長 菅原新也
 昭和42年に前身である日本水上学校の発展的閉校と共に、新たに知的障害児を対象とする養護学校として開校し、発展してきた。キリスト教の教えを基本理念とする私学の養護学校の一つである(全国で16校)。実地研修により、養護学校における指導の実際として、小中高等部及び専攻科までの一貫した教育の現状について学ぶ機会とする。
  学校法人聖坂学院聖坂養護学校
〒231-0862 神奈川県横浜市中区山手町140
研究協議・自己研修
講義題目等 内容等
研究協議  ここでは研修員が各自持ち寄った課題について班毎に協議をし、課題解決に向けて研修を深めていく。研修員と所内から研究員がコーディネーターとしての役割で参加する。全体で12コマ設定しており、協議の進め方は班毎に研修員と所内研究員と相談の上で決める。
自己研修  講義等の一方的な研修ではなく、自らの課題解決に向けて、図書室での資料収集、他機関の見学など主体的に研修できる時間である。全体で10コマ設定してある。他機関の見学を希望する場合は所定の手続きによる。
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