障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

平成18年度第一期短期研修 聴覚障害教育コース専門講義等内容

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専門講義・演習

講義題目等 講師氏名(所属・職名) 講義内容
大脳の生理・病理 西牧 謙吾
(教育支援研究部 ・上席総括研究員)
 運動・感覚・知覚の生理、自律神経・内分泌の機能、高次脳機能 (記憶・情報・認知・行為・意識・睡眠・言語など)、脳疾患(脳血管障害・脳変性疾患 ・遺伝子異常疾患等)、障害児の脳病変、脳画像、機能などについて解説する。
(言語コースと共通)
耳科的疾病と教育 寺崎 雅子
(小田原市立病院 ・耳鼻咽喉科部長)
 耳鼻咽喉科疾患は解剖学的に他科との境界が多いため、患者の訴えが耳鼻咽喉科領域にとどまらない事がある。生理学的にも成長期の子どもと大人とで、対応が大きく異なる事もある。しばしば遭遇する疾患について解説する。
特殊教育諸学校・特殊学級等の教育課程 宍戸 和成
(文部科学省初等中等教育局・視学官)
 教育課程の基準である学習指導要領に基づいた聾学校の教育課程編成及び難聴・言語障害特殊学級や通級による指導の教育課程編成について説明する。
聴覚障害教育における情報機器の利用と実際
横尾 俊
(企画部・研究員)
以下について取り上げる。
①聾教育におけるコンピュータ利用
②今後の利用可能性
③コンピュータリテラシー
④利用法の実際
子どもの知覚とその障害 田中 美郷
(田中美郷教育研究所・所長)
 聴覚障害児教育は今大きな転機を迎えている。人工内耳、手話による教育、新生児聴覚スクリーニングの実用化、重複障害児の多様化と増加など、どれをとっても新しい課題である。民主的な聴覚障害児教育とは何か、これらを総合的に展望して今後の教育を考える。
交流教育 藤本 裕人
(企画部・総括研究員)
 交流教育の始まり、小・中学校や盲・聾・養護学校における交流教育の意義、多様な形態とその特徴、総合的な学習の時間との関連などについて触れ、聾教育の活性化に果たす交流教育の役割について考える。
聴覚障害児の音声言語臨床
須藤 正彦
(筑波技術大学・助教授)
 聴覚機能と音声言語の習得について概説し、音声言語の形式、機能について討論する。聴覚からの情報入力に制約がある際、起こりがちな問題や発音指導の意義について再考する。
言語獲得とコミュニケーション 牧野 泰美
(企画部・主任研究員)
 この講義では、「言語」「言語獲得」に関する基礎的知見、及びコミュニケーションの本質について概説するとともに、言語獲得及びコミュニケーションの成立や深まりを支える関わりのありようについて考えてみたい。
ろう者の文化と教育
米内山 明宏
((有)手話文化村・代表取締役)
①ろう文化とは?
②ろう者の言語とは?
①理想のろう教育とは?
聴覚障害の生理・病理 石戸谷 淳一
(横浜市立大学附属市民総合医療センター・副病院長)
 耳は、空気振動を神経の電気的信号に変換するとても巧妙で微細な器官であり、発声もまた巧妙なシステムである。講義では、“聞く”、“しやべる”といった日常的な生命現象の解剖・生理・病理を概説する。また、人工内耳医療についても言及する。
発達の理論 鯨岡 峻
(京都大学大学院教育研究科・教授)
1.なぜ関係論視点に立つのか
2.発達概念を再考する
3.両義性という概念がなぜ必要か
4.「関係障碍」という概念を巡って
5.障碍のある子どもの自己性の発達を考える
(言語コースと共通)
聴覚機能と聴力検査 横尾 俊
(企画部・研究員)
原田 公人
(教育支援研究部・総括研究員)
 聴覚の機能及び標準聴力検査、語音聴力検査、音場による聴力検査等について解説を行い、合わせてこれらの聴力検査の実習を行う。
聴覚障害児の表現教育 青木 淑子
(福島県立富岡高等学校 ・校長)




庄崎 隆志
(デフ・パペット・シアター ひとみ・代表)
 聴覚障害教育の可能性を示す一つの実践として聾学校等での表現教育を紹介し、心と体を開いていく教育活動の中で、表現への意欲と表現手段の獲得を可能にする課程をワークショップを交えて講義する。
  聴障児の表現ワークショップの土台にあるのは他者を気持ちよく受け入れるという姿勢です。どんな人でも温かく迎え入れ、たがいに心地よい時間を作ってともに楽しむことがワークショップの目標です。コミュニケーションが取りにくい人に対してどのようにホスピタリティを発揮していくかという課題は参加者にとって重要なテーマです。言葉にたよらない身体と心のコミュニケーションを体験します。
聴覚障害児の言語発達 齋藤 佐和
(目白大学・教授)
 聴覚障害児の言語発達について、その歴史的な位置づけや考え方を概説するとともに「学習言語」「生活言語」等の現代的なトピックスについて実践と研究の面から言及する。
補聴器のフィッティングの理論と実際 中川 辰雄
(横浜国立大学・教授)
 最近、子どもたちもデジタル補聴器を使用することが多くなってきた。そこで、この講義では午前中を中心に、デジタルやアナログ補聴器について説明する。午後からは、皆さんに補聴器の調整の仕方や考え方について実習を通して学んでいただく予定である。是非、担当されているお子さんの補聴器の事例をお持ち下さい。
聴覚リハビリテーション(1)
-補聴器の活用-
中井 弘征
(奈良県立ろう学校・教諭)
 聴覚活用を進めるには、まず実態を把握し適切な支援プログラムの作成が大切です。支援プログラムをどのように作成し、主体的な活動となるようにどんな援助が必要か、具体的にビデオ等を用いて解説する。
聴覚リハビリテーション(2)
-人工内耳-
高橋 信雄
(愛媛大学・教授)
 聴覚障害児の聴覚の活用を補聴器から人工内耳までを見据えて講義する。特に、聴覚障害児者の聴覚認知と活用に伴う聴能の形成および教育との接点について、症例を含めて講義する。
聴覚障害児の言語力評価法 我妻 敏博
(上越教育大学・教授)
 言語指導と言語評価・標準化されたテスト・言語力評価の観点と方法
聴覚の活用とコミュニケーション 中瀬 浩一
(大阪市立聾学校・教諭)
 聴覚障害児への指導を行う際に留意したい事項を聴覚的支援や情報補償、 心理的な側面から解説する。聾学校在籍児だけでなく通常学級等に在籍する聴覚障害児への 支援を行うことを想定した内容とする予定である。
「盲ろう」障害の理解と支援
(講義・演習)
中澤 惠江
(教育支援研究部・総括研究員)
藤鹿 一之
(東京盲ろう者友の会・理事)
中山 喜崇
(長野県花田養護学校・教諭)
 盲ろうの代表的な困難は「外部からの情報摂取」「コミュニケーション」「移動・方向定位」にある。ここでは、全盲ろうの疑似体験によって、コミュニケーション能力や情報収集能力を著しく低下させ、その低下が自分の行動や思考や感情に何をもたらすのかを体験し、共感・理解を試みることで、盲ろうという重複障害の理解とともに、自らの児童・生徒とのかかわり合いについて見つめ直すきっかけを提供することを目的としている。
(視覚コースと共通)
聴覚障害乳幼児の心理と両親援助 南村 洋子
(東京都立大塚ろう学校 ・乳幼児相談専門家)
 新生児聴覚スクリーニング検査の実施についての私見と共に、乳・幼児期の子どもと母親に対する援助について、教育実践例と私自身の聴こえない娘の子育ても加味しながら、大切なことについて述べる。
重度・重複障害児の指導の実際
中川 はすみ
(神奈川県立中原養護学校・教諭)
1.肢体不自由児に合併する聴覚障害
  (歴史と現況)
2.重度・重複障害児の聴覚機能の評価
3.聴覚障害を併せもつ児の指導
  (聴覚管理、聴覚補償、聴覚学習、コミュニケーション指導)
4.養護学校と他機関との連携
聴覚障害児(者)の自己理解と教育 前田 浩
(大阪市立聾学校・教諭)
1.聴覚障害児(者)の言語環境
2.聴覚障害児(者)の障害認識
3.人的環境とコミュニケーション
4.自立活動における言語教育
聾学校における乳幼児の教育(1) 室端 むつ子
(神奈川県立平塚ろう学校・教諭)
 本校乳幼児相談・指導について、目的・内容・スタッフ・両親援助等。現状と課題。超早期のケース、手話や人工内耳についての両親の対応とそれに対する援助のあり方等、ビデオや母親の記録をもとに述べる。
聾学校における乳幼児の教育(2) 相川 利江子
(千葉県立千葉聾学校・教諭)
 幼稚部在籍、継続相談、乳幼児教育相談室の本校の乳幼児教育の概要及び実践について紹介し、併せて今後の課題を考える。また「地域におけるセンター的機能」に関わる本校の実際を紹介する。
手話の活用(1)
-手話の言語特性 と発達-
小田 侯朗
(教育支援研究部・総括研究員)
 手話の言語的な特性、及び聴覚障害児の成長に伴う手話の言語的な発達とコミュニケーションの様相について解説する。
手話の活用(2)
-授業の中での手話-
小田 侯朗
(教育支援研究部・総括研究員)
 聴覚障害教育において用いられてきた手話の歴史とその方法について解説するとともに、現状の課題について検討する。
手話の活用(3)
-手話の教授法-
小田 侯朗
(教育支援研究部・総括研究員)
 手話を習得するための基本的な理論を解説するとともに、実習を通して手話の学習のプロセスを理解する。
聴覚障害児の心理とコミュニケーション 小田 侯朗
(教育支援研究部・総括研究員)
 聴覚障害児の心理的機序の発達やコミュニケーションと自己概念の関連等について解説する。また、聴覚障害に対する病理的視点と文化的視点についても解説する。
情報保障 森本 行雄
(聴覚障害者情報文化センター ・所長)
 聴覚障害者にとって、社会生活を送る上での情報保障は必要欠くべからざるものである。
  この講義では、下記の内容で教育関係職員が必要とする知識と実技について学ぶ。
・情報保障の手段とその歴史
・関係法規(著作権等)
・情報保障のあり方
・情報保障実習(ロールプレイ)など
言語指導法 藤本 裕人
(企画部・総括研究員)
 聾学校における言語指導について、言語指導法の歴史的推移・幼児児童生徒の発達段階やコミュニケーション手段の特性等を踏まえ、学校教育活動の中でどのようにして言語概念を形成するか、現在の指導法を検討するとともに、教科指導への発展などについて解説し、今後の在り方を展望する。
発音指導法 板橋 安人
(筑波大学附属聾学校・教諭)

聾学校に在学する聴覚障害児の「発音・発語」学習の基本的な考え方と指導技術を実践的な観点で講ずる。扱う内容は、以下の通り。
1.「発音・発語」学習の意義
2.日本語音声の検討
3.聴覚障害児の発音の特徴
4.「発音・発語」学習の実際
5.指導のための発音技法の評価法
6.発話の明瞭性と、それに影響を及ぼす要因

聴覚障害児の療育と指導 原田 公人
(教育支援研究部 ・総括研究員)
1.聴覚障害児療育の理念とわが国の現況
2.早期診断及び新生児聴覚検査の意義
3.重複障害児の聴力評価と聴覚補償
4.重度難聴児の初期言語発達とその評価
5.特別支援教育における地域ネットワークの形成
成人聴覚障害者の心理と社会適応 野澤 克哉
(東京都立保健科学大学・非常勤講師)
・聞こえないことに関わる幾つかのジョーク
・20年以上やってきた写植廃業の例
・ことばの幅が狭くて生じるトラブルや誤解
・社会受容ということ
・ろう運動の事例(法改正運動)
・ことばより手話表現が豊かである
教科教育法(数学) 大竹 一成
(筑波大学附属聾学校・教諭)
1.高等部における数学の指導
2.数学が不得手な生徒の指導
3.生徒はどういうところでよく誤るか
4.数学を通して何を伝えるか。
5.数学の学習意欲を高めるための工夫。
等の内容でお話をする予定です。
聴覚障害児の教科教育 宍戸 和成
(文部科学省初等中等教育局・視学官)
 聴覚障害児の教科教育に当たり配慮すべき点を開設する。
教科教育法(英語) 松藤 みどり
(筑波技術大学・助教授)
 かつては「むりだ、むずかしい、むだだ」とも言われた聴覚障害者に対する英語教育が、どのような変遷を辿ったか。戦後の聾教育と共に考察し、課題と展開を探る。英検の改革についても述べる。
進路指導 根本 匡文
(筑波技術大学・教授)
(1)聾学校卒業生の進路
(2)筑波技術短期大学卒業生の進路
(3)聾学校における職業教育と進路指導
(4)障害を併せ持つ生徒の進路
(5)聴覚障害者の就労上の諸問題
(6)大学進学者の支援
(7)これからの進路指導
聴覚障害教育授業論 菅原 廣一
(国立特殊教育総合研究所・名誉所員)
1.聴覚障害児教育における授業の構造化の方法を解説する。特に聴覚障害に対応した授業 方法の基本事項を具体的に提示する。
2.授業におけるコミュニケーション手段について、近年の学術的知見の紹介と活用の実際についても具体的に言及する。
3.講義は、聴覚障害児の生活変容の視点を重視しながら進める。
4.聾学校における授業方法論上の専門性と他教育領域への貢献(特別支援教育等)を考案 しながら進める。
難聴特殊学級及び通級による授業の実際 松本 裕子
(茨城県つくば市立竹園東小学校・教諭)
・難聴学級における指導の実際
・支援のための授業の取り組み
(直接的支援と間接的支援)
・情報保障
(教育補助員・字幕ボランティア・手話)
・本人たちの声と、今後の方向性
教科教育法(国語) 天神林 吉寛
(筑波大学附属聾学校・教諭)
1.教科学習に必要なことばの力を育てる。
2.国語科の読解指導を行う際の配慮について。
寄宿舎活動と援助 山根 昭治
(北海道旭川聾学校・寄宿舎指導員)
1.寄宿舎教育の歴史的変遷
2.寄宿舎生活を体験したろう者の声
3.今後、寄宿舎教育に対して求められていること

実地研修

題目等 研修先 研修内容
筑波大学附属久里浜
養護学校の指導の実際
筑波大学附属久里浜養護学校
副 校 長 馬場 信明
小学部主事 浜津 平一
幼稚部主事 意東 純子
 平成16年度より国立大学法人筑波大学付属久里浜養護学校となる。知的障害を伴う自閉症の児童の教育についての研修を行い、自閉症教育のあり方について考える機会とする。 
筑波大学附属久里浜養護学校
〒239-0841 神奈川県横須賀市野比5-1-2
聾学校における指導法 神奈川県立平塚ろう学校
教頭  高橋 義雄
教務主任  江藤 欣也
幼稚部主事 熊谷 アツミ
小学部主事 新井 利夫
中学部主事 深堀 玲子
高等部主事 小宮 孝
 聾学校において行われている教育の実践の見学と施設見学を行う。
神奈川県立平塚ろう学校
〒254-0074 神奈川県平塚市大原2-1

研究協議・自己研修

題目等 内容先
研究協議  研修員が持ち寄った実践例等をもとに、共通な課題を設定し、協議を行う予定である。
課題研究  研修員それぞれの課題の解決に向け、図書館での資料収集、他機関への訪問等、受講者が主体的に計画を立てて取り組む研修の時間である。
 全体で10コマを設定している。所外での研修を行う場合は、所定の手続きによる。
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