平成20年度第二期特別支援教育専門研修 病弱教育専修プログラム 講義等内容
病弱教育専修プログラム講義等内容
※ 日程・内容については、都合により一部変更する場合がある。
講義等題目等 | 講師氏名(所属・職名) | 講義等内容 |
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研究・研修の組織づくりと運営 (ワークショップ形式) |
西 直人 (リードクライム(株)・取締役) 研究所スタッフ |
特別支援教育を推進するに当たって求められる課題解決スキルに関して、講義や演習を通して、ファシリテーション、会議運営のノウハウを学ぶ。 *知的障害・肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
発達障害のある子どもの理解と支援 | 藤井 茂樹 (教育相談部・総括研究員) |
LD・ADHD・高機能自閉症は障害として気づかれにくいところがあり、従って適切な対応も遅れがちになる。また、これらの子どもは周囲の人や環境との適応過程にストレスを受け易く、心理面、身体面、行動面の症状・問題を呈することも少なくない。心身症や習癖も含めた適応障害の理解と心理教育的対応について論述する。 |
不登校児の心理 | 石川 瞭子 (創造学園大学・教授) |
近年、不登校の状態像は多様化の傾向にあり、現代型ないし新しいタイプの不登校が報告されて10年以上が経過する。現代型の不登校は多様なタイプがあるため、解決の決め手や有効策がないとされている。講義では、これらの中でも特に対応が困難とされる、校内型不登校の現状を概説し、対応策の提案を行う。 |
医学の進歩と遺伝病 | 大橋 博文 (埼玉県立小児医療センター・遺伝科長) |
医学の分野としてますますその重要性が注目されている臨床遺伝学の基礎を概説する。先天異常と遺伝病、遺伝病の分類と概説、主な染色体異常症、遺伝相談と出生前診断などに関連して医療倫理についても言及する。 慢性疾患は障害としての性格をもち、病弱児には特別な援助が必要である。教育は、病状変動の認知、変動の原因の認識、生活水準での対処、そしてそれらを支える受容にとって、重要な役割を担う。ここでは、子どもの行動と援助に関して具体例をあげて論述する。 |
緩和ケア | 松島 たつ子 (ピースハウス病院ホスピス教育研究所・所長) |
死という最大の喪失、その悲しみを癒すことができるのか。講義ではホスピス緩和ケアの考え方と日本の現状を説明した後、ホスピスの入院相談から入院中の療養生活、死別後のケアまで、独立型ホスピスにおけるケアの実際を紹介し、終末期ケアについて論述する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
障害の重い子どもの理解と教育支援 | 吉川 一義 (金沢大学・教授) |
特別支援学校に在籍する子どもの障害が重度・重複化している現状を踏まえ、いわゆる障害の重い子どもをどう理解し、どのような教育支援を行うべきなのか、具体的事例を交えて論述する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
小児ガンにおけるトータルケアの在り方 | 細谷 亮太 (聖路加国際病院・副院長) |
小児がんの中でもっとも高頻度に発生する白血病の子どもたちのトータルケアとはなにかを概説する。 続いて、病気の説明の仕方(病名告知)、子どもたちのQOL、ターミナルケア、そして亡くなった子どもの家族へのケアなどについて言及する。 (*所外研修として、聖路加国際病院にて行う。) |
医教の連携と協働(1) -子どもが育つ共同体としての病院、アートとは言わないアートな共同体を目指して- |
山口 悦子 (大阪市立大学大学院・病院講師) 飯田 紀子 ((財)児童育成協会こどもの城造形事業部・アーティスト) |
病院も子どもが育つ地域とみることで、院内学級が単なる病気の子どもの教育の保障の場というだけでなく、医療や病院で働く様々な職種との出会いから教育に新たな可能性を見いだすことができる。大阪市立大学付属病院の試みを通して、特別支援教育に必要な視点である「地域づくり」の本質について論述する。
*肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
重度・重複障害のある子どもへのAAC活用 | 金森 克浩 (教育研修情報部・総括研究員) 小松 敬典 (東京都立光明特別支援学校・教諭) |
重度・重複障害のある子どもへの指導におけるコミュニケーション支援に関わる基本的な考え方、支援機器やスイッチトイなどの活用について、実践事例を紹介しながら、その活用方法について論述する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
医教の連携と協働(2) -高次脳機能障害を中心に小児のリハビリについて- |
栗原 まな (神奈川リハビリテーション病院・小児科総括部長) |
脳炎脳症や交通事故等の後遺症として起こる高次脳機能障害は、子どもの場合、治癒過程と成長発達に修飾され、変化する多彩な障害像を呈し、既存の障害種を超える対応が求められる。子どもの高次脳機能障害の医療の実際を概説し、その教育的対応について言及する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
教育課程の編成 -特別支援学級等を含む- |
山本 昌邦 (帝京平成大学・教授) |
特別支援学校における教育課程の基準である「(盲学校、聾学校及び養護学校)小学部・中学部学習指導要領」の規定のうち、総則及び自立活動を中心に取り上げ、教育課程の編成・実施の要点及び今後の課題等について概説する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
障害のある人と福祉 | 日浦 美智江 (社会福祉法人訪問の家・理事長) |
重度の知的障害と肢体不自由を併せ持つ人たちへの地域ケアの実態を通して、重度・重複障害のある人たちの地域生活や仕事、QOL、自己決定など現在の障害福祉の課題となっている事柄をどのように考えるか、また、彼らの社会への完全参加と平等を実現するための支援はどうあればいいのか、支援者の姿勢はどうあればいいのかを共に考える。さらに、そうした社会参加を目指して学校教育は何を、どのように提供すべきかについても言及する。。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
教育課程編成の在り方と実際(1) -特別支援学校(肢体不自由)- |
重光 豊 (京都市立呉竹総合支援学校・校長) |
学校の概要を紹介するとともに、教育課程編成上の課題や指導上の工夫等について言及する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
教育課程編成の在り方と実際(2) -特別支援学校(病弱)- |
川戸 明子 (大阪府立羽曳野支援学校・校長) |
心身症や不登校、慢性疾患、悪性新生物疾患などの児童生徒の教育的ニーズに合わせた教育課程編成や指導法の工夫等について言及する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
関係性の障害とその対応 | 植木田 潤 (教育相談部・研究員) |
子どもの情緒発達は、現実の人間関係である「対人関係」と、各人の心的な世界で展開される人間関係である「対象関係」という二つの「関係性」の中で育まれていく。障害や疾病のある子どもが陥る二次障害の背景には、しばしばこうした関係性の障害が認められることがあり、ここでは、その力動について概説するとともに、その対応について事例を通して論述する。 |
特別支援学校におけるセンター的機能 | 中田 正敏 (神奈川県立田奈高等学校・校長) |
特別支援教育を推進していく上で、特別支援学校のセンター的機能は大変重要である。本講義では、特別支援学校におけるセンター的機能の意義や在り方について実践を交えて概説する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
教科指導の在り方と実際(1) | 宍戸 秀明 (仙台市立第二中学校東北大学病院分校・教諭) |
文部科学省刊行の「病弱教育の手引-教科指導編-」を基に、病弱教育における実技を伴う教科指導について、指導上の課題を明らかにしながら指導上の留意事項について概説する。さらに、具体的な教材を示し、音楽科の指導の実際に言及する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
教科指導の在り方と実際(2) | 松原 豊 (筑波大学附属桐が丘特別支援学校・教諭) |
肢体不自由のある子どもの体育指導における課題を明らかにし、筑波大学附属桐が丘特別支援学校における取組の実際について論述する。Adapted Physical Activityの理念に基づいた体育の目標、内容、方法、評価、安全に関する配慮、評価などについて言及する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
アレルギー疾患の医療と学校保健 | 大矢 幸弘 (国立成育医療センター遺伝科・科長) |
小児のアレルギー疾患は有病率の高い慢性疾患であるが、さまざまな誤解が敷衍しており、不適切な対応や情報に振り回されて苦しむ患者・家族が絶えない。 高い水準の根拠に基づく対応によって、学校保健現場で解決できることは何か、という視点を軸に論述する。 (*所外研修として、国立成育医療センターにて行う。) |
難病の子どもと福祉 | 福島 慎吾 (難病の子ども支援全国ネットワーク事務局・事業部長) |
難病や慢性疾患のある子どもとその家族を支えるためには必要な社会資源を必要なタイミングで利用することが大切である。 難病や慢性疾患のある子どもが利用可能な社会保障・福祉制度などの社会資源を概観し、肢体不自由児の一例を通して保護者の立場から専門職に対して望むことにも言及する。 |
(講義・演習) 病気のある子どもへの自己管理支援 |
武田 鉄郎 (和歌山大学・教授) |
病弱のある子どもの自己管理を支援していくために、健康の概念、セルフケアについての概念を明確にし、自己管理能力を高めるための支援の仕方を概説する。 その中で、ストレス対処過程でのソーシャルサポートや対処行動、又は自己効力感の効用について言及する。 |
移行・就労支援の在り方 | 春名 由一郎 ((独)高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センター・上席研究員) |
進路指導及び移行支援は、障害の重度・重複化、多様化により課題が山積している。本講義では、進路指導及び移行支援に関する東京都における取組を紹介し、校内支援体制の在り方、地域との連携、多職種との協働、保護者への支援などについて言及する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
「総合的な学習の時間」の在り方と指導 | 川間 健之介 (筑波大学大学院・准教授) |
各学校で取り組まれている「総合的な学習の時間」の実践に関して、様々な課題が指摘されている。ここでは、特別支援学校(肢体不自由)における取組を中心に、学習のねらい、方法、内容、評価について検討すると同時に教科や自立活動との関連について概説する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
(演習) 障害の理解 -動きをとおして考える- |
長沼 俊夫 (教育支援部・総括研究員) 林 菊盛 (千葉県立つくし特別支援学校・教頭) 滝川 国芳 (教育研修情報部・総括研究員) 徳永 亜希雄 (教育支援部・主任研究員) |
「ボッチャー」「車いす」「運動障害の疑似体験」の体験をとおして、障害のある子どもの視点から、適切な指導や必要な支援の方法について検討を行う。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
病弱教育の歴史 | 滝川 国芳 (教育研修情報部・総括研究員) |
我国の病弱教育対象児童生徒の病気の種類の変遷について社会的背景及び学校衛生と併せて概説し、特別支援教育における病弱の子どもの教育の在り方を考える基盤を培う。
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子どもの心理発達と課題 | 島 治伸 (徳島文理大学・教授) |
人間の発達を個人とその環境との相互関係だけでなく、社会文化的、歴史的な文脈との相互関係の中で捉え、母子関係、発達課題、発達的危機、そしてアイデンティティーの概念を中心に発達理論を概説する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
児童虐待 | 岡本 正子 (大阪教育大学・教授) |
全国の児童養護施設では、約3万人の子どもたちが虐待を理由に入所し、近隣の小中高等学校に通学している。虐待は、学校現場で発見される場合もあり、教員といえども、基礎的な知識が必要である。この講義では、日本における児童虐待の現状と教員としての対応の仕方を中心に論述する。 |
病弱教育の現状と課題 | 丹羽 登 (文部科学省初等中等教育局特別支援教育課・特別支援教育調査官) |
我が国の病弱教育の現状について、①20世紀の病弱教育、②病気の種類の変遷、③病弱教育の意義、④これからの病弱教育について分析し、21世紀の病弱教育の在り方について論述する。 併せて病弱教育の充実のための課題と具体的展開の方策について言及する。 |
(講義・演習) 病気のある子どもの見方 |
村上 由則 (宮城教育大学・教授) |
慢性疾患は障害としての性格をもち、病弱児には特別な援助が必要である。教育は、病状変動の認知、変動の原因の認識、生活水準での対処、そしてそれらを支える受容にとって、重要な役割を担う。ここでは、子どもの行動と援助に関して具体例をあげて概説する。 |
病気のある子どもの自立活動の実際 | 平賀 健太郎 (大阪教育大学・講師) 西牧 辰典 (福島県立須賀川養護学校・教諭) |
障害観の変化、自立観の変化について述べると共に、養護・訓練から自立活動に学習指導要領が改訂された経緯、ポイントを述べ、病気の多様化・重症化に対応していくための自立活動の授業や評価について概説する。 また、自立活動の授業を進めていく際に、行き詰まりという観点から自立活動に関して課題整理・解決方法を提案する。指導の実際として、慢性疾患の自立活動の実際、心身症等の自立活動の実際について講義し、よりよい自立活動の在り方について協議を行う。 |
学習のつまずきの実態把握とその指導 | 海津 亜希子 (発達障害教育情報センター・研究員) |
学習のつまずきに対してアプローチするには、どういう領域や課題においてつまずきを示すのか、つまずき方に特徴がみられるかなど、詳細な実態把握が不可欠になる。ここでは、その実態把握の際の視点と方法、さらには指導方法について、事例を交えながら概説する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
子どもの発達と課題 | 西牧 謙吾 (教育支援部・上席総括研究員) |
人は、幸せになる為に様々な技術(医学)、制度(保健・福祉・教育・医療)を発達させてきた。この講義では、病気の成り立ちについて概説し、病気があっても幸せに生きるための条件を日々の仕事の中で問い直すことで、どうすれば明日への仕事のモチベーションを高めることができるか、ともに考える。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
神経・筋疾患の医療と学校保健 | 石川 悠加 (国立病院機構八雲病院・小児科医長) |
筋ジストロフィーという疾患を通じて、呼吸すること、食べることの意味を考え、病気の子どもにとって、教育の意義を医師の立場から言及する。また、筋ジスという病気と折り合いをつけ、自分らしい生き方をするとはどういうことかをともに考える。 |
病気のある子どもへの心理的支援 | 篁 倫子 (お茶の水女子大学・教授) |
病気に罹り、病気と共に生き、あるいは死に直面する時、子どもはどのような心理的過程をとおるのか。それに対してトータルケアにおける教育の役割とは、教師がなす心理的援助とは何かに言及する。 |
○実地研修
題 目 等 | 研 修 先 | 研修内容 |
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医療施設での取組の実際① |
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白血病の子どもたちの医学、看護、心理、教育等からのトータルケアの実際を研修し、その実態を把握すると共に、白血病、腫瘍などの小児がんに羅患した子どものターミナルケア、トータルケアの在り方について考える機会とする。
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医療施設での取組の実際② | 東京都立光明特別支援学校そよ風分教室 (国立成育医療センター内) |
国立成育医療センターは,我が国の小児の高度専門医療センターとして位置づけられている。難病患者への高度先駆的医療の実際と小児救急医療、周産期医療を含めた成育医療全般について,病院視察を行う。また,センター内の院内学級の授業参観を通して,児童生徒の学習環境の一考としたい。
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○課題研究
講義題目等 | 内容等 |
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課題研究 | 研修員それぞれの課題の解決に向け、図書館での資料収集等、研修員が主体的に計画 を立てて取り組む研修の時間である。全体で9コマを設定している。所外での研修を行う場合は、所定の手続きによる。 |