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平成20年度第二期特別支援教育専門研修 重点選択プログラム 講義等内容

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平成20年度 第二期 特別支援教育専門研修 重点選択プログラム 講義等内容

※都合により一部変更する場合がある。

①知的発達の遅れを伴う自閉症

講義等題目等 講師氏名(所属・職名) 講義等内容
自閉症教育における現状と課題 木村 宣孝
 (教育支援部・総括研究員)
  自閉症教育をめぐる課題を整理するとともに、国立特別支援教育総合研究所の研究成果に基づいて今後の自閉症教育の在り方について論述する。
自閉症教育における教育課程 井上 昌士
 (教育支援部・総括研究員)
小川 達夫
 (東京都立青鳥特別支援学校久我山分校・主幹教諭)
中村 大介
 (東京都立青鳥特別支援学校久我山分校・教諭)
濱島 隆幸
 (東京都立青鳥特別支援学校久我山分校・教諭)
山本 圭一
 (北海道教育大学附属特別支援学校・教務主任)
 自閉症の特性に応じた教育課程に関して、特別支援学校の実践を紹介しつつ、自立活動や領域・教科を合わせた指導等の指導上の工夫及び自閉症の特性を踏まえた指導内容等について論述する。
キーポイントと授業改善 齊藤 宇開
 (発達障がいのある人と共に生きる保護者と専門家の集い・代表)
 自閉症教育の7つのキーポイントを中心に、教育内容、教育方法、教育環境について、プロジェクト研究の研究成果を中心に概説する。「自閉症教育の授業改善の実際」における「授業評価・改善シート」について解説する。
(演習・協議)
自閉症教育における授業改善の実際
【筑波大学附属久里浜特別支援学校における授業参観と担当教員との協議】
井上 昌士
 (教育支援部・総括研究員)
小澤 至賢
 (教育支援部・主任研究員)
木村 宣孝
 (教育支援部・総括研究員)
菊地 一文
 (教育支援部・主任研究員)
柳澤 亜希子
 (企画部・研究員)
筑波大学附属久里浜特別支援学校
4グループに分かれて、各教室の在籍児童の実態、日課、授業のねらい等について教室担当教員から説明を受け、個別の課題学習、集団での学習などを見学し、授業記録をとる。
「授業評価・改善シート」を活用し、授業の記録に基づいて授業実践を振り返り、指導内容、教材・教具、指導方法、環境整備、かかわり等の視点から協議を行う。
(演習・協議)
自閉症教育における授業改善のまとめ
井上 昌士
 (教育支援部・総括研究員)
小澤 至賢
 (教育支援部・主任研究員)
木村 宣孝
 (教育支援部・総括研究員)
菊地 一文
 (教育支援部・主任研究員)
柳澤 亜希子
 (企画部・研究員)
実践演習から得られた知見のポイントをグループごとに協議し、全体で共有化する。

②重複障害

講義等題目等 講師氏名(所属・職名) 講義等内容
訪問教育の現状と指導の実際 大崎 博史
 (教育研修情報部・主任研究員)
長  正晴
 (埼玉県立和光養護学校・教諭)
黒川 和枝
 (神奈川県立横浜南養護学校・教諭)
  訪問教育は、重複障害のある子どもや療養中の児童生徒の他、学校に通学して教育を受けることが困難な児童生徒に対して、教員が家庭や児童福祉施設、医療機関等を訪問して行う教育である。訪問教育の授業を展開するにあたっては、子どものその日の体調や訪問先の事情に大きく影響を受けることがある。また、通学生に比べて、授業場所や授業数等も限定されている。しかしながら、子ども一人ひとりにじっくりとかかわり、子どものニーズに十分対応できる教育でもある。
  この講義では、訪問教育の現状を概説し、実際に家庭訪問教育、施設訪問教育担当教員の話題提供を受け、訪問教育における指導上の工夫や配慮点等、訪問教育の現状と課題、指導の実際について協議する。
医療的ケアを必要とする子どもの教育的支援 大崎 博史
 (教育研修情報部・主任研究員)
藤田 盛久
 (三重県立特別支援学校北勢きらら学園・教諭)
北川 末幾子
 (大阪府立藤井寺支援学校・養護教諭)
 学校教育における医療的ケア実施の現状を概説するとともに、医療的ケアを必要とする子ども達を学校がどのような体制で、どのように支援しているのかについて各学校から話題提供を行う。また、教員と看護師の連携協力体制や医療的バックアップ体制、保護者の参加と協力の仕方、医療的ケアの実施による子どもへの教育的効果について検証し、医療的ケアを必要とする子どもの教育的支援の現状と課題について言及する。
(講義・演習・協議)
重複障害のある子どもの環境の把握とコミュニケーション①
 -障害の理解-
中澤 惠江
 (企画部・上席総括研究員)
齊藤 由美子
 (教育研修情報部・研究員)
星  祐子
 (筑波大学特別支援教育センター・教諭)
熊田 華恵
 (兵庫県立淡路聴覚特別支援学校・教諭)
  知的障害や運動障害に感覚障害を併せ有する子どもにかかわるとき、情報及びコミュニケーションを保障することが不可欠である。この演習では、「全盲ろう」「弱視」「難聴」の疑似体験によって、情報収集能力やコミュニケーション能力を低下させた状態が行動や思考や感情に何をもたらすかを体験し、障害状況の理解と共感を試みる。この演習によって、自らの児童生徒とのかかわり合いについて見つめ直すきっかけを提供すると共に、感覚障害を併せ有する重複障害のある子どもへの配慮について学ぶことを目的としている。
(講義・演習・協議)
重複障害のある子どもの環境の把握とコミュニケーション②
 -アセスメントから実践へ-
齊藤 由美子
 (教育研修情報部・研究員)
  この講義では、実態把握の難しいコミュニケーションの困難な重複障害のある子どもに対して、視覚による環境把握の初期的な力、受信・発信方法、人とのやりとりの力についてのアセスメントについて概説する。これらのアセスメントは、重複障害のある場合に見落とされがちな子どもの持つ力への気づきを促すことを目指している。さらにアセスメントの結果をどのように実践へと展開するかについて、実例を挙げて言及する。
(講義・演習・協議)
重複障害のある子どもの環境の把握とコミュニケーション③
 -コミュニケーションを促すわかりやすい環境づくり-
齊藤 由美子
 (教育研修情報部・研究員)
堀川 順子
 (奈良県立奈良養護学校整肢園分校・教諭)
  重度の知的障害を併せ有する重複障害のある子どもとのコミュニケーションを考える際、その子どもとって「なに」「どこ」「だれ」が把握しやすいような環境を整えることは重要である。子どもの実態把握から行う環境設定の配慮、コミュニケーションが生じやすくなる物理的・人的環境や状況の文脈づくりについて、学校や生活場面で行う具体的な配慮や工夫について、実践例を通して論述するとともに、演習を行う。

〇実地研修
(希望により、1箇所を選択。希望数によっては調整する場合がある。)

題  目  等 研  修  先 研修内容
重複障害者の一生涯を通した支援の在り方と実際
  1. 社会福祉法人横浜共生会
     「どんとこい・みなみ」(地域活動ホーム)
  2. 社会福祉法人みなと舎
     「ゆう」(知的障害者更生施設)
  3. 社会福祉法人訪問の家
     「朋」(知的障害者更生施設)
  重複障害のある方の一生涯を通した支援を実施している福祉施設での実際の活動の様子を知り、受講者もその活動に一緒に参加し、活動後に一日の振り返りと協議を行うことによって、あらためて障害のある方々への学校教育の在り方について見つめ直すことを目的としている。
  1. 「どんとこい・みなみ」は、生活支援やデイサービス、余暇活動支援、みなみっこルーム等のサービスを実施している地域活動ホームで、一人ひとりのメンバーが自分で選び、自分で決めるための支援を組織的に実施しているところでもある。
    〒232-0033 横浜市南中村町4-270-3
  2. 「ゆう」は、重度・重複障害のある人を対象とした知的障害者更生施設である。学校卒業後の日中の活動の場として地域での生活を支えている。メンバー一人ひとりに対応した支援等のユニークな取組も実施している。
    〒234-0104 横須賀市芦名2-8-17
  3. 「朋」は、メンバーそれぞれの個性を生かし、人との出会いを広げながら社会人として地域の中で暮らしていくことを目指している知的障害者更生施設であり、学校卒業後の方々の活動の場でもある。
    〒247-0034 横浜市栄区桂台中4-7

③情報手段活用

講義等題目等 講師氏名(所属・職名) 講義等内容
(講義・演習)
アシスティブ・テクノロジーの導入と評価
棟方 哲弥
 (企画部・総括研究員)
  WATIのアセスメントツールを用いたアシスティブ・テクノロジーの導入方法並びに国際生活機能分類(ICF)を用いた評価手法について概説し演習を行う。
(実習)
情報関連支援機器及びアクセシビリティ
金森 克浩
 (教育研修情報部・総括研究員)
太田 容次
 (発達障害教育情報センター・主任研究員)
  情報関連支援機器の基本操作、設定、メンテナンス方法について、実際に支援機器を操作して実習を行う。
情報手段活用を推進するための施策 丹羽  登
 (文部科学省初等中等教育局特別支援教育課・特別支援教育調査官)
  特別支援教育における情報機器利用の位置づけとその課題について論述する。
  1. 学習指導要領における情報教育
  2. 情報化対応事業の概要
  3. 特別支援教育における情報手段の活用 (ICT)の実際とその意義
  4. 特別支援教育における情報手段の活用 (ICT)と今後の課題 
知的障害教育における情報手段の活用 太田 容次
 (発達障害教育情報センター・主任研究員)
  知的障害教育における情報手段による支援について、その障害特性と支援方法について概説する。認知・記憶・学習支援、社会参加に向けての指導等の観点から考察する。なお、知的障害者のネットワーク活用について言及する。
発達障害教育における情報手段の活用 西谷  淳
 (滋賀県甲賀市教育研究所・課長補佐)
  発達障害教育における情報手段による支援について、その障害特性と支援方法について論述する。
個別の指導計画と情報手段の活用 西谷  淳
 (滋賀県甲賀市教育委員会学校教育課特別支援教育室・指導主事)
  特別支援教育推進体制モデル事業にかかる指定地域の実例と個別の指導計画について紹介し、その運営における情報ネットワークの活用について論述する。
(講義・実習)
肢体不自由教育における情報手段の活用
外山 世志之
 (東京都立光明特別支援学校・教諭)
金森 克浩
 (教育研修情報部・総括研究員)
太田 容次
 (発達障害教育情報センター・主任研究員)
  肢体不自由教育における様々な支援機器を紹介し、また重度重複障害教育で活用されるスイッチトイを中心に様々な実践例について紹介する。スイッチトイの製作演習を行う。
自閉症教育における情報手段の活用 小山 浩平
 (筑波大学附属久里浜特別支援学校・教諭)
  筑波大学附属久里浜特別支援学校における、自閉症教育における情報手段を活用した支援の実際について具体的に紹介し、活用方法について論述する。
病弱教育における情報手段の活用 滝川 国芳
 (教育研修情報部・総括研究員)
  病弱教育における情報手段による支援について、その障害特性と支援方法について論じる。補充指導、ネットワークによる社会参加を中心に、その現状と問題点、今後の方向性について論述する。
アシスティブ・テクノロジーの活用 畠山 卓朗
 (早稲田大学人間科学学術院・教授)
  コミュニケーションエイドについてその歴史と背景、理論と実践について論述する。
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