平成21年度第一期特別支援教育専門研修 講義等内容(共通講義)
知的障害・肢体不自由・病弱教育コース共通講義等
※ 日程・内容については、都合により一部変更する場合がある。
講義等題目等 | 講師氏名(所属・職名) | 講義等内容 |
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所内見学 | 総務部研修情報課 研修係 | 研究所内の関係施設を実際に案内し、研修生活上の説明を行う。 |
図書室利用案内 | 総務部研修情報課 情報サービス係 | 研究所図書室の利用方法について、実際に閲覧室、書庫を案内しつつ、説明を行う。 |
コンピュータ端末の利用実習 | 総務部研修情報課 情報管理係 | 研究所固有のコンピュータ端末の利用について説明会を行い、実際に操作することにより、スムーズな端末利用を行えるよう実習する。 |
教育の質とは何か (理事長講話) | 小田 豊 (国立特別支援教育総合研究所・理事長) | 障害のある幼児児童生徒一人ひとりのニーズに応じた教育や支援を行う特別支援教育の理念は、教育の原点である。特別支援教育の推進と充実に向けて教育の原点を担う特別支援教育に携わる教員に求められる資質とは何か、また、特別なニーズのある子ども達にとって良質な教育とは何かについて改めて問い直す。 |
特別支援教育行政の現状と課題 | 斎藤 尚樹 (文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課・課長) | 障害のある子どもの教育の質を高めながら進めていくためには、その教育を支える高邁な理念と実行可能な計画が必要である。本講義では、現在の特別支援教育の理念の成り立ちと、その理念を実現するために行われている施策についての最新の動向と今後の展望について言及する。 |
知的障害教育論 | 井上 昌士 (教育支援部・総括研究員) | 知的障害教育においては、特別支援学校(知的障害)の児童生徒の障害の多様化に伴ない、個々の障害の状態や学習上の特性等を考慮した教育課程の編成及び指導の充実が重要な課題となっている。本講義では、知的障害教育における教育的対応の基本及び教育課程の編成、各教科等の指導の工夫等について概説し、職業教育や進路指導、知的発達の遅れを伴う自閉症のある児童生徒の指導の在り方等について言及する。 |
重複障害教育論 | 大崎 博史 (教育研修情報部・主任研究員) 齊藤 由美子 (教育研修情報部・研究員) | 重複障害教育は、複数の種類の障害を併せ有する児童生徒を対象とする教育(盲ろう教育を含む)である。本講義では、児童生徒の障害の多様化、重度重複化に対応した適切な教育を推進するための基礎事項について概説し、教育課程の編成と個別の指導計画、実態把握と指導方法等の観点から重複障害教育の現状と課題について言及する。 |
肢体不自由教育論 | 長沼 俊夫 (教育支援部・総括研究員) | 肢体不自由のある児童生徒は、身体の動きだけでなく認知やコミュニケーション、健康面等に課題があることが多く日常生活における多様な困難さが見受けられる。本講義では、それらの課題や心理、生理、病理の特性等について教育的な文脈で整理し、教育課程や指導内容及び方法について概説する。また、教員の専門性について考える。 |
病弱教育論 | 滝川 国芳 (教育研修情報部・総括研究員) | 病弱・身体虚弱の児童生徒の状態や生活環境等に応じた適切な教育を行うことは学習の空白や遅れを補完するだけでなく、生活を充実させ、心理的な安定を促すとともに心身の成長・発達に好ましい影響を与え、健康状態の回復・改善等を促したりすることにも有効に働くと考えられている。本講義では、病弱教育の対象となる疾患の概要、病弱教育の歴史と制度、意義、教育課程等を概説するとともに病弱教育の現状と課題、今後の在り方について考える。 |
教育と福祉・医療・労働との連携 | 藤井 茂樹 (教育相談部・総括研究員) | 児童生徒と一人ひとりの特別な教育的ニーズに応える教育を進めるためには、各学校内の協力体制を構築するだけではなく、学校外の関係機関との連携協力が不可欠である。これらの趣旨を踏まえ、教育を担う各学校との医療、福祉、労働等の関係機関との連携についてその考え方と連携の実際について解説する。 |
特別な教育的ニーズと情報機器の活用 | 金森 克浩 (教育研修情報部・総括研究員) 太田 容次 (発達障害教育情報センター・主任研究員) | 情報化が進展する中、コミュニケーションの拡大、学習の補助や余暇活動の充実、また社会参加を促進する一助として特別なニーズのある子どもの情報機器の活用への関心が高まっている。本講義では、特別な教育的ニーズのある子どもの教育における情報化と支援について概説する。また、アシスティブ・テクノロジー(支援技術)を利用したコミュニケーション支援や情報教育の実践例を紹介する。 |
特別支援教育の現状と課題①-交流及び共同学習の意義と課題- | 藤本 裕人 (企画部・総括研究員) | 障害者基本法第14条や小・中学校等の学習指導要領では、障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることが明記されている。これらの趣旨を踏まえて、各学校における交流及び共同学習の意義、教育課程上の位置づけ、実施上の配慮や工夫、実施の実際と課題等について概説する。 |
視覚障害教育論 | 田中 良広 (企画部・総括研究員) | 視覚障害のある児童生徒の教育において、心理学、生理学及び病理学に関する知見は必要不可欠である。本講義では、まず、それらの観点から視覚障害の基礎事項について概説する。また、盲教育及び弱視教育それぞれにおける教科教育における配慮事項や適切な教材作成、点字、歩行、弱視レンズの活用等といった自立活動における指導等の観点から視覚障害のある児童生徒への教育的対応について論じる。 |
情緒障害・自閉症教育論 | 廣瀬 由美子 (教育支援部・総括研究員) | 平成21年に文部科学省から出された通知文において、従前の情緒障害特別支援学 級は、「自閉症・情緒障害特別支援学級」と名称が変更している。本講義においては、小・中学校の自閉症・情緒障害特別支援学級の対象規定である選択性かん黙等の心因性の情緒障害と、発達障害である自閉症において、その障害特性や指導内容、指導方法について概説するとともに、合わせて教育課程の編成等についても述べていく。 |
聴覚障害教育論 | 原田 公人 (教育支援部・総括研究員) | 聴覚障害教育は、言語(日本語)の獲得を目的として言語指導法を追求してきた歴史がある。特別支援教育体制にあって、聴覚障害児は様々な場において適切な教育的支援が求められる。このため発達段階に応じたコミュニケーション手段の選択、早期教育・高等教育の充実、科学技術の進歩に伴う補聴システムの整備等、課題が山積している。これらを概観し、課題解決のための方途について言及する。 |
障害のある子どもの保護者支援の在り方 | 小林 倫代 (教育相談部・総括研究員) | 子どもの障害をいつ、誰が、どこで、どのように伝えていくのかという課題と、子どもの障害を聞いた保護者の心情を理解し支えつつ、子どもの教育について どのように手を携えていくことができるのかという課題について考える。 |
医療連携による教育的支援と意義 | 西牧 謙吾 (教育支援部・上席総括研究員) | 生命の保障と心身の安定は、障害のある子どもの生活の質を保障するうえで重要な課題である。従来、教育と医療の連携は、重度重複障害のある子どもに対する医療的ケアが重視されてきたが特別支援教育体制の中でその対象や位置づけが多様化している。本講義では、教育的支援の観点から教育と医療の関わりと、その教育的意義について言及する。 |
特別支援教育の現状と課題②-発達障害教育の展望と課題- | 渥美 義賢 (発達障害教育情報センター・センター長) | 発達障害者支援法では、学習障害、注意欠陥多動性障害、高機能自閉症等の発達障害のある幼児児童生徒に対して早期から適切な教育や支援を行うことが国の責務として規定されている。本講義では、発達障害のある幼児児童生徒に関わる諸問題を踏まえて、支援に当たって留意すべき事項や今後の支援体制の整備の在り方について概説する。 |
障害児(者)と人権 -生活の充実のために- | 野沢 和弘 (全日本手をつなぐ育成会・権利擁護委員長) | 障害者基本計画ではノーマライゼーションの理念を継承し、障害者の自立と社会参加の推進を図ることが明示されている。本講義では、障害のある人の権利擁護に関する基本的な考え方を踏まえ、各地で取り組まれている権利擁護システムの構築やライフステージを見通した生活環境の整備、さらには社会参加の実現に向けた特別支援教育の在り方について言及する。 |
発達障害教育論 | 笹森 洋樹 (発達障害教育情報センター・総括研究員) | 小・中学校の通常の学級では約6%の割合で特別な支援を必要とする児童生徒が在籍しており、具体的な指導法、指導体制等を充実させることは教育現場における喫緊の課題となっている。本講義では、学習障害、注意欠陥多動性障害、高機能自閉症等の発達障害について、定義と診断基準、障害特性、指導・支援の在り方、教育制度等について概説する。 |
言語障害教育論 | 松村 勘由 (教育支援部・総括研究員) | 言語障害は、発音、話のリズム、言語の発達等のことばの能力だけでなく周囲の人たちとのコミュニケーションの問題であること等の特徴がある。本講義では、通級による指導(言語障害)、特別支援学級(言語障害)が対象としている子どもへの教育を中心に、障害特性、指導方法及び指導内容、教育制度や教育課程等について概説する。 |
医学的理解 -行動障害・てんかん- | 長尾 秀夫 (愛媛大学 教育学部・教授) | てんかんは小児期に多い脳の慢性疾患である。まず、てんかんに関する理解を深めることを目指す。そして、てんかんに合併しやすい行動障害等の併存障害という視点から医学的に解説を行い、支援方法の具体例を述べる。 |
諸外国における障害のある子どもの教育 | 中澤 惠江 (企画部・上席総括研究員) 大内 進 (企画部・上席総括研究員) 滝川 国芳 (教育研修情報部・総括研究員) 横尾 俊 (教育相談部・主任研究員) 齊藤 由美子 (教育研修情報部・研究員) | 個々の子どもの持つ教育的なニーズに重点をおくインクルーシブな教育をめざす様々な施策を行う国々が増える中、わが国では、「障害者の権利条約」の署名・批准の中で障害児教育を改めて考える契機を迎えている。本講義では、先進諸国で行われている障害児教育を紹介しながら、わが国における特別支援教育の方向性について言及する。 また、障害に対する考え方の歴史的な変遷を踏まえた、今後の特別支援教育における障害の考え方についても併せて言及する。 |
〇実地研修
題目等 | 研修先 | 研修内容 |
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筑波大学附属 久里浜特別支援学校における指導の実際 | 筑波大学附属 久里浜特別支援学校 学 校 長 西川 公司 副 校 長 倉見 昇一 幼稚部主事 佐藤 圭吾 小学部主事 浜津 平一 | 実地研修は、充実した取り組みを行っている関連機関を訪問・視察することを通して、環境整備の工夫や授業及び指導・支援の在り方等に関する知見を得ることを目的とする。 発達障害のある子どもの教育の充実を図ることは、わが国の重要課題である。本研究所に隣接し連携協力関係にある筑波大学附属久里浜特別支援学校は、知的障害を伴う自閉症のある幼児児童に特化した実践を行っている。自閉症教育の中心的な役割を担っている当校での教育活動の見学を通して、自閉症をはじめとする発達障害のある子どもの教育の在り方について見識を深める機会とする。 学校の教育活動及び研究実践についての講話と各教室等の指導の状況を見学させていただく予定。 筑波大学附属久里浜特別支援学校 |
〇研究協議
講義題目等 | 内容等 |
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研 究 協 議 | 研究協議では、各自が設定した研修課題等について、共通する課題、あるいは関連する課題ごとのグループを編成し、そのグループ単位での協議を深めながら課題解決の方策を探ることを目的とする。 |