平成21年度第一期特別支援教育専門研修 病弱教育専修プログラム 講義等内容
病弱教育専修プログラム講義等内容
※ 日程・内容については、都合により一部変更する場合がある。
講義等題目等 | 講師氏名(所属・職名) | 講義等内容 |
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(講義・演習) 研究・研修の組織づくりと運営 (ワークショップとファシリテーションについて) | 清宮 普美代 ((株)ラーニングデザインセンター・代表取締役) 研究所関係スタッフ | 特別支援教育を推進するに当たって求められる課題解決の方策について論述する。講義や演習を通して、ファシリテーション、会議運営の方法を学ぶ。 *知的障害・肢体不自由・病弱教育専修プログラム 合同 |
病弱教育の歴史 | 滝川 国芳 (教育研修情報部・総括研究員) | 我国の病弱教育対象児童生徒の病気の種類の変遷について社会的背景及び学校衛生と併せて概説し、特別支援教育における病弱の子どもの教育の在り方を考える基盤を培う。 (1)病弱虚弱教育の萌芽期(2)休暇集落全盛期(3)戦後の教育制度における病弱教育の位置づけ(4)対象児童生徒の病気の種類の変遷 |
難病の子どもと福祉 | 福島 慎吾 (難病のこども支援全国ネットワーク・事業部長) | 難病や慢性疾患のある子どもとその家族を支えるためには必要な社会資源を必要なタイミングで利用することが大切である。 難病や慢性疾患のある子どもが利用可能な社会保障・福祉制度などの社会資源を概観し、肢体不自由児の一例を通して保護者の立場から専門職に対して望むことにも言及する。 |
(講義・演習) 病気のある子どもの見方 | 村上 由則 (宮城教育大学教職大学院・教授) | 慢性疾患は障害としての性格をもち、病弱児には特別な援助が必要である。教育は、病状変動の認知、変動の原因の認識、生活水準での対処、そしてそれらを支える受容にとって、重要な役割を担う。ここでは、子どもの行動と援助に関して具体例をあげて概説する。 |
特別支援学校におけるセンター的機能 | 中田 正敏 (神奈川県立田奈高等学校・校長) | 特別支援教育を推進していく上で、特別支援学校のセンター的機能は大変重要である。本講義では、特別支援学校におけるセンター的機能の意義や在り方について高等学校における実践を交えて概説する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
医教の連携と協働(1) -子どもが育つ共同体としての病院、アートとは言わないアートな共同体を目指して- | 山口 悦子 (大阪市立大学医学部附属病院・講師) 平井 祐範 (大阪市立大学医学部附属病院庶務課・施設担当係長) | 病院も子どもが育つ地域とみることで、院内学級が単なる病気の子どもの教育の保障の場というだけでなく、医療や病院で働く様々な職種との出会いから教育に新たな可能性を見いだすことができる。大阪市立大学付属病院の試みを通して、特別支援教育に必要な視点である「地域づくり」の本質について論述する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
病弱教育の現状と課題 | 丹羽 登 (文部科学省初等中等教育局 特別支援教育課・特別支援教育調査官) | 我が国の病弱教育の現状について、①20世紀の病弱教育、②病気の種類の変遷、③病弱教育の意義、④これからの病弱教育について分析し、21世紀の病弱教育の在り方について論述する。また、新学習指導要領をふまえて、病弱教育の充実のための課題と具体的展開の方策について論述する。 |
発達障害のある子どもの理解と支援 | 藤井 茂樹 (教育相談部・総括研究員) | LD・ADHD・高機能自閉症は障害として気づかれにくいところがあり、従って適切な対応も遅れがちになる。また、これらの子どもは周囲の人や環境との適応過程にストレスを受け易く、心理面、身体面、行動面の症状・問題を呈することも少なくない。心身症や習癖も含めた適応障害の理解と心理教育的対応について論述する。 |
障害の重い子どもの理解と教育支援 | 吉川 一義 (金沢大学・教授) | 特別支援学校に在籍する子どもの障害が重度・重複化している現状を踏まえ、障害の重い子どもの生活と発達のダイナミズムを如何に捉え、何を目指して教育を行うのか、を考察する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
医学の進歩と遺伝病 | 大橋 博文 (埼玉県立小児医療センター・遺伝科長) | 医学の分野としてますます重要性が注目されている臨床遺伝学の基礎を概説する。先天異常と遺伝病、遺伝病の分類と概説、主な染色体異常症、遺伝相談と出生前診断などに関連して医療倫理についても言及する。 慢性疾患は障害としての性格をもち、病弱児には特別な援助が必要である。教育は、病状変動の認知、変動の原因の認識、生活水準での対処、そしてそれらを支える受容にとって、重要な役割を担う。ここでは、子どもの行動と援助に関して具体例をあげて論述する。 |
病院にある学校の教育の実際 | 赫多 久美子 (東京都立城南特別支援学校・主任教諭) | 病院に入院することによって、病院にある学校に転入することとなる子どもとのコミュニケーションを中心に論ずる。また、ターミナル期の子どもとその家族への教育的支援について協議を行う。更に、病院にある学校として、教師自身を支えるための教師集団の在り方、組織力等についてともに考える。 |
重度・重複障害のある子どもへのAAC活用-理論編- | 金森 克浩 (教育研修情報部・総括研究員) 小松 敬典 (東京都立光明特別支援学校・教諭) | 重度・重複障害のある子どもへの指導におけるコミュニケーション支援に関わる基本的な考え方、支援機器やスイッチトイなどの活用について、実践事例を紹介しながら、その活用方法について論述する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
(演習) 障害の理解 -動きを通して考える- | 林 菊盛 (千葉県立 つくし特別支援学校・教頭) 長沼 俊夫 (教育支援部・総括研究員) 滝川 国芳 (教育研修情報部・総括研究員) 徳永 亜希雄 (教育支援部・主任研究員) | 「ボッチャー」「車いす」「運動障害の疑似体験」の体験をとおして、障害のある子どもの視点から、適切な指導や必要な支援の方法について検討を行う。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
小児がんにおけるトータルケアの在り方 | 細谷 亮太 (聖路加国際病院・副院長) | 小児がんの中でもっとも高頻度に発生する白血病の子どもたちのトータルケアとはなにかを概説する。 続いて、病気の説明の仕方(病名告知)、子どもたちのQOL、ターミナルケア、そして亡くなった子どもの家族へのケアなどについて言及する。 (*所外研修として、聖路加国際病院にて行う) |
障害のある人と福祉 | 日浦 美智江 (社会福祉法人訪問の家・理事長) | 重度の知的障害と肢体不自由を併せ持つ人たちへの地域ケアの実態を通して、重度・重複障害のある人たちの地域生活や仕事、QOL、自己決定など現在の障害福祉の課題となっている事柄をどのように考えるか、また、彼らの社会への完全参加と平等を実現するための支援はどうあればいいのか、支援者の姿勢はどうあればいいのかを共に考える。さらに、そうした社会参加を目指して学校教育は何を、どのように提供すべきかについても言及する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
難病を生きる -当事者の視点から- | 河原 仁志 (国立病院機構八雲病院・小児科医長) 竹田 保 (NPO法人ホップ障害者地 域生活支援センター・代表理事) | 竹田氏は、筋ジストロフィーの当事者であり、NPO法人の代表理事でもある。また、河原氏は、長年筋ジストロフィー医療に携わってきた医師である。難病である筋ジストロフィーでありながらも、ひとりひとりが自立した生き方をするために必要な視点をそれぞれの立場から論ずる。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
緩和ケア | 小澤 美和 (聖路加国際病院・小児科副医長) | 近年、小児科領域でも緩和ケアという概念がでてきた。これは、がん末期のターミナル期のケアという捉えではなく、子どもが発病した早期から、QOLの向上を目指したトータルなケアの在り方というものである。緩和ケアを必要とする子どもの対象は、白血病のように発病早期に死に直面する病気から、筋ジスのように進行性の長期にわたる病気まで多種多様である。ここでは、緩和ケアの概念について述べ、教育の在り方について考える。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
教育課程の編成 -特別支援学級等を含む- | 山本 昌邦 (横浜国立大学・名誉教授) | 特別支援学校における教育課程の基準である「学習指導要領」の規定のうち、総則及び自立活動を中心に取り上げ、教育課程の編成・実施の要点及び今後の課題等について概説する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
子どもの心理発達と課題 | 島 治伸 (徳島文理大学・教授) | 人間の発達を個人とその環境との相互関係だけでなく、社会文化的、歴史的な文脈との相互関係の中で捉え、母子関係、発達課題、発達的危機、そしてアイデンティティーの概念を中心に発達理論を概説する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
障害者をめぐる社会保障制度 -病弱教育の視点から- | 中島 隆信 (慶應義塾大学・教授) | 特別支援教育を語る上で、今まで避けてきた課題が経済学の視点である。障害児の自立には、消費者の視点が不可欠であること、日本の障害者に対する社会保障制度に欠けていることを中心に病弱教育の視点から論述する。そして、明日の特別支援教育考える新しい視点を提供する一助としたい。 |
教育課程の在り方と実際 | 千田 光久 (岩手県立盛岡視覚支援学校・校長) 松井 通記 (愛知県立大府養護学校・校長) | 特別支援学校(病弱)では、心身症、慢性疾患、悪性新生物疾患、筋ジストロフィーなどの神経系疾患などの多様な病気の児童生徒が在籍している。これらの児童生徒の教育的ニーズに合わせた教育課程編成や指導法の工夫等について論じる。 |
小児期における精神疾患の医療と学校保健 | 新井 卓 (神奈川県立 こども医療センター・児童思春期精神科長) | 近年、特別支援学校(病弱)には、発達障害の2次障害を含む精神疾患の診断名をもつ児童生徒が増加傾向にある。また、児童精神科外来には、不登校をともなう精神疾患のある児童生徒が多く来院し、教育との連携が不可欠となっている。そこで、児童精神科外来や入院治療を受けている子どもの現状を医療の立場から述べ、教育との連携を考えることとする。 (*所外研修として、神奈川県立こども医療センターにて行う) |
移行・就労支援の在り方 | 春名 由一郎 (高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター・上席研究員) | 移行及び就労支援は、障害の重度・重複化、多様化により課題が山積している。本講義では、これまでの移行・就労支援についての研究の蓄積を踏まえ、スムーズな移行・就労支援のための情報伝達の在り方や難病のある人への支援の取組等を紹介し、今後の在り方について論述する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
(講義・演習) 病気のある子どもへの自己管理支援 | 武田 鉄郎 (和歌山大学・教授) | 病弱のある子どもの自己管理を支援していくために、健康の概念、セルフケアについての概念を明確にし、自己管理能力を高めるための支援の仕方を概説する。 その中で、ストレス対処過程でのソーシャルサポートや対処行動、又は自己効力感の効用について言及する。 |
ICTを活用した特別支援学校(病弱)の活性化 | 西牧 辰典 (福島県立須賀川養護学校・教諭) | 特別支援学校(病弱)は,本校のほかに分校や分教室が設置されていることが多い。そのため各校が広域にわたり点在しており,学校として一体化した教育活動を進めていく上で,さまざまな制約を受けることになる。福島県立須賀川養護学校におけるICTを活用した教育の試みについて紹介し、特別支援学校(病弱)さらには病弱教育全体の活性化について、協議を行う。 |
医教の連携と協働(2) -高次脳機能障害を中心に、小児のリハビリについて- | 栗原 まな (神奈川県総合リハビリテーションセンター・小児科部長) | 脳炎脳症や交通事故等の後遺症として起こる高次脳機能障害は、子どもの場合、治癒過程と成長発達に修飾され、変化する多彩な障害像を呈し、既存の障害種を超える対応が求められる。子どもの高次脳機能障害の医療の実際を概説し、その教育的対応について言及する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
児童虐待 | 岡本 正子 (大阪教育大学・教授) | 全国の児童養護施設では、約3万人の子どもたちが虐待を理由に入所し、近隣の小中高等学校に通学している。虐待は、学校現場で発見される場合もあり、教員といえども、基礎的な知識が必要である。この講義では、日本における児童虐待の現状と教員としての対応の仕方を中心に論述する。 |
子どもの発達と課題 | 西牧 謙吾 (教育支援部・上席総括研究員) | 人は、幸せになる為に様々な技術(医学)、制度(保健・福祉・教育・医療)を発達させてきた。この講義では、病気の成り立ちについて概説し、病気があっても幸せに生きるための条件を日々の仕事の中で問い直すことで、どうすれば明日への仕事のモチベーションを高めることができるか、ともに考える。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
病気のある子どもへの心理的支援 | 篁 倫子 (お茶の水女子大学大学院・教授) | 病気に罹り、病気と共に生き、あるいは死に直面する時、子どもはどのような心理的過程をとおるのか。それに対してトータルケアにおける教育の役割とは、教師がなす心理的援助とは何かに言及する。 |
神経・筋疾患の医療と学校保健 | 夛田羅 勝義 (独立行政法人国立病院機構 徳島病院・副院長) | 筋ジストロフィーという疾患を通じて、呼吸すること、食べることの意味を考え、病気の子どもにとって、教育の意義を医師の立場から言及する。また、筋ジスという病気と折り合いをつけ、自分らしい生き方をするとはどういうことかをともに考える。 |
病弱教育における教科指導の在り方と実際 | 宍戸 秀明 (仙台市立吉成中学校・教諭) | 文部科学省刊行の「病弱教育の手引き-教科指導編-」を基に、病弱教育における実技を伴う教科指導について、指導上の課題を明らかにしながら指導上の留意事項について概説する。さらに、具体的な教材を示し、音楽科の指導の実際に言及する。 |
学習のつまずきの実態把握とその指導 | 海津 亜希子 (発達障害教育情報センター・主任研究員) | 学習のつまずきに対してアプローチするには、どういう領域や課題においてつまずきを示すのか、つまずき方に特徴がみられるかなど、詳細な実態把握が不可欠になる。ここでは、その実態把握の際の視点と方法、さらには指導方法について、事例を交えながら概説する。 *肢体不自由・病弱教育専修プログラム合同 |
不登校児の心理 | 石川 瞭子 (創造学園大学・教授) | 不登校の心理ー近年の不登校は発達問題と生活問題と教育問題が複雑に交差して解決の構図が大変に分かりづらくなっている。特に近年注目されている発達障害は生活問題と絡み合って複雑な教育問題を形成していることがよく観察される。複雑な問題を背景に発生する不登校の児童生徒にどのように接したらよいだろうか。共通の解決策はない。個別化して関係者が知恵を結集して何とか活路を見出すことでしか方法はない。だからこそ早期発見・早期解決が求められる。講義では研修員が抱える事例をもとにケース検討をすることで解決の糸口を学習していきたい。 |
(講義・協議) 病気のある子どもの自立活動の実際 | 平賀 健太郎 (大阪教育大学・講師) 甲田 隆 (青森県立青森若葉養護学校・教諭) | 特別支援教育を行う際には、自立活動の視点が極めて重要となる。そこで病気のある子どもの自立活動に関して課題整理・解決方法を提案する。指導の実際として、慢性疾患の自立活動の実際、心身症等の自立活動の実際について講義し、よりよい自立活動の在り方について協議を行う。 |
○実地研修
題 目 等 | 研 修 先 | 研修内容 |
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医療施設での取組の実際① |
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白血病の子どもたちの医学、看護、心理、教育等からのトータルケアの実際を研修し、その実態を把握すると共に、白血病、腫瘍などの小児がんに羅患した子どものターミナルケア、トータルケアの在り方について考える機会とする。
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医療施設での取組の実際② | 神奈川県立横浜南養護学校 | 精神疾患・慢性疾患・悪性新生物・重度重複障害の子どもたちの医学、看護、心理、教育等からのトータルケアの実際を研修し、その実態を把握する。またそれらの子どもへのトータルケアの在り方について考える機会とする。
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○課題研究
講義題目等 | 内容等 |
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課題研究 | 研修員それぞれの課題の解決に向け、図書館での資料収集等、研修員が主体的に計画を立てて取り組む研修の時間である。全体で7コマを設定している。所外での研修を行う場合は、所定の手続きによる。 |