平成22年度第一期特別支援教育専門研修 聴覚障害教育専修プログラム講義等内容
聴覚障害教育専修プログラム講義等内容
※都合により一部変更する場合がある。
講義等題目 | 講師氏名(所属・職名) | 講義等内容 |
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聴覚障害児の言語獲得過程 | 原田 公人 (教育支援部・総括研究員) | 言語発達の視点から、言語獲得に関する知見を説明し、聴覚障害児における言語獲得の諸相を概説する。 |
聴覚の活用とコミュニケーション | 廣田 栄子 (筑波大学大学院・教授) | 聴覚障害児への指導を行う際に留意したい事項を聴覚的支援や情報補償、心理的な側面から解説する。 |
耳科学的疾病と教育 | 寺崎 雅子 (小田原市立病院・耳鼻咽喉科部長) | 耳鼻咽喉科疾患は解剖学的に他科との境界が多いため、患者の訴えが耳鼻咽喉科領域にとどまらない事がある。生理学的にも成長期の子どもと大人とで、対応が大きく異なる事もある。しばしば遭遇する疾患について解説する。 |
特別支援学校(聴覚障害)経営の現状と課題 | 細田 和久 (福島県立聾学校平分校・教諭) | 特別支援学校(聴覚)における授業実践、学部経営、校内連携の現状について説明し、特別支援学校(聴覚)のリーダーに求められる資質について言及する。 |
聴覚リハビリテーション(補聴器・人工内耳) | 原田 公人 (教育支援部・総括研究員) | 聴覚障害児の聴覚の活用を、補聴器から人工内耳までを見据えて解説する。特に、聴覚障害児(者)の聴覚認知と活用に伴う聴能の形成及び教育に焦点を当て解説する。 |
聴覚障害乳幼児の心理と両親援助 | 南村 洋子 (東京都立大塚ろう学校・ | 新生児聴覚スクリーニング検査の実施についての私見と共に、乳・幼児期の子どもと母親に対する援助について、教育実践例等に基づき解説する。 |
発音指導法 | 板橋 安人 (筑波大学附属聴覚特別支援学校・教諭) | 聴覚障害特別支援学校に在学する聴覚障害児の「発音・発語」学習の基本的な考え方と指導技術を実践的な観点で講ずる。 1.「発音・発語」学習の意義 2.日本語音声の検討 3.聴覚障害児の発音の特徴 4.「発音・発語」学習の実際 5.指導のための発音技法の評価法 6.発話の明瞭性と、それに影響を及ぼす要因 |
聴覚障害教育授業論 | 宍戸 和成 (筑波大学附属久里浜特別支援学校・校長) | 聴覚障害児に対する授業の考え方、授業の進め方、授業評価について概説する。また、聴覚障害児に対する配慮事項について説明する。 |
聴覚障害特別支援学校・特別支援学級等の 教育課程 | 大西 孝志 (文部科学省初等中等教育局 | 教育課程の基準である学習指導要領に基づいた聴覚障害特別支援学校の教育課程編成及び難聴・言語障害特別支援学級や通級による指導の教育課程編成について説明する。 |
聴覚障害児の言語力評価 | 我妻 敏博 (上越教育大学大学院・教授) | 言語指導と言語評価・標準化されたテスト・言語力評価の観点と方法について解説する。 |
聴覚障害児の言語発達 | 齋藤 佐和 (目白大学・教授) | 聴覚障害児の言語発達について、その歴史的な位置づけや考え方を概説するとともに「学習言語」「生活言語」等の現代的なトピックスについて実践と研究の面から言及する。 |
聴覚障害特別支援学校における乳幼児教育(1) | 佐藤 幸子 (筑波大学附属聴覚特別支援学校・教諭) | 聴覚障害特別支援学校の乳幼児相談・指導について、目的・内容・スタッフ・両親援助等・現状と課題。再早期段階でのケース・手話や人工内耳についての両親の対応とそれに対する援助のあり方等、ビデオや母親の記録をもとに解説する。 |
(演習) 手話の活用(1) -手話の教授法- | 小田 侯朗 (教育研修情報部・総括研究員) | 手話を習得するための基本的な理論を解説するとともに、演習を通して手話の学習のプロセスを理解する。 |
聴覚障害児の心理とコミュニケーション | 小田 侯朗 (教育研修情報部・総括研究員) | 聴覚障害児の心理発達やコミュニケーションと自己概念の関連等について解説する。また、聴覚障害に対する病理的視点と文化的視点についても解説する。 |
(実習) 情報保障 | 森本 行雄 (社会福祉法人東京愛育苑金町学園・ | 聴覚障害者にとって、社会生活を送る上での情報保障は必要欠くべからざるものである。 この講義では、下記の内容で教育関係職員が必要とする知識と実技について学ぶ。 ・情報保障の手段とその歴史 ・関係法規(著作権等) ・情報保障のあり方 ・情報保障実習(ロールプレイ)など |
(演習) 手話の活用(2) -授業の中での手話活用- | 小田 侯朗 (教育研修情報部・総括研究員) 中井 弘征(奈良県立ろう学校・教諭) | 手話コミュニケーションの力と結びつけながら、日本語の指導をどのようにすすめるのか、幼稚部や小学部の取り組みについて具体的に紹介する。 あわせて、聴覚障害教育において用いられてきた手話の歴史とその方法について解説するとともに、現状の課題について検討する。 |
(演習) 手話の活用(3) -手話の言語発達と教育- | 小田 侯朗 (教育研修情報部・総括研究員) | 手話の言語的な特性、及び聴覚障害児の成長に伴う手話の言語的な発達とコミュニケーションの様相について解説する。 |
身体表現によるコミュニケーション | 庄﨑 隆志 (オフィス風の器・代表) | 聴覚障害児の表現ワークショップの土台にあるのは他者を気持ちよく受け入れるという姿勢である。どんな人でも温かく迎え入れ、たがいに心地よい時間を作ってともに楽しむことがワークショップの目標である。コミュニケーションが取りにくい人に対してどのようにホスピタリティを発揮していくかという課題は重要なテーマである。言葉にたよらない身体と心のコミュニケーションを体験する。 |
聴覚障害児(者)の自己理解と教育 | 前田 浩 (大阪市立聴覚特別支援学校・教諭) | 1.聴覚障害児(者)の言語環境 2.聴覚障害児(者)の障害認識 3.人的環境とコミュニケーション 4.自立活動における言語教育 |
言語指導法①② | 藤本 裕人 (企画部・総括研究員) | 聴覚障害特別支援学校における言語指導について、言語指導法の歴史的推移・幼児児童生徒の発達段階やコミュニケーション手段の特性等を踏まえ、学校教育活動の中でどのようにして言語概念を形成するか、現在の指導法を検討するとともに、教科指導への発展などについて解説し、今後の在り方を展望する。 |
聴覚機能の理解と教育的配慮 | 原田 公人 (教育支援部・総括研究員) | 聴覚の機能及び標準聴力検査、語音聴力検査、音場聴力検査等について解説する。 |
聴覚障害の生理・病理 | 石戸谷 淳一 (横浜市立大学附属市民総合医療センター・耳鼻咽喉科教授) | 耳は、空気振動を神経の電気的信号に変換するとても巧妙で微細な器官であり、発声もまた巧妙なシステムである。“聞く”、“しゃべる”といった日常的な生命現象の解剖・生理・病理を概説する。また、人工内耳医療についても言及する。 |
(講義・演習) 補聴器のフィッティングの理論と実際 | 中川 辰雄 (横浜国立大学・教授) | 最近、子どもたちもデジタル補聴器を使用することが多くなってきた。そこで、この講義では午前中を中心に、デジタルやアナログ補聴器について説明し、午後からは、補聴器の調整の仕方や考え方について演習を通して学ぶ。是非、担当されているお子さんの補聴器の事例をお持ち下さい。 |
教科教育法(数学) | 最首 一郎 (筑波大学附属聴覚特別支援学校・教諭) | 1.高等部における数学の指導 2.数学が不得手な生徒の指導 3.生徒はどういうところでよく誤るか 4.数学を通して何を伝えるか 5.数学の学習意欲を高めるための工夫 |
(演習) 聴力検査の実際 | 横尾 俊 (教育相談部・主任研究員) | 聴力検査の基本的な実施方法と知識を得るために、主に標準純音聴力検査の実際について概説した上で演習する。 |
寄宿舎活動と援助 | 山根 昭治 (北海道旭川聾学校・専門寄宿舎指導員) | 1.寄宿舎教育の歴史的変遷 2.寄宿舎生活を体験したろう者の声 3.今後、寄宿舎教育に対して求められていること |
(演習) 盲ろうの理解と教育(1) -弱視難聴- | 中澤 惠江 (企画部・上席総括研究員) 長尾 公美子(徳島県立総合教育センター・指導主事) 熊田 華恵(兵庫県立淡路文化会館・生活創造専門員) | 「盲ろう」とは、視覚と聴覚の両方に障害を有する状態である。特別支援教育資料によると、視覚と聴覚の両方に障害を有する児童生徒は、全国の特別支援学校の重複学級の中で573名特定されている。ここでは、そのニーズと配慮が分かりづらい「盲ろう」という状態を、共感的に理解するために、疑似体験とそれに基づく協議と講義を行う。盲ろうの理解と教育(1)では、盲ろうの中でもっとも多いと考えられている「弱視難聴」の状態を取り上げる。 *視覚障害・聴覚障害教育専修プログラム合同 |
(演習) 盲ろうの理解と教育(2) -全盲ろう- | 中澤 惠江 (企画部・上席総括研究員) 長尾 公美子(徳島県立総合教育センター・指導主事) 熊田 華恵(兵庫県立淡路文化会館・生活創造専門員) | 盲ろうの理解と教育(2)では、視覚と聴覚障害の程度がもっとも重度である「全盲ろう」の状態を取り上げ、疑似体験、協議、そして講義を行う。二日間の演習と協議を踏まえ、盲ろう教育において必要な基本的な配慮、教育計画について講義する。また、日本における優れた盲ろう教育の実践例および海外での取り組みについて紹介する。 *視覚障害・聴覚障害教育専修プログラム合同 |
ろう者の文化と教育 | 米内山 明宏 (有限会社手話文化村・代表取締役) | ろう文化、ろう者の言語、理想のろう教育とは何かについての課題を提起し、それぞれについて解説する。 |
成人聴覚障害者の心理と社会適応 | 野澤 克哉 (日本福祉教育専門学校・非常勤講師) | ・聞こえないことに関わる幾つかのジョーク ・20年以上やってきた写植廃業の例 ・ことばの幅が狭くて生じるトラブルや誤解 ・社会受容ということ ・ろう運動の事例(法改正運動) ・ことばより手話表現が豊かである |
聴覚障害特別支援学校における乳幼児教育(2) | 藤岡 久美 (兵庫県立こばと聴覚特別支援学校・ | 乳幼児教育相談における相談支援の概要とコミュニケーション手段のひとつとして手話を導入した幼稚部の現状と課題について解説する。 |
進路指導・職業教育 | 原田 公人 (教育支援部・総括研究員) 会田 孝行(国立障害者リハビリテーションセンター | 聴覚障害特別支援学校における職業教育と進路指導に関わる現状について説明し、聴覚障害者の就労上の諸問題、大学進学者の支援等の課題等について解説する。 |
教科教育法(国語) | 江代 充 (筑波大学附属聴覚特別支援学校・教諭) | 1.教科学習に必要なことばの力を育てる 2.国語科の読解指導を行う際の配慮について |
重度・重複障害児の指導の実際 | 中川 はすみ (神奈川県立中原養護学校・教諭) | 1.肢体不自由児に合併する聴覚障害 (歴史と現況) 2.重度・重複障害児の聴覚機能の評価 3.聴覚障害を併せ有する児童の指導 (聴覚管理、聴覚補償、聴覚学習、コミュニケーション指導) 4.特別支援学校と他機関との連携 |
軽度・中等度難聴児への教育的対応 | 新正 由紀子 (東京医療センター臨床研究センター・ (教育支援部・総括研究員) | 聴覚障害教育については、高度難聴児の教育に重点が置かれてきた傾向が強い。近年は、聴覚特別支援学校や特別支援学級において軽度・中等度難聴児の在籍率が高くなっているとの報告もある。軽度・中等度難聴児に対しては高度難聴児とは異なった教育課題があり、これらの課題解決の方途について解説する。 |
聴覚障害特別支援学校のセンター的機能と 地域支援 | 田原 佳子 (千葉県立千葉聾学校・教諭) | 特別支援教育の中で、どのようにして聴覚障害教育の専門性を維持し、地域のセンター機能を果たしていくのか、校内外の支援体制の取り組みを紹介し、聾学校の果たすべき役割について考える。 ・校内支援体制の確立 ・地域の聴覚障害教育のセンターとしての役割 ・関係諸機関との連携 |
教科教育法(英語) | 松藤 みどり (筑波技術大学・教授) | かつては「むりだ、むずかしい、むだだ」とも言われた聴覚障害者に対する英語教育が、どのような変遷を辿ったか、戦後の聾教育と共に考察し、課題と展開を探る。英検の改革についても概説する。 |
難聴特別支援学級及び通級による指導の実際 | 松本 裕子 (つくば市立竹園東小学校・教諭) | ・難聴学級における指導の実際 ・支援のための授業の取り組み (直接的支援と間接的支援) ・情報保障 (教育補助員・字幕ボランティア・手話) ・本人たちの声と、今後の方向性 |
世界の聴覚障害教育の動向 | 大沼 直紀 (国立特別支援教育総合研究所・監事) | 国内外の聴覚障害教育の歴史的経過及び動向を概説し、今後のわが国の聴覚障害教育の方向について展望する。 |
聴覚障害児教育における国語の基礎 -小学部から高等部に向けた国語教育- | 宍戸 和成 (筑波大学附属久里浜特別支援学校・校長) | 聴覚障害児の教科教育、特に国語教育に当たり基礎とすべき点を解説する。 |
(演習) 聴覚障害教育における情報機器の利用と実際 | 横尾 俊 (教育相談部・主任研究員) | 1.聾教育におけるコンピュータ利用 2.今後の利用可能性 3.コンピュータリテラシー 4.利用法の実際 |
○実地研修
題 目 等 | 研 修 先 | 研修内容 |
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聴覚障害特別支援学校における指導法 | 神奈川県立平塚ろう学校 | 聴覚障害特別支援学校において行われている教育の実践の見学と施設見学を行う。 神奈川県立平塚ろう学校 〒254-0074 神奈川県平塚市大原2番1号 |
○課題研究
講義題目等 | 内容等 |
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課題研究 | 研修員それぞれの課題の解決に向け、図書館での資料収集等、研修員が主体的に計画を立てて取り組む研修の時間である。 全体で8コマを設定している。 所外での研修を行う場合は、所定の手続きによる。 |