肢体不自由のある幼児の多くは、障害等により行動が制限され、また、そのために幼児期に必要な様々な事柄の体験に困難を伴うことが多く、幼児の成長、発達に必要な経験が不足している場合が少なくありません。
そこで、実際の指導に当たっては、幼児が興味や関心をもって周囲の環境にかかわり、障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服したり、発達を促したりするために必要な体験が得られるような環境を、幼児の身体の動きや健康の状態等に応じて創意工夫をする必要があります。その際には、幼児が興味や関心をもって進んで身体を動かそうとしたり、表現したりするような環境を設定することが大切です。また、教師が必要に応じて、幼児の障害に即した適切な援助を行い、幼児が直接的な体験を積み重ね、経験を広めることができるようにすることも大切です。その際、幼児が運動・動作の障害のほかに、知的障害を併せている場合があり、個人差が大きいことから、一人一人の幼児の実態を十分に考慮して、環境の設定や指導内容・方法を工夫することが必要です。
肢体不自由のある幼児が直接的な経験を広めることができるよう、次の事項に留意して指導を行うことが大切です。
ア 幼児が自ら環境とかかわり、主体的な活動が展開できるようにするために、教室の環境設定や集団の構成を工夫すること。その際、必要に応じて学級の枠を超えた集団の構成にも配慮すること。
イ 幼児の上肢や下肢等の障害の状態に即して、遊具や用具などを創意工夫するとともに、必要に応じて補助用具の活用を図ること。
ウ 話し言葉によって意思を伝え合うことに困難が見られる幼児の指導に当たっては、意思表示しようとする意欲を喚起するとともに、より豊かな表現ができるような方法を工夫すること。
エ 生活のリズムが乱れがちな幼児の指導に当たっては、家庭等との連携を深めながら、規則正しい日課の編成とその励行に努めること。
オ 健康を損ないやすい幼児の指導に当たっては、その発達段階や健康状態などに応じて、医療機関等との連携を図りながら、健康の維持・改善に必要な活動を系統的・継続的に行うように努めること。