自閉症や情緒障害のある児童生徒は、小・中学校に多く在籍しています。したがって、障害に応じた教育課程の編成を述べる前に、小・中学校における教育課程の編成の原則について簡単に述べておきます。
小学校及び中学校の学習指導要領領の総則では、教育課程の編成の原則に「児童(
生徒)の人間として調和のとれた育成を目指し、地域や学校の実態及び児童の心身の発達の段階や特性を十分考慮して、適切な教育課程を編成するものとし、これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする。学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において、児童に生きる力をはぐくむことを目指し、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくむとともに、主体的に学習に取り組む態度を養い、個性を生かす教育の充実に努めなければならない。その際、児童の発達の段階を考慮して、児童の言語活動を充実するとともに、家庭との連携を図りながら、児童の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない。」 といった記述があります。そして、児童生徒の心身の発達段階や特性については、学習指導要領の解説において、例えば、小学校では、「児童は、6歳から12歳という心身の成長の著しい時期を小学校に在学しており、児童はそれぞれ能力・適性、興味・関心、性格などが異なっているので、児童の発達の過程などを的確に捉えるとともに、その学校や学年などの児童の特性や問題点について十分配慮して、適切な教育課程を編成することが必要である。」と説明があります。
つまり、小・中学校において一般の教育課程を編成する際にも、児童生徒の年齢や発達段階、個人的な特性や問題点を考慮する必要があるということです。

  ア 自閉症・情緒障害特別支援学級


特別支援学級の教育課程の編成に関しては、学校教育法施行規則第138条において、「小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程における特別支援学級に係る教育課程については、特に必要がある場合は、第50条第1項、第51条及び第52条の規定並びに第72条から第74条のまでの規定にかかわらず、特別な教育課程によることができる。」と明記されています。
この規則に関しては、小学校及び中学校の学習指導要領解説の総則編において、「特別な教育課程を編成するとしても、学校教育法に定める小学校(中学校)の目的及び目標を達成するものでなければならない。」という記述と、「特別支援学級において特別な教育課程を編成する場合には、学級の実態や児童の障害の程度等を考慮の上、特別支援学校の小学部・中学部学習指導要領を参考にするなど実情に合った教育課程を編成する必要がある。」との記述があります。
さらに、当該学年で使用しなければならない教科書(検定本等)が適さない場合に、特別支援学校や特別支援学級等では、学校教育法附則第9条において、「高等学校、中等教育学校の後期課程及び特別支援学校並びに特別支援学級においては、当分の間、第34条第1項(第49条、第62条、第70条第1項及び第82条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、文部科学大臣の定めるところにより、第34条第1項に規定する教科書以外の教育用図書を使用することができる。」とされています。この規定を踏まえて、同施行規則第139条において、「前条の規定により特別な教育課程による特別支援学級においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書を使用することが適当でない場合には、当該特別支援学級を置く学校の設置者の定めるところにより、他の適切な教科用図書を使用することができる。」とあります。
つまり、自閉症・情緒障害特別支援学級の教育課程編成においては、小学校及び中学校の教育課程の編成を基準にしながら、必要に応じて、特別支援学校学習指導要領を参考にして、学級や児童生徒の実態に応じた教育目標や教育内容などを決定していくわけです。
また、特別支援学級では、異学年の児童生徒が在籍する場合には、指導内容は個々の児童生徒で違いますが、教科等によっては集団で学習を行うこともあります。その場合は、複式学級の教育課程編成の特例が参考になります。以下にその内容を記述すると、例えば、小学校学習指導要領総則において、「学校において2以上の学年の児童で編制する学級について特に必要がある場合には、各教科、道徳及び外国語活動及び特別活動の目標の達成に支障のない範囲内で、各教科、道徳及び外国語活動及び特別活動の目標及び内容について学年別の順序によらないことができる。」としています。

イ 通級による指導(自閉症)(情緒障害)


平成5年度から通級による指導が始まりましたが、教育課程の取扱は、学校教育法施行規則第140条により、「小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において、次の各号の一に該当する児童又は生徒(特別支援学級の児童及び生徒を除く。)のうち、障害に応じた特別な指導を行う必要があるものを教育する場合には、文部科学大臣が別に定めるところにより、第50条第1項、第51条及び第52条の規定並びに第72条から第74条までの規定にかかわらず、特別な教育課程によることができる。」とされています。
また、(1)の(2) で述べた、通級による指導の対象等について、学校教育法施行規則の改正に併せて、通級による指導を受ける児童生徒の指導内容及び指導時間の標準について改正が行われています。従前、自立活動等の指導と教科の補充指導とに分けて標準の指導時間数を設定していましたが、今回の改正では、自立活動等と教科の補充指導を併せた指導時間数として、「年間35単位時間(LD及びADHDについては年間10単位時間)から280単位時間」と規定しています。
したがって、小・中学校の通常の学級に在籍し、一部特別な指導を行う必要があり通級による指導が適当と判断された児童生徒は、通常の教育課程に加えるか又は一部を換えて、障害に基づく種々の困難を改善・克服するための自立活動等の指導と教科の補充指導を、併せて週1~8単位時間(LD及びADHDについては月1~週8時間)以内の特別な指導を行うことができます。
さらに、同規則では、第141条において、「特別な教育課程による場合においては、校長は、児童又は生徒が、当該小学校又は中学校の設置者の定めるところにより他の小学校、中学校又は特別支援学校の小学部若しくは中学部において受けた授業を、当該小学校又は中学校において受けた特別な教育課程に係る授業とみなすことができる。」と記載されています。
この記載内容が意味することは、通級による指導が他の学校で行われる場合を想定しています。他校で行われた通級による指導においても、在籍学校での特別な教育課程における授業であるとみなし、また、他の学校での授業時数を履修時間としてカウントできることを位置づけています。