学校における実態把握については、担任教員等の気付きを促すことを目的とすることが重要です。障害種別を判断するためではなく、学習面や行動面において特別な教育的支援が必要かどうかを判断するための観点であることに留意が必要です。障害種別の判断については、LDの場合は、教育委員会に設置された専門家チームや専門機関、ADHD及び高機能自閉症については、医療と連携した専門家・専門機関が行うことが原則です。
学級担任や教科担任が、子どものつまずきや困難さに対して、指導の工夫や配慮をしても学習状況に改善が見られない時には、学年や学校全体での話合いにつなげていく必要があります。校内委員会等において、担任等の気付きや該当児童生徒等に見られる様々な様子を整理し、保護者や専門家からの意見等も参考にしながら、総合的に実態把握を行っていきます。その際、つまずきや困難さだけを把握するのではなく、できていることや努力していること、得意なこと、興味関心のあること等についても情報を集め、多面的に実態を捉えることが大切です。
実態把握に当たっては、LD、ADHD、高機能自閉症等の判断基準を参考にしながら、以下のような観点でみていきます。

  LD(学習障害)

A.特異な学習困難がある
現在及び過去の学習の記録等から、国語、算数等の評価の観点の中に、著しい遅れを示すものが一つ以上あることを確認します。この場合、著しい遅れとは、小学校2、3年生の場合は1学年以上の遅れ、小学校4年生以上又は中学生の場合は、2学年以上の遅れを目安としています。

B.全般的な知的発達の遅れがない
知能検査等で全般的な知的発達の遅れがないこと、あるいは現在及び過去の学習の 記録から、国語、算数(数学)、理科、社会、生活(小学校1及び2年生)、外国語(中学生)の教科の評価の観点で、学年相当の普通程度の能力を示すものが一つ以上あることを確認します。 

C.他の障害や環境的な要因が直接の原因ではない
学習困難が他の障害や環境的な要因によるものではないことを確認します。ただし、他の障害や環境的な要因による場合であっても、学習障害の判断基準に重複して該当する場合もあるので、その障害や環境等の状況などの資料により確認します。

 

  ADHD(注意欠陥多動性障害)

A.知的発達の状況

  • 知的な発達に遅れは認められず、全体的には極端に学力が低いことはありません。

B.教科指導における気付き

  • 不注意な間違えが多く、必要なものをよくなくします。
  • 教師の話や指示を聞いていないように見えます。
  • 指示に従えず、課題をやり遂げることができないところがあります。
  • 質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまうことがあります。

C.行動上の気付き

  • 離席があったり、椅子をガタガタさせたり等、落ち着きがないように見えます。
  • 順番を待つことが苦手です。
  • 友達や教師の話を遮るような発言があり、授業中、友達のじゃまをすることがあります。
  • 自分の持ち物の整理整頓が難しく、机の周辺が散らかっています。
  • 準備や後片付けに時間がかかり、手際が悪いところがあります。
  • 時間内に行動したり、時間を適切に配分したりすることができません。
  • しゃべりすぎるところがあります。

D.対人関係における気付き

  • じゃまをしたり、相手をけなしたりして、友達とのトラブルが多く見られます。
  • 自分が非難されると過剰に反応します。
  • 高機能自閉症

高機能自閉症

A.知的発達の状況

  • 知的な発達に遅れは認められず、全体的には極端に学力が低いことはありません。

 B.教科指導における気付き

  • 特定の分野の知識は大人顔負けのものがあり、興味のある教科には熱心に参加しますが、そうでない教科では退屈そうにしています。
  • 自分の考えや気持ちを発表したり、作文で表現したりすることが苦手です。
  • 一つのことにこだわると、他のことに切り替えることがなかなかできません。
  • 学習のルールやその場面だけの約束事の理解が難しい面があります。
  • 場面や状況に関係のない発言をしたり、応答が質問の意図とずれたりします。

C.行動上の気付き

  • 学級全体への一斉指示だけでは行動に移せないことがあります。
  • 集団活動やグループでの学習を逸脱することがあります。
  • ルールのある競技やゲームが苦手です。
  • こだわりのために、友達の言動を許せないことがあります。
  • 係活動や当番活動は、教師や友達に促されてから行うことがよく見られます。

 D.コミュニケーションや言葉遣いにおける気付き

  • 会話が一方的で、応答にならないことが多く見られます。
  • 場に合わない、丁寧すぎる言葉遣いをします。
  • 周囲に理解できないような言葉の使い方をします。
  • 話し方に抑揚がなく、感情が伝わらないような話し方をします。
  • 場面や相手の感情、状況を理解しないで話すことがあります。
  • 共感する動作(身振りや「うなずく」等のジェスチャー)をあまりしません。
  • 比喩や遠回しの表現を理解することが苦手です。

 E.対人関係における気付き

  • 友達(子ども)よりも教師(大人)と関係をとることを好みます。
  • 友達との関係を作ることが苦手です。
  • 休み時間はほとんど一人で過ごしています。