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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第100回記念号(平成27年7月号)
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■目次
【理事長からの挨拶】
【第100号記念コーナー】
・記念寄稿(1)
・記念寄稿(2)
・第100号記念連載に関するメッセージ募集について
【NISEトピックス】
・業務部の活動紹介(3) 教育研修・事業部の活動について
【海外情報の紹介】
・CEC2015 Annual Conference and Expo参加報告
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】理事長からの挨拶
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「メルマガ第100号に寄せて」
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 本メルマガも第100号を迎えることとなりました。
 第1号はいつかと思い、振り返ってみました。すると、平成19年の4月に
発行されていました。ちょうど、「特別支援教育」が制度として施行された
時になります。当時作成されたメールマガジン刊行要項によれば、「・・・
特別支援教育に関する最新の動向等を迅速かつ積極的に提供することを目的
とする。」とされています。特別支援教育が始まり、それに関する様々な情
報等をできるだけ分かりやすく読者に知らせることを目的として発行されま
した。
 それから、8年余を掛けて、平成27年の7月号が「第100号」ということ
になります。この間、8,000名を越える読者の皆様、折々に記事をお寄せく
ださいました研修員等の方々、そして、毎月、メルマガの編集発行に取り組
まれた関係者に心から感謝申し上げます。
 この「100」という数字を見た時に私の頭に浮かんだのは、「特殊教育百
年史」という文部省刊行の書籍です。昭和54年に発行されています。編集後
記のページには、編集に関わった方々の名前が記載されています。当時の本
研究所の職員の懐かしい名前も見受けられます。また、昭和54年には、養護
学校教育の義務制も施行されています。さらに、当時の盲・聾・養護学校の
学習指導要領が改訂された年でもあります。
 100という数字から、特別支援教育に至る特殊教育の始まりに思いを馳せ
ました。「100年」あるいは、「100号」。いずれも、一つずつの積み上げで
達成することのできるメルクマールです。各自が、それぞれの関心事の「故
きを温ねて新しきを知る」、貴重な機会にしたいものです。
 研究所ができたのが、昭和46年。その後、前述した養護学校教育の義務制
や学習指導要領の改訂等、特殊教育の確立に向けて、当時の研究所の職員は
尽力しました。そうした伝統は、特別支援教育の充実に向けて、努力してい
る現在の職員にも脈々と受け継がれています。今回の第100号はそんなこと
も象徴しているような気がします。
 我が国は、障害者の権利条約の批准を終え、今後一層特別支援教育の確立
に向けて、関係者が一丸となって歩む必要があります。本研究所も職員一同
気持ちを新たに努力する所存です。本メルマガを通して、特別支援教育の推
進に役立つよう努めて参ります。今後とも、ご協力をお願いいたします。

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【2】第100号記念コーナー
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●記念寄稿(1)
「メールマガジン第100号記念に寄せて」
       井上 惠嗣(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長)

 国立特別支援教育総合研究所メールマガジンが、記念すべき第100回を迎
えられたことを心よりお慶び申し上げます。
 本メルマガが創刊された平成19年は、前年の学校教育法改正を経て、特別
支援学校のみならず、幼稚園・小・中・高等学校を含め全ての学校において、
「特別支援教育」がスタートした我が国にとって大きな節目となる年でもあ
りました。そのため、本メルマガは、我が国の「特別支援教育」と共に歩ん
だ8年・100回と言えます。
 特別支援教育に関する様々な行事案内や、最新の研究紹介、海外の特別支
援教育事情紹介など、その多様で幅広い内容を毎回、貴重な情報源として楽
しみに愛読されている関係者も多いことでしょう。
 また、回数を重ねるごとに、我が国の特別支援教育の歩みに関する大切な
記録という意味合いも深まってきていると感じます。『自助論』で有名な作
家サミュエル・スマイルズに「習慣とは木の皮に刻まれた文字のようなもの
であり、木の成長につれてその文字も拡大していく」という意味の言葉があ
るようですが(これ自体は人生の警句かもしれませんが)、本メルマガが今
後ともコツコツと回を重ね、我が国の特別支援教育の発展につれて、ますま
すなくてはならない大きな存在に成長していかれることを願ってやみません。

 最後に、本メルマガ発行に携われている皆様のこれまでの御尽力に敬意を
表しますとともに、国立特別支援教育総合研究所の今後一層の御発展をお祈
り申し上げまして、100回記念のお祝いの言葉とさせていただきます。

○文部科学省のWebサイトはこちら→
 http://www.mext.go.jp/

●記念寄稿(2)
「国立特別支援教育総合研究所に期待すること」
                 横倉 久(全国特別支援学校長会長)

 メールマガジン(以下、メルマガ)100号おめでとうございます。
 記念すべきメルマガ第1号は、特別支援教育がスタートした平成19年4月
に発表されました。バックナンバーを拝見しますと、メルマガ8年間の歩み
は、特別支援教育の進展と重なることが分かります。国立特別支援教育総合
研究所(以下、特総研)がこれまで、我が国唯一の特別支援教育のナショナ
ルセンターとして、国の政策課題や教育現場の課題に柔軟かつ迅速に対応す
る業務運営を行い、もって障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応
した教育の実現に貢献されてきたことに、敬意を表します。
 全国特別支援学校長会(以下、全特長)は、将来の特別支援学校を取り巻
く社会の姿をイメージし、教育の現状を分析し、インクルーシブ教育システ
ム構築に向けて特別支援学校が取り組むべき課題を明らかにしてまいりまし
た。また、全特長は、保護者や地域が担うべき教育の役割、教育行政が学校
教育の充実のために果たすべき責任を整理し、今、校長として何をなすべき
かという明確なビジョンを掲げ、全特長の組織をあげて教育改革を推進して
いく所存です。 
 特総研には、私ども全特長との「連携・協力体制の一層の強化」と「特別
支援教育の進むべき方向性」を指し示す「羅針盤」の役割の発揮を期待して
います。

○全国特別支援学校長会のWebサイトはこちら→
 http://www.zentoku.jp/

●第100号記念連載に関するメッセージ募集について
 本メルマガは、特殊教育から特別支援教育へ移行された平成19年4月に創
刊し、以降毎月刊行しており、現在では特別支援教育関係者を中心に、8,000
名を超える方々にご講読頂いています。
 第100回記念号を迎えるにあたり、本メルマガをご講読頂いております皆
様より本メルマガや本研究所に期待すること、今後の特別支援教育の進展・
展望等についてのメッセージを募集します。頂きましたメッセージについて
は、次号以降に連載記事として掲載させて頂く予定です。
 詳細につきましては、下記のURLをご確認ください。

○第100号記念連載記事執筆の募集についてはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=34164&lang=ja

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【3】NISEトピックス
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●業務部の活動紹介(3) 教育研修 ・事業部の活動について
          小林 倫代(教育研究・事業部長/上席総括研究員)

 教育研修・事業部は、本研究所が実施する研修事業の企画及び立案、研修
修了者へのフォローアップ、インターネットによる研修コンテンツの提供等
の業務を行っています。また、研究所セミナーの企画・実施、保護者団体等
との連携事業の企画・実施、医療・福祉・労働関係機関等に対する理解啓発
・連携などの業務を行っています。
 研修事業では、従来から、各都道府県等における指導者を養成することを
目的として行っており、近年では、インクルーシブ教育システム構築に関す
る内容をプログラムに組み込んでいます。本年度は、特別支援教育専門研修
(第一期:発達障害・情緒障害・言語障害教育コース、第二期:知的障害・
肢体不自由・病弱教育コース、第三期:視覚障害・聴覚障害教育コース)と
4つの研究協議会(就学相談・支援担当者研究協議会、特別支援学校寄宿舎
指導実践指導者研究協議会、発達障害教育指導者研究協議会、交流及び共同
学習推進指導者研究協議会)を実施します。
 また、今年度は新規事業として、ICTを活用した教員の専門性向上充実事
業を実施しています。この事業では、インターネットによる講義配信の視聴
者を幅広く捉え、特別支援学校・特別支援学級・通級指導教室・通常の学級
という多様な学びの場で活用しやすいような構成とし、スマートフォンやタ
ブレット端末でも視聴できるように更新していく予定です。また、ICTを活
用したモデル授業実践演習室を設計し、ICT機器を活用した授業の展開につ
いて、専門研修で取り入れていく予定です。
 研究所セミナーは、本研究所の研究成果の普及や教育現場等関係機関との
情報の共有を図るために毎年度開催しています。本年度は、平成28年2月25
日(木)~26日(金)に、国立オリンピック記念青少年総合センターで行い
ます。「インクルーシブ教育システム構築に向けた特別支援教育の推進」と
いうテーマで企画を考えています。詳細は、11月頃に研究所Webサイトにて
案内を掲載する予定です。ご期待ください。
 特別支援教育になって9年目、メルマガも100号になります。教育研修・
事業部の業務では、継続して実施している事業が多いですが、この間、特別
支援教育コーディネーター指導者研究協議会を平成24年度限りで廃止し、就
学相談・支援担当者研究協議会を平成25年度から実施するなど、教育研修・
事業部で取り組んでいる事業内容は、常に見直され、更新しています。

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【4】海外情報の紹介
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●CEC2015 Annual Conference and Expo参加報告
                  齊藤 由美子(企画部総括研究員)
                    神山 努(教育情報部研究員)

 平成27年4月9日(木)~11日(土)にアメリカ合衆国カリフォルニア州
サンディエゴで開催された、Council for Exceptional Children(CEC)の
年次大会に参加しました。CECは障害のある子どもやギフテッド(生まれつ
き優れた能力がある)の子どもの教育に関する学会です。年次大会にはアメ
リカ合衆国内外から約4,500人が参加し、2,041のセッション(ポスター発表、
口頭発表、展示等)が行われました。発表内容は、自閉症や学習障害等、障
害の状況に特化した教育方法から、障害のある子どもの教育に関する行政施
策まで多岐にわたりました。
 我々は、本研究所によるインクルーシブ教育システム構築に関する研究の
成果と、その背景となる日本の特別支援教育の現状について、ポスター発表
を行いました。様々な国の参加者と、日本と諸外国の特別支援教育に関する
相違点等について意見交換しました。
 また、年次大会終了後には、サンディエゴ市内の教育事務所、公立小学校、
重度・重複障害のある子どもを対象としたスペシャルスクール(特別学校)、
チャータースクール(公設民間運営校)を訪問しました。各学校における障
害のある子どもに対する教育実践や校内の学習環境の整備等について、参考
となる情報を得ることができました。

○CEC2015 Annual Conference and ExpoのWebサイトはこちら→
 https://www.cec.sped.org/

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【5】研修員だより
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 今号は、平成25年度第一期特別支援教育専門研修を修了された岸 和美先
生からお寄せいただきました。

「新たな出会いと、学ぶ幸せ」
                岸 和美(静岡県立浜名特別支援学校)

 今回は記念すべき第100号!!この機会に1号、2号・・・と目を通しました。
研修員だよりも第2号から全国の先生方がバトンをつないで私の番です。
久里浜での研修生活はたくさんの人と出会い、たくさんのことを見て、聴い
て、感じた2ヶ月間でした。素敵な日々をありがとうございます。
 研修の初めに理事長の講話で「子どもは変わると信じて努力すること。」
「勉強とは覚えることや先生に聞くことだけでなく、聞いたこと、学んだこ
とを自分の経験や知識と照らし合わせて考えること。そして、やってみるこ
とが大事。」という言葉がありました。学校(現場)に戻った今、研修で体
験したこと、学んだこと、考えたことを生かしての実践です。困ったときは、
研修資料や研修で何度も見た学習指導要領を読み直し、考えて・・・Let's try!
しています。そして、実践において心強い味方は、研究所の先生方とのつな
がり、共に学んだ仲間とのつながりです。
 どこでも学ぶことはできます。どこにいても仲間とつながっています。こ
れからも子どもたちの可能性を信じ、子どもたち、保護者、仲間と共に学び、
共に成長していきたいと思います。そして、静岡から次(祝!100人目)の
先生へバトンを渡します。ありがとうございました。

○静岡県立浜名特別支援学校のWebサイトはこちら→
 http://www.edu.pref.shizuoka.jp/hamana-sh/home.nsf

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【6】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=64451&lang=ja

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【7】編集後記
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 メールマガジン創刊100号を記念して、100(百)にまつわる格言・ことわ
ざ・故事を色々と調べてみました。「結構知っている言葉(話)も多いはず
!」などと思っていましたが、知らない言葉や話、正確に意味をつかんでい
ない格言等が沢山ありました。今の自分の役割や取り組むべき課題と重ね合
わせて考えると、心を引き締めるという意味で「有り難い言葉」や「ドキッ
!」とする言葉もいくつかあり、先人の作り上げた言葉の意味深さに改めて
感心しました。
 「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」、「読書百遍義自ずから見る(ぎ
おのずからあらわる)」、「雀百まで踊り忘れず」、「可愛さ余って憎さ百
倍」、「五十歩百歩」、「百鬼夜行」、「酒は百薬の長」・・・。
 そのような言葉の中に「百尺竿頭(ひゃくしゃくかんとう)に一歩を進む
」という言葉を見つけました。禅宗の言葉だそうです。「百尺竿頭」とは長
い竿の先のことを表しているようですが、同時に長く厳しい修行の道のりの
末に至る悟りの境地を意味しているとのことです。でも、悟りの境地と思っ
たところにあぐらをかいて座っていれば、本当の道を極めることができない
ので、更に一歩を進めて真の悟りへと向かいなさいという意味だそうです。
そう言えば、スポーツ・文化・芸能の世界などにおいても頂点を極めた人ほ
ど自分に厳しく、更なる高みを目指して修業に打ち込んでいる姿をよく見か
けます。私自身に向けられた言葉だと捉えると、改めてコツコツと、そして
一歩ずつ、前進していくことの大切さを噛みしめたところです。
 国立特別支援教育総合研究所(特総研)は、これからも皆様と共に「共生
社会」の形成に向けて、インクルーシブ教育システムを構築するために、特
別支援教育をより推進する一翼を担って歩んで参ります。そして、その歩み
に「百尺竿頭」はないのかもしれません。
 多くの関係者や読者の皆様に支えられてここまで歩んできた特総研とメー
ルマガジン。たかが100号、されど100号。色々な人の心に、色々な想いが去
来するこの節目に、研究や研修事業、情報普及の更なる充実と発展をお誓い
申し上げて、引き続く「101回目へのプロポーズ」とさせていただきます。
長沼編集主幹、あとはよろしく!お願いします。
                 (第100回記念号編集主幹 武富博文)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第100回記念号(平成27年7月
号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
          ([アットマーク]を@にして送信してください。)

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