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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第101号(平成27年8月号)
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■目次
【お知らせ】
・平成27年度就学相談・支援担当者研究協議会の開催(終了報告)
・平成27年度特別支援学校寄宿舎指導実践指導者研究協議会の開催(終了報
告)
【100号記念連載コーナー】
【NISEトピックス】
・業務部の活動紹介(4) 教育情報部の活動について
【研究紹介】
・[中期特定研究(インクルーシブ教育システムに関する研究)]
インクルーシブ教育システム構築に向けた取組を支える体制づくりに関する
実際的研究 -モデル事業等における学校や地域等の実践を通じて-(平成
25~26年度)
【NISEダイアリー】
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】お知らせ
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●平成27年度就学相談・支援担当者研究協議会の開催(終了報告)
 7月16日~17日、本研究所において「就学相談・支援担当者研究協議会」
を開催しました。本研究協議会は、各都道府県及び指定都市において教育支
援委員会(仮称)等、就学相談・支援に関わる業務に関し、指導的立場にあ
る者による研究協議等を行い、担当者の専門性の向上及び就学相談・支援の
充実を図ることを目的として平成25年度から毎年この時期に開催しているも
のです。本年度は、全国から指導主事等68名が参加しました。
 一日目は、文部科学省による最新の特別支援教育を取り巻く情勢にかかる
行政説明に続いて、本研究所職員による講義「インクルーシブ教育システム
構築に向けた取組を支える体制づくり~就学相談・支援を中心に~」を行い
ました。二日目は、まず「本人・保護者・学校・教育委員会の合意形成によ
る就学相談を実現するためのシステム・体制づくり」をテーマとした話題提
供が行われ、県の取組としては「市町の就学相談を支える山口県の取組につ
いて~特別支援教育センター及び地域コーディネーターの役割を中心に~」、
指定都市の取組としては「浜松市における相談体制の現状と課題について」
が発表されました。その後、都道府県と指定都市の分科会に分かれ、各地域
における就学相談・支援の取組についての最新状況や課題が交わされながら、
活発な班別研究協議が行われました。

●平成27年度特別支援学校寄宿舎指導実践指導者研究協議会の開催(終了報
告)
 7月23日~24日、本研究所において「特別支援学校寄宿舎指導実践指導者
研究協議会」を開催しました。本研究協議会は、各都道府県等において指導
的立場にある寄宿舎指導員等の専門性の向上並びに寄宿舎における指導等の
充実を図ることを目的として平成13年度より毎年この時期に開催しているも
のです。本年度は、全国から寄宿舎指導員等71名が参加しました。
 一日目は、文部科学省による「特別支援教育行政の推進」と題した行政説
明に続いて、本研究所職員による講義「安心・安全な学校づくりのための防
災対策」を行いました。二日目は、まず参加者より寄宿舎における指導実践
について、「寄宿舎におけるキャリア教育を考える~卒業後の生活をイメー
ジした支援の在り方~」、「「寄宿舎個別の指導計画」の取組~4年間の実
践をふまえて~」等の発表があった後、視覚障害教育、聴覚障害教育、知的
障害教育、肢体不自由教育・病弱教育の各障害種別による部会別研究協議を
行いました。部会別研究協議では、文部科学省の特別支援教育調査官や特別
支援学校(知的障害、肢体不自由)の校長先生方に、指導助言者としてご参
加いただき、閉会時間まで熱のこもった協議が続きました。

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【2】100号記念連載コーナー
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●学校関係者からのメッセージ
                     上地 玲子(山陽学園大学)

 メールマガジン第100号記念、おめでとうございます。 わたしは、大学教
員をしながら臨床心理士としても仕事をしております。また、長女がダウン
症を持って生まれてきましたので、赤ちゃん体操指導員の資格も取得して、
多くのダウン症を持つ赤ちゃんとご家族に早期のかかわりの大切さを伝えて
おります。
 特別支援教育の分野は、以前に比べるとずいぶん発展してきているような
印象です。しかし、母親として我が子の環境を見た時、まだまだ十分に子ど
もたちの手に届いていないと感じております。 各市町村の制度上の問題も
あるとは思いますが、早期発見されても十分に適切な療育を受けるところが
少ないと感じております。
 また、指導者の能力の差が大きいため、日中の時間を無駄に過ごしている
ところもあります。 国立特別支援教育総合研究所での素晴らしい研究成果
が、本当に個々の子どもたちの手に届くようなシステムを構築していっても
らいたいと期待しています。

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【3】NISEトピックス
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●業務部の活動紹介(4) 教育情報部の活動について
                新平 鎮博(教育情報部上席総括研究員)

 本研究所の教育情報部では、特総研が担うミッションのうち、「情報普及」
を担当しています。本研究所が発信できる情報は、研究成果と収集した様々
な情報になるかと思います。その中で、現在、情報部では、二つのライン、
発達障害教育情報センターと特別支援教育総合情報担当で、情報発信を行っ
ております。
 現時点では、全ての情報を一元的に担当しておりませんが、これから、広
報を含めて情報普及の検討をしたいと考えているところです。情報普及には、
印刷された紙媒体、DVDなどの映像媒体、そして、インターネットを通じた
Webサイトによる情報発信が行われます。これから、特に、Webサイトによる
情報発信が重要になるかと思います。まずは、Webサイトを見て頂けるよう
な広報として、紙媒体(見やすく、インパクトのあるリーフレット)を利用
することや研究員が様々な機会を通じて紹介を行うことなど検討を行ってい
ます。一方で、魅力的なWebサイトの構築が必要です。そこで、上記の二つ
のラインでは、日々、利用しやすいサイトをめざしております。
 まず、発達障害教育情報センターでは、発達障害教育に関する研究成果や
収集した情報を提供しております。現在、7つの柱、 (1)支援や指導方法に
ついて知りたい、(2)発達障害に関する研究が知りたい、(3)教材教具や支援
機器が知りたい、(4)研修講義(教員向け)が見たい、(5)国の施策・法令等
が知りたい、(6)教育相談に関する情報が知りたい、(7)イベント情報、のコ
ンテンツを提供しております。ぜひ、一度、ご覧ください。
 特別支援教育総合情報担当では、特に、支援機器等教材等の研究成果や収
集した情報を提供しております。平成27年3月30日より、教材ポータルサイ
トをオープンしましたので、ぜひ、ご覧ください。また、今年度より、研究
所のiライブラリーの展示に加え、支援機器等教材の地域展示会の開催を始
めました。地域で実施される場合には、ぜひ、ご参加頂き、実際の機器に触
れて頂ければよいかと思います。なお、iライブラリーのホームページも、
今年度、リニューアルする予定です。
 二つの情報ラインで共同して、現在、本研究所と教育委員会、特別支援教
育センターとの連携を深めて、より多くの情報を提供できるように計画をし
ております。

○発達障害教育情報センターのWebサイトはこちら→
 http://icedd.nise.go.jp/
○特別支援教育教材ポータルサイト(支援教材ポータル)のWebサイトはこ
ちら→
 http://kyozai.nise.go.jp/

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【4】研究紹介
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●[中期特定研究(インクルーシブ教育システムに関する研究)]
インクルーシブ教育システム構築に向けた取組を支える体制づくりに関する
実際的研究 -モデル事業等における学校や地域等の実践を通じて-(平成
25~26年度)
               笹森 洋樹(教育情報部上席総括研究員)

 本研究では、インクルーシブ教育システム構築に向けた取組を進める上で、
地域(市町村)における体制づくりにおいて重視すべき内容について、文部科
学省のインクルーシブ教育システム構築モデル事業等の実践を通して検討し
ました。特別な教育的ニーズのある子どもに対する合理的配慮がその基礎と
なる環境整備のもとで効果的に実施されるために、人口規模の違い等も考慮
し、地域(市町村)における体制づくりに必要かつ重視すべき内容を実践事例
とともにまとめました。
 体制づくりにおいて重視すべき内容は、全国のどこの地域(市町村)におい
ても等しく取り組むべきもの(ナショナルミニマム)のグランドデザインとし
て、8つの視点からまとめています。8つの視点は、「システム構築に向けて
のビジョン」「行政の組織運営」「乳幼児期からの早期支援体制」「就学相
談・就学先決定」「合理的配慮、基礎的環境整備」「地域資源の活用」「教
育の専門性」「社会基盤の形成」としました。インクルーシブ教育システム
では、多様で柔軟な仕組みを整備し、それが連続性のある支援としてライフ
ステージごとにつながっていく必要があります。体制づくりには、人や機関
がつながる仕組みの検討が重要になります。

○本研究の研究成果サマリーはこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/resources/content/10562/20150605-100632.pdf

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【5】NISEダイアリー
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          「チーム学校」づくり
            宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 7月8日、第一期特別支援教育専門研修の閉講式が行われた。75名の研修
員を無事送り出し、研究所にも、しばし静かな一時が訪れた。
 梅雨の晴れ間に子どもの歓声が聞こえた。隣の学校の子ども達の声だ。久
し振りに子どもの様子が見たくなり、授業参観に出掛けた。賑やかな声は、
幼稚部の方から聞こえてくる。行ってみると、広場に簡易プールを設え、幼
稚部全員で水遊びの最中だった。水に浸かったり、ホースやじょうろで水を
掛けたりと、子ども達が思い思いに先生と一緒に楽しんでいる。
 すると、いつもと違う先生の姿が目に入った。寄宿舎指導員の先生が、子
どもと一緒に水遊びに興じているのである。お手伝いにでも駆り出されたの
か、それとも自分から買って出たのか。いずれにしても、なぜか新鮮な気持
ちになった。
 こうしたことは、以前は当たり前のように見掛けられた気がする。学級懇
談会の折には寄宿舎の先生が遠方の保護者に替わって出席し、子どもの様子
を聞かせてくれたり、こちらの話を聞いて保護者に伝えてくれたりしていた。

 そんなことに思いを巡らしている時、ふと、こんな言葉を思い出した。
「チーム学校」である。財政的に厳しい昨今の状況で、学校が抱える多様で
複雑な教育課題に対応するため、地域の方々や福祉等の専門家などの協力を
得て、チームとして学校の教育力を高めようという構想である。中教審の作
業部会で議論され、6月に中間報告案がまとめられている。
 学校における、こうした多様な人材の活用については、これまでもそれぞ
れの地域の実情に応じて、様々な取組が試みられてきた。図書室の本の整理
や貸し出しを保護者の協力で実施したり、地域の人材を活用した読み聞かせ
や通学路の安全確保が行われたりする事例が見受けられる。
 特別支援教育における支援員の活用なども、それに類することである。

 「チーム学校」構想は、これからの学校教育の在り方を模索する一つの方
向性を示している。様々な人の力を借りることで、先生と子どもとの関わり
の時間を確保し、本来、学校が目指すべきことである子どもの「可能性の伸
長」に集中しようということであろう。そんな学校づくりを進める際に、ま
ずは、今いる学校の教職員の意識を変えていく必要性があるように思う。そ
の一つは、考え方の柔軟性を発揮することだ。そして、「何が必要か」、
「どのように工夫していこうか」と、自ら発想することが必要ではないか。
 「チーム学校」構想を生かすためには、今いる人間同士の率直な意思の疎
通を図り、新しく入る人との「協働」が上手く機能するように整えておくこ
とが必要だと思う。
 そして、私たちにとっては、「チーム学校」に限らず、「チーム研究所」
を模索したいものだと思う。

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【6】研修員だより
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 今号は、平成23年度第二期特別支援教育専門研修を修了された宮尾尚樹先
生からお寄せいただきました。

「久里浜の海が私に与えてくれたこと」
              宮尾 尚樹(長崎県立諫早特別支援学校)

 平成23年9月から11月の10週間、私が選択した肢体不自由教育専修の24名、
病弱教育専修の5名、知的障害教育専修の79名の計108名が、人には108ある
といわれる煩悩と日々向き合いながら、共に学び合うことができました。
 特別支援教育に関する基礎基本、さまざまな理論や実践等を講義や演習、
実地研修、研究協議などを通して学びましたが、私が一番に思い出すのは、
講義後に実施した自主学習会です。研修棟の一室をお借りしたり宿泊棟の学
習室に集まったりして、時には研究所の先生方に時間外にも関わらず講師や
アドバイザーとして参加をいただきました。ある会では、授業の充実のため
に自校の教育課程について改善の方向性を模索している研修員が、各校の週
時程を持ち寄って自校のウリや課題を参会者に説明し合いました。教科の指
導、自立活動の指導、各教科等を合わせた指導の取扱いや時数というのは、
まさに多種多様であることを実感した学習会でした。この経験から私は、特
別支援学校におけるカリキュラム・マネジメントを明らかにしていこうと考
えるようになりました。久里浜の海は、日々の授業や校務で狭くなりがちな
私の視野や考え方を広げてくれました。本当に感謝しています。

○長崎県立諫早特別支援学校のWebサイトはこちら→
 http://www.news.ed.jp/isahaya-ss/

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【7】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=87682&lang=ja

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【8】編集後記
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 101号という新たな始まりに際して、「始まり」にまつわることわざを思
い起こしました。お隣の国のことわざで、日本語に訳すと「始まりは半分だ」
というものです。 「一度何かを始めたらそれは半分成し遂げたと同じことだ」
という意味で、「何事もまずはやってみる事が肝心だ。その先、成果につな
がる。」という訓示です。「石橋をたたいて渡る」慎重さも、もちろん大切
です。でも、「どうしようかな、うまくできるかな・・・」と尻込みしがち
な私は、おおらかな気持ちにさせてくれるこのことわざが、好きです。教員
時代は、「やらせる」ことに性急にならず、「ですぎた支援」をしないで、
その子が自ら準備して、「やる気」になって行動するのをどこまで導くかを
自分自身の課題としていました。「自分から始めることの大切さ」を説くこ
のことわざは、座右の銘でもありました。
 世界全体が急速に変化する中で、様々に新たなトライをしていくことが求
められます。そんな時に、「始まりは半分だ」を一歩踏み出すきっかけとし
て思い出していただけたら嬉しいです。
 国立特別支援教育総合研究所(特総研)は、共生社会の形成に向けたイン
クルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進に寄与していきた
いと思います。そうした特総研の取組をはじめ、様々な価値ある情報を提供
できるよう、メールマガジンの充実に努めます。今後とも、よろしくお願い
申し上げます。
                                     (第101号編集主幹 長沼 俊夫)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第101号(平成27年8月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
          ([アットマーク]を@にして送信してください。)

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