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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第102号(平成27年9月号)
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■目次
【お知らせ】
・研究所公開のご案内
・研究成果報告書サマリー集と研究成果報告書のWebサイト掲載について
・平成27年度発達障害教育指導者研究協議会の開催(終了報告)
・平成27年度特別支援教育教材・支援機器等活用研究協議会の開催(終了
報告)
【100号記念連載コーナー】
【研究紹介】
・専門研究B「知的障害教育における組織的・体系的な学習評価の推進を促
す方策に関する研究-特別支援学校(知的障害)の実践事例を踏まえた検
討を通じて-」(平成25~26年度)
【連載コーナー】
・諸外国におけるインクルーシブ教育システム構築の状況
 第1回 諸外国における障害のある子どもの教育の現状
【NISEダイアリー】
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】お知らせ
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●研究所公開のご案内
 本研究所の一般公開を11月7日(土)に開催します。
 本年度の研究所公開では引き続き、「子どもとともに」を全体テーマとし、
学校や生活環境における、障害のある子どもと共に学ぶための様々な配慮や
工夫等をわかりやすく紹介します。
 また、新たな企画として、映画「みんなの学校」の上映会や障害者スポー
ツ体験(ブラインドサッカー)等も実施します。詳細は、次号にてお伝え致
します。
 皆様お誘い合わせの上、お気軽にお越しください。

●研究成果報告書と研究成果報告書サマリー集をWebサイトに掲載
 平成26年度に終了した研究課題(専門研究3課題、共同研究1課題)の成
果をわかりやすく普及するため、その成果を簡潔にまとめた「研究成果報告
書サマリー集」を、本研究所Webサイトに掲載するとともに、全国の市区町
村教育委員会等へ配布しておりますので、是非ご活用ください。
 また、各研究成果報告書については、本研究所Webサイトに9月上旬掲載
予定となっておりますこと、併せてお知らせいたします。
 研究成果報告書サマリー集をご覧いただき、詳細については必要に応じ、
各研究成果報告書を閲覧、ダウンロードしていただければと考えております。

   
○研究成果報告書サマリー集はこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/7,10562,32,133.html
○研究成果報告書(専門研究)はこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/7,0,32,142.html
○研究成果報告書(共同研究)はこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/7,391,32,135.html

●平成27年度発達障害教育指導者研究協議会の開催(終了報告)
 7月30日~7月31日、本研究所において「発達障害教育指導者研究協議会」
を開催しました。本研究協議会は、各都道府県等で発達障害のある幼児児童
生徒に対する指導・支援に関して指導的立場にある教職員による研究協議等
を通じ、専門的知識及び技能を高め、各地方公共団体の支援、指導の充実に
資することを目的として毎年開催しているものです。本年度は、全国から特
別支援学校、幼小中高等学校教員や指導主事等107名が参加しました。
 一日目は、文部科学省による行政説明「発達障害教育の現状と課題につい
て」、本研究所職員による講義「インクルーシブ教育システム構築に向けた
取組を支える体制づくり-発達障害のある幼児児童生徒への支援を中心に-」
等を行いました。
 二日目は、2つの分科会に分かれ、話題提供及びグループ協議が行われま
した。第一分科会では「幼稚園等から小学校への支援のつながり」をテーマ
に、「幼稚園から小学校への支援のつながり-子どもの育ちを豊かにつなぐ、
幼児教育センターの取り組みから-」という内容で話題提供がありました。
第二分科会では「中学校から高等学校、卒業後への支援のつながり」をテー
マに話題提供「中学校から高等学校、卒業後への支援のつながりの実践事例
-「働く」を支える-」という内容で話題提供がありました。その後のグル
ープ協議では、6~8名の班に分かれて、各参加者のレポートに基づく報告
や最新の情報が活発に交わされ、各教育現場で取り組むべきことについて、
多面的な視点で捉えることのできるよい機会となりました。

●平成27年度特別支援教育教材・支援機器等活用研究協議会の開催(終了
報告)
 8月17日~18日、本研究所において「特別支援教育教材・支援機器等活用
研究協議会」を開催しました。本研究協議会は、本研究所特別支援教育教材
普及促進事業として、平成26年度末に新たに構築した「特別支援教育教材ポ
ータルサイト」とともに、その普及活動の一環として、各都道府県の指導者
層を対象に開催したものです。
 一日目は、文部科学省による最新の特別支援教育教材・支援機器に係る行
政説明、続いて、東京大学の中邑賢龍教授から特別講演をしていただきまし
た。二日目は、兵庫教育大学の小川修史講師によるワークショップを行いま
した。また、参加者の皆さんには本研究所が有する教材支援機器等展示室
(iライブラリー)、発達障害教育情報センター、スヌーズレン、生活支援研
究棟の各施設を見学していただきました。
 暑さの厳しい中、ご協力いただいた講師の先生方、ご参加いただいた皆様
にこの場を借りて感謝申し上げます。

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【2】100号記念連載コーナー
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●学校関係者からのメッセージ
        山口 伸一郎(埼玉県:県西南部地域特別支援学校(仮称)

               開設準備室 開設準備委員長)

 私は、平成23年度に1年間、研究研修員としてお世話になりました。特別
支援教育各分野において最新の研究に取り組まれている気鋭の先生方から日
常的にご指導いただくことができた1年間専門研修等で全国各地から集まっ
てきた先生方と、昼夜を問わず様々な意見交換ができた1年間は、私にとっ
て本当にかけがえのない時間でした。
 今は、来年4月に開校する知的障害特別支援学校(普通科・職業学科を置
く高等部単独校)の開校準備に携わっています。(校名は「埼玉県立入間わ
かくさ高等特別支援学校」に決定)。しかし、日常に追われていると、久里
浜で学び、語り合った理念や思いを見失いそうになる局面があります。そん
な時、月ごとに配信されてくる本メールマガジンは、最新の情報源であるだ
けでなく、ぼんやりしている私を叱咤するカンフル剤でもあります。今後と
も、全国の現場で奮闘している者たちの、草莽(そうもう)の志を繋いでく
ださい。貴研究所と本メールマガジンのさらなる発展をご祈念申し上げます。


○県西南部地域特別支援学校(仮称)開設準備室Webサイトはこちら→
 http://www.pref.spec.ed.jp/h28seinan-sh/

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【3】研究紹介
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●専門研究B「知的障害教育における組織的・体系的な学習評価の推進を促
す方策に関する研究 -特別支援学校(知的障害)の実践事例を踏まえた検
討を通じて-」(平成25~26年度)
             松見 和樹(教育研修・事業部主任研究員)
             涌井 恵 (教育情報部主任研究員)

 平成22年3月の「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」(中央
教育審議会、2010)では、「各学校における学習評価は、学習指導の改善や
学校における教育課程全体の改善に向けた取組と効果的に結び付け、学習	
指導に係るPDCAサイクルの中で適切に実施されることが重要である」と
指摘されています。しかし、知的障害教育においては、知的障害の状態等や
興味・関心、教育的ニーズの個人差が大きい学習集団にて授業が展開される
ため、一つの授業や単元において同一の評価規準を児童生徒全員に一律に設
定することができないという難しさがあります。さらに、先行研究(国立特
別支援教育総合研究所、2012)による調査結果から、学習評価を行う際に共
通の観点を定めたり、評価の時期や方法を共有化したりする等して組織的に
取組み、教育課程の改善にまで至っている学校が少ないことが明らかになり
ました。
 そこで、本研究(研究代表者:尾崎祐三)では、知的障害教育における組
織的・体系的な学習評価の推進を促す方策について、(1)観点別学習状況の
評価の在り方、(2)学習評価を学習指導の改善に活かすための工夫、(3)学
習評価を児童生徒への支援に活用する工夫、(4)組織的・体系的な学習評価
の推進について、研究協力校の事例や全校調査によって検討を行い、それら
の在り方と課題を明らかにしました。
 詳細は下記研究成果報告書サマリーをご覧ください。

○研究成果報告書サマリーはこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/resources/content/10562/20150605-100843.pdf

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【4】連載コーナー
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●諸外国におけるインクルーシブ教育システム構築の状況
 第1回 諸外国における障害のある子どもの教育の現状
                 棟方 哲弥(企画部上席総括研究員)

 本研究所では、平成28年1月21日(木)にインクルーシブ教育システムの
構築に関する国際シンポジウムを開催します(参加募集開始は11月から)。
このシンポジウムでは、基調講演に続いて、本研究所と協定を締結している
フランス国立特別支援教育高等研究所(INS-HEA)及び韓国国立特殊教育院(KNISE)
の専門家からの報告により、初等中等教育におけるインクルーシブ教育シス
テム構築に向けた現状、課題を検討し、今後の展望を明らかにしていく予定
です。本連載は、このシンポジウムの開催に向けたカウントダウン連載の形
で、フランスと韓国の特別支援教育の状況や両国の特別支援教育のナショナ
ルセンターについて、企画部の調査・国際担当職員が全7回で紹介していき
ます。第1回は、フランスと韓国以外の国も広く含めた諸外国の状況につい
て概観します。

○この記事に関する詳しい内容はこちら→
 諸外国における障害のある子どもの教育の現状
 http://www.nise.go.jp/cms/6,10765,13,257.html

○次回以降の内容(予定)
第2回	フランス国立特別支援教育高等研究所(INS-HEA)について
第3回	フランスにおける障害のある子どもの教育について
第4回	韓国国立特殊教育院(KNISE)について
第5回	韓国における障害のある子どもの教育について
第6回	NISE特別支援教育国際シンポジウム報告(速報)
第7回	NISE特別支援教育国際シンポジウム報告(全文)と今後の展望

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【5】NISEダイアリー
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         「お盆明けの研究協議会」
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 8月17日と18日に、今年度の特別支援教育教材・支援機器等活用研究協議
会が開かれた。お盆休みの直後ながら、全国から52名の参加者を得た。配付
資料を眺めていて、興味のある文を見付けた。「学校にコンフリクトはある
か?」である。コンフリクトとは、衝突や葛藤、対立などを表す言葉である
が、「学校には、衝突や対立があるか?」では、生々しい。そこで、今の学
校の現状等を想像しながら、「今、学校では、子どもの指導に関して、教員
同士が侃々諤々議論したりする機会はあるのだろうか?」と考えた。つまり、
指導に関して、例えば子どもの見方や指導の内容・方法、そして指導の評価
等についての教員相互の考え方の衝突があるかという意味で受け止めた。

 コンフリクトについて調べているうちに、「コンフリクトマネジメント」
という言葉に出会った。そこには、和を尊ぶ日本においては、コンフリクト
を引き起こさないように、できるだけ避けることが重んじられてきたという
考えが述べられていた。しかし、変革を推し進めていくためには、戦略的に
コンフリクトを捉えていくことが必要だとも記されていた。

 これらを通して思うことは、学校においても、あるいは研究所においても、
子どものことや指導(研究)に関して、必要な議論を行い、そこで生じたコ
ンフリクトに上手く対処していくことの重要性だ。
 議論を活性化するためには、それなりの素地が求められる。自分の考えを
もつこと、それを相手に分かるように伝えること、そして、伝えるためには、
話す勇気も必要になる。その際に生まれた衝突や対立は、そのままにしてお
くと、潜在的なコンフリクトとして、人間関係や組織運営にマイナスに働く
ことになろう。したがって、コンフリクトを解消する術も身に付けなければ
ならない。これが意外と、言うは易く行うは難しである。先のコンフリクト
マネジメントにおいても、協調的にコンフリクトを解消していくことの大切
さを指摘していた。
 そのためには、当たり前のことだが、相手の意図を理解することが必要だ。
その前には、本音で話し合うことが前提となろう。そして、例えば、子ども
のため、あるいは指導(研究)のため、共通の課題を見付け、アイデアを出
し合い、それを相互に評価し合うことが理解に繋がる。

 学校には、様々なコンフリクトがある。それを意識せず、避けていたら、
よりよい指導や運営は望めない。そして、コンフリクトを解消しようとする
教員相互の努力が大切なのだろう。このことは学校に限らない。研究所にお
いても同様だ。活発な議論を経て生じたコンフリクトを上手く解消していく
地道な努力が重要だと思う。     

参考;「組織開発ハンドブック」 ピープルフォーカス・コンサルティング
編 東洋経済新報社

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【6】研修員だより
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 今号は、平成25年度第三期特別支援教育専門研修を修了された山根満吉先
生からお寄せいただきました。

「研修を終えて 今 考えていること」
              山根 満吉(島根県教育庁特別支援教育課)

 平成26年3月に研修を終えた頃の久里浜の空は、青く澄んでおり、出雲の
空は薄暗い雲に覆われており、対照的な空模様でした。しかし、出雲の空を
眺めて、安心したことを覚えています。それは、出雲に帰ってきたこととと
もに久里浜での3ヶ月間を通して島根の通級(島根の特別支援教育)が大切
にしてきたことを再確認することができたからなのかもしれません。いずれ
にしても出雲に帰ってきた日のことを今でも鮮明に覚えています。
 研修中、「島根から来ました。」そして、研修を終えると「研究所の○○
先生にお世話になりました。」という言葉のやりとりだけで、研究所の先生
方を始めとし、全国の先生方と繋がる機会を研究所の先生にたくさん作って
いただきました。以前、先輩から「この世界(特別支援教育)は仲間づくり
が大切。」と教えていただいたことを実感しています。
 研修後、私は行政という立場に身を置くことになりました。立場は違いま
すが、研究所で得た知見や人との出会いや繋がりを島根の先生方へ私のこと
ばで伝えていくことが今の私がしなければならないことであり、できること
であり、考えていることです。

○島根県教育庁特別支援教育課のWebサイトはこちら→
 http://www.pref.shimane.lg.jp/tokubetsushien/

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【7】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=69572&lang=ja

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【8】編集後記
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 まだまだ暑さは続いていますが、七十二候では「天地始粛(てんちはじめ
てさむし)」の時期、少しずつ秋を感じ始めました。
 さて、皆様は暑い夏をどのように過ごされたでしょうか。私は、帰郷の折
り、友人家族とともに「花火大会」に出かけました。夏の風物詩である「花
火」ではありますが、どこもたいへんな人出で、混雑はかないませんが、や
はり人の心を打つ伝統行事であり、昔から引き継がれているのだと思います。
 「花火」といえば、いつも思い出す話があります。それは、「ベルリンの
花火」です。第二次大戦後、ドイツは首都ベルリンで東西に分断されていま
した。皆さんご存じの「ベルリンの壁」です。そうした状況の中、1987
年、「ベルリン市制750年祭典」で7千発以上の花火が打ち上げられまし
たが、その花火を打ち上げたのが日本の花火師たちでした。
 ヨーロッパの花火は平面的なものでありましたが、日本の花火は全ての方
角から見ることのできる立体的なものでした。ベルリンの市民は、初めて見
る日本の花火に感動しますが、それは花火自体の美しさだけでなく、記者会
見に臨んだ花火師の佐藤勲さんの次のような言葉があったからです。
 「ベルリンの地上には壁がありますが、ベルリンの空には壁はありません。
どうぞ、西のお方も東のお方も、楽しんで下さい。」
 この言葉は、翌日の新聞の一面を飾り、それから2年後にベルリンの壁は
取り払われ、今に至っています。
 美しいものを美しいと感じ、共に楽しめること、そこに壁はありません。
伝統を守り続けている花火師の姿に、日本の文化があると感じました。現在、
「共生社会の形成」に向けて、さまざまな取組が行われようとしています。
花火を多くの人と共に楽しめることの意味を考えることも、その一つかと思
います。
 一緒に花火を見た友人からメールが届きました。「いい花火でした。心に
色が付きました。」
 本メルマガを通して、今後も皆様とともに「心の中の花火」を楽しめる
ことを願っております。
                   (第102号編集主幹 江田 良市)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第102号(平成27年9月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
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