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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第113号(平成28年8月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
熊本地震で被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。
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■目次
【お知らせ】
・平成28年度就学相談・支援指導者研究協議会の開催(終了報告)
・研究職員の公募について
【NISEトピックス】
・業務部の活動紹介(3)情報・支援部の活動について 
【研究紹介】
・インクルーシブ教育システム構築のための体制づくりに関する研究-体制
 づくりのガイドライン(試案)の作成-(平成27年度)
・今後の特別支援教育の進展に資する特別支援学校及び特別支援学級におけ
 る教育課程に関する実際的研究(平成26~27年度)
【連載コーナー】
・「地域実践研究」って何?
 第3回 「インクルーシブ教育システム構築に向けた研修に関する研究」
     の紹介
【NISEダイアリー】
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】お知らせ
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●平成28年度就学相談・支援指導者研究協議会の開催(終了報告)
 7月14日~15日、本研究所において「就学相談・支援指導者研究協議会」
を開催しました。就学相談・就学先決定の在り方は、インクルーシブ教育シ
ステムの充実を含め、共生社会の形成を目指す上での重要な事項の一つです。
本研究協議会は、各都道府県及び指定都市において教育支援委員会(仮称)
等、就学相談・支援に関わる業務に関し、指導的立場にある方々による研究
協議等を行い、担当者の専門性の向上及び就学相談・支援の充実を図ること
を目的として、平成25年度から毎年この時期に開催しているものです。本年
度は、全国から指導主事等67名が受講しました。
 一日目は、文部科学省による特別支援教育を取り巻く情勢にかかる最新の
政策動向の説明に続いて、最前線の研究紹介として本研究所職員による「イ
ンクルーシブ教育システム構築のための体制づくりに関する研究-学校にお
ける体制づくりのガイドライン(試案)の作成-」に関する講義を行いまし
た。二日目は、「本人・保護者・学校・教育委員会の合意形成による就学相
談を実現するためのシステム・体制づくり」をテーマとした特色ある取組の
情報提供が行われ、県の取組としては「市町村の就学相談を支える長野県の
取組について」、指定都市の取組としては「岡山市における就学相談につい
て」が発表されました。
 また、両日を通じて、受講者レポートに基づく少人数での班別協議を行い、
各地域における就学相談・支援の取組についての最新状況や課題について意
見が交わされながら、活発な研究協議が行われました。最後には、全体会と
して、各班の協議状況を報告し合い、文部科学省の特別支援教育調査官から
の指導・助言をいただきました。

●研究職員の公募について
 研究職員を下記のように募集しています。

◆採用予定職種
 総括研究員(研究職4級)、主任研究員(研究職3級)、
 研究員(研究職2級)のいずれか
◆任  期 任期なし。ただし、上記職種のうち研究員については、
      経歴等を勘案し、任期付(平成29年4月1日から
      平成32年3月31日まで)となることもある。
◆募集人員 若干名
◆担当職務  主として、下記の職務に従事する。
 ◇主として肢体不自由分野、病弱・虚弱分野又は言語障害分野における
  特別支援教育に関する研究
 ◇本研究所が実施する研修等における講義・実習等及び本研究所が実施
  する諸事業の担当
 ◇所属部署における業務
◆応募資格
 ◇修士以上の学位、若しくはそれと同等以上の研究業績を有する者
 ◇肢体不自由分野、病弱・虚弱分野又は言語障害分野における特別支援
  教育に関する研究業績のある者
 ◇肢体不自由、病弱・虚弱又は言語障害のある子どもの教育経験(教育
  行政を含む)があることが望ましい
◆採用予定日 平成29年4月1日
◆応募期限  平成28年9月16日(金)(必着)

○公募の詳細はこちら→
 https://www.nise.go.jp/cms/6,0,77.html 

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【2】NISEトピックス
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●業務部の活動紹介(3)情報・支援部の活動について
             明官 茂(情報・支援部長/上席総括研究員)
 本研究所の情報・支援部は、特総研が担うミッションのうち、「情報収集
・情報発信及び関係者の理解促進」を担当しています。情報・支援部には、
三つのライン、「情報戦略担当」「学校教育支援・連携担当」「発達障害教
育情報センター」があり、それぞれ戦略的かつ計画的な情報収集・発信、校
長会等を中心とした各種団体との連携及び日本人学校等への相談支援、発達
障害教育に関する情報提供・理解啓発等を行っています。
 情報戦略担当は、特総研の情報発信を戦略的に検討する部署です。中心と
しては、特総研Webサイトの情報発信や運用に関する企画、支援機器等教材
の研究成果や収集した情報の提供及び研究所セミナーを担当しています。平
成27年3月30日より、特別支援教育教材ポータルサイト(通称:支援教材ポ
ータル)をオープンしました。平成28年7月現在で、支援機器・実践事例を
含めて648事例の情報を提供しています。また、研究所のiライブラリーの
展示に加え、昨年度から支援機器等教材の地域展示会の開催を始めました。
 今年度は、神奈川、埼玉、兵庫、群馬の各地域で実施しますので、ぜひご
参加頂き、実際の機器に触れて頂ければよいかと思います。なお、今年度の
研究所セミナーは平成29年2月17日(金)・18日(土)に国立オリンピック
記念青少年総合センターで開催いたします。最新の研究成果や情報を提供し
ますので、是非ご参加ください。
 学校教育支援・連携担当は、都道府県教育長協議会や各種校長会と連携し
た調査研究を行うとともに特別支援教育に関する情報提供を行っています。
特別支援学校はもとより、幼稚園や小・中・高等学校との連携を深め、各種
校長会等を通じた情報提供に力を入れています。また、日本人学校等への支
援では、Webを通じた教育相談、来所による相談も受け付けています。近年
海外への転勤が増えるに伴い、日本人学校等での特別支援教育に関する相談
も増加しています。
 発達障害教育情報センターでは、発達障害教育に関する研究成果や収集し
た情報を主にWebサイトにて提供しています。現在、7つの柱、(1)支援や指
導方法について知りたい、(2)発達障害に関する研究が知りたい、(3)教材
教具や支援機器が知りたい、(4)研修講義(教員向け)が見たい、(5)国の
施策・法令等が知りたい、(6)教育相談に関する情報が知りたい、(7)イベ
ント情報、のコンテンツを提供しています。ぜひ、一度、ご覧ください。
 現在、三つのラインで共同して、本研究所と教育委員会、特別支援教育セ
ンターとの連携を図り、より多くの情報の提供を計画しています。

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【3】研究紹介
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●インクルーシブ教育システム構築のための体制づくりに関する研究-
 体制づくりのガイドライン(試案)の作成-(平成27年度)
             笹森 洋樹(情報・支援部 上席総括研究員)

 インクルーシブ教育システムにおいては、本人及び保護者と学校や教員の
間で適切な指導と必要な支援について合意形成が図られ、関係者の共通理解
のもと、障害の状態や教育的ニーズに応じて基礎的な環境が整備され、適切
な合理的配慮が提供されることが望まれます。そのための体制づくりは教育
現場の喫緊の課題となっていますが、教育現場ではまだ情報が少なく、新し
い用語だけが先行し、断片的な情報による誤解や、わからないことに対する
不安と戸惑いもみられています。
 そこで本研究では、学校におけるインクルーシブ教育システム構築のため
の体制づくりに関して重視すべき内容について、研究協力機関における取組、
文部科学省モデル事業地域や学校現場からの情報収集、関連する文献や諸外
国の動向等も参考に検討し、その内容を体制づくりのガイドライン(試案)
としてまとめました。学校における体制づくりは、すべての教員の参画のも
とで進めていくことが大切であることから、体制づくりのガイドライン(試
案)は、教育現場にわかりやすく内容を伝えることを意図しました。
 体制づくりのガイドライン(試案)の内容については、教育現場における
情報収集やニーズを把握し、学校における体制づくりに関して重視すべき内
容についてその重要性や優先度等から検討し、「学校における体制づくりで
おさえておきたいこと」「インクルーシブ教育システム構築のための体制づ
くりのQ&A」「インクルーシブ教育システムに関する知っておきたい基礎
知識」の3つに分けてまとめました。
 インクルーシブ教育システム構築のための体制づくりは、教職員の共通理
解のもと学校が主体的に進めることが望まれます。そのためには国や自治体
が学校を支える組織的なシステムの構築が重要であり、本研究で示したよう
なガイドラインが実行に移され、具体的な取組事例として集積され、検証さ
れていくことが必要です。また、インクルーシブ教育システム構築のために
は、広く国民への理解啓発が必須であり、社会的障壁の除去についての意識
を高めていく必要があります。

○本研究の研究成果サマリーはこちら→
 https://www.nise.go.jp/cms/resources/content/11935/20160620-104940.pdf

●今後の特別支援教育の進展に資する特別支援学校及び特別支援学級に
 おける教育課程に関する実際的研究(平成26~27年度)
                長沼 俊夫(研修事業部 総括研究員)

 平成24~25年度専門研究A「特別支援学校及び特別支援学級における教育
課程の編成と実施に関する研究」では、特別支援学校においては、学習指導
要領の下での個々のニーズに対応した教育課程の編成について実施の現状と
課題とともに、特色ある取組の実際を明らかにしました。また、特別支援学
級においては、教育課程の編成・実施における課題として、在籍児童生徒の
実態の多様性が大きいという状況に対して、指導内容の重点化・焦点化を図
ること、自立活動の指導を適切に行うこと等が明らかになりました。
 本研究では、この前研究を踏まえた特別支援学校及び特別支援学級の教育
課程に関する研究を進めました。
 特別支援学校については、多様な教育的ニーズに応える教育課程の編成・
実施を適切に評価することが、教育課程の改善に向けて重要であると考え、
教育課程の評価について検討しました。全国特別支援学校を対象とした質問
紙調査と研究協力機関(特別支援学校)への訪問調査により、教育課程の評
価の現状と課題を明らかにしました。その上で、教育課程の評価の際の観点
と方法を整理し、示しました。
 特別支援学級については、学級に在籍する児童生徒の多様性への対応や担
当する教員の専門性についての課題をより明確にするため、教育課程の編成
・実施に関する検討をしました。特別支援学級担任への面接による調査から
質的なデータを収集し、特別支援学級の教育課程編成に関する取組の実際と
担当教員の現状と課題を明らかにすることができました。また、市教育委員
会担当者からの情報収集と協議により、特別支援学級の教育課程の編成・実
施における重要な考え方と具体的な取組の例を示しました。
 詳細は、下記研究成果報告書サマリーをご覧ください。
 また、本研究の成果を「小学校・中学校管理職のための特別支援学級の教
育課程編成ガイドブック-試案-」にまとめました。

○本研究の研究成果サマリーはこちら→
 https://www.nise.go.jp/cms/resources/content/11935/20160620-105247.pdf

○「小学校・中学校管理職のための特別支援学級の教育課程編成ガイドブッ
ク-試案-」はこちら→
 https://www.nise.go.jp/cms/7,11519,32,142.html

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【4】連載コーナー
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●「地域実践研究」って何?
 第3回 「インクルーシブ教育システム構築に向けた研修に関する研究」
の紹介
           研究代表者 長沼 俊夫(研修事業部総括研究員)

 地域実践研究について、今回は「インクルーシブ教育システム構築に向け
た研修に関する研究」の概要を紹介するとともに、この研究に参画している
地域実践研究員の声をお届けします。
 この研究は、地域実践研究の二つのメインテーマのうち「インクルーシブ
教育システム構築に向けた体制整備に関する研究」のサブテーマの一つとい
う位置づけで、平成28年度から2年間の計画で実施するものです。
 インクルーシブ教育システム構築の推進には、特別支援教育の一層の充実
が重要であり、その基盤となるのは、児童生徒一人一人の多様なニーズに応
じた指導・支援の充実です。そのためには、都道府県や市区町村の目指すビ
ジョンを踏まえた上で学校全体の専門性向上を目指した研修の在り方を示す
ことが必要です。
 この研究では、本研究所の先行研究で提案された研修ガイド等を参考に、
インクルーシブ教育システム構築の推進を目的とした教員の資質・能力の向
上につながる研修の企画・運営及び評価の在り方を提案します。
 本研究の今年度の指定研究協力地域は、埼玉県です。埼玉県内の秩父市、
熊谷市、越谷市を研究協力機関として、市教育委員会が主催する教員研修の
企画・運営とその評価について、検討します。
 以下、この研究に埼玉県から参画いただいている地域実践研究員の声をお
届けします。

                      地域実践研究員 西 聡
                      (埼玉県)

 久里浜で学んで4か月、季節は春から夏になりました。地域実践研究員室
からみえる景色はオーシャンビューでとてもきれいです。
 実はこの久里浜は自然環境の他にも素晴らしい環境があります。
 資料や文献が豊富であることは言うまでもありませんが1番は人です。
 身近に国を代表する研究者が多数いて直接指導をしてもらえることが大き
いです。これは会議や研究協議会等だけでなく、何気ない話の中にも解決の
ヒントとなることが多々あるのです。まさに、生活しているだけで力がつい
てしまうのです。まるで魔法のようです。
 私はこの恵まれた環境の中、埼玉県の全ての子どもが力を最大限に発揮で
きるようにする研修プログラムを作成しています。
 研究班の先生方には、埼玉県教育委員会、秩父市教育委員会、熊谷市教育
委員会、越谷市教育委員会に足を運んでもらいアドバイスを受けています。
現場ですぐに、しかも短時間で活かせる研修プログラムを埼玉県に還元でき
るよう、素晴らしい環境の中で研究に励みたいと思います。

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【5】NISEダイアリー
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        「社会に開かれた教育課程」
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 平成26年11月の諮問を受けて、中央教育審議会では、次期の学習指導要領
等の改訂に係る審議が進められてきた。平成27年8月には、初中教育分科会
教育課程部会に設けられた教育課程企画特別部会において論点整理がまとめ
られた。その後、学校種別の部会や教科等のワーキンググループが設けられ、
個別具体の議論が行われた。そうした会議も一段落し、平成28年の夏には、
審議のまとめが出される予定である。
 そんな中で、カリキュラム・マネジメントやアクティブ・ラーニングなど
の言葉が話題に上ってきた。今、一区切りした議論を振り返りながら、今回
の改訂の大きなテーマである標記の言葉が、特別支援学校において、とても
重要な意味を有しているように感じている。
 勿論、小・中学校と同様に、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を
創るという目標を共有し、社会と連携・協働しながら、未来の創り手となる
ために必要な知識や力を育む」という「社会に開かれた教育課程」の理念は、
特別支援学校においても共通である。
 その際、特別支援学校においては、それらの概念や言葉をより現実的に砕
いた受け止め方も必要な気がする。
 というのは、特別支援学校では、これまで、自校の教育課程を、それなり
に自信をもって地域や一般の方々へ発信してきただろうかという懸念がある
からである。
 私の取り越し苦労であればありがたいが…。
 今回の学習指導要領等の改訂では、「何ができるようになるか」、そのた
めに「何を学ぶか」、そしてそれを「どのように学ぶか」という視点で議論
が進められてきた。これらのことは、特別支援学校においても肝に銘ずべき
ことである。兎角、子どもの実態が個別に異なることから、学校としての教
育課程よりも、個々の子どもの指導計画に目がいきがちであった。それは、
学校のホームページなどを眺めても気が付くことである。教育課程と言うよ
りも、学習活動の様子などが、写真で紹介されていたり、週の時程表や日課
表が掲載されていたりする。
 特別支援学校の場合、子どもの実態が異なることから、「ここまで育て上
げる」という目標を示すことが難しい場合もあろう。でも、それぞれの学校
は、一生懸命、子どもの可能性を伸ばすために努力している。このことは、
恐らく全ての特別支援学校で見受けられる実際の姿である。
だからこそ、「この子には、何ができるようにしたいのか」、そのために、
「教科指導として、あるいは自立活動の指導として、こんな学習内容を提供
している」、そして「子どものペースに合わせてこんな指導の工夫をしてい
る」というように、各学校の教育の中身を発信していくことが重要な気がす
る。
 今回の改訂を、特別支援学校の存在をアピールする機会にしたい。そのた
めには、日々の教育実践が鍵を握る。その教育実践の大枠となる「教育課程」
を、広く社会に知っていただく機会としたいと思う。

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【6】研修員だより
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 今号は、平成19年度第一期特別支援教育専門研修を修了された橋本勉先生
からお寄せいただきました。

「人とつながる大切さ、喜びを教えてくれた場所」
                 橋本 勉(奈良県立二階堂養護学校)

 昨年度、短期研修でお世話になっていた職場の後輩を訪ねて、9年ぶりに
研修員棟へお邪魔しました。ロビーに足を踏み入れると、仲間と過ごした時
間が、ゆっくりと心地よく蘇って、身体に染みこんできました。
 懐かしく温かい思い出達。ある先生が発した「日本の特別支援教育をどげ
んかせんといかん!!」というメッセージから始まった研修。純粋に夢や想
いを語り合い、泣いたり笑ったりした仲間。グループ発表でなかなか話合い
が進まない私達を温かく見守り、導いてくださった先生方。スポーツ交流で
白球を追いかけあった職員のみなさん。神輿を担ぐことで仲間と一緒に想い
を形にした地域の方々。いろんな方の顔や言葉が思い出されました。
 2か月という期間での濃い経験から、知識はもちろんですが、「いろいろ
な立場や考えの人たちとつながりながら、想いを形にしていく難しさ、それ
を形にできたときに共有できる喜び。」を学びました。
 研修の最後に、現場に戻って大切にしていきたいことを発表しあったこと
を覚えていますか?私は今も、「人をつなげる。」を大切に取り組んでいま
す。特総研の仲間とつながっていることが今の私を確かに支えてくれていま
す。

○奈良県立二階堂養護学校のWebサイトはこちら→
 http://www.nps.ed.jp/nikaido-ss/

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【8】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=57792&lang=ja

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【9】編集後記
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 7月に入り研究所のある横須賀も蒸し暑く感じられる日が多くなってきま
した。部屋の窓から見える東京湾も霧で覆われることが多く、あれほどくっ
きりと見渡せていた対岸の房総半島も、時折薄らと稜線が見えるくらいです。
特に霧が濃い日には、ひっきりなしに船の汽笛が聞こえてきます。東京湾を
行き交う船が、ぶつからないように、汽笛を鳴らしてお互いの位置を知らせ
ながら、慎重に進んでいる様子がうかがえます。
 船の汽笛は排水量に比例していて、大きな船ほど低く太い音になっている
そうです。よく聞いてみますと、低く太い汽笛もあれば、高く細い汽笛もあ
ります。高く細い汽笛に対して、低く太い汽笛が呼応するのを聞いています
と、大きな船が周りの小さな船に気遣いながらゆっくりと進んでいる様子が
想像できます。
 先月の14日、15日には、全国の都道府県及び指定都市の方々にお集まりい
ただき、就学相談・支援指導者研究協議会が開催されました。研究協議では、
各地域における就学相談・支援の取組に関わる情報交換や意見交換が行われ
ました。共生社会の実現に向け、インクルーシブ教育システムの構築が進む
なか、障害のある子どもとその保護者に対する就学相談・支援には、より一
層の専門性が求められています。受講者の方々の、真剣な、また切実な想い
でお話しされる姿に、日々、子どものために奔走されている様子が想像され
ました。
 先が見えない濃い霧の中、霧の向こうから聞こえてくる汽笛にじっくりと
耳を傾け、相手の情報を読み取るとともに、こちらからも汽笛を発しながら
慎重に目的地を目指す船の様子に、子どもと保護者の声にじっくりと耳を傾
け、想いを受け止めるとともに、必要な情報を提供しながら、その子どもに
最も適した就学を目指す、就学相談・支援の様子が重なったところでした。
                   (第113号編集主幹 横山 貢一)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第113号(平成28年8月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
          ([アットマーク]を@にして送信してください。)

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いてはこちら→
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