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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第129号(平成29年12月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
■目次
【お知らせ】
・平成29年度国立特別支援教育総合研究所セミナーの開催について
・平成29年度国立特別支援教育総合研究所インクルーシブ教育システム普及
セミナーのご案内
・世界自閉症啓発デー2017 in よこすかのご案内
・平成30年度国立特別支援教育総合研究所研修事業計画について
・平成29年度研究所公開の開催(終了報告)
・平成29年度交流及び共同学習推進指導者研究協議会の開催(終了報告)
【NISEトピックス】
・第3回NISE特別支援教育国際シンポジウムの開催について
【海外情報の紹介】
・フィンランドの小中一貫校の訪問に関する報告
【連載コーナー】
・「地域実践研究員」だより[第5回]
【NISEダイアリー】
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】お知らせ
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●平成29年度国立特別支援教育総合研究所セミナーの開催について
 本研究所では、研究活動等の成果普及及び教育関係者や関係機関との情報
共有を図るため、毎年、本セミナーを開催しています。
 今年度は、「インクルーシブ教育システムの推進~多様な学びの場におけ
る特別支援教育の役割~」をテーマに、平成30年2月16日(金)、17日(土)の
二日間、国立オリンピック記念青少年総合センターを会場に実施します。
 1日目は、新学習指導要領に関連した基調講演、シンポジウムを、2日目
は、研究所紹介、研究成果報告、発達障害理解セミナー、ICT機器展示及び
演習、ポスター展示を行います。
 本セミナーが、参加された皆様にとって、特別支援教育の推進のための実
り多い機会となることを願っております。
 参加申込等の詳細は、研究所Webサイトに掲載しております。多数のご参
加をお待ちしています。

◇日時:平成30年2月16日(金)、17日(土)
◇会場:国立オリンピック記念青少年総合センター
   (東京都渋谷区代々木神園町3-1)
◇定員:700名
◇申込期間:平成29年12月4日(月)~平成30年1月19日(金)

○国立特別支援教育総合研究所セミナーの詳細はこちらから→
 http://www.nise.go.jp/cms/9,13793,22,119.html

●平成29年度国立特別支援教育総合研究所インクルーシブ教育システム普及
セミナーのご案内
 本普及セミナーは、本研究所のインクル-シブ教育システム推進センター
の活動内容や各地で実施されているインクルーシブ教育システム構築に向け
た取組をより多くの方に知っていただくことを目的としています。今年度は、
中国・四国地区(岡山県)、九州・沖縄地区(沖縄県)で開催いたします。
インクルーシブ教育システムに関する多くの情報をご紹介いたします。定員
に若干の余裕がありますので、お早めにお申し込みください。
 
◇インクルーシブ教育システム普及セミナー(九州・沖縄地区)
 日時:2017年12月16日(土)12:30~16:30(受付開始12:00)
 会場:沖縄県立総合教育センター(沖縄市与儀3-11-1)

◇インクルーシブ教育システム普及セミナー(中国・四国地区)
 日時:2017年12月17日(日)12:30~16:00(受付開始12:00)
 会場:ピュアリティまきび(岡山市北区下石井2-5-41)

○インクルーシブ教育システム普及セミナーの詳細はこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/6,11720,78.html

●世界自閉症啓発デー2017 in よこすかのご案内
 先月号でもご案内したとおり、今年度も筑波大学附属久里浜特別支援学校
と協力して「世界自閉症啓発デー2017 in よこすか」を開催します。本イベ
ントは、横須賀市障害者週間キャンペーンの一環として行うもので、今回で
9回目となります。
 今年度のテーマは、「知ろう つながろう ―自閉症のある子どもが学び
やすい学校や社会をめざして―」です。今回は、横須賀市教育委員会ともよ
り連携を深め、主に学校の教職員や保護者等向けの理解啓発ワークショップ
も計画しました。
 例年とは少し趣向を変え、皆様に実際に体験していただく「参加」型の催
しを用意しています。費用、申し込みは必要ありません。定員、時間の拘束
もありませんので、お気軽にお立ち寄りください。
 多くの皆様のご参加をお待ちしております。

◇日時:平成30年1月24日(水)14:00~16:00
◇会場:横須賀市生涯学習センターまなびかん 2階 市民ホール
(京浜急行「逸見駅」またはJR「横須賀駅」から徒歩5分)

◇主なプログラム
 障害のある子どもの作品展示(自閉症を中心に)
 自閉症、および発達障害関連の教材・教具展示
 自閉症、および発達障害関連の疑似体験(自閉症のある子どもの聞こえ方
等)
 自閉症、および発達障害関連の書籍・映画等の紹介
 自閉症、および発達障害に関する研究紹介
 筑波大学附属久里浜特別支援学校の紹介

●平成30年度国立特別支援教育総合研究所研修事業計画について
 本研究所の研修事業は、特別支援教育に携る教職員に対して、インクルー
シブ教育システムの充実に向けた国の重要な特別支援教育政策や教育現場の
喫緊の課題等に対応する指導者の養成を目的として実施しています。
 この平成30年度研修事業計画については、すでに各都道府県等教育委員会
にお知らせしているところです。
 各研修とも、関係教職員の積極的なご参加と教育委員会等から多数のご推
薦をお待ちしています。
 受講者の募集については、研修ごとに実施要項を策定した後、各都道府県
教育委員会等へ、以下の時期に照会する予定です。

◇特別支援教育専門研修は、平成29年11月下旬開始済み
◇インクルーシブ教育システムの充実に関わる指導者研究協議会は、平成30
年2月上旬
◇校長会との連携研修は、平成30年4月上旬

○平成30年度国立特別支援教育総合研究所研修事業計画はこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/9,13753,21,274.html 

●平成29年度研究所公開の開催(終了報告)
 11月11日(土)、「つかめ情報!がっつり体験!つながる特総研!」とい
うテーマで平成29年度研究所公開を開催し、地域の方を中心に多くの方にご
参加いただきました。
 昨年度に引き続き、障害種ごとの体験型展示スペースを対象としたスタン
プラリーを実施し、家族連れを中心に多くの方が台紙を持って、各展示スペ
ースでオリジナルスタンプを押しながら所内を巡る様子が見られました。
 その他、渡辺元智氏(横浜高校野球部前監督)による講演及び宍戸理事長
との対談や特別支援教育の視点からの授業づくり体験、障害者スポーツ体験
として車椅子バスケットボールの体験会、昨年度好評でありました筑波大学
附属視覚特別支援学校の生徒と教員による「あん摩マッサージ」体験など幅
広い内容の催しを行いました。
 さらに新たな試みとして、ホスピタル・クラウン(道化師)によるパフォ
ーマンスや白杖の妖精「つえぽん」が登場し、点字ブロックに関する啓発を
行ったり、障害のある子どももない子どもも受入れ可能な託児コーナーを設
置したりしました。
 また、開催に当たり、地元の横須賀市立横須賀総合高等学校の生徒8名に
もボランティアとしてご参加いただくなど、多くの関係者の方々にご協力い
ただきました。
 当日は天候も回復し、昨年度の2倍以上の919名の方々にお越しいただき
ました。特に子ども達が多かったこともあり、どの会場も大変活気があって、
普段の研究所とは異なり、終始賑やかな雰囲気に包まれていました。

○平成29年度研究所公開の様子についてはこちら(外部サイト)から→
 http://www.sukasuka-ippo.com/report-nise2017
 ※横須賀のバリアフリー子育て情報局sukasuka-ippoのサイトです。

●平成29年度交流及び共同学習推進指導者研究協議会の開催(終了報告)
 11月16日及び17日の2日間、交流及び共同学習推進指導者研究協議会を本
研究所において開催しました。
 本研究協議会は、インクルーシブ教育システムの充実をめざし、各都道府
県等において障害のある幼児児童生徒と障害のない幼児児童生徒との交流及
び共同学習を推進する立場にある教職員による研究協議等を通じ、各地域に
おける交流及び共同学習と障害の理解推進に資することを目的として、毎年
開催しているものです。本年度は、全国から特別支援学校、小・中学校等教
員や指導主事等73名が受講しました。
 1日目は、文部科学省による最新の政策動向「交流及び共同学習をめぐる
現状と課題」の説明に続いて、研究所から「地域実践研究『交流及び共同学
習の推進に関する研究』平成28・29年度中間報告」の研究紹介を行いました。
その後、特色ある取組として、高知県教育委員会から「居住地校交流推進に
向けての市町村との連携について」、北海道名寄市立名寄西小学校からは「小
学校における交流及び共同学習を支える環境づくりと学校づくり」という内
容で発表が行われました。
 2日目は、3分科会4班に分かれ、研究協議が行われました。第一分科会
では「交流及び共同学習を推進する上での学習活動の工夫」、第二分科会で
は「居住地における幼児児童生徒の交流及び共同学習の推進」、第三分科会
では「交流及び共同学習を推進する上での行政的取組」をテーマに各受講者
のレポートに基づく報告や最新の情報について活発に協議がなされました。
最後に、各班の協議内容を報告し合い、文部科学省の萩庭特別支援教育調査
官からの指導・助言をいただきました。

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【2】NISEトピックス
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●第3回NISE特別支援教育国際シンポジウムの開催について
 先月号でもご案内いたしましたが、本研究所では、「インクルーシブ教育
システムの推進 -日英の取組の現状から、今後を展望する-」というテー
マで国際シンポジウムを開催いたします。
 イギリス・リーズ大学から来日される研究者からの基調講演を基に、イギ
リスの取組や当研究所のインクルーシブ教育システムに関する研究について、
シンポジスト及び指定討論者と議論し、会場の皆様と理解を深めます。
 また、基調講演に先立ち、イギリス(イングランド)の通常の学校や特別
学校での障害のある子どもへの指導・支援の実際について、当研究所海外派
遣研究員による実地調査の結果をご報告します。

◇シンポジスト・登壇者
  海外報告: 柳澤 亜希子 主任研究員
        涌井   恵 主任研究員
  基調講演: スーザン・ピアソン 博士
        (イギリス・リーズ大学客員教授)
  調査報告: 星   祐子 上席総括研究員
  指定討論: 川合  紀宗 教授
        (広島大学)
  座  長: 原田  公人 上席総括研究員

 既に参加申込の受付を開始しております。参加をご希望される場合には、
本研究所Webページよりお早めにお申込みください。多くの皆様のご参加を
お待ちしております。

◇日時:平成30年1月20日(土)13:00 ~ 17:30
◇会場:一橋大学一橋講堂(学術総合センター内)
    (東京都千代田区一ツ橋2-1-2)
◇定員:400名

○NISE特別支援教育国際シンポジウムのWebページはこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/9,13467,22,295.html

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【3】海外情報の紹介
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●フィンランドの小中一貫校の訪問に関する報告
                   神山 努(研修事業部 研究員)

 平成29年8月28日から9月1日にかけて、フィンランドの小中一貫学校や
教育委員会を訪問しました。本出張は、共同研究「インクルーシブ教育場面
における知的障害児の指導内容・方法の国際比較 ~フィンランド、スウェ
ーデンと日本の比較から~」(共同研究機関は高知大学と津田塾大学)の一
環として行いました。
 フィンランドは338,400 平方キロメートルと、日本よりやや小さい面積で
す。人口は約550万人とされており、兵庫県に近い人口です。障害のある子
どもの教育に関しては、障害の医学的診断ではなく、特別な教育的ニーズの
内容によって、特別な教育をどのように提供するかを判断している点が特徴
です。
 小中一貫学校の訪問では、授業見学と、特別教育の担任への聞き取りを行
いました。特別なニーズのある子どもの教育は、通常の教育の教育目標を下
げて、教育内容や教材は通常の教育と同じものを提供するクラスと、教科横
断型の授業を中心としたクラスがありました。教科横断型の授業では、日常
生活に即した活動設定で、1つの授業時間に国語に固有の力だけでなく、算
数など他の教科で求められる力を伸ばすことも、併せてねらうようにしてい
ました。また、特別教育の担任への聞き取りからは、ソーシャルネットワー
クを介して、他の学校や他の国の教員と指導方法等について情報交換すると
いった、教員の指導力向上のための取組についての情報が得られました。
 教育委員会の訪問では、学校教育課の代表や、特別教育の担当者からお話
を聞くことができました。市内において、特別なニーズのある子どもの数は
増加傾向にあること、特別なニーズの内容は、学習面での困難、行動や情緒
面の困難、その背景には生まれつきの障害のほか、両親との死別など家庭内
での大きな出来事が影響している場合がある、等といった情報が得られまし
た。
 訪問した学校や教育委員会はいずれも、特別なニーズのある子どもの学び
の場については、その子どもに対する教育効果が最大限に期待できる場を、
専門家を交えて決定しているというお話が聞けました。そのため、以前のフ
ィンランドでは特別なニーズのある子どもが通常の学級で学ぶことを優先し
ていた時期があったとのことですが、現在ではその子どもの教育的ニーズを
考慮して、特別教育の教室も選択肢に含めて学びの場を決定していました。

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【4】連載コーナー
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●「地域実践研究員」だより[第5回]
「交流及び共同学習の推進に関する研究」
             地域実践研究員(短期派遣型) 西内 一裕
                   (神奈川県相模原市学校教育課)

 2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催まで1000日を切り
ました。前回の1964年大会は私が生まれるだいぶ前のことでしたし、2020年
大会もなんだか遙か未来の夢物語のように思っていたので、開催に向けた足
音がいたるところで聞かれるようになり、心がわくわくしています。
 国では、この開催を契機に、共生社会の実現に向けた“心のバリアフリー”
の推進に取り組んでいます。学校においても、教科やスポーツ等を通した
「交流及び共同学習」の推進に大きな期待が寄せられています。
 相模原市では、誰をも包み込むというインクルージョンの理念のもと、障
害の有無にかかわらず、児童生徒が成長の過程で共に学び共に育つ教育の実
現を目指しています。まだまだ課題は山積していますが、この地域実践研究
の「交流及び共同学習の推進に関する研究」で得られたことを、本市の支援
教育のさらなる推進につなげていきたいと考えています。
 この研究では、特別支援学級の児童生徒にとってよりよい交流のために必
要なこととして、特に交流先の通常の学級に着目しました。通常の学級にお
いて、様々なニーズのある子どもたちが一緒に学ぶことを考えるときには、
子どもたちを指導・支援の手厚さによって三層に分けて考える「階層的な支
援システム」と、どの子どもにもわかりやすい授業や、子どもたちがお互い
を認め合える学びの環境作りのため、その多様な方法を考える「学びのユニ
バーサルデザイン」を提案しています。
 研究を進めるにあたりましては、教職員への研修や授業づくり等、研究所
の先生方に何度も学校にお越しいただき、様々なご指導ご助言をいただきま
した。今後、更に先生方の意識が変容していくのではないかと楽しみにして
います。
 地域実践研究では、本市の課題に対して、研究所の先生方からその広い視
野と深い見識により様々なご指導をいただきました。内心、一番多くのこと
を学ばせていただき、一番得をしているのは自分自身ではないかとも感じて
います。今後、この研究の成果を地域にしっかりと還元していくことで、本
市の「交流及び共同学習」の取り組みが進み、その一歩一歩が、この国の共
生社会の実現へとつながっていくのだと考えています。この国の未来に向け、
その未来を担う子どもたちのため、これからも頑張っていきたいと思います。


「2年間の地域実践研究を経て」
                            深草 瑞世
       (インクルーシブ教育システム推進センター 主任研究員)

 平成28年度から平成29年度にかけて4つの研究テーマで行っている地域実
践研究も、まとめの時期となりました。本研究にご参画いただいた教育委員
会、地域実践研究員の皆様とともに、地域の課題解決の一助となる研究にな
るよう、誠心誠意取り組んでいるところです。
 それぞれの研究成果につきましては、報告書がまとまり次第、本研究所Web
サイトで公開する予定です。また、より多くの皆様に地域実践研究について
ご理解いただけるように、平成30年2月16日(金)、17日(土)に行われる「国立
特別支援教育総合研究所セミナー」では、2つの研究テーマの取組について紹
介する予定です。詳細については、研究所セミナーの案内等をご参照いただ
き、研究所セミナーにもぜひご参加いただければ幸いに存じます。皆様と共
に、地域におけるインクルーシブ教育システムについて一緒に考える機会に
なればと考えております。
 平成30年度から平成31年度の2年間は、新たに次の4つの研究が始まりま
す。

(1)教育相談、就学先決定に関する研究
(2)インクルーシブ教育システムの理解啓発に関する研究
(3)多様な教育的ニーズに対応できる学校づくりに関する研究
(4)学校における合理的配慮及び基礎的環境整備に関する研究

 次年度も、多くの地域から地域実践研究にご参画いただく予定です。これ
らの研究につきましても、参画いただいた地域に成果を還元すると共に、よ
り多くの地域に普及できるように努めて参ります。

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【5】NISEダイアリー
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           「研究所公開の一コマ」
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 今年の研究所公開は、11月11日に行われた。週の初めは雨の予報。しばら
くして曇りになり、前日には曇り後晴れに。当日は、朝方の雨も上がり、午
前中は風が強かったが、次第にお日様も顔を見せ、暖かくなった。
 私の役割は、横浜高校野球部前監督の渡辺元智(もとのり)先生との対談。
先生のご講演を受けて、短い時間だがやり取りをすることになった。担当の
研究員からご著書である「もっと自分を好きになれ!」(青春出版社1999年)
という本を借り、目を通して、何を話題にするか、事前に考えていた。
 講演のテーマは、「愛情が人の心を育て、人を動かす」。野球部の監督と
して、高校生の心を掴むために苦労したこと、なかなか勝てずに逃避行に走
ったこと、スパルタ式で鍛えることから会話重視の指導法へ移行したこと、
違う分野の人の話を聞いて学んだことなど、具体的で飾り気のない事柄が、
強い口調で語られた。甲子園で五回も優勝された監督である、途中には、永
川投手や愛甲投手、松坂投手などのエピソード。そして、最近、テレビ等を
賑わしている筒香選手や倉本選手の話が盛り込まれた。
 どの選手にも個性がある。その個性はみんなの中で光る。ワン・フォア・
オール、人は支えられて生きる、そんな言葉が心に響いた。
 対談の時間になった。私は二つのことをお聞きしたいと思っていた。
 一つ目は、「選手の実力差をどう扱うか」という見出しの付いた小節に関
して。先生は、監督として、大勢の部員の面倒を見る。野球に関してレベル
の高い生徒もいれば、それには遠く及ばない生徒もいる。そんな中で、一度
も試合に出られず卒業していく者もいる。そんな生徒たち一人一人をどんな
ふうに育てるのだろうかと思った。人数の多少に関わらず、個人差に応じて
どのように関わるのだろうかと興味をもった。先生の答えは、個人差、能力
差に応じた「個別の目標」を与えることの大切さ。それが教育であり、愛情
だと付け加えられた。ご著書にも、こんな表現がある。「十把一絡げに『平
等』を掲げるのは、欺瞞でしかない。あるいは生徒の個性を見ようとしない
指導者の怠慢でしかない。」と。これは、個別の指導計画を掲げて、子ども
への指導の在り方を追求する特別支援教育にも通ずる言葉だと思う。
 二つ目は、ご著書の表題でもある、「もっと自分を好きになれ!」につい
て。自己肯定感などの言葉が話題となる特別支援教育において、子どもたち
がもっと自分を好きになるためには、どうすればいいかを訊いてみたかった。
 簡単に答えられる話ではないという前置きの後、ある教え子の話をしてく
れた。エラーをしたことをさんざん応援団の人たちから責められ、先生自身
も拳を握りしめて叱ろうと思っていたが、泣いて悔しがる本人の前では責め
ることができなかった。そして、「次の打席で打てばいい。」と思わず口走
ってしまったという。そうしたら、その選手がホームランを打ってしまった。
子どもとの会話の大切さや言葉の重さに気付いたそうだ。
 最後に、子どもは様々な可能性をもっている。だから、それを伸ばすのが
教育の仕事だと締め括られた。たくさんの教訓をいただいた時間であった。

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【6】研修員だより
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 今号は、平成27年度第三期特別支援教育専門研修を修了された安部朋美先
生からお寄せいただきました。

「大切にしたいこと」
               安部 朋美(愛知県立一宮聾学校小学部)

 「自分の実践を振り返りたい」「視野を広げたい」いろいろな思いをもっ
て臨んだ専門研修でした。私は、平成27年度第三期特別支援教育専門研修の
聴覚障害教育専修プログラムに参加しました。毎日、充実した講義を受ける
中で学ぶ楽しさを感じ、学んだことをノートに書き、そのノートを今も大切
にしています。私は、研修を終えて、「心の動きに即した言葉がけ」の大切
さを改めて感じています。心と言葉は連動しています。子どもたちの心の動
きに寄り添った支援ができる教員でありたいと思っています。また、全国か
ら集まった研修生と同じ講義を受ける中で、人との出会いの大切さを感じま
した。同じ志をもってがんばろうとする仲間がいることが力となっています。
このような有意義な研修の機会を与えてくださり感謝しています。
 今年度、本校小学部では、「豊かな言語力を育む言語活動」について研究
を進めています。私が専門研修をとおして実践したいと考えたテーマでもあ
り、小学部の先生とともにさらに深めていきたいと思っています。今後も幼
小中高それぞれの部における発達段階に即した教育と、聴覚障害に十分配慮
した支援の両輪を大切にし、自ら研鑽に励みたいと思っています。

○愛知県立一宮聾学校のWebサイトはこちら→
 http://www.ichinomiya-sd.aichi-c.ed.jp/

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【7】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=91878&lang=ja

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【8】編集後記
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 以前勤務していた学校の職員室での話です。
 ある日の放課後、同僚が、小学生の息子さんとの会話を聞かせてくれまし
た。息子さんが家に帰るなり、「今日は納得がいかない!」「僕は一生懸命
やっているのに。」と不満を告げてくれました。その同僚は、お母さんとし
て、「どうしたの?」と優しく尋ねたそうです。彼は、「合唱コンクールの
練習で、受け持ちの先生が『みんなで協力して大きな声で歌いましょう』っ
て言うから僕は大きな声で歌ったんだ。」そうしたら、「先生から『○○く
んは声が大きすぎっ!』て注意されたんだ。僕は納得がいかない。『大きな
声で歌いましょう』って言ったのに。」同僚は、まだ不満げな息子さんに次
のように諭したそうです。
 「あのね、協力の方法は、1つじゃないのよ。運動会の徒競走で、全力で
走って白組の勝利のために頑張る協力の方法と、ムカデ競争のように、みん
なで足並みをそろえながらゴールを目指す協力の方法とがあるでしょう。合
唱は、みんなと歌声を合わせながら協力する方がきれいじゃないの。どんな
協力の方法が良いか、もう一度考えてごらん。」と話したそうです。私は、
なるほどなあと思いました。当時は、ちょうど「チーム学校」という言葉が
話題になっていたころでもあり、私は「チーム学校」と「協力の方法」を重
ねて考えました。チーム学校の一員として、今、自分にできる協力の方法と
は何だろう。どのような協力の方法が学校のため、児童生徒のためになるの
かなと考えながら、職員室の窓から外を眺めていました。
 今年も残すところ僅かとなりました。新しい年もより一層充実した内容で
メルマガをお届けしてまいります。ご愛読のほどよろしくお願いいたします。

みなさま、良い年をお迎えください。
                  (第129号編集主幹 定岡 孝治)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第129号(平成29年12月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
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          ([アットマーク]を@にして送信してください。)

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