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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第75号(平成25年6月号)
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■目次
【お知らせ】平成25年度第一期特別支援教育専門研修開講
【トピックス】企画部の活動紹介
【海外情報の紹介】フランスの障害のある子どもの教育に関する情報収集
【特別支援教育関連情報】
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】
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【1】お知らせ
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★NEWS★
●平成25年度第一期特別支援教育専門研修開講
 5月8日、平成25年度第一期特別支援教育専門研修(知的障害教育・肢体不
自由教育・病弱教育コース)が開講しました。
 特別支援教育専門研修では、約2ヶ月間、全国から派遣された、今後指導
的立場に立つことが期待される教職員が本研究所の宿泊棟に宿泊し、特別支
援教育全般と各障害種別に関わる専門的な講義や演習、研究協議、実地研修
等を通して研修します。
 特別支援教育専門研修は、年に三期開講し、今期(平成25年5月8日~7月
9日)は、全国から集まった104名の教員が研修に励んでいます。
 この研修では、知識、技術の習得のみならず全国から集まった教員同士の
情報交換やネットワークづくりも魅力となっています。

 ○特別支援教育専門研修の内容等はこちら→
  https://www.nise.go.jp/cms/9,7912,21,116.html

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【2】NISEトピックス
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★トピックス★
●企画部の活動紹介
                原田 公人(企画部 上席総括研究員)

 障害者の権利に関する条約が、平成18年12月、第61回国連総会において採
択され、我が国は平成19年9月に同条約に署名し、現在批准に向けた検討が
進められています。また、平成24年7月23日、文部科学省の中央教育審議会
初等中等教育分科会で、「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育シス
テム構築のための特別支援教育の推進(報告)」がまとめられました。
 このような特別支援教育に関する動向を踏まえつつ、本研究所の企画部で
は、次のような業務を行っています。
・研究に関する総合的な企画及び立案・調整
・障害のある子どもの教育に関する政策課題、関係法制及び行財政施策に
 関する調査・分析
・研究所の業務に関する評価の企画及び立案
・研究所が実施する調査の全体計画の立案及び調整
・特別支援教育に関する基本データ調査の企画・実施・分析
・諸外国の障害のある子どもの教育に関する調査・分析
 これらの中で、特別支援教育に関する基本データ調査の企画・実施・分析
に関しては、毎年度実施している「全国小・中学校特別支援学級及び通級指
導教室調査」について、都道府県・指定都市教育委員会のご協力をいただい
て実施しています。また、全国特別支援学校長会が実施する各調査との情報
共有を進め、本研究所として整備すべき統計資料の体系化を進めています。
さらに今年度は、本研究所の研究班からの調査として、「特別支援学校(知
的障害)における組織的・体系的な学習評価の推進に関する調査」、「医療
的ケアの実施に関する実態調査」等も予定しています。調査対象となった学
校等におかれましては、調査の意義をご理解くださり、ご協力方よろしくお
願い申し上げます。
 企画部組織は、企画部長(理事が兼務)以下3人の上席総括研究員が総合
企画調整、評価及び調査、国際調査・交流を担当しています。評価担当は、
教育情報部長が兼務をしています。
 企画部の業務は、教育支援部、教育研修・事業部、教育情報部の業務とも
関連が深く、連携を取りながら業務を推進しています。

★海外情報の紹介★
●フランスの障害のある子どもの教育に関する情報収集
                  棟方 哲弥(企画部 総括研究員)

 平成25年3月24日から30日までフランスに滞在し、中等教育段階における
障害のある子どもの教育について、専門家への聞き取り、自閉症者の社会統
合に関するカンファレンス等に参加してきました。本調査は、日本学術振興
会平成24年度科学研究費助成事業(基盤研究(B))「フランス通常教育の学
業不振児課程への障害児統合の実態とインクルージョンの俯瞰図」により実
施したものです。
 フランスは、2008年の教育法典の改正において「すべての障害のある子ど
もが居住地に最も近い通常学校に学籍を登録すること」として、2010年に障
害者の権利に関する条約を批准しています。そして統計上、年々多くの子ど
もたちが通常学校へ通うようになりました。しかし、中等教育段階では、イ
ンクルージョンされた子どもの26%が学業不振児のための教育部門に入学し
ていることがわかりました。本研究は、この実態調査を中心として、法律や
表面的な統計では見えないフランスのインクルージョンの全体像(俯瞰図)
を明らかにすることを目指しています。
 今回の訪問では、まず、フランスの国立特別支援教育総合研究所に相当す
る機関(INS-HEA)の名誉教授であり、フランス中等教育段階職業教育研究
会研究誌の編集主幹を1986年から務めるアンドレ・フィリップ氏を訪ねまし
た。学業不振児の教育部門が障害のある子どもを受け入れるに至る背景には、
この教育部門の前身が軽度の知的障害の子どものための教育の場であったこ
と、その後、軽度知的障害の定義の変遷によって、通常教育の部門へと変容
した経緯の解説に加えて、今後、訪問すべき教育機関、実践者の推薦をして
いただきました。
 自閉症者の社会統合に関するカンファレンスは、行政担当者と当事者と保
護者が登壇するものでした。当事者が自らの学校教育を振り返る発言場面で
は、肯定的な表現は使われませんでした。アメリカのテンプル・グランディ
ン氏をご存知の方も多いと思いますが、このカンファレンスでは、フランス
で初めて自閉症の当事者として自伝(副題は「サヴァンで自閉症」)を出版
したジョセフ・ショバネック氏の講演もありました。同氏はパリ政治学院の
博士号を持つアスペルガー症候群の当事者であり、発話の無かった幼少時は
もちろん、現在に至るまで、独特のゆっくりとした話し方によって知的障害
があると思われてきたそうです。
 滞在中は、このほかに、セミナー参加1件と障害者社会科学研究所(MSS
H)での資料収集等を行いました。
 この研究では、さらに2年間、中等教育段階を中心に当事者、保護者、学
校への調査を行っていく計画です。

 ○研究報告「フランスにおける障害のある子どもの中等教育の現状と展望
」特総研ジャーナル第2号の掲載ページ→
  https://www.nise.go.jp/cms/7,8001,32,133.html
 ○フランス国民教育省の障害のある子どもの教育のサイト→
  http://www.education.gouv.fr/cid207/la-scolarisation-des-eleves-handicapes.html

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【3】特別支援教育関連情報
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●平成24年度特別支援教育に関する調査の結果について
 文部科学省特別支援教育課から、平成24年度特別支援教育に関する調査結
果が公表されましたので、お知らせいたします。

 ○平成24年度特別支援教育に関する調査の結果の内容はこちら→
   http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1334891.htm

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【4】研修員だより
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 今号は、平成22年度第二期特別支援教育専門研修修了の清水元先生からお
寄せいただきました。

「梅組」の思い出
                清水 元(岩手県花巻市立東和小学校)

 研究所での講義内容、見聞きした特別支援教育の情報は、本当に素晴らし
く、夢のような日々を過ごしました。学んだことは、現在の私の実践の基礎
となっています。研修生活では、常に研修員の仲間に支えられていたことを
思い出します。
 私たちの研修班のスタートは、少しぎこちなかったのですが、時間が経つ
につれ、5人全員が「キャリア教育」という同じ課題意識を持っていること
が分かり、その後はスムーズに協議が進みました。指導担当の研究員の先生
にちなんで名づけた「梅組」には、出身地や校種や経験年数は違っても、同
じ方向性で研修を進めているという安心感がありました。このことは、他の
班もそうだったことでしょう。研修日程を調整し、色々な場所に出掛け、苦
楽を共にしながら完成させた研究レポートは「梅組」の宝物となりました。
 また、講義終了後の情報交換や討論、学習サークル、スポーツクラブ等の
全国から集まった研修員同士の交流は、とても有意義で、どれも思い出深く
ネットワークが大いに広がりました。これからも、特別支援教育を共に推進
する仲間が全国各地にいることを励みにしながら、日々の実践を積み重ねて
いきたいと思います。みなさんfightです!

 ○岩手県花巻市立東和小学校のWebサイトはこちら→
  http://www.city.hanamaki.iwate.jp/towasho/

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【5】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

 ○アンケートはこちら→
  https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=23998&lang=ja

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【6】編集後記
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 今年は出張や帰省に伴い、桜の花を5回も見ることができました。横須賀
で1回目、自宅のある仙台で2回目、実家の岐阜県で3回目、出張先の岩手
で4回目、用事があって訪れた青森で5回目。日本列島の南北の距離に改め
て感動しました。多彩な季節、四季の移り変わりを味わえるこの国に生まれ
てよかったなと感じています。
 5月も終わり6月は梅雨入りですね。うっとうしいと思いがちな梅雨も、
農作物や自然には大切な恵みの雨です。梅雨にしか出会えない、紫陽花等の
草花、カタツムリ、田んぼの蛙の声(三浦半島は田が少ないので聞く機会が
ないのですが…)等を楽しみながら過ごしたいと思います。
 今号の内容はいかがでしたでしょうか。本メールマガジンの情報が皆様に
とって有意義なものとなるよう、一層努力していきたいと思います。引き続
きご愛読いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
                    (第75号編集主幹 梅田真理)

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連載「サバン-自閉症の不思議で大きな可能性-」は、今号はお休みとさせ
ていただきます。

次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第75号(平成25年6月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail: a-koho[アットマーク]nise.go.jp
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