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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第83号(平成26年2月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
■目次
【お知らせ】平成25年度第三期特別支援教育専門研修開講
【お知らせ】海外出張報告会及び諸外国の教育政策動向に関する講演会(終
了報告)
【NISEトピックス】新連載「インクルーシブ教育システム構築に向けて」
の開始のお知らせ
【海外情報の紹介】平成25年度東アジア・大洋州地区日本人学校校長研究協
議会への参加報告
【特別支援教育関連情報】平成25年度特別支援教育関連予算案について
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】お知らせ
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●平成25年度第三期特別支援教育専門研修開講
 1月9日(木)、平成25年度第三期特別支援教育専門研修(発達障害・情緒
障害・言語障害教育コース)が開講しました。
 特別支援教育専門研修は、今後、各都道府県等において指導的立場に立つ
ことが期待される教職員が、約2ヶ月間にわたり本研究所の研修員宿泊棟に
宿泊し、特別支援教育全般と各障害種別に関わる専門的な講義や演習、研究
協議、実地研修等を通して研修します。
 特別支援教育専門研修は年に三期開講し、今期(1月9日~3月14日)は全
国から集まった70名の教職員が研修に励んでいます。
 この研修では、知識、技術の習得のみならず全国から集まった教職員同士
のネットワークづくりも魅力となっています。

 ○特別支援教育専門研修の内容等はこちら→
  https://www.nise.go.jp/cms/9,8747,21,116.html

●海外出張報告会及び諸外国の教育政策動向に関する講演会(終了報告)
 平成25年12月20日(金)、本研究所で「平成25年度海外出張報告会及び諸
外国の教育政策動向に関する講演会」を開催しました。毎年、この時期に、
海外の特別支援教育の動向を知る一環として行っています。今年度は、科学
研究費で出張された研究員の報告も加わりました。
 海外出張の報告は、次の通りです。詳細は略しますが、最新の知見や興味
深い話もあり、今後の研究成果に役立てたいと考えています。
(1)オランダ、デンマーク:欧州におけるスヌーズレンの実践と研究動向
(2)アメリカ合衆国:CECカンファレス参加及びテキサス盲学校訪問報告
(3)オーストラリア:日本人学校長会の研究協議参加報告
(4)ドイツ:国際治療教育・特殊学会参加報告
(5)フランス:CERFOP(フランス障害者中等教育研究会)他調査報告
 また、諸外国の教育政策動向に関する講演会は、筑波大学人間系教授の鄭
仁豪(チョン・インホ)氏による「韓国特殊教育の現状と動向:第4次特殊
教育発展5ヶ年計画(案)を中心に」でした。2013年から始まる韓国の新し
い特殊教育発展に関わる計画について、詳細に聞くことができました。イン
ターネット等の情報だけでは得られない内容も多く含まれており、我が国の
特別支援教育の充実にも参考になる講演でした。
 今後も海外の動向には注視しながら情報を収集し、本研究所Webサイトの
特総研ジャーナル等から情報発信をしてまいります。

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【2】NISEトピックス 
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●新連載「インクルーシブ教育システム構築に向けて」の開始のお知らせ
                  森山 貴史(教育情報部 研究員)

 日本政府は、障害者の権利に関する条約の早期締結を目指し、障害者基本
法の改正、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解
消法)の成立等、必要な国内法令の整備等を進め、平成25年12月、同条約が
国会で承認されました。そして、平成26年1月20日、我が国は本条約を批准
しました。
 このような状況において、本研究所では、インクルーシブ教育システム構
築に関連する様々な情報を掲載したWebサイト「インクルーシブ教育システ
ム構築支援データベース」を平成25年11月に開設し、平成26年1月17日には
新たに「障害者の権利に関する条約への対応(これまでの経緯)」、「関連
する法令・施策」、「Q&A」の3つのコンテンツを追加しました。また、
インクルーシブ教育システム構築に関連した研究や研修にも取り組んでいま
す。
 そこで、障害者の権利に関する条約の批准を契機に、次号より新連載「イ
ンクルーシブ教育システム構築に向けて」を開始します。本連載は、全6回
にわたって、障害者の権利に関する条約の概要や批准までの経緯、本研究所
におけるインクルーシブ教育システム構築関連の研究や研修に関する情報等
を掲載していく予定です。

 ○インクルーシブ教育システム構築支援データベースはこちら→
  http://inclusive.nise.go.jp/

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【3】海外情報の紹介
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●平成25年度東アジア・大洋州地区日本人学校校長研究協議会への参加報告
                田中 良広(教育支援部・総括研究員)

 平成25年10月21日(月)から10月27日(日)にかけてオーストラリアのシ
ドニーで開催された東アジア・大洋州地区日本人学校校長研究協議会(以下
「本研究協議会」)に参加しました。

 平成25年度現在、日本人学校は世界各地に88校が設置されていますが、こ
れらを北米・欧州地区、中南米地区、西アジア・中東・アフリカ地区、東ア
ジア・大洋州地区の4つの地区別グループに分け、それぞれの地区ごとに日
本人学校校長研究協議会を開催しています。
 今回で37回目となる本研究協議会は、東アジア・大洋州地区の各日本人学
校から約70名の学校長とその配偶者が参加して開催されました。
 本研究協議会では、テーマ別研修、各地区のブロック別研修、全体協議が
行われ、各校が抱える課題や、現地理解教育、登下校時における安全対策、
派遣教員の確保等の共通する課題に関する協議や情報交換を行いました。ま
た、学校長の配偶者による「校長配偶者研修会」も行われました。
 特別支援教育に関しては、障害のある児童生徒の受け入れについての対応
等も議題に上りました。全体協議を傍聴させていただいた印象では、特別な
支援の必要な児童生徒への対応の必要性は認識しているものの、教職員の配
置が十分であるとは言えない状況であることから、現状では、一部の大規模
校を除いて、充分な対応をすることが困難な状況であると感じました。

 本研究協議会には、外務省、文部科学省等から担当者が来賓として参加し
ており、それぞれの講演が行われました。外務省からは、在外教育施設にお
ける事件・事故等について報告がなされ、注意喚起が求められました。文部
科学省からは、教育再生実行会議、全国学力・学習状況調査等の国内の教育
情報について説明されました。そして、本研究所からは我が国におけるイン
クルーシブ教育システムの概要や海外日本人学校における特別支援教育の実
施状況について報告をさせていただきました。
 本研究協議会には、主催校であるシドニー日本人学校の見学も含まれてい
ました。シドニー日本人学校は、昭和44(1969)年に設立され、開校当初は
33名の児童で学習が始められたそうです。現在では幼稚部から中学部までの
281名が自然豊かなキャンパスで学んでいます。シドニー日本人学校の特徴
の一つは、小学部に国際学級が設置されていることです。国際学級では地元
のオーストラリア人の子どもが通ってきて学校生活を送っており、習字や折
り紙等、日本の伝統文化を学ぶ授業が行われている他、日本人学級との合同
授業等も積極的に行われていました。
 詳細につきましては、3月末に刊行予定の「特総研ジャーナル第3号」を
ご覧ください。

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【4】特別支援教育関連情報
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●平成26年度特別支援教育関連予算案について
 平成26年度政府予算案の閣議決定にともない、文部科学省において、本年
1月、予算案の発表資料を同省のWebサイトに掲載しました。詳しくは下記
をご覧ください。

 ○文部科学省が公表した内容はこちら→
  http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile /2014/01/09/1343219_2.pdf

 ※特別支援教育関連予算案はリンク先資料の9~11頁が該当します。

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【5】研修員だより
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 今号は、平成22年度特別支援教育研究研修を修了された飯野茂八先生から
お寄せいただきました。

「研究研修を振り返って」
        青森県総合学校教育センター特別支援教育課 飯野 茂八

 京急久里浜駅前の商店街、宿泊棟の屋上から眺めた三浦海岸、特別支援教
育に関するすべてが揃う図書室、同期の先生方と熱く語り合った喫煙室…、
3年経った今でも情景が鮮やかに甦ります。
 研修が始まった頃は、不安ばかりで眠れない夜が続きましたが、所属した
研究班の研究活動、先生方の講義や学校訪問等、たくさんの学びの中で、周
りの先生方に支えられながら、少しずつ研修に意欲的になっていきました。
そして、研修成果をまとめる頃には、学校や地域に、学んだことを丁寧に届
けていかなければという責任感へと自分の気持ちが変わっていったことを思
い出します。何よりも、日々励まし合い、語り合った同期の先生方との1年
間は、かけがえのない宝物となっています。
 研究研修を通して、本当に多くの視点を得ることができ、自分自身の特別
支援教育の考え方の再構築につなげることができました。しかし、まだまだ
現在の職場でその成果を生かし切れてはいません。久里浜の美味しい海産物
の味を思い出し、自分を奮い立たせて、子どものためにできることをこれか
らも考え続けていきたいと思います。

 ○青森県総合学校教育センターのウェブサイトはこちら→
  http://ts.edu-c.pref.aomori.jp/

※「特別支援教育研究研修員制度」は、平成23年度をもって終了しました。

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【6】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

 ○アンケートはこちら→
  https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=75344&lang=ja

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【7】編集後記
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 「雑草をいくら刈ってもリンゴの木は元気にならない。というか、雑草を
刈っていたから駄目だったのな。」(石川拓治著『奇跡のリンゴ「絶対不可
能」を覆した農家 木村秋則の記録』より)
 これは、絶対不可能と言われていたリンゴの無農薬栽培に成功した木村秋
則さんの言葉です。リンゴの木の栄養を奪う敵だと思っていた雑草が、実は
リンゴの木の根を丈夫にする土を耕してくれる味方だったわけです。この木
村さんの「気づき」は、様々なことを教えてくれます。例えば、固定観念を
疑うことの大切さです。私自身、自分の処理能力を超えた情報量を受容し続
けていると、自分にとって必要だと思い込んでいる情報しか得られていない
ことが多々あります。これでは、いつまで経っても固定観念を疑うきっかけ
さえ掴めません(日々、反省しています)。
 本メールマガジンに掲載している情報が、読者の皆様にとって、何らかの
「気づき」につながることを心より願っています。
                    (第83号編集主幹 森山貴史)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第83号(平成26年2月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
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