和歌山県
交流教育地域推進事業報告書(海南市)
今回、交流教育地域推進事業の対象地域となった海南市は、特殊教育に関して数々の実践研究を行い、市独自で特殊教育推進委員会を設置するなど、特殊学級間の交流をすすめてきている。しかし、市内には養護学校がなく、盲・聾・養護学校との交流はほとんど実施されていなかった。本事業は、海南市内の小学校4校、中学校1校、海南市を校区とする養護学校1校を研究交流校とし、障害児に対する正しい理解をすすめ、学校間交流から地域交流へと拡げていくための課題を探りことを目的とするなど、特殊教育の一層の充実に資するものである。
また、小・中学校児童生徒が、多様な交流活動を経験することにより、社会性を養い、豊かな入間形成を図る中で、障害のある児童生徒等に対する正しい理解と認識を深めることもねらいとしている。
・小・中学校特殊学級の児童生徒と盲・ろう・養護学校児童生徒との交流の在り方について
・小・中学校特殊学級の児童生徒と通常学級児童生徒との交流の在り方について
・特殊学級の合同学習並ぴに交流の在り方について
・障害のある児童生徒と地域社会の入々との交流の在り方について
・養護学校教育について教員相互の理解のすすめ方について
・教員、保護者に対して、障害理解に関する講演会等、研修の在り方について
(1)交流教育地域推進事業運営協議会
各研究協力校校長、学識経験者(大学教授等)、海南市特殊教育推進委員会会長、
海南市公民館連絡協議会会長等15名から成る。
(2)交流教育地域推進事業実行委員会
各研究協力校から1名の担当者並ぴに担当指導主事等から成る。
(3)研究協力校(児童生徒数は平成12年5月1日現在)
@小学校
黒江小学校(知的障害、肢体不自由、情緒障害特殊学級)
内海小学校(知的障害特殊学級)
大野小学校(知的障害、肢体不自由、情緒障害特殊学級)
巽小学校(肢体不自由特殊学級)
児童数合計1,253人(特殊学級在籍児童数71入)
A中学校
海南市立第一中学校(知的障害特殊学級)
生徒数合計159人(特殊学級在籍生徒数7入)
B養護学校
紀北養護学校(小・中・.高等部、知的障害・肢体不自由)
児童生徒数154人(海南市在住児童生徒数33人)
研究課題の中から各研究協力校ごとにに重点目標を選ぴ、それぞれ実践を行った。
(1)黒江小学校
@ねらい
一人ひとりの特性を生かし、共に生きるための生活力を養う。
A主な活動
・特殊学級間の交流
親子の集い
合同学習、給食交流
・特殊学級と普通学級(交流学級)との交流
特殊学級児童が音楽、体育等の授業へ参加
全児童と特殊学級児童との交流
清掃、全校集会
・他校の特殊学級児童との交流(合同学習)
遠足、水泳教室、交流会
・養護学校児童生徒と休業土曜日に実施する各種行事での交流
本校行事の案内状送付。
養護学校の土曜日の行事本校で実施。
B成果
学校内での特殊学級児童と全児童との交流が深まった。
校内での教師間の理解がすすんだ。
障害児に対する全校児童の理解が深まった。
C課題
全面介助を必要とする児童への対応について
地域における障害児の理解の進展について
(2)内海小学校
@ねらい
障害のある子どもたちや園児とのふれあいを通して豊かな心を育む。
A主な活動
・養護学校児童と本校低学年児童との交流
本校行事の案内状送付。
養護学校児童生徒の作品展示
・園児との交流
幼稚園生を本校の行事に招待
・他校の特殊学級児童との交流
互いに学校を訪問
B成果
養護学校や幼稚園児との交流が深まる。
C課題
校種をこえた幅広い交流について
養護学校児童生徒及ぴ保護者が地域の活動へ参加する体制の在り方について
(3)大野小学校
@ねらい
障害のある子どもたちとその教育について正しい理解と認識を深め、同じ社会に生きる人間として助け合い、支え合う考えや態度を養う。
A主な活動
特殊学級と普通学級(交流学級)との交流
遊ぴやもの作りを通じての交流
特殊学級児童が体育、音楽等の授業に参加
給食、清掃、休憩時等の交流の在り方
・養護学校児童と本校児童との交流
遠足、本校行事に参加
互いの学校を訪問し授業に参加
・他校の特殊学級児童との交流
・本校と養護学校教員間の交流
本校現職教育に養護学校教員が参加
B成果
養護学校との交流が深まる。
教員の交流教育に関する理解が深まる。
C課題
気軽かつ頻繁に交流できる継続的な取組の構築
地域の障害者との交流
保護者を交えて実施する障害理解の学習の実施
(4)巽小学校
@ねらい
本校特殊教育の推進を柱に、養護学校に通学する地域の児童生徒との交流、保護者や地域の方々の理解と連携を深め、特殊教育諸学校との交流を図る。
A主な活動
・特殊学級と通常学級(交流学級)との交流
授業、給食、清掃、行事等を通じて
特殊学級と通常学級(他学年)との交流
集会、運動会、水泳等を通じて
・養護学校児童と本校児童との交流
水泳(夏期休業中)
合同運動会、土曜日行事への参加
運動会、学習発表会での交互に学校を訪問
・地域との交流
探検学習、公民館文化祭等を通じて
本校と養護学校教員間の交流
本校現職教育に養護学校教員を講師として実施した研修等
・障害に対する理解・啓発
親子映画鑑賞、車椅子体験学習、ガイドヘルブ講座、手話講座等
B成果
人を思いやる態度がみられるようになった。
養護学校に対する関心が深まった。
交流教育に関する教員の理解が深まる。
C課題
他の校種も含めた幅広い交流活動の在り方
地域に在住する養護学校児童生徒との交流
(5)第一中学校
@ねらい
交流教育を通じて、障害のある児童生徒に対する理解と認識を深め、豊かな人間性・社会性を養う。
A主な活動
・本校教員の研修
養護学校の見学を契機に特殊教育の課題を協議
・ボランティアの育成
学校週5日制事業を通じての交流
B成果
交流活動に関心を持ち、積極的に取り組もうとする態度がみられるようになる。
C課題
定期的かつ多様な交流活動の実践について
(6)紀北養護学校
@ねらい
交流教育を通じて、認識する力や友だち関係を育てる。また、日頃の学習で獲得した力を交流活動の中で発揮する。
A主な活動
・学校間交流
・居住地交流
大野小学校、内海小学校
・地域交流
公民館活動に参加
学校休業土曜日事業
ポランティアの育成
情報提供(情報誌の配布、各学校の行事の紹介)
B成果
海南市における本校児童生徒のネットワーク作りをすすめることができた。
施設設備等に関するバリアフリーの視点を地域に提供することができた。
高校生ボランティアの組織作りをスタートすることができた。
C課題
地域との交流を日常的に継続させるためのシステム作り
居住地交流の教育課程への位置づけ
地域におけるボランティアの育成の推進方策
(1)成果
各研究協力校では、現職教育や研修の講師に養護学校教員を招く他、養護学校見学を実施するなど、学校全体の教員が、特殊学級だけでなく養護学校における特殊教育の理解を推進することができた。このことにより、教員間の事前・事後の打ち合わせが密になり、授業や遠足、「なかよしふれあい広場」、「手作りおもちゃ集会」などの多彩な交流活動の場を設定することが可能となった。さまざまな交流活動を行う中で、子どもたちは交流教育に対して積極的な態度を示すようになってきている。また、第2・第4の休業土曜日行事において、地域に在住する障害児に対し、参加を呼ぴかけたことや、中学校や高等学校の生徒が行事にポランティアとして参加することができたことは、地域で共に生きていくための理解・啓発を促す取組となった。各養護学校も居住地交流に継続して取り組んできたが、今回の事業では公民館活動といった生涯学習への参加を模索したことも成果としてあげることができる。
(2)課題
・今回の成果を日常的な交流活動へと定着するためのシステムの構築
・養護学校だけでなく、盲学校や聾学校との交流活動の推進
・研究協力校だけでなく、より広い地域へと交流活動を拡大する方策の検討
・障害生徒の卒業後を見据え、生涯学習への研究成果の導入