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本文 III 主要国における特別な教育的ニーズを有する子どもの指導について
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7.UENESCO及びOECDでの調査結果
1)UNESCO
 担当者はMr. Alphonse K.B.TAY, Senior Programme Specialist
 来訪の目的を次のように伝えた。
 現在日本では教育改革が進行中である。当然、障害児教育の在り方も検討されている。我々の役割は、その文脈の中で、行政的な決定のために必要な資料を集めることである。行政的な決定は幾つかの選択肢の中から行われるだろうが、我々が目指すのはどの選択肢が最善であるか判断することではなく、それぞれの選択肢の長所短所まで含む広範な情報を提供することである。今回特に欧米5カ国のインテグレーション、ないしインクルージョンの現状を調査するが、義務教育制度が確立しないままいきなりインテグレーション、ないしインクルージョンを開始した開発途上国の例は日本には余り参考にならない、一度義務教育制度が完成した後にインテグレーション、ないしインクルージョンに移行した国、移行しつつある国の例が参考になると考えたからである。ただし、世界的視野で考える必要はあるので、今回の調査対象としなかった国々のインテグレーション、ないしインクルージョンについて、情報提供や助言をいただければ幸いである。

TAY氏の見解・主張
1.segregation、integration、inclusionという言葉の定義も意味も、OECDの国だけに限っても、様々な定義・意味が並存中である。

2.特殊学校なしで初めからインクルージョンで開始し、うまくいっている国としては、ラオスやパレスチナがあげられる。

3.[UNESCOとしては障害児のインクルージョンは最大の課題ではない。](1)社会的理由による排除も身体的理由による排除も同じことであり、差別意識をなくすことが先ず重要である。(2)制度というものは自らの存続を確保しようとするものであり、一旦制度ができれば、それに伴って排除が発生する。日本の「いじめ」も排除であるが、形こそ違え日本だけの現象ではない。制度を改善するための努力を絶えず続けなければならない。また、それぞれの社会の文脈に沿ってインテグレーションを進める必要がある。

2)OECD
 担当者はMr. Peter EVANS
 来訪の目的を次のように伝えた。
 現在日本では教育改革が進行中である。当然、障害児教育の在り方も検討されている。我々の役割は、その文脈の中で、行政的な決定のために必要な資料を集めることである。行政的な決定は幾つかの選択肢の中から行われるだろうが、我々が目指すのはどの選択肢が最善であるか判断することではなく、それぞれの選択肢の長所短所まで含む広範な情報を提供することである。今回特に欧米5カ国のインテグレーション、ないしインクルージョンの現状を調査するが、義務教育制度が確立しないままいきなりインテグレーション、ないしインクルージョンを開始した開発途上国の例は日本には余り参考にならない、一度義務教育制度が完成した後にインテグレーション、ないしインクルージョンに移行した国、移行しつつある国の例が参考になると考えたからである。これ以外のOECD諸国についての、また広い視野からの情報提供や助言をいただければ幸いである。

EVANS氏の見解
1.インテグレーション、ないしインクルージョンに関して、OECD諸国共通の政策はない。また、インテグレーション、ないしインクルージョンについての理解もまちまちである。

2.5カ国に関していえば、フランスは日本よりも分離型だと思う。インテグレーションが最も進んでいるのはイタリアである。他国は地域によってばらつきがある。

3.フランスのインテグレーション(inclusionよりはinsertionという言葉が好まれるようである)が余りうまくいっていないのは、教員の訓練が十分になされておらず、質が低いからだと思う。また、教員組合の反発もある。それでも、幼稚園と小学低学年ではインテグレーションが比較的うまくいっているが、年齢が高くなるとまだまだである。教科への比重が学校ごとに違うためだろう。もっとも、大学ではかえってインテグレーションが進んでいる。

4.5カ国以外では、デンマークが興味深いと思う。カナダは、インテグレーションが最もうまく機能している国ではないか。参考になると思う。

5.[重度の知的障害児まで通常の学級で教育するのには困難があるのではないかという問いに対して]重度の知的障害児のインクルージョンは困難だとは思わない。

(文責 中村 均)
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