特別支援教育に関する国際比較 (イタリア)

国 名 イタリア 石川、大内
  項  目  
1.  【現状認識】
1−1 障害児の定義 イタリアでは、障害児の認定をICD10に基づいて行なっており、学習障害(F81)、ADHD(F90台)の分類項目がある。
1−2 障害児の在籍率  
「特殊学校」 基本的になし
「特殊学級」 基本的になし
「通常学級」 幼稚園(1.09%-10,012人)小学校(1.95%-50,746人)中学校(2.50%-42,169人)高等学校(0.60%-14,094人)総計(全学校区分)(1.53%-117,021人) 1998〜99
(通級?) 通常学級に含む
2.  【基本的な考え方】
2−1 特殊教育(特別支援教育)の基本的な考え方 1970年台から「統合教育」が導入され、障害のある児童生徒も原則としていかなる障害があっても通常の学校で教育を受けることになっている。
3.  【取り組み内容】
3−1 個別の教育支援計画(多様なニーズに適切に対応する仕組み) 支援教師制度
1970年台のインクルーシブ教育当開始時から通常の学級の中で障害のある児童生徒を支援するための職員が配置されていたが、当初の対応は十分ではなかった。その後、個別の指導や支援の役割の重要性が認識されるようになり、1989年に通常学級の中で障害児を指導・支援する「支援教師」制度が設けられた。

支援教師の配置
現在の規定では、児童生徒138人に対して支援教師一人というのが配当の基準になっている。しかし、これはあくまでも目安で、実態に応じた支援教師の配当がされている。例えば、ボローニャ県の場合は、障害が重度の場合は1対1で支援教師がつき、軽度の場合は一人の支援教師が2〜4人程度を担当するようになっている。

支援教師の役割
支援教師は、障害児のいる学級に入って、担任教師とティームを組んで指導にあたる。支援教師は障害児を直接指導・支援する任を負っているが、クラスメートが障害児を支援するように配慮したり、学級全体の活動に留意したりするなど障害のある児童生徒だけでなく学級全体の指導に対しても責任を持つこととされている。

3−2 特別支援教育コーディネータ
(教育的支援を行う人・機関を連絡調整するキーパーソン)
特別にコーディネータという担当者は配置されていない。学校内での調整役としては支援教師がその任も負っていると考えられる。外部機関との連携や強力に関する業務も支援教師が担当している。また、障害のある児童生徒の地域での生活やや生涯にわたるケアなど全般的な調整については、地域保健機構(USL)における医師やケースワーカーがその任にあたっている。
3−3 行政レベルの連携組織体制 保健省との連携
1992年の基本法104号「障害者の援助、社会的統合および諸権利に関する基本法」において、インクルーシブな教育を実施するためには、公教育省の管轄下にない機関の協力が必要であり、そのために関係機関が協力する義務を負うことが明記されている。
また、障害の認定の業務に関しては、同基本法第4条に、地域保健機構(USL)に設置された医学委員会によって行われることも規定されている。
保健省の障害児教育に対する基本的な姿勢も、法律104号に基づいている。平成12年調査時の保健省における聴き取り調査においても、公教育省と緊密な連携の基に対応がなされていることが強調された。
基本法104条にもとづいて、各県単位で関係部局間でプログラム協定が結ばれるようになっており、それに基づいて関係機関が業務の役割分担が明確にされている。その上で各機関は連携を取りあっている。
また、イタリアでは「家庭医」の制度が設けられており、障害児の発見およびケアに重要な役割を果たしている。
3−4    
4.  【法令上の位置付け】
4−1 一人ひとりのニーズ教育 一人ひとりのニーズ教育 1992年に制定された法律104号「障害者の援助、社会的統合および諸権利に関する基本法」により、「学習の困難性やハンディキャップに関係する能力的欠如から生ずるその他の困難性によってその権利は妨げられない」と規定され、義務教育だけでなく大学を含む全ての学校段階で、障害のある児童生徒が通常学校の教育を受ける権利を補償されることになっている。以後、この法律が障害児者の通常学級での教育の根拠となり、今日に至っている。
それぞれの児童生徒の障害認定は公教育省ではなく、保健省の管轄であり、地域保健機構の医師を中心としたスタッフによってなされる。地域の教育委員会はそのデータに基づいて支援教師の配置を決める。
4−2 特殊学校  
4−3 特殊学級  
4−4 通級指導  
4−5 コーディネータ  
4−6 連携組織体制  



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