特別支援教育に関する国際比較 (英国)

04.02.17更新

国 名 英  国 菅井、徳永豊 (記入 徳永)
  項  目  
1.  【現状認識】
1−1 障害児の定義 英国では、障害という概念でなく、教育学的概念である「特別な教育的ニーズ(SEN)」の概念を使用。SENは連続的概念であり、障害があるかないかの2分法ではない。
1−2 障害児の在籍率  
「特殊学校」 1.05% 2002年1月
「特殊学級」 概念がない、統計なし
「通常学級」 判定書保有者3% (うち60.2%は小、中学校;2002年1月)、20%の子どもにSENあり。
(通級?) 類似するものにユニット(リソースルーム)、但し異なる機能もあり。 
2.  【基本的な考え方】
2−1 特殊教育(特別支援教育)の基本的な考え方 通常教育と明確に区別された「特別ニーズ教育」はない。障害という概念でなく、SENという概念で、より幅の広いSENに応じた教育を提供している。教育の目的や目標は、独自なものがあるわけでなく、通常の教育と同じ(ウォーノック報告、1978)。
3.  【取り組み内容】
3−1 個別の教育支援計画(多様なニーズに適切に対応する仕組み) 早期の段階において、保護者を含めて、関連する専門家の協力を得て、判定書(statement)を地方教育局の責任において作成。14歳以降に「個別の移行支援計画」も作成。より具体的な「個別の指導計画」については、判定書のある子どもを含めて、SENのある子どもについて作成している(約20%弱)。生涯学習についても「個別の学習計画」を作成しているところがある。
3−2 特別支援教育コーディネータ
(教育的支援を行う人・機関を連絡調整するキーパーソン)
小中学校に特別な教育的ニーズコディネータ−(SENCO)がいて、学校のSENに関する教育方針を実行する役割であり、校内の支援体制を調整する人である(2001実施規則)。校内における教育支援を調整することが主たる役割であり、一部として、外部教育機関、福祉・医療機関との連携も役割に含まれる。教育に関する支援の調整であり、教師の資格を持つ主任以上の立場の人で、学校全体の取組に対して、責任を持つ。(特別学校にはSENCOはいず、SENCOは、福祉・医療機関との連携を主とする役割ではない。)
3−3 行政レベルの連携組織体制 教育主導の判定書の年間反省会議には、医療・福祉関係者が参加するし、福祉主導の会議に、教育関係者が参加し、学校で開催する場合もある。子どもへの支援サービスを中心に関連機関のメンバーが集まって会議をする。(今回の提案は、主旨や行動計画が不明確)。 障害かSENかで、基本的な発想が異なる。SENの課題はあくまで、教育的な問題であり、福祉や医療との連携が核となる問題ではない。
3−4 その他  
4.  【法令上の位置付け】
4−1 一人ひとりのニーズ教育 Education Act 1996
4−2 特殊学校 Education Act 1996
4−3 特殊学級 規定なし
4−4 通級指導 ユニットの規定、情報収集中
4−5 コーディネータ 実施規則2001
4−6 連携組織体制 ステートメントの会議、関連項目、実施規則2001



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