文部省告示第70号

盲学校学習指導要領小学部編を次のように定めた。

 昭和39年3月23日

文部大臣 灘 尾 弘 吉



盲学校学習指導要領小学部編

目次

 第1章 総 則
  第1 盲学校小学部の教育目標
  第2 教育課程の編成
  第3 指導計画作成および指導の一般方針
  第4 道徳教育

 第2章 各教科
  第1節 国 語     第5節 音 楽
  第2節 社 会     第6節 図画工作
  第3節 算 数     第7節 家 庭
  第4節 理 科     第8節 体 育

 第3章 道徳,特別教育活動および学校行事等
  第1節 道 徳
  第2節 特別教育活動
  第3節 学校行事等

 施行期日




 

第1章 総 則

第1 盲学校小学部の教育目標

 盲学校は,盲者(強度の弱視者を含む。)に対して,幼稚園,小学校,中学校または高等学校に準ずる教育を施し,あわせてその欠陥を補うために,必要な知識技能を授けることを目的としている(学校教育法第71条)。
 盲学校小学部における教育については,この目的を実現するために,次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。

1 学校教育法第18条に掲げる小学校における教育の目標に準ずる目標。
2 児童の視力またはその他の視機能の障害およびこれに起因する心身の発達上の欠陥を補うための次に掲げる目標。
(1) 歩行の能力および点字の読み書き能力を養うとともに,保有する視覚またはその他の感覚を訓練し,これらを有効に用いる習慣を養うこと。
(2) 生活経験を豊かにするとともに 社会的適応性を養うこと。
(3) 情緒の安定を図るとともに,障害に基づく種々の不利な条件を克服し,自主的に進んで物事を学ぼうとする態度を養うこと。
(4) 障害に起因する危険を予防し,これに対処できる能力と態度を養うこと。


 
第2 教育課程の編成

1 一般方針

(1) 盲学校小学部の教育課程は,国語,社会,算数,理科,音楽,図画工作,家庭および体育の各教科(以下「各教科」という。)ならびに道徳,特別教育活動および学校行事等によって編成するものとすることとなっている(学校教育法施行規則第73条の7)。
(2) 各盲学校においては,教育基本法,学校教育法,学校教育法施行規則(以下「規則」という。),盲学校学習指導要領小学部編,教育委員会規則等に示すところに従って教育課程を編成するものとする。この場合,各盲学校においては,地域や学校の実態を考慮し,児童の発達段階,経験および視力またはその他の視機能の障害の状態に即応するように留意しなければならない。
(3) 強度の弱視者のうち,視覚により教育を行なうことが適当な者については,各教科,特別教育活動および学校行事等に関し,この学習指導要領で示す目標,内容の一部を除き,または他の目標,内容を加えて教育課程を編成することができる。この場合にあっては,児童の視力またはその他の視機能の状態に応じて小学校学習指導要領を参考として編成するものとする。

2 授業時数の配当

(1) 盲学校小学部各学年における各教科および道徳の授業時数ならびにその合計は,次の表のとおりとする。

区 分 第1学年 第2学年 第3学年 第4学年 第5学年 第6学年

 

 











 
国 語
 
272(8) 315(9) 280(8) 280(8) 245(7) 245(7)
社 会
 
68(2) 70(2) 105(3) 140(4) 140(4) 140(4)
算 数
 
102(3) 140(4) 175(5) 210(6) 210(6) 210(6)
理 科
 
68(2) 70(2) 105(3) 105(3) 140(4) 140(4)
音 楽
 
102  (3) 70(2) 70(2) 70(2) 70(2) 70(2)
図画工作
 
68(2) 70(2) 70(2) 70(2) 70(2) 70(2)
家 庭
 
 
 
 
 
 
 
 
 
70(2) 70(2)
体 育
 
102(3) 105(3) 105(3) 105(3) 105(3) 105(3)
道 徳
 
34(1) 34(1) 35(1) 35(1) 35(1) 35(1)
合 計
 
816(24) 816(24) 875(25) 945(27) 1,015(29) 1,085(31)


(2) 上掲(1)の表において,各教科のそれぞれの授業時数は,年間の標準授業時数とし,道徳の授業時数ならびに各教科および道徳の授業時数の合計は年間の最低授業時数とする。
(3) 上掲(1)の表において,授業時数の1単位時間は45分とし,かっこ内の授業時数は,年間授業日数を35週(第1学年については34週)とした場合における週当たりの平均授業時数とする。
(4) 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等に授業時数を配当するにあたっては,下記の事項に注意する必要がある。
ア 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の年間の総授業時数を定めたり,配当したりするにあたっては,児童の負担過重とならないよう考慮すること。
イ 各教科の授業時数は,児童の障害の状態に即応する必要がある場合,各教科の一部について,合わせて授業を行なう場合(規則第73条の10第1項)および数学年の児童で学級を編制する場合(規則第73条の12第2項で準用する第19条)にあっては,各教科の目標の達成に支障のない範囲において,上掲(1)の表に示す授業時数を増減することができること。
ウ 道徳の授業時数ならびに各教科および道徳の授業時数の合計は,上掲(1)の表に示す授業時数を下ってはならないこと。
エ 特別教育活動および学校行事等については,それらに充てる授業時数は上掲(1)の表には示していないが,年間,学期,月または週ごとに適切な授業時数を配当するようにすることが望ましいこと。
オ 各教科および道徳についての各学年の授業は,年間35週以上にわたって行なうように計画すること。
カ 各教科および道徳についての1週間の時間割を作成するにあたっては,上掲(1)の表のうち,かっこ内に示した週当たりの平均授業時数を参照し,季節およびその他の事情を考慮し,調和的,能率的な指導を行ないうるようにすること。
キ 各教科および道徳の授業の1単位時間は,45分とすることが望ましいこと。季節およびその他の事情により,授業の1単位時間を45分未満とする場合は,当該学年において,上掲(1)の表に示す道徳の授業時数ならびに各教科および道徳の授業時数の合計を下らないようにすること。
 なお,授業の1単位時間には,教室を移動したり,休憩したりするのに要する時間を含まないものとすること。

3 特  例

(1) 私立の盲学校においては,各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等のほか,宗教を加えて教育課程を編成することができ,この場合は,宗教をもって道徳に代えることができることとなっている(規則第73条の12第3項で準用する第24条第2項)。また,宗教の時間と道徳の時間とを合わせて設けている私立の盲学校にあっては,宗教の授業時数をもって道徳の授業時数の一部に代えることができるものとする。
(2) 非常変災,伝染病等により,臨時に授業を行なわない場合で,上掲2の(1)の表に示す道徳の授業時数ならびに各教科および道徳の授業時数の合計を補うことができないようなやむを得ない事情があるときは,これらの授業時数を下ることができる。
(3) 精神薄弱等他の心身の故障をあわせ有する児童に係る教育課程については,特に必要がある場合は,特別の教育課程によることができることとなっている(規則第73条の11第1項)。
(4) 第1学年から第4学年までの各学年において各教科の一部について,合わせて授業を行なう場合においては,当該盲学校の設置者は,その実施方法を,市町村立の盲学校にあっては都道府県教育委員会に,私立の盲学校にあっては都道府県知事にあらかじめ届け出なければならないこととなっている(規則第73条の10第3項で準用する第25条の2第3項)。また,国立の盲学校にあっては文部大臣に届け出るものとする。


 
第3 指導計画作成および指導の一般方針

1 盲学校においては,下記の事項に留意して,各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等について,相互の関連を図り,全体として調和のとれた指導計画を作成するとともに,発展的,系統的な指導を行なうことがきるようにしなければならない。
(1) 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等について,第2章以下に示すところに基づき,地域や学校の実態を考慮し,児童の障害の状態や経験に即応して,具体的な指導の目標を明確にし,実際に指導する事項を選定し,配列して,効果的な指導を行なうようにすること。
(2) 第2章に示す各教科の内容に関する事項は,上記第2の1の(3)に示す場合を除きいずれの盲学校においても原則として取り扱うことを必要とするものである。各盲学校において特に必要と認められる場合には,第2章に示していない事項を加えて指導することをさまたげるものではないが,児童の心身の状況に即して指導するようにし,いたずらに指導する事項を多くしたり,程度の高い事項を取り扱ったりして,学年別の目標や内容の趣旨を逸脱したり,児童の負担過重とならないよう慎重に配慮すること。
(3) 第2章に示す各教科の学年別の内容に掲げる事項の順序は,そのまま指導の順序を示すものではない。各盲学校においては,各事項のまとめ方や順序をくふうして指導するようにすること。
(4) 歩行に関する指導は,基本的事項を体育で行なうほか,他の各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の教育活動の全体を通じて行なうものとすること。
(5) 保健に関する事項の指導は,各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の教育活動の全体を通じて行なうものとすること。
(6) 政治および宗教に関する事項の取り扱いについては,それぞれ教育基本法第8条および第9条の規定に基づき,適切に行なうように配慮しなければならないこと。
(7) 児童が心身の状況によって履修することが困難な各教科は,その児童の心身の状況に適合するように課さなければならないこととなっている(規則第73条の12第2項で準用する第26条)。各盲学校においては,指導の実際にあたって,このような児童について,特別な配慮とくふうをしなければならないこと。
(8) 数学年の児童で編制する学級において,特に必要がある場合は,各教科について,所定の目標の達成に支障のない範囲において,その学年別の順序によらないことができること。

2 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の指導を能率的,効果的にするためには,下記の事項について留意する必要がある。
(1) 児童の視力およびその他の視機能の障害の状態,失明等の時期,生育歴,発達段階および経験ならびに家庭および寄宿舎等における生活環境をよく理解すること。
(2) 学習の目標を児童にじゅうぶんはあくさせること。
(3) 児童の生活経験の不足を補い,これを拡充するように努めること。
(4) 児童の興味や関心を重んじ,自主的,自発的な学習をするように導くこと。
(5) 児童の個人差に留意して指導し,それぞれの児童の個性や能力をできるだけ伸ばすようにすること。
(6) 児童の調和的な心身の発達,歩行能力の向上,視覚以外の感覚の訓練に努めること。
(7) 強度の弱視者については保有する視覚を活用することなどによって,できるだけ視知覚の向上を図るように努めること。
(8) 学級および学校における好ましい人間関係を育て,教室内外の整とんや美化に努めるなど,学習環境を整えるようにすること。
(9) 教科書,その他の教材・教具などについて常に研究し,その活用に努めること。また,学校図書館の資料や視聴覚教材等については,これを精選して活用するようにすること。
(10) 学校医との連絡を密にし,教育活動全体を通じて,医学的配慮を加えるようにすること。特に,目の衛生と健康に留意すること。
(11) 指導の成果を絶えず評価し,指導の改善に努めること。


 
第4 道 徳 教 育

 学校における道徳教育は,本来,学校の教育活動全体を通じて行なうことを基本とする。したがって,道徳の時間はもちろん,各教科,特別教育活動および学校行事等の学校教育のあらゆる機会に,道徳性を高める指導が行なわれなければならない。
 道徳教育の目標は,教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基づく。すなわち,人間尊重の精神を一貫して失わず,この精神を,家庭,学校その他各自がその一員であるそれぞれの社会の具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造と民主的な国家および社会の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成することを目標とする。
 道徳の時間においては,各教科,特別教育活動および学校行事等における道徳教育と密接な関連を保ちながら,これを補充し,深化し,統合し,またはこれとの交流を図り,児童の望ましい道徳的習慣,心情,判断力を養い,社会における個人のあり方についての自覚を主体的に深め,道徳的実践力の向上を図るように指導するものとする。




 

第2章 各  教  科

第1節 国     語

第1 目  標

1 日常生活に必要な国語の能力を養い,思考力を伸ばし,心情を豊かにして,言語生活の向上を図る。
2 経験を広め,知識や情報を求め,また,楽しみを得るために,正しく話を聞き文章を読む態度や技能を養う。
3 経験したこと,感じたこと,考えたことをまとめ,また,人に伝えるために,正しくわかりやすく話をし,文章に書く態度や技能を養う。
4 聞き話し読み書く能力をいっそう確実にするために,経験を広め,国語に対する関心や自覚をもつようにする。

 上に掲げた国語科の目標1は,国語科において指導すべき総括的な目標である。目標2および3は,国語科において具体的に指導すべき聞くこと,読むこと,話すことおよび書くことの活動について,その目標を掲げたものであるが,これらの指導にあたっては,常に目標1の達成を目ざすとともに,目標4との関連を考慮して行なわなければならない。 次に示す各学年の目標は,教科の目標を根底におき,内容において示した指導すべき事項と合わせ,それぞれの学年の具体的な指導のねらいとなる。
 国語の指導は,国語科だけでなく,学校における教育活動の全体を通じて行なわれるものである。したがって,国語科の指導においては,他の各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等などにおける指導と密接に関連させて,国語の学習に関する基本的な事項を取り扱い,言語生活の向上を図るように努めなければならないが,特に盲児童においては,学校生活のみならず,家庭および寄宿舎等における生活とも関連させて,その経験を広め,言語生活を豊かにし,学習意欲の向上を図ることがたいせつである。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 聞くこと,話すことによって,生活の内容を豊かにし,学校生活に慣れるようにする。
(2) 相手を意識し,話を注意して聞くようにする。
(3) 気おくれせずに話すことができるようにする。
(4) 文章を読む方法の初歩がわかるようにする。
(5) 文章を読むために必要な点字や記号を身につけ,語句の意味を正しくとらえるようにする。
(6) やさしい読み物に興味をもつようにする。
(7) 書くことに興味をもつようにする。
(8) 文章を書くために点字や記号に慣れるとともに,必要な語句を身につけるようにする。
(9) 言いたいことを文章に書くことができるようにする。
(10) 点字や記号をていねいに書くことができるようにする。

2 内  容
A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
(聞くこと,話すこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 話すことに慣れ,話の仲間入りをすること。
イ 話し手の声によく注意して,じゃまにならないように聞くこと。
ウ 話の内容をだいたい聞き取ること。
エ 物語や童話などを聞いて楽しむこと。
オ 口を正しくあけ,はっきりした声で話すこと。
カ 何を言おうとしているかが,相手にわかるように話すこと。
キ はっきり返事をすること。
ク 聞き手のほうを向いて話すようにすること。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 指示や説明を聞く。
イ こども向けの短い放送や物語,童話などを聞く。
ウ あいさつをする。
エ 質問をしたり,応答をしたりする。
オ 数人の仲間で話し合う。
 上に示す活動のほか,「動作化をする」なども望ましい。

(読むこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 正しい発音で音読ができること。
イ 点字にさわることに慣れ,両手を正しく使って読むこと。
ウ 切るところに注意してはっきり読むこと。
エ 行を正しくたどり,声を出さないで読むことができること。
オ 拾い読みでなく,語や文として読むこと。
カ 何が書いてあるかを考えて読むこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 身のまわりの簡単な書き物を読む。
イ 児童の日常生活に取材したものを読む。
ウ 知識や情報を与える簡単な文章を読む。
エ 経験を広め心情を豊かにする童話や説話などを読む。

(書くこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 書こうとする気持ちを養うこと。
イ 何を言おうとしているかが,わかるように書くこと。
ウ 点字用紙のはさみ方が正しくできること。
エ 正しい点筆の持ち方,運び方に慣れること。
オ 点字をまちがわないように,ていねいに書くこと。
カ ますあけを理解し,それに慣れること。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 話し合いによって共同で文章を作る。
イ 文や短い文章を聞いて書く。
ウ 身近なことで興味をもったことを文章に書く。
 上に示す活動のほか,「文字や語句を組み合わせて文を作る」「録音などを聞いて文章を書く」なども望ましい。

B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1) 発音に気をつけ,また幼児音を使わないこと。
(2) 点字の五十音,濁音,よう音,促音,長音などが,ひととおり読み書きできること。
(3) 点字の簡単な記号を読み,また書くこと。
(4) ひとますあけ,ふたますあけに注意して書くこと。また句とう点にあたるところを注意して読むこと。

3 指導上の留意事項
(1) この学年においては,児童の話し聞く生活を土台として,読み書く生活へと導いていく。そのためには,自分のこと,家族,友人,教師のこと,その他さわったこと,聞いたこと,したことなどのうち特に興味のあることを中心として,聞くこと,話すことの基礎的な態度や技能を養いながら,読むこと,書くことの学習に進むようにする。
(2) 点字の指導は,初期においてじゅうぶんさわって知ることの訓練を経てからはいるようにする。また,点字の構造を考えて,識別しやすい点字を興味ある身近なことばにして読みの指導からはいり,やがて書けるようにする。
(3) 盲児童は経験領域が狭いため,語いも少なく,概念もあいまいであるから,できるだけ多く聞かせたり,話させたり,さわらせたりして語いを豊富にし,概念を正確にするように努める。
(4) 盲児童は見えないため口形がわからず,発音が不正確になりがちであるから,発音指導には特に留意する。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 聞くこと,話すことの基礎的な態度を身につけるようにする。
(2) 人の話を聞くことに慣れるようにする。
(3) 楽な気持ちではっきり話すことができるようにする。
(4) 読むことに親しませ,読みの基礎的な能力を身につけるようにする。
(5) 読むために必要な点字,記号,ますあけや語句を確実に身につけ,また,語句の範囲を広げるようにする。
(6) やさしい読み物を自分から進んで読むようにする。
(7) 進んで文章を書こうとする態度を育てる。
(8) 文章を書くために必要な点字や記号,ますあけに注意し,また,語句の範囲を広げるようにする。
(9) 訴えたいことや,知らせたいことを,文章に書くことができるようにする。
(10) 点字や記号を正しく書くことができるようにする。

2 内  容
A 聞くこと,話すこと.読むこと,書くこと
(聞くこと,話すこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア みんなといっしょに聞いたり話したりすること。
イ 注意を集中して聞くこと。
ウ 話されていることの順序に従って聞くこと。
エ 人が話しているときは,だまって聞き,途中でほかのことに話を移さないこと。
オ 落ち着いてはきはきと話すこと。
カ 口を正しくあけて,みんなに聞こえるようにはっきり話すこと。
(2) 次の項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 質問をしたり,応答をしたりする。
イ 会話をする。
ウ 話し合いをする。
エ さわったことや聞いたことなどの説明をする。
オ 経験したことや童話などを話す。
カ 放送や録音などを聞く。
 上に示す活動のほか,「動作化をする」なども望ましい。

(読むこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 切れ目に注意して,正しい発音で読むこと。
イ 書いてあることをだいたい読み取ること。
ウ 語や文として読むことに慣れること。
エ 文章に即して書いてあるとおりに読み取ること。
オ 順序をたどって意味をとること。
カ 好きなところやおもしろいところを抜き出すこと。
キ 読むために必要な点字や記号,ますあけを理解し,語句を増すこと。
 上に示す指導事項のほか,「教科書以外の点字本を読むこと」に興味をもたせるようにし,「学級文庫の利用のしかたがわかること」などについて指導することも望ましい。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 身のまわりの書き物を読む。
イ 児童の日常生活に取材したものを読む。
ウ 知識や情報を与える説明的な文章を読む。
エ 経験を広め心情を豊かにする童話,説話,詩などを読む。

(書くこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 進んで書こうとすること。
イ 知らせたいことが相手にわかるように書くこと。
ウ できごとの順序をたどって書くこと。
エ 書いたものを読みなおす習慣をつけること。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 身近なできごとについて文章を書く。
イ 文や短い文章を読んで書く。
ウ 書いたものを発表しあう。
エ 簡単な文を聞いて書く。
 上に示す活動のほか,「語句を組み合わせて文を作る」なども望ましい。

B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1) 発音にいっそう気をつけること。
(2) 点字や記号の読み書きがひととおりできること。
(3) ひとますあけ,ふたますあけが正しく書け,行かえなどのきまりを知ること。
(4) 落ち着いて,きれいに正しく書く習慣をつけること。
(5) ていねいなことばと,普通のことばのあることに気づくこと。

3 指導上の留意事項
 この学年では,第3学年以後の学習が有効に行なわれるように第1学年からの学習をいっそう徹底させ,低学年としての学習の一応のまとめをすることが必要である。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 必要な場合,相手や場に応じて,聞いたり,話したりすることに慣れるようにする。
(2) 聞くことの基礎的な能力や態度を身につけるようにする。
(3) 話すことの基礎的な能力や態度を身につけるようにする。
(4) ある程度すらすらと読むことができるようにする。
(5) 読むために必要な語句を増し,点字や記号,ますあけをいっそう確実にする。
(6) いろいろな読み物を読もうとする態度を育てる。
(7) かなり長い文章を書くことができるようにする。
(8) 文章を書くために必要な語句や点字,記号,ますあけなどをいっそう確実に身につけるようにする。
(9) 自分の考えや感じを,文章に書こうとする態度を育てる。
(10) 点字や記号をいっそう正しく書くことができるようにする。

2 内  容
A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
(聞くこと,話すこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア わからないときには聞き返すこと。
イ 要点を聞き取ること。
ウ 自然な態度で話すこと。
エ 適切な大きさの声で話すこと。
オ 順序に従って話すこと。
カ 大事なことを落とさずに話すこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 質問をしたり応答をしたりする。
イ 会話をする。
ウ 話し合いをする。
エ 説明をする。
オ 経験したことや物語,童話などを話す。
カ 放送や録音などを聞く。
 上に示す活動のほか,「劇化をする」なども望ましい。

(読むこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 正しくくぎって適当な速さで読むこと。
イ 長い文章を終わりまで読むこと。
ウ 要点をおさえて読むこと。
エ 読み取ったことについて感想をもつこと。
オ わからない語句をみつけ出すこと。
カ 読み取ったことを他人に伝えて楽しむこと。
キ 教科書以外の点字本を読む習慣をつけること。
 上に示す指導事項のほか,「学級文庫の利用のしかた」がわかることなどについて指導することも望ましい。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 児童の日常生活に取材したものを読む。
イ 知識や情報を与える説明,解説などを読む。
ウ 経験を広め心情を豊かにする童話,物語,伝記,詩,脚本などを読む。

(書くこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 書こうとするものをよく確かめて書くこと。
イ 書こうとすることがらをはっきりさせてから書くこと。
ウ かなり長い文章を書くこと。
エ 必要に応じて継続して書くこと。
オ 大事なことを落とさずに書くこと。
カ 書いたことは必ず読み返し,まちがいがあれば書きなおすこと。
キ 書くことを楽しむようにすること。
ク 点字や記号を正しく,ていねいに,ますあけに気をつけながら書くこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 日常生活や学習のことを書く。
イ いろいろな行事やできごとを書く。
ウ 手紙を書く。
エ 観察したことや,学級のできごとを書く。
 上に示す活動のほか,「学級の新聞や文集を作る」なども望ましい。

B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1) 発音に気をつけて,はっきり話すようにすること。
(2) 点字や記号が,いっそう正しく読み書きできるようにすること。
(3) 語句への関心を増すこと。
(4) 文の中の意味の切れ目や,ことばのかかり方に注意すること。

3 指導上の留意事項
(1) この学年では,聞くことや,読書の範囲が広がり,語句の習得が著しく伸びる時期であるから,その点を考慮して,新しい語句を身につけさせるように指導することがたいせつである。
(2) この学年の後半においては,点字の読み書き能力が上昇する時期に向かうので,読み書きの機会を多くするなど,指導上の配慮が必要である。

〔第4学年〕
1 目  標
(1) どういう聞き方や話し方がよいかが,わかるようにする。
(2) 注意して聞き,聞いたことを生活に役だてることができるようにする。
(3) 話題を豊かにするようにする。
(4) 正確に読むとともに,読む速さを増すことができるようにする。
(5) 読むために必要な語句をいっそう増すようにする。
(6) 読む量をふやし,読み物の範囲を広げるようにする。
(7) ある程度整った文章を書くことができるようにする。
(8) 文章を書くために必要な点字の能力を高め,語句を増すようにする。
(9) 文章を書く意欲を高め,目的をはっきりさせて書くことができるようにする。

2 内  容
A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
(聞くこと,話すこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 自分ばかり話さないこと。
イ 聞いたことをまとめること。
ウ 進んで話し合いに参加すること。
エ 落ち着いた態度で話すこと。
オ 考えをまとめながら話すこと。
カ 意味のまとまりごとにくぎりをつけて話すこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 会話をする。
イ 話し合いをする。
ウ 説明をする。
エ 報告をする。
オ 経験したことや物語,童話などを話す。
カ 放送や録音などを聞く。
 上に示す活動のほか,「劇化をする」なども望ましい。

(読むこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 読むために必要な点字や記号を確実に理解し,読む速度を速めること。
イ 黙読に慣れること。
ウ 文章を段落ごとにまとめて読むこと。
エ 読み取ったことについて話し合うこと。
オ 必要なところを,細かい点に注意して読むこと。
カ わからない語句を文脈にそって考えること。
キ 知るため,楽しむために本を読むこと。
 上に示す指導事項のほか,「学校図書館の利用のしかたがわかること」や「点字図書館の利用のしかたがわかること」などについて指導することも望ましい。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 児童の日常生活に取材した日記または手紙,記録または報告などを読む。
イ 知識や情報を与える説朋,解説,報道などを読む。
ウ 経験を広め心情を豊かにする童話,物語,伝記,詩,脚本などを読む。

(書くこと) 
(1) 次の事項について指導する。
ア 書こうとすることがらをまとめてから書くこと。
イ 段落を考えて書くこと。
ウ 中心点をおさえて書くこと。
エ ますあけや記号を正しく使い,点字をいっそう正しく書くこと。
オ 書いたあとは必ず読みなおし,必要なところを書きなおすこと。
カ 正しい転写のしかたを知ること。
 上に示す指導事項のほか,「メモをもとにして書く習慣をつけること」などについて指導することも望ましい。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 日常生活や学習のことを書く。
イ いろいろな行事やできごとを書く。
ウ 読書や研究の記録を書く。
エ 手紙を書く。
 上に示す活動のほか,「学級の新聞や文集を作る」なども望ましい。

B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1) 正しい発音で話すようにすること。
(2) 点字をいっそう正しく速く書くようにするとともに,記号(アルファベットを含む。)を理解し正確に使えるようにすること。
(3) 語句の組み立てについて注意を向けること。
(4) 文の中の意味の切れ目やことばのかかり方にいっそう注意すること。
(5) 文章の常体,敬体の違いを理解すること。
(6) 全国に通用することばと,その土地でしか使われないことばの違いを理解すること。
 上に示す指導事項のほか,「全国で通用することばで文章を書いたり,また,話をしたりするように努めること」も望ましい。

3 指導上の留意事項
(1) 第3学年に引き続いて読書の力が目だって伸びる時期でもあるから,いろいろな読み物に親しませて,経験を広め心情を豊かにするように努める。また,聞くこと,話すことの活動を通して話題を豊かにするように努める。
(2) 点字の読み書き能力は,この学年で一応の完成を図るようにすること。

〔第5学年〕
1 目  標
(1) 相手や場を考えて聞いたり話したりできるようにする。
(2) 聞く態度と技能をいっそう伸ばすようにする。
(3) 話す態度と技能をいっそう伸ばすようにする。
(4) 調べるために読むことができ,また,味わって読むことができるようにする。
(5) わからない語句の意味を自分で調べたり確かめたりすることができるようにする。
(6) 読み物の範囲を広げ,読み物を自分で選択することができるようにする。
(7) 文章を書く技能を伸ばし,かなり自由に書くことができるようにする。
(8) 文,文章の組み立てや語句の使い方に注意して書くことができるようにする。
(9) 文章を書く必要性を意識し,それに応ずることができるようにする。

2 内  容
A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
(聞くこと,話すこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 絶えず相手や場を意識して話題からそれないように話すこと。
イ 注意を集中して聞き,話し手の意図をとらえること。
ウ 率直な態度で聞くこと。
エ 相手にわかるように心がけて話すこと。
オ 主旨のはっきりした話し方をすること。
カ よい放送を選んで聞いたり,よい録音などをつとめて聞く態度を育てること。
 上に示す指導事項のほか,「原稿をもとにした説明をすること」「聞いたことをメモにとること」などについて指導することも望ましい。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 話し合いや会議に参加する。
イ 説明をする。
ウ 報告をする。
エ 発表をする。
オ 朗読をする。
カ 放送や録音などを聞く。
キ 電話やマイクロホンなどを使って話す。
 上に示す活動のほか,「劇などをする」なども望ましい。

(読むこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 点字の読みをいっそう速く確実にすること。
イ 味わって読むため,他人に伝えるために,声を出して読むこと。
ウ 書き手の意図や文章の主題をとらえること。
エ 自分の生活や意見と比べながら読むこと。
オ 調べるために読むこと。
カ 自分の読書のしかたを反省して,その向上を図ること。
 上に示す指導事項のほか,「点字の辞書が使えること」などについて指導することも望ましい。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 児童の日常生活に取材した日記または手紙,記録または報告,感想などを読む。
イ 知識や情報を与える説明,解説,報道などを読む。
ウ 経験を広め心情を豊かにする物語,伝記,詩,脚本などを読む。

(書くこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 主旨のはっきりした文章を書くこと。
イ 必要に応じて文章を詳しく書いたり,簡単に書いたりすること。
ウ 段落のはっきりした文章を書くこと。
エ すいこうすること。
オ 書式に従って書くことに慣れること。
カ 点字や記号がいっそう速く確実に書けること。
キ 転写に慣れること。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 記録を書く。
イ 手紙を書く。
ウ 物語などのあらすじなどを書く。
エ 感想を書く。
 上に示す活動のほか,「詩などを書く」「物語などを脚本に書きかえる」なども望ましい。

B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1) 転写がまちがいなくできるようにすること。
(2) 普通文字(ローマ字を含む。)について,そのあらましを知るとともに,点字に対する関心をいっそう深めること。
(3) 語句には使い方のうえで,いろいろの種類があることに気づくこと。
(4) 文における主語,述語の関係,修飾の関係に注意し,また文と文との接続,文章における段落相互の関係などにも注意を向けること。
(5) 全国に通用することばで書くようにすること。

3 指導上の留意事項
(1) この学年では,話し手や書き手の意図を正確に聞き取ったり,読み取ったりする学習に力をそそぐとともに,自分の表現しようと思う主旨をはっきりさせて,話したり書いたりできるようにする。
(2) この学年では転写がより正確に早くできるように指導する。
(3) ことばに対する関心を高め,ことばづかいをよくしていこうとする意識を育てる。

〔第6学年〕
1 目  標
(1) 聞くこと話すことによって生活を高め充実していくようにする。
(2) 判断しながら聞くことができるようにする。
(3) 効果的に話すことができるようにする。
(4) 目的に応じていろいろな読み方ができるようにする。
(5) 読むために必要な語句の範囲を広げ,その量を増すようにする。
(6) よい読み物を選んで読む習慣をつける。
(7) 目的に応じていろいろな文章を書く能力を身につけて,生活に役だてることができるようにする。
(8) 文章の組み立てや語句の使い方についてくふうするようにする。
(9) 書くことによって表現意欲や思考力を高めるようにする。

2 内  容
A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
(聞くこと,話すこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 人の言うことを尊重して聞くこと。
イ 必要なことをメモし,話の要旨や意図を確実にとらえるように努めること。
ウ 事実と意見を区別して聞き分けたり,自分の意見と比較しながら聞くように努めること。
エ 話の順序をきめて相手にわかりやすいように話すこと。
オ 相手や場にふさわしい話し方をすること。
カ 正しいことばづかいで話すこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 話し合いや会議に参加する。
イ 説明をする。
ウ 報告をする。
エ 発表をする。
オ 朗読をする。
カ 放送や録音などを聞く。
キ 電話やマイクロホンなどを使って話す。
 上に示す活動のほか,「劇などをする」「校内放送をする」なども望ましい。

(読むこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 読み物の内容と,読む目的に応じて,それに適した読み方をすること。
イ 書かれていることの中の事実と意見を判断しながら読むこと。
ウ 文章の組み立てや,叙述に即して正確に読むこと。
エ 文章を味わって読むこと。
オ 要点を抜き出したり,全体を要約したりすること。
カ どんな本がよいかを見分け,よい本を選んで読み,また,語句を増すこと。
キ 点字の読みをいっそう速く確実に身につけること。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 児童の日常生活に取材した日記や手紙や記録,または,報告,感想などを読む。
イ 知識や情報を与える説明,解説,報道などを読む。
ウ 経験を広め心情を豊かにし,強く生きる力を与えるような物語,詩,伝記,脚本などを読む。

(書くこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 目的に応じた書き方を考えること。
イ 文章の組み立てや語句の使い方を考え,効果的に表現しようとすること。
ウ 材料をととのえて書くこと。
エ 書くことの範囲を広げて,ものの見方,考え方を広く深くするように努めること。
オ 点字の書き方をくふうし,いっそう正しく,速く書くこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 記録を書く。
イ 報告を書く。
ウ 手紙を書く。
エ 感想や意見を書く。
オ 抜き書きをしたり,要約をしたりする。
 上に示す活動のほか,「詩などを書く」「物語などを脚本に書きかえる」なども望ましい。

B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1) 転写がいっそう速く確実にできるようにすること。
(2) ことばの抑揚の違いに関心をもつこと。
(3) 語の由来などに関心をもつこと。
(4) 文と文との接続,文章における段落相互の関係などに注意すること。
(5) 同音異義語などに関心をもつこと。
(6) 日常よく使われる敬語の使い方に慣れること。
(7) 必要な場合に全国に通用することばで話すこと。

3 指導上の留意事項
(1) この学年では,聞くこと,話すこと,読むこと,書くことのすべてにわたって,指導に一応のまとまりをつけることが必要である。
(2) 読書の範囲を広げることが必要であるが,その際,聴覚や視覚でとらえ,また,深い思索の世界をうたいあげた各種の作品により多く親しませることが望ましい。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 年間計画は,次のような点に留意して立てる。
(1) 前後の学年の目標を見渡して,その学年の特性をよく考え,地域の実情や学級の実態を考慮に入れたうえで,聞くこと,話すこと,読むこと,書くことのそれぞれに片寄りがないように計画を立てる。
(2) 各学年の内容に示す指導すべき事項および活動に基づき,学習活動を組織する。そのためには,国語科の目標を根底におき,各学年の目標,内容の相互関係をはっきりさせておくことが必要である。
(3) 各学年の内容に示す指導すべき事項や活動は,もし先にその指導の準備をしておくことが有効だと考えられる場合には,その前の学年で,初歩的な形で取り上げ,また,その発展的指導をする必要があると考えられる場合には,そのあとのそれぞれの学年で程度を高めて取り上げてもよい。
(4) ことばに関する事項は聞き,話し,読み,書く活動の中に含めて指導するのを原則とする。しかし,発音とか点字などのように,くり返して練習をさせることが必要なものについては,特にそれだけを取り上げて学習させることができるように計画を立ててもよい。
(5) 学習指導にあたっては,児童の必要と興味と能力に応じて話題や題材を選定し,聞き,話し,読み,書く活動が有機的総合的に展開されるように計画を立てる。その場合に,目標を明確にし,指導の中心をはっきりさせておくことが必要である。

2 話題や題材の選定にあたっては,児童の発達段階に即応させ,次のような観点のもとに片寄りのないように注意する。
(1) 常に正しく強く生きようとする気持ちを養い,障害を克服して健全な人生観の芽ばえを育てるのに役だつこと。
(2) 人間性を豊かにし,他人とよく協力しあう態度を育てるのに役だつこと。
(3) 個性的,独創的精神を養うのに役だつこと。
(4) 道徳性を高め,教養を身につけるのに役だっこと。
(5) 想像や情緒を豊かにし,生活を明るく美しくするのに役だつこと。
(6) 自然や人生に対して正しい理解をもたせるのに役だつこと。
(7) 論理的思考力や科学的態度を養うのに役だつこと。
(8) 国語に対する関心や自覚を深めるのに役だつこと。
(9) 国土や文化などについて理解と愛情を育て,国民的自覚を養うのに役だつこと。
(10) 世界の風土や文化などに理解をもたせ,国際協調の精神や世界的視野を養うのに役だつこと。

3 聞くこと,話すこと,読むこと,書くことのうち,聞くこと,話すことに関しては低学年からじゅうぶんに指導し,小学部の第6学年を終了するまでに,どのような地域においても,全国に通用することばで一応聞いたり話したりすることができるようにする。読むこと,書くことの指導は,学年が進むにつれてしだいに比重を増して第6学年で一応のまとまりをつける。

4 国語科の指導を通して情操を高め,生活を楽しく豊かにすることは,造型的表現活動に制約を受けている盲児童にとっては,特に重要である。したがって,発達段階に即応して鑑賞と創作の能力を高めるように努めなければならない。

5 点字の習得はきわめて重要であるから,効果的な指導によって点字による表現や理解がじゅうぶんできるようにしなければならない。そのためには児童の発達段階に応じた指導の順序と方法の改善に努めなければならない。


 
第2節 社     会

第1 目  標

1 具体的な社会生活の経験を広め,自他の人格の尊重が民主的な社会生活の基本であることを理解させ,自主的,自律的な生活態度を養う。
2 家庭,学校,市町村,国その他いろいろな社会集団につき,集団における人と人との相互関係や,集団と個人,集団と集団との関係について理解させ,社会生活に適応し,これを改善していく態度や能力,国際協調の精神などを養う。
3 生産,消費,交通その他重要な社会機能やその相互の関係について基本的なことがらを理解させ,進んで社会的な協同活動に参加しようとする態度や能力を養う。
4 人間生活が自然環境と密接な関係をもち,それぞれの地域によって特色ある姿で営まれていることを,衣食住等の日常生活との関連において理解させ,これをもとに自然環境に対応した生活のくふうをしようる態度,郷土や国土に対する愛情などを養う。
5 人々の生活様式や社会的な制度,文化などのもつ意味と,それらが歴史的に形成されてきたことや盲人の生活とその推移をも考えさせ,先人の業績やすぐれた文化遺産を尊重する態度,正しい国民的自覚をもって国家や社会の発展に尽くそうとする態度などを養う。

 上に掲げた社会科の目標は,相互に密接な関連をもつものであるが,特に,社会科はわが国における民主主義の育成に対して重要な教育的役割をになう教科であり,障害をもつものにも,民主社会の一員としての自覚をもたせる意味から,各学年における具体的な学習が,主として目標2から5までのいずれかにかかわる場合においても,常にその指導の根底には目標1が考慮されなければならない。
 社会科は,社会生活に対する正しい理解を得させることによって,児童の道徳的判断力の基礎を養い,望ましい態度や心情の裏づけをしていくという役割をになっており,道徳教育について特に深い関係をもつものである。したがって,社会科の指導を通して育成される判断力が,道徳の時間において児童の道徳性についての自覚としていっそう深められ,この自覚がふたたび社会科における学習に生きてはたらくように指導することが望ましい。
 以下に示す各学年の目標は,次のような盲児童の発達段階と特性に応じた社会科の特性を考慮して作成したものである。すなわち,低学年では,児童の日常生活における諸経験を整理,発展させながら,個々にとらえた事物を総合して空間を構成的に理解する能力を養い,身近な社会生活をささえている人々の仕事や事物のはたらきなどに着目させ,これらの意味を正しく理解させることを通して,社会生活に対する正しい見方,考え方の基礎や集団の一員として障害を克服して自主的,自律的に生活する態度の芽ばえを育てることが重点であって,社会事象に対するあまり立ち入った解釈や批判をしいてもたせようとすることは適切ではない。学年が進むにつれ,ものごとを系統的に考える力や,社会事象相互の関係を追求したり,批判的に考える力などもしだいに発達してくるので,このような特性をじゅうぶん生かしながら,社会科の目標を有効に達成するように配慮したものである。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
 1 目  標
(1) 学校や家庭の生活をささえるために行なわれているいろいろな仕事の様子や,自分たちとの関係について理解させ,これらの仕事に伴う苦心やくふうに気づかせる。
(2) 学校や家庭,その他の身近な生活におけるいろいろなきまりや行事,施設などの意味について理解させ,みんなが健康でしあわせな生活ができるように苦心が払われていることに気づかせる。
(3) 学校を中心に身近な地形,事物の位置関係や場所的相違,あるいは家庭の暮らしなどにみられる季節的変化,事物の新旧の違いなどを観察,理解させ,空間や時間についての意識を育てる。
(4) 学級や家庭などにおける人間関係に目を開かせ,これらの生活も自分たちの協力やくふうによって,いっそう楽しくなることを考えさせ,集団生活に進んで参加しようとする態度を養う。

 2 内  容
(1) 学校の校舎や運動場,その他学級園などの配置やその利用のしかたを理解する。
(2) 学校では先生はじめいろいろな人々が,それぞれの仕事を通して力を合わせながら,自分たちのために働いてくれている。
(3) みんなで使う道具や施設の使い方,行事への参加のしかたなど,学級や学校で決めたことをよく守れば,みんなが楽しい学校生活を送ることができる。
(4) 自分から進んでくふうし,みんなのためになることをすれば,気持ちよく楽しい学級の生活ができる。
(5) 集団生活では,互いに自分の意見や希望をすなおに述べあったり,人の立場や意見も考えて行動したりしなければならない場合が多い。
(6) 家の職業は,家族の生活をささえるもとになっているたいせつなものであり,友だちの家と比べてみても,いろいろな職業があることがわかる。
(7) 家庭で衣食住の準備や世話をしてくれる人の仕事は,忙しく苦労が多いが,そのほかの家族もめいめいたいせつな役割をもっている。
(8) 人々の仕事には,季節や時刻,人手の関係などで特に忙しいことがある。
(9) 家庭では,みんなが仕事の上で協力するばかりでなく,いろいろくふうして,楽しい時間や行事をもつように努めることがたいせつである。
(10) 人々は,いろいろくふうして,土地を田や畑にしたり,道路にしたりなどして,暮らしに役だてているが,その様子は場所によって違っている。
(11) 自分たちの周囲には,いろいな道路があり,また各種の乗り物が走っていて,人や物を運ぶたいせつな役割を果たしているが,その利用には危険も伴うから,登下校などには常に注意が必要である。
(12) 自分たちの周囲には,公園,あき地,遊園地などもあり,遊び場その他に役だっているが,その利用のしかたについてもいろいろな注意やくふうが必要である。
(13) 家庭の衣食住,自分たちの遊びや生活のしかたなどには,季節によって,さまざまな違いが見られる。
(14) 道路や建物などには古いものと新しいものがあり,また道路工事が行なわれたり,新しい建物ができたりなどして,近所の様子も変わっていく。
(15) みんなが健康に暮らすことが楽しい生活のもとになるので,学校や社会では病気やけがを防ぐためのきまりをつくったり,行事を行なったりしており,両親や先生も常に気を配ってくれている。

 3 指導上の留意事項
(1) この学年の社会科は,特に道徳の時間における指導との関係が深い。しかし,社会科としては,たとえば健康,安全のための習慣形成とか,世話になっている人々への感謝の気持ちを育てることなどだけがねらいではなく,具体的な社会生活の中で人や事物がどんなはたらきをしているか,そのはたらきはどんな条件にささえられているか等についての認識を育てながら,その発展として上記のような習慣形成や心情の育成をも目ざすのである。このような社会科の特性を生かした単元構成とその指導を行なうべきである。
(2) 内容の(6),(7),(8)等に関連して,家族の人たちの仕事について学習を行なう際,単にいろいろな仕事を列挙するだけでなく,いわゆる家計の基礎である職業的活動として行なわれている仕事と家族の衣食住の世話にあたる仕事などとの間には,「仕事」という同じことばで呼ばれても,そこにはかなりの意味の違いがあることに気づかせ,かつそのような職業を通して家庭の生活もより広い社会につながっていることに気づかせておくことが,第2学年の学習の基礎として重要である。ただし,職業の種類については,学級の児童の家庭の職業として取り上げられる範囲にとどめ,それ以上にわたる必要はない。
(3) 内容の(10),(11),(12)等の学習を通して空間的意識を育てることがたいせつであるが,その場合には内容の(1)とともに児童の日常の生活経験を考えて具体的な観察の観点を明確にし,経験の確かなもので,はあくの徹底を期することがたいせつである。また,簡単な模型等の有効な活用に努め,地図に対する基礎的な空間理解の能力を養うことが特にたいせつである。
(4) 内容の(13)および(14)は,児童の時間的意識を育てるものとして重要な意味をもっている。しかし盲児童の経験と観察には特色があるので,教材の選定に留意するとともに,この学年としては,これらを単独に切り離して単元を構成するのではなく,学校や家庭生活等に関する具体的な学習と関連して取り扱うことが望ましい。

〔第2学年〕
 1 目  標
(1) 世の中には,生活に必要な物資の生産や,その輸送等に従事している人々の活動があり,これによって自分たちの生活がなりたっていることを理解させ,物資の利用のしかた等についてくふうできるようにする。
(2) 人々の生命財産を守るための各種の仕事やその意味について具体的に理解させ,自分たちが日常安心して生活できるようなしくみが考えられていることに気づかせる。
(3) 天候と人々の仕事との関係,自分たちの生活が遠い地方の人々とも関係をもっている事実,人々の使う道具や機械が進んできている事実などの一端を理解させ,空間や時間についての意識を深める。
(4) 学校や家庭ばかりでなく,世の中でも多くの人々がそれぞれの仕事を分担しあっている事実を理解させ,これらの人々に対する協力や感謝の気持ちを育てる。

 2 内  容
(1) どんな職業の家庭でも,他の人の作った物資を買って,その仕事や生活に役だてている。
(2) 近所の位置関係や様子をとらえ,人々は互いに協力して不時の災害に備えたり,共同施設の改善を図ったりなどして,安全で住みよい環境をつくる努力を続けている。
(3) 田畑を耕して米や野菜などを作っている農家の人々,山の木を切り出したり,炭を焼く人々,海で働く人々などはすべて自然と関係の深い仕事をしている。
(4) 工場では,大ぜいの人々が,生活に必要ないろいろな品物を機械を使って大量に作り出している。
(5) 店の人々は生産者と消費者とをつなぐ役割を果たしているが,問屋や市場から品物を仕入れる仕事その他にいろいろなくふうをしている。
(6) 交通,運輸の仕事に携わっている人々は,安全にしかも早く人々や物を運ぶために努力している。
(7) 天候の変化は,人々の仕事にいろいろな影響を与えるが,特にあらしなどで田畑が荒らされたり,交通,通信機関などが止まったりすると,その復旧には多くの苦労が伴う。
(8) いろいろな仕事をする人の使う道具や機械を見ると,便利になってきたものが多い。
(9) 警察官,消防官,医師などは,盗難,けが,火災,病気等の不幸からみんなの生活を守るための仕事を休みなく続けているが,自分たちとしてもこれらの事故を未然に防ぐくふうをしなければならない。
(10) これらの人々の仕事の特色は,いつでも仕事にとりかかれるように用意しており,時にはその仕事に生命の危険が伴うことなどである。
(11) 人々は郵便,電報などを利用して,よその土地の人々と必要な連絡をしているが,郵便局などで働いている人々は,それらが確実に早く相手に届くよう努力している。
(12) 働く人たちは身なりやことばづかいは違っていてもそれぞれたいせつな仕事を受け持っていることを考えたり,これらの人々の働きで作られた品物をたいせつに使うくふうをすることなどが必要である。

 3 指導上の留意事項
(1) この学年の社会科は内容の(3),(4),(5),(6),(9)および(11)によって明らかなように,自分たちの生活のささえになっている重要な仕事の代表的なものをとらえ,これらが社会的分業のかたちで行なわれていることに気づかせ,それぞれの仕事の様子や自分たちとの関係などを,人の働きを中心として理解させようとするものである。しかし職業的活動相互の関係については,児童の理解しやすい事例に限定して扱い,あまり多くを期待すべきではない。
(2) この学年の内容を取り扱う場合,具体的な場所については,常に自分の学校や家庭との位置関係等についての配慮のもとに,学習を進めるよう留意することがたいせつである。
(3) 特に内容の(3)および(4)については,地域によって,それぞれ働く人の様子を実際に観察したり,調べたりすることの困難な場合や,経験的にとらえられないものもあろう。しかし,そのような場合でも,教科書,説明,録音の利用その他の方法によって,これを有効に学習させるようにくふうしなければならない。
(4) 内容の(8)の取り扱いについては,内容の(3),(4),(6),(7),(10),(11)等に関する具体的な学習の中で,児童に理解しやすく,できれば実際に比較観察することのできる道具や機械の事例を取り上げていくのが望ましい。時代の順を追ってこれらの変遷を扱うような学習を行なう必要はない。

〔第3学年〕
 1 目  標
(1) 村(町)で人々が行なっている生産その他の重要な諸活動とそれら相互の関連について理解させ,村(町)の公共施設や資源をたいせつにする態度を養う。
(2) 村(町)の人々の仕事は,その地形,気候,資源,交通条件などと深い関係をもって営まれていることを観察,理解させ,自然環境と人間生活の関係についての関心を高める。
(3) 村(町)の生活には,今昔の違い,歴史的な移り変わりがいろいろな姿でみられることを理解させ,先人の努力について考え,これを尊重し,感謝する気持ちを育てる。
(4) 自分たちの村(町)にも今後くふうや改善を要するいろいろな問題があることを知り,その解決や村(町)の発展を願う気持ちを育てる。

 2 内  容
(1) 村(町)の中には,田畑や森林の多い所,住宅,商店,工場などがそれぞれ集まっている所などがあり,その様子は場所によって違う。
(2) 村(町)の人々はいろいろな職業に携わっているが,その中には自分の村(町)で働いている人と,他の村(町)に働きに行く人とがある。
(3) 村(町)の人々の仕事や暮らしは,その土地の地形,気候,資源,交通条件などと深い関係をもっているが,かんがいのための各種の工事を行なったり,協同組合を作ったり,水道を引いたりなどして,いろいろくふうをしている。
(4) 村(町)では,みんなの健康を守ったり,火災や水害などの災害を防いだりするために,保健所,診療所,消防団,水防団などをつくってさまざまな活動を行なっている。
(5) 村(町)では,村(町)の人々によって選ばれた議員や村(町)長が,村(町)全体の人々のために必要な仕事を計画したり,行なったりしている。
(6) 村(町)の人々は学校,公民館,図書館,公園などの公共施設を利用して,生活の向上に役だてている。
(7) 村(町)の人々は,昔から神社や寺院などを中心として祭りその他の行事を催し,楽しみをともにしてきた。
(8) 村(町)の人口や集落の状態,人々の仕事の種類や方法,道路の様子などをみても,父母や祖父母のこどものころに比べて変わった点が少なくないが,そこには鉄道やバスの開通,道路や港の改修,工場の設置など村(町)の人々のいろいろな努力があった。
(9) 村(町)の人々の仕事や暮らしには,電信,電話や各種の交通機関などによる他地域との通信,往来,物資の輸送等もたいせつなはたらきをしている。
(10) 自分のことばがりでなく,村(町)の人々全体のことを考え,みんなが協力しあえば,村(町)の生活も改善される面が少なくない。

 3 指導上の留意事項
(1) この学年の村または町についての学習では,行政区画としてのそれを取り上げる必要のある場合,たとえば内容の(5)と,むしろそのような区画にとらわれず,児童の日常の生活に最も密接な関係がある地域的範囲を,指導の目標や内容に即して決定したほうがよい場合とがある。単元構成や指導の実際にあたっては,この点じゅうぶん留意すべきである。
(2) 内容の(1)については,その地域の位置関係等を明らかにし,村(町)の全体的な認識をさせるよう注意すべきである。また,内容の(3)については,地域によって具体的な取り扱い方が異なってくるが,いずれの場合にも,具体的な観察や事実の認識に基づいて,自然と人間生活との基本的なつながりに目を開かせるようにすべきである。したがって学習に模型や地図を利用する機会をできるだけ多くし,実際の場と地図との関連を明らかにして,基礎的な地図記号や方位等についても的確な指導をしておくことが望ましい。
(3) 内容の(5)に関連した学習においては,村(町)の政治や行政組織等に関する程度の高い学習にはしりすぎないように特に注意する必要がある。村(町)の人々全体の福祉をめざし,そのために必要な仕事が村(町)の人々の税金などをもとにして行なわれるようなたてまえになっていることを理解させることができればよい。
(4) 内容の(7)および(8)に関連した学習を行なう場合,この学年の児童の能力を考え,歴史的資料(史跡,記念碑などを含む)についても児童の興味に応じた取り扱いについて配慮する必要がある。

〔第4学年〕
 1 目  標
(1) 自分たちの村(町)の生活が,より広い地域や遠い地方とも密接な関係をもって営まれていることを具体的事実に即して理解させ,われわれの生活が地域的に孤立してはなりたたないことに気づかせる。
(2) 国内の特色ある土地について,自然環境と人々の衣食住その他の生活などとの関係を理解させ,人間生活と自然との密接な関連について考えさせる。
(3) 人々の自然への積極的な働きかけが,現在いろいろなかたちで行なわれているばかりでなく,先人の努力やくふうを通じて今日まで積み重ねられてきたことを理解させ,自分たちの生活の歴史的背景についての関心を深める。
(4) 郷土の生活を現在の状態にまで発展させてきた先人の苦心や,他地域の人々の暮らし方などに学びながら,郷土の発展に尽くそうとする気持ちを養う。

 2 内  容
(1) 自分たちの村(町)の人々は,近くの村(町)に働きに通ったり,物資の売買や病院その他の施設の利用のために出かけたりする場合も多いが,このような付近の町村との関係は交通その他の条件に影響されている面が少なくない。
(2) 県庁の所在地は,県の政治の中心地であるばかりでなく,各種の重要な施設も多いので,自分たちの村(町)の生活も,これと深いつながりをもっている。
(3) 自分たちの村(町)で作られる物資の中には,遠い地方や大都市などへ大量に送り出されて,自分たちの村(町)の人々の生計をささえるもとになっているものもある。
(4) 新しい土地や道路の開発,災害の復旧,公共施設の整備などは,一つの村(町)の力だけでは困難な点もあるので,多くの村(町)の協力あるいは都道府県や国との協力で進められることが少なくない。
(5) 自分の村(町)のことだけでなく,さらに広く他の地域との結びつきに目をそそぐと,国内各地で,それぞれの地形や気候などの条件のもとにいろいろくふうして特色ある生活が営まれていることがわかり,郷土の特色や今後の発展を考えるうえに多くの点で参考になる。
(6) 自然が人間の生活に役だっている一面として,すぐれた自然景観に恵まれた土地があり,その美しさを保護するためにいろいろな努力が払われている場合も少なくない。
(7) 国内には,さまざまな特色をもった地域,たとえば暖かくて雨の多い土地,冬が長くて雪の多い土地,高地,平地,海岸,離島などがあり,衣食住や生産など生活の上で人々はいろいろな苦心やくふうをしている。
(8) 自然への働きかけや暮らしのくふうは,大昔の人々の衣食住の様子や生産のしかた,さまざまな用具なども,いろいろな形で見られ,その様子は現在の自分たちの生活と比較して大きな違いがある。
(9) 郷士の人々は土地の開拓,用水路,道路の開削,新しい産業の導入など,自然の制約を克服しながら生産や生活の向上に努めてきたが,このような事例は他の土地にも多く見られる。
(10) 人々の旅のしかたや物資の輸送のしかた,江戸時代と明治以後とでは,道路の発達や新しい交通機関の出現,世の中の変化などに伴って著しく変わり,便利になった。
(11) 自分たちの郷土を発展させることが,日本の発展の基礎になることを考え,先人の経験を生かして郷土の生活の改善のしかたなどについてくふうすることがたいせつである。

 3 指導上の留意事項
(1) この学年からは,地図帳を使用させることになる。その効果的な利用のしかたについては,ひとり社会科の時間ばかりでなく他教科の指導等においてもくふうをこらし,盲児童の地図に対する親しみを深めることが重要である。そのためには,海と陸,山地と平野,鉄道と都市等の,単純な地図で基本的な配置の状態を徹底的にとらえさせ,学習の発展に基礎的な役割を果たすようにすることがたいせつである。
(2) この学年では,郷土という語を,自分たちの村(町)より広い地域をさす場合に用いているが,その地域的範囲は,行政区画としての都道府県と一致する場合と,一致しない場合とがあることにじゅうぶん留意すべきである。
(3) 内容の(3)に関連した学習を行なうにあたって,特に他地方へ大量に送り出しているような生産物資のない地域(たとえば都市の住宅地区など)の学校では,消費物資の面から他地方とのつながりを理解させるような方法を講ずることが望ましい。
(4) 内容の(6)および(7)の取り扱いにおいては,それらの土地や生活の特色が,具体的にとらえられるよう録音その他の資料の用意が特にたいせつである。いたずらにら列的な観光地巡りや国立公園巡りのような学習に陥らないようにし,郷土の生活との比較や関係などについても必要に応じて指導することがたいせつである。
(5) 内容の(8)に関連した学習においては,日本の歴史上にみられる具体的な人々の生活を取り上げるようにし,人類一般の文明発祥の歴史の学習などにはしらないように留意すべきである。また内容の(10)に関連した学習においては,その地域的範囲を必ずしも郷土だけに限定することなく,それぞれの時代の交通の特色やその変化などを,児童に最も効果的にはあくさせるようにくふうすべきである。また,それぞれの時代の盲人の職業や旅の様子などにふれ,苦難の中に生きた先人の努力を考えさせるようにするのもよい。したがって,これらの学習においては,特に資料や歴史年表などの活用がたいせつである。

〔第5学年〕
 1 目  標
(1) 農業生産の意義やその特色を中心にしながら,この国土で営まれているおもな産業の様子について理解させ,資源の開発,保全や働く人々への関心を高める。
(2) わが国における工業生産の現状やその発達が国民生活全般に及ぼした影響等について理解させ,わが国の発展と科学,産業などとの関係について考えさせる。
(3) わが国の地理的環境の特性をはあくさせるとともに国内各地における生産活動の条件として重要な役割を果たしている交通,商業,貿易などについても目を開かせる。
(4) 日常生活の身近な問題でも国全体としての生活に結びついている場合が多いことや,自分が国民のひとりとして生活している事実に気づかせ,国土に対する愛情や国民的自覚の基礎を養う。

 2 内  容
(1) アジア大陸の東の端に沿って,南北に伸びた日本の各地で,約9,000万の人口の半数に近い人々が各種の職業に従事して働いているが,これらの人々の活動の結果が,国民の生活や文化をささえるもとになってる。
(2) 四面を海に囲まれ,山がちの日本の国土の特色に関連して重要な意味をもつ水産業,林業,鉱業のほか,農業,牧畜業,工業,商業など,国民生活をささえる産業の種類はきわめて多く,これらの産業は相互に密接な関連をもって営まれている。
(3) わが国では地形その他の条件のため,国土の2割たらずの土地が耕地として開かれているにすぎないが,この狭い耕地でできるだけ生産を高めなければならないので,わが国の農業には他国にみられない特色があり,いろいろな苦心が払われてきている。
(4) 野菜や果樹や工芸作物の栽培,養蚕,酪農等もそれぞれ重要な役割を果たしているが,夏の温度が高く雨量の多い気候を生かして発達してきた米の生産が農業生産の根本になっており,毎年の米や麦の生産高の多少が国民生活に大きな影響を与える。
(5) 農家の人々の労働やこれに伴う苦心は,土地の条件によって異なるが,一般に各種の災害対策,土地の改良,土地に適した品種や肥料や進んだ農機具の導入,経営のしかたなどについて払われる苦心が大きい。
(6) 現在のわが国では,いっそう農業生産を高める必要があるので,個々の農家の努力ばかりでなく,国の立場からも,新しい土地の開発,生産技術や経営の改善などの仕事が進められている。
(7) わが国の工業は,国民の衣食住や産業の基礎になる資材の生産などの面ばかりでなく,貿易の上からもきわめて重要な役割を果たしている。
(8) 今日の工業は,一部の特殊な手工業を除いて大部分が機械生産に移っているが,機械生産は手工業生産と比べて新しい動力や機械の利用,分業のしくみ,大量生産などの点で著しい特色をもち,わが国では明治以降特に発達したものである。
(9) 明治以後,最初は繊維工業などを中心に発達したわが国の工業は,しだいに重工業方面にも及び,アジアにおける重要な工業国としての地位を高めてきたが,この間,新しい技術の導入や改善,発明や発見,その他生産の向上のために払われた努力はきわめて大きかった。
(10) わが国の近代工業は,これまでいわゆる四大工業地帯を中心に発達してきたが,最近ではこのほかにも新しい工業地域が各地におこり,すぐれた工業製品もしだいに多くなりつつある。
(11) 工業の著しい発達は,国の経済力を高め,国民生活を向上させるばかりでなく,人口の分布,農林水産業などにも大きな変化と影響を与えた。
(12) 産業の発達に伴い国内国外各地からの原料の入手,あるいは製品の販売等が重要になり,市場,問屋,小売店などがたいせつなはたらきをしているが,このような商業のしくみはしだいに発達してきたものである。
(13) また国内の陸上交通や海上交通もしだいに整備,発達し,今日では主要な鉄道幹線や国内航路,さらには航空路等が国内各地の生活をますます緊密に結びつけ,国民生活全般のたいせつな基礎となっている。
(14) わが国の工業は,多くの原料を外国から輸入し,また製品の市場を広く海外に求める必要があるので,諸外国との貿易が行なわれており,そこにはいろいろな苦心が払われている。
(15) 国民生活の発展は科学の進歩や産業の発達などにまつところが大きいから,それらに深い関心をもつとともに,その成果を国民全体の福祉のために役だてようとすることがたいせつである。

 3 指導上の留意事項
(1) この学年においては,前学年までの郷土その他の学習を通して養われた自然環境のもつ意味や地域の特色などについて考える力を,さらにいちだんと深めながら,国土全体の特色やそこに展開されている国民生活についての理解を与え,第6学年の基礎として役だつように適切な指導を行なうことが,特にたいせつである。
(2) 特にこの学年ごろから,各種の統計資料やグラフを利用する学習が多くなる。したがって,その際に必要な基礎的知識や技能については,算数科との関係などを考えながら,適切な指導を行なうべきである。
 統計やグラフの利用にあたっては,あまり細かな数字にとらわれず,その概数をはあくさせること,全体的な傾向を理解させることなどが重要である。特にグラフについては触覚の特性を考慮した指導がたいせつである。
(3) また,利用する地図の種類もふえ,地球儀を使う必要性も多くなる。このようなことと関連して,たとえば等高線,等温線,経度,緯度などのおおまかな意味や分布図の読み方等の指導についても留意する必要がある。
(4) 内容の(12)に関連した学習においては,この学年の児童の能力をじゅうぶん考え,詳細な商業史にわたることのないように特に留意すべきである。

〔第6学年〕
 1 目  標
(1) 具体的な問題の学習を通して政治のはたらきと日常生活との関係について理解させ,今日の政治の基本的なしくみや考え方に気づかせる。
(2) わが国の政治のしかたや国民生活は,それぞれの時代の特色をもちながら今日に及んでいることを具体的に理解させ,国家や社会の発展に貢献した人々やすぐれた盲人の業績などについて考えさせる。
(3) 世界の主要な国々の様子やわが国とこれらの国々との関係などを具体的に理解させ,現在のわが国が世界の国々から孤立しては存在できないことに気づかせる。
(4) わが国の文化や伝統に対する正しい理解やこれを尊重する態度などを深め,進んで世界の平和や人類の福祉に貢献しなければならないわが国の立場について考えさせる。

 2 内  容
(1) 地方や国の政治のはたらきが身近な公共施設や道路の改善,その他郷土や家庭の日常生活に反映し,影響を与えている場合が少なくない。
(2) 現在の政治は国民全体の意見を政治に現わすため,国民が選んだ代表者による議会政治の形をとっている。
(3) このような政治のしくみのおおもとのほか,国家の理想,天皇の地位,国民としてのたいせつな権利や義務などが,日本国憲法によって定められている。
(4) このような現代の政治や国民生活が行なわれるようになったのは,われわれの祖先が政治を改め,進んで海外の文化を取り入れ,国家や社会の発展に尽くしてきた努力の結果であるが,わが国の政治や文化は,それぞれの時代の特色をもちながらしだいに広く国民全般に及び,また世界の国々とのつながりも広く深くなってきた。
(5) わが国では,農耕生活が始まってから,しだいに人々の生活も高まり,大和(やまと)朝廷による国家の統一,大化の改新による政治の改革などを経て,朝廷を中心とする貴族の政治が,奈良(なら)や京都を都として栄えたが,その間,大陸の文化も取り入れられ,独特の日本文化がつくられた。
(6) やがて地方に起こった武士が政治の実権をにぎり,その政治は,鎌倉(かまくら)幕府の創立,蒙古(もうこ)襲来等を経て室町幕府に及んだが,その間,武士は農村に住んで地方の開発に努めたので,商業も盛んになり,村や町も発達し,都の文化も地方に広まった。
(7) 戦国の世の中がほぼ統一された前後には,ヨーロッパとの交渉が始まり,日本人の海外発展も盛んになった。やがて江戸幕府が武士を中心とする社会のしくみを固めたり,鎖国を行なったりしたので,わが国は世界の進展から遅れることになったが,その間,国内の諸産業や都市が発達し,町人の経済力や文化が高まり,武士の支配はしだいに弱くなっていった。
(8) 開国後やがて明治維新が行なわれ,四民平等の世の中に移っていったばかりでなく,その後の政府や民間の先覚者たちの非常な努力によって,欧米の文化が取り入れられ,憲法がつくられ,議会政治への道が開かれた。また近代産業も起こり,日清(しん),日露の戦争や条約改正を経て,わが国の国際的地位は向上したが,その後第二次世界大戦における敗戦を経て国内の事情も改まり,民主的な国家として新たな発展を遂げつつある。
(9) わが国発展の過程において盲人の生活は迷信と苦難の中から,先人の努力と生活や職業の開拓によって,社会的な地歩を築いてきた。そして,民主政治のもとで社会福祉の実があげられつつある。
(10) 現在地球上には二十数億の人々が多くの国々をつくって,それぞれアジア,ヨーロッパ,アフリカ,南北アメリカ,オセアニフ(大洋州)等の各地域に生活しているが,わが国にとって貿易その他の面で関係の深い国も多い。
(11) 世界の国々の中には,わが国とは古くから交渉が深く,現在のアジアにおいても重要な地位を占めている中国やインド,第二次世界大戦後独立の機会を得て,産業の開発や新しい国づくりに努めているアジアやアフリカの国々,古くから産業や文化の開かれた西ヨーロッパにおけるイギリスその他の国々,広大な土地や資源に恵まれ,現在の世界で重要な役割を果たしているアメリカ合衆国,ソビエト連邦などがある。
(12) このような世界の国々は,最近のめざましい交通,通信,報道機関の発達などによって,互いに深く結びつくようになったが,一方,国家間の利害の対立や紛争はなお絶えず,特に原子力時代といわれる今日では,これを戦争という手段によって解決しようとすれば,人類全体にとって恐るべき結果が予想されるので,人々の平和への願いはいっそう高まってきている。
(13) 第二次世界大戦後,国際連合というしくみがつくられ,世界の国々はこれに加盟して世界の平和や人類の福祉のために努力しているが,現在,わが国もその一員として重要な役割を果たしている。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容の(1),(2)および(3)に関連した学習においては,児童会,学級会活動などの自治的な集団生活に関する諸経験をできるだけ生かすよう努めるとともに,制度や機構調べに終始したりしないようにし,日本国憲法については,平明に取り扱うように配慮することがたいせつである。
(2) 内容の(5),(6),(7),(8)等に関連した学習においては,
ア 前学年までに児童が習得した歴史的理解との関連をじゅうぶん図るとともに,単に歴史的事象をもうら的に記憶させるのではなく,特に内容の(4)に示したようなわが国の歴史についての全体的なはあくができるように配慮することがたいせつである。
イ 歴史上の人物を取り上げて指導する必要があるが,その場合には,人物教材の長所,たとえば児童の歴史的理解を具体的にし,学習に対する興味を高めることができる点などをじゅうぶんに生かすとともに,時代的背景から遊離した取り扱いや人物中心の学習にはしりすぎないように留意すべきである。
ウ 特に文化の取り扱い方については,児童の能力をこえないように注意すること。したがって,たとえば内容の(5)の文化の場合でも,かな文字,大仏,その他著名な神社,寺院など,児童に親しみ深いものを効果的に取り上げることが望ましい。
エ 歴史的事象もできるだけ具体的な地理的位置や環境などと結びつけて指導することがたいせつである。
(3) 内容の(9)については,必ずしも独立して扱うものではなく,歴史の流れの中で,各時代における盲人生活の実態やすぐれた盲人の業績とその意義を明らかにし,点字の使用や教育への関心等,その努力と善意が児童に感謝と自覚をよびおこすように取り扱うことがたいせつである。
(4) 内容の(10),(11),(12)等に関連した学習においては,中学部における世界の諸地域に関する学習との関連をよく考慮し,ここでは国際理解,国際協調の精神を養うために必要な程度の基本的事項にとどめるべきである。なお,このような学習を通して,わが国の国旗をはじめ諸外国の国旗に対する関心をいっそう深め,これを尊重する態度などを養うことがたいせつである。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 どの程度具体的な指導計画をあらかじめ作成しておくことが効果的であるかは,個々の教師の経験や能力によって異なる。
 しかし社会科の場合は,単元という内容,学習経験の具体的なまとまりをくふうし,これに基づいて指導を進めていくのが原則であるから,少なくとも,
(1) 具体的な単元名とそれぞれの基本的ねらい。
(2) 単元相互の関係。
(3) 各単元における展開のあらすじと所要時間の概略。
等については,第2に示した各学年の目標,内容を全体としておおうようなかたちで,あらかじめ計画をたてておくべきである。なお,第2に示した内容の順序は,必ずしも学習の順序を示すものではない。

2 社会科における単元は,その学年で扱う内容の単なる便宜的区分ではなく,児童がどのような能力や経験をもち,身のまわりの社会的事象をどうとらえ,どのような疑問や問題をもっているか等の実態と教師の指導目標を結びつけて考えたとき,具体的に決定できるものである。
 以上のことから,
(1) 盲児童は経験が狭いことや,社会性の発達が遅滞している傾向があることなどを考え,基本的な教材に重点を置いて,指導の徹底を図るように努めることがたいせつである。
(2) 同じ社会科の単元でも,一般的に,高学年になるほど,一つの単元に含まれる内容・学習経験が豊富になり,所要時間も多くなるのが望ましい傾向といえよう。しかし,一つの単元が二つの学期にまたがることは望ましくない。
(3) 学習指導要領に基づいて作成された指導計画に関する地域的参考資料を利用する場合にも,単にこれを機械的に模倣するのでなく,じゅうぶん研究検討を加えたうえ,学級児童の実態に適合した指導計画を作ることが望ましい。

3 特に,地図,年衷や写真図版などの利用が困難な点については,次の留意が必要である。
(1) 地図利用への過程として,低学年から学校を中心に校舎と運動場,学級園などの位置関係,あるいは,学校周辺の各種の施設等を簡単な模型などの利用によって構成的にとらえる能力を養い,地図を理解する素地をつくっていくことがたいせつである。
(2) 土地の高低,特色等も,他の条件と総合して理解していく態度を養うようにすることが必要である。
(3) 海と陸,山地と平野,鉄道と都市など基本的な地図をもとに豊富な内容を構成的に理解させるように指導する。
(4) 年表については,基本的な事項と年代をもとにして,全体的,発展的に指導すべきである。
(5) 直接経験をこえた土地や生活の特色については,写真や図版にかわるものとして,放送や録音の利用など具体的にその様子をとらえさせるくふうがたいせつである。

4 なお,指導計画作成および学習指導のうえで,留意すべき重要な事項をあげれば次のとおりである。
(1) 特に教科の性格上,単元としての目標や内容の範囲がいきおい広がりすぎ,他の教科や教育活動と無用の重複を生ずる傾向も少なくない。社会科本来の目標が個々の単元において,あいまいにならないようにじゅうぶん注意すべきである。
(2) 単元学習の趣旨から考えて,学習の目標を児童自身に効果的にはあくさせるくふうが,特に重要である。それぞれの単元の導入段階などの指導計画や学習指導には,このような配慮がじゅうぶん払われていることが望ましい。
(3) 社会科で行なわれる各種の学習活動のうちには,盲児童には特に見学とか野外調査などを必要とするものが多い。その場合,事前によく検討し,綿密な準備や計画を考えておかなければならない。指導の直前になってあわてて予定を変更したり,漫然と児童を校外に連れ出して時間の浪費に終わることのないように留意すべきである。
(4) 習得した知識の整理をしたり,結論を確かめたりする終末の段階の学習になると,時間が足りなくなって指導を急いでしまう場合が少なくない。
 しかし,この段階は単元学習としても重要なものであるから,このような傾向に陥らないよう,指導計画を作成する際にも,また実際指導にあたっても,じゅうぶん留意すべきである。


 
第3節 算  数

第1 目  標

1 数量や図形に関する基礎的な概念や原則を理解させ,より進んだ数学的な考え方や処理のしかたを生み出すことができるようにする。
2 数量や図形に関する基礎的な知識の習得と基礎的な技能の習熟を図り,目的に応じ,それらが的確かつ能率的に用いられるようにする。
3 数学的な用語や記号を用いることの意義について理解させ,具体的なことがらや関係を,用語や記号を用いて,簡潔,明確に表わしたり考えたりすることができるようにする。
4 数量的なことがらや関係について,適切な見通しを立てたり筋道を立てて考えたりする能力を伸ばし,ものごとをいっそう自主的,合理的に処理することができるようにする。
5 数学的な考え方や処理のしかたを,進んで日常の生活に生かす態度を伸ばす。

 上に掲げた算数科の目標は,相互に密接な関連をもつものであり,算数科の指導においてたえず考慮すべきことがらを掲げたものであるが,特に,目標5は,目標1,2,3および4の指導を通して,児童の科学的な生活態度を育成することの必要を示したものである。
 次に示す各学年の目標においては,それぞれの学年で指導すべきおもな内容について,その学年としての指導のねらいを述べている。
 この各学年の目標を掲げるにあたっては,次の諸点を考慮した。
 低学年では,数量や図形に関する諸概念の理解に対して基礎となるような経験を与え,その後の学習に必要な基礎を作るようにすることを主要なねらいとした。中学年では,数量や図形についての基礎的な概念や原理を漸次明らかにし,数学的な考え方や処理のしかたをしだいに確立していくことを主要なねらいとした。また高学年では,中学部への発展も考え,小学部において学習した内容について一応のまとまりをつけるとともに,それらを実際の場において的確に用いることができるようにすることを主要なねらいとした。
 算数科においては,上記のことがらを考慮し,盲児童の特性と学年的な発達に応じて,その内容を系統的に身につけさせるようにすることが必要である。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
 1 目  標
(1) 具体的なことがらの取り扱いを通して,数を正しく数えたり読んだり書いたりできるようにするとともに,数の構成について理解させる。
(2) 具体的なことがらの取り扱いを通して,加法・減法が用いられる場合について理解させる。
(3) 具体的なことがらの取り扱いを通して,漸次,量の概念を明らかにするとともに,測定について理解するのに基礎となる経験を与える。
(4) 具体的なことがらの取り扱いを通して,図形の概念を理解するのに基礎となる経験を与える。

 2 内  容
A 数 と 計 算
(1) 100までのものが確実に数えられるようにする。
ア 数詞を正しく唱えること。
イ 個数を数えること,2ずつ,5ずつまたは10ずつなどにまとめて数えること。
ウ 順序や位置を数で表わすこと。
(2) 100までの数を読んだり書いたりすることができるようにする。
(3) 数について理解させる。
ア 10までの数の構成。
イ 二位数について,各位の数字の意味を知ること。
ウ 数の系列における数の位置,数の大小および順序を知ること。
(4) ものを分類して数えたり,これを表の形などに整理して記録したりする経験を与える。
(5) 加法・減法が用いられる簡単な場合について理解させる。
ア 加法・減法が用いられる場合とその記号を知ること。
イ 加法・減法の記号を用いて式をかいたり読んだりすること。
(6) 加法・減法について計算する能力を伸ばす。
ア 和が10以下の一位数と一位数の加法,およびその逆の減法。
イ 10,20,30などについての計算,二位数と一位数とについての計算などで,上のアの程度の計算でできるもの。
ウ 和が10よりも大きくなる一位数と一位数の加法およびその逆の減法。
(7) 具体的な事物について,まとめて数えたり等分したりすることを通して,乗法・除法の素地となる経験を与える。
用語と記号
一のくらい,十のくらい,たしざん〔よせざん〕,ひきざん,+,−,=

B 量と測定
(1) 具体的な事物について,大きさの比較などを通して,長さなどの量やその測定の意味を理解するのに基礎となる経験を与える。
(2) 時刻の概念を漸次明らかにするとともに,簡単な場合について,とけいを読む能力を伸ばす。
ア 時刻や,日時に関することばを知ること。
イ とけいで,何時,何時半などを読むこと。

C 図  形
(1) 具体的な事物についての観察や構成などの操作を通して,図形の概念を理解するのに基礎となる経験を与える。
ア 児童の日常のことば,たとえば,さんかく,しかく,まる,はこのかたち,まっすぐなせんなどを用いて,基本的な図形を認めたり言い表わしたりすること。
イ 基本的な図形を作ったり,また,それらを用いて形を構成したりすること。
(2) 簡単な場合に方向や位置に関することばを正しく用いる能力を伸ばす。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容の示し方について(これは第2学年以上についても適用する。)
ア 内容は,各領域について,(1),(2)などによって示しているが,これは,この順序で指導することを示しているものではない。また(1),(2)などだけでは,その中に含まれるおもなことがらがわかりにくい場合や,その中に特に含めることがらを明示する必要がある場合などに,ア,イなどで示すことがらを掲げてある。これらをもとにして,その主旨をつかむようにすること。
イ 用語と記号の欄には,特に算数的な用語や記号で,その学年の児童に用いさせるものを示している。日常のことばとして児童が用いる程度のものはあげていない。なお,〔 〕で示した用語または記号は,その左にある用語または記号のかわりに用いられることがあることを知らせること。
(2) Aの(1)の指導については,次のようなことに留意すること。
ア 数える前に,数える対象全体に対する量的直観を重視して指導すること。
イ ものを,手ぎわよく,じょうずに数えられるようにするために,数える操作の難易を考慮して指導すること。
(3) Aの(6)の指導について,イの事項は数についての理解を主要なねらいとする。また,ウの事項は具体的な事物について,和や差が求められる程度とする。これらについて,この学年で,形式的に計算できるまでに指導することは必要としない。
(4) Bの(1)の指導について,長さがはっきり現われているものだけでなく,高低,遠近なども比べたり,水または砂などのかさを測ったりするなど,広く量や測定の基礎となるような経験を与えること。
(5) Cの(1)の指導については,次のようなことに留意すること。
ア 位置,大きさ,物体の種類などに関係なく図形を認めることができるようにすること。
イ 図形を構成している頂点,辺,面などの要素とその数などに,漸次着目させること。
ウ いろ板や積み木などを並べていろいろの形を作ったり,折り紙などをしたりする操作の中にも,図形についての考え方の基礎になることがあることに気をつけること。
(6) Cの(2)の指導については,主として,自分自身を基準とした場合を取り扱うこと。なお,ことばの理解の裏づけとして,簡単な場合に,身のまわりの事物の位置関係を,積み木などで表現できるようにすること。

〔第2学年〕
 1 目  標
(1) 数範囲を広げ,数を用いる能力を伸ばすとともに,位取りの考え方について理解を深める。
(2) 加法・減法および乗法について,計算の意味とそれを用いる場合についての理解を深めるとともに,加法・減法の基礎的な計算が確実にできるようにする。
(3) 長さなどの測定を通して,量とその測定について基礎となることがらを理解させる。
(4) 乗法や測定と関連して,割合の考えの基礎となることがらについて理解させる。また,簡単な数量の関係を記号や式を用いて表わしたり読んだりする能力を伸ばす。
(5) 具体的な事物についての観察や構成などの操作を通して,図形の概念を理解するのに基礎となる経験をいっそう豊かにする。

 2 内  容
A 数 と 計 算
(1) ものを適当にまとめて数えるなど,数をじょうずに用いる能力を伸ばす。
(2) 数についての理解を深める。
ア 1000までの数の読み方と表わし方。
イ 位取りの考え方の理解。
ウ 0の意味,たとえば,空位を表わすことや,2−2,3+0などに関して計算に用いる数とみることなどを知ること。
エ 数の系列における数の位置。
オ 数の大小,順序の比べ方。
(3) 加法・減法が用いられる場合についての理解を深める。
(4) 一位数どうしの加法およびその逆の減法が,確実にできるようにする。
(5) 三位数までの数について,加法・減法の計算をする能力を伸ばす。
(6) そろばんによる数の表わし方と,簡単な加法・減法のしかたを知らせその計算の原理や手順について理解させる。
ア そろばんについてその構造や数の表わし方,おき方,ならびに定位点,おく,はらう,一だま,五だまなどのことばを知る。
イ 基本的な運珠についての習熟。
ウ 加法・減法についての計算。
(7) 加法・減法についての基本的な関係を理解させ,これを計算やその結果の確かめに用いることができるようにする。
ア 減法は加法の逆の関係になること。
イ 加える順序や引く順序をかえても結果が変わらないこと。
(8) 具体的なことがらに即して,乗法の意味について理解させる。
ア 乗法が用いられる場合を知ること。
イ 乗法の記号を知り,これを正しく用いること。
ウ 九九が用いられることを知ること。
(9) 具体的な事物の取り扱いを通して,割合の考え方の基礎となることがらについて理解させる。
ア ……の2ばい,……の1/3(三ぶんの一)などの意味を知ること。
(10) 具体的なことがらについて,その関係を加法・減法および乗法の記号を用いて,式に表わしたり,それを読んだりする能力を伸ばす。
(11) 簡単なことがらを,表やグラフの形に整理して表わしたりそれを読んだりする能力を伸ばす。
用語と記号
百のくらい,かけざん,×,九九,ばい,しき

B 量と測定
(1) 長さなどの量の概念と測定の意味について理解させる。
(2) 長さの単位を知らせ,長さを測定する能力を伸ばす。
ア 長さの単位(メートル,センチメートル)とその相互関係。
イ ものさしの使い方。
(3) 時刻および時間の概念を漸次明らかにするとともに,簡単な場合にとけいを正しく読むことができるようにする。
ア 時,分および日とそれらの関係を知ること。
イ とけいによる時刻の読み方(5分まで)を知ること。
ウ 簡単な場合に,きまった時刻から,30分,1時間,2時間など,前およびあとの時刻を知ること。
エ 週,月,年などのしくみを知ること。
用語と記号
たんい,メートル,m,センチメートル,cm,時,分

C 図  形
(1) 図形の概念を理解するのに基礎となる経験をいっそう豊かにする。
(2) 方向や位置をいっそう正しく言い表わすことができるようにする。

 3 指導上の留意事項
(1) Aの(5)の指導について,繰り上がりや繰り下がりの困難な計算は,主として第3学年において習熟を図るようにすること。
(2) Aの(6)の指導では,そろばんによる数の表わし方と,二位数,三位数などの記数法との関係を知り,数をそろばんに表わしたり,それを読んだり,また,そろばんで簡単な計算ができるようにすることを主要なねらいとしている。そろばんの指導にあたっては機械的な練習のみにおちいらないように特に留意すること。
(3) Aの(8)の指導について,九九を用いるのは乗法の意味を理解させるのに必要な程度とし,九九を全体としてまとめその習熟を図ること。
(4) Aの(9)の指導については,計算や測定の指導と関連して取り扱い,形式的にならないように特に留意すること。ここでは,もとにしているものや,それとの大きさの関係,たとえば……の2倍の大きさというときは,もとの大きさのものがちょうど二つある大きさであることなどを,はっきりつかませるようにすること。
(5) Bの(1)の指導は,測定の意味の理解を主要なねらいとしている。指導の必要によっては,リットル,デシリットルについて簡単にふれてよい。
(6) Cの(1)の指導については,前学年でねらったことをいっそう深めるとともに,たとえば,展開図を与えて形を作らせることなどを通して,漸次,平面図形と立体図形の相違や関係に着目させるようにすること。
(7) Cの(2)の指導では,「むかってみぎ」などのことばを用いたり,基準にしているところをおさえて,それから何番目とかどれだけの長さとかいってものの位置を示したりするなど,相対的な関係にいっそう着目したり座標の初歩的な考えを用いたりすることができるようにすること。

〔第3学年〕
 1 目  標
(1) 数量の大きさを表わすのに,分数および小数を用いることを知らせるとともに,整数の位取りの原理についての理解をいっそう深める。
(2) 加法・減法についての計算が確実にできるようにする。また,乗法・除法が用いられる場合について理解を深めるとともに,九九の習熟を図る。
(3) 長さ,重さ,時間など,基本的な量についての理解を深め,これらを測定する能力を伸ばすとともに,単位の概念について理解を深める。
(4) 割合の考え方を漸次伸ばすとともに,基本的な場合に,数量の関係を式で表わすことが確実にできるようにする。
(5) 棒グラフや簡単な表を用いて,数量の関係を表わしたり読んだりできるようにするとともに,表やグラフを用いるのに基礎となる能力を伸ばす。
(6) 正方形,長方形,円などについて理解させるとともに,直線,直角,円などを,書いたり作ったりすることができるようにする。

 2 内  容
A 数 と 計 算
(1) 数についての理解を深める。
ア 10000までの数の読み方と表わし方。
イ 位取りの原理。
ウ 数の大小,順序の比べ方。
エ 10倍,100倍および1/10の大きさの数の書き表わし方。
(2) 加法・減法が用いられる場合についての理解をいっそう深めるとともに,これを用いる能力を伸ばす。
(3) 整数について,四位数までの加法・減法の計算が確実にできるようにする。
(4) 加法・減法について,必要に応じて計算の順序をかえるなど,計算の方法をくふうする能力を伸ばす。
(5) 乗法が用いられる場合と九九の意味についての理解を深めるとともに,九九を速く確実に用いることができるようにする。
(6) 乗法について計算する能力を仲ばす。
ア 二位数,三位数などと一位数との乗法。
イ 二位数,三位数に,10,20,30などをかける計算。
(7) そろばんによる乗法のしかたを知らせ,その計算の原理や手順について理解させる。
(8) 乗法について,次のような関係があることを知らせ,計算やその結果の確かめに用いることができるようにする。
ア 交換や結合の法則。
イ 乗数や被乗数が0であるとき積も0であること。
ウ 乗数が1だけ増減すると,それに伴って積も被乗数の大きさだけ増減すること。
(9) 具体的なことがらに即して,除法の意味について理解させる。
ア 除法が用いられる場合を知ること。
イ 除法の記号を知り,これを正しく用いること。
(10) 除法と乗法,除法と減法などの関係について理解させ,除法を用いる能力を伸ばす。
ア 九九の1回の適用でできる除法についての計算。(余りのある場合を含む。)
イ 末位が0である二位数,三位数などを被除数とした場合で,アの程度の計算でできるもの。
ウ 除法について計算の確かめをすること。
(11) 簡単な場合について,等分してできる大きさまたは端数部分などを表わすのに,分数および小数を用いることを知らせる。
ア 分数の表わし方と読み方。(分母は10程度まで)
イ 小数点の意味および小数の表わし方と読み方。(1/10の位まで)
ウ 分数または小数を用いて表わされた数量の意味,たとえば,2/3m,1.4lなどを知ること。
用語と記号
せい数,千のくらい,分数,分子,分母,小数点(.),小数,わりざん,÷,あまり

B 量 と 測 定
(1) 実際の場における測定を通して,長さ,重さなどに関して,よく用いられる基準的な量の大きさについての感覚を養う。
(2) 長さの測定についての理解を深める。
ア キロメートル,ミリメートルと他の単位との関係を知ること。
イ 道のりを,長さの単位,歩いてかかる時間などで表わすこと。
(3) 重さの概念を漸次明らかにし,重さの単位とその測り方を理解させる。
ア 重さの単位(グラム,キログラム)とその相互関係。
(4) ものさし,巻き尺および各種のはかりなどの計器の取り扱いや目もりの読み方に習熟させ,長さおよび重さの測定が確実にできるようにする。
(5) 広さについて関心を深め,面積の測定の基礎となるような経験を与える。
(6) 液体などの体積を,ますを用いて測る能力を伸ばすとともに,体積の概念やその測定の基礎となることがらについて理解させる。
ア 体積の単位(リットル,デシリットル)とその相互関係。
(7) 時刻および時間の概念を明らかにするとともに,簡単な場合に,とけいを用いて時刻および時間を求める能力を伸ばす。
ア 1時間=60分,1日=24時間などの関係を用いること。
イ 二つの時刻の間の時間,一つの時刻からきまった時間だけ前およびあとの時刻などを求めること。
ウ 時刻と時間を区別して用いる。
用語と記号
キロメートル,km,ミリメートル,mm,グラム,g,キログラム,kg,リットル,l,デシリットル,dl

C 数量関係
(式・公式)
(1) 簡単な数量の関係を次のような公式の形にまとめたり,それについて数量の関係を理解したりすることができるようにする。
ア 四則のどれか一つで表わされる程度のもの,たとえば,(ぜんたいのねだん)=(ひとつのねだん)×(買ったかず)など。
(2) 簡単な場合について,未知のものが□などで表わされた式を作ったり,その数量の大きさを計算で求めたりすることができるようにする。
(表・グラフ)
(3) 簡単なことがらについて,日時,場所,原因などについて分類したり集計したりする能力を伸ばす。
(4) 表を作ったり読んだりするのに必要な基礎的なことがらについて理解させる。
ア 簡単な二次元の表。
(5) 棒グラフをかいたり読んだりするのに必要な基礎的なことがらについて理解させる。
(6) 簡単な折れ線グラフを読む能力を伸ばす。(棒グラフと区別して知る程度)
用語と記号
ぼうグラフ,おれ線グラフ

D 図  形
(1) 直角三角形,正方形,長方形,円などの基本的な図形について理解させる。
ア 正方形,長方形について,辺および角の相等関係,対角線で分けてできる二つの直角三角形などについて知ること。
イ 円について半径と直径の関係,周の長さは直径のおよそ3倍であることなどを知ること。
ウ 円と関連して球について知ること。
(2) 三角定木およびコンパスの使い方を知らせ,図形をかいたり,できた図形を確かめたりすることができるようにする。
用語と記号
直角,直角三角形,正方形,長方形,辺,ちょう点,直線,円,中心,半けい,直けい,球

 3 指導上の留意事項
(1) Aの(3)の指導に関して,そろばんによる加法・減法の計算が,いっそう確実にかつ速くできるようにその習熟を図ること。また,次のような程度までの計算は,暗算でもできるように,この学年に限らず,適宜練習の機会を与えるようにすること。
ア 二位数と二位数の加法,およびその逆の減法。
(2) 乗法・除法や測定の指導に関連して,割合の考え方を伸ばすようにすること。また,具体的なことがらに即して,「……は……の2/5などの意味を知らせること。
(3) Bの(4)の指導について,次のようなことに留意すること。
ア 目もりを読む前に長さや重さの見当をつけておき,測定値の大きな誤りを防ぐ態度,測定しようとする長さや重さの大きさによって適当な計器を選ぶ態度などを,漸次伸ばすようにすること。
イ その他,計器のくるいや破損を防ぐのに必要なことがらに注意させること。
(4) Bの(5)の指導は,指導計画のつごうによっては,第4学年において,面積の概念の指導と関連して取り扱ってもよい。
(5) Cの(1)の指導は,児童に公式として与えることを示したものではない。児童が具体的な問題の処理や計算を通して,漸次一般的な関係としてまとめられるようにすること。
(6) Cの(4),(5)および(6)の指導について,次のことに留意すること。
ア 表やグラフを用いる目的やそこでどんなことをわかりやすく示そうとしているかを,常に考えさせるようにすること。これに関係して,表題を必ずつけるようにすること。
イ 最小目もりが,2,5あるいは20,50などにあたるものも,漸次読めるようにすること。
ウ 合計の欄を用いたりなどして,資料について確かめをする態度をつくるようにすること。
エ 棒グラフおよび折れ線グラフを扱うとき,棒および折れ線の数はなるべく少なくして,それらの比較が容易にできるようにすること。
オ 表やグラフの機能やそれを用いる意味について理解させることを主要なねらいとしている。(5)および(6)に掲げたことがらの指導は,必要な程度に簡単な場合にとどめ,作ることより,読むことを主にすること。
(7) Dの(1)の指導で,基本的な図形についての理解の程度としては定木,コンパス,および必要に応じてものさしなどを用いて,その図形をかいたり,作ったりそれを確かめたりすること,ほかの図形との弁別をすることなどができるようにすることをねらいとしている。

〔第4学年〕
 1 目  標
(1) 整数について,十進数としての理解を深めるとともに,整数と対比して小数および分数について理解させる。
(2) 整数の四則計算を一応確実にできるようにし,それらを実際の場において適切に用いる能力を伸ばす。また,概数の意味やそのとり方について理解させる。
(3) 基本的な量についての測定が実際の場において確実にできるようにするとともに面積,体積などの概念について理解させる。
(4) 分数などによる割合の表わし方について理解させるとともに,数量の関係を,式で簡潔に表わしたり読んだりする能力を伸ばす。
(5) 折れ線グラフを用いて,数量の変化を表わしたり読んだりできるようにするとともに,表やグラフを用いる能力をいっそう伸ばす。
(6) 平行,垂直などの概念を漸次明らかにするとともに,基本的な平面図形および立方体,直方体などについて理解させる。

 2 内  容
A 数と計算
(1) 整数について十進数としての理解を深める。
ア 位取りの原理。
イ 10,100などを単位にとつて,数の大きさを表わしたり読んだりすること。
(2) 概数を用いることの意味とそのとり方について理解させる。
ア 測定値や表・グラフの読み方,かき方などに関して概数の意味を知ること。
イ 四捨五入の意味を知ること。
ウ 概数に関して用いられることば,たとえば,まるめる,約などを知ること。
(3) 四則の意味とその相互関係についての理解を深め,実際の場において適切に用いることができるようにする。
(4) 整数についての加法・減法の計算が,確実にかつ手ぎわよくできるようにする。
(5) 整数についての簡単な乗法・除法の計算が確実にかつ速くできるようにする。
(6) 乗法の意味について理解を深め,乗数が二位数,三位数の場合について計算する能力を伸ばす。
(7) 次のような整数の除法について,計算する能力を伸ばす。
ア 一位数で割る場合。
イ 二位数で割る場合。(商が二位数になる場合は,商の立てやすいものを取り上げる程度)
(8) そろばんによる除法のしかたを知らせ,その計算の原理や手順について理解させる。
(9) 乗法と除法の関係や余りの大きさなどについて理解を深め,これを計算の確かめなどに用いる能力を伸ばす。
(10) 小数の表わし方,読み方,および小数と整数との関係について理解させる。
(11) 小数についても四則計算ができることを理解させ,小数について計算する能力を伸ばす。
ア 加法・減法。
イ 乗数・除数が整数の場合の乗法・除法。(整数を整数で割つて商が小数になる場合も含む。)
(12) 分数の意味について理解させるとともに,分数についても加法・減法などの計算ができることを知らせる。
ア 単位分数の意味,分数と整数の関係。
イ 分数の相等関係と大小。
ウ 同分母の分数についての加法・減法
用語と記号
万の位,四捨五入,切り捨てる,切り上げる,十進数,1/10の位〔小数第一位〕,1/100の位〔小数第二位〕,1/1000の位〔小数第三位〕,帯分数,仮分数,真分数,和,差,積,商

B 量と測定
(1) 長さ,重さなどの測定がいつそう確実にできるようにするとともに,測定値について理解させる。
ア 重さの単位トンを知ること。
(2) 目的に応じて単位を適当に選び,測定値を簡潔に表わす能力を伸ばす。
(3) 面積の概念とその単位について理解させ,簡単な場合について面積を求める能力を伸ばす。
ア 面積の単位(平方センチメートル,平方メートル,平方キロメートル,アール,ヘクタール)とその相互関係。
イ 正方形,長方形の面積の求め方。
ウ 面積を方眼などを用いて求めること。
(4) 体積の概念とその単位について理解させ,簡単な場合について体積を求める能力を伸ばす。
ア 体積の単位(立方センチメートル,立方メートル,デシリットル,リットル,キロリットル)とその相互関係。
イ 立方体,直方体の体積の求め方。
ウ ものの体積を,水の体積などにおきかえて測ること。
エ 容積の意味。
(5) 時刻や時間に関して計算(主として加法・減法)する能力を伸ばす。
ア 時刻表などを知ること。
イ 時間の単位秒を知ること。
(6) 角の大きさを表わす単位を知らせるとともに,分度器を用いて角を測ったり作ったりする能力を伸ばす。
ア 直角および半回転,一回転などの角の大きさを知ること。
用語と記号
トン,t,面積,平方センチメートル,p2,平方メートル,u,平方キロメートル,q2,アール,a,ヘクタール,ha,体積,立方センチメートル,cm3〔cc〕,立方メートル,m3,キロリットル,kl,容積,うちのり,秒,度(°)

C 数量関係
(割合)
(1) 二つの数量の割合について理解を深める。
ア たとえば,二つの量A,Bについて,Aの大きさを2とみるとき,Bの大きさが3とみられるという考え方や,また,そのとき,AはBの2/3であり,BはAの3/2であることなどを知ること。
(2) 簡単な場合について,割合の計算のしかたをまとめて理解させる。
(式・公式)
(3) 計算の規則とかっこの意味を知り,それらを用いて数量の関係を簡潔に表わしたり,それらを読んだりする能力を伸ばす。
ア 四則の混合した式について計算の順序を知ること。
イ かっこを用いて式が作れること。
(4) 等号と式について理解を深める。
ア 式を立てるときには単位をそろえた数値を用いること。
イ 等号は両辺にあるものが等しい関係を表わすこと。
(5) 基本的な数量の関係を公式の形にまとめたり,それを用いたりする能力をいっそう伸ばす。
(表・グラフ)
(6) 項目を考えるとき落ちや重なりがないかを検討するなど,表やグラフを用いる能力をいっそう伸ばす。
(7) 折れ線グラフについて,その読み方,かき方を理解させ,それを用いて変化の様子や全体的な傾向を調べる能力を伸ばす。
用語と記号
かっこ,( ),公式,等号

D 図  形
(1) 具体的な事物について,平行,垂直の関係を認めたり,それを用いて図形の特徴を言い表わしたりする能力を伸ばす。
ア 平面上で,平行,垂直の関係にある直線をかき表わしたり確かめたりすること。
イ 立方体,直方体について,平行や垂直の関係にある辺や面を知ること。
(2) 角についての理解を深め,図形を考察したりかき表わしたりする能力を伸ばす。
(3) 基本的な図形について理解させる。
ア 二等辺三角形,正三角形,平行四辺形,ひし形および台形。
イ 立方体,直方体。
用語と記号
平行,垂直,角,(角の)頂点,(角の)辺,三角形,二等辺三角形,正三角形,四角形,平行四辺形,ひし形,台形,対角線,立方体,直方体,辺,面,頂点,てん開図

 3 指導上の留意事項
(1) Aの(5)の指導に関して,二位数と一位数の乗法,およびその逆の除法の程度は,暗算でもできるように,適宜,練習の機会を設けること。
(2) Aの(12)の指導については,分数の意味について理解を図ることが主要なねらいである。簡単な乗法,たとえば,2/5×2などは必要により含めてもよい。また,大小の比較は形式的な通分によらないでできる程度とする。
(3) Bの(1)および(2)の指導について,次のことに留意すること。
ア 目もりを読むときの誤差が,計器の最小目もりの位の1/2以下になるようにすること。
イ 測定値が,「2mと4cm」のような場合に,1mを単位として,2.04mと表わすことができるようにすること。
(4) Bの(3)および(4)の指導は,面積および体積の概念を理解させることを主要なねらいとしている。(3)および(4)に掲げたことがらの指導は,その必要な程度に簡単な場合にとどめること。なお,指導計画のつごうによっては,面積および体積の単位の一部は第5学年において取り扱ってもよい。
(5) Cの(2)の指導については,割合が整数で表わされる場合(整数ばい)について,漸次計算のしかたをまとめ,比の三つの用法に発展する基礎を固めるようにすること。
(6) Cの(3)の指導について,乗法の記号で結ばれた二つの数や( )の中にかかれた式などを,その計算の結果を表わす一つの数と同じようにみる考え方を,漸次伸ばすようにすること。
(7) Cの(6)および(7)の指導では,グラフをかくにあたって,紙面の広さなどに合うように,1目もりの大きさやグラフ全体の大きさを考えるような能力を漸次伸ばすこと。また,折れ線グラフでは軸にとるものが変化を見るのに適当であるかどうがを検討するようにすること。
(8) Cの(7)の指導では,必要な程度に,ごく簡単な場合にとどめ,読むことを主に扱うこと。
(9) Dの(3)の指導で,基本的な図形についての理解の程度としては,第3学年と同じように,図形をかくこと(立体図形については展開図を用いて作ること),確かめること,他の図形との弁別をすることなどができるようにすることがねらいである。
 なお,第3学年で学習した正方形,長方形についても,平行, 垂直の関係を明らかにすること。

〔第5学年〕
 1 目  標
(1) 小数について乗法・除法の意味と計算のしかたを理解させる。さらに,整数,小数をまとめて十進数としての概念を明らかにし,十進数についての計算がいっそう能率的にできるようにする。
(2) 速さや面積・体積についての理解を深め,これらを計算によって求める能力を伸ばす。
(3) 式や公式についての理解を深め,それを用いて,数量の関係を簡潔に表わしたり能率よく処理したりする能力を伸ばす。
(4) 百分率および歩合による割合の表わし方を知るとともに,割合に関する計算の基本的な場合について理解させる。
(5) 円グラフ,帯グラフなどの用い方,かき方を理解させ,数量の関係を調べるのに,表やグラフを適切に用いる能力を伸ばす。
(6) 基本的な平面図形やその性質についての理解を深め,図形を事物の考察や表現にいっそう有効に用いる能力を伸ばす。

 2 内  容
A 数 と 計 算
(1) 整数および小数をまとめ,十進数としての理解を深める。
ア 単位の構成をまとめて理解すること。
イ 0,1,……,9の数字と小数点を用いて,どんな十進数もかけること。
ウ 小数点の位置を移して,10倍,100倍,1/10,1/100,などの大きさの数を作ること。
(2) 十進数について,その大きさをわかりやすく表わしたり読んだりする能力を伸ばすとともに,概数についての理解を深める。
ア 小数点を適当な位置に移し,必要な位までの概数(1.5万など)で表わしたりそれらを読んだりすること。
イ 三けたくぎりが,一般的に用いられていることを知ること。
(3) 数の区間を示すのに,以上,未満などのことばを正しく用いることができるようにする。
(4) 商のたて方の理解を深め,整数の除法について計算する能力を伸ばす。
(5) 整数についての乗法・除法の計算が,いっそう確実にかつ手ぎわよくできるようにする。
ア 必要に応じて,積や商を見積もったり計算の結果を概数で出したりすること。
イ 必要に応じて,除法の結果を分数で表わすこと。
ウ 末位の0を処理したり適当に小数点の位置を移したりして,積や商を求めること。
エ 多くの数について計算する場合に,その計算を進める順序を考えたり簡便な方法をくふうしたりすること。
(6) 小数の加法・減法および乗数・除数が整数の場合の乗法・除法について計算する能力を伸ばす。
(7) 乗数・除数が小数である場合の計算の意味とその方法とを理解させ,小数の乗法・除法について計算する能力を伸ばす。
(8) 小数の乗法・除法についても,整数の場合と同じ関係や法則がなりたつことを理解させ,計算の方法をくふうしたり,計算の結果を確かめたりするのにこれを用いることができるようにする。
(9) 分数の意味について理解を深める。
ア 分数は,除法の結果(分子を分母で割った)を表わす数とみられること。
イ 分子,分母に同じ数(0でない)をかけても,また,それらを同じ数で割っても,分数の大きさが変わらないこと。
ウ 通分することによって分数の相等や大小を一般的に比べることができること。
(10) 分数について,四則計算の能力を伸ばす。
ア 加法・除法(主として異分母の場合)。
イ 乗法・除法(乗数・除数が整数の場合)。
(11) 整数および小数と分数との相互の関係を理解させる。
ア 整数および小数は分数の特別なものとみられること。
イ 分数を小数に直したり,小数を分数の形に表わしたりすること。
ウ 整数,小数および分数を,数直線の上に表わしたり,それを読んだりすること。
用語と記号
億,兆,未満,概数,約分,通分,約数,倍数

B 量 と 測 定
(1) 計器の取り扱いに慣れさせるとともに,実際の場における測定の能力をいっそう伸ばす。
ア 測定値を出すのに平均などを用いること。
イ 手ぎわよい測定の方法をくふうすること。
(2) 長さ,面積,体積などを,実際の場において概測する能力を伸ばす。
(3) 基本的な図形について,その面積が計算で求められることを理解させ,面積を測定する能力をいっそう伸ばす。
ア 三角形,平行四辺形,ひし形,台形などの面積の求め方。
イ 多角形の面積を三角形などに分けて求めること。
ウ 円の面積の求め方。
(4) 体積の概念の理解を深め,体積を求める能力をいっそう伸ばす。
(5) 時間や日時について計算する能力を伸ばす。
(6) 速さの概念を明らかにし,速さを測定したり,速さを計算で求めたりする能力を伸ばす。
ア 速さの比べ方,表わし方。
イ 時速,分速,秒速などを計算で求めること。
用語と記号
速さ

C 数 量 関 係
(割合)
(1) 同種の二つの数量A,Bの割合を表わすのに,整数,小数および分数を用いることや,それに関する計算の基本的な場合について理解させる。
(A,Bが整数または小数の場合)
ア AのBに対する割合(p)を一つの数で表わすのに,A÷Bを用いること,ならびに,その割合(p)を整数,小数および分数で表わすこと。(比の第一用法)
イ pが小数で表わされる場合にも,Aは,B×pとして求められること。(比の第二用法)
ウ A÷BがPで表わされるとき,Bを1とみると,AがPで表わされること,およびpが1より大きいか小さいかで,AがBより大きいか小さいかがわかること。
(2) 百分率および歩合の意味について理解させる。(100%およびそれ以上の百分率の意味を含む。)
(3) 異種の二つの数量の割合を表わすのに,一方の一定量に対する他の量の大きさを用いたり,「単位量当たり」の考え方を用いたりすることを理解させ,数量の関係を調べるのにこれを用いる能力を伸ばす。
(式・公式)
(4) 等号やかっこなどについての理解を深め,数量的な問題を処理するのに,式を有効に用いるようにする。
ア 簡単な場合に,未知のものにxなどの文字を使って数量の関係を式に表わし,それから逆算でxの値を求めること。(未知数が一つの項にだけ含まれる程度)
(5) 公式の意味についての理解を深めるとともに,公式の示している関係をより一般的に用いたり,公式を変量の関係とみたりする能力を漸次伸ばす。
(表・グラフ)
(6) 平均の意味について理解させ,平均や延べの考えを用いる能力を伸ばす。
(7) 簡単な場合について,分布を表わした表やグラフから,資料のだいたいのちらばりをみたり,最もよく現われる値などを調べたりする能力を漸次伸ばす。
(8) 円グラフ,帯グラフなどについてその読み方,かき方を理解させ,それを用いて数量の関係を調べる能力を伸ばす。
(9) 各種の表やグラフの特徴を知り,これらを適切に用いる能力を伸ばす。
用語と記号
百分率,パーセント,%,割,分,厘,平均,円グラフ,帯グラフ

D 図  形
(1) 基本的な平面図形とその性質についての理解を深め,それらを弁別したり表現したりすることが,いっそう確実に手ぎわよくできるようにする。
ア 三角形,四角形。
(ア) 正三角形,二等辺三角形,ならびに,正方形,長方形,平行四辺形,ひし形,台形などについて,辺や角に着目してそれらの関係を明らかにすること。
(イ) 求積の方法を理解するのに必要な簡単な性質を知ること。
イ 円。
(ア) 円周率とその意味(円周率としては3.14を用いる)。
(イ) 円をもとにして正多角形をかくこと。
(2) 対称の概念について理解させ,簡単な場合について,図形の見方を深めたり整った図形を認めたりする能力を伸ばす。
(3) 実際の場において,基本的な図形が適切に用いられるようにする。
用語と記号
高さ,底辺,円周率,中心角,おうぎ形,正五角形,正六角形,正八角形,直線について対称,対称の軸,点について対称,対称の中心,対応する(点,線などについて)

 3 指導上の留意事項
(1) Aの(4)の指導で,除法の計算としては,一応,除数が二位数の場合までが確実にできることをねらっているが,三位数以上の場合は必要に応じ取り上げること。なお,整除できない場合については,余りの大きさに注意させること。また,余りを求めないで,その部分を四捨五入して商を出すことについても指導すること。
(2) Aの(5)の指導は,小数の場合についても,これに準じた取り扱いをすること。
(3) Aの(6)の指導については,整数の場合の考え方を生かして,できるだけ簡潔にできるようにすること。
(4) Aの(7)の指導について,次のことに留意すること。
ア 乗法については比の第二用法,除法については比の第一および第三用法と,それぞれ関連させること。ただし,第三用法については,主として第6学年で指導すること。
イ 小数をかけたり小数で割ったりしたときの積や商の大きさについて,具体的な場合に即して,特に理解を図ること。
ウ 除数が小数のとき,整除されない場合は,ふつう四捨五入して商を出すが,余りを出すことも一応できるようにすること。
(5) 倍数,約数の指導は,分数の計算に必要な程度にとどめること。
(6) 測定値などに関して,積や商を求める場合には,答えのけた数をもとの数のけた数よりも多く出しても,実際にはあまり意味がないことを知らせ,特別の必要がないかぎり,だいたいその限度に,積や商のけた数をとどめるような習慣を,漸次つけるようにすること。
(7) Bの(3)の指導で,円の面積は,(半径)×(半径)×(円周率)の式を用いて求められるようにすること。
(8) Bの(3)の指導について,時間の計算は,ここでは,主として乗法や除法について指導することになるが,満年令の求め方も,この学年で一応できるようにすること。
(9) Bの(6)の指導については,直線的な運動とみられるものについての速さだけでなく,いろいろなことがらについても,単位時間当たりの仕事などをもとにして,その速さを考えたり比べたりすることができるようにすること。
(10) Cの(5)の指導について,ここで示した内容は,計算や測定などの指導と関連して取り扱うこと。すなわち,式を一般的に用いる考え方を伸ばすためには,たとえば,面債や体積の公式に小数を適用するときや,比の第一用法で,aのbに対する割合をa÷bの式で求めるのに,aがbよりも小さいときにもこの式を用いるときなどの機会を利用すること。
(11) Cの(8)および(9)の指導については,各種のグラフの特徴を知り,それが用いられる意味を理解することを主たるねらいとし,円グラフや帯グラフは全体と部分の大きさをつかみやすくするためにかくグラフであることを知る程度とすること。グラフはかくことより読むことを主にし,ごく基本的で簡単なものを扱うこと。
(12) Dの(1)の指導について,次のことに留意すること。
ア 図形をかいたり,これを確かめたりするにあたって,辺や角などの要素と図形との関係に着目させ,できるだけ,能率的なやり方やほかの要素を用いて確かめることなどをくふうさせること。(この際,できるだけ少ない要素をおさえて.図形をかいたり弁別したりできるようにすることは望ましいが,必要十分な条件だけに限定することは考えていない。
 また,このような学習を通して,漸次これらの図形について,その関係を具体的に知らせるようにすること。
イ 基本的な図形についての高さ,底辺などは,図形の位置に関係なく考えられるようにすること。
ウ 図形の諸性質は,主として実測的な方法によって調べさせるようにすること。
(13) Dの(2)の指導は,基本的な図形について理解を深めることを主要なねらいとし,対応点を結ぶ直線が,対称の軸や対称の中心と,それぞれどんな関係にあるかを知ったり,それを折り重ねや回転などの操作で確かめたりする程度にすること。

〔第6学年〕
 1 目  標
(1) 分数について乗法・除法の意味とその計算のしかたを理解させる。さらに,整数,小数および分数をまとめて数についての理解を深め,実際の場において,いっそう適切かつ能率的に計算する能力を伸ばす。
(2) 量とその測定についての理解をまとめ,実際の場において測定がいっそう適切かつ能率的にできるようにする。
(3) 比例の考え方を明らかにし,数量の関係のとらえ方を高めるとともに,公式の用い方についての理解をいっそう深め,それらを用いて数量の関係を能率的に処理する能力を伸ばす。
(4) 各種の表やグラフを,実際の場においていっそう適切に用いることができるようにする。
(5) 基本的な立体図形について理解を深めるとともに縮図の意味を知らせ,実際の場における事物の考察や処理に,図形をいっそう有効に用いる能力を伸ばす。

 2 内  容
A 数 と 計 算
(1) 四則の意味についての理解をいっそう深め,実際の場において計算が適切に用いられるようにする。
(2) 概数を用いる能力を伸ばすとともに,整数や小数についての四則計算が,いっそう確実にかつ手ぎわよくできるようにする。
(3) 分数の加法・減法について計算する能力を伸ばす。
(4) 乗数・除数が分数である場合の計算の意味とその方法を理解させ,分数の乗法,除法について計算する能力を伸ばす。
(5) 簡単な場合について,次のようなことを理解させ,分数の乗法・除法を含めて,能率のあがる計算方法をくふうする能力を伸ばす。
ア 整数および小数についての計算は分数の計算の特別の場合とみられること。
イ 除法は,除数の逆数をかける計算に直して考えられること。
ウ 乗法・除法に関する計算を一つの分数の形にまとめて表わすことができること。
(6) 整数,小数および分数について,大小が比べられることや四則についての法則が同じであることなどをまとめて,数についての理解を深める。

B 量 と 測 定
(1) メートル法とその単位のしくみについて理解を深め,これを実際の場における数量の取り扱いに有効に用いることができるようにする。
ア 単位体積の水の重さを知り,体積の単位と重さの単位との関係を理解すること。
(2) 比例関係などを用いて量を測定する能力を伸ばす。
(3) 角柱および円柱について,その表面積および体積を求める能力を伸ばす。
用語と記号
表面積,底面積

C 数 量 関 係
(割 合)
(1) 比の三つの用法について理解を深め,これを有効に用いることがでるようにする。
ア AのBに対する割合(P)はA÷Bで求められること。(比の第一用法)
イ AはPが分数および小数のときもB×pとして求められること。
 (比の第二用法)
ウ Bはpが分数および小数のときもA÷Pとして求められること。
 (比の第三用法)
(2) 割合が百分率および歩合で表わされている場合にも,比の三つの用法を用いることができるようにする。
(3) 比の意味とその表わし方を知らせ,数量の関係を表わすのにこれを用いる能力を伸ばす。
ア 比の表わし方とその相等関係。
(4) 簡単な場合について,比例の考え方を理解させるとともに,それを用いる能力を伸ばす。
ア 比例(正比例)について,次のような関係を知ること。
一方の量Aがaからa’になるとき,それに応じて他方の量Bがbからb’になるとするとき,
(ア) Aがn倍(1/n)になるときは,それに対応してBもn倍(1/n)になること。
(イ) 一般に,b’/bがa’/aに等しいこと。
(ウ) b’のa’に対する割合が,いつもbのaに対する割合に等しいこと。
(エ) A,Bの関係を折れ線グラフに表わすと,そのグラフは直線(原点を通る)になること。
イ 反比例について知ること。(比例と対比して知る程度)
(式・公式)
(5) 数量的な問題の処理に,式を有効に用いる能力をいっそう伸ばす。
(6) 式や公式を分数の場合にも適用することなどを通して,それらによって表わされる数量の関係を,より一般的にみていく考え方をいっそう伸ばす。
(7) 簡単な公式について,量の変化に着目して数量の関係の特徴を調べる能力を漸次伸ばす。
(表・グラフ)
(8) 簡単なことがらについて,場合の数を整理して数えたり,それを検討したりする能力を伸ばす。
(9) 前学年までに学習した表やグラフの特徴を知り,目的に応じて,それらを適切に選んだりくふうして用いたりすることができるようにする。
(10) 買物のねだんや郵便などの料金を速く知ることができるように,表やグラフをくふうして作ったり読んだりする能力を伸ばす。
用語と記号
比例〔正比例〕,反比例,比,:,比の値

D 図  形
(1) 基本的な図形が,実際の場においていっそう適切に用いられるようにする。
(2) 基本的な立体図形や,直線および平面の位置関係などについて理解を深める。
ア 直線および平面の平行,垂直の関係。
イ 角柱,角すい,円柱および円すい。
(3) 回転体について理解させ,これを立体図形や具体的な事物を考察するのに用いる能力を伸ばす。
(4) 縮図について理解させ,縮図をかいたり読んだりるす能力を伸ばすとともに,簡単な測量にそれを用いることができるようにする。
ア 縮図,縮尺の意味。
イ 簡単な図形をきまった割合に拡大したり縮小したりすること。
ウ 校地などの縮図をかいたり縮図から実長を読んだりすること。
エ 川幅や木の高さなどを求めること。(一つの直角三角形を用いる程度)
用語と記号
角柱,角すい,円柱,円すい,底面,高さ,側面,回転体,回転の軸,縮図,縮尺

 3 指導上の留意事項
(1) Aの(2)の指導では,次のような能力を伸ばし,能率のあがる計算方法をくふうさせるようにすること。
ア 概算を用いること。
イ 簡便な方法,たとえば,和や積が,10,100などになる関係などを,くふうして用いること。
ウ 末位の0を処理したり,小数点を,適宜,移動して考えたりすること。
(2) Aの(4)の指導については,小数の場合と同じように,次のことに留意すること。
ア 乗法については比の第二用法,除法については比の第一および第三用法と,それぞれ関連させること。
イ 分数をかけたり分数で割ったりしたときの積や商の大きさについて,具体的な場合に即して,特に理解を図ること。
ウ 乗数および除数が帯分数のときも,簡単な場合について一応計算できるようにすること。
(3) Cの(2)の指導については,比の値として小数や分数と同じ考えで扱えるようにまとめるとともに,生活においてよく用いられる簡単な場合だけを取り上げる程度にすること。
(4) Cの(4)の指導では,既習の公式などについて比例する量を見いだしたり理科で取り扱う法則などを「比例」ということばを用いて言い表わしたりすることができるようにする程度をねらっている。なお,比例関係を認めるにあたって,一方の量が増加すると他方の量もそれに応じて増加するような関係は,必ずしも比例であるとはかぎらないことに注意させること。
(5) Cの(8)の指導については,形式的に「組み合わせ」などの考え方を用いることは避け,特定のものに着目するなどして,具体的な場合について整理して考える程度にすること。
(6) Dの(2)の指導について,次のことに留意すること。
ア 一つの直線と平面との垂直関係は,その交点を通るその平面上の二つの直線と,もとの直線が垂直であるかどうかで確かめられることを知らせること。
イ 円柱,角柱および円すいは,それぞれ,直円柱,直角柱および直円すいを取り扱う程度,角すいは正角すいを取り扱う程度にすること。なお,角すいや円すいを作るのは,展開図が簡単にかける場合にかぎること。
(7) Dの(3)の指導で,回転体についての理解としては,軸に垂直な平面で切るといつも円ができることや,軸を含む平面で切るともとの図形がわかることを知らせる程度とすること。
(8) Dの(4)の指導を通して,図形を,その形と大きさに着目して考察できるようにすること。縮図は,これを読むことを主にし,かく場合は必要な程度に簡単なものを扱うこと。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 児童の学年的な発達に応じて指導をくふうすること。
 さきにあげた目標および内容においては,この点についていちいち明示してない場合が多いが,指導にあたっては,一般的に次のような点を考慮することが必要である。
 低学年の指導においては,児童の家庭,寄宿舎等における数量的な経験とのつながりを考え,児童に親しみの深い生活を学習活動に取り入れるようにするとともに,具体的な事物について,直接観察したり操作したりする活動を通すようにすることが重要である。また,児童のそぼくな経験やことばをできるだけ取り上げ,これを以後の学習の基盤として育て,共通の学習が行なわれるように整えていくようくふうすることが望ましい。
 中学年では,基本的な概念や原理を明らかにし,数学的な考え方や処理のしかたを確立するための指導が多くなるが,このような場合には,既習のことがらとの関達を図ることや,具体的な事実との結びつきを考慮することが特に必要である。
 高学年では,学習した内容について一応のまとまりをつけ,それを実際の場において適切に用いられるようにすることが重要であるので,それぞれの内容の有用性について,特に理解を深めるようにすることが必要である。
 なお,どの学年にかぎらず,児童の表現や筋道の通った考え方を,絶えず生かすようにし,児童が自信をもって,また,常に創意をはたらかしながら学習することができるように,指導をくふうすることが必要である。

2 各領域の内容を,総合的にまた関連をもって考えること。
 各学年の内容はだいたい四つの領域に分けて示してある。これは内容について,その学年としての主要な点や前後の学年との関係をわかりやすくするためのものであって,各領域の内容を別個に指導することを考えて設けたものではない。たとえば,その一つとして「数量関係」という領域がある。この「数量関係」は,一応,割合,式・公式および表・グラフという観点から内容をあげており,一般に,数量関係として考えられることを,すべてここにまとめたわけではないが,これなどは,むしろ,ほかの領域の内容と総合して指導することが望ましい場合が多い。
 指導計画の作成にあたっては,各内容について,前後の関連や他の領域にあげてある内容との関連を考えて,指導する内容が児童に無理なく発展し,身につくようにすることが必要である。

3 基礎的な技能の習熟を図るための機会を,適宜,考慮すること。
 計算や測定などの基礎的な技能については,その方法はもちろん,それを用いる意味についても理解を深め,それらが実際の場において,確実に,また手ぎわよく用いられるようにするとともに,さらに進んだ方法を考え出す基盤として活用されるように,習熟を図っておくことが必要である。
 このようなものの指導にあたっては,1回の指導だけで終わらず,適宜反復して指導が行なわれるように,計画を立てることが必要である。なお,このような能力について,各領域の内容としては,主として指導される学年においてのみあげ,それからあとの学年において,いちいち明示していない場合が多い。しかし,必要に応じて,あとの学年においても指導の機会があるように,考慮することが必要である。
 また,特に測定や図形については,実際の計器や事物についての操作がじゅうぶんに行なわれるようにすることが重要である。そのために,計器や器具をそろえるとともに,指導する時間がじゅうぶんとれるように配慮することが必要である。ことに,測定の指導にあたっては,盲児童の特性を考慮し,各種の計器による測定の技能が身につくよう,その指導を適切に行なうことが必要である。
 また,盲児童の算数指導にあたっては,筆算の方法にならった計算は困難を伴うので,暗算や珠算を大幅に取り入れ,これらに習熟させることがたいせつである。さらに,暗算や珠算による計算方法のほか,盲人用にくふうされた計算器による方法なども考えられるが,これらの利用は必要に応じて指導し,盲児童の特性を考慮した適切な指導がくふうされなければならない。
 盲児童は器具の操作がおそく,計算に時間がかかるので,これらの操作をできるだけ速く行なえるように反復練習させる必要がある。

4 他教科との関連を考え,学習の素材を豊かにすること。
 各領域の内容は,できるだけ算数科としての独自のねらいに合ったものだけにかぎってある。しかし,算数科で指導する内容は,どの教科の学習においても活用できるように身につけることが必要であるので,学習の素材はできるだけ広い範囲にわたって取り上げるように留意しなければならない。たとえば,「温度」,「方位」などは主として理科で,「簡単な地図」については社会科で指導することになっているが,算数科でねらう能力を身につけるために,それらに関する素材を,必要な程度に算数科の指導に取り入れることが必要である。
 また,金銭出納や売買に関することも内容としてあげてない。これらについては,社会的に特別な経験や知識を要する程度に深入りすることは望ましくないが,数量についての基本的な考え方や計算のしかたが,広く用いられるようにするために,適度に素材として取り入れることが必要である。

5 数量的に問題を解決する能力を伸ばすようにすること。
 算数科の目標から考えて,形式的に計算や測定ができることも重要であるが,それだけにとどまらないで,実際の場において,数量的に問題をはあくし,それを処理して,所期の目的に合っているかどうかを確かめることができるまでに,それらの能力を伸ばすことが重要である。
 これは,各領域であげた内容が,一体となって活用されてはじめて達成されるものと考えられる。したがって,一つの領域や内容だけの指導で,この能力がじゅうぶん伸ばされるものではないが,各内容の指導にあたっては,これに寄与するようにじゅうぶん配慮することが必要である。この指導で取り上げる問題の構造や領域については,児童の心理的・社会的発達の程度や,各領域の内容との関連をじゅうぶん考慮することが必要である。また,典型的な型や解法にとらわれないで,できるだけ児童の思考を生かし,一般的な考え方や解決の手法を,漸次身につけるようにすることが望ましい。

6 児童の個人差に応じた指導を考慮すること。
 算数科の指導においては,一般に遅れた児童や進んだ児童についての対策が特に必要と考えられる。それゆえ,実際の指導計画の作成においては,これらの児童に対して適切な処置をあらかじめ考え,どの児童も成功の喜びを味わい,進んで学習ができるように,指導計画について適切な配慮をすることが必要である。
 特に,児童の視力またはその他の視機能の障害の状態,失明の時期,生育歴および視覚表象の有無等の違いは,算数科の指導上いろいろと関係するから,これらをじゅうぶん考慮して指導することがたいせつである。


 
第4節 理  科

第1 目  標

1 自然に親しみ,その事物・現象について興味をもち,事実を尊重し自然から直接学ぼうとする態度を養う。
2 自然の環境から問題を見いだし,事実に基づき,筋道を立てて考えたりくふう・処理したりする態度と技能を養う。
3 生活に関係の深い自然科学的な事実や基礎的原理を理解し,これをもとにして生活を合理化しようとする態度を養う。
4 自然と人間の生活との関係について理解を深め,自然を愛護しようとする態度を養う。

 上に掲げた理科の目標は,各項目相互に密接な関連をもつものであり,次に示す各学年の目標は,教科の目標の各項目それぞれについて,学年的発展を明らかにして具体的に示したものである。なお,各学年の目標の作成にあたっては,次の諸点を考慮した。
 教科の目標1については,低学年では,ごく身近な自然の事物・現象に触れたり,扱ったりさせることによって,できるだけ興味や関心を高め,自然に親しむ態度を養うとともにできるだけ実証的方法を通して事実に即したものの見方・考え方を育てるようにする。学年が進むにつれて自然環境をしだいに広げ,事物や現象間の関係などを,進んで観察や処理を通して確かめたり,ためしたりすることによって,客観的なものの見方・考え方ができるようにする。目標2については,低学年では自分から進んで自然の環境から疑問を見つけようとする態度を養い,これを解こうとしてそのしかたを考えたり,これを実際に行なって確かめたりすることができるようにし,学年が進むにつれて,はっきりした問題をとらえ,これを分析したり総合したりして考慮することに慣れさせ,筋道の通った考え方でくふう・処理することができるようにする。目標3については,低学年では,できるだけ遊びや作業など,からだを通して自然にはたらきかけ,自然の事物・現象についての観察を広め,その中から自然科学的な事実を意識するようにし,新しいことがらに出会ったときに,これを前の経験と結びつけていけるようにする。学年が進むにつれて,多くの経験の中から自然科学的な事実や基礎的な原理を理解させ,生活に応用してこれを合理化しようとするようにする。目標4については,低学年では飼育・栽培の世話の手伝いから始め,生物に興味や親しみをもつようにしむけ,これを愛護するようにし,学年が進むにつれてその気持ちを自然物一般に広げ,自然と人間との関係を考慮し,自然の保護や利用のしかたについての関心を深め,自然科学の進歩が生活を豊かにするのに役だつことを認識させるようにする。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
 1 目  標
(1) 学校や家庭,ごく近くの野外の自然の事物や現象に興味をもつようにしむけ,それらに触れてみたり,それらで遊んだりして,自然をありのままにとらえるように導く。
(2) ごく身近な自然の環境について疑問をもつように導き,これを自分から進んで解こうとする気持ちを育てる。
(3) 主として遊びの形を通して,ごく簡単な自然科学的な事実に気づかせる。
(4) 学校や家庭などで育てている草花や動物の世話を手伝い,それらをかわいがるように導く。

 2 内  容
(1) 校庭やごく身近な野山の自然に接し,観察や遊びなどを通して生物に興味をもつようにしむけ,それらの性状や生活の目だった様子に気づき,生物をかわいがるように導く。
 また,自分のからだに関心をもち,からだのおおよそのつくりに気づくようにする。
ア 花だんの草花の観察と,世話の手伝いをする。
(ア) 春の校庭をめぐり,花だんの草花や庭木の花のにおい,形などを観察し,いろいろなものがあることに気づき,校庭の草木に親しむ。
(イ) あさがおのような粒の大きな種子をまき,種子のまき方を知る。まいた種子に水を与えて発芽を待ち,発芽や育つ様子を見守り,世話の手伝いをして,これを愛育しようとする。
(ウ) 春まいた草花の開花について話し合い,花・つぼみ・葉を観察するなどして,親しみをもつとともに,そのにおい・形・草たけなどの違いに気づく。
(エ) 秋咲く草花を観察して,秋になると春・夏のころ見られなかった草花の咲くことに気づく。
イ 校庭の樹木を観察する。
(ア) 樹木には大きいものや,小さいものがあることに気づく。
(イ) 樹木の葉にはいろいろの形や大きさのものがあることを知る。
(ウ) 樹木のはだは種類によってそれぞれ違うことに気づく。
ウ 野山の自然のありさまを観察する。
(ア) 春・夏・秋に野山に出て,そこの草木,虫,鳥などの種類や様子を観察し,それぞれの季節の自然に親しむ。
(イ) 野山で草つみ,花つみ,花束づくりなどをして遊び,それぞれの花の種類や様子に気づく。また,木の実や茎・葉を使って木の実遊びをくふうしたり,草笛づくりや葉くらべなどをしたりして,実・茎・葉の大きさや形などに気づく。
エ 虫などを観察する。
(ア) 取った虫やかたつむりなどを観察し,大きさや形,運動のしかたなどに気づく。
オ 飼っている動物の観察と,世話の手伝いをする。
(ア) うさぎ・にわとり・小鳥などのように親しみやすく飼いやすい動物にえさを与えたり,運動させたりなどして観察し,興味と関心を深め,これをかわいがる。
(イ) きんぎょなどをガラスの水そうに入れてえさを与え,それらには大きさ・形などの違ったものがあることに気づく。
カ くだものの大きさ,形の違い,味や内部の様子を調べる。
(ア) みかん・かき・りんごなどのくだものを観察して,大きさ・形・内部の様子の違いに気づく。
キ 自分のからだに関心をもち,からだのおおよそのつくりに気づくようにする。
(ア) 自分のからだの手・足・頭などの形や大きさに気づく。

(2) 天気や土地の様子に興味をもち,それらについて簡単な事実に気づくようにする。
ア 天気にはいろいろあることに関心をもつ。
(ア) 天気には晴れ・曇り・雨・雪などがあり,また,風が吹く日もあることに気づく。 (イ) 天気を簡単な記号で1週間ぐらい記録することができるようになる。
イ 土地の高低や,いろいろな石などの様子に関心をもつ。
(ア) 学校の近くの山・丘・池・川などを観察し,土地には高い所や低い所,水のたまっている所や流れている所などがあることに気づく。
(イ) 石ころを集め,大きさや形で分けたり,石並べなどをしたりして,石の大きさや形に関心をもつ。
ウ 日なたと日かげの違いを比べる。
(ア) 日なたと日かげの暖かさを比べ,その違いに気づくとともに,日なたと日かげでは,生物の様子や氷・霜などの様子などに違いのあることに気づく。

(3) おもちゃや身近にある道具で遊び,それらの使い方や作り方をくふうし,簡単な事実に気づくように導く。
ア 風で動くおもちゃを調べる。
(ア) 風車・風輪(かざわ)などのような風の力で動く簡単なおもちゃを作り,それがよく動くように作り方をくふうする。
(イ) 作ったおもちゃを風に当てたり,うちわであおいだりして,その動く様子が,風の向きや強さによって違うことに気づく。
イ 手で動かすおもちゃ,ばねやぜんまいで動くおもちゃを調べる。
(ア) 手で動かすおもちゃ,ばねやぜんまいで動くおもちゃで遊び,それらの材質やしかけに興味をもつ。
ウ 噴水の水の上がり方を調べる。
(ア) 身近にある細い管を使って噴水遊びをし,噴水の上がり方は,水源の高さや水の出口の太さなどによって違うことに気づく。
エ 氷のはっている様子や水の性質に関心をもつ。
(ア) 野外や校庭で氷のはっている様子を観察して,場所により,氷の厚さやはり方に違いがあることに気づく。
(イ) 氷が水に浮くことや, 氷や雪が溶けて水になる様子などに気づく。
オ 磁石のはたらきに関心をもつ
(ア) 棒磁石やU形磁石を使って砂鉄集めをしたり,くぎなどをつけたりして,磁石には砂鉄やくぎなどをよくつける所とよくつけない所とあり,また,紙やビニルなどを隔てても,砂鉄やくぎなどを引きつけるはたらきのあることに気づく。
(イ) 磁石で身のまわりのいろいろなものを調べ,磁石が引きつけるものと,引きつけないものとがあることに気づく。
(ウ) 磁石を使うおもちゃや遊びをくふうして,磁石のはたらきに興味をもつ。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容(1)のア〔花だんの草花〕・ウ〔野山の自然〕,(2)のイ〔土地の様子〕のような自然観察に関する学習にあたっては,草花に興味をもつようにくふうしたり,自然をありのままにとらえるような指導が必要である。また野山の様子が地域によって必ずしも同じでないから,ここに掲げた学習がすべてできるとはかぎらない。
 しかしこれらの学習においては,自然の事物・現象を直接学ばせ,そのおりおりの野山の姿を強く印象づけることがたいせつである。
(2) 内容(2)のア〔天気〕の学習では,児童には晴れと曇りの区別のつきにくい日もあるが,あくまでも児童の感覚を通して学習するように配慮することが必要である。
 天気を記録するには,記号をいろいろくふうして記録させるようにする。
(3) 内容の文中「気づく」とあるのは,児童の自発活動によって実際のものについて観察したり考えたりなどして,みずから納得することをさしている。
 したがって教師が話などにより,結果だけを教えこむような指導は避けなければならない。このことは第2学年以上においても同様である。
(4) 内容の文中「知る」とあるのは,児童が観察・実験などを通して学習するのを本態とするけれども,さらに教師が知識として与える面が必要な場合を意味している。したがって児童にじゅうぶん活動させないで教師が初めから教えこむことは避け,その知識も児童が納得できる程度を考えて,無埋のない指導をすることがたいせつである。このことは第2学年以上においても同様である。

〔第2学年〕
 1 目  標
(1) 学校や家庭,近くの野外の自然の事物や現象に直接触れさせて興味を広げ,観察・飼育・栽培・製作などの活動を通して自然に親しませ,自然をありのままにみるように導く。
(2) 身近な自然の環境から疑問を見いだし,いろいろくふうして,これを納得のいくように解決しようとする気持ちを育てるとともに,自然の事物・現象の目だった特徴を全体的,直覚的にとらえるように導く。
(3) 遊びや作業などの活動を通して,簡単な自然科学的な事実に気づき,これに関連する事物・現象を正しくみたり考えたり,扱ったりしようとする気持ちを育てる。
(4) 学校や家庭などで育てている草花や動物の世話を進んで手伝い,それらをかわいがり育てることに喜びをもつようにする。

 2 内  容
(1) 校庭や野山で生物を観察したり,飼育・栽培したりして,四季おりおりの生物に興味と親しみをもち,生物の外形や成長・生育の様子を観察し,また,生物の種類や生活の様子が季節によって違うことに気づくようにするとともに,生物をかわいがるように導く。
 また,自分たちの歯のつくりやはたらきに気づき,歯をたいせつにするように導く。
ア 草花の世話をし,育ち方に関心をもつ。
(ア) 春と秋に花だんに,作りやすい草花の種子をまいたり,球根を植えたりして,種類によって,まいたり植えたりする時期や方法に違いのあることを知る。
(イ) まいたり植えたりした種子や球根の芽ばえや育ち方が種類によって違うこと,よく育てるためには日がよく当たるようにし,ときどき水をやらなければならないことに気づく。
(ウ) 雑草を抜いたり,水を与えたりなどの手入れや世話の手伝いができるようになる。
(エ) 種子を取ったり,球根を掘ったりして,一つの種子や球根から多くの種子や球根ができることに気づき,翌年のためにそれらを保存することができるようになる。
イ 四季おりおりの野山のありさまを観察する。
(ア) 四季おりおりの野山に出て,野山の草木・虫などの種類や様子,吹く風,暖かさなど,それぞれの季節の著しい特徴に気づく。
(イ) 四季おりおりの野山の草を集めて,花だんやはちに植えたり,押し花や押し葉にしたり,木の実でこまなどを作ったりする間に種類によって花・実・茎・葉などが違うことに気づく。
(ウ) 秋から冬にかけて,葉が落ちる木と,そうでない木があることや,草や地上の部分がたいてい枯れてしまうことなどに気づく。
(エ) 早春の野山に出て,草木の芽ばえなどを観察したり,つみ草をしたりして,春めいた自然の印象を深める。
ウ 田畑の虫の生活に関心をもつ。
(ア) 田畑の虫を観察して,虫には多くの種類があり,その種類によってすんでいる場所や活動の様子の違うことに気づき,作物を害する虫のいることを知る。
(イ) 田畑で採集した虫をびんや箱に入れて,えさを与え,食べる様子を観察するとともに,それらの虫の生活について興味を深める。
エ 池や小川(海)の生物を観察する。
(ア) 池や小川(海)で魚・虫・貝などいろいろの動物を観察して,それぞれの動物のすむ場所や活動の様子に気づく。
(イ) 池や小川(海)で採集したいろいろな動物を水草とともに水そうに入れて観察し,それぞれの形や泳ぎ方などについて違いのあることに気づく。
オ 自分の歯についての関心を深める。
(ア) 歯を観察して,その形や大きさ,むし歯とよい歯などの違いに気づく。
(イ) 乳歯は抜けかわること,抜けかわった歯は二度と抜けかわらないことや歯のはたらきを知り,歯をたいせつにするようになる。

(2) 天気の変化,雨水のゆくえ,太陽の動きなど自然の変化についても興味を広げるようにする。
ア 天気の変化に関心をもつ。
(ア) 晴れ・曇り・雨・雪などの天気には,よく晴れている,少し曇っているなどのように,それぞれ程度の違いのあることに気づく。
(イ) 日によって.暑さ・寒さなどが違うことに気づく。
(ウ) 毎日の天気の様子を簡単な記号で2〜3週聞記録し,天気は日によって変わり,また1日のうちでも変わることがあることに気づく。
(エ) 吹き流しなどを利用して,風の向きや強さがいろいろと変わることに気づく。
イ 雨水のゆくえに関心をもつ。
(ア) 地上に降った雨水を観察し,雨水は低いほうに流れて土を掘ったり,押し流したりすることに気づく。
(イ) 土や砂に水をかけ,水がしみこんでいく様子を観察して,地上に降った雨水の一部は地下にしみこむことを知る。
(ウ) 雨が降り続いたあとの小川や池などを観察して,川や池などの水がふえることから,雨水の一部は川や池に流れこんだり低い所にたまったりしていることに気づく。
ウ 太陽の動きに伴ういろいろの現象に関心をもつ。
(ア) 太陽が出ると昼となり,太陽がはいると夜となることの違いに気づく。
(イ) 太陽は毎日東から出て西にはいることを知るとともに,これをもとにして,東西南北の方角を知る。
(ウ) 立木や建物などの影の動きに興味をもち,影は朝・昼・夕としだいに西から東へ動いていることから,影の動くのは,太陽が刻々動くためであることを知る。

(3) 身近にある簡単な道具やおもちゃなどでいろいろくふうして遊び,これに関連した自然科学的な事実に気づくように導く。
ア 水車の回り方を調べる。
(ア) 簡単にできる水車を作り,それが動くようにくふうして遊び,その回り方が水の速さや当て方で変わることに気づく。
イ 物の浮き沈みに関心をもつ。
(ア) ちゃわんやさらのような形のものは水面に置く場合,その置き方によって, 水に浮かんだり沈んだりすることに興味をもつ。
(イ) 油粘土などで船を作って水に浮かべ,水に沈むものでも,形によっては,浮く場合があることに気づく。
ウ こまの回り方を調べる。
(ア) いろいろなこまを作って,よく回るようにくふうして遊び,心棒のつけ方や,こまの重さ,形によつて,回り方が変わることに気づく。
エ やじろべえのつりあいを調べる。
(ア) やじろべえを作り,うまくつりあうようにくふうして遊び,そのつりあいに興味をもつ。
(イ) うでの長さやうでのつけ方,つけるおもりの重さを変えると,つりあいが変わることに気づく。
オ ゴム風船やボールなどで,空気のはたらきに関心をもつ。
(ア) ふくらましたゴム風船の口を開いて放すと飛ぶことに興味をもち,風船をふくらませる程度によって,飛び方に違いがあることに気づく。
(イ) ふくらませたゴム風船を水中に押し入れたり,水中で風船の口を開いたりして,手ごたえのあることや,あわのでることに気づく。
(ウ) ボールにたくさん空気を押し込むと,よくはずむようになることに気づき,空気をつめて使うものを考える。
カ 音の出方に関心をもつ。
(ア) 簡単な笛を作り,よく鳴るようにくふうし,音の出方に関心をもつ。
(イ) 紙を吹いたり,輪ゴムなどをはじいたりして音を出し,それが震えていることに気づく。
キ せっけんの溶け方を調べる。
(ア) せっけんを溶かしてせっけん水を作り,せっけんは水よりも湯に速く溶けることに気づく。
(イ) 水の中にせっけんを少しずつ溶かして,そのたびにせっけんのあわを作ってみて,せっけん水の濃さによって,せっけんのあわがうまくできたり,できなかったりすることに気づく。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容(1)のア〔草花の世話〕・(1)のイ〔四季の野山〕(エ)〔早春の野山〕の扱いは,児童が観察しやすい材料を用意し,栽培のしかた,観察に適当な時期など特別な配慮をして,児童に興味をもたせるようにすることが必要である。
(2) 内容(1)のウ〔田畑の虫〕では,そのころの作物の種類や生育の様子にも注意を向けさせ,また田畑を荒らさないように指導することがたいせつである。なお採集した虫とあるのは,教師が採集し用意したものである。
(3) 内容の(1)エ〔池や小川(海)の生物〕については,海に近い所では潮干狩りなどを利用し,この内容と関係のある海辺の生物について学習させることが望ましい。採集した動物とあるのは教師が採集し用意したものである。
(4) 内容(2)のイ〔雨水のゆくえ〕,内容(3)〔身近にある道具やおもちゃ〕のところでは,具体的に経験するような指導が必要である。
(5) 内容(2)のウ〔太陽の動き〕については,日常の生活と結びつけて指導することがたいせつである。
(6) 内容(3)のカ〔音の出方〕・キ〔せっけんの溶け方〕の学習に用いる笛や管などのように口につけて吹くものは,吹く前によく洗わせ,衛生に注意することがたいせつてある。

〔第3学年〕
 1 目  標
(1) 学校や家庭,近くの野外の自然の事物や現象を広く観察させて興味を広げ,飼育・栽培・製作などを通して自然に親しませるとともに,自然をありのままにみて,物と物との間の著しい違いや変化に留意しようとする態度を養う。
(2) 身近な自然の環境から疑問をとらえ,これを解決しようとして,いろいろくふうしてみたり,ためしたりすることにより,自然の事物・現象の目だった特徴のとらえ方ができるようにする。
(3) 作業や考察などを通して簡単な自然科学的事実に気づき,これに関連した新しい事実の正しい見方,考え方,扱い方ができるようにする。
(4) 生物の飼育・栽培・野外観察などにより,いろいろな生物の生活の様子を知り,広く生物をかわいがるようにする。

 2 内  容
(1) 四季を通して生物の様子を観察したり,飼育・栽培したりして,草木の成長,動物の生活の様子,すむ場所などが暑さ寒さに関係があることに気づくようにし,自然に親しませるように導く。
 また,外部からの観察を通して,人のからだのつくりの大要に気づくようにする。
ア 学校園の世話をし,草花や野菜の育ち方,ふやし方を調べる。
(ア) 学校園や菜園に,春と秋に,へちま・えんどうなどその時期の種子をまき,続けて世話をしながら,著しい変化に気づくようにする。
(イ) 苗の植えかえをし,植物は植えかえるとじょうぶに育つものがあることを知る。
(ウ) つつじのようなつくりのわかりやすい花を観察して,花はがく・はなびら・おしべ・めしべなどからできていることを知る。
(エ) へちまには,実のできる花と実のできない花とあることに気づく。
(オ) へちまの水とりをし,根の吸った水が茎の上方にのぼることを知る。へちまの実の内部を観察し,その筋を利用することを知る。
(カ) 草や木で,さし木・株分けを行ない,植物には,さし木・株分けでふやすことのできるものがあることを知る。
(キ) 球根などの水栽培をし,根や芽が山る様子や,葉・つぼみ・花の様子を観察記録して,球根の中に養分のあることに気づく。
(ク) 草花などに霜よけをしたり,これらを簡単なフレームなどの中に入れたりして,草木の中には,冬の寒さを防いでやる必要のあるもののあることを知る。
イ 季節による生物の種類や様子の変化を調べる。
(ア) 季節ごとの生物の種類,種まきや取り入れをする作物,人の生活の様子などを観察記録して,生物の種類などが季節によって移り変わることに気づく。
(イ) 花だんや野山て普通に見られる植物の開花結実などの期日に違いのあることに気づくとともに草木の種子の散り方に気づく。
(ウ) 鳥や虫などの中には,年じゅう見られるものと,ある季節にだけ見られるものとがあることに気づく。
(エ) 1年の終わりに季節ごとの観察の記録を主とめて,季節の移り変わりについての理解を深める。
ウ 鳴く虫の種類や生活の様子を調べる。
(ア) 庭や野で,こおろぎなどの鳴く虫を捜し,すむ場所,鳴き声の違いなどに気づく。 (イ) 採集した虫を飼って観察し,鳴く虫にもいろいろあることに気づき,雌雄の別,食べ物などを知る。
エ 人のからだのおよそのつくりを調べる。
(ア) からだを外部から観察して,筋肉,骨組みなどのおよそのつくりに気づき,内臓諸器官のおよその位置を知って,姿勢を正しくすることがたいせつなことに気づく。

(2) 季節ごとの天気の特徴に注意したり,土やかわらの石を観察して,自然現象に興味をもち,簡単な事実に気づくようにする。
ア 四季おりおりの天気を調べ,その特徴に関心をもつ。
(ア) 四季の天気の様子を観察して,梅雨・雷・夕立・台風・霜・雪など,季節による特徴のある気象現象や日ざしの違いに気づく。
(イ) 季節により,暑さ・寒さに違いがあることに気づく。
(ウ) 1年の終わりに,季節ごとの観察記録をまとめ,季節の移り変わりについて理解を深め,季節の特徴を知る。
イ 土の性質を調べる。
(ア) 粘土・砂・黒土などの粒・手ざわり,また水のしみこむ様子や粘り気などを観察して,これらの性質に違いがあることに気づく。
(イ) がけや切り通しなどで土や岩石を観察したり,柔らかい岩石を砕いたりして,土は岩石から変ったものであることを知る。
ウ かわらの様子とそこにある石を調べる。
(ア) かわらの様子を観察して,かわらには石の多い所,砂や粘土の多い所などがあることに気づく。
(イ) 石を集め,形・大きさ・かたさ・手ざわりなどで区別する方法にいろいろあることに気づくとともに,簡単な標本を作ることができる。

(3) 簡単な道具を使ったり作ったりして,そのしくみとはたらきに気づき,いろいろな道具の使い方に慣れるようにするとともに,物の溶け方や変化に関心をもたせる。
ア ゴムやばねを利用したおもちゃをくふうする。
(ア) ゴムやばねなどの弾力を利用した簡単なおもちゃを作り,よく動くようにくふうし,ゴム・ばねなどの弾力が動力としてはたらくことに気づく。
イ 紙玉でっぽうや水でっぽうのはたらきを調べる。
(ア) 紙玉でっぽうなどを作り,たまがよく飛ぶようにくふうし,押し縮められた空気の力に気づく。
(イ) 水でっぽうを作って遊び,水が吸いこまれたり,押し出されたりするしくみに気づき,水を遠くへ飛ばすように押し方や傾け方などをくふうする。
ウ 音の伝わり方に関心をもつ。
(ア) 糸電話を作って遊び,糸を伝わって音が聞こえることに気づく。
(イ) 金属・木などを伝わって音がよく聞こえることに気づく。
(ウ) 聴診器・伝声管などを使って遊び,これらを使うと音がよく聞こえることに気づく。
エ 物の温度について調べる。
(ア) 水と湯に温度計を入れて,温度計の目もりがそれぞれ違うことに気づき,その目もりを読めば水と湯の温度がわかることを知る。
(イ) 物の冷たさや暖かさの程度は,温度計を使えば正しく調べられることを知り,温度計の初歩的な扱いができるようになる。
オ 氷をつくって,そのでき方を調べる。
(ア) 水そうの中に氷と食塩を入れて混ぜ,この中に温度計を入れて,氷だけのときよりも温度が下がることに気づく。
(イ) 上記の寒剤を入れたガラスの器などの外側に水滴や霜のようなものがついたりすることに気づく。
(ウ) 寒剤の中に,水を入れたビーカーを入れ,水が冷えて氷になるときの様子に気づく。
カ 磁石の性質を調べる。
(ア) 磁石にはN,Sの極のあることを知り,同じ極はしりぞけあい,違う極は引きあうことに気づく。
(イ) 縫い針などを磁石でこすって,それが磁石になることに気づく。
(ウ) 磁石を自由に動くようにささえると,南北をさすことに気づく。
(エ) 磁石(コンパス)を使うと,方位を知ることができることに気づき磁石の使い方を知る。
キ ブザー(または電鈴)の鳴らし方を調べる。
(ア) 乾電池,ブザー(または電鈴),ソケット,導線などを使って,ブザー(または電鈴)を鳴らして,乾電池には+と−の極があることを知り,両極とブザー(または電鈴)を導線でつなぐと音が出ることに気づく。
(イ) 乾電池とブザー(または電鈴)の回路にスイッチをつないでブザー(または電鈴)を鳴らしたり,とめたりして,回路の一部が離れていると電気が通らないことに気づく。
(ウ) 乾電池とブザー(または電鈴)の回路に,金物・紙・木などを入れてブザー(または電鈴)の鳴り方を調べ,電気を通しやすいものと通しにくいものがあることに気づく。
ク 物の溶け方を調べる。
(ア) 食塩やほう酸を使って,うがい水を作り,食塩は水に溶けやすいが,ほう酸は水に溶けにくいことに気づく。
(イ) ほう酸を水や湯に溶かして比べ,その溶け方が水の暖かさによって違うことに気づく。
(ウ) 湯に溶けたほう酸の液を冷やすと,湯がさめるにつれて,液中にほう酸が小さな粒となって出てくることに気づく。
(エ) 濃い食塩水(飽和溶液)を10倍ないし20倍にうすめて,うがい水を作ることができるようになる。
(オ) マッチやアルコールランプの扱い方を知り,安全に使うことができるようになる。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容(1)のイ〔季節の生物〕と(2)のア〔四季の天気〕は関連して扱い,これらを通して四季の自然の姿やその移り変わりを理解させるよう努めることが望ましい。
(2) 内容(1)のア〔学校園の世話〕と(2)のイ〔土の性質〕とは関係が深いから,その点を考慮して計画を立てる必要がある。
(3) 内容(1)のア(ウ)〔花のつくり〕の学習は,実物で観察したあとで,模型を使って理解を深めるように指導することが望ましい。
 実物と模型との錯覚に注意することがたいせつである。第4学年の内容(1)のア(ウ)や,第5学年の内容(1)のウ(ウ)との関連を考えて指導することがたいせつである。
(4) 内容(3)のエ〔物の温度〕の学習は,今までの感覚的にとらえてきた冷温の程度を,温度計を使うと客観的に測れることを理解させる最初の段階である。
 内容(2)のア〔四季の天気〕に関する学習においても,暑さ寒さは,気温に関係することから,気温を温度計を用いて測るように,しだいに指導することが望ましい。
 この場合,温度を測るには,盲人用にくふうされた温度計を用いるようにする。細かい目もりの読みや,測定技能の指導は,第4学年にゆずり,ここでは温度計のだいたいのつくりや,基礎的な扱いの指導に重点を置くこと。
(5) 内容(3)のキ〔ブザーの鳴らし方〕の学習で,ブザー・乾電池などをホルダーに取り付けたり,また導線をつなぎやすいようにくふうすることがたいせつである。
(6) マッチ・アルコールランプなど,観察・実験に必要な器具の正しい扱い方を指導するだけでなく,必要に応じてこれを使用させ,その扱いに慣れさせるように指導することがたいせつである。

〔第4学年〕
 1 目  標
(1) 身近な自然の事物や現象に対する興味を深め,継続観察・飼育・栽培・製作などの活動を通して,自然の事物・現象を分析的に見たり考えたりして,その著しい特徴をとらえるように導くとともに,自然の変化や事物・現象の間の関係に留意しようとする態度を養う。
(2) 自然の環境から問題を見いだし,これを解決しようとする意欲を高め,いろいろくふうしてみたりためしたりして考え,いろいろな事物・現象の共通点や相違点に気づくようにする。
(3) 学校や家庭などにおける生活のなかで得られる事実をもとにして,それらの基礎となる自然科学の原理が理解できるようにする。
(4) 身近な自然の事物・現象を利用することに喜びをもたせ,自然物をたいせつにする態度を養う。

 2 内  容
(1) 観察や飼育・栽培によって,個々の生物のつくり,くらし方の著しい特徴やその違いに気づくようにするとともに生物の一生の変化には一定のきまりがあることを知らせる。
 また,人のからだの成長や正常なはたらきに気づくようにし,人の栄養についても理解させる。
ア いもやまめの育ち方やふえ方を調べる。
(ア) じゃがいもまたはさつまいもなどの栽培のしかたを知り,これを栽培して,その生育の様子に気づく。
(イ) 植物には,じゃがいもなどのように,いもでふえるもののあることに気づく。
(ウ) 秋まきのえんどうなどは,春になると目だった育ち方をすることに気づくとともに,その花や実のつくり方を調べる。
イ 飼っている動物の世話をし,その育ち方や習性を調べる。
(ア) にわとりやうさぎなどのような飼いやすい動物がうまく育つように世話をし,育ち方,えさの種類,著しい習性について知る。
ウ 川や池の水草やもについて,その種類やつくりを調べる。
(ア) 観察や採集によって,池や沼にはうきくさのように水面に浮いているもの,くわい・はすのように葉や茎の一部は水面に出ているが根を水底の地中におろしているもの,きんぎょものように水中に生育するものがあることを知る。
(イ) 水辺・水面・水中に生育する植物の葉や茎を観察して,それぞれの著しい特徴に気づく。
(ウ) うきくさを水そうに入れておき,それが分かれてふえることや,日あたりなどによって,ふえ方に速いおそいのあることを知る。
エ 虫を飼育したり,観察したりして,その一生の変化を調べる。
(ア) ちょうまたはかいこなどを飼育・観察し,その育つ様子を記録して,卵から幼虫,さなぎを経て成虫となる事実に気づく。
オ かえるの育つ様子を観察する。
(ア) かえるの卵やおたまじゃくしなどを飼育し,成長に伴うからだの著しい変化を観察記録して,その育ち方に気づく。
(イ) かえるには,いろいろな種類があることを知り,それらのすむ場所や運動のしかたなどに気づく。
カ 海辺の生物の種類や生活の様子を調べる。
(ア) 海には潮の満ちひがある事実に気づく。
(イ) 潮のひいた砂浜,潮だまりまたはいそで,貝・うにのように手に入れやすい海浜の動物を観察したり採集したりして,それらにはいろいろな種類のあることや,それらの生活の様子に気づく。
(ウ) 海そうや海浜の植物のはえている様子を観察したり,それらを採集したりして,その性状が野山の植物と違っている点に気づく。
(エ) あさり・はまぐりなどのような二枚貝を観察して,貝がら・ちょうつがい・貝柱・足・入水管・出水管などのあることを知る。
キ 生物の冬越しのしかたを調べる。
(ア) 冬の野山や校庭などで,植物の地下の茎・いも・根・冬芽などの観察をして,植物はいろいろの姿で冬を越す事実に気づく。
(イ) こん虫はその種類によって,卵・幼虫・さなぎまたは成虫のようないろいろの状態で冬を越すことを観察し,あわせて,身近に見られるその他の動物の冬の越し方を知る。
(ウ) 春・夏のころ見られた鳥の中には,秋から冬にかけて見られなくなるものがあり,秋・冬のころになると春・夏のころ見られなかった種類の鳥が見られるようになることを知る。
ク 自分のからだの発育やからだのおよそのはたらきを調べる。
(ア) 健康診断の測定資料を前学年までのものと比較して,体重・身長など,自分のからだの成長に気づく。
(イ) 鼓動・体温・呼吸などが,運動したときや病気のときには正常時と違うことを知る。
(ウ) 口・目・耳・鼻・皮膚の清潔に注意し,むし歯・トラホーム・流行性角結膜炎などの病気にかからないようにする。
ケ 食物に含まれる栄養素のはたらきに関心をもつ。
(ア) 日常の食物は,でんぷん・糖・脂肪・たんぱく質・ビタミン・カルシウム・鉄のような栄養素を含んでいることを知る。
(イ) これらの栄養素は,それぞれ独自のはたらきをもっていて,一つの種類の食物だけでは,栄養を完全にとることはできないことを知る。

(2) 気温や地温・水温に関心をもたせ,温度計を正しく扱うことができるようにする。
ア 気温を測り,その変化を調べる。
(ア) 温度計を正しく操作して気温が測るようになる。
(イ) 気温を測り,それが1日のうちでも,また季節によっても変化することに気づく。
(ウ) 気温や水温を測り,気温との違いに気づく。

(3) 川の流れや土地の様子が場所によって違うことに関心をもたせ,土地の様子は流水のはたらきによって,長い間に変化していくことをわからせる。
ア 川の水の流れ方を調べる。
(ア) かわらで,川幅,流れの速さ,水のかさなどを観察して,これらが上流と下流とで違いがあることを知る。
(イ) 川に木片などを流して流れの様子を調べ,川の中央と岸とでは流水の速さに違いがあることに気づく。
イ 川や海の水のはたらきを調べる。
(ア) 川が曲がりくねって流れていることや,大水の前後のかわらの様子の違いなどから,川の水には,川底や岸を削ったり,削りとった石や砂や粘土を運んだり,それらを川底に積らせたりするはたらきのあることを考えることができる。
(イ) 海岸のがけ,砂浜の様子などから,海水にも川の水と同じようなはたらきがあることを知る。
(ウ) 雨水や川の水のはたらきで,長い間に土地の様子がしだいに変化していくことを知る。

(4) 簡単な道具や機械のしくみとはたらきや,温度の変化,電流などによる身近に見られる事物・現象やその変化に興味をもち,これらを事実に即して確かめるようにするとともに,その初歩的な原理をわからせる。
ア てんびんのしくみとはたらきを調べる。
(ア) 簡単なてんびんを作り,左右に等しい重さの物をかけたときにつりあうことに気づく。
(イ) 上ざらてんびんのはたらきを知って,正しく使うことができるようになる。
イ 物の浮き沈みについて調べる。
(ア) 同じ体積の水より軽いものは水の中に押し沈めても浮き上がり,水より重いものは沈むことを理解する。
(イ) 卵などは水の中では沈むけれども,濃い食塩水の中では浮くことに気づく。
ウ てこに関心をもち,その使い方をくふうする。
(ア) 棒をてことして使い,小さな力で重い物を動かす方法をくふうし,てこには,てこをささえる点,力を加える点,加えた力のはたらく点のあることに気づき,これらの点の位置が変わると,同じ大きさの力を加えても,物にはたらく力の大きさが変わる事実を知る。
(イ) はさみ,おしぎりなどは,てこのはたらきを応用した道具であることを知り,その使い方に慣れる。
エ ポンプのしくみとはたらきを調べる。
(ア) 吸い上げポンプや押し上げポンプを扱ったり,簡単なポンプを作ったりして,シリンダー・ピストン・弁・気室などのしくみとはたらきに気づく。
オ 温度の違いによる水の状態の変化を調べる。
(ア) 氷を溶かしたり,水を沸騰させたりして,水(液体)は氷(固体),水蒸気(気体)に変わることに気づく。
(イ) 水が凍るのは普通0°C,沸騰するのは普通100°Cであることを知る。
カ 温度の違いによる物の膨張・収縮を調べる。
(ア) 水・空気・金物などを熱したり冷やしたりして,物は暖まると膨張し,冷えると収縮する事実や,その度合いの違いに気づく。
(イ) 温度計は温度の高低によって,水銀やアルコールなどが膨張・収縮することを知る。
(ウ) 水が氷になったり,氷が水になったりするときには,体積が変わる事実に気づく。
(エ) 水を少量入れた試験管を熱して,試験管にはめたせんを飛ばし,水は水蒸気になると体積が著しく増すことを知る。
キ 乾電池とブザー(または電鈴)のつなぎ方による音の強さの違いを調べる。
(ア) 2個のブザー(または電鈴)を乾電池につなぐとき,直列・並列のつなぎ方によって,ブザー(または電鈴)の音の強さが違うことに気づく。
(イ) 2個の乾電池をブザー(または電鈴)につなぐとき,直列・並列のつなぎ方によって,ブザー(または電鈴)の音の強さが違うことに気づく。
(ウ) ブザー(または電鈴)の音の強さが違うのは,ブザー(または電鈴)を流れる電流の強さが違うからであることを知る。
(エ) 乾電池や電鈴などを使って,簡単な呼びりんなどをくふうして作ることができる。

(5) 自然物から,その成分を取り出すことができることを,操作を通して知らせるとともに,自然物に含まれている物質に気づくようにする。
ア でんぷんを取り,その性質を調べる。
(ア) じゃがいも・さつまいもなどのようないもには,でんぷんが含まれていることを知り,それからでんぷんを取り出すことができる。
(イ) でんぷんを水に入れて振ったり,これを熱したりして,でんぷんは水に溶けないが,これを暖めるとのりになることに気づく。
(ウ) でんぷん液によう素液を加えると青紫色に変わることから,でんぷんを確かめるには,よう素液を用いればよいことを知る。
(エ) パンやごはんなどに,よう素液をつけると青紫色に変わることから,これらの食物にはでんぷんが含まれていることを知る。
(オ) ごはんをかんでいると甘くなることから,でんぷんは,つばのはたらきで砂糖のなかまに変わることを知る。
イ 動植物から取ったあぶらの性質を調べる。
(ア) ごままたはあぶらななどの種子を押しつぶしてあぶらをしみ出させたり,豚肉などを熱してあぶらを取り出したりすることができる。
(イ) 水にあぶらを入れると,まじらないで上に浮くことから,あぶらは水に溶けないで,水より軽いことに気づく。
(ウ) あぶらの中にしんを立てて火をつけると,燃えることに気づく。
ウ たんぱく質の性質を調べる。
(ア) たんぱく質は,卵・肉・牛乳・だいずなどに含まれていることを知る。
(イ) たんぱく質を含んだものを焼くと,特臭を出して変化することに気づく。
(ウ) たんぱく質には熱したり,酢を加えたりすると固まるものがあることに気づく。
エ 食塩水を水と食塩とに分ける。
(ア) 食塩にごみがまじっているときには,これを水に溶かしてろ過し固形物と食塩水に分けることができるようになる。
(イ) 食塩水(または海水)を熱して水分を蒸発させ,食塩を取り出すことができることに気づくとともに,製塩法を知る。
(ウ) 食塩水を熱し,出てきた水蒸気を集めて冷やし,その水を味わって,食塩が含まれていないことに気づく。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容(1)のカ〔海辺の生物〕に関する学習は,海に遠くて,海辺の様子や生物の生態などの観察が困難な所では,入手できる海そうや貝などについての学習にとどめ,全般の学習は高学年のときに海に行く機会を利用するのもよい。
(2) 内容(2)の気温・地温・水温の観測結果の記録やその処理については,算数科で得た知識・技能をじゅうぶんに活用し,また,これによって表やグラフについての理解を深めることがたいせつである。
 また,温度を測るには,盲人用にくふうされた温度計を用いるようにし,それを正しく扱えるように指導することがたいせつである。
(3) 内容(3)のア(イ)〔川の流れの様子〕の学習は,糸の先に木片をつけ,そのひかれる力により流れの速さの違いに気づくなど,特別に考える必要がある。
 イ〔水のはたらき〕に関する学習は,第2学年の内容(2)のイ〔雨水のゆくえ〕の発展として扱い,また,かわらの石についても指導することがたいせつである。
(4) 内容(4)のウ〔てこ〕に関する学習は,第6学年の内容(5)のエ〔てこ〕との関連を考え,ここでは日常用いられる道具を使い,それを通して具体的な経験を得させて,てこの三点とそれにはたらく力について理解させる。三点間の数量的関係については,第6学年で扱うようにする。
(5) 内容(4)のカ(イ)〔温度計のしくみ〕に関する学習は,盲人用にくふうされた温度計のしくみを理解させるとともに,水銀またはアルコール温度計についても,そのしくみを簡単に知らせることが望ましい。
(6) 内容(5)のア〔でんぷん〕・イ〔あぶら〕・ウ〔たんぱく質〕は,(1)のケ〔食物と栄養素〕との関連を考えて指導することがたいせつである。
 (1)のア〔いもの栽培〕で収穫したいもは(5)のア〔でんぷん〕に利用することができる。
(7) 内容(5)のエ〔食塩水を水と食塩に分ける〕学習で,はじめてろ過という操作を用いる。操作に慣れさせるとともに,その意味についても理解させることがたいせつである。

〔第5学年〕
 1 目  標
(1) 身近な自然の事物や現象に対する興味を深め,観察・観測・実験などによって,事物や現象の間の関係を見つけようとする態度を養う。
(2) 自然の環境のなかにある問題を見いだし,解決の方法をいろいろ考えて事実に即して確かめ,処理できるようにする。
(3) 日常生活のなかで経験できる事実をもとにして,自然科学的な基礎的原理を理解し,これを生活にあてはめてみるように導く。
(4) 自然の事物や現象についての理解をもとにして,自然と人間との生活の関係に気づくようにし,自然を愛護しようとする気持ちを養う。

 2 内  容
(1) 観察・実験によって,生物の生活のしかたや育ち方などが生育の場所,食べ物や養分,温度などに関係のあることに気づき,さらに生物と人間の生活との関係を考察するように導く。また病源体・寄生虫についても理解させる。
ア いねを栽培して,その育ち方を調べ,環境との関係に関心をもつ。
(ア) もみのつくりを調べ,いねをよく育てるには,充実しているものを選ぶ必要のあることがわかり,選種のしかたを知る。
(イ) もみをまき,発芽したときの様子を観察し,芽の出方の特徴に気づく。
(ウ) いねの育ち方を観察して,株の分かれ方,花の咲く時期,花のつくりや開閉などを知る。
(エ) いね,むぎのほかにも,まつ・とうもろこしなどのように,こん虫のなかだちによらないで受粉するもののあることを知る。
(オ) 除草・施肥・水温や気温などが,いねの生育に関係することを知る。
(カ) いねは,ずいむしなどの害虫や病気におかされる場合のあることに気づくとともに,これらの害を防ぐ方法を知る。
イ 種子のつくり・発芽・伸び方を調べる。
(ア) だいずなどの豆を発芽させ,子葉が開きかけたとき,これをつみとると発育がおくれることから,子葉は養分がたくわえられていて,それが芽を出すのに役だつことを知る。
(イ) 発芽には適当な水分や温度が必要なことを知る。
(ウ) かき・そらまめのように,つくりの見やすい種子を観察して,種皮・子葉・はい乳などがあることや,それぞれのはたらきを知る。
(エ) 種子をはちにまき,明るい所や暗い所で育て,茎の伸び方や色,茎や根の伸びる方向などが,光に関係することを知る。
ウ 花と虫との関係やそれぞれのつくりを調べる。
(ア) ちょう・はちなどが花のみつを吸い,花粉を集める様子を知り,ちょうやはちが,その際に,受粉のなかだちをすることを知るとともに花のつくりと虫のからだのつくりとの関係を理解する。
(イ) 花には,かぼちゃのように雄花・雌花の別のあるのもあることを知るとともに,かぼちゃなどで人工受粉をしたり,受粉をさまたげたりして,花は受粉すると,めしべのもとがふくらみ,実となり,その中に種子ができることを知る。
(ウ) あぶらな・つつじ・たんぽぽなどの花びらの数・形・並び方などを観察して,それらのつくりの違いに気づき,それらのつくりには,それぞれよく似た花があることに気づく。
(エ) ちょう・がなどのからだのつくりを比較観察し,からだの区分や目・ひげ・はね・足などの共通点に気づき,これらがこん虫であることを知る。
 こん虫には,このほか多くの種類のあることを知る。
エ 魚のからだのつくり・習性・ふえ方を調べる。
(ア) 魚のからだの外形や,ひれの形や,つくり・泳ぎ方を観察したり,えら・うきぶくろなどの内部のつくりを観察したりして,からだのつくりが水中の生活に適しているところの多いことを知る。
(イ) 池や海などの水中には,みじんこ・ぞうりむし・けいそうなどの小さな生物がすんでいることを知り,これらが魚のえさになることを知る。
(ウ) いろいろな魚の種類や生活のしかたを調べて,魚には海にすむもの,川にすむものがあり,また生育の時期によって生活の場所を変えるものがあることを知る。
(エ) 近くの池や川の魚を採集したり,めだかなどのふやしやすい魚を飼育して,魚が卵から生まれて育っていく様子を観察するとともに,魚の養殖のしかたを知る。
オ 病原体と寄生虫の種類や人体にはいるまでの経路を知る。
(ア) 伝染病には結核・赤痢などがあり,病原体によって伝染すること,ならびにその経路を知る。
(イ) 病原体が体内にはいっても,必ず発病するものではないが,栄養の不足や,過労,不摂生などのためにからだが弱っているときには,発病しやすいことを知る。
(ウ) 人体の寄生虫には,回虫・ぎょう虫・十二指腸虫などがあり,健康に影響することに関心をもつ
(エ) 回虫や十二指腸虫の寄生経路を知り,検便の必要や,これの駆除・予防についての理解を深める。
(オ) 病原体は日光・熱・薬品などによって殺すことができることを知り,これを実行するように努める。
(カ) が・はえの一生の変化や生活の様子を知り,これをもとにして,駆除する方法を考えることができるようになる。

(2) 風の向きを測って,季節や場所による風の変化や特徴に気づくようにするとともに,風の向きや強さが日常生活と関係があることを知らせる。
ア 風の向きや強さを調べる。
(ア) 顔やからだにあたる風の様子で,風の強さの程度を知る。
(イ) 簡単な風向計を作って風の向きを測り,風向きは1日のうちでも変化することに気づくとともに風の向きや速さを正確に測るには,風向計,風速計を使うことを知る。
(ウ) 季節や場所(海岸・山あい)などによって,風が吹く向きやその変わり方に特徴があることに気づくとともに,風の向きや強さが日常生活と関係のあることを知る。
(エ) 風は空気の動きであることに気づくとともに,局地風の起こるわけを実験によって理解する。

(3) 地層をつくる岩石や,その中に含まれている化石や地下水などを観察して,岩石や化石に関心をもたせ,地層のでき方や変化について知らせる。
ア 地層を観察し,そのでき方に関心をもつ。
(ア) 地層を観察して,地層にはしま模様のあることに気づくとともに,地層は岩石や砂や粘土などからできていることを知る。
(イ) 地層は水や風などのはたらきによって,粘土や砂などが積もり,長い年月がかかってできたことを考えることができる。
(ウ) 地層の傾きなどを観察して,地層はできてから後にもち上がったり,傾いたりすることを知る。
イ たい積岩の種類や性質を調べ,その利用に関心をもつ。
(ア) 地層をつくるでい岩・砂岩・れき岩・粘板岩・ぎょう圧岩・石灰岩などの粒・かたさなどの特徴に気づくとともに,これらはたい積岩であることを知る。
(イ) 岩石はそれぞれの性質によって利用され,砂岩・粘板岩などは石材として,石灰岩は石灰・セメントなどの原料として使われることを知る。
ウ 化石を観察して,そのでき方に関心をもつ。
(ア) 化石を観察して,化石には貝や木の葉などがあることに気づくとともに,化石が地層に含まれてしることを知る。
(イ) 化石が過去の生物であることや,出てきた化石によって,その化石を含んでいた地層のできた当時の様子が,現在の様子と違っていたことを知る。
エ 泉や井戸を観察し,地下水に関心をもつ。
(ア) 粘土の上に盛った砂に水をかけ,粘土の層が水を通しにくいことから,泉や井戸水は雨水などが地中にしみこみ,地中の岩石や粘土の上にある砂などの中にたまった水であることを理解する。
オ 石炭や石油のでき方を知る。
(ア) 石炭・石油は地層の中にあって,これらが過去の生物から変化してできたものであることを知る。

(4) 太陽・地球・月の大きさや表面の様子,月の形の変化や動き,星や星座などを知らせるとともに,太陽・月・星の動く様子をもとにして,地球が自転していることや,昼夜のできるわけを理解させる。
ア 月の形の変化や動きに関心をもつ。
(ア) 月は,三日月,半月,満月など,いろいろの形に見えるが,一つのまるいものであることを知る。
(イ) 月は東から出て西に移るが,毎日その形が少しずつ変わっていくことを知る。
イ おもな星と星座に関心をもつ。
(ア) 星や星座にはいろいろあって,季節によって星や星座はいつも同じではないことを知る。
(イ) 北極星は方角を知るのに役だつことを知る。
ウ 地球の自転と昼夜のでき方を理解する。
(ア) 太陽・月の表面のありさまを知り,太陽・月の光り方,表面の様子などに違いのあることを知る。
(イ) 月は太陽の光を反射して光っていることを知る。
(ウ) 太陽は月とほぼ同じ大きさに見えるが,月よりも大きくて,遠くにあることを知る。
(エ) 北の空の星は,北極星のまわりを回っているように見えることや,そのほかの星も時間がたつにつれて,位置が変わっていくことを知って,星も太陽や月と同じように,1日たつとだいたいもとの位置に見えることを知る。
(オ) 太陽・月・星の1日の見かけの運行の事実から,地球は自転していることを知る。
(カ) 海岸に近づく船が帆柱から見え始めることなどから,地球が球形であることを知る。
(キ) 太陽は自転している地球の半分を照らすために,昼夜ができることを理解する。

(5) 摩擦・すわりや,音・熱・電気などについての身近の諸現象や,簡単な道具や機械について,観察や実験を通して,その初歩的な原理やしくみ・はたらきに気づくようにする。
ア 物の運動に伴う摩擦の大小と,その利用について調べる。
(ア) 机の上に置いた本やいろいろな物を,押したり引いたりして動かし,物が運動しているときには,接触している面に,その運動をさまたげる力がはたらくことを知る。
(イ) 同じ物を木やガラスなどの板の上で動かし,面のなめらかさによって摩擦に大小のあることに気づく。
(ウ) 物を動かすとき,接触面にろうや油を塗ったり,ころや車を使ったりすると,運動をさまたげる力が小さくなることを,ぜんまいばかりなどを使って確める。
(エ) 身のまわりの道具や機械には,べアリングやブレーキなどのように,使う目的によって摩擦を小さくしたり,大きくしたりするくふうがされていることを理解する。
イ 物のすわりのよしあしを調べる。
(ア) おきあがりこぼしを作り,それにつけるおもりの位置や重さを変えて,その動きを観察し,おもりの位置や重さによって,起き上がり方に違いのあることに気づく。
(イ) あき箱(直方体)などの内部につけたおもりの位置を変えたり,また,底の広さの違う箱を使ったりして,箱を少しずつ傾けて,その倒れ方を調べ,すわりのよしあしが,おもりの位置や重さ,底の広さに関係のあることを理解し,いろいろな物のすわりに関心をもつ。
ウ 音の高低と強弱を調べる。
(ア) 音が,弦・膜・棒などの振動によって出ることを,実験によって理解する。
(イ) 簡単な琴を使って,弦の長さ・太さ・張る強さの違いによって,音の高低の違いができることを理解する。
(ウ) 琴の弦をはじいたり,太鼓をたたいたりなどして,音の強弱は振幅の大小に関係することを理解する。
エ 音の伝わり方や進み方を調べる。
(ア) 真空の中では音が伝わらない事実などから,空気が音を伝えることを理解する。
(イ) 水や金属なども,音を伝えることを知る。
(ウ) 音は物に当たってはねかえったり,まわりのものに吸収されることを実験によって理解する。
オ 熱の移り方にはいろいろあることを調べる。
(ア) 温度の高いものと低いものを触れさせると,両方の温度が変わることから, 熱が温度の高いところから低いところへ移ることを知る。
(イ) 金物などの一部を熱して,熱が物を伝わって移ることに気づき,物によって熱をよく伝えるものと,伝えにくいものがあることを理解する。
(ウ) 水や空気の一部を熱して,その動きを調べ,熱が水や空気の動きに伴って移ることを理解する。
(エ) 太陽からの熱や,ストーブなどのそばで受ける熱は,中間の空気を暖めないで直接物に移ることを知り,黒い物は白い物より暖まりやすい事実に気づく。
(オ) 日常生活には,熱の移り方をうまく利用しているもののあることに気づく。
カ 電磁石のはたらきを調べ,利用の方法をくふうする。
(ア) 簡単な電磁石を作り,電流を通じると磁石としてはたらき,電流を断つとはたらかなくなることを確かめる。
(イ) 電磁石は,導線を多く巻いたり,電流を強くしたりすると,磁力が強くなることを理解する。
(ウ) 電磁石は,巻線に流れる電流の向きによって,極が変わることを確かめる。
(エ) 電信機やブザー・電鈴などには,電磁石が利用されていることを知り,それらのしくみやはたらきを理解する。
(オ) 電磁石を使った簡単な電信機やブザー(または電鈴)などをくふうして作ることができる。

(6) 日常生活に関係の深い燃焼,せっけんのはたらき,酸性・アルカリ性の物質などの性質を実験により調べ,それらの性質や変化を理解させる。
ア 火の起こし方と消し方を調べる。
(ア) こんろで火を起こし,物が燃えるには空気が必要なことに気づき,じょうずな火の起こし方をくふうする。
(イ) 燃えているまきや木炭を火消しつぼに入れたり,水をかけたりすると火が消えることから,火を消すには空気を断ったり,温度を下げたりすることが必要であることを理解する。
イ 酸素と二酸化炭素をつくり,その性質を調べる。
(ア) 酸素を発生させ,その中に燃えているものを入れると,空気中よりはげしく燃えることを知る。
(イ) 空気の中には,酸素のほかに窒素が含まれていることを知る。
(ウ) 口の広いびんの中でろうそくや炭火を燃やし,消したあとに石灰水を入れて振ると,白濁する事実を知る。
(エ) 石灰石・炭酸水素ナトリウム(重そう)または貝がらなどに塩酸を作用させて,二酸化炭素を捕集し,空気より重い気体であること,その中では物が燃えないこと,石灰水を白濁することを知り,二酸化炭素の検出法がわかる。
(オ) 二酸化炭素は水に溶け,その液は青色リトマス紙を赤く変えることを知る。
ウ 燃料の種類と燃え方を調べる。
(ア) 燃料にはいろいろの種類があり,燃料によって燃え方に違いのあることに気づく。 (イ) 木片を試験管でむし焼にすると,燃える気体が出て,あとに木炭ができることに気づく。
(ウ) 木炭・れん炭などが燃えるとき 一酸化炭素ができることがあり,この気体は有毒であることを知る。
(エ) アルコールランプとろうそくなどで,炎の様子を比較観察して,温度・すすのつき方は,燃える物や炎の部分によって違うことに気づき,炎は気体が燃えていることを知る。
エ せっけんのはたらきを調べる。
(ア) ま水・食塩水などにせっけんを入れてよく振ると,食塩水のほうはせっけんが溶けにくく,あわだちの悪いことに気づく。
(イ) せっけん水とま水に油を落としてよく振り,その変わり方を比較し,せっけん水は油を細かい粒に分けることを知る。
(ウ) せっけん水とま水に,すすを加えてよく振り,その変化を比べ,せっけん水はすすを細かく分ける性質のあることを知る。
(エ) せっけん水とま水の液面に毛糸や毛織物を浮かべ,せっけん水のほうが毛糸や毛織物の間に速くしみこむ性質のあることに気づく。
オ 酸性・アルカリ性の物質と,中和について調べる。
(ア) なつみかんのしる・酢・うすい塩酸などは酸味があり,青色リトマス紙を赤く変えることを知り,これらのものは酸性であることを知る。
(イ) 木灰の上澄み液・アンモニア水・石灰水や,水酸化ナトリウム・せっけんの水溶液などは赤色リトマス紙を青く変えることを知り,これらのものは,アルカリ性であることを知る。
(ウ) 蒸留水・砂糖水・食塩水などは中性であることを知る。
(エ) 水酸化ナトリウムの水溶液と塩酸を適当な割合で混ぜると,中和して中性になり,その水分を蒸発させると食塩ができることを知る。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容(1)のア〔いねの栽培〕は,都会地においても,その栽培規模の大小は問わず,できるだけ内容に示したような経験を得させることが望ましい。
 このような場合には,見学または視聴覚資料の活用によって,理解を助けたり,深めたりすることができる。
(2) 内容(1)のオ〔病原体と寄生虫〕については体育科との関連を,(6)のア〔火の起こし方〕・ウ〔燃料〕・エ〔せっけん〕については,家庭科との関連をじゅうぶん図る必要がある。これらについては,理科では体育科や家庭科の学習の基礎となる事項を取り上げることをたてまえとしている。
(3) 内容(3)のオ〔石炭と石油〕は,炭田・油田地方以外の一般の地域では,(6)のウ〔燃料〕と合わせて学習する程度に考えてよい。
(4) 内容(4)〔太陽・地球・月〕については,太陽の動きをもとにして,くふうされた模型を使用して理解させることが望ましい。
(5) 内容(6)のエ〔せっけんのはたらき〕に関する学習において,せっけん以外の洗剤をも取り上げることは望ましいが,ここではせっけんのはたらきを主として理解させることがたいせつである。
(6) 内容の文中「理解する」とあるのは,児童の活動と教師の指導によりじゅうぶん納得し,さらにこうして得られた知識が他の場合にもはたらくようになることをさしてしる。このことは第6学年においても同様である。

〔第6学年〕
 1 目  標
(1) 身近な自然の事物や現象に対する興味を深め,観察・観測・実験などによって,広く事物や現象を関係的に見たり考えたりして,自然をいっそう深く見ようとする態度を養う。
(2) 自然の環境のなかにある問題を見いだし,これを分析したり,総合したりして考察することに慣れさせ,筋道の通った考え方でくふう・処理することができるようにする。
(3) 日常生活のなかで経験できる事実をもとにして,自然科学的な基礎的原理を理解し,これを生活のうえにあてはめ,合理的な生活を営もうとする態度を養う。
(4) 自然と人間の生活との関係について理解を深め,自然の資源を保護する方法を考え,さらに進んでこれを利用することに関心をもたせる。

 2 内  容
(1) 観察・実験によって生物のつくりやはたらきを知り,生物はそれぞれ生命を保つにつごうよくできている事実や,生物は互いに関係して生活している事実に気づくように導く。
 また,人のからだのしくみとはたらきについて知らせ,からだの各部が互いに関連してはたらいていることを理解させる。
ア 植物の根・茎・葉のおもなつくりとはたらきを調べる。
(ア) 植物には主根・枝根やひげ根などのあることに気づき,根のはたらきを知る。
(イ) 発芽しただいこんなどの根を観察して,根毛のあることに気づき,根毛のはたらきを知る。
(ウ) 茎は水分や養分の通り道であることを知る。
(エ) 植物は葉から水を蒸散している事実に気づき,気孔のはたらきを知る。
(オ) 葉や茎の表面の薄い皮は,いくつかのくぎりからできていて,その一つ一つが細胞であることを知る。
(カ) 緑の葉にはでんぷんのできること,その場合に日光が関係することを知る。
イ 森林の生物について相互の関係を調べ,森林の保護に関心をもつ。
(ア) 森林には,日なたに育つ高木や,日かげにも育つ低木のあることに気づく。
(イ) 樹木の切り口を観察して年輪のある事実に気づき,樹木は春・夏ごろよく育ち,秋・冬にかけて育ちの悪くなることを知る。
(ウ) 森林の中では,すぎ・ひのきなどが,まっすぐ上に伸びている様子を観察するとともに,ふじなどのような草木のつるが樹木に巻きつくと樹木の成長をさまたげることがあることを知る。
(エ) 繁茂した樹木の陰には,日かげに育つしだなどの植物がはえていることや,下草やこけと森林の樹木とは互いに関係しあって育つことを理解する。
(オ) 森林は鳥・獣などのよいすみかとなること,樹木を食害する虫を鳥が捕食することなどを理解して,生物の間のつながりを知るとともに,野鳥の保護に関心をもつ。
(カ) 森林が大水・風・土砂くずれ・雪の害などを防ぐに役だつことから,植林や森林保護の必要を知る。
ウ きのこやかびの種類やふえ方を調べる。
(ア) きのこの種類やはえている場所を調べ,きのこには食用になるものや,毒があって食用にならないものがあることを知る。
(イ) まつたけ・しいたけなどのようなきのこには,柄とかさがあり,かさの裏面にはひだのあることに気づく。
(ウ) きのこは胞子によってふえることを知る。
(エ) しいたけのようなきのこの栽培のしかたから,きのこの育つ様子を知る。
(オ) かびも胞子によってふえることを知る。
(カ) かびにはいろいろな種類があり,こうじかびなどのように利用できるものや,くろかびのように腐敗の原因となるものなどがあることを知る。
エ 人体のつくりやはたらきを調べ,健康に関心を深める。
(ア) からだを動かしたり,模型・標本などで調べたりして,筋肉や骨のしくみとはたらきを知る。
(イ) 食物は口・胃・腸を通る間に細かく砕かれたり,消化液がまじったりして,消化・吸収されることを知る。
(ウ) 血液は心臓から押し出され,血管を通ってからだの各部に養分と酸素を送り,そこから不用なものを取り去ることを知る。
(エ) 肺臓は空気中から酸素を取り,二酸化炭素を出して,血をきれいにするはたらきをすることを知る。
(オ) 尿や汗は,体内に不用になったものが体外に出されるものであることや,汗には体温を調節するはたらきもあることを知る。
(カ) 目・耳のつくりやはたらきを知る。
(キ) 人のからだには病気を防いだり,病気にかかっても自然に直したりする力が備わっていることを知るとともに,予防接種などはこの力を強め,病気の予防に役だつことを知る。

(2) 空気の湿り気や降水量などについて理解させ,これらが人の生活に深い関係があることに関心をもたせる。
ア 空気の湿り気を調べる。
(ア) 器に入れた水が自然になくなることなどから,川・池・海などの水面や地面から,絶えず水が蒸発していることを知る。
(イ) 冷たい水を入れたコップの表面に,細かい水滴がつくことから,空気中には水蒸気のあることに気づく。
(ウ) 空気の湿り気は,空気中に含まれる水蒸気の量に関係のあることを知る。
(エ) セロハンなどで湿り気を測る道具を作り,湿り気が量的に測れることを知るとともに,湿り気を測って,それが天気によって違いがあり,日常生活にも関係があることに気づく。
イ 雨量や積雪量を調べる。
(ア) 霧は水滴の集まりであり,雲は水滴や氷片の集まりであることを知るとともに,雲の発生は降雨・降雪の原因となることがわかる。
(イ) 雲の高さ・形・種類などを知り,その変化は天気の変化に関係があることを知る。
(ウ) 雨量は,たまった水の深さで測ることを知り,簡単な雨量計を作って雨量を測るとともに,雨量は日常生活や産業に関係があることに気づく。
(エ) 積雪量の測り方を知るとともに,積雪量の多少が人の生活に関係深いことを理解する。
(オ) 降雨や降雪の量は,季節や土地によって違いのあることを知る。

(3) 火山活動や岩石,鉱物に関心を深め,火成岩やこれをつくる鉱物などを観察させて,その特徴に気づくようにするとともに,地かくが岩石によってできていることを知らせる。
ア 火山に関心をもち,火成岩のおもな種類や性質,利用のしかたを調べる。
(ア) 火山には気体や灰や溶岩などを噴出するものがあることを知る。
(イ) 温泉は,地下から熱い湯がわき出したもので,火山地域に多いことを知る。
(ウ) 花こう岩,安山岩などを観察して,粒・かたさなどを知るとともに,これらが火成岩であることを知る。
(エ) 花こう岩,安山岩などは,石材として利用されていることを理解する。
(オ) 火成岩とたい積岩とを比較して,火成岩にはたい積岩と違う性質のあることを知る。
(カ) 岩石には火成岩やたい積岩などがあり,これらの岩石によって地かくができていることを知る。
イ いくつかの鉱物の性質を調べ,その利用に関心をもつ。
(ア) 花こう岩は石英・長石・雲母などの鉱物からできていることを知り,これらの鉱物には,形・色などに違いがあることを知る。
(イ) 水晶や方解石などの鉱物の形を観察したり,ガラス・小刀などでかたさを比べたりして,その違いに気づく。
(ウ) 黄鉄鉱・黄銅鉱または方鉛鉱などの金属鉱物を観察して,形・かたさなど,これらの鉱物にはそれぞれ特徴があることを知るとともに,鉱物には金属を取り出すことができるものがあることを知る。

(4) 太陽の見かけの運行に興味をもち,観察や調査などによりその周期的変化に気づき,季節はこの周期的変化に関係して起こることや,地球は自転しながら公転していることを知る。
ア 太陽の運行を観測し,季節の変化の起こるわけを調べる。
(ア) 日の出・日の入りの方位や時刻,南中の太陽の高度などを調べ,太陽の運行を正しくとらえることができる。
(イ) 立木や建物などの影を時刻を変えて調べ,太陽の高度や方位を知ることができる。
(ウ) 春分・夏至(げし)・秋分・冬至の日の,日の出・日の入りの方位・時刻,南中の太陽の高度,昼夜の長さなどを調べ,これらの違いに気づくとともに,季節による移り変わりを知る。
(エ) 季節の変化の起こる理由に関心を深め,その理由について考え,地球は自転しながら太陽のまわりを回っていることを知る。

(5) ばね・振り子・てこ・滑車・電燈・モーターなどのような身近な道具や機械のはたらきを数量的,分析的に調べて,それに関係する原理をつかむようにし,これらの道具や機械を合理的に使えるように導く。
ア 振り子の振れ方を調べる。
(ア) ぶらんこの振れ方の実験をしたりして,振り子の振動する時間は,振り子の長さに関係するが,振幅やおもりの重さには,ほとんど関係しないことに気づく。
(イ) 振り子はとけいに利用され,正しい時をきざむのに役だつことを知る。
イ ばねのはたらきを調べる。
(ア) ゴムひもや,つるまきばねの伸び方は,それにはたらく力の大きさに関係することを数量的に調べて理解する。
(イ) ぜんまいばかりで物の重さを測ったり,そのぜんまいを手で引いてみたりして,物の重さを力の大小で考えることができる。
(ウ) ばねやゴムは,これをおし縮めたり引き伸ばしたりすると,もとにもどろうとする力がはたらき,また,急に力がかかるとき,ばねやゴムを間に置くと,力が弱められることを理解するとともに,身のまわりには,これらを利用した道具や機械があることに気づく。
ウ 歯車やベルトのはたらきを調べる
(ア) 自転車や,とけいなどの機械について,歯車によって力が伝えられていることを理解する。
(イ) かみ合っている二つの歯車の回転の向き,回転数などについて理解する。
(ウ) べルトは二つの車をつないで力を伝え,車の大きさが違うとその回転数が違い,ベルトのかけかたによって回転の向きが変わることを理解する。
(エ) チェーンは,二つの歯車をつないで力を伝え,歯車の大きさが違うと,その回転数が違うことを理解する。
エ てこ・輪軸・滑車のはたらきを調べる。
(ア) てこについて,三点間の距離と,はたらく力の関係を数量的に調べ,力の大小や方向について理解する。
(イ) 輪軸のはたらきを,てこの原理によって理解する。
(ウ) 歯車を使うと,力の方向や,大きさを変えてはたらかせることを理解する。
オ モーターのしくみとはたらきを調べる。
(ア) 界磁に永久磁石を使った簡単なモーターを作り,電機子は電磁石の一種であって,整流子は電機子に流れる電流の向きを変えるはたらきをすることを理解する。
(イ) モーターの回るわけを磁石の性質によつて理解する。
カ 電流の発熱作用を調べる。
(ア) 同じ長さ,同じ太さの質の違う針金(銅線と電熱線のように)を直列につなぎ,電流を通ずると,電気が流れにくい線の部分が発熱しやすいことを確かめる。
(イ) 電熱器では電熱線によって,電球ではタングステン線によって,電流を熱や光に変えていることを理解する。
(ウ) 電熱器や電球では,電熱線やタングステン線の太さや長さを変えて,それに流れる電流の強さを変え,熱や光の出方が違うようにくふうされていることを理解する。
キ 家庭の電気の配線や,電気器具の安全な扱い方を理解する。
(ア) スイッチ・コード・ソケットなどのしくみ・はたらきを理解して,これらを回路に正しくつなぐことがでぎるようになる。
(イ) 屋内配線のしかたを知り,安全器・ヒューズなどのはたらきを理解する。
(ウ) 家庭の電気器具を安全に扱えるようになる。

(6) 日常用いられる金属や繊維の性質を調べ,金属や繊維にはいろいろあり,それぞれ特性があることを理解させ,それに応じた扱い方ができるようにする。
ア 鉄・銅・アルミニウムなどの特性を調べる。
(ア) 鉄・銅・アルミニウムなど日常多く使われる金属の色の違いを知り,小刀やガラスなどでこすってかたさを比べたり,同じ体積の重さを比べたりして,それぞれ性質が違うことに気づく。
(イ) いろいろな金属の針金や箔(はく)を観察して,それは金属の伸びたり広がったりする性質を利用したものであることを知る。
(ウ) 縫い針を使って,焼き入れや焼きもどしをし,かたさが変わることに気づき,その性質が刃物などに利用されていることを知る。
(エ) よくみがいたくぎを,空気中や水気のあるところに置いたり,これを熱したりして,それらの表面のさびる様子に違いのあることを知り,鉄のさびに黒さびと赤さびのあることを知る。
(オ) ろくしょうは銅を水分の多い所に長く置くとできることや,ろくしょうは有毒であることを知る。
(カ) 鉄を酸性の液に入れたり,アルミニウムを酸性・アルカリ性の液に入れたりすると溶けることに気づき,そのとき出てくる気体が水素であることを知る。
(キ) 鉄や銅にめっきしたものや,油・塗料を塗ったものを,そのままの鉄や銅などといっしょに水気の多い所に置き,さびる様子を比較観察してさびを防ぐ方法に気づく。
イ はんだを作り,合金の性質を調べる。
(ア) 鉛とすずを混ぜて熱すると,溶けあうことに気づき,それがはんだであることを知る。
(イ) はんだはもとの鉛やすずよりも溶けやすいことに気づき,はんだづけをすることができるようになる。
(ウ) 合金の中には,黄銅のように色を美しくしたり,ジュラルミンのようにかたくしたり,ステンレススチールのようにさびにくくしたりしたものがあることを知る。
ウ いろいろな繊維について,その性質を調べる。
(ア) いろいろな糸や布を調べて,それらには動物から取ったもの,植物から取ったもの,合成したものなどがあることを知る。
(イ) いろいろな糸や日本紙を調べて,それらが繊維からできていることや,それらの繊維は形状に違いのあることを知る。
(ウ) 毛織物・綿織物・ナイロン製品など,またはそれらの糸を熱したり,酸性・アルカリ性の液に入れたりして,繊維には,熱や薬品によって変化を受けやすいものと,受けにくいものがあることに気づき,正しい扱い方を考える。
(エ) 紙は植物の繊維を加工して作ったものであることを知る。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容(1)のイ〔森林の生物〕に関する学習において,近くに森林のない地域では,海の遠い地域での海に関する学習の場合と同様に,できるだけ森林に行く機会をつくって,この内容に示したような経験を得させることが望ましい。
(2) 内容(5)のア〔振り子〕・イ〔ばね〕・ウ〔歯車〕・エ〔てこ〕については,数量的に実験して理解させる必要がある。ことにイ〔ばね〕・エ〔てこ〕については,算数科で得た知識・技能をじゅうぶんに活用し,また,この学習を通して,比例についての理解を深めることがたいせつである。
(3) 内容(6)のア〔金属の性質〕の学習にあたっては,既習の第3学年の内容(3)のキ〔ブザーの鳴らし方〕,第5学年の内容(5)のオ〔熱の移り方〕で学習した金属の性質を思い起こさせ,この学習と相まって金属の性質がまとまるように導く。
(4) 内容(1)のエ〔人体〕については体育科との関連を,(6)のウ〔繊維〕については家庭科との関連をじゅうぶん図ることがたいせつである。

第3 指導計画作成および学習指導の方針
1 内容にあげた各事項は,いずれも学校の指導計画に含まれ,指導されることを原則とするものであるが,各事項のまとめ方や順序はこれによる必要はない。学校において,盲児童の特性や視力およびその他の視機能の障害の状態を考慮の上,適切な組織・順序をもった指導計画を立てて指導する必要がある。
2 学校の指導計画作成にあたっては,児童の能力や経験,児童が見いだした疑問や問題,教師の指導目標などを考慮して,全体をいくつかのまとまりに組織することが望ましい。
3 内容中(ア),(イ),(ウ)などの事項においては,内容の程度や望ましい学習活動を示してある。学習指導にあたっては,その地域の実情や学校の施設・設備などに応じ,適切な方法により,そのねらいを達成するように努めることがたいせつである。
4 内容中にあげた生物の種名や岩石名などは,その例を示したものであるから,地域の生物や地質などを考慮して,それを学習に生かすようにし,また季節や地域の気象・行事などとの関連に留意し,適切な時期に観察・実験・飼育・栽培などができるように計画する必要がある。
5 児童の発達段階に応じ,その興味関心を発展させ,児童の経験のしかたや度合い,実生活との結びつきを重んじて,つとめて身近な具体的な事物・現象からはいり,実証的,研究的な態度で学習させるようにすることがたいせつである。
6 全感覚を活用して,できるだけくふうして広く観察・実験を行なうことが必要であって,観察・実験を行なわないで,単に知識にのみ偏することのないようじゅうぶん留意することが必要である。
7 観察・実験にあたっては,論理的思考の発展,特に順序をふんだ技能の習熟に努めることはもとより,習得した知識の整理や結論の確認にじゅうぶん時間を予定して指導するように留意する必要がある。また,盲児童の特性をじゅうぶんに考慮して,特別の方法をくふうして適切に指導することがたいせつである。
8 学習指導にあたっては,これまでの児童の経験をもとにして動機づけに力を入れ,ものごとを分析的,論理的に追究する態度を養うことを重んずるとともに,全体的,直覚的につかむしかたを重視することがたいせつである。
9 学習の環境を整備し,自然の事物や現象に接する機会をできるだけ多くしたり,観察・実験に特別のくふうをこらしてたやすくできるようにしたりして,児童の自主的,積極的な学習態度を助長するように指導することが望ましい。
10 観察・観測・飼育・栽培などを継続して行なうために,必要に応じ指導の単位時間を分割したり,野外調査などのために,半日ないし一日,理科の時間をまとめたりして指導してもよい。
11 盲児童の特性をじゅうぶん考慮して事故の防止に留意する。野外観察・実験などにあたり,不注意あるいは,無意識な動作,好奇心による行動,扱い方を理解しないで操作することなどから,けがをしたり,機械器具を破損したりすることを理解させ,理科の時間ばかりでなく,日常生活においても科学的な考え深い行動をとる習慣をつけるように指導することがたいせつである。


 
第5節 音   楽

第1 目  標

1 音楽経験を豊かにし,音楽的感覚の発達を図るとともに,美的情操を養う。
2 すぐれた音楽に数多く親しませ,よい音楽を愛好する心情を育て,音楽の美しさを味わって,聞く態度や能力を養う。
3 歌を歌うこと,楽器を演奏すること,簡単な旋律を作ることなどの音楽表現に必要な技能の習熟を図り,音楽による創造的表現の能力を伸ばす。
4 音楽経験を豊かにするために必要な音楽に関する知識を,鑑賞や表現の音楽活動を通して理解させる。
5 音楽経験を通して,日常生活にうるおいや豊かさをもたらす態度や習慣を養う。

 上に掲げた音楽科の目標は,相互に密接な関連をもつものであるが,目標1は,音楽科で指導すべき総括的な目標である。したがって,各学年における具体的な学習が,主として目標2,3および4のいずれにかかる場合においても,音楽科の特性上,常に,その指導の根底には,目標1が考慮されなければならない。目標2,3および4は,それぞれ鑑賞力,創造的表現力および知的理解についてその目標を掲げたものであるが,各学年における具体的な学習においては,これらのねらいが有機的に結びつけられるとともに,目標5との関連が考慮されなければならない。
 次に示す各学年の目標は,それぞれの学年において指導すべき鑑賞と表現(歌唱,器楽および創作)の領域に即して,その学年としての指導のねらいを具体的に掲げたものであるから,教科の目標のそれぞれに対応してはいないが,実際の指導にあたっては,教科のすべての目標の達成を目ざすようにする。
 また,各学年の目標は低学年では,まず明るく楽しい学習をさせ,主として感覚的な側面に重点をおいて指導し,高学年に進むにつれて,音楽を聞くこと,歌を歌うこと,楽器を演奏すること,簡単な旋律を作ることなどの態度や能力を伸ばし,楽譜などに対する初歩的な理解を与えて自主的,創造的な学習ができるようにするというねらいのもとにそれぞれ示したものである。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
 1 目  標

(1) 音楽を聞くことに興味をもたせ,身体反応を伴った鑑賞活動を通して,音楽的感覚の芽ばえを伸ばす。
(2) 聴唱法による歌い方に慣れさせ,基礎的な歌唱技能を身につけさせる。
(3) 身体の動きを通したリズム表現や,リズム唱,階名唱などの活動を通し,感覚的な面から読譜能力の素地を養う。
(4) リズム楽器の奏法に慣れさせるとともに,旋律楽器にも親しませ,リズム楽器による基礎的な合奏技能を身につけさせる。
(5) 即興的に音楽表現をすることに興味をもたせ,創造的に表現する能力の素地を養う。
(6) 愛好曲を身につけさせ,明るく楽しい学校生活ができるようにする。

 2 内  容
A 鑑  賞
(1) 楽しく聞く態度を養う。
ア 自由に身体反応をしながら聞く。
イ 明るくリズミカルな音楽を聞く。
ウ 描写音楽を,場面や情景を想像しながら聞く。
エ 聞いた歌や音楽の主題を口ずさむ。
(2) 静かに聞く習慣を養う。
ア 先生や友だちの歌や演奏を静かに聞く。
イ 放送やレコードなどの音楽を静かに聞く。
(3) 音楽的感覚の芽ばえを伸ばす。
ア 二拍子および三拍子を感じとる。
イ 身体反応(遊び)を通して,フレーズを感じとる。
ウ 音楽を聞いて,和声の美しさを感覚的につかむ。
(4) 楽器の特徴を理解させ,その楽器のもつ特有の音色を聞き分ける能力を養う。
ア リズム楽器類(木琴を含む。),らっぱ類,バイオリンおよびけん盤楽器の音色に親しむ。
(5) 演奏形態について理解させる。
ア ひとりで演奏すること(独唱や独奏)と大ぜいで演奏すること(せい唱や合奏)の違いに気をつけて聞く。
(6) 愛好曲をもたせる。
ア なるべく違う種類,違う演奏形態の音楽を,次の3曲を含め.年間8曲以上聞く。
 「おもちゃの兵隊」(イエッセル),「森のかじや」(ミヒアエリス),「ガボット」(ゴセック)

B 表  現
(歌 唱)
(1) 楽しく歌う態度を養う。
ア 聴唱法で歌う。
イ みんなといっしょに歌う。
ウ ひとりで歌う。
エ 自由な身体表現をしながら歌う。
オ 歌詞の内容を理解し,気持ちをこめて歌う。
(2) 基礎的な歌唱技能を身につけさせる。
ア よい姿勢で歌う。
イ どならないで歌う。
ウ はっきりした発音で歌う。
エ その曲を最も美しく表現できる速さと強さで歌う。
オ リズムや音程を正しく歌う。
カ 伴奏を聞きながら歌う。
キ 歌い出し,息つぎ,フレーズのくぎり方および歌い終わりを正しく歌う。
(3) 読譜の基礎能力を養う。
ア リズム唱,リズム打ちおよび拍子打ちに慣れる。
イ 簡単な旋律の階名模唱をする。
ウ 習った歌をなるべく多く階名暗唱する。
エ 音の高低,強弱を身体表現しながら歌詞や階名で歌う。
(4) 愛唱歌を身につけさせる。
ア 習った歌をそらで歌う。
イ 次の各項に該当する歌曲を,(カ)に示す3曲を含め,聴唱によって年間最低17曲歌う。
(ア) 曲態は単音の歌曲。
(イ) 調は長調,短調および日本旋法のもの。
(ウ)
   で,リズムの単純なもの。
(エ) 音域は
(オ) 歌詞は口語体で平易なもの。
(カ) 文部省著作の「かたつむり」,「月」,「日の丸」

(器 楽)
(1) 楽しく演奏する態度を養う。
ア 歌ったり聞いたりしながら,手を打ったり,リズム楽器を打ったりする。
イ リズム遊びをしながらリズム楽器を打つ。
(2) リズム楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア よい姿勢,正しい持ち方で打つ。
イ その楽曲を最も美しく表現できる速さと強さで打つ。
ウ 大太鼓,タンブリン,トライアングル,鈴およびカスタネットなどのリズム楽器の奏法に慣れる。(小太鼓,シンバルおよび拍子木などを含めてもよい。)
(3) 旋律楽器に親しませる。
ア 木琴でリズム奏をしたり,簡単な旋律をさぐりびきする。(鉄琴を加えてもよい。)
イ ハーモニカでリズム奏をしたり,簡単な旋律をさぐり吹きする。
ウ オルガンで,ごく簡単な旋律をさぐりびきする。
(4) 合奏の基礎技能を養う。
ア 歌曲教材を編曲した簡単な曲を,年間3曲以上,リズム楽器で合奏する。
イ リズム楽器で次の基本リズムを打つ。
  

ウ フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。
(5) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

(創 作)
(1) 創造的に表現する意欲を育てる。
ア その音楽の気分や楽しさを感じながら,歌ったり楽器をひいたりする。
イ 音楽に合わせて創造的に身体表現をする。
(2) 即興的に音楽表現をする能力を養う。
ア 動物の鳴き声,物売りの声,または呼び声などを模倣する。
イ 周囲の物音のもつリズムを模倣する。
ウ 即興的に簡単なことばで歌問答をする。

 3 指導上の留意事項
(1) この学年では,盲児童の家庭から学校生活への環境の変化を考慮し,豊かな音楽経験をさせて,まず,明るく楽しい学校生活を営ませるようにする。
(2) 音楽科では一般に,学習のひん度を多くするほうが効果的である。特にこの学年では,前項の趣旨を生かすためにも,1回の指導時間をたとえば20分とか25分などにし,つとめて毎日音楽の学習ができるようにくふうすることが望ましい。
(3) 鑑賞,表現のいずれの場合にも,特に身体の動きを伴った学習をさせることが望ましい。
(4) 鑑賞(1)のウは,話し合いなどにより理解を助けるとともに,ふんい気を感じとらせるようにする。
(5) 歌唱(2)のア「よい姿勢」については,個人指導によって歌唱の妨げとなる姿勢(前かがみ,ねこ背,あごを前につき出すなど)をきょう正すること。
(6) 歌唱(3)のエについては,音の高低に応じて手を上げ下げさせたり,音の強弱に応じて手を強く弱く打ったりするのもよい。
(7) B(器楽)の(3)に掲げた,ハーモニカとオルガンについては,この学年では,それらの楽器に親しませる程度で,本格的な指導は第2学年からでよい。
(8) 創作(1)のイは,盲児童は創造的に身体表現をする経験に乏しいから,身体表現のいくつかの動作をあらかじめ指導しておくこともよい。

〔第2学年〕
 1 目  標
(1) 楽しく静かに聞く態度や習慣を養うとともに,身体反応を伴った鑑賞活動を通して,音楽的感覚,特にリズム感を伸ばす。
(2) 聴唱法による歌い方にいっそう慣れさせ,基礎的な歌唱技能を身につけさせる。
(3) 階名唱やリズム唱にいっそう慣れさせ,読譜能力の素地を養う。
(4) リズム楽器および簡単な旋律楽器の奏法に慣れさせ,旋律楽器を加えた合奏ができるようにする。
(5) 即興的に音楽表現をしようとする意欲を伸ばし,創造的表現の基礎能力を養う。
(6) 愛好曲を身につけさせ,明るく楽しい学校生活ができるようにする。

 2 内  容
A 鑑  賞
(1) 楽しく聞く態度を養う。
ア 自由に身体反応をしながら聞く。
イ 明るくリズミカルな音楽のほかに,静かで美しい音楽も聞く。
ウ 描写音楽を,場面や情景を想像しながら聞く。
エ 聞いた歌や音楽の主題を口ずさむ。
(2) 静かに聞く習慣を養う。
ア 先生や友だちの歌や演奏を静かに聞く。
イ 放送やレコードなどの音楽を静かに聞く。
(3) 音楽的感覚を伸ばす。
ア 二拍子(六拍子),三拍子および四拍子を感じとる。
イ 身体反応を通して,フレーズを感じとる。
ウ 旋律の終止の感じを,感覚的につかむ。
エ 音楽を聞いて,和声の美しさを感覚的につかむ。
(4) 楽器の特徴を理解させ,その楽器のもつ特有の音色を聞き分ける能力を養う。
ア リズム楽器類,木琴,鉄琴,らっぱ類,バイオリンおよびけん盤楽器の音色に親しむ。
(5) 演奏形態について理解させる。
ア ひとりで演奏すること(独唱や独奏)と大ぜいで演奏すること(せい唱,合唱または合奏など)の違いに気をつけて聞く。
(6) 愛好曲をふやす。
ア なるべく違う種類,違う演奏形態の音楽を,次の3曲を含め年間8曲以上聞く。
 「おどる人形」(ポルディーニ),「かっこうワルツ」(ヨナーソン),「トルコ行進曲」(べートーべン)

B 表  現
(歌 唱)
(1) 楽しく歌う態度を養う。
ア 聴唱法で歌う。
イ みんなといっしょに歌う。
ウ ひとりで歌う。
エ 自由な身体表現をしながら歌う。
オ 歌詞の内容を理解し,気持ちをこめて歌う。
(2) 基礎的な歌唱技能を身につけさせる。
ア よい姿勢で歌う。
イ 美しい歌声に慣れる。
ウ はっきりした発音で歌う。
エ その曲を最も美しく表現できる速さと強さで歌う。
オ リズムや音程を正しく歌う。
カ 伴奏を聞きながら歌う。
キ 歌い出し,息つぎ,フレーズのくぎり方および歌い終わりを正しく歌う。
ク レガートな歌い方に慣れる。
(3) 読譜および記譜の基礎能力を養う。
ア リズム唱,リズム打ちおよび拍子打ちに慣れる。
イ リズム譜をみてリズム唱やリズム打ちをする。
ウ 習った歌をなるべく多く階名模唱する。
エ 習った歌をなるべく多く階名暗唱する。
オ 音の高低,強弱を身体表現しながら歌詞や階名で歌う。
カ 習った歌のリズムをなるべく多く書く。
(4) 愛唱歌をふやす。
ア 習った歌をそらで歌う。
イ 次の各項に該当する歌曲を,(カ)に示す3曲を含め,聴唱によって年間最低17曲歌う。
(ア) 曲態は単音の歌曲。
(イ) 調は長調,短調および日本旋法のもの。
(ウ)
   で,リズムの単純なもの。
(エ) 音域は  
(オ) 歌詞は口語体で平易なもの。
(カ) 日本古謡の「さくらさくら」および文部省著作の「雪」,「春が来た」

(器 楽)
(1) 楽しく演奏する態度を養う。
ア 歌ったり聞いたりしながら,手を打ったり,リズム楽器を打ったりする。
イ リズム遊びをしながらリズム楽器を打つ。
ウ 旋律楽器で,好きな旋律を演奏して楽しむ。
(2) リズム楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア よい姿勢,正しい持ち方で,美しい音色が出るように打つ。
イ その楽曲を最も美しく表現できる速さと強さで打つ。
ウ リズム楽器類の奏法に習熟する。
(3) 旋律楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア ハーモニカで,習った歌や簡単な旋律を吹く。
イ オルガンで,リズム奏をしたり簡単な旋律をさぐりびきする。
ウ 木琴や鉄琴で,リズム奏をしたり簡単な旋律をひく。
(4) 合奏の基礎能力を養う。
ア 歌唱教材を編曲した簡単な曲を年間2曲以上,リズム楽器で合奏する。
イ 歌唱教材を編曲した簡単な曲を,リズム楽器に旋律楽器(ハーモニカ,木琴または鉄琴など)の部分奏を加えて,年間1曲以上合奏する。
ウ リズム譜をみて次の基本リズムの打ち方にいっそう慣れる。
 
  
 
エ リズムフレーズの基本形の打ち方に慣れる。
(例)
  
オ フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。
カ 友だちの演奏をよく聞きながら合奏する。
(5) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

(創 作)
(1) 創造的に表現する基礎能力を養う。
ア その音楽の気分や楽しさを感じながら,歌ったり楽器をひいたりする。
イ 音楽に合わせて創造的に身体表現をする。
(2) 即興的に音楽表現をする能力を養う。
ア 動物の鳴き声,物売りの声または呼び声などに節づけして歌う。
イ 周囲の物音のもつリズムで音楽的表現をする。
ウ 即興的にリズム唱でリズム問答をしたり,ことばで歌問答をしたりする。
エ ごく短いことばに,即興的に節づけして歌う。

 3 指導上の留意事項
(1) 第1学年と同様,なるべく学習のひん度を多くするようにくふうすることが望ましい。 
(2) B(歌唱)の(3)に掲げた読譜(記譜)の準備的な指導としての階名唱やリズム唱などは第1学年に引き続いて行なっていくが,さらに音の高低,強弱の身体表現やリズム譜を有効に活用することによって,第3学年からの点字楽譜の学習へ徐々に近づけていく。
(3) B(器楽)で扱うハーモニカ,オルガン,木琴および鉄琴は,単にリズム表現の楽器としてだけではなく,この学年では旋律を演奏する楽器としても取り扱っていく。

〔第3学年〕
 1 目  標
(1) 静かに注意深く聞く習慣を養い,音楽的感覚を伸ばすとともに,楽器の音色,音楽の種類や演奏形態に興味をもたせる。
(2) 歌唱技能を高めるとともに,輪唱や部分三部合唱ができるようにする。
(3) 簡単な楽譜に親しませ,楽譜についての初歩的な理解をもたせ,読譜および記譜の基礎能力を養う。
(4) リズム楽器および旋律楽器の演奏技能を高め,旋律楽器を加えた合奏ができるようにする。
(5) 即興的,創造的な学習活動を通して,創造的表現の基礎能力を伸ばす。
(6) 愛好曲を豊かにして,明るく楽しい学校生活ができるようにする。

 2 内  容
A 鑑  賞
(1) 楽しく聞く態度を養う。
ア 明るくリズミカルな音楽のほかに,静かで美しい音楽も聞く。
イ 音楽全体の美しさを心から味わって聞く。
ウ 聞いた歌や音楽の主題を口ずさむ。
(2) 静かに注意深く聞く習慣を養う。
ア 先生や友だちの歌や演奏を,静かに注意深く聞く。
イ 放送やレコードなどの音楽を,静かに注意深く聞く。
(3) 音楽的感覚をいっそう伸ばす。
ア 音楽を聞いて,リズムの変化を感じとる。
イ 旋律のまとまりとその美しさおよび旋律の終止感をつかむ。
ウ 音楽を聞いて,和声の美しさを感じとる。
エ 対照的な感じの音楽を比べて聞く。
(4) 楽器の特徴を理解させ,その楽器のもつ特有の音色を聞き分ける能力を養う。
ア フルート,クラリネットおよびトランペットの音色に親しむ。
(5) 音楽の種類および演奏形態について理解させる。
ア 声楽曲および器楽曲のいろいろな種類の音楽を聞く。
イ 独唱,独奏,せい唱,輪唱,合唱および管弦楽など,いろいろな演奏形態のあることを,聞くことによって理解する。
(6) 愛好曲をふやす。
ア なるべく違う種類,違う演奏形態の音楽を,次の3曲を含め,年間8曲以上聞く。
 「おもちゃシンフォニー」(ハイドン)「金と銀」(レハール),「金婚式」(マリー)

B 表  現
(歌 唱)
(1) 楽しく歌う態度を養う。
ア 聴唱法で歌う。
イ 聴唱的視唱法でも楽しく歌う。
ウ みんなといっしょに歌う。
エ ひとりで歌う。
オ 自由な身体表現をしながら歌う。
カ 歌詞の内容を理解し,気持ちをこめて歌う。
(2) 歌唱技能を身につけさせる。
ア よい姿勢で歌う。
イ 頭声的発声で歌う。
ウ 正しい発音で歌う。
エ その曲を最も美しく表現できる速さと強さで歌う。
オ リズムや音程を正しく歌う。
カ 伴奏を聞きながら,指揮者の指示に反応して歌う。
キ 歌い出し,息つぎ,フレーズのくぎり方および歌い終わりを正しく歌う。
ク レガートな歌い方に慣れる。
ケ 簡単な輪唱曲と,部分二部合唱曲を歌う。
コ ハ長調の主要三和音の和音合唱をする。
サ ハ長調の終止形合唱をする。
(3) 読譜および記譜の基礎能力を伸ばす。
ア リズム唱,リズム打ちおよび拍子打ちにいっそう慣れる。
イ リズム譜をみてリズム唱やリズム打ちをする。
ウ 習った歌をなるべく多く階名模唱する。
エ 習った歌をなるべく多く階名暗唱する。
オ ハ長調の簡単な旋律を視唱する。
カ 視唱法で習ったハ長調の旋律をみて書く。
キ 音列記号(第3音列,第4音列,第5音列)および 小節のくぎり,終止記号の書き方に慣れ,かつ,これらの意味を理解する。また,音列記号の名称ドレミの記号,小節について理解する。
(4) 愛唱歌をふやす。
ア 習った歌をそらで歌う。
イ 次の各項に該当する歌曲を,(カ)に示す3曲を含め,聴唱および視唱によって年間最低15曲歌う。
        単音のもの       9曲
(ア)  曲態は   簡単な輪唱曲      3曲
        部分二部合唱曲     3曲
(イ) 調は長調,短調および日本旋法のもの。
(ウ)
   で,リズムのあまりむずかしくないもの。
(エ) 音域は
(オ) 歌詞は口語体で平易なもの。
(カ) 文部省著作の「春の小川」,「もみじ」,「汽車」

(器 楽)
(1) 楽しく演奏する態度を養う。
ア 歌ったり聞いたりしながら,リズムに合わせてリズム楽器を打つ。
イ リズム遊びをしながらリズム楽器を打つ。
ウ 旋律楽器で,好きな旋律や歌を演奏する。
(2) リズム楽器および旋律楽器を演奏する技能を身につけさせる。
ア よい姿勢,正しい持ち方,美しい音色で演奏する。
イ その楽曲を最も美しく表現できる速さと強さで演奏する。
ウ リズム楽器の奏法にいっそう習熟する。
エ ハーモニカで,習った歌の旋律を吹く。
オ オルガンで,簡単な旋律をひく。
カ 木琴や鉄琴で,習った歌の旋律をひく。
(3) 合奏の能力を伸ばす。
ア 歌唱教材を編曲した簡単な曲を年間3曲以上合奏する。
イ リズムフレーズの基本形の打ち方に慣れる。
(例)

ウ 二組みに分かれ,リズム譜をみて,次の基本リズムの打ち方に慣れる。
 
 
エ フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。
オ 友だちの演奏をよく聞きながら,指揮者の指示に従って合奏する。
(4) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

(創 作)
(1) 創造的に表現する基礎能力を養う。
ア その音楽の気分や楽しさを感じながら,歌ったり楽器をひいたりする。
イ みんな協力して,美しいせい唱,輪唱,合唱および合奏ができるようにくふうする。(2) 即興的に音楽表現をする能力を養う。
ア 4小節程度の短い旋律を,即興的に歌う(階名唱などで)。
イ 簡単な旋律を使ったしりとり遊びをする(階名唱などで)。
ウ 短いことばに,即興的に節づけして歌う(4小節程度で)。

 3 指導上の留意事項
(1) この学年では,本格的な読譜指導にはいる学年であるが,読譜活動と密接な関連のもとに常に記譜の指導を進めていくようにする。
 なお,この学年では,ハ長調の読譜に集中して指導する。
(2) B(歌唱)の(2)に関連して指導する和音合唱や終上形合唱は児童の声域に即して行なうこと。
(3) B(歌唱)の(2)および(4)に関連して指導する輪唱曲や部分二部合唱曲は,ごく単純なものを選曲すること。
(4) B(歌唱)の(3)に示した音符,休符および諸記号などは,なるべく正しい呼び方に慣れさせるように指導するのが望ましい。
(5) B(創作)の(2)に関連した指導において,短い旋律を即興的に歌わせる場合には,階名唱のほかに,ラララやタンタンなど,歌いやすいことばで歌わせてもさしつかえない。

〔第4学年〕
 1 目  標
(1) 静かに注意深く聞く習慣を養い,音楽的感覚を伸ばすとともに,楽器の音色,音楽の種類や演奏形態にいっそう興味をもたせる。
(2) 歌唱技能を高めて,正しい歌唱表現をさせるとともに二部合唱および部分三部合唱ができるようにする。
(3) 楽譜についての理解を深め,読譜および記譜の基礎能力を伸ばす。
(4) リズム楽器および旋律楽器の演奏技能を高め,正しい合奏ができるようにする。
(5) 即興的,創造的な学習活動を通して,創造的表現の能力を伸ばす。
(6) 愛好曲を豊かにして,明るく楽しい学校生活ができるようにする。

 2 内  容
A 鑑  賞
(1) 楽しく聞く態度を養う。
ア 明るくリズミカルな音楽のほかに,静かで美しい音楽も聞く。
イ 音楽の美しさを心から味わって聞く。
ウ 聞いた歌や音楽の主題を口ずさむ。
(2) 静かに注意深く聞く習慣を養う。
ア 先生や友だちの歌や演奏を,静かに注意深く聞く。
イ 放送やレコードなどの音楽を,静かに注意深く聞く。
(3) 音楽的感覚をいっそう伸ばす。
ア 音楽を聞いて,リズムの変化を感じとる。
イ 旋律のまとまりとその美しさおよび旋律の終止感をつかむ。
ウ 音楽を聞いて,和声の美しさをつかむ。
エ 対照的な感じの音楽を比べて聞く(長調の曲と短調の曲など)。
(4) 楽器の特徴を理解させ,その楽器のもつ特有の音色を聞き分ける能力を伸ばす。
ア オーボー,チェロおよび琴の音色に親しむ。
(5) 音楽の種類および演奏形態について理解させる。
ア 声楽曲および器楽曲のいろいろな種類を,聞くことによって理解する。
イ 独唱,独奏,せい唱,輪唱,合唱および管弦楽などの演奏形態を聞くことによって理解する。
(6) 愛好曲をふやす。
ア なるべく違う種類,違う演奏形態の音楽を,次の3曲を含め年間8曲以上聞く。
 「白鳥」(サンサーンス),「スケーターズ ワルツ」(ワルトトイフェル),「軍隊行進曲」(シェーベルト)

B 表  現
(歌 唱)
(1) 楽しく歌う態度を養う。
ア 聴唱法で歌う。
イ 視唱法でも楽しく歌う。
ウ みんなといっしょに歌う。
エ ひとりで歌う。
オ 自由な身体表現をしながら歌う。
カ 歌詞の内容を理解し,気持ちをこめて歌う。
(2) 歌唱技能を身につけさせる。
ア よい姿勢で歌う。
イ 頭声的発声で歌う。
ウ 正しい発音で歌う。
エ その曲を最も美しく表現できる速さと強さで歌う。
オ リズムや音程を正しく歌う。
カ 伴奏を聞きながら,指揮者の指示に反応して歌う。
キ 呼吸法に気をつけ,歌い出し,息つぎ,フレーズのくぎり方および歌い終わりを正しく歌う。
ク レガート,マルカート.スタカートの歌い方およびクレシェンド,デクレシェンドの歌い方に慣れる。
ケ 輪唱曲,二部合唱曲および部分三部合唱曲を歌う。
コ ハ長調,へ長調およびイ短調の主要三和音の和音合唱をする。
サ ハ長調,へ長調およびイ短調の終止形合唱をする。
(3) 読譜および記譜の基礎能力を伸ばす。
ア リズム譜をみてリズム唱やリズム打ちをする。
イ 習った歌をなるべく多く階名暗唱する。
ウ ハ長調,へ長調およびイ短調の簡単な旋律を視唱する。
エ 視唱法で習ったハ長調,へ長調およびイ短調の旋律をみて書く。
オ 前学年のものに加えて,次の音符,休符および記号などの正しい呼び方や意味を,歌ったり,ひいたり,書いたりすることを通して理解する。

 

(4) 愛唱歌をふやす。
ア 習った歌をそらで歌う。
イ 次の各項に該当する歌曲を,(カ)に示す3曲を含め,聴唱および視唱によって,年間最低15曲歌う。
       単音のもの     7 曲
       輪唱曲       3 曲
(ア) 曲態は 部分二部合唱曲     1 曲
       二部合唱曲     2 曲
       部分三部合唱曲   2 曲
(イ) 調は長調,短調および日本旋法のもの。
(ウ)
  
(エ) 音域は
(オ) 歌詞は口語体で平易なもの。
(カ) 日本古謡の「子もり歌」(陽旋法)および文部省著作の「村のかじや」,「赤とんぼ」

(器 楽)
(1) 楽しく演奏する態度を養う。
ア 歌ったり聞いたりしながら,リズムに合わせてリズム楽器を打つ。
イ 自由な身体表現をしながら,リズム楽器を打つ。
ウ 旋律楽器で,好きな旋律や歌を演奏する。
エ ひとりで演奏したりみんなで演奏したりする。
(2) リズム楽器および旋律楽器を演奏する技能を身につけさせる。
ア よい姿勢,正しい持ち方,美しい音色で演奏する。
イ その楽曲を最も美しく表現できる速さと強さで演奏する。
ウ リズム楽器の奏法にいっそう習熟する。
エ ハーモニカで,習った歌の旋律を吹く。
オ オルガンで,簡単な旋律や主要三和音をひく。
カ アコーディオンで,簡単な旋律をひく。
キ 木琴や鉄琴で,習った歌の旋律をひく。
ク たて笛で,習った歌の1節を吹く。
(3) 合奏の能力を伸ばす。
ア 歌唱教材を編曲した合奏曲を年間3曲以上合奏する。
イ リズムフレーズの基本形の打ち方に慣れる。
(例)

ウ 二組みに分かれ,リズム譜をみて次の基本リズムの打ち方に慣れる。



エ 二組みに分かれて,リズムフレーズの基本形の打ち方に慣れる。
(例)


オ フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。
カ 友だちの演奏をよく聞きながら,指揮者の指示に従って合奏する。
(4) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

(創 作)
(1) 創造的に表現する基礎能力を養う。
ア その音楽の気分や楽しさを感じながら,歌ったり楽器をひいたりする。
イ みんな協力して,美しいせい唱,輪唱,合唱および合奏ができるようにくふうする。(2) 即興的に音楽表現をする能力を養う。
ア 4小節程度の短い旋律を,即興的に歌う(階名唱などで)。
イ 簡単な旋律を使ったしりとり遊びをする(階名唱などで)。
ウ 短いことばに,即興的に節づけして歌う(4小節程度で)。

 3 指導上の留意事項
(1) B(歌唱)の(2)に掲げたマルカート,スタカート,クレシェンド,デクレシェンなどの歌唱技能は,児童の能力に応じてむりのない取り扱いをすること。
(2) B(歌唱)の(2)および(4)に関連して指導する二部合唱や部分三部合唱の教材は,なるべく単純なものを選曲すること。
(3) B(歌唱)の(3)に掲げたへ長調の記譜指導にあたっては,音階構成などについての知的理解はあと回しにし,まず,直観的,感覚的に楽譜をさわって歌えるように導くこと。
(4) 内容の(器楽)におけるたて笛およびアコーディオンの指導は,なるべく楽譜と結びつけて指導することが望ましい。
(5) 楽器(2)キの木琴や鉄琴については,能力に応じてむりのない指導が望ましい。
(6) 和音の読譜や記譜は「音符式和音表記法」による。

〔第5学年〕
 1 目  標
(1) 注意深くしかも想像豊かに聞く習慣を養い,音楽的感覚をいっそう伸ばすとともに,楽器や声の種類とその特徴,音楽の種類および演奏形態について理解させる。
(2) 歌唱技能を高めて,美しい歌唱表現をさせるとともに三部合唱ができるようにする。
(3) 楽譜についての理解を深め,読譜および記譜の能力を伸ばし,自主的な学習ができるようにする。
(4) リズム楽器および旋律楽器の演奏技能を高め,美しい合奏ができるようにする。
(5) 即興的,創造的な学習活動を通して,創造的表現の能力をいっそう伸ばし,短い旋律を作って書けるようにする。
(6) 愛好曲をいっそう豊かにして,学校生活の中に好ましい音楽的ふんい気を作り,これを家庭生活にも及ぼすようにする。

 2 内  容
A 鑑  賞
(1) 楽しく聞く態度を養う。
ア 明るくリズミカルな音楽のほかに,静かで美しい音楽も聞く。
イ 音楽の美しさを心から味わって聞く。
ウ 聞いた歌や音楽の主題を口ずさむ。
(2) 注意深くしかも想像豊かに聞く習慣を養う。
ア 先生や友だちの歌や演奏を,静かに注意深く聞く。
イ 放送やレコードなどの音楽を,静かに注意深く,しかも想像豊かに聞く。
(3) 音楽的感覚をいっそう伸ばす。
ア 音楽を聞いて,リズムの変化を感じとる。
イ 旋律の反復・模倣・段落ならびにそれらの対照・統一の美しさを感じとる。
ウ 音楽を聞いて,和音の美しさを感じとる。
エ 対照的な感じの音楽を比べて聞く。
オ 拍子や調の違いを感覚的に聞き分ける。
(4) 楽器や声の種類とその特徴を理解させる。
ア オーケストラの楽器(弦楽器,金管楽器,木管楽器および打楽器)ならびに日本の楽器(琴,三味線および尺八)の形状を知り,音色に親しむ。
イ 人声の種類(ソプラノ,アルト,テノールおよびバス)とその特色を理解する。
(5) 音楽の種類および演奏形態について理解させる。
ア 声楽曲および器楽曲のいろいろな種類を,聞くことによって理解する。
イ 独唱,独奏,重唱,重奏,輪唱,合唱,弦楽合奏,吹奏楽および管弦楽などの演奏形態を聞くことによって理解する。
(6) 愛好曲をふやす。
ア なるべく違う種類,違う演奏形態の音楽を,次の3曲を含め年間8曲以上聞く。
 「くるみ割り人形」(チャイコフスキー),「タンホイザー行進曲(合唱の部を含む)」(ワーグナー),「ウィリアム・テル」序曲(ロッシーニ)

B 表  現
(歌 唱)
(1) 楽しく歌う態度を養う。
ア 聴唱法で歌う。
イ 視唱法でも楽しく歌う。
ウ みんなといっしょに歌う。
エ ひとりで歌う。
オ 歌詞の内容を理解し,気持ちをこめて歌う。
(2) 歌唱技能を身につけさせる。
ア よい姿勢で歌う。
イ 頭声的発声で歌う。
ウ 正しい発音で歌う。
エ その曲を最も美しく表現できる速さと強さで歌う。
オ リズムや音程を正しく歌う。
カ 伴奏を聞きながら,指揮者の指示に反応して歌う。
キ 呼吸法に気をつけ,歌い出し,息つぎ,フレーズのくぎり方および歌い終わりを正しく歌う。
ク レガート,マルカート,スタカートの歌い方およびクレシェンド,デクレシェンドの歌い方に慣れ,さらにフェルマータ,リタルダンド,ア テンポの歌い方に慣れる。
ケ 輪唱曲,二部合唱曲および三部合唱曲を歌う。
コ ハ長調,へ長調,ト長調,イ短調およびニ短調の主要三和音の和音合唱をする。(特にト長調とニ短調に重点を置く。)
サ ハ長調,へ長調,ト長調,イ短調およびニ短調の終止形合唱をする。(特にト長調とニ短調に重点を置く。)
(3) 読譜および記譜の基礎能力を伸ばす。
ア リズム譜をみてリズム唱やリズム打ちをする。(シンコペーションおよび三連符を含む。)
イ 習った歌をなるべく多く階名暗唱する。
ウ ハ長調,へ長調,ト長調,イ短調およびニ短調の旋律ならびにそれらと同じ調号をもつ日本旋法の旋律を視唱する。
エ 視唱法で習ったハ長調,へ長調,ト長調,イ短調およびニ短調の旋律ならびにそれらと同じ調号をもつ日本旋法の旋律をみて書く。
オ 次の音符,諸記号などの正しい呼び方や意味を,歌ったり,ひいたり,書いたりすることを通して理解する。




(4) 愛唱歌をふやす。
ア 習った歌をそらで歌う。
イ 次の各項に該当する歌曲を,(カ)に示す3曲を含め,聴唱および視唱によって,年間最低11曲歌う。
       単音のもの   5 曲
       輪唱曲     2 曲
(ア) 曲態は
       二部合唱曲   2 曲
       三部合唱曲   2 曲
(イ) 調は長調,短調および日本旋法のもの。
(ウ)
(エ) 音域は
(オ) 歌詞は口語体で平易なもの。
(カ) 文部省著作の「こいのぼり」,「海」,「冬げしき」

(器 楽)
(1) 楽しく演奏する態度を養う。
ア 歌ったり聞いたりしながら,リズムに合わせてリズム楽器を打つ。
イ 旋律楽器で,好きな旋律や歌を演奏する。
ウ ひとりで演奏したり,みんなで演奏したりする。
(2) リズム楽器および旋律楽器を演奏する技能を身につけさせる。
ア よい姿勢,正しい持ち方,美しい音色で演奏する。
イ その楽曲を最も美しく表現できる速さと強さで演奏する。
ウ リズム楽器の奏法にいっそう習熟する。
エ ハーモニカで,習った歌およびいろいろな旋律を吹く。
オ オルガンで,簡単な旋律や主要三和音をひく。
カ アコーディオンで,簡単な旋律をひく。
キ 木琴や鉄琴で,習った歌およびいろいろな旋律や分散和音などをひく。
ク たて笛で,習った歌や簡単な旋律を吹く。
(3) 合奏の能力を伸ばす。
ア 歌唱教材を編曲した合奏曲を年間2曲以上合奏する。
イ 歌唱教材によらない器楽曲を年間1曲以上合奏する。
ウ リズムフレーズの基本形の打ち方にいっそう慣れる。
エ リズム譜をみて,次の基本リズムの打ち方に慣れる。



オ 二組みに分かれて,リズム譜をみてリズムフレーズの基本形の打ち方に慣れる。
(例)



カ フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。
キ 友だちの演奏をよく聞きながら,指揮者の指示に従って合奏する。
(4) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

(創 作)
(1) 創造的に表現する基礎能力を養う。
ア その音楽の気分や楽しさを感じながら,歌ったり楽器をひいたりする。
イ みんな協力して,美しいせい唱,輪唱,合唱および合奏ができるようにくふうする。
ウ 知っている曲の速さ,拍子,リズムおよび調などを,変化して歌ったり楽器をひいたりする。
(2) 即興的に音楽表現をする能力を養う。
ア 4小節程度の短い旋律を,即興的に歌う(階名唱などで)。
イ 簡単な旋律を使ったしりとり遊びをする(階名唱などで)。
ウ 短いことばに,即興的に節づけして歌う(8小節程度で)。
(3) 旋律を作って正しく記譜する能力を養う。
ア 2小節程度の短い旋律を聞いて書く。
イ 4小節程度の旋律を,みんなで作って書く。
ウ 4小節程度の旋律を,ひとりで作って書く。
エ 作った旋律に,ことばをつけるくふうをする。

 3 指導上の留意事項
(1) 鑑賞において旋律の反復・模倣・段落ならびに対照・統一の美しさを感じとらせる取り扱いは,歌唱,器楽および創作の表現活動の基礎となるものであるから,それらの活動とじゅうぶん関連をもって指導することが望ましい。
(2) 合唱指導に相当重点が置かれる学年であるが,いたずらに程度の高い曲を求めず,まず和音感覚を身につけ,基礎能力を養うようにすべきである。
(3) B(器楽)の(3)で扱う合奏教材は,あくまでこの学年で普通に指導してむりのない程度に編曲したものであることが望ましい。クラブ活動などのために作られた程度の高いものをむりじいすることは避けなければならない。
(4) 創作において児童が即興的に歌ったり書いたりした作品は,なるべく,歌唱,器楽および鑑賞との関連を図って取り扱うことが望ましい。

〔第6学年〕
 1 目  標
(1) 注意深くしかも想像豊かに聞く習慣を養い,音楽的感覚をいっそう伸ばすとともに,楽器や声の種類とその特徴,音楽の種類,演奏形態についての理解を深める。
(2) 歌唱技能をいっそう高めて,創造的な歌唱表現ができるようにする。
(3) 楽譜についての理解を深め,読譜および記譜の能力をいっそう伸ばし自主的な学習ができるようにする。
(4) リズム楽器および旋律楽器の演奏技能をいっそう高め,美しい音色でバランスのとれた合奏ができるようにする。
(5) 即興的,創造的な学習活動を通して,創造的表現の能力をいっそう伸ばし,一部形式の旋律を作って書けるようにする。
(6) 愛好曲をいっそう豊かにして,学校生活の中に,好ましい音楽的ふんい気を作り,これを家庭生活にも及ぼすようにする。

 2 内  容
A 鑑  賞
(1) 楽しく聞く態度を養う。
ア 明るくリズミカルな音楽のほかに静かで美しい音楽も聞く。
イ 音楽の美しさを心から味わって聞く。
ウ 聞いた歌や音楽の主題を口ずさむ。
(2) 注意深くしかも想像豊かな聞き方の習慣を養う。
ア 先生や友だちの歌や演奏を,静かに注意深く聞く。
イ 放送やレコードなどの音楽を,静かに注意深く,しかも想像豊かに聞く。
(3) 音楽的感覚をいっそう伸ばす。
ア 音楽を聞いて,リズムの変化を感じとる。
イ 旋律の反復・模倣・発展と変化・段落ならびにそれらの対照・統一の美しさを感じとる。
ウ 音楽を聞いて,和声の美しさを感じとる。
エ 対照的な感じの音楽を比べて聞く。
オ 拍子や調の違いを感覚的に聞き分ける。
(4) 楽器や声の種類とその特徴を理解させる。
ア オーケストラの楽器(弦楽器,金管楽器,木管楽器および打楽器)ならびに日本の楽器(琴,三味線および尺八)の形状を知り,音色に親しむ。
イ 人声の種類(ソプラノ,アルト,テノールおよびバス)とその特色を理解する。
(5) 音楽の種類および演奏形態について理解させる。
ア 声楽曲および器楽曲のいろいろな種類を,聞くことによつて理解する。
イ 独唱,独奏,重唱,重奏,輪唱,合唱,弦楽合奏,吹奏楽および管弦楽などの演奏形態を聞くことによって理解する。
(6) 愛好曲をふやす。
ア なるべく違う種類,違う演奏形態の音楽を,次の3曲を含め年間8曲以上聞く。
 六段(八橋検校),組曲「べールギュント」第1(グリーク),第9交響曲から合唱の部(ベートーベン)

B 表  現
(歌 唱)
(1) 楽しく歌う態度を養う。
ア 聴唱法で歌う。
イ 視唱法でも楽しく歌う。
ウ みんなといっしょに歌う。
エ ひとりで歌う。
オ 歌詞の内容を理解し,気持ちをこめて歌う。
(2) 歌唱技能を身につけさせる。
ア よい姿勢で歌う。
イ 頭声的発声で歌う。
ウ 正しい発音で歌う。
エ その曲を最も美しく表現できる速さと強さで歌う。
オ リズムや音程を正しく歌う。
カ 伴奏を聞きながら,指揮者の指示に反応して歌う。
キ 呼吸法に気をつけ,歌い出し,息つぎ,フレーズのくぎり方および歌い終わりを正しく歌う。
ク レガート,マルカート,スタカートの歌い方およびクレシェンド,デクレシェンドの歌い方に慣れ,さらにフェルマータ,リタルダンド,ア テンポの歌い方に慣れる。
ケ 輪唱曲,二部合唱曲および三部合唱曲を歌う。
コ ハ長調,へ長調,ト長調,ニ長調,イ短調,ニ短調およびホ短調の主要三和音の和音合唱をする。(特にニ長調およびホ短調に重点を置く。)
サ ハ長調,へ長調,ト長調,ニ長調,イ短調,ニ短調およびホ短調の終止形合唱をする。(特にニ短調およびホ短調に重点を置く。)

(3) 読譜および記譜の基礎能力を伸ばす。
ア リズム譜をみてリズム唱をする。
イ 習った歌をなるべく多く階名暗唱する。
ウ ハ長調,へ長調,ト長調,ニ長調,イ短調,ニ短調およびホ短調の旋律ならびにそれらと同じ調号をもつ日本旋法の旋律を視唱する。
エ 視唱法で習ったハ長調,へ長調,ト長調,ニ長調,イ短調,ニ短調およびホ短調の旋律ならびにそれらと同じ調号をもつ日本旋法の旋律をみて書く。
オ 習ったいろいろの記号などの意味を,歌ったり,ひいたり,書いたりすることを通して理解する。
(4) 愛唱歌をふやす。
ア 習った歌をそらで歌う。
イ 次の各項に該当する歌曲を,(カ)に示す3曲を含め,聴唱および視唱によって,年間最低11曲歌う。
        単音のもの    5 曲
        輪 唱 曲    2 曲
(ア) 曲態は    二部合唱曲    2 曲
        三部合唱曲    2 曲
(イ) 調は長調,短調および日本旋法のもの。
(ウ)
(エ) 音域は(イ)
(オ) 歌詞は口語体で平易なもの。
(カ) 文部省著作の「おぼろ月夜」,「われは海の子〔歌詞は第3節まで〕,「ふるさと」

(器 楽)
(1) 楽しく演奏する態度を養う。
ア 歌ったり聞いたりしながら,リズムに合わせてリズム楽器を打つ。
イ 旋律楽器で,好きな旋律や歌を演奏する。
ウ ひとりで演奏したりみんなで演奏したりする。
(2) リズム楽器および旋律楽器を演奏する技能を身につけさせる。
ア よい姿勢,正しい持ち方,美しい音色で演奏する。
イ その楽曲を最も美しく表現できる速さと強さで演奏する。
ウ リズム楽器の奏法にいっそう習熟する。
エ ハーモニカで,習った歌およびいろいろな旋律を吹く。
オ オルガンで,簡単な旋律や主要三和音をひく。
カ アコーディオンで,簡単な旋律をひく
キ 木琴や鉄琴で,習った歌およびいろいろな旋律や分散和音などをひく。
ク たて笛で,習った歌やいろいろな旋律を吹く。
ケ 横笛で,簡単な旋律を吹く。
(3) 合奏の能力を伸ばす。
ア 歌唱教材を編曲した合奏曲を年間2曲以上合奏する。
イ 歌唱教材によらない器楽曲を年間1曲以上合奏する。
ウ いろいろなリズムフレーズをくふうして打つ。
エ 第5学年までに学習した基本リズムを組み合わせた打ち方に慣れる。
オ フレーズごとに楽器の組み合わせ方をくふうして,分担奏や合奏をする。
カ 友だちの演奏をよく聞きながら,指揮者の指示に従ってバランスのとれた美しい合奏をする。
(4) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

(創 作)
(1) 創造的に表現する基礎能力を養う。
ア その音楽の気分や楽しさを感じながら,歌ったり楽器をひいたりする。
イ みんな協力して,美しいせい唱,輪唱,合唱および合奏ができるようにくふうする。
ウ 知っている曲の速さ,拍子,リズムおよび調などを変化して歌ったり,楽器をひいたりする。
(2) 即興的に音楽表現をする能力を養う。
ア 8小節程度の短い旋律を,即興的に歌う(階名唱などで)。
イ 簡単な旋律を使ったしりとり遊びをする(階名唱などで)。
ウ 短いことばに,即興的に節づけして歌う(8小節程度で)。
(3) 旋律を作って正しく記譜する能力を養う。
ア 2小節程度の短い旋律を聞いて書く。
イ まとまりのある短いことばに即興的に節づけしたものを楽譜に書く。
ウ 一部形式の旋律(a−a’またはa−b)をみんなで作って書く。
エ 一部形式の旋律を,ひとりで作って書く。
オ 作った旋律に,ことばをつけるくふうをする。

 3 指導上の留意事項
(1) 中学部における教育との関連を考慮し,小学部6か年間に求められるべき最低の能力や態度は,できるだけすべての児童の身につけるように考慮すべきである。
(2) B(歌唱)の(2)および(4)に関連して指導した合唱曲は,各自にいつどこでもどのパートでも歌えるように記憶させ,1曲でも多くそらで合唱できるように指導することが望ましい。

第3 指導計画作成および学習指導の方針
1 一般的留意事項
(1) 児童の音楽性をいっそう発達させるためには,一つの領域に片寄ることなく鑑賞,表現(歌唱,器楽および創作)のあらゆる活動を経験させることが必要である。特にこれらの領域は,互いに有機的な関連のもとに経験させるものであるから,指導計画を立てたり,学習指導をする場合には,これらが有機的,統合的に取り扱われるように配慮されなければならない。
(2) 児童期は,音楽的感覚を伸ばし,音楽性を育成する基礎的段階であるから,知的理解に先だち,まず,リズム,フレーズ,和声などについての感覚的訓練に重点に置いて指導することが必要である。
(3) 技術的な面の向上をねらうと同時に,多くの美しい音楽に触れさせ,その美しさに感動させる学習を重視しなければならない。
(4) 特に,読譜および記譜の系統的,発展的な指導をおし進めていくとともに,旋律楽器の指導などを充実して,自主的な音楽学習ができるように配慮することが必要である。
(5) 合唱,合奏は必要に応じ,適宜他の学級,または近接する学年の学級と合同して指導するなどのくふうが望ましい。
(6) 合唱,合奏等の指揮は,盲児童にふさわしい適切な方法をくふうすること。伴奏は指揮としても重要な役目を果たすものであるから注意深く聞き,これに反応できるような習慣をつけることがたいせつである。

2 各領域について
(1) 鑑  賞
ア レコードによる鑑賞指導においては,優秀な演奏家によって演奏されたすぐれた作品を,美しい音質で聞かせることが最もたいせつなことである。なお,レコードによる鑑賞だけに偏することなく,教師,優秀児,専門家または父兄などの模範唱,模範奏を生で聞かせたり,放送などで聞かせたりすることも忘れてはならない。
イ 各学年で具体的な曲名を示した3曲の鑑賞教材は,その学年で特に重点的に取り扱い,児童の愛好曲として身につけさせるようにする。
ウ 第3学年以後,鑑賞教材などと関連して,そのつど日本および外国の名高い作曲家や演奏家についての逸話などを聞かせ,親しみをもたせるように指導することが望ましい。(2) 歌 唱
ア 各学年で具体的な曲名を示した歌唱教材は,いつどこででも暗唱できるように指導しておくことが望ましい。「君が代」は各学年を通し児童の発達段階に即して指導するものとし,そのほかに校歌なども学年に応じて適切な指導をすることが望ましい。
イ 歌唱教材の選曲にあたっては,特に歌詞の内容が教育的,芸術的で,小学部児童にふさわしいものを選ぶべきである。
ウ 一般に歌詞は口語体のものを原則とする。ただし,児童が容易に理解しうるもので,すでに久しく歌い親しまれてきたものは文語体のものでも取り上げてさしつかえない。
エ 第1学年から短調や六拍子の歌曲を取り上げるが,それらの教材は,あくまで児童の発達段階に即したものを選び,また無理なく指導することが望ましい。
オ 視唱法による歌唱指導を課する学年においても,聴唱法による歌唱指導を軽視すべきでない。
カ 歌唱指導においては,移動ド唱法を原則とする。
(3) 器 楽
ア 各学年で1小節単位で示した基本リズムは,2回以上数回のくり返しによって指導すること。
イ 器楽の読譜および記譜については,歌唱における読譜および記譜の指導と関連し,学年に応じて適宜指導すること。
ウ 各学年の内容に示したリズム楽器,旋律楽器については,なるべくそのすべてを経験させるのが望ましい。しかし,やむを得ない場合には少なくともリズム楽器,旋律楽器おのおの1種だけは個性に応じて演奏技能を身につけさせることが望ましい。
エ リズム楽器類やけん盤楽器は,学校備え付けのものを使用することを原則とするが,ハーモニカのように直接口に触れるものは,なるべく個人持ちにするのが望ましい。
オ 器楽指導は,合奏だけでなく,常に歌唱学習との関連を図り,歌に合わせて創造的にリズムを打たせたり,旋律をひとりで演奏させるなどの指導をすることが望ましい。
カ 合奏においては,リズムや旋律の美しさをねらうだけでなく,音色と和声の美しさをも重視して指導することが望ましい。
キ 合奏における楽器の編成にあたっては,リズム楽器の乱用を避け,均衡のとれた編成をすることが望ましい。
ク 学級の普通授業における器楽指導と,クラブ活動としての器楽指導とは混同すべきでない。特に楽器の編成や教材の選択,編曲の程度などについては,じゅうぶん注意を払うことが必要である。
(4) 創 作
ア 歌唱および器楽などの表現能力や鑑賞能力が身についていなければ,創作の基盤は養われない。したがって,創作は,各領域と密接な関連のもとに指導されなければならない。特に低,中学年では,この指導を孤立して行なうことは望ましくない。
イ 創作の指導においては,楽譜に書かせる前に,準備的な指導として,音楽語いを豊かにし,記譜能力をじゅうぶん高めておくことがたいせつである。
ウ 低学年においては即興的に周囲の音を模倣させることから始め,学年が進むに従って,順次,模作から創作へと発展するように導くのが効果的である。


 
第6節 図画工作

第1 目  標
1 自然や人工のものに親しませ観察力を養う。
2 ものを作ったり,絵をかいたりなどする造形的な欲求や興味を喚起し,満足させ,情緒の安定を図る。
3 造形活動を通して,造形的感覚を発達させ,創造的表現の能力を伸ばす。
4 造形的な表現や鑑賞を通して,美的情操を養う。
5 造形的な表現を通して,技術を尊重する態度や,積極的に実践していく態度を養う。
6 造形活動の経験を通して習得した技能を生活に生かす態度を養う。

 上に掲げた図画工作科の目標は,相互に密接な関連をもつものであるが,目標1,2は,図画工作科における指導の出発点となり,また,その基底となるものである。
 したがって,各学年における具体的な学習が,主として目標3,4および5のいずれにかかる場合においても,図画工作科の特性上,常にその指導の根底には,目標1,2が考慮されなければならない。目標3,4および5は,それぞれ創造的表現力,美的情操および造形活動における実践的態度について,その目標を掲げたものであるが,各学年における具体的な学習においては,これらのねらいが有機的に結びつけられるとともに,目標6との関連が考慮されなければならない。
 次に示す各学年の目標は,下学年では,まず基礎的指導の上に立って,生活に密着したいろいろなものを観察させるとともに,造形への欲求や興味を起こさせ,活発な造形活動を行なわせて,盲児童の欲求や興味を満足させることに重点を置いて指導し,上学年に進むにつれて,造形的な経験を豊かにし,表現や鑑賞の技能・態度を伸ばすとともに,美と用との両面にわたる造形的な秩序を理解したり,感じとったりすることができるようになることをねらいとして示したものである。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
 1 目  標
(1) ものにさわりたいという欲求を起こし,いろいろなものにさわることの喜びを味わわせる。
(2) ものや絵を作りたい,かきたい,飾りたいという欲求を喚起し,それを満足させ,表現に対する興味を起こさせる。
(3) 何をどのようにかき,何をどのように作るかについて,ある程度心の中でくふうさせる。
(4) のびのびと表現させ,造形の喜びをもたせる。
(5) 表現材料や用具を扱うことを経験させる。

 2 内  容
(1) 観察する。
ア 遊びや話し合いなどを通して,いろいろなものを自由にさわらせ,さわる喜びとものに対する興味を起こさせる。
イ ものには形・大きさ・重さなどがあることを知らせる(幾何模型や身近なものなど)。

ウ なでる,たたく,押す,ひく,ねじる,ちぎるなどの動作によって適切な観察のしかたを習得させる。
エ 観察力を高めるため指先がよく動くように指導する。
(2) 絵をかいたり作ったりする。
ア 題を与えてかかせたり作らせたりすることを主とするが,必要に応じて自由に題を選ばせる。
イ 題材は,児童の生活環境から簡単なものを適宜与えたり選ばせたりする。
ウ かき方,作り方は,児童の自然発生的な方法を重んじおしつけることをさけるが,かき方 作り方がわからない場合は,ヒントを与えながら導く。
エ 材料や用具は,図画板・点筆・点字用紙・各種の紙その他必要に応じていろいろなものを使わせる。
(3) 粘土を主材料として,いろいろなものを作る。
ア いろいろな実物や模型・造形品の形体を観察し,その中から基本的な形を発見させ,こねる,まるめる,伸ばす,曲げる,ひねる,ちぎる,つなぐ,たたく,つまむ,けずる,あなをあけるなどして粘土を使って遊ばせたり,作ったものを使って遊ばせたりする経験もさせる。
イ 作るものは,人物・動物・遊び道具・器物・野菜・くだものなどの中から,題を与えて作らせたり,好きなものを自由に選ばせて作らせる。
ウ 作り方は,遊戯的,自然発生的な方法を主とし,粘土の取り扱いに慣れさせる。
(4) 模様を作る。
ア 小石・貝がら・積み木など材質がかたく,さわりやすいものを並べたり,積み重ねたりして模様を作らせる。
イ 三角・四角・円などの基本形を並べて模様を作らせる。
ウ 形を知ったり,形を組み合わせたりすることの楽しみを味わわせる。
エ 線・三角・四角などの簡単な平面図形をかかせる。材料や用具については(2)のエに準ずる。
(5) いろいろなものを作る。
ア 作るものは,器物・器具・遊び道具・乗り物その他いろいろなものとし,これらの中から,色紙・点字用紙・画用紙その他身辺にある自然材料や人工材料を使って,自由に作らせたり,題を与えて作らせたりする。作るものは,平面・立体とする。
イ 作り方は,児童の自然発生的なものを主とする。作るものによっては,作り方の順序,方法を知らせるものもあってよい。
ウ 紙の切り方,折り方,曲げ方,のりのつけ方などの方法を習得させる。
エ はさみの使い方に慣れさせる。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容(1),(2),(3),(4),(5)については,その一部に偏することのないように留意する。
(2) 内容に示す各事項はそれぞれ孤立することなく互いに関連して学習させ,また,適宜分合して学習内容を組織して指導する。
(3) 表現の学習においては,もっぱら表現意欲を盛んにすることに重点を置き,表現の喜びを味わい,好んで表現するようにさせる。特に表現方法の指導を急ぎ,表現意欲の減退をきたすことのないように留意する必要がある。
(4) 鑑賞の指導は,観察,表現活動に付帯して行なうようにする。
(5) 機会をとらえて,共同製作させてもよいが,この学年の程度では個々の児童の作ったものを集めて,一つのまとまりとする程度である。
(6) 内容(2)には,かく絵とはって作る絵およびこれらの組み合わせによる絵とがある。
(7) 内容(3)の観察の対象物は,両方の手のひらにはいる程度の大きさで単純なものがよい。
(8) 内容(5)の人工材料として積み木類を使用させるのもよい。
(9) 内容(1)〜(5)を通して,手先の感覚訓練をする必要がある。
(10) 盲児童は,造形活動にあたって,自然発生的な動作がじゅうぶん行なえない場合が多いので,この点留意して適切に指導することがたいせつである。

〔第2学年〕
 1 目  標
(1) ものにさわりたいという欲求を起こし,いろいろなものの形や地はだを知ろうとする態度を養う。
(2) ものや絵を作りたい,かきたい,飾りたいという欲求を喚起し,それを満足させ,表現に対する興味を起こさせる。
(3) 何をどのようにかき,何をどのように作るかについて,ある程度心の中でくふうさせる。
(4) のびのびと表現させ,造形の喜びと自信をもたせる。
(5) 表現材料や用具を扱うことを経験させる。
(6) 表現には自由な表現と,用途をもっている役に立つ表現とかあることを知らせる。
 2 内  容
(1) 観察する。
 第1学年の内容をさらに深める。
(2) 絵をかいたり作ったりする。
ア 題を与えてかかせたり,作らせたりすることを主とするが,必要に応じて自由に題を選ばせる。
イ 題材は,児童の生活環境から簡単なものを適宜与えたり選ばせたりする。
ウ かき方,作り方は,児童の自然発生的な方法を重んじ,各自の持ち味を生かし,それぞれ違った個性の絵を,のびのびと作るようにし,それがおのずから創造的な表現になるようにさせる。
エ 材料や用具は,図画板・点筆・点字用紙・各種の紙・毛糸・布,木の葉・花・小石・砂など,自然物その他必要に応じていろいろなものを使わせ,しだいに材料の使い方に慣れさせる。
(3) 粘土を主材料として,いろいろなものを作る。
ア いろいろな実物や模型・造形品の形体を観察し,その中から形の大まかな特徴をつかませて,ねる,まるめる,伸ばす,曲げる,ひねる,ちぎる,つなぐ,たたく,つまむ,けずる,あなをあけるなど,のびのびとくふうすることも経験させる。
イ 作るものは,人物・動物などの彫塑的なもの,遊び道具・乗り物・器物などのような工芸的なものにつながるもの,その他幻想的なものなどとし,これらの中から題を与えて作らせたり,好きなものを自由に選ばせて作らせたりする。
ウ 作り方は,遊戯的,自然発生的な方法を主とし,粘土の取り扱いに慣れさせる。
(4) 模様を作る。
ア 木や草の葉,その他の実物で,形や地はだが違うものをいろいろ集め,それらを並べたり,はりつけたりして模様を作らせる。
イ 同じ形の基本形を組み合わせたり,大小を考えて並べたりして模様を作らせる。
ウ 形や地はだの違いを知ったり,それらの組み合わせによる模様作りの楽しみを味わわせる。
エ 線・三角・四角・円などの簡単な平面図形をかかせる。材料や用具については(2)のエに準ずる。
(5) いろいろなものを作る。
ア 作るものは,器物・器具・建築物・乗り物・遊び道具・おもちゃの類・人物・動植物などとし,これらの中から,色紙・画用紙・点字用紙・中厚紙その他身辺にある自然材料や人工材料を使って,好きなものを選ばせたり,題を与えて作らせたりする。作るものは,平面・立体とする。
イ 作り方は,自然発生的な方法を主とする。しかし,作るものによっては,多少見通しをつけ,作る方法を考えて作らせる。
ウ 紙の切り方,折り方,曲げ方,接合,組み立ての方法などを習得させる。
エ はさみ・ものさしなどの使い方に慣れさせる。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容(1),(2),(3),(4),(5)については,その一部に偏することのないように留意する。
(2) 内容に示す各事項はそれぞれ孤立することなく互いに関連して学習させ,また,適宜分合して学習内容を組織して指導する。
(3) 表現の学習においては,もっぱら表現意欲を盛んにすることに重点を置き,指導方法の適切を図るように留意する必要がある。
(4) 鑑賞の指導は,観察,表現活動に付帯して行なうようにする。
(5) 機会をとらえて共同製作をさせる。この学年の程度では初めから計画を立て,仕事を分担して一つのものを作りあげるという共同製作は困難であるから,個々の児童の作ったものを集めて一つのまとまりのあるものにする程度である。
(6) 内容(2)には,かく絵とはって作る絵およびこれらの組み合わせによる絵とがある。
(7) 内容(3)の観察の対象物は,両方の手のひらにはいる程度の大きさがよい。
(8) 内容(1)〜(5)を通して,手先の感覚訓練をする必要がある。
(9) 盲児童は,造形活動にあたって,自然発生的動作がじゅうぶん行なえない場合が多いので,この点留意して適切に指導することがたいせつである。

〔第3学年〕
 1 目  標
(1) ものにさわってその特性を知る能力を養う。
(2) ものや絵を作ったり,かいたりする活動において,少しずつ表現が確かになるように導き,表現力を養う。
(3) 何をどのようにかき,何をどのように作るかについて,構想力を養う。
(4) のびのびとした創造的表現を通して,造形の喜びと自信をもたせる。
(5) 使用する表現材料や用具の範囲を広め,材料を取り扱う体験を豊かにさせる。
(6) 表現の技術について関心をもたせ,形や材質などの処理がたいせつであることを注意する方向に導く。
(7) 自由な表現力を養うとともに,用途上の目的をもつ表現をも経験させる。

 2 内  容
(1) 観察する。
ア ものに興味をもち,ものにさわってその形・大きさ・重さ・地はだなどを知るだけでなく,その用途や名称などがわかるようにする。
イ ものとものとを比較して観察し,形や大きさ,重さ,かたさなどを考えるようにする。
ウ 観察力を高めるために指先がよく動くようにする。
(2) 絵をかいたり作ったりする。
ア 自由に題を選んでかいたり,作ったりすることを主とするが,必要に応じて題を与える。
イ 題材は,人物・動物・植物などとし,児童の生活領域が広まるにつれ,その範囲を広める。
ウ かき方,作り方は,児童の自然発生的な方法を主とするが,少しずつ見通しをつけさせたり,個性的,創造的な表現ができるようにさせる。
エ 材料や用具は,図画板・点筆・点字用紙・各種の紙類・糸・布・ひも類その他必要に応じていろいろなものを使わせ,しだいに各材料・用具が使えるようにさせる。
(3) 粘土を主材料として,いろいろなものを作る。
ア いろいろな実物や模型・はく製・標本その他の造形品を観察し,その中から形の特徴をつかませ,その表現をくふうさせる。
 表現方法としては,ねる,まるめる,伸ばす,曲げる,ひねる,たたく,つなぐ,つみ重ねる,型を押すなどがある。
イ 作るものは,人物・動物など彫塑的なもの・遊び道具・乗り物・器物などのような工芸的なものにつながるもの,その他幻想的なものなどとし,これらの中から,自由に題を選ばせて作らせたり,題を与えて作らせたりする。
ウ 作り方は,自然発生的な方法を主とし,必要に応じて材料の扱い方,簡易な用具を用いての表現の方法を徐々に会得させる。
(4) 模様を作る。
ア 用途上の目的をもたない自由構成に対する興味を高めるとともに,用途をもったものの装飾や模様に対する興味を起こさせる。
イ 紙や布その他地はだの感じが違うものを組み合わせて模様を作らせる。また,粘土に自然物・人工物などを型押しをして模様を作らせる。
ウ いろいろな形を並べたり組み合わせたりして模様を作らせ,また,点字板や図画板を使って模様を作らせる。
(5) いろいろなものを作る。
ア 作るものは,児童の生活に役だつもの,作ることに興味をもつもの,組み立てのおもしろさに重点を置くもの,基礎的な感覚訓練に役だつものなどとし,これらの中から,紙・布その他身辺にある諸材料を使って,自由に選んで作らせたり,題を与えて作らせたりする。
イ 作り方は,ものによって違うが,自然発生的な方法によって作る場合と,だいたいの見通しをつけ,作り方の順序や方法を考えて作る場合とがある。
ウ 各種の紙の扱い方,その他身辺にある材料を扱う技術の初歩を習得させる。
エ ものさし・定木・コンパス・図画板・切り出し小刀などの使い方を練習させる。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容(1),(2),(3),(4),(5)については,その一部に偏することのないように留意する。
(2) 内容に示す各事項はそれぞれ孤立することなく互いに関連して学習させ,また,適宜分合して学習内容を組織して指導する。
(3) 表現する意図をもっていても,それをどのように作るかについてわからない場合には,表現方法についての適切な指導をする。
(4) 鑑賞の指導は,観察,表現活動に付帯して行なうようにする。
(5) 機会をとらえて共同製作をさせる。共同製作は,ものにより個々の作品を集めて一つのまとまりのあるものとする場合と,初めから計画を立て仕事を分担して構成する場合とがある。この学年では後者の場合にはごく初歩的なものでよい。
(6) 色についてはおもな色の名まえを覚えさせる。
(7) 内容(2)には,かく絵とはって作る絵およびこれらの組み合わせによる絵とがある。
(8) 内容(3)の観察の対象物は,大きすぎたり,また小さすぎたりしないこと。
(9) 内容(4)の指導において,作る模様は用途をもたない自由構成のものでよいが,できた結果を何かに利用させることに心を向けさせるよう留意して指導する。
(10) 内容(1)〜(5)を通して,手先の感覚訓練をする必要がある。

〔第4学年〕
 1 目  標
(1) ものにさわってその特性を知る能力を養う。
(2) ものや絵を作ったり,かいたりする活動において,漸次計画的に表現するように導き,表現力を養う。
(3) 何をどのようにかき,何をどのように作るかについての手順を考えさせ,構想力を養う。
(4) 自己の創造的表現の特色に気づかせるようにし,表現に対する誇りと自信をもたせる。
(5) 使用する表現材料や用具の範囲と種類を増し,材料や用具を取り扱う体験を豊富にする。
(6) 表現の技術について注意を向けさせ,形や材質などの違いや処理について関心をもたせる。
(7) 自由な表現力を発展させるとともに,用途上の目的をもつ表現についても,漸次その力を伸ばす。
(8) 造形品をさわったり使ったりして,もののよさが味わえるように導く。

 2 内  容
(1) 観察する。
 第3学年の内容をさらに深める。
(2) 絵をかいたり作ったりする。
ア 自由に題を選んでかいたり,作ったりすることを主とするが,必要に応じて題を与える。
イ 題材は,人物・動物・植物などとし,児童の生活領域の広まるにつれ,その範囲を広める。
ウ かき方,作り方は,児童の自然発生的な方法を主とするが,いくぶん計画性をもたせて,先の見通しをつけさせたり,また少しずつ個性的,創造的な表現のできるようにさせる。
エ 材料や用具は,図画板・点筆・点字用紙・各種の紙類・糸・布・ひも類・木竹類・びょう・くぎ類その他必要に応じていろいろなものを使わせ,各材料・用具が使えるようにさせる。
(3) 彫塑を作る。
ア いろいろな実物や模型・はく製・標本その他の造形品を広く観察し,形や材質,部分の特徴をつかませ,その表現をくふうさせる。
 粘土などの基礎的加工技術のほか,他の材料と組み合わせたり,心材を使用する初歩的なことや彫塑製作をするのに必要な用具の扱いにも慣れさせる。
イ 使用する材料は,粘土類など可塑材料を主とする。
ウ 児童の心にあるものの自由表現と,観察による表現との二つの方法により,自由に題を選ばせて作らせたり,題を与えて作らせたりする。
エ 作り方は,まる彫りを主とする。なお,材料の選び方や製作の技法については,必要に応じて徐々に会得させる。
(4) デザインをする。
ア いろいろな表現材料を用いて,用途上の目的をもたない自由構成を主とし,必要に応じて,工作で作るもののデザインや,身辺にあるものの装飾をさせる。
イ 感覚を通して,リズム・対称・つりあい・くりかえし・変化と統一などの美しさが少しずつわかるようにさせる。
ウ デザインは,平面的なものを主とし,立体的なものも経験させる。
(5) いろいろなものを作る。
ア 作るものは,児童の生活に役だつもの,感覚の訓練,基礎的な構成の練習をめざすものと,作ることに興味あるものなどとし,これらの中から,各種の紙・竹・木・針金・粘土その他身辺にあるものを使って,自由に選ばせて作らせたり,題を与えて作らせたりする。
イ 見通しをつけて,作る順序や方法を考えさせ計画的に作ることをいくつかのものについて経験させる。
ウ 各種の紙・粘土・竹・木・針金などの扱い方,その他必要な初歩的な技術を習得させる。
エ ものさし・定木・コンパス・図画板・切り出し小刀その他工作用具の使い方と手入れのしかたを練習させる。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容(1),(2),(3),(4),(5)については,その一部に偏することのないように留意する。
(2) 内容に示す各事項はそれぞれ孤立することなく互いに関連して学習させ,また,適宜分合して学習内容を組織して指導する。
(3) 表現する意図をもっていても,その表わし方がわからない児童には徐々に表現方法の指導をする。
(4) 鑑賞の指導は,観察,表現活動に付帯して行なうようにする。
(5) 機会をとらえて共同製作をさせる。
(6) 学習によって得た力をなるべく身近な生活に適用させる機会を与える。
(7) 内容(2)には,かく絵とはって作る絵およびこれらの組み合わせによる絵とがある。
(8) 内容(2)の指導にあたり,児童のかいたり,作ったりする想念を心の中にたくわえさせるためには,観察や生活経験から得たものを想念としてとらえ,これを育てるようにさせる。また,いろいろのものからヒントを得て,それを自分のものとして発展させるよう指導する。
(9) 内容(3)の観察の対象物は,大きすぎたり,また小さすぎたりしないこと。
(10) 内容(5)においては,デザイン学習と特に関連して作るものの計画,製作の順序方法を考えさせるようにすること。

〔第5学年〕
 1 目  標
(1) ものにさわって,その特性を理解する能力を養う。
(2) ものや絵を作ったり,かいたりする活動において,計画的に表現する力を高める。
(3) 何をどのようにかいたり,作ったり,飾ったりし,何のためにするかについての構想力を,漸次高める。
(4) 自己の創造的表現の特色に注意させ,表現に対する誇りと自信をもたせる。
(5) 表現材料の種類を増し,用具の範囲を拡充して,それを扱う体験を深める。
(6) 表現の技術について注意し,形・材質・材料のもつ地はだの感じやそれらの組み合わせによってできる構成について,関心をもたせる。
(7) 自由な表現力を発展させるとともに,用途上の目的をもつ表現力を高め,両者の違いについて理解させる。
(8) 造形品をさわったり,使ったりして,もののよさを味わわせるとともに,作品をたいせつにする態度を養う。

 2 内  容
(1) 観察する。
ア さわる対象は,身近なものから徐々に範囲を広め,ものの名や形・材質・構造・用途などを理解させる。
イ さわったものを互いに比較し,どのくらい大きいか,どのくらい重いか,また,地はだの違いなどを知る能力を養う。
ウ ものとものとの関係,ものの大きさの変化,ものの動きなどの観察力を養う。
(2) 絵をかいたり作ったりする。
ア 各自の心の中にある想念や,外界の物体を観察しながら,それを絵で表現する。自由にかいたり作ったりすることを主とするが,話し合いで題を決めたり,題を与えてかかせたり,作らせたりすることもある。
イ 題材は,児童の生活領域に応じて,その範囲をしだいに広めるとともに,特色ある場面も選ばせる。
ウ かき方,作り方は,児童各自の持ち味を発展させ,しだいに計画的,意識的に創造的表現ができるようにさせる。
エ 表現の結果について反省し,作品のよしあしについていくらかの判断ができるようにさせる。
オ 材料や用具として,図画板・点筆・点字用紙・各種の紙類・糸・布・ひも類・木竹類その他各種のものを使いこなす力を増し,かいたり,作ったりするものの表現意図によって,適当なものを選べるようにする。
(3) 彫塑を作る。
ア いろいろな実物や模型・はく製・標本・日用品を含む造形品などの観察を深め,形や材質,部分の特徴などをつかませ,その表現をくふうさせる。また,製作のために必要な用具に慣れさせる。
イ 使用する材料は,粘土類など可塑材料を主とし,やわらかい石材や木材・硬土など彫り刻んで造形するものも用いる。
ウ 児童の心にあるものの自由表現と,観察による表現との二つの方法により,自由に題を選んで作らせたり,題を与えて作らせたりする。
エ 作り方は,まる彫りを主とし,必要に応じて浮き彫りも試みさせ,製作の技法については徐々に会得させる。
(4) デザインをする。
ア 自分で使うものや環境のデザインなど,用途をもったものを主とし,生活領域の広まるのに従って扱う範囲を広める。ただし,感覚訓練や着想を育てるための用途をもたない自由構成のデザインもさせる。
イ 感覚を通して,対象・つりあい・リズム・大小強弱その他の対照,だんだん小さく,だんだん強くなどの変化の美しさがわかるようにさせる。
ウ 平面・立体両様のデザインを経験させる。
エ デザイン構成の方法,表現の方法などは,児童の必要と要求に応じて少しずつ指導する。また,経験を通してデザインのもつ美的あるいは機能的秩序を少しずつ理解させ,作品のよしあしの判断ができるようにさせる。
(5) 役に立つものを作ったり,構成の練習をしたりする。
ア 作るものは,生活上役に立つもの,構成上興味あるものなどとし,これらのものの中から,各種の紙・布・粘土・竹・木・針金その他身辺にある材料を使って作らせる。役に立つものを作る場合は,美と用との関係について初歩的な理解をさせる。
イ 作るものを頭に浮かべて構想し,具体的な計画に基づき材料を選び製作の順序方法を検討して作る経験をさせる。その間におのずから,いろいろな作り方を体得させる。
ウ 木材の切り方,削り方,接合方法,針金の切り方,曲げ方などの初歩を会得させる。粘土の成形,その他必要な初歩技術を習得させる。
エ ものさし・定木・コンパス・図画板,簡易な木工用具や金工用具その他必要な用具の使い方と手入れのしかたを練習させる。
(6) 機構的な玩(がん)具・模型の類を作る。
ア 作るものは,ゴム・ばねその他動力を利用した玩(がん)具・模型の類の中から,適当なものを選ばせて作らせる。
イ 使用材料は(5)に示したものに準ずる。
(7) 造形品を鑑賞する。
ア 鑑賞するものは,児童の作品や身近な造形品などとする。
イ 必要に応じて鑑賞に関係のあることがらを理解させる。
ウ 作品鑑賞の態度を養う。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容(1),(2),(3),(4),(5),(6),(7)については,その一部に偏することのないように留意する。
(2) 内容に示す各事項は,それぞれ孤立することなく互いに関連して学習させ,また,適宜分合して学習内容を組織して指導する。
(3) 機会をとらえて共同製作をさせる。
(4) 学習によって得た力をなるべく生活に適用する機会を与える。たとえば,身辺にあるものの整理,地図の作製,学校行事等に関係あることなど。
(5) 内容(2)には,かく絵とはって作る絵およびこれらの組み合わせによる絵とがある。
(6) 内容(2)の指導にあたって,かいたり作ったりする想念を心の中にたくわえるためには,感覚を鋭くして,環境を注意深く観察したり,また,あらゆるものからヒントを得てそれを自分のものとして発展させるためのくふうをさせる。
(7) 内容(3)の観察の対象物は,大きすぎたり,また小さすぎたりしないこと。
(8) 内容(5),(6)の身辺にある材料としては,糸・毛糸・紙ひも・ビニル管などがある。
(9) 内容(5),(6)においては,計画を図で表わすのは困難であるので,ことばで計画を表現したり,計画を発表しあえるよう指導する必要がある。

〔第6学年〕
 1 目  標
(1) ものにさわってその特性を理解する能力を養う。
(2) ものや絵を作ったり,かいたりする活動において,計画的に表現する力をいっそう高める。
(3) 何をどのようにかいたり,作ったり,飾ったりし,何のためにするか,どんな感動を表わすかについて,構想力を高める。
(4) 自己の創造的表現について自覚し,表現に対する誇りと自信をもたせる。
(5) 表現材料や用具の範囲,種類を拡充し,材料・用具を取り扱う体験をいっそう深める。
(6) 表現の技術について注意し,形,材質,材料のもつ地はだの感じ,それらの組み合わせによってできる構成の美しさを理解させる。
(7) 自由な表現力をいっそう高めるとともに,用途上の目的をもつ表現力をいっそう高め,それぞれの表現が違った価値のあることを理解させる。
(8) 作品のよしあしを判断できるようにし,鑑賞する能力を養う。

 2 内  容
(1) 観察する。
 第5学年の内容をさらに深める。
(2) 絵をかいたり作ったりする。
ア 各自の心の中にある想念や,外界の物体を観察しながらそれを絵で表現する。自由にかいたり,作ったりすることを主とするが,話し合いで題を決めたり,題を与えてかかせたり作らせたりすることもある。
イ 題材は,児童の生活領域に応じて,その範囲をしだいに広めるとともに,特色ある場面も選ばせる。
ウ かき方,作り方は,児童各自の持ち味を発展させることを根底とし,必要に応じて,技法的なものも加える。
エ 表現の結果について反省し,作品のよしあしについて,いくらかの判断ができるようにさせる。
オ 材料や用具としては,図画板・点筆・点字用紙・各種の紙類・糸・布・ひも類・木竹類その他各種のものを使いこなす力を増し,かいたり,作ったりするものの表現意図によって,適当なものを選べるようにする。
(3) 彫塑を作る。
ア いろいろな実物や模型・はく製・標本・日用品を含む造形品などの観察を深め.形や材質,部分の特徴などをつかませ,その表現をくふうさせる。また,製作のために必要な用具に慣れさせる。
イ 使用する材料は,粘土類など可塑材料を主とし,やわらかい石材や木材・硬土など彫り刻んで造形するものも用いる。
ウ 児童の心にあるものの自由表現と観察による表現との二つの方法により,自由に題を選ばせて作らせたり,題を与えて作らせたりする。
エ 作り方は,まる彫りを主とし,必要に応じて浮き彫りも試みさせ,製作の技法を会得させる。
(4) デザインをする。
ア 用途をもったもののデザインを主とし,生活領域に応じてしだいに扱う範囲も広める。ただし,感覚訓練や着想を育てるための用途をもたない自由構成のデザインもさせる。
イ 感覚を通して,対称・つりあい・リズム・大小強弱その他の対照,だんだん小さく,だんだん強くなどの変化の美しさがわかるようにさせる。
ウ 平面・立体両様のデザインを経験させる。
エ デザイン構成の方法,表現の方法などは,児童の必要と要求に応じて少しずつ指導する。また,経験を通してデザインのもつ美的あるいは機能的秩序をだんだん理解させ,作品のよしあしの判断ができるようにさせる。
オ デザインの意味を作品を通して理解させ,デザインと絵や工作との違いについて,いくらかわかるようにさせる。
(5) 役に立つものを作ったり,構成の練習をしたりする。
ア 作るものは,生活上役に立つもの,構成上興味あるものなどとし,これらのものの中から,各種の紙・布・粘土・竹・木・針金・板金その他身辺にある材料を使って作らせる。役に立つものを作る場合は,美と用との関係について理解させる。
イ 作るものを頭に浮かべて構想し,参考品などをみたりして構想を発展させ,やや精密な計画に基づき,材料や用具を選び製作の順序方法を検討して作る経験をさせる。その間にいろいろな作り方を体得させる。
ウ 木材の切り方,削り方,接合のしかた,針金・板金の切り方,曲げ方,接合のしかたなどの初歩を会得させる。粘土の成形,その他必要な技術を習得させる。
エ ものさし・定木・コンパス・図画板,簡易な木工用具や金工用具その他必要な用具の使い方と手入れのしかたについて練習させる。
(6) 機構的な玩(がん)具・模型の類を作る。
ア 滑車・べルト機構・歯車機構その他簡単な機構やゴム・ばねその他の動力を利用した玩(がん)具・模型の類などの中から,適当なものを選ばせて作らせる。
イ 使用材料は(5)に示したものに準ずる。
(7) 造形品を鑑賞する。
ア 鑑賞するものは,児童の作品,身近な造形品,児童にわかりやすい彫刻および工芸品などとする。
イ 必要に応じて鑑賞に関係のあることがらを理解させる。
ウ 作品鑑賞の態度を養う。

 3 指導上の留意事項
(1) 内容(1),(2),(3),(4),(5),(6),(7)については,その一部に偏することのないように留意する。
(2) 内容に示す各事項はそれぞれ孤立することなく互いに関連して学習させ,また,適宜分合し学習内容を組織して指導する。
(3) 機会をとらえて共同製作させる。
(4) 学習によって得た力をなるべく生活に適用させる機会を与える。たとえば,学校園や校庭の整備,教室の整理や装飾,自分の持ち物,家庭用品や学校備品の簡単な修理など。
(5) 内容(2)には,かく絵とはって作る絵,およびこれらの組み合わせによる絵とがある。
(6) 内容(2)の指導にあたっては,かいたり,作ったりする想念を心の中にたくわえるためには,感覚を鋭くして,環境を注意深く観察したり,また,あらゆるものからヒントを得てそれを自分のものとして発展させるためのくふうをさせる。
(7) 内容(3)の観察の対象物は,大きすぎたり,また小さすぎたりしないこと。
(8) 内容(5),(6)においては,計画を図で表わすのは困難であるので,ことばで計画を表現したり,身近な材料でひな型を作らせることも必要である。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 内容に示した事項は,学年が進むにつれてしだいに多くなっている。これは高学年に至るほど指導の内容を分析的に細かく取り上げてあるためである。したがって,特に低学年の指導にあたっては,高学年において取り上げてある事項が未分化的に含まれているものと解して,その学習をすすめるよう考慮する必要がある。
2 内容中題材や材料などについて例をあげてあるが,それらは必ずしも全部学習させなければならないというものではない。材料・施設その他学校の実情に応じて取捨選択してよいし,また,図画工作科の指導目標にかなったものであるならば,その地方特有のものを課してもよい。しかし,その内容が一部に偏することのないように留意することがたいせつである。
3 各学年の内容には,自由に題を選ばせてかかせたり,作らせたりするところがあるが,これらはただ「好きなものを作れ」といって放任するのではない。その指導にあたっては指導の目標を確認し,一つの学習から次の学習への移行が発展的になされ,全体として学習が体系的なまとまりのある経験となるよう計画されなければならない。
4 作品の評価にあたっては,視覚による基準をあてはめることのないように留意する。
5 指導の適切を図るために実物・作品・模型・日用品などの造形品の資料をじゅうぶんに準備し,有効に利用することが望ましい。
 また,危険をともなう用具・機械などの取り扱いに際しては,安全の保持にじゅうぶん留意することがたいせつである。


 

第7節 家   庭

第1 目  標

1 被服・食物・すまいなどに関する初歩的,基礎的な知識・技能を習得させ,日常生活に役だつようにする。
2 被用・食物・すまいなどに関する仕事を通して,時間や労力,物資や金銭を計画的,経済的に使用し,生活をいっそう合理的に処理することができるようにする。
3 健康でうるおいのある楽しい家庭生活にするように,被服・食物・すまいなどについて創意くふうする態度や能力を養う。
4 家庭生活の意義を理解させ,障害を克服し家族の一員として家庭生活をよりよくしようとする心構えや実践的態度を養う。
 家庭科は,第4学年までにおける家庭生活についての経験や学習の発展に即応し,組織的,実践的な指導を行なうため,第5学年から置かれるものである。

 上に掲げた目標は,相互に密接な関連をもつものである。目標1は,家庭科で指導すべき中心的なねらいであり,目標2および3は,目標1のねらいを具体的,重点的に示したものであって,この指導にあたっては家庭科の特性上,常にその根底において目標4が考慮されなければならない。

第2 各学年の目標および内容

〔第5学年〕
 1 目  標
(1) 日常の身なりを整えたり,被服を清潔に保ち,正しくしまつしたりする初歩的な知識・技能を身につけさせる。
(2) 布と糸や針を用いて簡単な日常用いる身のまわりのものを作らせ,製作に関する初歩的な知識や基礎的な技能を身につけさせるとともに,製作の喜びを味わわせる。
(3) 食事のしたくやあとかたづけのしかたを習得させ,進んで,手伝おうとする態度を養うとともに,日常の食事作法を身につけさせる。
(4) 日常の食物の栄養について理解させ,調理の初歩的な知識や基礎的な技能を身につけさせる。
(5) すまいの清掃や整理・整とんに関する初歩的な知識や技能を身につけさせ,気持ちよく住まおうとする態度を養う。
(6) 家族の一員として自分の役割を知り,家庭の仕事に協力し,楽しい家庭生活を営もうとする態度を養う。

 2 内  容
A 被  服
(1) 身なりの整え方を理解させる。
ア 日常着の正しい着方について,下着や上着の種類,着る順序,姿勢との関係などを知る。
イ 自分にふさわしい衣服の形,色などについて考える。
ウ 日常の身なりを整える。
(2) 衛生的な被服の着方を理解させ,簡単な洗たくができるようにする。
ア 衛生的な下着の選び方について,地質,色,形,大きさなどから考える。
イ もめんの下着などの簡単な洗たくの実習をし,実践するように努める。
(ア) 洗たくにふさわしい身じたくを知る。
(イ) 洗たく用具の種類と使い方を知る。
(ウ) 洗剤の種類,用いる分量,用い方について知る。
(エ) 洗い方,しぼり方,干し方およびたたみ方を知る。
(3) 簡単な被服の手入れや,しまつのしかたができるようにする。
ア 被服の手入れやしまつのしかたを調べる。
イ ブラッシの使い方を知る。
ウ 自分の衣服のたたみ方を実習する。
エ 自分の日常着の整理・整とんのしかたを考える。
(4) 布と糸や針を用いて,日常用いる台ふきおよび袋類を作らせる。
ア 製作するものの目的や用途に適した布やその他の材料の選び方,ととのえ方を知る。イ 使用の目的に適した形や大きさ,調和のとれた形を考える。
ウ 製作用具の種類やそれぞれの使い方,扱い方を知る。
エ 寸法の取り方,決め方,縫いしろの決め方,取り方を知る。
オ 手縫いの基礎として,なみ縫い,玉むすび,玉どめ,すくい返しどめおよび重ねつぎができる。
カ 手縫いのほかにミシン縫いがあることを知る。
キ 装飾の一つとして,アップリケなどのししゅうがあることを知る。
ク 仕事を計画的に手順よく進めるようにする。
ケ 製作の楽しさや,製作品を使うことの喜びを味わう。

B 食  物
(1) 日常の食事のぜんだてやあとかたづけのしかたを理解させ,進んでそれらを実行するようにさせる。
ア 日常の食事のぜんだてやあとかたづけを,衛生的,能率的にするしかたを考えて実習する。
イ 家族が気持ちよく楽しく食事をすることができるように,くふうする。
ウ 食品やふきんの取り扱い方,洗い方,しまい方を衛生的にする。
エ 食事の場や台所を情潔に保つように努める。
(2) 食物の栄養について理解させる。
ア 食事についての栄養的な意義について考える。
イ 日常食品の栄養素について調べる。
ウ 栄養的な基礎食品群について知る。
(3) 野菜の生食,ゆで卵,青菜の油いためなどの簡単な調理を実習させる。
ア 調理にふさわしい身じたくをする。
イ 調理用具の種類と使い方,簡単な手入れのしかたを知る。
ウ 調理に必要な計量器の使い方をくふうする。
エ 材料の見分け方について調べる。
オ 燃料やこんろの安全で合理的な使い方を知る。
カ 調理用具・食器などの安全で能率的な配置を考える。
キ 食品・調理用具・食器などを衛生的に取り扱う。
ク 調理するものの目的や,栄養の効果などを考えて,食品を洗ったり,切ったり,加熱したり,味をつけたり,盛りつけたりするしかたができる。
ケ 廃棄物を衛生的に処理する。
コ 計画に従って手順よく仕事を進める。
サ 仕事を協力して能率的に進める。
(4) 日常の食事作法を身につけさせる。
ア これまでの経験をもとにして,日常の食事の望ましいしかたについて考える。
イ お茶の入れ方,飲み方,菓子やくだものの食べ方を実習する。
ウ 来客に対する茶菓やくだもののすすめ方を実習する。

C す ま い
(1) すまいの清掃の正しいしかたを理解させ,簡単なそうじ用品を作らせ,進んで清掃を実行するようにさせる。
ア すまいを清掃することの必要について,衛生上,精神上などから考える。
イ そうじに適当な身じたくについて考える。
ウ すまいの各部の清掃のしかたを知り,実践するように努める。
エ そうじ用具の種類やその使い方,しまい方および手入れのしかたを知る。
オ ぞうきん,ちりとり,くず入れなどのような簡単なそうじ用品を作ったり,修理加工したりする。
(2) すまいの整理・整とんのしかたを理解させ,実践させるようにする。
ア すまいを整理・整とんする必要について考える。
イ 自分の持ち物の整理・整とんのしかたについて,類別,使用に便利な置き方,使用度数による置き場所,整とんの美しさなどを考えてくふうする。
ウ 室内や家のまわりの整理・整とんのしかたをくふうする。
エ 調和のある物の置き方を考える。
オ 整理箱や整理袋の活用を考える。

D 家  庭
(1) 家庭の一員としての役割を認識させて,責任を果たすようにさせる。
ア 家族はそれぞれどんな立場や役割をもっているかを調べる。
イ 自分の家庭における仕事の種類や分担の様子を調べる。
ウ 家族としての望ましいあり方を考える。
エ 家庭生活を維持向上するために,自分のとる態度について考える。
(2) 応対や訪問のしかたができるようにする。
ア 来訪者に対する適切な応対について考える。
イ 来客の取り次ぎ,接待のしかたを実習する。
ウ 適切なあいさつや動作ができるように訪問のしかたを実習する。

 3 指導上の留意事項
(1) A(1)は,自分の身なりに関心をもち,ほころびや繕う箇所などがあったら,繕ってもらうようにする。
(2) A(1)のアは,正しい着方や姿勢について特に留意して指導する。
(3) A(1)のイは,衣服にはいろいろな形,色などがあることを知らせ,自分にふさわしい形,色などについて指導する。
(4) A(1)のウは,ボタン,スナップなどがどのように使われているかを理解させる。
(5) A(4)のウ,エは,盲児童に適したものさし,針,糸通しなどを利用する。
(6) A(4)のカのミシンについては,手縫いと比較しながら,知識として理解する。
(7) Bの(2)は,特に理科との関連を考える。また,(3)の調理の実習は,年間2回程度行なうことにする。
(8) B(3)のエは,材料の見分け方は盲児童に適した方法をくふうする。
(9) B(3)のキは,はし以外に手を使用することが多いので,特に手の清潔には注意する。
(10) Bの(4)は,簡単な配膳,はしの使い方,食事のしかたなどに留意して指導する。
(11) B(4)のイ,ウは,Dの(2)と関連させて,取り扱うようにする。
(12) C(2)のオは,身近にある箱や袋を利用したり,市販の整理袋,整理箱を活用させる。
(13) Dの(1)は,盲児童は,ややもすると家族の一員であることの自覚を失いがちであり,特に寄宿舎等で生活をする児童にこの傾向が強いので,この点留意して適切に指導することがたいせつである。
(14) Dの(2)は,盲児童は,特に応対や訪問の際の礼儀に欠けていることが多いので,機会あるたびに指導する。

〔第6学年〕
 1 目  標
(1) 日常生活において目的に応じた被服の着方や被用の手入れができ,被服生活を計画的に営むようにさせる。
(2) 簡単な被服や布・糸利用の日用品をくふうして製作し,被服に関する基礎的な知識・技能を身につけさせる。
(3) 日常食の栄養的な取り方について理解させ,調理に関する初歩的な知識や基礎的な技能を身につけさせるとともに,調理を能率的に安全にしようとする態度を養う。
(4) 食事のもつ社交的意義を知り,望ましい態度で食事ができるようにする。
(5) 健康的で合理的なすまい方をくふうし,すまいの美化やすまい方の改善に関心をもたせ,これを実行する態度を養う。
(6) 家庭の機能を理解し,家庭と協力して,家庭生活の向上を図り,時間や労力,物資や金銭を合理的に使用する態度を養う。

 2 内  容
A 被  服
(1) 目的に応じた被服の着方ができるようにする。
ア 衣服の暖かい着方,涼しい着方について,衣服の材料,形,色,重ね方などを知る。
イ 気温に応じた被服の調節のしかたについて知る。
ウ 活動に便利な衣服について考える。
エ 調和のとれた着方や持ち物の調和についてくふうする。
(2) 被服の日常の手入れについて,繕い,洗たく,アイロンかけなどができるようにし,また保存のしかたを理解させる。
ア 運動服,簡単な上着などのような衣服の洗たくを実習する。
(ア) 布地の種類に応じた洗剤の選び方,用い方,合理的な洗い方を知る。
(イ) 洗い場の高さ,洗たく用具の能率的な置き方などをくふうする。
イ アイロン仕上げを実習する。
(ア) 布地の種類とアイロンの温度との関係を知る。
(イ) アイロンの扱い方,かけ方,しまい方を知る。
ウ 布のいたみに応じた繕い方として,かぎざきの繕い,穴の繕いおよび布の弱った部分の繕いについて知る。
エ 墨,どろ,果じゅう,絵の具,しょうゆ,油,えりあかなどのしみやよごれの簡単な取り方について知る。
オ 防虫や防湿に適した容器,防虫剤の種類や使い方を調べ,被服を保存する方法を知る。
(3) 自分の被服生活を計画的にするようにさせる。
ア 自分に必要な被服の種類や数を調べ,計画的に使用することができる。
イ 被服を長持ちさせるようにくふうする。
ウ 被服の補充について,既製品を選んで買う,更生利用,手製のくふうなどの方法について考える。
(4) カバー類のような簡単な被服や,布・糸利用の日用品をくふうして作らせる。
ア 必要に応じたものをくふう製作する。
イ 製作の目的を明らかにし,仕事を計画的に手順よくする。
ウ 用途に適した布やその他の材料を選び,ととのえる。
エ 使用の目的に適した形や大きさ,調和のとれた形をくふうする。
オ 製作用具の使い方,扱い方に慣れる。
カ 裁ち方をくふうする。
キ 手縫いの基礎として,まつり縫い,半返し縫い,本返し縫いができ,手縫いの縫い方に慣れる。

B 食  物
(1) 栄養的な食物の取り方を理解させる。
ア 栄養的な食品の選択や組み合わせ方を知る。
イ 栄養,費用,季節,好みなど考えて,献立を作らなければならないことを知る。
ウ 日常食の簡単な献立を作る。
エ 献立した食物のおおよその量を知る。
(2) ごはん,みそしる,目玉焼き,こふきいも,サンドイッチ程度の簡単な日常食の調理を実習させる。
ア 材料をととのえる時間を知る。
イ 鮮度,品質,費用などを考えて材料を選ぶ。
ウ 調理台,流しなどの高さや配置は仕事の能率に関係あることを知る。
エ 調理するものの目的や,栄表の効果などを考えて食品を洗ったり,切ったり,加熱したり,味をつけたり,盛りつけたりするしかたができる。
オ 調理用具や調理に必要な計量器の使用に慣れる。
カ 燃料やこんろの安全で合理的な使用に慣れる。
キ 食品・調理用具・食器などを清潔に取り扱い,廃棄物は衛生的に処理する。
ク 調理にふさわしい身じたくをし,仕事を協力して計画的,能率的にする。
ケ 自分の家の台所に関心をもち,安全,衛生,能率などについて考える。
(3) 日常の食事作法や会食のしかたを身につけさせる。
ア 皆とともに望ましい態度で食事をするしかたを実習する。
イ 明るい清潔な食事の場をつくり,楽しく会食するしかたを実習する。

C す ま い
(1) すまいの各場所のはたらきを理解させ,健康なすまい方をくふうさせる。
ア 清潔なすまい方について,簡単な消毒や殺虫のしかた,大そうじの時期・方法・効果,梅雨時の処置などを知る。
イ 涼しく住むために,気温と湿度との関係,通風,日よけ,必要な家具・用具などを知り,くふうする。
ウ 暖かく住むために,日当たり.暖房のしかた,へやの適当な温度・換気,暖房用具の種類・特徴・使い方などを知り,くふうする。
エ 必要な明るさが得られるように,採光のしかたや,照明器具の種類・特徴・使い方を知る。
オ 安全に住めるように災害予防に関心をもち,その簡単な方法を調べる。
(2) 調和のある楽しいすまいをくふうさせる。
ア 調和や能率を考えて,物の配置や飾りつけをくふうする。
イ 室内の美化について考え,雑誌入れ,花びんしき,壁かけ,カーテン,のれんなどのような実用品や,装飾品があることを知る。

D 家  庭
(1) 合理的な生活について考えさせ,これを実践しようとさせる。
ア 家庭の機能について知る。
イ 家の仕事のしかたについて,能率的,計画的にすることをくふうする。
ウ 家庭の生活時間のだいたいを調べて,規則正しい生活をしたり,余暇を利用して生活を楽しくすることなどをくふうする。
エ 金銭の使い方について,じょうずな買い物のしかたを考えたり,金銭の収支の記録のしかたを実習する。

 3 指導上の留意事項
(1) A(1)のエは,盲児童は,自分ではわからないことが多いので,特に留意して指導する。
(2) A(2)のイの材料は,簡単なものとする。
(3) Bの(2)の調理の実習は,年間3回程度行なうことにする。また,(3)は(2)と関連して取り扱うようにする。
(4) Cの(1)は,理科で学習したことをもとにして,生活に生かす方法を具体的に考えさせ,実践できるようにする。
(5) C(2)のイは,既製品の選択や合理的な利用について関心をもたせる。
(6) Dの(1)は,A,B,Cの内容を指導する際に,いろいろな角度から考えさせ,実践しようとするように配慮する。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 指導計画の作成について,次の事項を考慮する。
(1) 第2に示した内容は,領域ごとの指導を示したものではなく,また指導の順序を示したものでもない。
 指導計画作成にあたっては,これらの内容を盲児童の家庭生活や宿宿舎生活などの経験を考え,生活的なまとまりをもたせ,相互に有機的関連をもって指導できるようにする。その際,盲児童の特性,地域の事情や季節との関連などを考慮し,盲児童の生活経験を生かすとともに,学習に対する興味や必要感を起こさせるようにする。
(2) 題材は常に盲児童の家庭生活や寄宿舎生活などの実際的な必要や問題に基づいて選び,実習・製作・燥作・応用などの実践的な学習を通して指導する。知識や理解を主とした内容も,教師の一方的な講義に終わることなく,盲児童の興味,必要,経験などに基づき,家庭などの実際的な仕事と結びつけて指導しうるように,題材の作成をくふうする。
(3) 被服・食物・すまいなどに関する技能の発展的系統をよく吟味して,その基本的なものから順序を追って発展的に指導できるようにする。
(4) この段階の男女の盲児童の家庭生活,寄宿舎生活などにおける仕事の分担の違いや興味の違いなどの特性に応じ,無理のないようにする。
(5) 他の教科や道徳などの指導との関連をじゅうぶんに考慮する。家庭科は教科の特性上,他の教科や道徳などの指導との関係がきわめて密接であるから,指導計画の作成にあたっては,関連する内容の取り扱いについてよく検討する。
2 技能の指導は,正確に身につけさせることをねらいとする。しかし,単に手先の巧みさだけをねらっているのではなく,学習の過程における注意深さ,どう察やくふう,構想力などの発達をねらっているのである。それゆえ,指導にあたっては,目的をはっきりさせ,学習の意味をよく理解させることが必要である。また合理的に学習させるように指導するとともに,楽しく学習させるようにくふうしたり,完成の喜びを味わわせることがたいせつである。
3 学習は作業を伴うことが多いから,実際の指導にあたっては,学校の施設・設備をじゅうぶんに活用するように,くふうすることが必要である。なお,学習活動においては危険を伴う用具・機械などを取り扱う場合が多いので,安全の保持にじゅうぶん注意する。
4 学習指導においては,教科の特性上,家庭や寄宿舎生活などとの関連を図ることが特にたいせつである。


 
第8節 体  育

第1 目  標

1 各種の運動を適切に行なわせることによって,基礎的な運動能力を養い心身の健全な発達を促し,活動力を高める。
2 各種の運動に親しませ,運動のしかたや技能を身につけ,生活を豊かにする態度を育てる。
3 運動やゲームを通して,公正な態度を育て,進んで約束やきまりを守り,互いに協力して自己の責任を果たすなどの社会生活に必要な態度を養う。
4 健康・安全に留意して運動を行なう態度や能力を養い,さらに保健の初歩的知識を理解させ,健康な生活を営む態度や能力を育てる。

 上に掲げた目標は,相互に密接な関連をもつものである。目標2,3および4は,主として運動を中心とする具体的な学習を通して達成されるものであるが,目標1は,これらの目標を目ざして継続的な学習を行なうことによって,はじめて達成しうるものであるから,目標2,3および4の指導の根底には,常に目標1が考慮されなければならない。
 なお,目標4については,各学年を通じて.各種の運動の実践にあたって必要な健康・安全に関する態度や能力の育成に努めるとともに,特に第5学年以上において,健康な生活を営むために必要な保健に関する初歩的な知識を得させることを目ざしている。
 次に示す各学年の目標は,児童の発達段階に応じ,上記の目標を達成するために必要なことがらを具体的に示したものである。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
 1 目  標
(1) 各種の簡単な運動を行なわせることによって,基礎的な運動能力を養う。
(2) だれとでも仲よくし,また,きまりを守って楽しく運動を行なう態度を育てる。
(3) 運動と関連した健康・安全についてのきまりを守る態度や習慣を養う。

 2 内  容
A 徒 手 体 操
(1) 次のような運動によって,身体を全身的,総合的に動かすことができるようにする。
ア しゃがんだり,立ったりする。
イ 足を大きく開いたり,片足または両足でとんだりする。
ウ 両手で押したり,引いたりする動作をする。
エ 腕をいろいろな方向に振り上げたり,振り回したりする。
オ 片手をすり上げながら体を左右に曲げる。
カ 開脚で,足首を握って体を前に深く曲げたり,手を腰にあて体を後ろにそらせたりする。
キ 体を左右に回して,体側で手をたたく。
(2) 楽しくきまりよく運動を行なう態度を育てる。

B 器 械 運 動
(1) 次の運動によって,器械・器具の取り扱いに慣れさせ,いろいろな,器械遊びができるようにする。
ア 固定施設による遊び……固定施設(たとえば,ぶらんこ,シーソー,すべり台,登り棒,雲梯(てい),ジャングルジム,平均台など)を使って運動する。
イ 鉄棒遊び……腕立てとび上がり,足かけ振り.後ろおり,足ぬき回りをする。
ウ とび箱遊び……またぎ越し,踏み越し,腕立てとび上がり,とびおりをする。
エ マット遊び……横回り,ゆりかごをする。
(2) だれとでも仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア 友だちの運動をよく知る。
イ まつときの順番を守る。
ウ 運動をしているものに近寄らない。

C 陸 上 運 動
(1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。
ア かけっこ……約20m走る。
イ 並びっこ……位置を移動して早く並ぶ。
ウ 円周走………ロープをもってひとりで回る(半径約5m)。
エ 川とび………片足や両足でとぶ。
オ ゴムとび……ひざの高さぐらいをとび越す。
(2) だれとでも仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア 並んで順番を守る。
イ 走るとき,他人を押したり突いたりしない。
ウ 用具の準備を手伝う。

D ボール運動
(1) 次の運動によって,ボールの取り扱いに慣れさせ,簡単なゲームができるようにする。
ア 手渡し順送球……ボールを上・横から手渡しする。指を開いて両手でボールを捕える。
イ ころがしドッジボール……ボールをころがし,中の者にふれないようにする。中の者は,できるだけボールにふれるようにする。
ウ ボール投げ……音のする方向ヘボールを投げる。
エ ボールけり……とまっているボールをける。
(2) だれとでも仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア 並んで順番を守る。
イ 合い図や約束を守る。
ウ 逃がしたボールを進んで取りにいく。
エ ボールを避けたり取ったりするとき他人を押したり突いたりしない。

E リズム運動
(1) 次の歌を伴う遊びや模倣遊びを行なわせ,楽しくリズム運動ができるようにする。
ア 簡単な歌を伴う遊び
(ア) 夕やけこやけ,かごめかごめ,あわぶくたった,おしくらまんじゅうなどをする。 (イ) 1重円や1列横隊で,スキップ,ランニング,ウォーキングなどをする。
イ 模倣遊び
(ア) 動物,乗り物,遊びなどを理解し簡単な模倣をする。
(イ) ひとりないしふたりで,はう,ころがる,歩・走,跳躍,屈伸などの1,2拍動作を速度を変えて行なう。
(2) だれとでも仲よく運動を行なう態度を育てる。
ア だれとでも組んで遊ぶ。
イ 役を代わりあって遊ぶ。

F その他の運動
(1) 次の運動ができるようにする。
ア すもう………押し出し遊び,片足ずもうをする。
イ 鬼遊び………ひとり鬼,けん鬼などをする。
ウ なわとび……短なわで片足前とび,両足とび,1回旋2跳躍とびをする。
エ 水遊び………水中を歩いたり,とんだりするなどの遊びによって水に慣れる。
(2) だれとでも仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア すもう,鬼遊びなどの遊び方の約束を守る。
イ 用具を仲よく使う。
(3) 水遊びの心得を知らせ,日常生活に生かされるようにする。
ア 水遊びの前後には,必ず人員点呼を受ける。
イ プールにはしる前には,必らず用便をすませ,水遊び後は,きれいな水でからだや目を洗う。
ウ ひざぐらいの深さで遊ぶ。
エ 決してひとりだけで水遊びにいかない。
オ あぶない場所,知らない場所で水遊びをしない。
カ あぶないときやおぼれた人がいたときは,大声で近くの人の助けを求める。

G 以上のAからFまでの各領域を通じて,次の事項を指導する。
(1) 運動でけがをしないようにし,からだの情潔に気をつける態度や習慣を養う。
ア 運動する場所の小石や危険物を確かめて取り除く。
イ 運動後,手足を洗い,汗をふく。

 3 指導上の留意事項
(1) 各運動の指導において,必要に応じて,教師の合い図で縦隊に早く並べるようにする。また押したり突いたりしないで,静かに早く(歩いて)自由隊形に集合できるようにする。
(2) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える。つめを短く切るなどについて適切に行なうようにする。
(3) Aの(1)の内容は,運動の範囲や方法の例を示したものである。指導にあたっては,事物や動作の模倣などを取り入れるとともに座臥(が)姿勢で行なうことも考慮する。このことについては,第2学年および第3学年においても同様である。
(4) Dの運動を行なうにあたっては,ボールをもらうほうも渡すほうも,必ず合い図をさせるようにする。このことについては,第2学年から第6学年までの各学年においても同様である。
(5) 内容の各領域における指導にあたっては,「第3 指導計画作成および学習指導の方針」に示す歩行に関する事項を参考にして,各児童の歩行能力の向上を図るよう配慮する。このことについては,第2学年から第6学年までの各学年においても同様である。

〔第2学年〕
 1 目  標
(1) 各種の簡単な運動を行なわせることによって,基礎的な運動能力を養う。
(2) 運動をするときの簡単なきまりをつくり,みんなで同じ運動を仲よく楽しく行なう態度を育てる。
(3) 競争やゲームにおいて,規則を守り,負けてもすなおに認める態度を育てる。
(4) 運動と関連した健康・安全についてのきまりを守る態度や習慣を養う。

 2 内  容
A 徒 手 体 操
(1) 次のような運動によって,身体を全身的,総合的に動かすことができるようにする。
ア しゃがんだり,背伸びしたりする。
イ 足を大きく開く。
ウ 両足または片足で,移動したり,むきを変えたりしてとぶ。
エ 両手で押したり,引いたりする動作をする。
オ 腕をいろいろな方向に振り上げたり,振り回したりする。
カ 片手をすり上げながら,体を左右に曲げる。
キ 指先が,地面や足先につくまで体を前に深く曲げる。
ク 開脚で,腕を下げたまま体を後ろにそらせる。
ケ 開脚で,体を前に深く振り曲げ,両脚の間から後ろに物を投げたり,体を後ろにそらせ,頭の上から後ろに物を投げたりする動作をする。
コ 体を左(右)に回して,両手で左(右)から後ろに物を投げる動作をする。
(2) 楽しくきまりよく運動を行なう態度を育てる。

B 器 械 運 動
(1) 次の運動によって,器械・器具の取り扱いに慣れさせ,いろいろな器械遊びができるようにする。
ア 固定施設による遊び……固定施設(たとえば,ぶらんこ,シーソー,登り棒,雲梯(てい),ジャングルジム,平均台など)を使って運動する。
イ 鉄棒遊び……腕立てとび上がり,足かけ振り,前回りおり,足ぬき回り(前後連続)をする。
ウ とび箱遊び……またぎ越し,踏み越し,腕立てとび上がり,とびおりをする。
エ マット遊び……ふたり組み横回り,前回りをする。
(2) 友だちと仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア 気づいたことを進んで話し合い注意しあう。
イ 器具の使い方のきまりを守る。
ウ 順番を守って運動をする。

C 陸 上 運 動
(1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。
ア かけっこ(約30m)……合い図に従ってスタートする。
イ 円周走……ロープをたるませないで回る(半径約5m)。
ウ かけ足……約1分間同じ調子でかけ足あしぶみをする。
エ 川とび……片足や両足で踏み切ってとぶ。
オ ゴムとび……腰の高さぐらいをとぶ。
(2) 友だちと仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア 途中でやめないで最後まで走る。
イ 決められた約束を守る。
ウ だれとでも楽しく行なう。

D ボール運動
(1) 次の運動によって,ボールの取り扱いに慣れさせ,簡単なゲームができるようにする。
ア ころがし順送球……両手で相手の取りやすい所にボールをころがす。それたボールは移動して捕える。
イ 円形ドッヂボール……外側の味方をねらってころがす。中の者は,ボールにふれたり捕えたりする。
ウ ボール投げ……ボールを音のある目標に当てる。ボールを遠くへ投げる。
エ 対列ボールけり……ボールを手・体でとめ,けり返す。
(2) 友だちと仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア ボールの奪いあいをしないなどの簡単なきまりをつくって遊ぶ。
イ 乱暴やじゃまをしないで遊ぶ。
ウ ゲームで負けてもすなおにそれを認める。
エ ボールをたいせつに取り扱い,決められた場所に返す。

E リズム運動
(1) 次の歌を伴う遊びや模倣遊びを行なわせ,楽しくリズム運動ができるようにする。
ア 簡単な歌を伴う遊び
(ア) 花いちもんめ,かりにいきましょう,のぞきっこ,ぴょんぴょんとんで,などをする。
(イ) 1重円や1列横隊で,スキップ,ランニング,ウォーキングなどをする。
イ 模倣遊び
(ア) 動物,乗り物,遊び,手伝いなどを理解し簡単な模倣をする。
(イ) ひとりないしふたりで,はう,ころがる,歩・走,跳躍,屈伸などの1,2拍動作を速度を変えて行なう。前後に移動したり回ったりする。
(2) だれとでも組みになって,同じ遊びができるような態度を育てる。
ア だれとでも組んで遊ぶ。
イ 役を代わりあって遊ぶ。

F その他の運動
(1) 次の運動ができるようにする。
ア すもう……押し出し遊び,片足ずもうをする。
イ 鬼遊び……簡単な鬼遊びをする。
ウ なわとび……短なわでかけ足とび,1回旋1跳躍とびをする。長なわで大波小波をする。
エ 水遊び……水中を歩いたり,しゃがんだり,水をかけあったりして水に慣れる。
(2) 友だちと仲よくし,簡単なきまりを作り,それを守って運動を行なう態度を育てる。
ア すもうでは乱暴にならないようにきまりをつくり,それを守る。
イ 鬼の交代のしかた,いろいろなきまりなどを決め,それを守る。
ウ とぶ順番,とぶ場所などのきまりをつくり,それを守る。
(3) 水遊びの心得を知らせ,日常生活に生かされるようにする。
ア 水遊びの前後には,必ず人員点呼を受ける。
イ プールにはいる前には,用便をすませ,からだをよく洗い,水遊び後は,きれいな水でからだや目を洗う。
ウ ひざから腰ぐらいの深さで遊ぶ。
エ 決してひとりで水遊びにいかない。
オ あぶない場所,知らない場所で水遊びをしない。
カ あぶないときやおぼれた人がいたときは,大声で近くの人に助けを求める。

G 以上のAからFまでの各領域を通じて,次の事項を指導する。
(1) 運動でけがをしないようにし,からだの清潔に気をつける態度や習慣を養う。
ア 運動をする場所の小石や危険物を確かめて取り除く。
イ 運動後,手足を洗い,汗をふく。

 3 指導上の留意事項
(1) 各運動の指導において,必要に応じて,教師の合い図で縦隊に早く,整列できるようにする。また押したり突いたりしないで,静かに早く自由隊形に集合できるようにする。
(2) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える,つめを短く切るなどについても適切に行なうようにする。
(3) Fの(1)のウ「なわとび」の内容は,むりにかけ足とびをさせず,その場とびを行なってもよい。

〔第3学年〕
 1 目  標
(1) 各種のやや形の整った運動を行なわせ,初歩的な運動技能とともに基礎的な運動能力を養う。
(2) 運動するときの簡単なきまりをつくり,決められた役割を果たし,励ましあって運動を行なう態度を育てる。
(3) 競争やゲームにおいて,規則を守り最後まで努力し,負けてもすなおに認める態度を育てる。
(4) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。

 2 内  容
A 徒 手 体 操
(1) 次のような運動によって,身体を全身的,総合的に動かすことができるようにする。
ア 開脚で手をひざにあて,または腕を前に振ってひざを屈伸する。
イ 足を前後に広く開いたり,足を交互に前に振って脚の下で手をたたいたりする。
ウ 足を前後,左右に開閉してとぶ。
エ 腕で,上下を突く動作をする。
オ 腕を,前と上に振ったり,前後に回旋したりする。
カ 首を前後・左右に曲げたり,左右に回したりする。
キ 片腕を横から上に上げながら体を左右に曲げる。
ク 体を前に曲げて頭を両脚の間に入れるようにしたり,できるだけ体を後ろに曲げたりする。
ケ 腕立て伏臥(が)の姿勢で,足を手の位置までひきつけて進む。
コ あおむけで,両手と両足を床につけて前後に歩く。
サ 両腕を左(右)から後ろに振り上げながら,体を左(右)に回す。
シ 体を回旋して,両手で空間にできるだけ大きなまるをかく。また,左右に連続して大きなまるをかく(横8の字)。
(2) 互いに仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を養う。
ア 気づいたことは進んで注意しあう。

B 器 械 運 動
(1) 次の運動によって,器械運動の初歩的な技能を育てる。
ア 鉄棒運動……さか上がり,前回りおり,足かけ振りをする。
イ とび箱運動……踏みとび(とび箱,横,高さ約30cm),腕立てとびのり(とび箱,縦,高さ約50cm),腕立てとび上がりおり(とび箱,横,高さ約50cm)をする。
ウ マット運動……前回り(連続)をする。
(2) 互いに助けあい,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア 気づいたことを進んで注意しあう。
イ よくできない人を励ましたり助けたりする。
ウ 器具の整とんと出し入れには,きまりを守り,みんなで協力する。

C 陸 上 運 動
(1) 次の運動によって,走,跳の能力を高める。
ア 短距離走(約50m)……スタンディングスタートで腕を調子よく振って走る。
イ 円周リレー……円周リレーのきまりを理解する。
ウ かけ足……約2分間みんなで調子を合わせてかけ足あしぶみをする。
エ 立ち幅とび……両足踏み切りでとぶ。
オ ゴムとび……両足踏み切りでとぶ。

(2) 互いに協力する態度や勝負に対する正しい態度を育てる。
ア 円周リレーのしかたなどを互いに話し合う。
イ グループで係りなどを代わりあって行なう。
ウ 負けた者や記録の悪いものの悪口を言わない。

D ボール運動
(1) 次のボール運動の技能を養い,ゲームができるようにする。
ア 方形ドッジボール……ねらいをつけて中の者に取られないようにころがす。ボールは両手で捕える。中の者はきまりを守ってすばやく動いてボールを捕える。
イ ハンドべースボール……地面に置いたボールを手で打つ。ゴロやバウンドボールを捕える。
ウ フットべースボール……置いてあるボールをける。方向や強さを考えてボールをける。ボールはからだの正面で捕えるようにボールの音のするほうへ移動する。
エ ラインサッカー……方向を決めてボールをける。
(2) ゲームに対する好ましい態度ならびに仲間と協力して運動を行なう態度や能力を育てる。
ア ゲームに必要なきまりを決め,それを守る。
イ 審判の判定によく従う。
ウ 失敗したり負けたりしても気を落とさないでがんばる。
エ へたな者も仲間はずれにしないで助けあう。
オ 決められたボールやコートの準備,あとしまつなどの係りをじょうずに果たす。

E リズム運動
(1) 次の歌を伴う遊び,フォークダンスや模倣遊びなどについて理解し,それらができるようにする。
ア 歌を伴う遊びや簡単なフォークダンス
(ア) らかんさん,パウパウパッチ,ロンドンブリッジ,グスタフスコールなどをする。 (イ) 1重円や1列横隊でスキップ,ランニング,ウォーキングをする。
イ 模倣遊び
(ア) こん虫,草花,乗り物,行事,お話などから特徴をとらえて模倣し,それらを組み合わせる。
(イ) ひとりないしふたりで歩・走,跳躍,屈伸,回旋などの1,2,3,4拍動作を速度を変えて行なう。前後・左右に移動したり,回ったりする。
(2) 役割を分相して協力する態度を育てる。
ア 役を受け持ち,また代わりあって行なう。
イ 決められた用具,準備などの係りをじょうずに果たす。
ウ みんながじょうずになるように教えあう。

F その他の運動
(1) 次の運動ができるようにする。
ア すもう………中腰の構えで押しあいずもうをする。
イ 鬼遊び………簡単な鬼遊びをする。
ウ なわとび……短なわで連続してとぶ。長なわで回旋とびをする。
エ 水遊び……顔を水につけ,目を開き,鼻または口から息をはく。足首をさわったり,石拾いなどを行ない,からだの浮くことを知る。
(2) きまりをつくり,それを守って仲よく運動を行なう態度を育てる。
ア 押しだけですもうを行なうなどの規則をつくってそれを守る。
イ 鬼遊びのきまりをつくり,それを守る。
ウ グループできまりをつくり,互いにとびくらべをする。
(3) 水遊びの心得を知らせ,日常生活に生かされるようにする。
ア 水遊びの前後には,必ず人員点呼を受ける。
イ プールにはしる前には,用便をすませ,からだを洗い,水遊び後は,きれいな水でからだや目を洗う。
ウ ひざから腰ぐらいの深さで遊ぶ。
エ あぶない場所,知らない場所で水遊びをしない。
オ 決してひとりだけで水遊びにいかない。
カ あぶないときやおぼれている人がいたときは,大声で近くの人の助けを求める。

G 以上のAからFまでの各領域を通じて,次の事項を指導する。
(1) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 運動をする場所の危険物を確かめて取り除き,安全に整備する。
イ 用具の破損に注意する。
ウ 軽い服装で運動をする。
エ つめをいつも短く切っておく。
オ 準備運動・整理運動をする。

 3 指導上の留意事項
(1) 各運動の指導において,必要に応じて,縦隊の整列ができるようにする。
(2) 健康・安全に関する指導においては,運動後の手足の清潔,汗のしまつなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。
(3) Cの(1)アの内容は鉄線走で行なうことが望ましい。また短距離走は個人差に応じて考慮する。このことについては,第4学年においても同様である。

〔第4学年〕
 1 目  標
(1) 各種のやや形の整った運動を行なわせ,初歩的な運動技能を養うとともに基礎的な運動能力を高める。
(2) 運動するときのきまりをつくり,必要に応じてそれを改めたり,また役割を決めたりして,リーダーを中心に助けあって運動を行なう態度を育てる。
(3) 競争やゲームにおいて規則を守り,最後まで努力し,負けてもすなおに認める態度を伸ばす。
(4) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。

 2 内  容
A 徒 手 体 操
(1) 次のような運動によって,身体を部分的,総合的に動かすことができるようにする。
ア あしの運動……閉脚または開脚で手をひざにあて,ひざを屈伸する。腕を前と上に振ってひざを屈伸する。足を左右に広く開く。足を前に振り上げる。腕を横と上に振りながら足を左右に開閉してとぶ。
イ 腕の運動……腕を前・左右・上下に突く動作をする。腕を横と斜め上に振る。腕を内外に回旋する。
ウ 首の運動……首を前後・左右に曲げる。首を左右に回す。首を回旋する。
エ 胴体の運動……片腕を横から上に振り上げて,体を左右に曲げる。ひざを伸ばしたまま足首を握り,体を前に曲げ,頭を脚につけるようにする。手を腰にあて体を反動的に深く後ろに曲げる。ひざつきですわり,体を後ろに曲げる(補助をする)。あおむけで両手,両足を床につけて前後・左右に歩く。腕立て伏臥(が)の姿勢で足を中心に手を使って円をかく。開脚で腕を前に上げ,左(右)に振りながら体を左(右)に回す。開脚で体を回旋する。
(2) 互いに仲よく,きまりを守って運動を行なう態度を養う。
ア グループの中で互いに教えあい,助けあって練習する。

B 器 械 運 動
(1) 次の運動によって,器械運動の初歩的技能を養う。
ア 鉄棒運動……さか上がり(連続),足かけ上がり(振って上がる),踏み越しおり,腕立て後ろ回り,足かけ後ろ回りをする。
イ とび箱運動……開脚の腕立てとび越し(とび箱,縦,高さ約50cm),閉脚の腕立てとび越し(とび箱,横,高さ約40cm),前回り(とび箱,縦,高さ約30cm)をする。
ウ マット運動……前回り(連続),後ろ回りをする。
(2) 互いに協力して運動を行なう態度を育てる。
ア グループの中で互いに教えあい,助けあって行なう。
イ よくできない人を励ましたり,助けたりする。
ウ 器械・器具の使い方のきまりをくふうする。
エ 器具の出し入れに協力する。

C 陸 上 運 動
(1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。
ア 短距離走(約50m)……むだな緊張をといて走る。
イ 円周リレー……ひきつぎをスムーズにする。
ウ 持久走……「円周」を使って約3分間走る。
エ 立ち幅とび……遠くへとぶ。
オ ゴムとび……両足や片足で踏み切る。
(2) グループで協力して練習する態度や勝敗に対する正しい態度を育てる。
ア 出発合い図などの係りを代わりあってする。
イ 遅れても途中で競争をやめない。
ウ グループで走り方,とび方などを互いに話し合う。

D ボール運動
(1) 次のボール運動の技能を養い,ゲームができるようにする。
ア 対列ハンドボール……パスやドリブルでボールを進める。ボールを取ったらパスやシュートをする。相手のパスやシュートを防ぐ。
イ べースボール(盲児童むき)……地面に置いたボールをバットで打ちまたは足でける。そのボールをいろいろの場合に応じて正確に早く処理する。
ウ ラインサッカー……相手や味方の位置に応じて方向・強さを考えてボールをける。けられたボールをすばやく移動して取る。
(2) チームで協力して練習やゲームを行なう態度や能力ならびにゲームに対する好ましい態度を育てる。
ア 自分のポジションの責任を果たす。
イ へたなことや失敗を許しあい,互いに励ましあう。
ウ リーダーを中心に計画に従って活動する。

E リズム運動
(1) 次のリズム運動の技能を養い,フォークダンスや美しい表現について理解し,それらができるようにする。
ア 簡単なフォークダンス
(ア) エースオブダイヤモンド,きつねとがちょう,あんたがたどこさなどをする。
(イ) 1重円や1列横隊で,ツーステップ,ポルカステップ,ホップ,バランスなどをする。
イ 表  現
(ア) 鳥,植物,行事,物語などから特徴をとらえて簡単な表現をし,よい組み合わせをつくる。
(イ) ふたりないし3人で歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転などの1,2,3,4拍動作を強度を変えて行なう。前後・左右に移動したり,回ったりする。必要に応じて手をつないで行なう。
(2) グループで役割を分担し,協力して運動を行なう態度や能力を育てる。
ア 役割や配役を決めてじょうずに果たす。
イ 表現の内容や順序などを話し合って決める。

F その他の運動
(1) 次の運動の技能を養い,すもう,なわとび,初歩の水泳ができるようにする。
ア すもう……押しを用いてすもうをする。
イ なわとび……短なわであやとび,ふたりとびをする。長なわでいろいろな回旋とびを行なう。
ウ 水  泳
(ア) 面かぶり……顔を水につけ,目を開き,鼻または口から息をはく。
(イ) 浮くこと……沈み方,浮き方,立ち方をする。
(ウ) 泳 ぎ……ばた足,平体の泳ぎ(犬かき)をする。
(エ) 立ち飛び込み……低い台からとび,足から水にはいる。
(2) グループで協力して練習や競技を行なう態度や能力を育てる。
ア 危険のないように規則を決める。
イ グループで係りを決めて互いに交代して行なうなど協力してすもうを行なう。
ウ きまりをつくってグループ対抗のとびくらべをする。
(3) 水泳の心得を理解させ,日常生活に生かされるようにする。
ア 水泳の前後には,必ず人員点呼を受ける。
イ プールの清潔に注意する。
ウ ふたり組みをつくって泳ぐ。
エ 水にはいるときは,すぐ飛び込まないで徐々にはいる。
オ 立ち飛び込みのときは,常に安全を確かめる。
カ からだの調子の悪いときは泳がない。
キ 腰から腹ぐらいの深さで泳ぐ。
ク 水泳に安全な場所と危険な場所を知る。
ケ 必ず水泳に自信のあるおとなと同行する。
コ あまり長時間水にはいらない。
サ けいれんを起こしたとき,あぶないとき,おぼれた人がいたときは,大声で知らせ,近くの人の助けを求める。

G 以上のAからFまでの各領域を通じて,次の事項を指導する。
(1) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 運動をする場所の危険物を確かめて,安全に整備する。
イ 用具の破損に注意する。
ウ 軽い服装で運動する。
エ つめをいつも短く切っておく。
オ 準備運動・整理運動をする。

 3 指導上の留意事項
(1) 各運動の指導において,必要に応じて,2列ないし4列の横隊の整列や方向変換(左・右・後)ができるようにする。このことについては,第5学年および第6学年においても同様である。
(2) 常によい姿勢を保つように留意する。
(3) 男女が反発しあう時期であるから,男女仲よく助けあって運動を行なうように指導する。
(4) 健康・安全に関する指導においては,運動後の手足の清潔,汗のしまつなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。
(5) Aの(1)の内容は,運動の範囲や方法の例を示したものである。指導にあたっては,この例を参考とし各種の方法をくふうして行なうようにする。このことについては,第5学年および第6学年についても同様である。
(6) 特にF(3)のクの内容については,水深,水流,水温,その他危険物について,具体的に指導すること。このことについては,第5学年および第6学年についても同様である。

〔第5学年〕
 1 目  標
(1) 各種のやや組織だった運動を行なわせ,運動技能を養い,基礎的な運動能力を高める。
(2) 練習やゲームのきまりをくふうし,チームをつくりリーグーを選んで,共通の目標に向かって互いに協力して運動を行なう態度を育てる。
(3) 競争やゲームで,規則を守り,最後まで努力し,勝敗の原因を考え,さらに進歩向上を図ろうとする態度を育てる。
(4) 日常生活における運動の行ない方や心得を理解させ,学校や家庭における運動や遊びを健全に豊かにする態度や能力を養う。
(5) 自己のからだの発達や健康状態について関心をもたせるとともに,身近な日常生活における健康・安全についての初歩的な理解をもたせる。

 2 内  容
A 徒 手 体 操
(1) 次のような運動によって,身体を部分的,総合的に動かすことができるようにする。
ア あしの運動……閉脚または開脚で手をひざにあてひざを屈伸する。腕を前後に回しながらひざを屈伸する。足を前と斜め前に振り上げる。足を横と後ろに振り上げる。片足を前・後・左・右に上げ,片足で調子よくとぶ。
イ 腕の運動……腕を前・横・上下にゆっくりとまたは強く速く屈伸する。腕を前・横・上に振る。腕を横8の字形に回旋する。
ウ 首の運動……首を前後・左右に曲げる。首を左右に回す。首を回旋する。
エ 胴体の運動……腕を肩に曲げ胸を伸長する。腕を前に上げ,左右に開いて胸を伸展する。腕を横に上げ,片腕を横から上に上げながら,体を左右に曲げる。開脚で足首を握って,体を前や斜め前に曲げる。腕を上に上げ,体を後ろに深く曲げる。ひざつきですわり,体を後ろに曲げる。腕立て伏臥(が)の姿勢で脚をささえてもらい,両手で歩く。舟のろをこぐ動作をする。腕を前に上げ,左(右)に振り,体を左(右)に回す。開脚で体を回旋する。
(2) 互いに協力して運動を行なう態度を育てる。
ア グループでリーダーを決めて練習する。
(3) 各部位の効果を理解させ,他の運動の準備運動・整理運動として活用できるようにする。

B 器 械 運 動
(1) 次の運動によって,器械運動の初歩的技能を養う。
ア 鉄棒運動……さか上がり(伸膝(しつ)),足かけ上がり,腕立て後ろ回り(両足をそろえて),足かけ後ろ回りをする。
イ とび箱運動……開脚の腕立てとび越し(とび箱,縦,高さ約50cm〜60cm),閉脚の腕立てとび上がりおり(とび箱,横,高さ約50cm),前回り(とび箱,縦,高さ約40cm)をする。
ウ マット運動……とびこみ前転,前回り(開脚),後ろ回り(開脚),腕立て側転,背支持腕立て前転,倒立(補助)をする。
(2) 互いに協力して運動を行なう態度を養う。
ア グループで役割を決めて助けあう。
イ 器械・器具の使用についてのきまりをつくる。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 器械・器具の破損の有無に注意し,安全を確かめる。
イ 準備運動・整理運動をする。
ウ 自分の能力やからだの調子を知り,段階的に練習する。

C 陸 上 運 動
(1) 次の運動によって走・跳の能力を高める。
ア 鉄線走(60m)……体をやや前に傾けて走る。
イ 円周リレ……ロープをぴんと張って走る。
ウ 持久走……「円周」を使って,同じような調子で約3分半走る。
エ 幅とび……1,2歩の助走で片足踏み切りを行なう。
オ 高とび……50cmぐらいまでとぶ。
(2) グループごとに協力する態度や勝敗に対する正しい態度を養う。
ア グループごとにリーダーを中心に協力して練習する。
イ 記録などの係りを代わりあって行なう。
ウ グループ対抗のリレーを計画して実施する。
エ 勝敗にこだわらず最後までがんばる。
オ 個人やチームの力に応じてハンディキャップをつけて競争する方法のあることを知る。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 砂場をやわらかにしたり,危険物を確認して安全に行なう。
イ 高とびの横木,障害物などの用具の破損の有無に注意し,安全を確かめる。
ウ 準備運動・整理運動をする。
エ 持久走では,自分のからだの調子を考えて走る。

D ボール運動
(1) 次のボール運動の技能を養い,ゲームができるようにする。
ア 対列ハンドボール……2歩以内にパスする。ドリブルは定められた回数以内でパスかシュートをする。相手を決めてじゃまをする。
イ ベースボール(盲児童むき)……投手のころがしたボールを手またはラケットで打つ,ゴロやバウンドボールの音をよく聞いて移動して捕球する。
ウ ラインサッカー……手・足・脚・体を使ってボールを止め,ゴールにけり込む。ボールを手や足で止めてシュートボールを防ぐ。
(2) グループの協力によって練習やゲームの運営を計画的に進める能力を育てる。
ア 規則やきまりをつくり,必要に応じて改善する。
イ コート,用具係りなどの役割を分担し,それを果たす。
ウ チームのつくり方を知り,チームをつくって計画的に協力して練習する。
エ 勝敗の原因を考え,練習のしかたをくふうする。
オ グループが相互に協力して,ゲームに必要な係り,ゲームの方法,組み合せを決める。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 競技規則で禁じられた方法を用いない。
イ コートや用具の安全を確かめ,整備する。
ウ 準備運動・整理運動をする。

E リズム運動
(1) 次のリズム運動の技能を養い,フォークダンスや美しい表現について理解し,それができるにようする。
ア フォークダンス
(ア) みんなで楽しく,アメリカンプロムナードをする。
(イ) 1重円,対列,放射形で,スキップ,ギャロップ,ウォーキング,ミクサーなどをする。相手と調子を合わせて踊る。
イ 表 現
(ア) 自然現象,日常生活事象,音楽,物語などから題を選んで表現し,簡単なまとまりをつける。
(イ) ふたりないし3人で歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均などの1,2,3,4拍動作を強度を変え,相手に対応して行なう。前後,左右,斜めに移動したり,回ったりする。必要に応じて手をつないで行なう。
(ウ) 表現の特徴やよい組み合わせを互いに話し合う。
(2) グループごとに計画に従って,役割を分担して練習や発表会を行なう態度を養う。ア 役割や配役を決めてじょうずに果たす。
イ グループの中で長所,短所について話し合う。
ウ 役割を分担して発表会を行なう。

F その他の運動
(1) 次の運動の技能を養い,すもうや初歩的な水泳ができるにようする。
ア すもう……しこ,伸脚,運び足攻めなどの基本動作をする。押しを用いたすもうをする。
イ 水泳
(ア) クロール……伏し浮きでばた足を用いてひと息だけ泳ぐ。
(イ) 平泳ぎ……顔を水面に出し,かえる足またはあおり足で泳ぐ。
(ウ) さか飛び込み……踏み切って頭から水にはいる。
(2) 健康・安全に注意し,役割を分担し,互いに協力して運動を行なう態度や能力を養う。
ア あらかじめ,攻め手,防ぎ手を決めて,押しの練習をする。
イ のどを攻める,けんつき,胸に頭を突き当てるなどの禁じわざを守る。
ウ リーダーを中心に練習のしかたを決める。
エ 水泳の前後には,必ず人員点呼を受ける。
オ ふたり組みをつくって練習する。
カ 水泳の前後には,準備運動・整理運動をする。
キ プールでのきまりを知り,それを守ってプールの清潔に注意する。
(3) 水泳の心得を理解させ,日常生活に生かされるようにする。
ア 健康を害しているとき,空腹時,疲労時,食事や激動の直後には泳がない。
イ 水泳に安全な場所と危険な場所を知る。
ウ 必ず水泳に自信のあるおとなと同行する。
エ 飛び込むときは,水深,水中の危険の有無を確かめる。
オ あまり長時間水にはいらない。
カ ひとりだけ離れて泳がない。
キ 水泳中には絶対に悪ふざけをしない。
ク けいれんを起こしたとき,あぶないとき,方向がわからなくなったとき,おぼれた人がいたときは,大声で知らせ,近くの人に助けを求める。

G 体育や保健に関する知識
(1) 健康な生活  身近な日常生活における健康・安全について基礎的な事項を理解させ,これを日常生活において実践する態度や習慣を養う。
ア からだや身の回りを常に清潔にすることの必要を知る。
イ 立位,座位,歩行などの姿勢について話し合ってよい姿勢と悪い姿勢に気づくとともに,悪い姿勢のきょう正のしかたを理解する。
ウ 激しい運動や長時間の作業の疲労の状態,各自の睡眠時間などについての経験を通して,休養,睡眠の必要を理解する。
エ 運動が健康上必要なこと,自己の健康状態に応じた運動のしかたについて理解する。
(2) 身体の発達状態や健康状態  自己のからだの発達状態や健康状態について理解させるとともに,日常生活における健康異常の状態について理解させ,健康異常に注意する態度を養う。
ア 健康診断の結果に基づいて,自己の身長・体重・胸囲・座高を知り,また,他人や同年齢の者と比較し,自己のからだの形態的な発達状態を知る。
イ 健康診断の結果に基づいて,自己の視力・聴力の状態,疾病異常の有無などの健康状態について知り,進んで治療を受けたり健康をそこなわないように注意したりすることの必要に気づく。
ウ 肺活量・背筋力・握力・基礎的運動能力などの測定の結果に基づいて,自己のからだの機能の現状を知り,運動がこれらの機能の向上に役だつことに気づく。
エ 健康異常の状態にあるときは,顔色が悪くなったり,気分が悪くなったり,食欲がなくなったり,頭痛がしたりすることなどを知り,また,その場合には,体温・脈はく・呼吸などに変化が起こることについての理解を深める。さらに健康異常の場合は,進んで処置を受けるようにする。

 3 指導上の留意事項
(1) 各運動の指導において,必要に応じて,縦隊や横隊の整列,列の増減ができるようにする。
(2) 女子は,この学年ごろから身体の発達が急速になるので,女子の特性を考慮して指導する。
(3) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える。運動後からだを清潔にするなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。
(4) D(1)のウ「ラインサッカー」の指導では,男女別に練習の方法やチームの編成などを考慮する。このことについては第6学年においても同様である。
(5) Fのア「すもう」は,女子の場合,欠くことができる。このことについては第6学年についても同様である。
(6) Gの指導においては,理科,家庭科などの関連を図り,適切な計画を立て,学習効果のあがるように指導する。

〔第6学年〕
 1 目  標
(1) 各種のやや組織だった運動を行なわせ運動技能や基礎的な運動能力を高める。
(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚し,共通の目標に向かって互いに協力して練習やゲームを行なう態度を伸ばす。
(3) 練習やゲームのしかたをくふうし,計画的に行なう能力を育て,校内競技などの計画や運営に参加できるようにする。
(4) 競争やゲームで規則を守り最後まで努力し,勝敗の原因を考え,さらに進歩向上を図ろうとする態度を伸ばす。
(5) 運動やスボーツなどに関する初歩的知識をもたせ,日常生活における運動や遊びを健全に豊かにする態度や能力を養う。
(6) 日常かかりやすい病気やけがの予防,簡単な処置について理解させ,健康・安全な生活ができる態度を養う。

 2 内  容
A 徒手体操
(1) 次のような運動によって身体を部分的,総合的に動かすことができるようにする。
ア あしの運動……閉脚または開脚で手をひざにあて,ひざを屈伸する。腕を内外に回しながらひざを屈伸する。足を前−横−前に振り上げる。両腕を曲げ,前上方に振り上げながら,その場でまたは移動して上方に強くとぶ。
イ 腕の運動……腕を前・横・上下に強弱・遅速をつけて屈伸する。腕を下から後ろに振り,上に上げる。腕を横8の字形に回旋する。
ウ 首の運動……首を前後・左右に曲げる。首を左右に回す。首を回旋する。
エ 胴体の運動……腕を斜め上に上げ,胸を伸展する。腕を前に上げ,左右に開いて,胸を伸展する。腕を横に上げ,片腕を横から上に上げながら体を左右に曲げる。閉脚で,体を前に曲げ,ひざを曲げてしゃがみ,ひざを伸ばして体を前に曲げ,体を起こして腕を斜めに上げ,胸を後ろにそらす。腕を上に上げ,体を後ろに深く曲げる。ひざつきですわり,体を後ろに曲げる。腕立て伏臥(が)の姿勢でとびながらひざを屈伸する。舟のろをこぐ動作をする。腕を前に上げ,左(右)に振り体を左(右)に回す。開脚で体を回旋する。
(2) 互いに協力して運動を行なう態度や能力を養う。
ア グループで計画を立てて練習する。

B 器 械 運 動
(1) 次の運動によって,器械運動の初歩的な技能を養う。
ア 鉄棒運動……さか上がり(伸膝(しつ)),腕立て後ろ回り(連続),足かけ後ろ回り,足かけ前回り,足かけ上がり−足かけ後ろ回りをする。
イ とび箱運動……開脚の腕立てとび越し(とび箱,縦,高さ約50〜70cm),閉脚の腕立てとび上りおり(とび箱,横,高さ約60cm)腕立て横とび越し(とび箱,横,高さ約50cm,伏臥(が)の姿勢),前回り(とび箱,縦,高さ約50cm)をする。
ウ マット運動……前回り−後ろ回り,とびこみ前転,腕立て側転,背支持腕立て前転,倒立(補助)をする。
(2) 互いに協力して安全に運動を行なう態度や能力を養う。
ア グループで計画を立てて練習する。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 器械・器具の破損の有無に注意し,安全を確かめる。
イ 準備運動・整理運動をする。

C 陸 上 運 動
(1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。
ア 鉄線走(60cm)……体をやや前に傾けて,手足の調和を保って走る。
イ 円周リレー……引きつぎをじょうずに行ないその後の動作を機敏にする。
ウ 持久走……「円周」を使って同じような調子で約4分間走る。
エ 幅とび……そりとびのような形でとぶ。
オ 高とび……とび越し方や着地を考えてとぶ。
カ 立ち三段とび……腕を大きく振ってとぶ。
(2) グループごとに目標をもち,協力して練習する態度や勝敗に対する正しい態度を養う。
ア グループごとに計画を立てて協力して練習する。
イ 記録などの係りを代わりあってする。
ウ 勝敗にこだわらず最後までがんばる。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 砂場,走路,用具などの安全を確かめ整備する。
イ 準備運動・整理運動をする。
ウ 持久走では,自分のからだの調子をよく考えて走る。

D ボール運動
(1) 次のボール運動の技能を高め,ゲームができるようにする。
ア 対列ハンドボール……片手のパスをする。ボールだけでなくまわりも考えてドリブルをする。ボールを得たら速く攻める。相手を決めてじゃまをする。攻撃と防御に決めて行なう。
イ 盲人野球……すばやく移動してゴロやバウンドボールを捕える。
ウ ラインサッカー……右足も左足も使ってける。ポジションを守って攻めたり守ったりする。
(2) 練習やゲームを計画的に進める能力を高める。
ア 互いに能力を考えてチームを編成し,規則をつくり,計画的に練習やゲームを行なう。
イ 相手の立場を考えながら,意見を交換し,目標に協力する。
ウ 用具・コート係りの役割を分担し,それを果たす。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 競技規則で禁じられた方法を用いない。
イ コートや用具の安全を確かめ,整備する。
ウ バットの取り扱いに注意し,危険のないようにする。
エ 準備運動・整理運動をする。

E リズム運動
(1) 次のリズム運動の技能を高め,フォークダンスや美しい表現について理解し,それらができるようにする。
ア フォークダンス
(ア) 郷土の民踊,トロイカ,バージニアリールなどをする。
(イ) 1重円,対列,方射形でスキップ,ランニング,ウォーキング,ギャロップ,スタンプ,日本民踊の手ぶり,足どりなどをする。それぞれの国の踊りの特徴について理解する。
イ 表 現
(ア) 自然,日常生活事象,音楽,物語などから題を選んで表現し,中心をもつようにまとめる。
(イ) ふたりないし3人で歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒など1,2,3,4拍動作を強度や連続を変えて相手と対応して行なう。前後,左右,斜めに移動したり,回ったりする。必要に応じて手をつないで行なう。
ウ 題や内容の選び方,表わし方,まとめ方などについてよい表現を話し合う。
エ 内容にふさわしい伴奏音楽をくふうする(リズム楽器,旋律楽器,歌を歌うなど)。
(2) グループで相互に協力して練習や発表会を計画し,運営する能力を養う。
ア グループごとに簡単な練習計画を立てる。
イ 役割や配役を決めてじょうずに果たす。
ウ グループの中で,また,グループ相互に,長所・短所について話し合う。
エ 発表会を計画し,プログラム係り,進行係りなどの役割を決め運営できるようにする。

F その他の運動
(1) 次の運動技能を養い,すもうや水泳ができるようにする。
ア すもう……しこ・伸脚・運び足・攻めなどの基本動作を行なう。押しあい,寄りあいの練習をする。押し,寄りを用いたすもうをする。
イ 水 泳
(ア) クロール……腕と足の動作を調和的にする。腕で水をかいたときに息を吸う。
(イ) 平泳ぎ……主として脚の力で泳ぎ,腕は浮きをとる。
(ウ) 潜水……平泳ぎの要領で潜水する。
(エ) さか飛び込み……低い台から飛び込む。
(2) 健康・安全に注意し,グループで計画をもって協力して運動を行なう態度や能力を養う。
ア リーダーを中心に練習のしかたを決める。
イ チームをつくり,チーム対抗のすもうの競技会を計画し運営する。
ウ 頭の毛をつかむ,すねをける,つねる,さばおりなどの禁じわざを守る。
エ 水泳の前後には,必ず人員点呼を受ける。
オ 水泳ではふたり組みをつくって練習する。
カ 水泳の前後には,準備運動・整理運動をする。
キ プールでのきまりを守り,プールの清潔に注意する。
ク 浮き具を投げて救助する方法を知る。
(3) 水泳の心得を理解させ,日常生活に生かされるようにする。
ア 健康を害しているとき,空腹時,疲労時,食事や激動の直後には泳がない。
イ 水泳に安全な場所と危険な場所を知る。
ウ 必ず水泳に自信のあるおとなと同行する。
エ 飛び込むときは,水深,水中の危験の有無を確かめる。
オ あまり長時間水にはいらない。
カ 沖に向かつて泳がないで岸に平行に泳ぐ。
キ 水泳中は絶対にわるふざけをしない。
ク けいれんを起こしたとき,あぶないとき,方向がわからなくなったとき,おぼれた人がいたときは,大声で知らせ,近くの人の助けを求める。

G 体育や保健に関する知識
(1) 病気の予防  日常かかりやすい病気の症状とその予防のしかたについて理解させる。
ア かぜの症状や原因について知り,その予防に努める。
イ インフルエンザの症状や感染経路を知るとともに,その予防にはうがいをしたり,患者に近づかないことなどが必要であることを知る。
ウ 回虫病,十二指腸虫病の症状について知るとともに,その感染経路についての理解を深め,その予防に注意し,定期的に検便を受け,虫卵があったときは,駆虫に努めるようにする。
エ 白せん,かいせんなどの皮膚病の症状や感染経路を知り,その予防には,からだや衣服の清潔がたいせつであることを知る。
オ トラホーム,流行性角結膜炎などの症状や感染経路について知り,その予防に努める。
カ 食中毒の症状やそのおもな原因について知るとともに その予防には,ねずみやごきぶり(あぶら虫)の駆除,食物の保存に注意すること,加熱して食べることなどが必要であることを知る。
キ 赤痢の症状を知るとともに,消化器系の伝染病の予防には,下水やふん便の完全な処理,なま水やなまものを飲食しないこと,はえの発生の防止や駆除などいろいろな方法があるが,日常生活において手をよく洗うことや食物の清潔に注意することが最もたいせつであることを知る。
ク 結核については,発病していても自覚症状のほとんどないことや,その予防には,定期的な健康診断を受け,その結果に従って適切な処置を受けることが必要であることを知る。なお,自然陽転者は,約1か年,日常生活において特に栄養や休養に注意しなければならないことを知る。
ケ 伝染病の発生状態などから,伝染病の予防のために,予防接種が必要であることを知るとともに,定期的に受けなければならない予防接種の種類を知る。
(2) 傷害の防止 けがややけどの原因とその防止について理解させ,簡単な応急手当ができるようにする。
ア 交通事故,遊びや運動の事故,その他日常生活における事故の原因と防止のしかたについて知り,また安全についての規則を理解し必要に応じて安全についてのきまりをつくる。
イ やけどの原因と防止のしかたを知る。
ウ すり傷,切り傷の手当てや簡単な止血法,ほうたいの簡単なしかたおよびやけどの簡単な手当てについて理解するとともに,それに必要な技能を養う。
(3) 各種の運動の特徴と運動競技会 運動の種類とその特徴,校内競技,運動会などの計画や運営についての基礎的事項について理解させるとともに,国民的な体育行事についても関心をもたせ,日常生活において進んで運動を実践する態度や習慣を養う。
ア いままで学習した運動について,その種類や特徴についての理解を深め,仲間や場所に応じた運動のしかたを知る。
イ 校内競技,運動会の計画や運営にあたって必要なチームの単位,競技会の形式,競技規則,役員などの決定,コートや用具の整備などの基礎的事項について知る。
ウ 広く国民の間に運動やスボーツを普及し,生活を明るく健全にするため,毎年,国民的体育行事として国民体育大会が設けられていることを知る。

 3 指導上の留意事項
(1) 各運動の指導において,必要に応じて,場所の広さに応じ縦隊や横隊に整列することができるようにする。
(2) 女子は,身長・体重の急速な発達に心臓の発達が伴わないことがあり,また,第二次性徴も現われはじめるので,その特性を考慮して指導する。
(3) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える。運動後からだを清潔にするなどの習慣の育成について適切に行なうようにする。
(4) Gの(1),(2)については,理科,家庭科などとの関連を図り,学習効果のあがるように指導する。(3)については,単なる知識の指導に終わることなく,AからFまでの各領域や特別教育活動などの関連を図り,適切に指導する。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 指導計画の作成にあたっては,児童の視力およびその他の視機能の障害の状態や運動能力などに留意して各領域の指導が適切に行なわれるよう配慮しなければならない。

2 第2に示す内容は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても原則として取り扱うことを必要とするものであるが,地域や学校または児童の実態を考慮し,特に必要と認められる場合は,ここに示していない運動種目を加えて指導してもさしつかえない。しかし,いたずらに指導する種目を多くしたり,程度の高い事項を取り扱ったりして,示された目標や内容の趣旨を悦脱したり,負担過重にならないよう慎重に配慮しなければならない。

3 地域の特性,施設,季節およびその他の条件を考慮して,各領域の内容やその授業時数について,次のような措置をとることができる。
(1) 適当な水泳場がなく,水泳を実施することができない場合は,水泳を欠くことができる。
(2) 寒冷地,積雪地では,スキー(雪遊びを含む。),スケートを指導することができる。この場合,特に安全についてはじゅうぶんに配慮する。

4 各学校において,指導計画を立てる際,内容を組織し,配列する場合には次のような点に留意する。
(1) それぞれの運動の特性,児童の健康状態,視力およびその他の視機能の障害の状態,運動の経験などの現状,地域の特性,施設用具などを考慮して内容を組織し,たとえば運動種目を組み合わせたり,基礎的な運動能力の測定の機会を設けたりすることなども配慮する。
(2) 内容の配列にあたっては,特別教育活動,学校行事等(たとえば,運動会など),季節および施設用具などを考慮する。
(3) 歩行に関する指導は,基本的事項を体育で行なうほか,他の教科や道徳,特別教育活動および学校行事等の指導とも関連を図って,各児童が安全歩行,ひとり歩きの自信と能力が養われるよう配慮する。なお,歩行に関する指導計画を立てる際は,各児童の視力およびその他の視機能の障害の状態や個人差などに即応し,次の事項等に留意する。
ア 歩行の重要性を知る。
イ 歩行に必要な感覚の訓練をし,それを活用できる能力を養う。
ウ 基本的な白いつえの使い方に慣れさせる。
エ 白いつえをもたない場合の歩行の能力を養う。
オ 歩行のくせをなおし,正しい姿勢で歩行できるようにする。
カ いろいろな道路を歩けるようにする。
キ いろいろな施設や建物内を歩けるようにする。
ク 他人といっしょに歩く際の態度や方法を身につける。
ケ 混雑・危険などに出合った場合の態度や行動の方法を身につける。
コ いろいろな乗り物を利用できるようにする。
サ 交通のきまりなどを知り,それを守る習慣を養う。

5 学習指導に際しては,次のような点を考慮する。
(1) 運動の特性や指導のわらいに応じ,単に技能の指導に陥ることなく,必要な内容が片寄りなく学習されるように各種の指導の方法を活用し,学習効果の上がるよう配慮する。
(2) 児童の個人差にじゅうぶん留意し,男女の特性や個人差に即した目標をもたせるなど,個人差に応ずる指導を考慮する。
(3) 毎時間の指導においては,常に児童の健康状態を観察し,健康に異常のある場合は,休養または見学させるなどの指導は当然であるが,また,病弱者,身体虚弱者,肢(し)体不自由者に対しては,学校医と密接な連絡をとり,その程度に応じて適切に指導する。 




 

第3章 道徳,特別教育活動および学校行事等

第1節  道   徳

第1 目  標

 人間尊重の精神を一貫して失わず,この精神を,家庭・学校その他各自がその一員であるそれぞれの社会の具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造と民主的な国家および社会の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成することを目標とする。
 以上の目標を達成するため,道徳の時間においては,次の具体的な目標のもとに指導を行なう。

1 日常生活の基本的な行動様式を理解し,これを身につけるように導く。
2 道徳的心情を高め,正邪善悪を判断する能力を養うように導く。
3 個性の伸長を助け,創造的な生活態度を確立するように導く。
4 民主的な国家・社会の成員として必要な道徳的態度と実践的意欲を高めるように導く。

第2 内  容
 それぞれの具体的な目標に,最も関係の深いと思われる内容は,次のとおりである。
 この内容はおのおの,他の具体的な目標や内容とも関連するものである。また,その配列は,指導の順序を意味するものではない。
 実際の指導においては,いくつかの内容を関連づけて指導することが,効果的な場合が多いであろう。
 (かっこ内の説明は,学年段階に応じて指導することが望ましいと考えられる内容の重点を示したものである。しかし,学年段階によっで内容の重点に特に差異をつけなくてもよいと思われるものについては,説明を省略した。)
 主として「日常生活の基本的行動様式」に関する内容
(1) 生命を尊び,健康を増進し,安全の保持に努める。
(2) 自分のことは自分でし,他人にたよらない。
(3) 服装・言語・動作など,時と場に応じて適切にし,礼儀作法を正しくする。
(4) 身のまわりを整理・整とんし,環境の美化に努める。
(5) ものや金銭をだいじにし,じょうずに使う。
 (低学年・中学年においては,自他のものの区別をすること,ものや金銭をだいじに使うこと,公共物の愛護と使い方などを指導し,高学年においては,さらに,これらを関連づけたものを内容とすることが望ましい。)
(6) 時間をたいせつにし,きまりのある生活をする。
 (低学年においては,決められた時刻を守ることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに時間の有効な使い方や時間を決めてきまりのある生活をすることなどを加えて内容とすることが望ましい。)
 主として「道徳的心情・道徳的判断」に関する内容
(7) 自他の人格を尊重し,お互いの幸福を図る。
 (低学年においては,この心情の芽ばえを育てることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,他人の気持ちや立場を尊ぶこと,人間の尊さを知ることなどを内容とすることが望ましい。)
(8) 自分の正しいと信ずるところに従って意見を述べ,行動し,みだりに他人の意見や行動に動かされない。
 (低学年においては,自分の考えをはっきり述べることや自分の考えをもって行動することを指導し,中学年・高学年においては,さらにみだりに他人に動かされないことなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(9) 自分の考えや希望に従ってのびのびと行動し,それについて責任をもつ。
 (低学年においては,のびのびと行動することを指導の中心とし,中学年においては,さらに,責任ある行動をするということを指導し,高学年においては,自由と責任との関連をも考えさせることなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(10) 正直でかげひなたなく,真心をもった一貫性のある行動をする。
 (低学年においては,うそを言わないこと,ごまかしをしないこと,約束を守ることなどを指導し,中学年・高学年においては,常に誠実に行動することを内容とすることが望ましい。)
(11) 正を愛し不正を憎み,誘惑に負けないで行動する。
 (低学年においては,正を愛し不正を憎む気持ちを育てることを指導の中心とし,中学年においては,さらに,みずから正と不正を見きわめることや誘惑に負けないことなどを加え,高学年においては,これらを総括して内容とすることが望ましい。)
(12) 正しい目標の実現のためには,困難に耐えて最後までしんぼう強くやり通す。
 (低学年においては,つらいことにも耐えることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,障害や失敗にもくじけないで,ねばり強くものごとをやりぬくことなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(13) 自分を反省するとともに,人の教えをよく聞き,深く考えて行動する。
 (低学年においては,あやまちや欠点をすなおに認めることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,常に言行をふり返ること,人の教えをよく聞くこと,深く考え落ち着いて行動することなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(14) わがままな行動をしないで,節度のある生活をする。
 (低学年においては,わがままをしないことを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,度を過ごさない生活をすることなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(15) いつも明るく,なごやかな気持ちで,はきはきと行動する。
(16) やさしい心をもって,動物や植物を愛護する。
(17) 美しいものや崇高なものを尊び,清らかな心をもつ。
 主として「個性の伸長,創造的な生活態度」に関する内容
(18) 自分の特徴を知り,長所を伸ばす。
 (低学年においては,他の内容に含めてこの趣旨を生かし,中学年・高学年においては,自分の特徴を知ることや長所を伸ばすことを内容とすることが望ましい。)
(19) 常により高い目標に向かって全力を尽くし,大きな希望をもつ。
 (低学年においては,ものごとを熱心にやり,それを成し遂げた喜びを感じさせることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,目標に向かって絶えず励むこと,志を立て,希望をもって進むことなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(20) ものごとを合理的に考えて行動する。
 (低学年においては,よく考えて行動することを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,事実に即して考えること,広い視野に立って正しく批判し,判断して行動することを加えて内容とすることが望ましい。
(21) 創意くふうをこらして生活をよりよくしようとする。
 (低学年においては,くふうして仕事をすることを指導の中心とし,中学年においては,さらに,新しい考えや方法を生み出すことを指導し,高学年においては,創造的な生活をすることなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(22) 常に研究的態度をもって,真理の探究に努める。
 (低学年においては,研究的態度の芽ばえを育てることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,真理を尊び,常に研究的態度をもってその探究に努めることを内容とすることが望ましい。)
(23) よいと思ったことは進んで行ない,新しい分野も開いていく。
 (低学年・中学年においては,よいと思ったことは進んで行なうことを指導の中心とし,高学年においては,さらに,積極的に新しい分野を切り開いていくことなどを加えて内容とすることが望ましい。)
 主として「国家・社会の成員としての道徳的態度と実践的意欲」に関する内容
(24) だれにも親切にし,弱い人や不幸な人をいたわる。
(25) 自分や世の中のために尽くしてくれる人々に対し,尊敬し感謝する。
 (低学年においては,自分の世話をしてくれる人々や,公共のために尽くす人々に対し,尊敬し感謝することを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,先人の遺業を敬うことなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(26) 互いに信頼しあい,仲よく助けあう。
 (低学年においては,友だちと仲よくし,励まし助けあうことを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,正しい忠告をすることや,人を信頼し人の信頼を裏切らないことなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(27) 自分の好ききらいや利害にとらわれずに,公正にふるまうとともに,だれに対しても公正な態度をとる。
(28) 人の立場を理解して,広い心で人のあやまちをも許す。
 (低学年においては,人のあやまちを許すことを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,広い心をもって自分と異なる意見をも重んずることなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(29) 規則や,自分たちでつくるきまりの意義を理解し,進んでこれを守る。
 (低学年においては,きまりや規則を守ることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,規則の意義を知ることや,自分たちできまりをつくり,これを守り,さらに改善することなどを加えて内容とすることか望ましい。)
(30) 権利を正しく主張するとともに,自分の果たすべき義務は確実に果たす。
 (低学年・中学年においては,自分の果たすべきことは,確実に果たすことを指導の中心とし,高学年においては,さらに,権利を正しく主張することや権利と義務との関連を考えることなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(31) 勤労の尊さを知るとともに,進んで力を合わせて人のためになる仕事をする。
 (低学年においては,自分の仕事に励むことを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,勤労の意義や尊さを知ること,協力してみんなのためになる仕事をすることなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(32) 公共物をたいせつにし,公徳を守り,人に迷惑をかけない。
(33) 家族の人々を敬愛し,よい家庭をつくりあげようとする。
 (低学年においては,父母・きょうだいに対して感謝の念や親愛の情をもつことを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,家庭における自分の役割を果たして,よい家庭をつくろうとすることなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(34) 学校の人々を敬愛し,りっぱな校風をつくりあげようとする。
 (低学年においては,先生や友だちに対して感謝の念や親愛の情をもつことを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,学校に対する愛情をもって,りっぱな校風をつくろうとすることなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(35) 日本人としての自覚をもって国を愛し,国際社会の一環としての国家の発展に尽くす。
 (低学年においては,国民的な心情の芽ばえを育てることを指導の中心とし,中学年においては,さらに,日本の国土やすぐれた文化・伝統をたいせつにすることを指導し,高学年においては,国家の繁栄を願い,国民としての責任を自覚して,国際社会の一環としての日本の発展に尽くそうとする意欲を育てることなどを加えて内容とすることが望ましい。)
(36) 広く世界の人々に対して正しい理解をもち,仲よくしていこうとする。
 (低学年・中学年においては,国民相互はむろんのこと,外国の人々に対しても,偏見にとらわれないで親しみの情をもつことや,あたたかい心で助けあうことなどを指導し,高学年においては,さらに,進んで世界の国々と仲よくし,世界の平利と人類の幸福に役だつ人間になろうと努めることなどを加えて内容とすることが望ましい。)

第3 指導計画作成および指導上の留意事項

1 指導計画は,学校の教育活動全体を通じて行なう道徳教育の計画の一環として,各教科,特別教育活動および学校行事等における道徳教育を補充し,深化し,統合し,またはこれと相互に交流しうるよう,組織的,発展的なものでなければならない。
2 指導計画は,学校における道徳教育の全体計画,地域や児童の実態等を考慮して,具体的に立てることが必要である。
3 指導計画は,固定的なものとは考えず,児童の生活の中に起こる問題や時事的な問題等をも適宜取り入れ,修正を加えうるよう,弾力性をもたせることが特にたいせつである。
4 低学年における道徳の時間については,1単位時間を2,3回に分けて指導することもさしつかえない。
5 児童の道徳性に関係する家庭環境,生育歴,地域の特性や交友などについての資料は,指導計画作成のためにも,指導の効果をあげるためにも,できるだけ多く収集・整理しておきこれを活用することが望ましい。
6 指導の効果をあげるためには,家庭や地域社会との連絡を密接にするとともに,よい学級のふんい気を作ることが必要である。
7 指導にあたっては,できるだけ児童の自主性を尊重するとともに,また教師の積極的な指導が必要である。
 教師は,常に児童とともに人格の完成を目ざして進むという態度をもつとともに,長い目で児童の変化を見つめ,根気よく指導しなければならない。
8 指導にあたっては,児童が視覚の障害からくる種々の困難を克服して,強く生きようとする意欲を高め,明るい生活態度を養うとともに,情緒の安定を図り,健全な人生観の芽ばえを育てるよう留意することがたいせつである。
9 指導は,広い角度から種々の場面・機会・教材を利用して行なわなければならない。その際,話し合い,教師の説話,読み物の利用,視聴覚教材の利用,劇化,実践活動などの諸方法を適切に組み合わせて用い,教師の一方的な教授や単なる徳目の解説に終わることのないようにしなければならない。
1O 児童の道徳性は年齢によって異なった発達を示し,同一年齢においても,児童によってある程度まで発達の様相を異にするのであるから,これらの発達の段階や個人差に応じた指導方法をとる必要がある。
11 児童の道徳性について評価することは,指導上たいせつなことである。しかし,道徳の時間だけについての児童の態度や理解などを,教科における評定と同様に評定することは適当ではない。


 
第2節 特別教育活動

第1 目  標

1 児童の自発的,自治的な活動を通して生活経験を拡充し,日常生活や学校生活の諸問題を適切に処理する能力を高め,自主的な生活態度を養い,社会性の育成を図る。
2 所属する集団の運営に積極的に参加し,自信と意欲をもってその向上発展に尽くすことができるようにする。
3 実践活動を通して,個性の伸長を図り,趣味や教養を深めて余暇を善用する基礎を養い,心身ともに健康で充実した生活ができるようにする。

第2 内  容

 特別教育活動においては,児童会活動,学級会活動,クラブ活動などを行なうものとする。
A 児童会活動
 児童会は,全校の児童をもって構成し,学校生活に関する諸問題を話し合い,解決し,さらに学校内の仕事を分担処理するための活動を行なう。その運営は主として高学年児童によって行なわれる。
B 学級会活動
 学級会は,学級ごとに,全員をもって組織し,学級生活に関する諸問題を話し合い,解決し,さらに学級内の仕事を分担処理するための活動を行なう。
C クラブ活動
 クラブは,主として中学年以上の同好の児童が組織し,共通の興味・関心を追求する活動を行なう。

第3 指導計画作成および指導上の留意事項

1 特別教育活動の指導計画作成およびその実施にあたっては,児童の自発的な要求を可能な限り受け入れるようにし,取り上げるべき種類,時間,方法などを慎重に考慮する必要がある。その際,各教科,道徳および学校行事等との関連はもちろん児童の実態について,じゅうぶん留意しなければならない。
2 特別教育活動は児童の自主的活動を基本とするものであるから,その計画は,固定的なものではなく,児童とともにいっそう具体的な実施計画を立てることができるような弾力性・融通性に富むものでなければならない。なお,中学部・高等部の特別教育活動と適切な調和が保たれているものであることが望ましい。
3 指導にあたっては特に下記の事項に留意する必要がある。

A 児童会活動に関するもの
(1) 児童会は,あくまで児童による実践的な活動を基本とするものであるから,その活動が具体的な生活の場面で実際に生かされ,常に児童の経験の深化と拡充に結びつき,自信と意欲を高めるよう配慮されなければならない。
(2) 児童会に所属するいくつかの部(またはこれに類するもの)の種別や数は,児童の希望,学校の事情などを考慮し,形式的な組織や運営に流れないようじゅうぶん配慮し,各部の活動が有機的な関連をもって学校生活全体を向上しうるように決められなければならない。
(3) 必要に応じては,小学部の全児童が集まって児童会の集会を開くことがあり,また,中学部・高等部や地域社会との関係において,いろいろな活動が行なわれる場合も考えられるが,それらの際には学校行事等との関連に留意するとともに,その教育的価値と限界について配慮する必要がある。

B 学級会活動に関するもの
(1) 学級会は,学級のすべての児童が,積極的に参加できる活動でなければならない。したがって,一部の児童だけが運営に参加していることのないように留意する必要がある。
(2) 学級会に所属するいくつかの係り(またはこれに類するもの)の種類や数は,児童の希望,学級の事情などを考慮して,決められなければならない。
(3) 学級会の活動が単に申し合わせや反省会の形で終わることなく,進んで自分たちの力で問題を解決したり,児童会へ問題を提起したりする実践的な活動とならなければならない。特に小人数の編成からくる種々の困難性を克服して,特別教育活動における学級会の意義,目標を常に明確にするよう努めなければならない。
(4) 毎週一定の時間を学級会にあてることが望ましい。しかし,学年の段階によって時間の長短は考慮されなければならない。

C クラブ活動に関するもの
(1) クラブの種別,数の決定には児童の実態とその希望および学校の実情,地域社会の特性などをじゅうぶん考慮しなければならない。また,余暇を善用する態度を養うよう配慮する必要がある。
(2) どのクラブに参加するかは,児童の自発性にまつのであるが,その際にも教師の適切な指導を忘れてはならない。また,クラブの種別によっては指導にあたる教師の配置と人数も慎重に配慮する必要がある。
(3) クラブ活動が教科の学習と深い関連をもつ場合が多いのであるが,単に教科の補習にならないように配慮する必要がある。


 
第3節 学校行事等

第1 目  標

 学校行事等は,各教科,道徳および特別教育活動のほかに,これらとあいまって小学部教育の目標を達成するために学校が計画し実施する教育活動とし,児童の心身の健全な発達を図り,あわせて学校生活の充実,発展と児童の生活経験の拡充に資する。

第2 内  容

 学校行事等においては,儀式,学芸的行事,保健体育的行事,遠足,学校給食その他上記の目標を達成する教育活動を適宜行なうものとする。

第3 指導計画作成および指導上の留意事項

1 学校行事等の指導計画作成およびその実施にあたっては,各教科,道徳および特別教育活動との関連を考慮するとともに,教育的見地から取り上げるべき種類ならびに実施の時期・時間・回数・方法などを決めなければならない。この際児童の発達段階に即応するよう留意するとともに,中学部・高等部または寄宿舎等の諸行事等との関連を配慮する必要がある。
2 地域社会の要請と関連して,学校行事等の計画を作成し,実施する場合には,その教育的価値をじゅうぶん検討し,学校全体の教育計画を乱すことのないよう,特に留意する必要がある。なお,盲学校の特殊性から,ともすれば地域社会との関連がなおざりになりやすいので,このようなことのないよう積極的,意図的に対処しなければならない。
3 学校行事等の計画や実施にあたっては,児童が常に積極的な意欲をもって障害を克服するよう配慮するとともに,学校生活に変化を与え,児童の生活をより楽しく豊かなものにするように努めなければならない。また,集団行動における規律的習慣と,障害の程度を異にするものが互いに融和協力する態度を育てることなどにじゅうぶん配慮する必要がある。
4 学校行事等の計画や実施にあたっては,児童の負担過重に陥ることのないように考慮し,その健康や安全に留意しなければならない。また,社会的適応性を高め,自由に行動ができるようにするため,周到な計画と適切な指導のもとに歩行および生活上の訓練を行ない,自主独立の精神が養われるよう配慮する必要がある。
5 国民の祝日などにおいて儀式などを行なう場合には,児童に対してこれらの祝日などの意義を理解させるとともに,国旗を掲揚し,君が代をせい唱させることが望ましい。
6 学校給食を実施する学校においては,給食時において,関係の教科,道徳および特別教育活動との関連を考慮して,適切な指導を行なうようにしなければならない。特に偏食のきょう正や食事作法の指導にはじゅうぶん配慮することが必要である。


施 行 期 日

この盲学校学習指導要領小学部編は,昭和39年4月1日から施行する。





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