文部省告示第71号

聾学校学習指導要領小学部編を次のように定めた。

 昭和39年3月23日

文部大臣 灘 尾 弘 吉



聾学校学習指導要領小学部編

目次

 第1章 総 則
第1 聾学校小学部の教育目標
第2 教育課程の編成
第3 指導計画作成および指導の一般方針
第4 道徳教育

 第2章 各教科
第1節 国 語 第5節 律 唱
第2節 社 会 第6節 図画工作
第3節 算 数 第7節 家 庭
第4節 理 科 第8節 体 育

 第3章 道徳,特別教育活動および学校行事等
第1節 道 徳
第2節 特別教育活動
第3節 学校行事等

 施行期日




 

第1章 総 則

第1 聾学校小学部の教育目標

 聾学校は,聾者(強度の難聴者を含む。)に対して,幼稚園,小学校,中学校または高等学枝に準ずる教育を施し,あわせてその欠陥を補うために,必要な知識技能を授けることを目的としている(学校教育法第71条)。

 聾学校小学部における教育については,この目的を実現するために,次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。

1 学校教育法第18条に掲げる小学校における教育目標に準ずる目標。
2 児童の聴覚の障害およびこれに起因する心身の発達上の欠陥を補うための次に掲げる目標。
(1) 適切な言語指導を通じて,国語に習熟させ,言語による思考力を育て,一般社会と円滑なまじわりができる能力を養うこと。
(2) 保有する聴覚またはその他の感覚を有効に用いる能力や態度を養うこと。
(3) 生活経験を豊かにするとともに,社会的適応性を養うこと。
(4) 情緒の安定を図るとともに,障害に基づく種々の不利な条件を克服し,自主的に進んで物事を学ぼうとする態度を養うこと。
(5) 障害に起因する危険を予防し,これに対処できる能力と態度を養うこと。

 
第2 教育課程の編成

1 一般方針
(1) 聾学校小学部の教育課程は,国語,社会,算数,理科,律唱,図画工作,家庭および体育の各教科(以下「各教科」という。)ならびに道徳,特別教育活動および学校行事等によって編成するものとすることとなっている(学校教育法施行規則第73条の7)。
(2) 各聾学校においては,教育基本法,学校教育法,学校教育法施行規則(以下「規則」という。),聾学校学習指導要領小学部編,教育委員会規則等に示すところに従って教育課程を編成するものとする。この場合,各聾学校においては,地域や学校の実態を考慮し,児童の発達段階,経験および聴覚の障害の状態に即応するように留意しなければならない。
(3) 強度の難聴者等であって,言語の発達が相当年齢の小学校児童とほぼ同程度の者については,各教科,特別教育活動および学校行事等に関し,この学習指導要領で示す目標,内容の一部を除き,または他の目標,内容を加えて教育課程を編成することができる。この場合にあっては,児童の心身の発達に即応して,小学校学習指導要領を参考として編成するものとする。

2 授業時数の配当
(1) 聾学校小学部各学年における各教科および道徳の授業時数ならびにその合計は,次の表のとおりとする。

区 分 第1学年 第2学年 第3学年 第4学年 第5学年 第6学年
各教科








 
国 語
 
306
(9)
315
(9)
280
(8)
280
(8)
245
(7)
245
(7)
社 会
 
68
(2)
70
(2)
105
(3)
140
(4)
140
(4)
140
(4)
算 数
 
102
(3)
140
(4)
175
(5)
210
(6)
210
(6)
210
(6)
理 科
 
68
(2)
70
(2)
105
(3)
105
(3)
140
(4)
140
(4)
律 唱
 
68
(2)
70
(2)
70
(2)
70
(2)
70
(2)
70
(2)
図画工作
 
68
(2)
70
(2)
70
(2)
70
(2)
70
(2)
70
(2)
家 庭
 
 
 
 
 
 
 
 
 
70
(2)
70
(2)
体 育
 
102
(3)
105
(3)
105
(3)
105
(3)
105
(3)
105
(3)
道徳
 
34
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
合計
 
816
(24)
875
(25)
945
(27)
1,015
(29)
1,085
(31)
1,085
(31)
 (2) 上掲(1)の表において,各教科のそれぞれの授業時数は,年間の標準授業時数とし,道徳の授業時数ならびに各教科および適徳の授業時数の合計は年間の最低授業時数とする。

 (3) 上掲(1)の表において,授業時数の1単位時間は45分とし,かっこ内の授業時数は,年間授業日数を35週(第1学年については34週)とした場合における週当たりの平均授業時数とする。

 (4) 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等に授業時数を配当するにあたっては,下記の事項に注意する必要がある。
ア 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の年間の総授業時数を定めたり,配当したりするにあたっては,児童の負担過重とならないよう考慮すること。

イ 各教科の授業時数は,児童の障害の状態に即応する必要がある場合,各教科の一部について,合わせて授業を行なう場合(規則第73条の10第1項)および数学年の児童で学級を編制する場合(規則第73条の12第2項で準用する第19条)にあっては,各教科の目標の達成に支障のない範囲において,上掲(1) の表に示す授業時数を増減することができること。

ウ 道徳の授業時数ならびに各教科および道徳の授業時数の合計は,上掲(1)の表に示す授業時数を下ってはならないこと。

エ 特別教育活動および学校行事等については,それらに充てる授業時数は上掲(1)の表には示していないが,年間,学期,月または週ごとに適切な授業時数を配当するようにすることが望ましいこと。

オ 各教科および道徳についての各学年の授業は,年間35週以上にわたって行なうように計画すること。

カ 各教科および道徳についての1週間の時間割を作成するにあたっては,上掲(1)の表のうち,かっこ内に示した週当たりの平均授業時数を参照し,季節およびその他の事情を考慮し,調和的,能率的な指導を行ないうるようにすること。

キ 各教科および道徳の授業の1単位時間は,45分とすることが望ましいこと。季節およびその他の事情により,授業の1単位時間を45分未満とする場合は,当該学年において,上掲(1)の表に示す道徳の授業時数ならびに各教科および道徳の授業時数の合計を下らないようにすること。
なお,授業の1単位時間には,教室を移動したり,休憩したりするのに要する時間を含まないものとすること。

3 特例

 (1) 私立の聾(ろう)学校においては,各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等のほか,宗教を加えて教育課程を編成することができ,この場合は,宗教をもって道徳に代えることができることとなっている(規則第73条の12第3項で準用する第24条第2項)。また,宗教の時間と道徳の時間とを合わせて設けている私立の聾(ろう)学校にあっては,宗教の授業時数をもって道徳の授業時数の一部に代えることができるものとする。

 (2) 非常変災,伝染病等により,臨時に授業を行なわない場合で,上掲2の(1)の表に示す道徳の授業時数ならびに各教科および道徳の授業時数の合計を補うことができないようなやむを得ない事情があるときは,これらの授業時数を下ることができる。

 (3) 精神薄弱等他の心身の故障をあわせ有する児童に係る教育課程については,特に必要がある場合は,特別の教育課程によることができることとなっている(規則第73条の11第1項)。

 (4)  第1学年から第4学年までの各学年において各教科の一部について,合わせて授業を行なう場合においては,当該聾(ろう)学校の設置者は,その実施方法を,市町村立の聾(ろう)学校にあっては都道府県教育委員会に,私立の聾(ろう)学校にあっては都道府県知事にあらかじめ届け出なければならないこととなっている(規則第73条の10第3項で準用する第25条の2第3項)。また,国立の聾(ろう)学校にあっては文部大臣に届け出るものとする。

 
第3 指導計画作成および指導の一般方針

1 聾(ろう)学校においては,下記の事項に留意して,各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等について,相互の関連を図り,全体として調和のとれた指導計画を作成するとともに,発展的,系統的な指導を行なうことができるようにしなければならない。

 (1) 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等について,第2章以下に示すところに基づき,地域や学校の実態を考慮し,児童の障害の状態や経験に即応して,具体的な指導の目標を明確にし,実際に指導する事項を選定し,配列して,効果的な指導を行なうようにすること。

 (2)  第2章に示す各教科の内容に関する事項は,上記第2の1の(3)に示す場合を除き,いずれの聾(ろう)学校においても原則として取り扱うことを必要とするものである。各聾(ろう)学校において,特に必要と認められる場合には,第2章に示す各教科の学年別の目標,内容以外の事項を加えて指導することができる。この場合,児童の心身の状況に即して指導するようにし,いたずらに指導する事項を多くしたり,程度の高い事項を取り扱ったりして,教科の目標や内容の趣旨を逸脱したり,児童の負担過重とならないよう慎重に配慮すること。

 (3) 第2章に示す各教科の学年別の内容に掲げる事項の順序は,そのまま指導の順序を示すものではない。各聾(ろう)学校においては,各事項のまとめ方や順序をくふうして指導するようにすること。

 (4) 言語指導に関する事項は,その基本的事項を国語で,聴能訓練に関する事項は,その基本的事項を国語および律唱で行なうほか,他の教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の教育活動の全体を通じて行なうものとすること。

 (5) 保健に関する事項の指導は,各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の教育活動の全体を通じて行なうものとすること。

 (6) 政治および宗教に関する事項の取り扱いについては,それぞれ教育基本法第8条および第9条の規定に基づき,適切に行なうように配慮しなければならないこと。

 (7)  児童が心身の状況によって履習することが困難な各教科は,その児童の心身の状況に適合するように課さなければならないこととなっている(規則第73条の 12第2項で準用する第26条)。各聾(ろう)学校においては,指導の実際にあたって,このような児童について,特別な配慮とくふうをしなければならないこと。

 (8) 数学年の児童で編制する学級において,特に必要がある場合は,各教科について,所定の目標の達成に支障のない範囲において,その学年別の順序によらないことができること。

2 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の指導を能率的,効果的にするためには,下記の事項について留意する必要がある。

 (1) 児童の聴覚の障害の状態,失聴等の時期,生育歴,発達段階および経験ならびに家庭および寄宿舎等における生活環境をよく理解すること。

 (2) 学習の目標を児童にじゅうぶんはあくさせること。

 (3) 児童の生活経験の不足を補い,これを拡充するように努めること。

 (4) 児童の興味や関心を重んじ,自主的,自発的な学習をするように導くこと。

 (5) 児童の個人差に特に留意して指導し,それぞれの児童の個性や能力をできるだけ伸ばすようにすること。

 (6) 言語指導にあたっては,児童の知的,情緒的,社会的に均衡のとれた全人的発達を図るように留意すること。

 (7) 学級および学校における好ましい人間関係を育て,教室内外の整とんや美化に努めるなど,学習環境を整えるようにすること。

 (8) 教科書,その他の教材・教具などについて常に研究し,その活用に努めること。また,学校図書館の資料や視聴覚教材等については,これを精選して活用するようにすること。

 (9) 学校医との連絡を密にし,教育活動全体を通じて,医学的配慮を加えるようにすること。

 (10) 指導の成果を絶えず評価し,指導の改善に努めること。

 
第4 道 徳 教 育

 学校における道徳教育は,本来,学校の教育活動全体を通じて行なうことを基本とする。したがって,道徳の時間はもちろん,各教科,特別教育活動および学校行事等の学校教育のあらゆる機会に,道徳性を高める指導が行なわれなければならない。

 道徳教育の目標は,教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基づく。すなわち,人間尊重の精神を一貫して失わず,この精神を,家庭,学校その他各自がその一員であるそれぞれの社会の具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造と民主的な国家および社会の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成することを目標とする。

 道徳の時間においては,各教科,特別教育活動および学校行事等における道徳教育と密接な関連を保ちながら,これを補充し,深化し,統合し,またはこれとの交流を図り,児童の望ましい道徳的習慣,心情,判断力を養い,社会における個人のあり方についての自覚を主体的に深め,道徳的実践力の向上を図るように指導するものとする。



 

第2章 各 教 科
第1節 国語

第1 目標

1 日常生活に必要な国語の能力を養い,思考力を伸ばし,心情を豊かにして,言語生活の向上を図る。

2 経験を広め,知識や情報を求め,また,楽しみを得るために,正しく読話し,文章を読む態度や技能を養う。

3 日常生活で使われる話しことばの能力を養い,さらに経験したこと,感じたこと,考えたことをまとめ,また,人に伝えるために,正しくわかりやすく話をし,文章を書く態度や技能を養う。

4 読話し話し読み書く能力をいっそう確実にするために,国語に対する関心や自覚をもつようにする。

 上に掲げた国語科の目標1は,国語科において指導すべき総括的な目標である。目標2および3は,国語科において具体的に指導すべき読話すること,読むこと,話すことおよび書くことの活動について,その目標を掲げたものであるが,これらの指導にあたっては,常に目標1の達成を目ざすとともに,目標4との関連を考慮して行なわなければならない。

 次に示す各学年の日標は,教科の目標を根底におき,内容において示した指導すべき事項と合わせ,それぞれの学年の具体的な指導のねらいとなる。

 国語の指導は,国語科だけでなく,学校における教育活動の全体を通じて行なわれるものである。したがって,国語科の指導においては,他の各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等における指導と密接に関連させて,国語の学習に関する基本的な事項を取り扱い,言語生活の向上を図るように努めなければならない。

 なお,聴覚の障害の状態に応じ,聴覚その他の感覚を利用して,国語の能力の発達をじゅうぶん図るように務めなければならない。

 

第2 各学年の目標および内容

 〔第1学年〕

1 目標

 (1) 読話しようとする態度を育てるようにする。

 (2) 読話するために必要で身近なやさしい語句や文を身につけるようにする。

 (3) 言いたいことを表わすために,ことばを使おうとする態度を育てる。

 (4) 話すことの必要を感じ,話すことに興味をもつようにする。

 (5) 話すために必要な身近な語句や文を身につけるようにする。

 (6) 文字に関心をもち,語句や文を意味と結びつけるようにする。

 (7) 絵本などを読むことに興味をもつようにする。

 (8) 書くことに興味をもつようにする。

 (9) 話しことばが文字・文で現わされていることがわかるようにする。

 (10) 文字に慣れ,また,書くことができるようにする。

2 内容

 A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。

(読話すること)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 口の動きに意味があることを理解すること。

イ 口の動きに興味をもって読話しようとする気持ちをもつこと。

ウ お互いに話し手の口を見て読話し合うこと。

エ みんなといっしょに読話すること。

オ 簡単な語句や文を意味のまとまりごとに読話すること。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 読話したことを指さしたり,動作化したりする。

イ 読話して指示に従う。

ウ 簡単な対話を読話する。

エ やさしい絵物語などを読話する。

(話すこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 話そうとする気持ちを養うこと。

イ 話すことの必要を感ずること。

ウ 言いたいことを簡単な語句や文の形で言えること。

エ 発音のやさしい簡単な語句や文が言えること。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア ごっこ遊びなどをする。

イ 擬音語・擬態語などを使って発音遊びをする。

ウ 訴えたいことを簡単な語句や文で言う。

エ 問いかけに対して答える。

 上に示す「読話すること」「話すこと」の各活動のほか,「こども向けのテレビ学校放送を見る」「動作化をする」なども望ましい。

(読むこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 絵本などに興味をもつこと。

イ 文字に親しむこと。

ウ 語句や文に意味のあることがわかること。

エ やさしい文字や語句や文を読むこと。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 語句や文を絵や実物などと結びつけ,また動作化する。

イ 身近な生活経験などを書いた簡単な文を読む。

ウ やさしい絵本などを読む。

(書くこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 書こうとする気持ちを育てること。

イ 身近な生活経験などを簡単な語句や文で書くこと。

ウ やさしい文字や語句や文を書くこと。

エ 文字の形に注意し,筆順に従って書くこと。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 身近なものの名まえなどを書く。

イ かいた絵に添えて簡単な語句や文を書く。

ウ 語句や簡単な文を見て書く。

 B 以上の読話すること,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。

 (1) 問いかけのことば,主として「なに,どれ,だれ,どこ,いつ,いくつ,どうした」などの読話に慣れること。

 (2) 聴覚の障害の状態等に応じ,国語の音節については,それを構成する母音・子音(破裂音,通鼻音,摩擦音,破擦音,はじき音等)の調音要領にそって指導し,正しく発音できるようにすること。

 (3) 経験し,理解したことがらについて,ひらがなで書かれたことがだいたい読め,その一部が書けること。

 (4) 聴能訓練
ア 音の存在を知ること。

イ 音・音声を聞き分けること。

ウ 聴覚を利用して理解する話しことばを増すこと。
 (5)感覚訓練
ア 動作の摸倣,色・形・色と形・数量などの識別による視覚などの訓練。

イ 形・粗滑・振動などの識別による触覚などの訓練。

3 指導上の留意事項

 (1) 発音の指導は,第1学年から第3学年にわたって,やさしい音,やや困難な音,困難な音にわたって,児童の実情に応じて指導し,国語のすべての発音の基礎的指導をおそくとも第3学年までに終わるようにする。また発音の指導は,諸感覚を活用して,学習の場に応じて,くり返し数多くすることが効果的であり,時間は短くても,毎日継続的,計画的にくふうすることが望ましい。発音指導は語句や文の形で指導することを原則とするが,必要に応じ,適宜,個々の音をとりあげて指導し,発音のめいりょうさを図るようにする。

 (2) 発音指導については,およそ次のことに留意する。
ア 自然な明るい声を出すこと。

イ 口声模倣をすること。自然な話しことばの調子で言うこと。

ウ 正しい息使いをすること。

 なお,音節については,直音・よう音の別が言えるようにし,母音についてはその長短が言えるようにする。また子音については,はねる音(撥(はつ)音),つまる音(促音)が言えるようにし,特に語句の中で指導する。
 (3) 聴能訓練は,律唱科の指導との関連を図り,その基礎的な指導を第1学年から第3学年にわたり,児童の聴覚の障害の状態に即し,聴覚利用の指導を系統的,計画的に行ない,情緒の安定と話しことばの発達を図るようにする。

なお,第4学年以降については,その基礎の上に継続して計画的に,聴能訓練の効果をあげるようにする。

 (4) 感覚訓練は,入学初期において,言語の発達を図るための助けとなるものであるから,他教科との関連を図り,児童の実態と必要に応じて,適切に指導する。

 (5) 話しことばの学習は,具体的な経験の場に即して行なうようにし,自発的な表現を重視する。

 (6) 適切な口形で言うようにする。

 (7) 学習したことばは,絵カードや文字カードなど,視聴覚教材を豊富に利用して,話しことばとの関連を図りながら,反復練習をするようにする。

 (8) 特に興味のあること,必要なことを中心にして,読話すること,話すことの基礎的な態度や技能を養いながら,読むこと,書くことの学習に進むようにする。

 

〔第2学年〕

1 目標

 (1) 読話の基礎的な能力を身につけるようにする。

 (2) 読話するために必要で身近な語句や文を身につけるようにする。

 (3) 学校生活に慣れ,友だちと親しくするために簡単な話ができるようにする。

 (4) 訴えるため,伝えるために,ことばを使うことができるようにする。

 (5) 話そうとする態度を身につけるようにする。

 (6) 話すために必要な語句や文を身につけるようにする。

 (7) 読むことにいっそう興味をもつようにする。

 (8) 日常の行動や経験を表わした文や文章を理解することができるようにする。

 (9) 絵本などを進んで読むようにする。

 (10) 書くことにいっそう興味をもつようにする。

 (11) 簡単な文を書くために必要な文字や語句を身につけるようにする。

 (12) 言いたいことを簡単な文や文章に書くことができるようにする。

 (13) 文字をていねいに書くことができるようにする。

2 内容

 A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。

(読話すること)

 (1) 次の事項について指導する。
ア お互いに口をよく見て読話し合うこと。

イ 中心となることばに特に注意し,語句や文として読話することに慣れること。

ウ 語句や文の中で口形の類似するものの識別をすること。

エ 読話に必要な基礎的な語句や文を身につけること。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 読話して,ことばで答える。

イ 簡単な会話の中で読話する。

ウ 簡単な説朋を読話する。

エ 読話したことを,そのまま言ったり,書いたりする。

オ 簡単な絵物語を読話する。

(話すこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 発音のやさしい語句に憤れ,めいりょうに発音のできる語句や文を増すこと。

イ 口声模倣に慣れること。

ウ 言いたいととを簡単な文の形で話すこと。

エ 進んで話そうとすること。

オ 話す習慣がつくこと。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア ごっこ遊びや,やさしい劇遊びなどをする。

イ 問に答える。

ウ 訴えたいことを話す。

エ あいさつをする。

オ 絵を見て話す。

カ 身近な経験を話す。

 上に示す「読話すること」「話すこと」の各活動のほか,「こども向けのテレビ学校放送を見る」「動作化をする」ことなども望ましい。

(読むこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 声を出して読むこと。

イ 身近な語句や文や文章を読んで,何が書いてあるかがわかること。

ウ 拾い読みでなく,語句や文として読むこと。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 語句や文や文章を行動や経験と結びつける。

イ 身近なことを説明した簡単な文や文章を読む。

ウ やさしい絵本や短い童話などを読む。

(書くこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 自分の生活経験をやさしい文や文章で表すこと。

イ 簡単な文や文章を書くこと。

ウ 見たこと,したことなどの順序をたどって書くこと。

エ 文字の形や筆順に注意して書くこと。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア かいた絵について簡単な説明を書く。

イ 身近なことで興味をもったことを簡単な文や文章で書く。

ウ 簡単な手紙やはがきを書く。

エ 文や短い文章を見て書く。

 B 以上の読話すること,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。

 (1) 問いかけのことば,主として「どんな,どうして,いくら,それから」などの読話に慣れること。

 (2) 発音のめいりょう度を高めるとともに,やや困難な音が言えること。

 (3) 母音・子音のだいたいが言えること。

 (4) ひらがなを読み,また書くこと。

 (5) かたかなの一部を読み,また,書くこと。

 (6) 別に示す漢字配当表の(A)に配当されている漢字の中で,比較的やさしいものを読んだり書いたりすること。

 (7) 「。」(まる)をうつようにすること。

3 指導上の留意事項

 (1) 第1学年の基礎の上に語句や文の性質やはたらきをいっそう拡充し,身近な日常生活に用いる初歩の基礎的な語句や文の組み立てのだいたいにわたって,理解して使用できるようにする。

 (2) 発音のめいりょう度を高めるためには,諸感覚をしゅうぶんに活用するとともに,文字または記号などと結びつけて指導することがたいせつである。

 (3) この学年の発音指導においては,誤音が固定化してしまわないように,特に配慮して指導することが必要である。

 (4) 前学年に引き続き読話することや話すことの生活を土台にして,読む,書く生活へと導いていくようにする。

 (5) かたかなの指導は,ひらがなの読み書きがだいたいできるようになってから後,日常生活に用いられているかたかな書きのことばを中心として行なうようにする。

 

〔第3学年〕

1 目標

 (1) 読話の基礎的な態度と能力をいっそう伸ばすようにする。

 (2) 読話するために必要で身近な語句や文を増すようにする。

 (3) やや長い話ができるようにする。

 (4) 進んで話す態度を身につけるようにする。

 (5) 話すために必要で基礎的な語句や文を確実に身につけるようにする。

 (6) 文や文章を読む方法の初歩かわかるようにする。

 (7) 文や文章を読むために必要な文字や語句を身につけるようにする。

 (8) やさしい読み物に興味をもつようにする。

 (9) 進んで文や文章を書こうとする態度を育てる。

 (10) 文や文章を習くために必要な文字や語句を身につけるようにする。

 (11) 言いたいことを文や文章に書くことができるようにする。

 (12) 文字をいっそうていねいに書くことができるようにする。

2 内容

 A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。

(読話すること)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 話の仲間入りをすること。

イ 話のあらすじがだいたいわかること。

ウ 類推によって読話する態度を育てること。

エ 話す相手をできるだけ広くして,多くの人の口形に慣れること。

オ 短い童話や物語などを読話して楽しむこと。

カ 話の中のわからない語句を尋ねること。

キ 文の終わりまで読話すること。

ク 読話に必要な基礎的な語句や文を確実に身につけるようにすること。
 (2) 次のの各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 話し合いをする。

イ 指示を読話する。

ウ 短い童話や物語を読話する。

エ 説明を読話する。

オ 読話したことを,そのとおり言ったり書いたりする。

(話すこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 発音のできる語句や文をいっそう増すこと。

イ 適当な大きさの声で話すこと。

ウ 仲間にはいって話すこと。

エ よくわかるように順序だてて話すこと。

オ わからないことを進んで質問すること。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 経験したことを話す。

イ 絵を見て話す。

ウ 会話や話し合いをする。

エ 問に答える。

オ 短い童話や物語などを話す。

 上に示す「読話すること」「話すこと」の各活動のほか,「テレビ学校放送を見る」「動作化をする」なども望ましい。

(読むこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 音読ができること。

イ 声を出さないで目で読むこと。

ウ 拾い読みでなく,語句や文として読むこと。

エ 何が書いてあるか考えて読むこと。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 身のまわりの簡単な書き物を読む。

イ 児童の日常生活に取材した簡単な文や文章を読む。

ウ 知識や情報を与える簡単な文や文章を読む。

エ 経験を広め心情を豊かにする簡単な童話,説話などのいろいろな文章を読む。

(書くこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 書こうとする気持ちを養うこと。

イ 何を言おうとしているかがわかるように書くこと。

ウ ことがらの順序に従って書くこと。

エ 書いたものを読みなおすこと。

オ 文字の形や筆順にいっそう注意して書くこと。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 絵などを見て文や文章を書く。

イ 身近なことで興味をもったことを文や文章で書く。

ウ 話し合いによって共同で文や文章を作る。

エ 家庭への伝言,簡単なメモなどを書く。

オ 身近なできごとを知らせるために書く。

カ 文や短い文章を見て書く。

 B 以上の読話すること,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。

 (1) 発音をいっそう,めいりょうにすること。

 (2) 国語の発音がひととおりできること。

 (3) ひらがなの読み書きに習熟し,かたかなのだいたいを読み,また書くこと。

 (4) 別に示す漢字配当表の(A)に配当されている漢字を中心としだ40〜50字ぐらいの漢字を読み,そのだいたいを書くこと。

 (5) 「、」(てん)や「。」まる)に注意して,読んだり,書いたりすること。

3 指導上の留意事項

 (1) この学年では,第4学年以後の学習が有効に行なわれるように,第1学年からの学習をいっそう徹底させ,下学年としての一応のまとめをすることが必要である。

 (2) 第1・2学年に引き続き補聴器の操作にいっそう習熟するとともに,その使用と利用が身につくように留意する。

 (3) 誤音をきょう正したり,発音をめいりょうにするよう,特に留意して指導の徹底を図ることが必要である。

 

〔第4学年〕

1 目標

 (1) 読話を正確にし,速さを増すことができるようにする。

 (2) 読話するために必要な語句や文をいっそう増すようにする。

 (3) 日常の生活に適応するために話すことができるようにする。

 (4) 進んで話すことを楽しむ態度を身につけるようにする。

 (5) 話すために必要な語句や文の範囲を広げるようにする。

 (6) 読むことの初歩的な能方をいっそう身につけるようにする。

 (7) 読むために必要な文字や語句や文章を確実に身につけるようにする。

 (8) やさしい読み物を自分から進んで読むようにする。

 (9) 進んで文章を書こうとする態度を育てる。

 (10) 文章を書くために必要な文字や語句や文を確実に身につけるようにする。

 (11) 訴えたいことや知らせたいことを文草に書くことができるようにする。

 (12) 文字を正しく書くことができるようにする。

2 内容

 A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。

(読話すること)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 簡単な話の要点を読話すること。

イ 話されていることの順序に従って読話すること。

ウ 中心となる語句以外の語句にもよく注意して読話すること。

エ 話の内容をただしながら読話すること。

オ 知るため楽しむために読話すること。

カ 読話に必要な語句や文を増すこと。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 質問したり応答したりする中で読話する。

イ 話し合いをする。

ウ 会話をする。

エ 童話や物語を読話する。

オ いろいろな説明を読話する。

カ 読話した要点を言ったり書いたりする。

(話すこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 発音に注意して話すこと。

イ 落ち着いて話すこと。

ウ 話の順序に注意して話すこと。

エ 大事なことを落とさずに話すこと。

オ 身近なことがらを正確に話すこと。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 会話をする。

イ 話し合いをする。

ウ 簡単な童話などを話す。

エ 見たことなどの説明をする。

オ 経験したことなどを話す。

 上に示す「読話すること」「話すこと」の各活動のほか,「テレビ学校放送を見る」「劇化をする」なども望ましい。

(読むこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 読みの速さを増すこと。

イ 書いてあることのだいたいを読み取ること。

ウ 語句や文として読むことに慣れること。

エ 文章に即して,書いてあるとおり読み取ること。

オ 順序をたどって意味を取ること。

カ 好きなところやおもしろいところを抜き出すこと。

キ 読み取ったことについて話すこと。

ク 読むために必要な文字や語句を増すこと。

 上に示す指導事項のほか,「本や雑誌の読み方がわかること」「学級文庫の利用のしかたがわかること」などについて指導することも望ましい。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 身のまわりの書き物を読む。

イ 児童の日常生活に取材した文章を読む。

ウ 知識や情報を与える文章を読む。

エ 経験を広め心情を豊かにする童話,説話,詩などを読む。

(書くこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 進んで書こうとすること。

イ 書こうとするものをよく見て書くこと。

ウ 知らせたいことが相手にわかるように書くこと。

エ 生活経験の中から,ひとつのものを選んで書くこと。

オ 書こうとすることがよくわかるようにかなり詳しく書くこと。

カ 書いたものを読みなおすこと。

キ 文字の形や筆順を考えて正しく書くこと。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 身近なできごとについて文章を書く。

イ 会話を入れて書く。

ウ はがきや手紙を書く。

エ 書いたものを読みあう。

 上に示す活動のほか,「語句を組み合わせて文を作る」「簡単な文集を作る」なども望ましい。

 B 以上の読話すること,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。

 (1) 長い文を読話し,また話すことに慣れること。

 (2) いろいろな場合に応ずる言い方の読話に慣れること。

 (3) 国語の発音に慣れ,発音をいっそう明確にすること。

 (4) 文の中の意味の切れ目や,ことばのかかり方に注意すること。

 (5) ていねいなことばと普通のことばの違いを知ること。

 (6) かたかなをひととおり読み,また,書くこと。

 (7) かなづかいに注意すること。

 (8) 別に示す漢字配当表(B)までに配当されている漢字を中心とした140〜160字ぐらいの漢字を読み,そのだいたいを書くこと。

3 指導上の留意事項

 (1) この学年では,読話することや読書の範囲が広がるので,語句の習得も伸びる時期であるから,その点を考慮して,語句を豊かにするように指導する。

 (2) 文の長さや文の組み立ても複雑になり,語句の数も増してくるので,構文の力をじゅうぶん養うようにする。

 (3) 文や文章による表現の機会をできるだけ多く与え,文章表現に慣れさせるようにする。

〔第5学年〕

1 目標

 (1) 読話する態度と能力をいっそう伸ばすようにする。

 (2) 読話するために必要な語句や文の範囲を広げ,その量を増すようにする。

 (3) 日常の坐活に役だてるために話すことができるようにする。

 (4) 話す量を増し,話題の範囲を広げるようにする。

 (5) ある程度すらすら読むことができるようにする。

 (6) 読むために必要な文字や語句を増すようにする。

 (7) いろいろな読み物を読もうとする態度を育てる。

 (8) かなり長い文章を書くことかできるようにする。

 (9) 文章を書くために必要な文字や語句をいっそう確実に身につけるようにする。

 (10) 自分の考えや感じを文章に書こうとする態度を育てる。

 (11) 文字をいっそう正しく書くことができるようにする。

2 内容

 A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。

(読話すること)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 読話して話の要点をまとめること。

イ ことばを通して話し手の意図をとらえること。

ウ いろいろな人の口形や話の速度に慣れること。

エ いろいろな角度からの読話に慣れること。

オ すなおな態度で読話すること。

カ 相手の話を自分の考えと比べながら理解すること。

キ 読話に必要な語句や文をいっそう増すこと。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 質問したり応答したりする。

イ 話し合いをする。

ウ 会話をする。

エ 童話や物語を読話する。

オ 説朋をする。

カ 学習発表や報告をする。

キ 読話した要点を言ったり書いたりする。

(話すこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 相手によくわかるように話すこと。

イ 自然な態度で話すこと。

ウ 要点を落とさずに話すこと。

エ まとまりをつけて話すこと。

オ 話題を広げること。

カ 順序に従って話すこと。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 経験したこと,読んだこと,調べたことを,説明したり発表したりする。

イ 日常の生活やできごとをなるべく詳しく話す。

ウ 会話をする。

エ 身近な問題について話し合いをする。

オ 経験したことや物語,童話などを話す。

 上に示す「読話すること」「話すこと」の各活動のほか,「テレビ学校放送を見る」「劇化をする」なども望ましい。

(読むこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 正しくくぎって適当な速さで読むこと。

イ 長い文章を終わりまで読むこと。

ウ 横書きの文章の読みに慣れること。

エ 要点をおさえて読むこと。

オ 読み取ったことについて感想をもつこと。

カ 読み取ったことを他人に伝えて楽しむこと。

 上に示す指導事項のほか,「学級文庫の利用のしかたがわかること」などについて指導することも望ましい。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 児童の日常生活に取材したものを読む。

イ 知識や情報を与える説朋,解説などを読む。

ウ 経験を広め心情を豊かにする童話,物語,伝記,詩,脚本などを読む。

(書くこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 書こうとするものをよく見て書くこと。

イ 書こうとすることがらをはっきりさせてから書くこと。

ウ かなり長い文章を書くこと。

エ 必要に応じて継続して書くこと。

オ 大事なことを落とさず書くこと。

カ 文字の組み立て方の基本に注意して,形を整えて書くこと。

 上に示す指導事項のほか,「横書きに慣れること」などについて指導することも望ましい。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 日常生活や学習のことを書く。

イ 観察したことや学級のできごとなどを書く。

ウ いろいろな行事やできごとを書く。

エ 簡単な記録や報告を書く。

オ 手紙を書く。

カ 書いた文章を読みあう。

 上に示す活動のほか,「壁新聞や簡単な文集を作る」なども望ましい。

 B 以上の読話すること,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。

 (1) 発音に気をつけて話すようにすること。

 (2) 語句や文の組み立てに注意して話すこと。

 (3) いろいろな言いまわしに慣れること。

 (4) 文の中の意味の切れ目や,ことばのかかり方に注意すること。

 (5) 語句への関心を増すこと。

 (6) 漢字で重く部分と,かなで重く部分の区別をすることにより,送りがなについての初歩的な意識をもつこと。

 (7) かたかな全部を確実に読み,また,書くこと。

 (8) 別に示す漢字配当表の(C)までに配当されている漢字を中心とした310〜350字ぐらいの漢字を読み,そのだいたいを書くこと。

3 指導上の留意事項

 語句の数と範囲を増し,書きことばの能力をいっそう伸ばすこと。

 なお,かなり長い文や複雑な文の組み立ての読み書きの能力が要求されるから,この点に関して指導上の配慮をすること。

 

〔第6学年〕

1 目標

 (1) 判断しながら読話することができるようにする。

 (2) 読話するために必要な語句や文の範囲を広げ,用法によく注意して読話するようにする。

 (3) 生活に役だてるために話すことができるようにする。

 (4) 話題を広げ,話す内容を豊かに深くするようにする。

 (5) 正確に読むとともに,読む速さを増すことができるようにする。

 (6) 読むために必要な語句や文をいっそう増すようにする。

 (7) 読む量を増し,読み物の範囲を広げるようにする。

 (8) ある程度整った文章を書くことができるようにする。

 (9) 文章を書くために必要な文字や語句を増すようにする。

 (10) 文章を書く意欲を高め,目的をはっきりさせて書くことができるようにする。

2 内容

 A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。

(読話すること)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 人の言うことを尊重して読話すること。

イ ややこみいった話の要点をまとめたり要約したりすること。

ウ 相手の考えを判断して読話すること。

エ 話の中のおもしろさを感じとること。

オ いろいろな人の口形や話の速度や角度からの読話にいっそう慣れること。

カ 読話に必要な語句や文の範囲を広げること。
 (2) 次の項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 童話,説話,物語などを読話する。

イ 話し合いをする。

ウ 説明を読話する。

エ 報告を読話する。

オ 読話した要点を言ったり書いたりする。

(話すこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 相手の立場を考えて話すこと。

イ 必要に応じて詳しく話すこと。

ウ 大事なことを落とさずに話すこと。

エ 考えをまとめながら話すこと。

オ 意味のまとまりごとにくぎりをつけて話すこと。

カ 自分の意見を言うように努めること。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 経験したこと,読んだこと,調べたことなどを,発表したり説明したりする。

イ 話し合いをする。

ウ 説明をする。

エ 報告をする。

オ 経験したことや物語,童話などを話す。

 上に示す「読話すること」「話すこと」の各活動のほか,「テレビ学校放送を見る」「劇化をする」なども望ましい。

(読むこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 黙読に慣れること。

イ 文章を段落ごとにまとめて読むこと。

ウ 読み取ったことについて話し合うこと。

エ 必要なところを細かい点に注意して読むこと。

オ わからない文字や語句を文脈にそって考えること。

カ 知るため楽しむために本を読むこと。

キ 国語辞典などが使えること。

 上に示す指導事項のほか,「学校図書館の利用のしかたがわかること」などについて指導することも望ましい。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 日常生活に取材した日記または手紙,記録または報告などを読む。

イ 知識や情報を与える説明,解説,報道などを読む。

ウ 経験を広め心情を豊かにする童話,物語,伝記,詩,脚本などを読む。

(書くこと)

 (1) 次の事項について指導する。
ア 書こうとすることがらをまとめてから書くこと。

イ 段落を考えて書くこと。

ウ 中心点をおさえて書くこと。

エ 書くことによって自分の考えを深めること。

オ すいこうすること。

カ 文字の大きさや配列に気をつけて書くこと。

キ 横書きに慣れること。

 上に示す指導事項のほか「いろいろな種類の文章を書くこと」,「メモをもとにして書く習慣をつけること」などについて指導することも望ましい。
 (2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 日常生活や学習のことを書く。

イ いろいろな行事やできごとを書く。

ウ 読書や研究などの記録を書く。

エ 簡単な感想や意見を書く。

オ 手紙を書く。

 上に示す活動のほか,「学級の新聞や文集を作る」「詩などを書く」なども望ましい。

 B 以上の読話すること,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。

 (1) 正しい発音で話すようにすること。

 (2) 語句の組み立てについて注意を向けること。

 (3) かなり複雑な組み立ての文を理解すること。

 (4) 文の中の意味の切れ目やことばのかかり方にいっそう注意すること。

 (5) 文章の常体と敬体の違いを理解すること。

 (6) 全国に通用することばとその土地でしか使われないことばとの違いを理解すること。(7) 別に示す漢字配当表の(D)までに配当されている漢字を中心とした500〜543字ぐらいの漢字を読み,そのだいたいを書くこと。

 (8) ロ一マ字については,次の事項を指導する。
ア ローマ字で書いた簡単な語や文などを読むこと。

イ ローマ字で語や簡単な文を書くこと。
 (9) 「,」(てん)をうち,また,その他のおもな符号などの使い方を理解すること。(ローマ字文の場合を含む。)
 上に示す指導事項のほか,「全国に通用することばで文章を書いたり,また,話をしたりするように努めること」も望ましい。

3 指導上の留意事項

 (1) 第5学年に引き続いて語句の力や読書の力が目だって伸びる時期でもあるから,いろいろな読み物に親しませて,経験を広め心情を豊かにするように努める。また,読話すること,話すことの活動を通して話題を豊かにするように努める。

 (2) ローマ字の指導に充てる時間は年間20時間程度とする。

 (3) この学年では小学部としての読話すること,話すこと,読むこと,書くことのすべてにわたって,指導にまとまりをつけることが必要である。

 

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 年間計画は,次のような点に留意して立てる。

 (1) 前後の学年の目標を見渡して,その学年の特性をよく考え,地域の実情や学級の実態を考慮に入れたうえで,読話すること,話すこと,読むこと,書くことのそれぞれに片寄りがないように計画を立てる。

 (2) 各学年の内容に示す指導すべき事項および活動に基づき,学習活動を組織する。そのためには,国語科の目標を根底におき,各学年の目標,内容の相互関係をはっきりさせておくことが必要である。

 (3)  各学年の内容に示す指導すべき事項や活動は,もし先にその指導の準備をしておくことが有効だと考えられる場合には,その前の学年で初歩的な形で取り上げ,また,その発展的指導をする必要があると考えられる場合には,そのあとのそれぞれの学年で程度を高めて取り上げてもよい。

 (4) ことばに関する事項は,読話し,話し,読み,書く活動の中に含めて指導するのを原則とする。しかし,発音とか文字などのように,くり返して練習させることが必要なものについては,特にそれだけを取り上げて学習させることができるように計画を立ててもよい。

 (5) 学習指導にあたっては,児童の必要と興味と能力に応じて話題や題材を選定し,読話し,話し,読み,書く活動が有機的総合的に展開されるように計画を立てる。その場合に,目標を明確にし,指導の中心をはっきりさせておくことが必要である。

2 話題や題材の選定にあたっては,児童の発達段階に即応させ,聴覚の障害の状態に留意し,次のような観点のもとに片寄りのないように注意する。

 (1) 聴覚の障害を克服し,常に正しく強く生きようとする気持ちを養うのに役だつこと。

 (2) 人間性を豊かにし,他人とよく協力しあう態度を育てるのに役だつこと。

 (3) 個性的,独創的精神を養うのに役だつこと。

 (4) 道徳性を高め,教養を身につけるのに役だつこと。

 (5) 想像や情緒を豊かにし,生活を明るく美しくするのに役だつこと。

 (6) 自然や人生に対して正しい理解をもたせるのに役だつこと。

 (7) 論理的思考力や科学的態度を養うのに役だつこと。

 (8) 国語に対する関心や自覚を深めるのに役だつこと。

 (9) 国土や文化などについて理解と愛情を育て,国民的自覚を養うのに役だつこと。

 (10) 世界の風土や文化などに理解をもたせ,国際協調の精神や世界的視野を養うのに役だつこと。

3 児童に習得させる語いの選定にあたっては,およそ次のことに留意し,これを能率的に学習させることが必要である。

 (1) 興味および関心のあること。

 (2) 日常生活に必要であること。

 (3) 使われる回数が多いこと。

 (4) 使われる範囲が広いこと。

 (5) 発音指導に適切なこと。

 (6) その他学習上特に必要であること。

4 読話すること,話すこと,読むこと,書くことのうち,読話すること,話すことに関しては低学年からじゆうぶんに指導し,小学部の第6学年を終了するまでに,読話したり,話したりすることができるようにする。説むこと,書くことの指導は,学年が上に進むにしたがってしだいに比重を増して,第6学年で一応のまとまりをつける。

5 聴能訓練は,律唱科の指導との関連を図るとともに,特に,読話すること,話すこと,読むこと,書くことの各活動の中で効果的に指導することが必要である。

なお,学習計画を立てるにあたっては,あらかじめ学校医等と適切な連絡を図り,児童の聴覚の障害および精神発達の状態などをはあくすることが必要である。

6 聾学校においては,必要に応じて第5学年以上の適宜の学年で,毛筆による書写を課することができる。ただし,その指導に充てる時間は年間35時間をこえてはならない。

 (1) 毛筆による書写の目標および内容は,次のとおりである。
ア 初歩の段階

目標 毛筆に慣れ親しんで興味をもって文字が書けるようにする。

内容 字画の簡単な文字による短いことばを書く。

この段階では,点画の長短,始筆,終筆,はね,払いなどを指導する。

イ 進んだ段階

目標 漢字のかい書やかなか正しく書けるようにする。

内容 短いことばを書く。

この段階では,文字のへん,つくり,かんむり,にょうなどの組み立て方や点画の接し方を指導する。
 (2) 毛筆で書写させる文字,語句,文は,その学年の目標や内容と考え合わせて選ぶことが必要である。

 (3) 毛筆による書写の学習は,書くことの指導の一環として行なうものであるから,その学習によって文字や筆順や字形をよく記憶するのに役だち,文字や文を硬筆で書写するときにも,正しく美しく書けるようにすることがたいせつである。

 
漢 字 配 当 表

(A) 一二三四五六七八九十日月火水木金土左右上下大中小目耳口手足人子女先生赤青白山川田森雨花石本正 (46字)

(B) 雲円王音何夏家会海外学間気汽休牛京玉空犬見元戸古工光行考校高合谷国黒今作糸思紙字時車秋出春書少色心西声夕切雪千前組早走草村多男池地知竹虫町長鳥朝天冬東道読南入年馬麦半百父風分文米歩母方北名明毛門夜友用来力立林話 (105字)

(C) 悪安暗意引運駅園遠屋温化科荷歌画回貝界開絵角活寒感岸岩顔記起帰期客究急級球去魚教強橋局近銀苦君兄形計決県研原庫午後語公広交向黄号根才細算止仕市死使始指次寺自事持室実社者弱主取首受終週集住重所暑助昭勝乗場食申身新神深進親図数世星晴船全送太体待台第炭茶着注柱昼追通弟鉄店点電都度刀当投島答頭同動肉波配買売畑発坂板番皮美表病品負物聞平返勉毎妹万鳴面野役由遊葉様曜落楽里理流旅両礼和 (187字)

(D) 愛案衣以囲位医委育印員院飲泳英塩横加貨芽改械階害覚官関館観願季喜旗器機宮挙共協鋭競業曲極具郡係景軽芸血結建言固湖幸航港告差祭菜最材昨刷察散産残士史司姉歯詩試式失写借守酒種州拾習順初消唱商章照焼植臣信真成清勢静整席積節線戦選然争相速息族続卒孫他打対隊代題達短談治置帳調直丁定底停庭的転徒努湯登等燈堂童働内熱農反飛悲費鼻必氷秒不夫付府部服福粉別変便包放法望末味脈民命問薬油有勇予洋陽利陸良料緑輪類冷歴列連練路老労録 (205字)

(E) 圧易胃移因栄永衛液演央往応億恩仮果河過価課賀快解各格確完漢管慣希寄規紀技義議久求救給居許漁興均区句軍群型経欠件健験限現個護功厚候康講鉱査際在殺雑参蚕酸賛氏支示志師似辞識質舎謝収周修宿祝術準序承省賞常情織性政精製責績折接設説浅銭祖素倉想総造象像増則側測帯貸単団築貯張腸低敵適典伝統銅導特毒独任念燃能破敗倍博飯比非肥備筆俵票標貧布婦武副復仏兵辺編弁保報防貿牧満務無迷綿約輸余要容養浴留量領令例 (194字)

(F) 異遺壱営益延可我革拡額株刊幹勧勧峡基貴疑逆旧供境勤禁訓系敬潔券兼険検絹憲権減厳己故誤后孝効皇耕構穀混再災妻採済財罪策至私視詞資児釈授需宗衆就従述純処諸除招称証条状職仁推是制聖誠税舌絶宣専善創蔵俗属存損尊退態断忠著賃提程展党討得徳届難弐認納派拝犯判版否評富複奮陛補基豊暴未盟訳預欲律率略臨論 (144字)

 指導上のつごうによっては,各学年の2 内容Bで示した学年配当区分によらず,若干字を,前後の学年で指導してもよい。

 なお,児童の個人差に応じ,(E),(F)に配当された漢字を適当に指導する。


 
第2節 社会

第1 目標

1 具体的な社会生活の経験を通して,自他の人格の尊重が民主的な社会生活の基本であることを理解させ,自主的,自律的な生活態度を養う。

2 家庭・学校・市町村・国その他いろいろな社会集団につき,集団における人と人との相互関係や,集団と個人,集団と集団との関係について基礎的なことがらを理解させ,社会生活に適応し,これを改善していく態度や能力,国際協調の気持ちなどを養う。

3 生産・消費・交通その他重要な社会機能やその相互の関係について,基本的なことがらを理解させ,進んで社会的な協同活動に参加しようとする態度や能力を養う。

4 人間生活が自然環境と密接な関係をもち,それぞれの地域によって特色ある姿で営まれていることを,衣食住等の日常生活との関連において理解させ,これをもとに自然環境に対応した生活のくふうをしようとする態度,自分たちの住んでいる地域や国土に対する愛情などを養う。

5 人々の生活様式や社会的なしくみ,文化などのもつ意味を身近な生活との関連において考えさせ,それらが歴史的につくられてきたことに気づかせ,先人の業績やすぐれた文化遺産をたいせつにする態度,正しい国民的自覚をもって国家や社会の発展に尽くそうとする態度などを養う。

 上に掲げた社会科の目標は,相互に密接な関連をもつものであるが,特に,社会科はわが国における民主主義の育成に対して重要な教育的役割をになう教科であるとともに,児童の自主的,自律的な生活態度や能力を伸ばす上に重要な意味をもつ教科であるから,各学年における具体的な学習が,主として目標2から5までのいずれかにかかわる場合においても,常にその指導の根底には目標1が考慮されなければならない。

 社会科は,社会生活に対する正しい理解を得させることによって,児童の道徳的判断力の基礎を養い,望ましい態度や心情の裏づけをしていくという役割をになっており,道徳教育について特に深い関係をもつものである。したがって,社会科の指導を通して育成される判断力が,道徳の時間において児童の道徳性についての自覚としていっそう深められ,この自覚がふたたび社会科における学習に生きてはたらくように指導することが望ましい。

 以下に示す各学年の目標は,次のような児童の発達段階に応じた社会科の特性を考慮したものである。すなわち,低学年では,児童の生活経験がまだ狭少で,家庭,寄宿舎,学校などの主として直接に経験できる範囲のものに限られている。

 したがって,第1・2学年における社会科の指導の方向としては,まず,学級,学校環境への順応,適応を出発点として,児童の日常生活における身近な諸経験を整理,発展させながら,身のまわりの社会生活への関心を育て,同時に集団の一員としての自主的,自律的な生活態度の芽ばえを育てることが重点である。

 第3・4学年においては,児童の生活経験はしだいに拡大し,言語の能力の基礎もようやく身につきはじめるとともに,知的,社会的発達も,ある程度向上する。したがって,この段階における社会科の指導の方向としては,自分たちの住んでいる地域の人々の生活と自然環境に目を向けさせ,その相互関係や生活の今昔の違いなどの初歩的な理解を得させることを通して,時間的,空間的意識の芽ばえを育て,集団生活への適応と社会生活に対する正しい見方,考え方の基礎を養うことが重点である。

 第5・6学年においては,児童はすでに相当程度に経験や生活範囲も拡大し,言語の使用能力も相当程度発達しているため,物事の因果関係を知ろうとしたり批判的に思考する力も芽ばえ,また,自主的,自律的な行動もしだいにみられるようになる。したがって,この時期における社会科指導の方向としては,自分たちの生活の歴史的背景,自然環境,他地域との依存関係などの基礎的な理解を通して,日常生活の身近なことがらでも,国全体,または世界の国々と関係をもっていること,また,過去の先人たちの努力の結果であることに気づかせ,正しい社会観の芽ばえをつちかうことが重点である。

 

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕

1 目標

 (1) 学校や家庭などの生活をささえるために行なわれているいろいろな仕事に気づかせる。

 (2) 学校や家庭など,その他身近な生活におけるいろいろなきまりや行事,施設などに関心をもたせる。

 (3) 学校や家庭などにおける人間関係に目を開かせ,集団生活に慣れさせる。

2 内容

 (1) 学校や家庭などでは先生や両親などいろいろな人たちが自分たちの生活の世話をしてくれている。

 (2) 順番を守ったり,仲よくしたりすると,みんなと楽しく遊べる。

 (3) 学校や家庭などには,いろいろな施設や設備,道具などがあり,それらの使い方には,きまりがある。

 (4) 学校や家庭などまた近所では,いろいろな楽しい行事が行なわれている。

 (5) 自分たちの身近には,郵便やさん,おまわりさん,お百姓さんなどいろいろな人がおり,また,消防署・郵便局などの施設や工場,商店などがある。

 (6) 自分たちの周囲には,道路やいろいろなものがあり,みんなできまりを守ってこれらを利用している。

 (7) 学校や家庭などでは,自分たちが,病気やけがをしないように先生や両親などが常に気を配ってくれているので注意を守ることが必要である。

3 指導上の留意事項

 (1) の学年の社会科は,特に道徳の指導との関係が深い。

児童は,入学以前の時期に言語の活動がきわめて困難であったか,あるいはほとんど言語を習得しないまま入学してくる場合か多いため,知的,社会的発達に遅滞や片寄りが見られがちである。

したがって,この学年の初期においては,まず児童を学級や学校の環境に円滑に順応させ,あわせて,日常生活の基本的な行動様式の基礎を身につけさせ,集団の一員としての自律的な生活態度の芽ばえを養うことを目ざすようにすることが必要である。

 (2)  しかしながら,しだいにこれらの習慣形成や言語指導が進むにつれて,児童が理解できる範囲において,身のまわりの社会生活や人間関係や事物に目を向けさせ,具体的な生活の中でそれらの事物や人がどんなはたらきをしているか等について関心をもたせるように指導することが望ましい。

 (3) 実際の指導にあたっては,児童の興味や関心を軍んじ,意欲をそそる遊びや共同の作業などを通して,児童がいきいきと自発的に学習するように導くことがたいせつである。

 

〔第2学年〕

1 目標

 (1) 学校や家庭などの生活をささえるために行なわれているいろいろな仕事の様子や自分たちとの関係について理解させ,これらの仕事に伴う苦心やくふうに気づかせる。

 (2) 学校や家庭,近隣など,身近な生活におけるいろいろなきまりや行事,施設などの意味について理解させ,みんなが健康でしあわせな生活ができるように苦心が払われていることに気づかせる。

 (3) 身近な地形,事物の位置関係,あるいは,家庭などの暮らしに見られる季節的変化などに気づかせる。

 (4) 学校や家庭などにおける人間関係に目を開かせ,これらの生活も自分たちの協力やくふうによって,いっそう楽しくなることを考えさせ,集団生活に進んで参加しようとする態度を養う。

2 内容

 (1) 学校では,受け持ちの先生のほかに,大ぜいの先生やいろいろな人たちがいて,それぞれの仕事を通して,自分たちのために働いてくれている。

 (2) みんなで使う道具や,施設の使い方,行事への参加のしかたなど,決められたことをよく守れば,みんなが楽しい学校生活を送ることができる。

 (3) そうじや花壇の手入れや,飾りつけ,整とんなどをよくして,家庭や学校などを美しくすれば,気持ちよく勉強したり遊ぶことができる。

 (4) 家の職業には,いろいろなものがある。

 (5) 家庭などで衣食住の準備や世話をしてくれる人の仕事は忙しく苦労が多い。

 (6) 家庭などの仕事には季節や時刻,人手の関係などで特に忙しいことがある。

 (7) 家庭などでは楽しい時間や行事をもつよう,いろいろ考えられている。

 (8) 学校や社会には,病気やけがを防ぐためのいろいろな行事やきまりがある。

 (9) 自分たちの周囲には公園,あき地,遊園地などがあり,遊び場その他に使われているが,その利用のしかたについては,いろいろな注意が必要である。

 (10) いろいろな道路や乗り物は,人や物を運ぶはたらきをしているが,その利用には危険を伴うから,登下校などには常に注意が必要である。

 (11) 家庭などの衣食住,自分たちの遊びや生活のしかたなどには季節によっていろいろな違いが見られる。

3 指導上の留意事項

 (1) この学年の児童は,ようやく学校生活にも慣れ,学習態度もある程度形成されてくるが,集団生活の日も浅く,言語の習得もまだふじゅうぶんなため,社会的発達になお遅滞が見られがちであるから,特に円滑な人間関係を結ぶことができるような経験を豊富に取り入れるよう留意しなければならない。

 (2) 内容の(1),(4),(5)等については,身近な人たちの仕事に関心をもたせ,自分たちとの関係について考えさせるとともに,職業活動としての仕事にも注意させ,人々の仕事の種類の多様性に気づかせる程度にとどめ,平易に扱うものとする。

 (3)  内容の(9),(10)等の学習は,空間的意識の芽を育てようとするものであり,高学年における地理的学習に発展するものとして重要である。しかし,この学年としては,児童の理解力の発達からみて身近な生活に関する具体的な事物に即して,平易に取り扱うことが望ましい。

 (4) 内容の(10)についての学習では,特に交通のきまりに関心をもたせることに重点をおき,安全教育を徹底する機会として,道徳等と関連づけて指導することが望ましい。また,体育科における危害予防の指導との関連を図るようにする。

 

〔第3学年〕

1 目標

 (1) 自分たちの周囲では,人々が,物資の生産・輸送・販売などの仕事に従事していることに気づかせる。

 (2) 人々の生命・財産を守るための各種の仕事や,その意味について具体的に理解させ,自分たちが日常安心して生活できるようなしくみが考えられていることに気づかせる。

 (3) 身近な地形,事物の位置関係や場所的相違,あるいは家庭などの暮らしに見られる季節的変化,事物の新旧の違いなどを観察,理解させ,空間や時間についての意識を育てる。

 (4) 学校や家庭,その他身近な生活において,多くの人々が,いろいろな仕事を受け持っていることに気づかせ,これらの人々に対する親しみの気持ちを育てる。

2 内容

 (1) の職業は,家族の生活をささえるもとになっているたいせつなものであり,友だちの家と比べてみても,いろいろな職業があることがわかる。

 (2) どんな職業の家庭でも,他の人の作った物資を買って生活している。

 (3) 近所の人々は,互いに協力して,不時の災害に備えたり共同施設の改善を図ったりなどして,安全で住みよい環境をつくる努力をしている。

 (4) 人々は,田畑を耕して米や野菜を作り,山では木を切り,海では魚をとる仕事をしている。

 (5) 店の人々は,生活に必要ないろいろな品物を仕入れて売っている。

 (6) 工場では,大ぜいの人々が,生活に必要ないろいろな品物を機械を使って作りだしている。

 (7) 交通・運輸の仕事に携わっている人々は,安全にしかも早く人や物を運ぶために努力している。

 (8) 郵便局などで働いている人々は,郵便や電報が確実に早く相手に届くよう努力している。

 (9) 警察官,消防官,医師などは,盗難,けが,火災,病気等の不幸からみんなの生活を守るための仕事をしてくれている。

 (10) これらの人々の仕事の特色は,いつでも仕事にとりかかれるように用意しており,時にはその仕事に生命の危険が伴うことなどである。

 (11) 人々は,いろいろくふうして,土地を田や畑にしたり,道路にしたりなどして,暮らしに役だてているが,その様子は場所によって違っている。

 (12) 道路や建物などには,古いものと新しいものがあり,また,道路工事が行なわれたり,新しい建物ができたりなどして,近所の様子も変わっていく。

 (13) 家庭などの衣食住,あるいは,近所の人々の生活や仕事には季節によってさまざまな違いが見られる。

3 指導上の留意事項

 (1) この学年の社会科は,内容の(4),(5),(6),(7), (8),(9)によって明らかなように,自分たちの生活のささえになっている重要な仕事の代表的なものをとらえ,第4学年で扱う社会的分業に関する学習の基礎として,それぞれの仕事の様子や自分たちとの関係などのあらましを,おもに人の働きを中心として理解させようとするものである。しかし,職業的活動相互の関係などはここでは取り扱わず,あくまで児童の理解できる日常生活との関係に重点をおいて指導を行なうものとする。

 (2)  特に内容の(4),(6)については,地域によっては,それぞれの働く人々の様子を実際に観察したり,調べたりすることの困難な場合もあろう。しかし,そのような場合でも,視聴覚教材・教具の利用,その他の方法によって,これを有効に学習させるようにくふうしなければならない。

 (3)  この段階の児童は,ようやく学校環境にも慣れ,言語の能力の基礎が身につきはじめ,適応力も向上してきているが,さらに社会科の指導の中で共同の作業や製作,グループや役割の分担などを通して,進んで集団生活に参加する態度や能力を養うように留意しなければならない。

 

〔第4学年〕

1 目標

 (1) 自分たちの住んでいる地域では,生活に必要な物資の生産や,その輸送,販売等に従事している人々の活動があり,これによって自分たちの生活がなりたっていることを理解させ,物資の利用のしかた等についてくふうできるようにする。

 (2) 自分たちの住んでいる地域で,人々が行なっている重要な諸活動の相互の関係のあらましを理解させ,公共施設や資源をたいせつにする態度を養う。

 (3) 天候と人々の仕事が関係をもっている事実や,自分たちの生活が遠い地方の人々とも関係をもっている事実,人々の使う道具や機械が進んできている事実などの一端を理解させ,空間や時間についての意識を深める。

 (4) 世の中では,多くの人々が,それぞれ仕事を分担しあっている事実を理解させ,これらの人々に対する協力や感謝の気特ちを育てる。

2 内容

 (1) わたしたちが日常使っている品物は,すべて人々の働きによって作りだされたものであり,これを使用するには注意やくふうがたいせつである。

 (2) 店の人々は生産者と消費者とをつなぐ役割を果たしているが,問屋や市場から品物を仕入れる仕事その他にいろいろなくふうをしている。

 (3) 自分たちの住んでいる地域の人々の仕事や暮らしには,電信,電話や各種の交通機関などによる他地域との通信,往来,物資の輸送等もたいせつなはたらきをしている。

 (4) 人々は郵便・電報などを利用して,よその土地の人々と必要な連絡をしているが,郵便局などで働いている人々は,それらが確実に速く相手に届くよう努力している。

 (5) 自分たちの住んでいる地域では,みんなの健康を守ったり,火災や水害などの災害を防いだりするために,保健所,診療所,消防団,水防団などをつくって,さまざまな活動を行なっている。

 (6) 自分たちの住んでいる地域の中には,田畑や森林の多い所,住宅,商店,工場などがそれぞれ集まっている所などかあり,その様子は場所によって違う。

 (7) 自分たちの住んでいる地域の人々は,学校,公民館,図書館,公園などの公共施設を利用して,生活の向上に役だてている。

 (8) 天候の変化は,人々の仕事にいろいろな影響を与えるが,特にあらしなどで田畑が荒らされたり,交通・通信機関などが止まったりすると,その復旧には多くの苦労が伴う。

 (9) 自分たちの住んでいる地域の人々はいろいろな職業に携わっているが,その中には,他の地域に働きに行く人もある。

 (10) いろいろな仕事をする人の使う道具や機械を見ると,便利になってきたものが多い。

 (11) 働く人たちは,仕事や身なりは違っていても,それぞれたいせつな仕事を受け持っており,それらの人々のおかげで,みんなが楽しく生活することができる。

3 指導上の留意事項

 (1) この学年の自分たちの住んでいる地域についての学習では,行政区画としてのそれを取り上げる必要のある場合と,むしろそのような区画にとらわれず,児童の日常生活に最も密接な関係がある地域範囲を,指導の目標や内容に即して決定したほうがよい場合とがある。

特に聾(ろう)学校は,児童の家庭と学校とが同一の地域社会に必ずしも属していない場合が多く,そのため,児童の日常生活に最も密接な地域とは,おもに学校または寄宿舎などを中心とした地域となる場合が多い。また,取り扱う地域的範囲も,児童の経験や能力などの発達段階によって違ってくるから,単元構成や指導の実際にあたっては,この点じゅうぶん留意しなければならない。

 (2)  内容の(10)取り扱いについては,内容の(3),(4),(5),(8)等に関する具体的な学習の中で,児童に理解しやすく,できれば実際に比較観察することのできる道具や機械の事例を取り上げていくのが望ましい。時代の順を追って,これらの変遷を扱うような学習を行なう必要はない。

 (3) 内容の(11)の取り扱いにおいては,仕事によって,人々の服装が違っていることに注意させるだけでなく,服装や仕事で職業の貴賤(せん)を区別しないような,正しい職業観の芽を養うことが必要である。

 

〔第5学年〕

1 目標

 (1) 自分たちの住んでいる地域の生活が,より広い地域や遠い地方とも密接な関係をもって営まれていることを具体的事実に即して理解させ,われわれの生活が地域的に孤立してはなりたたないことに気づかせる。

 (2) 自分たちの住んでいる地域の人々の仕事は,その地形,気候,資源,交通条件などと深い関係をもって営まれていくことを観察理解させ,自然環境と人間生活の関係についての関心を高める。

 (3) 自分たちの住んでいる地域の生活には,今昔の違い,歴史的な移り変わりがいろいろな姿で見られることを理解させ,先人の努力について考え,これを尊重し,感謝する気持ちを育てる。

 (4) 自分たちの住んでいる地域にも今後くふうや改善を要するいろいろな問題があり,人々はその解決のために努力していることを理解させ,地域の発展を願う気持ちを育てる。

2 内容

 (1) 自分たちの住んでいる地域の人々は,他地域に働きに通ったり,物資の売買や病院その他の施設の利用のために出かけたりする場合も多いが,このような地域相互の関係は交通その他の条件に影響されている面が少なくない。

 (2) 県庁の所在地は,県の政治の中心であるばかりでなく,各種の重要な施設も多いので,自分たちの住んでいる地域の生活も,これと深いつながりをもっている。

 (3) 自分たちの住んでいる地域で作られる物資の中には,遠い地方や大都市あるいは外国などへ大量に送り出されて,自分たちの住んでいる地域の人々の生計をささえるもとになっているものもある。

 (4) 自分たちの住んでいる地域では,地域の人々によって選ばれた議員や長が,地域全体の人々のために必要な仕事を計画したり,行なったりしている。

 (5) 新しい土地や道路の開発,災害の復旧,公共施設の整備などは,一つの地域の力だけでは困難な点もあるので,多くの地域の協力あるいはもっと広い地域や国との協力で進められることが少なくない。

 (6) 自分たちの住んでいる地域の人々は,昔から,神社や寺院などを中心として祭りその他の行事を催し,楽しみをともにしてきた。

 (7) 自分たちの住んでいる地域の人口や集落の状態,人々の仕事の種類や方法,道路の様子などを見ても,父母や祖父母のこどものころに比べて変わった点が少なくないが,そこには鉄道やバスの開通,道路や港の改修,工場の設置など,人々のいろいろな努力があった。

 (8) 自分たちの住んでいる地域の人々の仕事や暮らしは,その土地の地形,気候,資源,交通条件などと深い関係をもっているが,かんがいのための各種の工事を行なったり,協同組合を作ったり,水道を引いたりなどしていろいろくふうをしている。

 (9) 自分のことばかりでなく,地域の人々全体のことを考え,みんなが協力しあえば,自分たちの生活も改善される面が少なくない。

3 指導上の留意事項

 (1) この学年からは,地図帳を使用させることになる。その効果的な利用のしかたについては,ひとり社会科の時間ばかりでなく,他教科の指導等においてもくふうをこらし,児童の地図に対する親しみを深めることが重要である。

 (2) この学年で自分たちの住んでいる地域というのは,第4学年で扱った地域よりも広い範囲を含め,児童の経験や能力などの発達段階に即して取り扱うものとする。

 (3) 内容の(3)に関連した学習を行なうにあたって,特に他地方へ大量に送り出しているような生産物資のない地域(たとえば,都市の住宅地区など)の学校では,消費物資の面から他地方とのつながりを理解させるような方法を講ずることが望ましい。

 (4)  内容の(4)に関連した学習においては,政治や行政組織等に関する程度の高い学習にはしりすぎないように,特に注意する必要がある。地域の人々全体の福祉を目ざし,そのために必要な仕事が,地域の人々の税金などをもとにして行なわれるようなたてまえになっていることを理解させることができればよい。

 (5) 内容の(6)および(7)に関連した学習を行なう場合,この学年の児童の能力を考え,歴史的資料(史跡,記念碑なども含む)。についても児童の興味に応じた取り扱いについて配慮する必要がある。

 (6)  内容の(8)については,地域によって具体的な取り扱い方が異なってくるが,いずれの場合にも,具体的な観察や事実の認識に基づいて,自然と人間生活との基本的なつながりに目を開かせるようにすべきである。したがって,学習に地図を利用する機会をできるだけ多くし,基礎的な地図記号や方位等についても的確な指導をしておくことが望ましい。

 

〔第6学年〕

1 目標

 (1) 国内の特色ある土地について,自然環境と人々の衣食住その他の生活との関係を理解させ,人間生活と自然との密接な関連について考えさせる。

 (2) 人々の自然への積極的な働きかけが,現在いろいろな形で行なわれているばかりでなく,先人の努力やくふうを通して今日まで積み重ねられてきたことを理解させ,他地域の人々の暮らし方などに学びながら,自分たちの住んでいる地域の発展に尽くそうとする気持ちを養う。

 (3) この国土で営まれているおもな産業の様子や国民生活との関係についてあらましを理解させ,働く人々への関心を高める。

 (4) 日常生活の身近なことがらでも,国全体または,世界の他の国々と関係のある場合が多いことや,自分が国民のひとりとして生活していることに気づかせ,国土に対する愛情を養う。

2 内容

 (1) 自分たちの住んでいる地域のことだけでなく,さらに広く他の地域との結びつきに目をそそぐと,国内各地で,それぞれの地形や気候などの条件のもとにいろいろくふうして特色ある生活が営まれていることがわかり,自分たちの住んでいる地域の特色や今後の発展を考えるうえに多くの点で参考になる。

 (2) 自然が人間の生活に役だっている一面として,すぐれた自然景観に恵まれた土地があり,その美しさを保護するためにいろいろな努力が払われている場合も少なくない。

 (3) 国内には,さまざまな特色をもった地域,たとえば,暖かくて雨の多い土地,冬が長くて雪の多い土地,高地,平地,海岸,離島などがあり,衣食住や生産など,生活の上で人々はいろいろな苦心やくふうをしている。

 (4) 自然への働きかけや暮らしのくふうは,大昔の人々の衣食住の様子や生産のしかた,さまざまな用具などにも,いろいろな形で見られ,その様子は現在の自分たちの生活と比較して大きな違いがある。

 (5) 自分たちの住んでいる地域の人々は,土地の開拓,用水路・道路の開拓,新しい産業の導入など,自然の制約を克服しながら生産や生活の向上に努めてきたか,このような事例は他の土地にも多く見られる。

 (6) 人々の旅のしかたや物資の輸送のしかたは,江戸時代と明治以後とでは道路の発達や新しい交通機関の出現,世の中の変化などに伴って著しく変わり,便利になった。

 (7) 自分たちの住んでいる地域を発展させることが,日本の発展の基礎になることを考え,先人の経験を生かして郷土の生活の改善のしかたなどについてくふうすることがたいせつである。

 (8) 国民生活をささえる産業としては,農業,工業,水産業,林業,鉱業,牧畜業,商業などがあり,その種類はきわめて多い。

 (9) わが国では,気候の条件から,おもに,米の生産が農業生産の中心になっており,毎年の米の生産高の多少が国民生活に大きな影響を与える。

 (10) わが国の工業はこれまでいわゆる四大工業地帯を中心に発達してきたが,最近ではこのほかにも新しい工業地域が各地におこり,すぐれた工業製品もしだいに多くなりつつある。

 (11) わが国では,多くの工業原料を外国から輸入し,できた製品を海外に輸出して貿易を行なっているので,諸外国との友好関係を保つことがたいせつである。

3 指導上の留意事項

 (1) 内容の(2)の取り扱いにおいては,内容の(3)などの学習との関連を考慮し,ら列的な観光地巡りや国立公園巡りのような学習に陥らないように留意すべきである。

 (2) 内容の(3)に関連した学習においては,それぞれの土地の特色を具体的に理解できるような資料を多く用意しておくこと,自分たちの住んでいる地域の生活との比較や関係などについても,必要に応じて指導することなどがたいせつである。

 (3) 内容の(4)に関連した学習においては,日本の歴史上に見られる具体的な人々の生活を取り上げるようにし,人類一般の文明発祥の歴史の学習などにはしらないように留意すべきである。

 (4)  内容の(6)に関連した学習においては,その地域的範囲を必ずしも自分たちの住んでいる地域だけに限定することなく,それぞれの時代の交通の特色やその変化などを,児童に最も効果的にはあくさせるようにくふうすべきである。したがって,これらの学習においては,特に視聴覚資料や歴史年表などの活用がたいせつである。

 

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 どの程度具体的な指導計画をあらかじめ作成しておくことが効果的であるかは,個々の教師の経験や能力によって異なる。

 しかし,社会科の場合は,単元という内容・学習経験の具体的なまとまりをくふうし,これに基づいて指導を進めていくのか原則であるから,少なくとも,

 (1) 具体的な単元名とそれぞれの基本的ねらい。

 (2) 単元相互の関係。

 (3) 各単元における展開のあらすじと所要時間の概略。

等については,第2に示した各学年の目標,内容を全体としておおうようなかたちで,あらかじめ計画をたてておくべきである。なお,第2に示した内容の順序は,必ずしも学習の順序を示すものではない。

2 社会科における単元は,その学年で扱う内容の単なる便宜的区分ではなく,児童がどのような能力や経験をもち,身のまわりの社会的事象をどうとらえ,どのような疑問や問題をもっているか等の実態と教師の指導目標を結びつけて考えたとき,具体的に決定できるものである。

 以上のことから,

 (1) 同じ社会科の単元でも,一般的に,高学年になるほど,一つの単元に含まれる内容・学習経験が豊富になり,所要時間も多くなるのが望ましい傾向といえよう。しかし,一つの単元が二つの学期にまたがることは望ましくない。

 (2) 学習指導要領に基づいて作成された指導計画に関する地域的参考資料を利用する場合にも,単にこれを機械的に模倣するのでなく,じゅうぶん研究検討を加えたうえ,学級児童の実態に適合した指導計画を作ることが望ましい。

3 なお,指導計画作成および学習指導のうえで,留意すべき重要事項をあげれば,次のとおりである。

 (1) 特に教科の性格上,単元としての目標や内容の範囲がいきおい広がりすぎ,他の教科や教育活動と無用の重複を生ずる傾向も少なくない。社会科本来の目標が,個々の単元においてあいまいにならないようにじゅうぶん注意すべきである。

 (2) 単元学習の趣旨から考えて,学習の目標を児童自身に効果的にはあくさせるくふうが,特に重要である。それぞれの単元の導入段階などの指導計画や学習指導には,このような配慮がじゅうぶん払われていることが望ましい。

 (3)  社会科で行なわれる各種の学習活動のうちには,たとえば見学とか野外調査のように,よく検討し綿密な準備や計画を考えておかなければならないものがある。指導の直前になってあわてて予定を変更したり,漫然と児童を校外に連れ出して時間の浪費に終わることのないように留意すべきである。

 (4) 習得した知識の整理をしたり,結論を確かめたりする終末の段階の学習になると,時間が足りなくなって,指導を急いでしまう場合が少なくない。

しかし,この段階は単元学習としても重要なものであるから,このような傾向に陥らないよう,指導計画を作成する際にも,また実際指導にあたっても,じゅうぶん留意すべきである。

 (5) 地域の自然的,社会的環境に即して指導計画は編成されなければならないが,特に社会科においては,実地見学や野外調査などを行なう関係上,地域の人々の理解を深め,その協力を得るよう配慮しておくことがたいせつである。

 (6) 言語の能力の不足を補うために,できるだけ絵画,スライド,映画,標本,年表,写真,地図,掛け図,統計,分布図,新聞,テレビなど,豊富な視聴覚教材を活用して,有効な学習か行なわれるよう留意しなければならない。

 (7) 特に第1・2・3・4学年では,実際の指導においては,教材のわくにかかわらず,関連する内容を総合的に扱う総合学習を行なうことも可能であるが,その場合も,社会科としてねらっている目標がじゅうぶん達せられるよう留意しなければならない。

 (8) 特に第4・5・6学年の児童は,児童会,クラブ活動などの特別教育活動にしだいに参加する機会が多くなるので,社会科の指導に適宜取り入れ,これによって相互の学習が有効なものになるよう配慮することがたいせつである。

 (9) 実際の指導においては,児童の興味,疑問,要求などを的確にとらえ,これらに即応した弾力性のある指導が望ましいが,特に興味のあるできごとや時事的なことがらなど,児童に親しみ深いものを豊富に効果的に取り入れることが必要である。

 (10) 学習にあたっては,共通の問題の解決のため,グループ組織など適宜に設け,協力して自主的に学習を進めたり,集団生活へ積極的に参加したりするような機会を用意することが望ましい。


 
第3節 算数

第1 目標

1 数量や図形に関する基礎的な概念や原理を理解させ,より進んだ数学的な考え方や処理のしかたを生み出すことができるようにする。

2 数量や図形に関する基礎的な知識の習得と基礎的な技能の習熟を図り,目的に応じ,それらが的確かつ能率的に用いられるようにする。

3 数学的な用語や記号を用いることの意義について理解させ,具体的なことがらや関係を,用語や記号を用いて,簡潔・明確に表わしたり,考えたりすることができるようにする。

4 数量的なことがらや関係について,適切な見通しを立てたり筋道を立てて考えたりする能力を伸ばし,物事をいっそう自主的,合理的に処理することができるようにする。

 数学的な考え方や処理のしかたを,進んで日常の生活に生かす態度を伸ばす。上に掲げた算数科の目標は,相互に密接な関連をもつものであり,算数科の指導において絶えず考慮すべきことがらを掲げたものであるが,特に,目標5は,目標1,2,3および4の指導を通して,児童の科学的な生活態度を育成することの必要を示したものである。

 次に示す各学年の目標においては,それぞれの学年で指導すべきおもな内容について,その学年としての指導のねらいを述べている。

 この各学年の目標を掲げるにあたっては,次の諸点を考慮した。

 第1・2学年では,数量や図形に関して基礎となることがらの理解に役だつ経験や活動を与え,数量や図形などについて興味や関心をもたせることを主要なねらいとした。第3・4学年では,数量や図形に関する諸概念の理解に対して基礎となるような経験を与え,その後の学習に必要な基礎を作るようにすることを主要なねらいとした。第5・6学年では,数量や図形についての基礎的な概念や原理を漸次明らかにし,数学的な考え方や処理のしかたをしだいに確立していくことを主要なねらいとした。

 算数科においては,上記のことがらを考慮し,児童の学年的な発達に応じて,その内容を系統的に身につけさせるようにすることが必要である。

 

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕

1 目標

 (1) 具体的なことがらの取り扱いを通して,数についての興味や関心をもたせ,数を正しく数えたり,読んだり書いたりすることができるようにする。

 (2) 具体的なことがらの取り扱いを通して,量の概念を理解するのに役だつ基礎的な経験を与え,量についての興味や関心をもたせる。

 (3) 具体的なことがらの取り扱いを通して,図形の概念を理解するのに役だつ基礎的な経験を与え,ものの形についての興味や関心をもたせる。

2 内容

 A 数と計算

 (1) 10までのものが確実に数えられるようにする。
ア 数詞を正しく唱えること。

イ 個数を数えること。

ウ 簡単なことがらについて,順番を言うこと。
 (2) 10までの数を読んだり書いたりすることができるようにする。

 (3) 具体的なことがらの取り扱いを通して,数系列における数の位置,数の大小および順序を理解させる。

 (4) いくつかのものを分けたり,寄せたり,これらを整理したりする。

 B 量と測定

 (1) 具体的な事物について,量の大小を比べることができるようにする。

 (2) 長い短い,広い狭い,または速いおそいなどに興味や関心をもつようにする。

 (3) 日常生活を通して時刻についての興味や関心をもつようにする。

 C 図形

 (1) 具体的な事物についての観察や取り扱いを通して,物の形について興味や関心をもつようにする。
ア いろいろな形をかいたり,作ったりすること。

イ 丸や四角などの特徴に気づくこと。

3 指導上の留意事項

 内容は,各領域について,(1),(2)などによって示しているが,これは,この順序で指導することを示しているものではない。また,(1),(2)などだけでは,その中に含まれるおもなことがらがわかりにくい場合や,その中に特に含めることがらを明示する必要がある場合などに,ア,イなどで示すことがらを掲げてある。これらをもとにして,その主旨をつかむようにする。これは第2学年以上についても適用する。

 

〔第2学年〕

1 目標

 (1) 数範囲を広け,具体的なことがらの取り扱いを通して,数を正しく数えたり,読んだり書いたりすることができるようにするとともに,数の構成について理解させる。

 (2) 具体的なことがらの取り扱いを通して,加法・減法の素地となる経験を与える。

 (3) 具体的なことがらの取り扱いを通して,漸次量の概念を理解するのに素地となる経験を与える。

 (4) 具体的なことがらの取り扱いを通して,図形の概念を理解するのに基礎となる経験を与える。

2 内容

 A 数と計算

 (1) 50までのものが確実に数えられるようにする。
ア 数詞を正しく唱えること。

イ 個数を数えること。2ずつ,5ずつ,または10ずつなどにまとめて数えること。

ウ 順序や位置を数で表わすこと。
 (2) 50までの数を読んだり書いたりすることができるようにする。

 (3) 数について理解させる。
ア 10までの数の構成。

イ 二位数について,各位の数字の意味を知ること。

ウ 数の系列における数の位置,数の大小および順序を知ること。
 (4) 加法・減法の素地となる経験を与える。

 B 量と測定

 (1) 具体的な事物について,大きさの比較などを通して,長さなどの量の概念を理解するのに基礎となる経験を与える。

 (2) 簡単な場合について,時刻や日時を理解するのに基礎となる経験を与える。

 C 図形

 (1) 具体的な事物についての観察や構成などの操作を通して,図形の概念を理解するのに基礎となる経験を与える。
ア 児童の日常のことば,たとえば,さんかく,しかく,まるなどを用いて,基本的な平面図形を認めたり言い表わしたりすること。

イ 基本的な図形を作ったり,また,それらを用いて形を構成したりすること。

3 指導上の留意事項

 (1) Aの(4)の指導については,具体物を用いて,簡単な場合についての増減の結果を求めるような経験を与えること。

 (2) Cの(1)の指導については,次のようなことに留意すること。
ア 主として平面図形について,位置,大きさ,物体の種類などに関係なく,図形を認めることができるようにすること。

イ 主として平面図形について,図形を構成している頂点,辺などの要素とその数などに漸次着目させること。

ウ いろ板などを並べていろいろな形を作ったり,折り紙などをしたりする操作の中にも,図形についての考え方の基礎となることがあることに気をつけること。

 

〔第3学年〕

1 目標

 (1) 数範囲を広げ,具体的なことがらの取り扱いを通して,数を正しく数えたり,読んだり書いたりすることができるようにするとともに,数について理解を深める。

 (2) 具体的なことがらの取り扱いを通して,加法・減法が用いられる場合について理解させる。

 (3) 具体的なことがらの取り扱いを通して,漸次世の概念を明らかにするとともに,測定について理解するのに基礎となる経験を与える。

 (4) 具体的なことがらの取り扱いを通して,図形の概念を理解するのに基礎となる経験を豊かにする。

2 内容

 A 数と計算

 (1) 100までのものが確実に数えられるようにする。
ア 数詞を正しく唱えること。

イ 個数を数えること,2ずつ,5ずつ,または10ずつなどにまとめて数えること。

ウ 順序や位置を数で表わすこと。
 (2) 100までの数を読んだり書いたりすることができるようにする。

 (3) 数について理解させる。
ア 二位数について,各位の数字の意味を知ること。

イ 数の系列における数の位置,数の大小および順序を知ること。
 (4) ものを分類して数えたり,これを表の形などに整理して記録したりする経験を与える。

 (5) 加法・減法が用いられる簡単な場合について理解させる。
ア 加法・減法が用いられる場合とその記号を知ること。

イ 加法・減法の記号を用いて,式をかいたり読んだりすること。
 (6) 加法・減法について計算する能力を伸ばす。
ア 和が10以下の一位数と一位数の加法およびその逆の減法。

イ 10,20,30などについての計算,二位数と一位数とについての計算などで,上のアの程度の計算でできるもの。

ウ 和が10よりも大きくなる一位数と一位数の加法およびその逆の減法。
 (7) 具体的な事物について,まとめて数えたり等分したりすることを通して,乗法・除法の素地となる経験を与える。

用語と記号

 一のくらい,十のくらい,たしざん〔よせざん〕,ひきざん,+,−,=

 B 量と測定

 (1) 具体的な事物について,大きさの比較などを通して,長さなどの量やその測定の意味を理解するのに基礎となる経験を与える。

 (2) 時刻の概念を漸次明らかにするとともに,簡単な場合について,とけいを読む能力を伸ばす。
ア 時刻や日時に関することばを知ること。

イ とけいで,何時,何時半などを読むこと。

C 図形

 (1) 具体的な事物についての観察や構成などの操作を通して,図形の概念を理解するのに基礎となる経験を豊かにする。
ア 児童の日常のことば,たとえば,はこのかたち,つつのかたちなどを用いて,基本的な立体図形を認めたり,言い表わしたりすること。

イ 基本的な立体図形を作ったり,また,それらを用いて形を構成したりすること。
 (2) 簡単な場合に,方向や位置に関することばを正しく用いる能力を伸ばす。

3 指導上の留意事項

 (1) 用語と記号の欄には,特に算数的な用語や記号で,その学年の児童に用いさせるものを示している。日常のことばとして児童が用いる程度のものはあげていない。なお,〔 〕で示した用語または記号は,その左にある用語または記号のかわりに用いられることがあることを知らせる。これは第4学年以上についても適用する。

 (2)  Aの(6)の指導について,イの事項は,数についての理解を主要なねらいとする。また,ウの事項は,具体的な事物について,和や差が求められる程度とする。これらについて,この学年で,形式的に計算できるまでに指導することは必要としない。なお,ウの事項は,児童の特性,実態に応じて,困難と思われる場合には,平易に扱い,次学年の加法・減法の指導内容にあわせて指導してもさしつかえない。

 (3) Bの(1)の指導について,長さがはっきり現われているものだけでなく,高低,遠近なども比べたり,水または砂などのかさを測ったりするなど,広く,量や測定の基礎となるような経験を与えること。

 (4) Cの(1)の指導については,次のようなことに留意すること。
ア 位置,大きさ,物体の種類などに関係なく,図形を認めることができるようにすること。

イ 図形を構成している頂点,辺,面などの要素とその数などに漸次着目させること。

ウ 積み木などを並べて,いろいろの形を作る操作の中にも,図形についての考え方の基礎になることがあることに気をつけること。
 (5) Cの(2)の指導については,主として,自分自身を基準とした場合を取り扱うこと。

〔第4学年〕

1 目標

 (1) 数範囲を広げ,数を用いる能力を伸ばすとともに,位取りの考え方について理解を深める。

 (2) 加法・減法および乗法について,計算の意味とそれを用いる場合についての理解を深めるとともに,加法・減法の基礎的な計算が確実にできるようにする。

 (3) 長さなどの測定を通して,量とその測定について基礎となることがらを理解させる。

 (4) 乗法や測定と関連して,割合の考えの基礎となることがらについて理解させる。また,簡単な数量の関係を記号や式を用いて表わしたり読んだりする能力を伸ばす。

 (5) 具体的な事物についての観察や構成などの操作を通して,図形の概念を理解するのに基礎となる経験をいっそう豊かにする。

2 内容

 A 数と計算

 (1) ものを適当にまとめて数えるなど,数をじょうずに用いる能力を伸ばす。

 (2) 数についての理解を深める。
ア 1000までの数の読み方と表わし方。

イ 位取りの考え方の理解。

ウ 0の意味,たとえば,空位を表わすことや2−2,3+0などに関して計算に用いる数とみることなどを知ること。

エ 数の系列における数の位置。

オ 数の大小,順序の比べ方。
 (3) 加法・減法が用いられる場合についての理解を深める。

 (4) 一位数どうしの加法およびその逆の減法が,確実にできるようにする。

 (5) 三位数までの数について,加法・減法の計算をする能力を伸ばす。

 (6) 筆算形式による加法・減法のしかたを知らせ,その計算の原理や手順について理解させる。

 (7) 加法・減法についての基本的な関係を理解させ,これを計算やその結果の確かめに用いることができるようにする。
ア 減法は加法の逆の関係になること。

イ 加える順序や引く順序をかえても結果が変わらないこと。
 (8) 具体的なことがらに即して,乗法の意味について理解させる。
ア 乗法が用いられる場合を知ること。

イ 乗法の記号を知り,これを正しく用いること。

ウ 九九が用いられることを知ること。
 (9) 具体的な事物の取り扱いを通して,割合の考え方の基礎となることがらについて理解させる。
ア ……の2ばい,……の1/3(三ぶんの一)などの意味を知ること。(10) 具体的なことがらについて,その関係を加法・減法および乗法の記号を用いて,式に表わしたり,それを読んだりする能力を伸ばす。

 (11) 簡単なことがらを,表やグラフの形に整理して表わしたり,それを読んだりする能力を伸ばす。

用語と記号

 百のくらい,かけざん,×,九九,ばい,しき

 B 量と測定

 (1) 長さなどの量の概念と測定の意味について理解させる。

 (2) 長さの単位を知らせ,長さを測定する能力を伸ばす。
ア 長さの単位(メ―トル,センチメートル,ミリメートル)と,その相互関係。

イ ものさしの使い方。
 (3) 時刻および時間の概念を漸次明らかにするとともに,簡単な場合にとけいを正しく読むことができるようにする。
ア 時,分,および日とそれらの関係を知ること。

イ とけいによる時刻の読み方(分まで)を知ること。

ウ 簡単な場合に,きまった時刻から,30分,1時間,2時間など,前およびあとの時刻を知ること。

エ 週,月,年などのしくみを知ること。

用語と記号

 たんい,メートル,m,センチメートル,cm,ミリメートル,mm,時,分

 C 図形

 (1) 図形の概念を理解するのに基礎となる経験をいっそう豊かにする。

 (2) 方向や位置をいっそう正しく言い表わすことができるようにする。

3 指導上の留意事項

 (1) Aの(5)の指導について,繰り上がりや繰り下がりの困難な計算は,主として第5学年において習熟を図るようにすること。

 (2) Aの(8)の指導について,九九を用いるのは乗法の意味を理解させるのに必要な程度とし,九九を全体としてまとめその習熟を図ることは,第5学年において行なうようにすること。

 (3)  Aの(9)の指導については,計算や測定の指導と関連して取り扱い,形式的にならないように特に留意すること。ここでは,もとにしているものや,それとの大きさの関係,たとえば……の2ばいの大きさというときは,もとの大きさのものがちょうど二つある大きさであることなどを,はっきりつかませるようにすること。

 (4) Bの(1)の指導は,測定の意味の理解を主要なねらいとしている。指導の必要によっては,リットル,デシリットルについて簡単にふれてよい。

 (5) Cの(1)の指導については,前学年でねらったことをいっそう深めるとともに,たとえば,展開図を与えて形を作らせることや,ま上,ま横などから見た形を考えさせることなどを通して,漸次,平面図形と立体図形の相違や関係に着目させるようにすること。

 (6)  Cの(2)の指導では,「むかってみぎ」などのことばを用いたり,基準にしているところをおさえて,それから何番目とか,どれだけの長さとかいってものの位置を示したりするなど,相対的な関係にいっそう着目したり,座標の初歩的な考えを用いたりすることができるようにすること。

 

〔第5学年〕

1 目標

 (1) 数量の大きさを表わすのに,分数および小数を用いることを知らせるとともに,整数の位取りの原理についての理解をいっそう深める。

 (2) 加法・減法についての計算が確実にできるようにする。また,乗法・除法が用いられる場合について理解を深めるとともに,九九の習熟を図る。

 (3) 長さ,重さ,時間など基本的な量についての理解を深め,これらを測定する能力を伸ばすとともに,単位の概念について理解を深める。

 (4) 割合の考え方を漸次伸ばすとともに,基本的な場合に,数量の関係を式で表わすことが確実にできるようにする。

 (5) 棒グラフや簡単な表を用いて,数量の関係を表わしたり読んだりできるようにするとともに,表やグラフを用いるのに基礎となる能力を伸ばす。

 (6) 正方形,長方形,円などについて理解させるとともに,直線,直角,円など基本的なものが確実にかけるようにする。

2 内容

 A 数と計算

 (1) 数についての理解を深める。
ア 10,000までの数の読み方と表わし方。

イ 位取りの原理の理解。

ウ 数の大小,順序の比べ方。

エ 10倍,100倍,および1/10の大きさの数の書き表わし方。
 (2) 加法・減法が用いられる場合についての理解をいっそう深めるとともに,これを用いる能力を伸ばす。

 (3) 整数について,四位数までの加法・減法の計算が確実にできるようにする。

 (4) 加法・減法について,必要に応じて計算の順序をかえるなど,計算の方法をくふうする能力を伸ばす。

 (5) 乗法が用いられる場合と九九の意味についての理解を深めるとともに,九九を速く確実に用いることができるようにする。

 (6) 乗法について計算する能力を伸ばす。
ア 二位数,三位数などと一位数との乗法。

イ 二位数,三位数に,10,20,30などをかける計算。
 (7) 乗法の筆算形式を知らせ,その計算の原理や手順について理解させる。

 (8) 乗法について,次のような関係があることを知らせ,計算やその結果の確かめに用いることができるようにする。
ア 交換や結合の法則。

イ 乗数や被乗数が0であるとき,積も0であること。

ウ 乗数が1だけ増減すると,それに伴って,積も被乗数の大きさだけ増減すること。
 (9) 具体的なことがらに即して,除法の意味について理解させる。
ア 除法が用いられる場合を知ること。

イ 除法の記号を知り,これを正しく用いること。
 (10)除法と乗法,除法と減法などの関係について理解させ,除法を用いる能力を伸ばす。
ア 九九の1回の適用でできる除法についての計算(余りのある場合を含む。)。

イ 末位が0である二位数,三位数などを被除数とした場合で,アの程度の計算でできるもの。

ウ 除去について計算の確かめをすること。
 (11) 簡単な場合について,等分してできる大きさ,または端(は)数部分などを表わすのに,分数および小数を用いることを知らせる。
ア 分数の表わし方と読み方(分母は10程度まで)。

イ 小数点の意味,および小数の表わし方と読み方(1/10の位まで)。

ウ 分数または小数を用いて表わされた数量の意味,たとえば、2/3,m,1.41などを知ること。

用語と記号

 せい数,千のくらい,分数,分子,分母,小数点(.),小数,わりざん,÷,あまり

 B 量と測定

 (1) 実際の場における測定を通して,長さ,重さなどに関して,よく用いられる基準的な量の大きさについての感覚を漸次養う。

 (2) 長さの測定についての理解を深める。
ア キロメートルと他の単位との関係を知ること。

イ 道のりを,長さの単位,歩いてかかる時間などで表わすこと。
 (3) 重さの概念を漸次明らかにし,重さの単位とその測り方を理解させる。
ア 重さの単位(グラム,キログラム)とその相互関係。(4) ものさし,巻き尺および各種のはかりなどの計器の取り扱いや目もりの読み方に習熟させ,長さおよび重さの測定が確実にできるようにする。

 (5) 広さについて関心を深め,面積の測定の基礎となるような経験を与える。

 (6) 液体などの体積を,ますを用いて測る能力を伸ばすとともに,体積の概念とその測定の基礎となることがらについて理解させる。
ア 体積の単位(リットル,デシリットル)とその相互関係。(7) 時刻および時間の概念を明らかにするとともに,簡単な場合にとけいを用いて時刻および時間を求める能力を伸ばす。
ア 1時間=60分,1日=24時間などの関係を用いること。

イ 二つの時刻の間の時間,一つの時刻からきまった時間だけ前およびあとの時刻などを求めること。

ウ 時刻と時間を区別して用いること。

用語と記号

 キロメートル,km,グラム,g,キログラム,kg,リットル,l,デシリットル,dl

 C 数量関係

(式・公式)

 (1) 簡単な数量の関係を次のような公式の形にまとめたり,それについて数量の関係を理解したりすることができるようにする。
ア 四則のどれか一つで表わされる程度のもの。たとえば,(ぜんたいのねだん)=(ひとつのねだん)×(買ったかず)など。(2) 簡単な場合について,未知のものが□などで表わされた式を作ったり,その数量の大きさを計算で求めたりすることができるようにする。

 (表・グラフ)

 (3) 簡単なことがらについて,日時,場所,原因などによって分類したり集計したりする能力を伸ばす。

 (4) 表を作ったり読んだりするのに必要な基礎的なことがらについて理解させる。
ア 簡単な二次元の表。(5) 棒グラフをかいたり読んだりするのに必要な基礎的なことがらについて理解させる。

 (6) 簡単な折れ線グラフを読む能力を伸ばす(棒グラフと区別して知る程度)。

用語と記号

 ぼうグラフ,おれ線グラフ

 D 図形

 (1) 直角三角形,正方形,長方形,円などの基本的な図形について理解させる。
ア 正方形,長方形について,辺および角の相等関係,対角線で分けてできる二つの直角三角形などについて知ること。

イ 円について,半径と直径の関係,周の長さは直径のおよそ3倍であることなどを知ること。

ウ 円と関連して,球について知ること。
 (2) 三角定木およびコンパスの使い方を知らせ,図形をかいたり,できた図形を確かめたりすることができるようにする。

用語と記号

 直角,直角三角形,正方形,長方形,辺,ちょう点,直線,円,中心,半けい,直けい,球

3 指導上の留意事項

 (1) Aの(3)の指導に関して,次のような程度までの計算は,暗算でもできるように,この学年に限らず,適宜練習の機会を与えるようにすること。
ア 二位数と二位数の加法,およびその逆の減法。

 なお,Aの(6)のイおよび(10)のイの事項は,児童の特性,実態に応じて困難と思われる場合は平易に扱い,次学年の乗法・除法の指導内容にあわせて指導してもさしつかえない。
 (2) 乗法・除法や測定の指導に関連して,割合の考え方を伸ばすようにすること。また,具体的なことがらに即して「……は……の2/5」などの意味を知らせること。

 (3) Bの(4)の指導について,次のようなことに留意すること。
ア 目もりを読む前に長さや重さの見当をつけておき,測定値の大きな誤りを防ぐ態度,測定しようとする長さや重さの大きさによって適当な計器を選ぶ態度などを,漸次伸ばすようにすること。

イ その他,計器のくるいや破損を防ぐのに必要なことがらに注意させること。
 (4) Bの(5)の指導は,指導計画のつごうによっては,第6学年において,面積の概念の指導と関連して取り扱ってもよい。

 (5) Cの(1)の指導は,児童に公式として与えることを示したものではない。児童が具体的な問題の処理や計算を通して,漸次一般的な関係としてまとめられるようにすること。

 (6) Cの(4)および(5)指導について,次のことに留意すること。
ア 表やグラフを用いる目的や,そこでどんなことをわかりやすく示そうとしているかを,常に考えさせるようにすること。これに関係して,表題を必ずつけるようにすること。

イ 最小目もりが,2,5,あるいは20,50などにあたるものも,漸次読めるようにすること。

ウ 合計の欄を用いたりなどして,資料について確かめをする態度を作るようにすること。
 (7) Dの(1)の指導で,基本的な図形についての理解の程度としては,定木,コンパスおよび必要に応じてものさしなどを用いて,その図形をかいたりそれを確かめたりすること,ほかの図形との弁別をすることなどができるようにすることをねらいとしている。

 

〔第6学年〕

1 目標

 (1) 整数について,十進数としての理解を深めるとともに,整数と対比して小数および分数について理解させる。

 (2) 整数の四則計算を一応確実にできるようにし,それらを実際の場において適切に用いる能力を伸ばす。また,概数の意味やそのとり方について理解させる。

 (3) 基本的な量についての測定が,実際の場において確実にできるようにするとともに,面積,体積などの概念について別解させる。

 (4) 分数などによる割合の表わし方について理解させるとともに,数量の関係を,式で簡潔に表わしたり読んだりする能力を伸ばす。

 (5) 折れ線グラフを用いて,数量の変化を表わしたり読んだりできるようにするとともに,表やグラフを用いる能力をいっそう伸ばす。

 (6) 平行,垂直などの概念を漸次明らかにするとともに,基本的な平面図形および立方体,直方体などについて理解させる。

2 内容

 A 数と計算

 (1) 整数について十進数としての理解を深める。
ア 位取りの原理。

イ 10,100などを単位にとって,数の大きさを表わしたり読んだりすること。
 (2) 概数を用いることの意味とそのとり方について理解させる。
ア 測定値や表・グラフの読み方,かき方などに関して,概数の意味を知ること。

イ 四捨五入の意味を知ること。

ウ 概数に関して用いられることば,たとえば,まるめる,約などを知ること。
 (3) 四則の意味とその相互関係についての理解を深め,実際の場において適切に用いることができるようにする。

 (4) 整数についての加法・減法の計算が,確実にかつ手ぎわよくできるようにする。

 (5) 整数についての簡単な乗法・除法の計算が,確実にかつ速くできるようにする。

 (6) 乗法の意味について理解を深め,乗数が二位数,三位数の場合について計算する能力を伸ばす。

 (7) 次のような整数の除法について,計算する能力を伸ばす。
ア 一位数で割る場合。

イ 二位数で割る場合(商が二位数になる場合は,商の立てやすいものを取り上げる程度)。
 (8) 除法の筆算形式を知らせ,その計算の原理や手順について理解させる。

 (9) 乗法と除法の関係や余りの大きさなどについて理解を深め,これを計算の確かめなどに用いる能力を伸ばす。

 (10) 小数の表わし方,読み方および小数と整数との関係について理解させる。

 (11) 小数についても四則計算ができることを理解させ,小数について計算する能力を伸ばす。
ア 加法・減法

イ 乗数・除数が整数の場合の乗法・除法(整数を整数で割って商が小数になる場合も含む。)。
 (12) 分数の意味について理解させるとともに,分数についても加法・減法などの計算ができることを知らせる。
ア 単位分数の意味,分数と整数の関係。

イ 分数の相等関係と大小。

ウ 同分母の分数についての加法・減法。
 (13) そろばんによる数の表わし方と加法・減法のしかたを知らせ,加法・減法についての計算が確実にできるようにする。
ア そろばんについて,その構造や数の表わし方,おき方,ならびに定位点,おく,はらう,一だま,五だまなどのことばを知ること。

イ 基本的な運珠についての習熟。

ウ 加法・減法についての計算。

用語と記号

 万の位,四捨五入,切りすてる,切り上げる,十進数,1/10の位〔小数第一位〕,1/100の位〔小数第二位〕,1/1000の位〔小数第三位〕,帯分数,仮分数,真分数,和,差,積,商

 B 量と測定

 (1) 長さ,重さなどの測定がいっそう確実にてきるようにするとともに,測定値について理解させる。
ア 重さの単位トンを知ること。(2) 目的に応じて単位を適当に選び,測定値を簡潔に表わす能力を伸ばす。

 (3) 面積の概念とその単位について理解させ,簡単な場合について面積を求める能力を伸ばす。
ア 面横の単位(平方センチメートル,平方メートル,平方キロメートル,アール,ヘクタール)とその相互関係。

イ 正方形,長方形の面積の求め方。

ウ 面積を方眼などを用いて求めること。
 (4) 体積の概念とその単位について理解させ,簡単な場合について体積を求める能力を伸ばす。
ア 体積の単位(立方センチメートル,立方メートル,デシリットル,リットル,キロリットル)とその相互関係。

イ 立方体,直方体の体積の求め方。

ウ ものの体積を,水の体積などにおきかえて測ること。

エ 容積の意味。
 (5) 時刻や時間に関して計算(主として加法・減法)する能力を伸ばす。
ア 時刻表などの読み方を知ること。

イ 時間の単位秒を知ること。
 (6) 角の大きさを表わす単位を知らせるとともに,分度器を用いて角を測ったり作ったりする能力を伸ばす。
ア 直角および半回転,一回転などの角の大きさを知ること。

用語と記号

 トン,t,面積,平方センチメートル,cm2,平方メートル,m2,平方キロメートル,km2,アール,a,ヘクタール,ha,体積,立方センチメートル,cm3〔cc〕,立方メートル,m3,キロリットル,kl,容積,うちのり,秒,度(°)

 C 数量関係

(割 合)

 (1) 二つの数量の割合について理解を深める。
ア たとえば,二つの量A,Bについて,Aの大きさを2とみるとき,Bの大きさが3とみられるという考え方や,また,そのとき,AはBの2/3であり,BはAの3/2であることなどを知ること。(2) 簡単な場合について,割合の計算のしかたをまとめて理解させる。

 (式・公式)

 (3) 計算の規則とかっこの意味を知り,それらを用いて数量の関係を簡潔に表わしたり,それらを読んだりする能力を伸ばす。
ア 四則の混合した式について計算の順序を知ること。

イ かっこを用いて式が作られること。
 (4) 等号と式について理解を深める。
ア 式を立てるときには,単位をそろえた数値を用いること。

イ 等号は両辺にあるものが等しい関係を表わすこと。
 (5) 基本的な数量の関係を公式の形にまとめたり,それを用いたりする能力をいっそう伸ばす。

 (表・グラフ)

 (6) 項目を考えるとき,落ちや重なりがないかを検討するなど,表やグラフを用いる能力をいっそう伸ばす。

 (7) 折れ線グラフについて,その読み方,かき方を理解させ,それを用いて変化の様子や全体的な傾向を調べる能力を伸ばす。

用語と記号

 かっこ,( ),公式,等号

 D 図形

 (1) 具体的な事物について,平行,垂直の関係を認めたり,それを用いて図形の特徴を言い表わしたりする能力を伸ばす。
ア 平面上で,平行,垂直の関係にある直線をかき表わしたり確かめたりすること。

イ 立方体や直方体について,平行,垂直の関係にある辺や面を知ること。
 (2) 角についての理解を深め,図形を考察したりかき表わしたりする能力を伸ばす。

 (3) 基本的な図形について理解させる。
ア 二等辺三角形,正三角形,平行四辺形,ひし形および台形。

イ 立方体,直方体。

用語と記号

 平行,垂直,角,(角の)頂点,(角の)辺,三角形,二等辺三角形,正三角形,四角形,平行四辺形,ひし形,台形,対角線,立方体,直方体,辺,面,頂点,てん開図

3 指導上の留意事項

 (1) Aの(5)の指導に関して,二位数と一位数の乗法およびその逆の除法の程度は,暗算でもできるように,適宜,練習の機会を設けること。

 (2) Aの(12)の指導については,分数の意味について理解を図ることが主要なねらいである。簡単な乗法,たとえば2/5×2などは必要により含めてもよい。また,大小の比較は形式的な通分によらないでできる程度とする。

 (3) Bの(1)および(2)の指導について,次のことに留意すること。
ア 目もりを読むときの誤差が,計器の最小目もりのくらいの1/2以下になるようにすること。

イ 測定値が「2mと4cm」のような場合に1mを単位として,2.04mと表わすことができるようにすること。
 (4) Bの(3)および(4)の指導は,面積および体積の概念を理解させることを主要なねらいとしている。(3)および(4)に掲げたことがらの指導は,その必要な程度に簡単な場合にとどめること。

なお,指導計画のつごうによっては,面積および体積の単位の一部は中学部において取り扱ってもよい。

 (5)  Cの(2)の指導については,割合が整数で表わされる場合(整数ばい)について,漸次計算のしかたをまとめ,比の三つの用法に発展する基礎を固めるようにすること。なお,Cの(1),(2)の事項は,児童の特性,実態に応じて困難と思われる場合は,平易に扱い,中学部第1学年の割合の指導内容にあわせて指導してもさしつかえない。

 (6) Cの(3)の指導について,乗法の記号で結ばれた二つの数や( )の中にかかれた式などを,その計算の結果を表わす一つの数と同じようにみる考え力を,漸次伸ばすようにすること。

 (7) Cの(6)および(7)の指導では,グラフをかくにあたって,紙面の広さなどに合うように,1目もりの大きさやグラフ全体の大きさを考えるような能力を漸次伸ばすこと。また,折れ線グラフでは軸にとるものが変化をみるのに適当であるかどうかを検討するようにすること。

 (8) Dの(3)の指導では,基本的な図形についての理解の程度としては,第5学年と同じように,図形をかくこと(立体図形については展開図を用いて作ること),確かめること,他の図形との弁別をすることなどが,できるようにすることがねらいである。

なお,第5学年で学習した正方形,長方形についても,平行,垂直の関係を明らかにすること。また,立方体,直方体については,適宜,見取り図をかいたり読んだりすることができるようにすること。

 

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 児童の学年的な発達に応じて指導をくふうすること。

 さきにあげだ目標および内容においては,この点についていちいち明示してない場合が多いが,指導にあたっては,一般的に次のような点を考慮することが必要である。

 第1・2・3・4学年の指導においては,児童の家庭や,寄宿舎,その他の日常生活における数量的な経験とのつながりを考え,児童に親しみの深い生活を学習活動に取り入れるようにするとともに,具体的な事物について,直接,観察したり,操作したりする活動を通すようにすることかたいせつである。また,日常生活を数量的に処理するために必要な基本的事項に重点を置くこと。また,児童のそぼくな経験やことばをできるだけ取り上げ,これを以後の学習の基盤として育て,共通の学習が行なわれるように整えていくようにくふうすることが望ましい。

 第5・6学年では,基本的な概念や原理を明らかにし,数学的な考え方や処理のしかたを確立するための指導か多くなるが,このような場合には,既習のことがらとの関連を図ることや,具体的な事実との結びつきを考慮することが,特に必要である。

2 各領域の内容を,総合的にまた関連をもって考えること。

 各学年の内容はだいたい四つの領城に分けて示してある。これは内容についてその学年としての主要な点や前後の学年との関係をわかりやすくするためのものであって,各領城の内容を別個に指導することを考えて設けたものではない。たとえば,その一つとして「数量関係」という領域かある。この「数量関係」は,一応,割合,式・公式,および表・グラフという観点から内容をあげており,一般に,数量関係として考えられることを,すべてここにまとめたわけではないが,これなどは,むしろ,ほかの領城の内容と総合して指導されることが望ましい場合が多い。

 指導計画の作成にあたっては,各内容について,前後の関連や他の領域にあげてある内容との関連を考えて,指導する内容が児童にむりなく発展し,身につくようにすることが必要である。

3 基礎的な技能の習熟を図るための機会を,適宜考慮すること。

 計算や測定などの基礎的な技能については,その方法はもちろん,それを用いる意味についても理解を深め,それらが実際の場において,確実に,また手ぎわよく用いられるようにするとともに,さらに進んだ方法を考え出す基盤として活用されるように,習熟を図っておくことが必要である。

 このようなものの指導にあたっては,1回の指導だけで終わらず,適宜反復して指導が行なわれるように,計画を立てることが必要である。なお,このような能力について,各領域の内容としては,主として指導される学年においてのみあげ,それからあとの学年において,いちいち明示していない場合が多い。しかし,必要に応じて,あとの学年においても指導の機会があるように考慮することが必要である。

 また,特に測定や図形については,実際の計器や事物についての操作がじゅうぶんに行なわれるようにすることが重要である。そのために,計器や器具をそろえるとともに,指導する時間がじゅうぶんとれるように配慮することが必要である。

4 他教科との関連を考え,学習の素材を豊かにすること。

 各領城の内容は,できるだけ算数科としての独自のねらいに合ったものだけに限ってある。しかし,算数科で指導する内容は,どの教科の学習においても活用できるように身につけることが必要であるので,学習の素材はできるだけ広い範囲にわたって取り上げるように留意しなければならない。たとえば,「温度」「方位」などは主として理科で,「簡単な地図」については社会科で指導することになっているが,算数科でねらう能力を身につけるために,それらに関する素材を,必要な程度に算数科の指導に取り入れることが必要である。

 また,金銭出納や売買に関することも内容としてあげていない。これらについては,社会的に特別な経験や知識を要する程度に深入りすることは望ましくないが,数量についての基本的な考え方や計算のしかたが,広く用いられるようにするために,適度に素材として取り入れることが必要である。

5 数量的に問題を解決する能力を伸ばすようにすること。

 算数科の目標から考えて,形式的に計算や測定ができることも重要であるが,それだけにとどまらないで,実際の場において,数量的に問題をはあくし,それを処理して,所期の目的に合っているかどうかを確かめるまでに,それらの能力を伸ばすとともに,第1・2・3学年においては特に抽象能力の発達が遅れがちであるから,具体的な経験をさせたり,視聴覚教材を利用したりするなどして,数量に関する思考力を育てることが重要である。

 これは,各領域であげた内容が,一体となって活用され,はじめて達成されるものと考えられる。したがって,一つの領域や内容だけの指導で,この能力がじゅうぶん伸ばされるものではないが,各内容の指導にあたっては,これに寄与するようにじゅうぶん配慮することが必要である。

 この指導で取り上げる問題の構造や領域については,児童の心理的,社会的発達の程度や,各領城の内容との関連をじゅうぶん考慮することが必要である。また,典型的な型や解法にとらわれないで,できるだけ児童の思考を生かし,一般的な考え方や解決の手法を,漸次身につけるようにすることが望ましい。

6 児童の個人差に応じた指導を考慮すること。

 算数科の指導においては,一般に遅れた児童や進んだ児童についての対策が特に必要と考えられる。それゆえ,実際の指導計画の作成においては,これらの児童に対して適切な処置をあらかじめ考え,どの児童も成功の喜びを味わい,進んで学習ができるように指導計画について適切な配慮をすることが必要である。


 
第4節 理科

第1 目標

1 自然に親しみ,その事物,現象についての興味をもち,事実を尊重し,自然から直接学ぼうとする態度を養う。

2 自然の環境から問題を見いだし,事実に基づき,筋道を立てて考えたり,くふう・処理したりする態度と技能を養う。

3 生活に関係の深い自然科学的な事実や基礎的原理を理解し,これをもとにして生活を合理化しようとする態度を養う。

4 自然と人間の生活との関係について理解を深め,自然を愛護しようとする態度を養う。

 目標1については,学校で経験させることを出発点として自然に直接触れさせ,事実を尊重する客観的な態度を養うようにする。学校での指導にあたっては,児童がはじめて経験することであるというような用意で計画するようにする。

 主客未分化的,自己満足的な見方からはやく脱皮させるためには,ごく身近な自然の事物・現象を見たり扱ったりして,客観的な物の見方,考え方を育てるようにする。

 目標2については,第1・2学年では自然の環境に感嘆することがあっても問題をもつことが少なく,また,それを解決するために深く探究することがおろそかになりがちである。だんだんとはっきりした問題をとらえ,筋道をたてて解決するように導くことがたいせつである。

 ともすると直感で物事を解決する傾向があるから,だんだんと客観的な見方,考え方をもとにして,筋道の通った考え方で処理することができるようにする。処理のしかたについては,さわるとか,においをかぐとか等の幅の広いしかたを活用し,自主的,自発的にするように導く。

 目標3については,身近なことがらから,自然科学的な事実を意識するようにし,やがて,事物・現象の背後にひそむ原理にまで及んで,それらをもとにして豊かな思考ができるように,知識を確実にする。

 児童は,ともすると直観的な判断から非合理的な態度をとることが見られがちである。筋道の通った考え方をもとにして,合理的な態度をとるように導く。

 目標4については,感情が豊かでなかったり,経験が少なかったりすることが原因となって,生物をむやみにこわがったり,いじめたりすることがある。飼育や栽培,園芸的な栽培などを指導することによって,生物に愛情を感じさせるようにし,やがて生物を愛護し,自然と人間の生活との関係を考慮し,自然の保護や利用のしかたについての関心を深めるように導く。

 

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕

1 目標

 (1) 学校や家庭,ごく近くの野外の自然の事物や現象の中で,児童の興味をひくものを見たり,それらで遊んだりして自然に親しみ,自然をありのままに見るように導く。

 (2) ごく身近な自然の環境について興味や関心をもち,自分で見たり,考えたり,扱ったりするように導く。

 (3) 主として遊びのかたちを通して,ごく簡単な自然科学的な事実に気づき,これらに関連のある事物・現象を正しく見たり考えたり,扱ったりしようとする気持ちを育てる。

 (4) 学校や家庭などで育てている草花や動物に接したり,世話を手伝ったりすることに喜びをもつようにする。

2 内容

 (1) 校庭や野山の自然に接し,全体的,直覚的な観察や遊びなどを通して生物に興味をもち,それらの性状や生活の目だった様子に気づき,生物をかわいがるように導く。
ア 花だんの草花の観察と,世話の手伝いをする。

 (ア) 春・夏・秋に咲く草花を観察し,いろいろなものかあることに気づき,校庭の草花に親しむ。

 (イ) あさがお・ひまわりのような粒の大きな種子をまき,まいた種子に水を与えて発芽をまち,発芽や育つ様子を見守り,世話の手伝いをして,それらをいたわったり,たいせつにしたりする。

 (ウ) 春にまいた草花の開花の様子を観察し,その色や形などの違いに気づく。

イ 虫などを観察する。

 (ア) ばった・かたつむりなどの親しみやすい動物を捜し,それらの居場所や,活動の様子に関心をもつ。

 (イ) 取った虫や,かたつむりなどを観察し,色や形,運動のしかたなどに気づく。

ウ 飼っている動物の観察と,世話の手伝いをする。

 (ア) うさぎ・にわとり・小鳥などのような親しみやすく飼いやすい動物にえさを与えたり,運動させたりして興味と関心を深め,これをかわいがるようにする。

エ 自分のからだのつくりと,はたらきに関心を深める。

 (ア) 自分や友だちのからだのつくりを観察して,からだは頭・胸・腹・手足に分かれていることに気づく。

 (イ) 頭・目・口・耳・手・足などのからだのそれぞれの部分のはたらきに気づき,それらをたいせつにするようにする。
 (2) 天気や土地の様子に興味をもち,それらについて簡単な事実に気づくようにする。
ア 天気には,いろいろあることに関心をもつ。

 (ア) 天気には,晴れ・曇り・雨・雪などがあり,また,風が吹く日もあることに気づく。

 (イ) 天気を簡単な絵記号で記録することができるようになる。

イ 土地の様子に興味をもつ。

 (ア) 砂場や箱に入れた砂で,山・川・池などの土地の様子を作る。
 (3) おもちゃや身近にある道具で遊び,それらの使い方や作り方をくふうし,簡単な事実に気づくように導く。
ア 風で動くおもちゃを調べる。

 (ア) 風車・風輪(かざわ)などのような,風の力で動く簡単なおもちゃを作り,それがよく動くように作り方をくふうする。

 (イ) 作ったおもちゃを風に当てたり,うちわであおいだりして,その動く様子が風の向きや強さによって違うことに気づく。

イ 影のでき方を調べる。

 (ア) 影踏みや影絵遊びなどから,太陽や電燈などの光を物でさえぎると,光源の反対側に影のできることに気づく。

 (イ) 影の濃さは,ガラスや水のような物と,厚紙や木のような物とでは違いのあることに気づく。

ウ 鏡に映る文字や絵に関心をもつ。

 (ア) 鏡に文字や絵など映して,文字や絵などの向きが違って見えることに気づく。

エ 氷の張る場所に関心をもつ。

 (ア) 野外や校庭で氷の張っている様子を観察して,場所により,氷の張りやすい所,張りにくい所のあることに気づく。

3 指導上の留意事項

 (1) 内容(1)のような野外学習を行なう場合には,絵カード・絵本などによって,学習することがらを事前によくわからせておき,野外学習の効果を高めるようにするのがよい。

 (2) 花だんの草花の世話では,指導者とともに栽培することが望ましい。観察したことをことばで表現させることはむずかしいので,絵にかかせるのもよい。その絵も他の生活事象と結びつけて,日記の一部にするのもよい。

 (3) 虫などを観察する場合には,観点を指示して効果を高めるようにする必要がある。

 (4) 内容(1)の「からだについての関心」のような人体に関する学習は,生命保全についての関心を高めるためにもたいせつで,保健と関連を図って指導にあたるようにする。

 (5) 内容(2)のア「天気の観察」は,そのときの特徴のある事象を同時に記録するなどして,観察と記録とに興味をもたせるくふうが必要である。

 (6) 内容(3)のようなおもちゃで遊ぶときは,身近な乗り物などについても興味や関心をもたせるようにするのもよい。

 (7)  内容の文中「気づく」とあるのは,児童の自発活動によって,実際のものについて,観察したり,考えたりなどして,みずから納得することをさしている。したがって,教師が話などにより,結果だけを教え込むような指導は避けなければならない。このことは,第2学年以上においても同様である。

 

〔第2学年〕

1 目標

 (1) 学校や家庭,近くの野外の自然の事物や現象の中で,児童の興味をひくものを見たり,それらで遊んだりして自然に親しみ,自然をありのままに見て,物と物との間の著しい違いに気づくように導く。

 (2) 身近な自然の環境から疑問を見いだし,これを解決しようとしていろいろくふうし,見たりためしたりすることによって,自然の事物・現象の目だった特徴がとらえられるようにする。

 (3) 遊びや作業などの活動を通して,簡単な自然科学的事実に気づき,これに関連した新しい事実の正しい見方,考え方,扱い方ができるようにする。

 (4) 育てやすい草花や身近で興味のある動物の世話をさせ,それらをかわいがり育てるように導く。

2 内容

 (1) 校庭や野山で生物を観察したり,飼育・栽培したりして,四季おりおりの生物に興味と親しみをもち,生物の外形や成長・生育の様子を観察し,生物をかわいがるように導く。

また,自分たちの手や足のつくりとはたらきに気づき,手足を清潔にするように導く。
ア 草花の世話をし,育ち方に関心をもつ。

 (ア) 春と秋に,花だんに,作りやすい草花の種子をまいたり,球根を植えたりして,種類によって,まいたり植えたりする時期や方法に違いがあることに気づく。

 (イ) まいたり植えたりした種子や球根の芽ばえや育ち方が,種類によって違うこと,よく育てるためには,よく日が当たるようにし,ときどき水をやらなければならないことに気づく。

 (ウ) 雑草を抜いたり,水を与えたりなどの手入れや,世話ができるようになる。

イ 四季おりおりの野山のありさまを観察する。

 (ア) 春・夏・秋に野山に出て,野山の草木・虫・鳥などの種類や様子を観察し,それぞれの季節の自然に親しむ。

 (イ) 野山で草つみ・花つみ・花束つくりなどをして遊んだり,草を集めて花だんやはちに植えたりして,種類によって,花・葉・茎などが違うことに気づく。

ウ 飼っている動物の観察と,世話の手伝いをする。

 (ア) きんぎょやふな,めだかなどをガラスの水そうに入れて,えさを与え,その食べ方や泳ぎ方に気づく。きんぎょなどには,大きさ・色・形の違ったものがあることに気づく。

エ くだものの色・形の違いや,しるの色の変化を調べる。

 (ア) みかん・かき・りんごなどのくだものを観察して,色・形,内部の様子の違いに気づく。

 (イ) みかんなどを絞ってしるをとり,これらであぶりだしをして遊び,しるの色や様子,あぶりだしをしたときの色の変わり方に気づく。

オ 手や足のつくりとはたらきに関心を深める。

 (ア) 手・足のつくりを観察して,手・足には,つめ・ゆびがあり,曲げたり,伸ばしたりすることができることに気づく。

 (イ) 手・足を清潔にするようになる。
 (2) 天気の変化や土地の形の違いなどの自然の変化や,太陽についての関心を深める。
ア 天気の変化に関心をもつ。

 (ア) 晴れ・曇り・雨・雪などの天気には,よく晴れている,少し曇っているなどのように,それぞれ程度の違いのあることに気づく。

 (イ) 日によって暑さ・寒さなどが違うことに気づく。

イ 日なたと日かげの違いを比べる。

 (ア) 日なたと日かげの明るさや暖かさを比べ,その違いに気づくとともに,日なたと日かげでは,生物の様子や氷・霜などの様子などに違いのあることに気づく。

ウ 土地の高低や形に関心を深める。

 (ア) 学校の近くの山・丘・池・川などを観察し,土地には高い所や低い所などがあることに気づく。
 (3) 身近にある簡単な道具やおもちゃなどでいろいろくふうして遊び,これらに関連した自然科学的な事実に気づくように導く。
ア 噴水の水の上がり方を調べる。

 (ア) 身近にある材料で噴水を作る。

 (イ) 噴水の水の上がり方は,水源の高さや,水の出口の太さなどによって違うことに気づく。

イ 影の形・大きさ・濃さについて調べる。

 (ア) 影の形・大きさ・濃さは,物と電燈や,スクリーンとの距離,または,物の置き方によって変わることに気づく。

ウ 鏡に当たった光の反射に関心をもつ。

 (ア) 鏡を使って光当て遊びなどをして,光のきまった所に当てるには,鏡の向け方をくふうしなければならないことに気づく。

エ 氷の性質に関心をもつ。

 (ア) 氷が水に浮くことや,氷や雪が溶けて水になる様子などに気づく。

オ 磁石のはたらきに関心をもつ。

 (ア) 磁石を使って砂鉄集めをしたり,くぎをつけたりして,磁石には,砂鉄やくぎなどをよく引きつける所と,よく引きつけない所のあることに気づく。

3 指導上の留意事項

 (1) 内容(1)のア「草花の世話」では,学校でまいた春まきのものは夏休み中に開花するものが多い。育てた苗を,家に一部を持ち帰らせて育てさせ,観察させると効果的である。

 (2) 内容(1)のイ「四季の野山」は,地域によって必ずしも同じではないから,適当な場所を選ぶ必要がある。草花を観察させる場合には,花だけでなく,葉の形,葉のつき方などにも注意させると効果的である。

 (3) 内容(1)のエ「あぶりだし」のように,学習の進行中に変化があらわれるような場合には,事前に絵カードなどを用いて変化の現われることに注意する。

 (4) 内容(1)のオ「手や足のつくり」では,常に自発的に清潔に注意するようにしむけることがたいせつである。

 (5) 内容(3)のア「噴水の上がり方」のような実験的な扱いは,図や表を用意して結果を推理することができるようにするとよい。

 (6) 内容(3)のオ「磁石のはたらき」では,遊びの発展として,第3学年の内容である磁石が引きつけるもの,引きつけないものに及んでもよい。

 

〔第3学年〕

1 目標

 (1) 学校や家庭,近くの野外の自然の事物や現象に対する興味を広げ,観察・飼育・栽培・製作などを通して自然に親しませるとともに,それらの変化に気づくよう導く。

 (2) 身近な自然の環境から疑問をとらえ,これを解決しようとして,いろいろくふうして,見たりためしたりして考え,いろいろな事物・現象の共通点や相違点に気づくようにする。

 (3) 作業や製作などを通して簡単な自然科学的事実に気づくようにし,これをもとにして,新しい事実がうまく扱えるようにする。

 (4) 生物の飼育・栽培を通して,生物をかわいがり育てるように導く。

2 内容

 (1) 学校や家庭,近くの野外の自然の事物や現象を四季を通して観察したり,飼育・栽培したりして,草木の成長,動物の生活の様子,すむ場所などに気づくようにする。

また,目・口・耳・鼻を観察して,つくりの大要に気づかせ,それぞれの部分のはたらきに関心をもつように導く。
ア 草花の世話をし,育ち方に関心をもつ。

 (ア) 春と秋に,花だんに,ひゃくにちそう・けいとう・やぐるまぎく・さんしきすみれなどの種子をまいて,種類によってまいたり植えたりする時期や方法に違いのあることを知る。

 (イ) まいた種子の芽ばえや育ち方が種類によって違うこと,よく育てるために,日がよく当たるようにしたり,ときどき水をやったり雑草を抜いたりしなければならないことに気づく。

 (ウ) 苗の植えかえをし,植物には植えかえると,じょうぶに育つものがあることを知る。

 (エ) 種子を取って,一つの種子から多くの種子ができることに気づく。これらの種子を翌年のために,保存することができる。

イ 四季おりおりの野山のありさまを観察する。

 (ア) 四季おりおりに野山に出て,野山の草木・虫・鳥などの種類や様子を観察し,それぞれの季節の自然の印象を深める。

 (イ) 四季おりおりの野山の草を集めて,花だんやはちに植えたり,押し花・押し葉にしたり,木の葉・木の実でこまを作ったりする間に,種類によって花・実・茎・葉などが違うことに気づく。

 (ウ) 秋から冬にかけて葉が色づいて落ちる木と,そうでない木のあることや,草の地上の部分はたいてい枯れてしまうことなどに気づく。

 (エ) 早春の野山に出て,草木の芽ばえを観察したり,つみ草をしたりして,春の自然の印象を深める。

ウ 虫などを取って観察する。

 (ア) ばった・こおろぎ・ありなど親しみやすい動物を捜し,それらの居場所や活動の様子に気づく。

 (イ) 取った虫を観察し,色や形,運動のしかたなどに気づく。

エ 顔のつくりとはたらきに関心を深める。

 (ア) 顔には,目・口・耳・鼻があり,それらのつくりとはたらきに気づく。

 (イ) 目・口・耳・鼻を清潔にしたり,たいせつにしたりするようになる。
 (2) 夏・冬の天気の特徴,石ころ,月の形に関心を深める。
ア 夏や冬の著しい天気の特徴に関心をもつ。

 (ア) 夏になると暑くなり,入道雲が出たり,夕立がきたり,晴れの日が続いたりすることに気づく。

 (イ) 冬になると,寒くなり,雪が降ったり氷が張ったりして,晴れや雪の日が続いたりすることに気づく。

イ いろいろな石などの様子に関心をもつ。

 (ア) 石ころを集め,色・形で分けたり,石並べなどをしたりして,石の色や形に関心をもつ。

ウ 月のいろいろな形に関心をもつ。

 (ア) ときどき月を観察したり,その形を絵にかいたりして,月は三日月・半月・満月などいろいろな形に見えることに気づく。
 (3) 身近にある簡単な道具やおもちゃなどでいろいろくふうして遊び,それらのつくりとはたらきに気づくように導く。
ア はねのつくりや飛び方を調べる。

 (ア) はねをついたり,身近な材料ではねを作って飛ばしたりして,はねの種類や形などによって,飛び方に違いのあることに気づく。

イ こまの回り方を調べる。

 (ア) よく回るこまをくふうして作る。

 (イ) こまは,心棒のつけ方や,こまの重さ・形によって,回り方が変わることに気づく。

ウ 落下さんの飛び方を調べる。

 (ア) 身近な材料を使って,簡単な落下さんを,いろいろくふうしながら作る。

 (イ) 落下さんの糸目やおもりを調節して遊び,風の向きやかさのひろがり方によって落下さんの飛び方に違いのあることに気づく。

エ 磁石の性質を調べる。

 (ア) 磁石は紙やセルロイド,ビニルなどを隔てても,砂鉄やくぎなどを引きつけるはたらきのあることに気づく。

 (イ) 磁石で身のまわりのいろいろな物を調べ,磁石が引きつける物と引きつけない物がある事に気がつく。

 (ウ) 磁石を使うおもちゃや遊びをくふうして,磁石のはたらきに興味をもつ。

オ せっけんの溶け方やシャボン玉のでき方を調べる。

 (ア) シャボン玉を吹いて,その大きさや色に興味をもち,吹き方や飛ばし方をくふうする。

 (イ) 水の中にせっけんを少しずつ溶かし,そのたびにシャボン玉を吹いてみて,せっけん水の濃さによって,シャボン玉がうまく吹けたり吹けなかったりすることに気づく。

3 指導上の留意事項

 (1) 内容(1)のイ「四季を通して観察」は,その季節の野山のありさまを観察すると同時に,そのころの行事についても観察するように留意すること。また,「早春の野山」を扱う時期は,その土地に適した時期を選ぶようにする。

 (2) 内容(ウ)のウ「親しみやすい動物」については,いた場所,近くの植物,食べるものなどについても注意させるのがよい。

 (3) 内容(1)のエ「顔のつくりとはたらき」では,特に視力検査などを通して,目をたいせつにするように指導し目の清潔と保護について注意を喚起するようにする。なお,乳歯の抜けかわる時期でもあるから,歯の衛生についても留意することが望ましい。

 (4) 内容(2)のイ「石ころ集め」は適当なかわらが近くにない場合には,遠足を利用したり,近所で見られる石を集めたりして学習させるようにすることが望ましい。

 (5) 内容(2)のウ「月の観察」は天体を夜間観察する最初であるから,家庭または寄宿舎での学習のしかたについて詳しく指導し,児童の負担が重くならないように留意する。三日月から満月までの観察は,そのつど指示を与えるようにする。

 (6) 内容(3)の各項に示されるような,遊びを通しての学習は,ややもすると遊びに熱中するあまり,観察や操作のねらいからはずれて,単なる経験として終わりがちである。どんなことがわかったか……など,学習のねらいを明確に認めさせることがたいせつである。

 (7) 内容(3)のオ「シャボン玉」の学習に用いる管のように, 口につけて吹くものの扱いは,衛生に注意することがたいせつである。

 (8)  内容文中「知る」とあるのは,児童が観察・実験などを通して学習するのを本体とするけれども,さらに,教師が知識として与える面が必要な場合を意味している。したがって,児童にじゅうぶん活動させないで,教師が,はじめから教え込むことは避け,その知識も児童が納得できるように程度を考えて,無理のない指導をすることがたいせつである。このことは,第4学年以上においても同様である。

 

〔第4学年〕

1 目標

 (1) 学校や家庭,近くの野外の自然の事物や現象に対する興味を広げ,観察・飼育・栽培・製作などを通して自然に親しませるとともに,自然の変化や事物・現象の間の関係に留意しようとする態度を養う。

 (2) 身近な自然の環境から疑問をとらえ,これを解決しようとして,いろいろくふうして,見たりためしたりして考え,いろいろな事物・現象の共通点や相違点に気づくようにする。

 (3) 作業や考察などを通して,簡単な自然科学的事実に気づき,これをもとにして,新しい事実がうまく扱えるようにする。

 (4) 生物の飼育・栽培,野外観察などにより,いろいろな生物の生活の様子を知り,広く生物をかわいがるようにする。

2 内容

 (1) 動物・草花の様子を観察したり,飼育・栽培したりして,草木の成長,動物の生活の様子,すむ場所などに気づくようにする。また,自分たちの歯のつくりやはたらきに気づき,歯をたいせつにするように導く。
ア 学校園の世話をし,草花や野菜の育ち方,ふやし方を調べる。

 (ア) 春に,ダリア・グラジオラスなどの球根を植えて球根の芽ばえや育ち方が違うことに気づき,秋に球根を掘り上げて,多くの球根ができることに気づく。また,掘り上げた球根を翌年のために保存することができるようになる。

 (イ) 学校園に,秋にあぶらなや,えんどうなどの種子をまき,続けて世話をするとともに,著しい変化を記録することができる。

 (ウ) 草や木で,さし木・株分けを行ない,植物にはさし木・株分けでふやすことのできるものがあることを知る。

 (エ) 球根などの水栽培をし,根や芽が出る様子や,葉・つぼみ・花の様子を観察記緑して,球根の中に養分のあることに気づく。

 (オ) 草花などに霜よけをしたり,これらを簡単なフレームなどの中に入れたりして,草木の中には冬の寒さを防いでやる必要のあるもののあることを知る。

イ 田畑の虫の生活に関心をもつ。

 (ア) 田畑の虫を観察したり,採集したりして,虫には多くの種類があり,その種類によって,すんでいる場所や食べるもの,活動の様子の違うことに気づき,作物を害する虫のあることを知る。

 (イ) 田畑で採集した虫をびんや箱に入れてえさを与え,食べる様子を観察するとともに,それらの虫の生活について興味を深める。

ウ 池や小川の生物を観察する。

 (ア) 池や小川で,魚・虫・貝などいろいろな動物を観察したり採集したりして,それぞれの動物のすむ場所や活動の様子に気づく。

 (イ) 池や小川で採集したいろいろな動物を水草とともに水そうに入れて観察し,それぞれの形や泳ぎ方などについて違いのあることに気づく。

エ 花・葉・実のしるの色や,その変化を調べる。

 (ア) 花や葉を紙や布にのせ,その上からたたいて,その形を染め出したり,花や葉や実のしるを絞って,紙や布を染めたりして,花や葉や実の色に興味をもつ。

 (イ) 花や実のしるに水や酢を加えたりして,色の変わり方に違いのあることに気づく。

オ 自分の歯について関心を深める。

 (ア) 歯を観察して,その形や大きさ,むし歯とよい歯などの違いのあることに気づく。

 (イ) 乳歯は抜けかわること,抜けかわった歯は二度と抜けかわらないことや,歯のはたらきを知り,歯をたいせつにするようになる。
 (2) 天気の変化,雨水のゆくえ,太陽の動きなど,自然の変化についての興味を広げるようにする。
ア 天気の変化に関心をもつ。

 (ア) 天気には,よく晴れている,少し曇っているなどのように,それぞれ程度の違いのあることに気づく。

 (イ) 毎日の天気の様子を簡単な記号で2〜3週間記録し,暑さ・寒さや天気は,日によって変わり,また,一日のうちでも変化のあることに気づく。

 (ウ) 吹き流しやテープなどを利用して,風の向きや強さなどがいろいろと変わることに気づく。

イ 雨水のゆくえに関心をもつ。

 (ア) 地上に降った雨水を観察し,雨水は低いほうに流れて土を掘ったり,押し流したりすることに気づく。

 (イ) 土や砂に水をかけ,水がしみこんでいく様子を観察して,地上に降った雨水の一部は地下にしみこむことを知る。

 (ウ) 雨が降り続いたあとの小川や池などを観察して,川や池などの水がふえたり濁ったりしていることから,雨水の一部は川や池に流れこんだり低い所にたまったりしていることを知る。

ウ 太陽を観察し,その動きに関心をもつ。

 (ア) 太陽を色の濃い下じきや色ガラスを通して観察し,太陽はいつもまるく見えることを確かめる。

 (イ) 太陽は毎日東から出て西にはいることに気づくとともに,これをもとにして,東西南北の方角を知る。

 (ウ) 立木や棒などの影の動きに興味をもち,影は,朝・昼・夕としだいに西から東へ動いていることから,影の動くのは,太陽が刻々動くためであることに気づく。
 (3) 身近にあるものを利用して簡単な道具やおもちゃを作ったり使ったりして,そのしくみとはたらきに気づくように導く。
ア 水車の回り方を調べる。

 (ア) 簡単にできる水車を作り,それがよく動くようにくふうしてみる。

 (イ) 水車に水をあて,その回り方が水の速さやあて方で変わることに気づく。

イ 物の浮き沈みに関心をもつ。

 (ア) ちゃわんやさらのような形のものは,水に浮かべる場合,その置き方によっては,水に浮かんだり沈んだりすることに興味をもつ。

 (イ) 油粘土などで船を作って水に浮かべ,水に沈むものでも,形によっては,浮く場合があることに気づく。

ウ やじろうべえのつりあいを調べる。

 (ア) やじろうべえを作り,うまくつり合うようにくふうしながら,そのつりあいに興味をもつ。

 (イ) やじろうべえのうでの良さやうでのつけ方,つけるおもりの重さを変えると,つりあいの変わることに気づく。

エ ゴム風船やボールなどで,空気のはたらきに関心をもつ。

 (ア) ふくらましたゴム風船の口を開いて放すと飛ぶことに興味をもち,風船をふくらませる程度によって,飛び方に違いがあることに気づく。

 (イ) ふくらましたゴム風船を水中に押し入れたり,水中で風船の口を開いたりして,手ごたえのあることや,あわの出ることに気づく。

 (ウ) ボールにたくさん空気を押し込むと,よくはずむようになることに気づき,空気をつめて使うものはどんなものがあるか考える。

オ 音の出方に関心をもつ。

 (ア) はじいたりたたいたりすると,ものがふるえることに気づく。

 (イ) 太鼓などがふるえているときには,音が出ていることを知る。

カ ゴムやばねを利用したおもちゃをくふうする。

 (ア) ゴムやばねなどの弾力を利用した簡単な動くおもちゃを作り,よく動くようにくふうし,ゴム・バネなどの弾力が動力としてはたらくことに気づく。

3 指導上の留意事項

 (1) 内容(1)のア「学校園の世話」では,草花の成長に目を向けるようにし,変化を観察したり分析的に見たりするようにする。

 (2) 内容(1)のイ「田畑の虫」では,そのころの作物の種類や生育の様子にも注意を向けさせ,また観察のために田畑を荒らさないように指導することがたいせつである。

 (3) 内容(1)のウ「池や小川の生物」については,海に近い所では潮干狩りなどを利用し,この内容と関係のある海辺の生物についても学習させることが望ましい。また,これらの生物を飼う場合には,見やすい状態でしかも自然に近い条件で飼育するようにする。

 (4) 内容(1)のエ「花・葉・実のしるの色」では,簡単な器具類の操作ができるように指導する。

 (5)  内容(1)のオ「自分の歯」では,鏡などを利用して自分の歯について観察させると同時に,歯をたいせつにする必要を理解させる。そして,個個の歯よりも,歯全体としてのはたらきを中心にして指導し,保健と関連して歯のみがき方なども,ここで指導することが考えられる。

 (6) 内容(2)のア「天気の変化」では,児童が興味を失わないで,しかも自主的に観察を続け,それを記録するのに大きな負担を感じさせないような適切な配慮が必要である。

 (7) 内容(2)のウ「太陽の観察」では,先に学習した影のでき方と関連して,影が西から東へ動く事実から,光源である太陽が東から西へ移動することに気づかせるように指導する。

 (8) 内容(3)のア「水車の回り方」では,児童が製作する上に,材料や構造が工作能力に無理のないように配慮することが必要がある。

 (9) 内容(3)のエ「空気のはたらき」では,むりに空気の比重や浮力といったことばで解明しようとしないで,手ごたえの事実で強く印象づけるようにする。

 (10) 内容(3)の力「ゴムやばねの利用」では,ゴムやばねなどの弾性を利用して動力とするおもちゃをくふうさせ,弾性についての関心を深める程度でよい。ゴムの弾性についての数量的な取り扱いは中学部にゆずる。

 (11) 観察・実験では,児童が興味をもって活動できるようにする。ともすれば教師が初めから教え込むという態度になりがちであるが,これは厳に避けるべきである。

 (12) 温度計・虫めがねなどの観察に使う道具や,アルコールランプ・試験管などの実験に使う道具は,必要と児童の能力とに応じて,適宜扱うことができるようになることがよい。

 

〔第5学年〕

1 目標

 (1) 身近な自然の事物や現象に対する興味を深め,継続観察,飼育栽培,製作などの活動を通して,自然の事物・現象を分析的に見たり考えたりして,その著しい特徴をとらえようとする態度を養う。

 (2) 自然の環境から問題を見いだし,これを解決しようとする意欲を高め,解決の方法を考え,それを事実に即して確かめることができるようにする。

 (3) 学校や家庭などにおける生活の中で得られる事実をもとにして,それらの基礎となる自然科学の原理が理解できるようにする。

 (4) 身近な自然の事物・現象を利用することに喜びをもたせ,自然物をたいせつにし,これをみだりにいためたり荒らしたりしないようにする。

2 内容

 (1) 観察や飼育や栽培によって,個々の生物のつくりの著しい特徴やその違いに気づくようにするとともに,生物の一生の変化には一定のきまりがあることを知らせる。

また,人のからだのつくりの大要に気づくようにする。
ア 学校園の世話をし,草花・野菜の育ち方や花のつくりの観察をする。

 (ア) あぶらなのようなつくりの見やすい花を観察して,花は,がく・はなびら・おしべ・めしべなどからできていることを知る。

 (イ) えんどう・つつじなどの花を観察して,花びらの数・形・並び方などよく似た花があることに気づく。

 (ウ) つつじ・あぶらななどの花には,花粉があることに気づく。

 (エ) へちまの種子をまき,続けて世話をするとともに,著しい変化が記録できる。

 (オ) へちまには,実のできる花と実のできない花とがあることに気づく。

 (カ) へちまの水取りをし,根から上がった水が茎の上方にのほることを知る。へちまの実の内部を観察し,その筋を利用することを知る。

イ 植物の種子のつくり,散り方を観察する。

 (ア) 花だんや野山で普通に見られる植物の開花結実などの期日には,違いのあることに気づくとともに,草木の種子の散り方に気づく。

 (イ) 花だんや野山で集めた種子の外形を観察し,種子の大きさ・形・色などには違いのあることに気づく。

ウ かえるの育つ様子を観察する。

 (ア) かえるの卵やおたまじゃくしなとを飼育し,成長に伴うからだの著しい変化を観察記録して,その育ち方に気づく。

 (イ) かえるには,いろいろな種類があることを知り,それらのすむ場所や運動のしかたなどに気づく。

エ 虫のからだのつくりを調べる。

 (ア) ちょう・がなどのからだのつくりを比較観察し,からだの区分や,目・ひげ・はね・足などの共通点に気づき,これらがこん虫であることを知る。

オ 人のからだのおよそのつくりを調べる。

 (ア) からだを外部から観察して,筋肉・骨組みなどのおよそのつくりに気づき,それらのはたらきによって運動のできることを知る。

 (イ) 内臓諸器管のおよその形や位置とはたらきを知って,それらをたいせつにするようにする。

 (ウ) 姿勢を正しくすることがたいせつなことに気づく。
 (2) 季節ごとの天気の特徴に注意したり,土やかわらの石を観察したり,月の形や位置の変化を観察したりして,自然現象に興味をもち,簡単な事実に気づくようにする。
ア 四季おりおりの天気を調べ,その特徴に関心をもつ。

 (ア) 春,梅雨のころ,夏,台風のころ,秋,冬に天気の様子を観察して,かすみ・梅雨・雷・入道雲・夕立・にじ・台風・霜・雪など,季節による特徴のある気象現象や,日ざしの違いに気づく。

 (イ) 季節により,暑さ・寒さに違いのあることに気づく。

 (ウ) 四季おりおりの雲を観察して,いろいろな形があることに気づき,夏は入道雲,秋はすじ雲など,季節によって多く見られる雲のあることを知る。

 (エ) 1年の終わりに,季節ごとの観察記録をまとめ,季節の移り変わりについて理解を深め,季節の特徴を知る。

イ 土の性質を調べる。

 (ア) 粘上・砂・黒土などの粒・色・手ざわり,また,水のしみこむ様子や粘り気などを観察して,これらの性質に違いのあることに気づく。

 (イ) がけや切り通しなどで,土や岩石を観察したり,柔らかい岩石を砕いたりして,土は岩石から変わったものであることを知る。

ウ かわらの様子とそこにある石を調べる。

 (ア) かわらの様子を観察して,かわらには石の多い所,砂や粘土の多い所などかあることに気づく。

 (イ) 石を集め,形・色・大きさ・かたさなどにいろいろあることに気づくとともに,簡単な標本を作ることができる。

エ 月を観察し,その形の変化や動きを調べる。

 (ア) 月の形を写生して,月の表面には明るいところと,うす暗いところとあることに気づく。

 (イ) 毎日,同じ時刻に月を観察して,月の位置や形は,少しずつ変わっていくことに気づく。

 (ウ) 月はいつも同じ形には見えないが,一つのまるいものであることを知る。

 (エ) 三日月・半月・満月などの動きを観察して,月も東から西へ動いていることを知る。
 (3) 簡単な道具を使ったり作ったりして,そのしくみとはたらきに気づき,いろいろな道具の使い方に慣れるようにするとともに,物の溶け方や変化に関心をもたせる。
ア 紙玉でっぽうや水でっぽうのはたらきを調べる。

 (ア) 紙玉でっぽうなどを作り,たまがよく飛ぶようにくふうし,押し縮められた空気の力に気づく。

 (イ) 水でっぽうを作って遊び,水がよく吸い込まれたり,押し出されたりするしくみをくふうする。

 (ウ) 水が吸いこまれたり,押し出されたりするしくみに気づき,水を遠くへ飛ばすように押し方や傾け方などをくふうする。

イ グライダーの作り方や飛ばし方をくふうする。

 (ア) わりばし・厚紙など,身近な材料でグライダーを作り,はねの形やつける位置,つりあいなどを考えて,よく飛ぶようにくふうする。

ウ 音の伝わり方に関心をもつ。

 (ア) 金属・木の棒などのはしをはじいたりたたいたりすると,振動が伝わってくる。このことから音の伝わり方を知る。

エ 鏡を組み合わせて物の映り方を調べる。

 (ア) 1枚の鏡の傾きや位置をいろいろに変えて,後方や,上下のものが映せるようになる。

 (イ) 2枚以上の鏡をいろいろ組み合わせて,物の映り方が変わる様子を観察する。

 (ウ) 鏡をうまく組み合わせて,万華鏡や潜望鏡をくふうして作り,その映り方に興味をもつ。

オ 虫めがねのはたらきを調べる。

 (ア) 虫めがねで物を見ると,大きく見えることに気づき,虫めがねの使い方に慣れる。

 (イ) 虫めがねを目から離して,遠くの物を見ると,物がさかさまに小さく見えることに気づく。

 (ウ) 虫めがねに日光を当てると,影の中に明るい所ができ,虫めがねを動かして,これを小さくすると,黒い紙などが焦げることに気づく。

カ 物の温度について調べる。

 (ア) 水と湯に温度計を入れて,温度計の示す液の高さがそれぞれ違うことに気づき,その高さを目もりで読めば,水と湯の温度がわかることを知る。

 (イ) 物の冷たさや暖かさの程度は,温度計を使えば正しく調べられることを知り,温度計の初歩的な扱いができるようになる。

キ 氷をつくって,そのでき方を調べる。

 (ア) 水そうの中に氷と食塩とを入れて混ぜ,この中に温度計を入れて,氷だけのときよりも温度が下がることに気づく。

 (イ) 上記の寒剤を入れたガラスの器などの外側が曇ったり,霜のようなものがついたりすることに気づく。

 (ウ)寒剤の中に水を入れた試験管をさしこみ,水か冷えて氷になるときの様子に気づく。

ク 磁石の性質を調べる。

 (ア) 磁石には,N,Sの極があることを知り,同し極はしりぞけあい,違う極は引きあうことに気づく。

 (イ) 縫い針などを磁石でこすって,それが磁石になることに気づく。

 (ウ) 磁石を自由に動くようにささえると,南北をさすことに気づく。

 (エ) 磁石(コンパス)を使うと,方位を知ることができることに気づき,磁石の使い方を知る。

ケ 豆電球の点燈のしかたを調べる。

 (ア) 乾電他・豆電球・ソケット・導線などを使って豆電球を点燈して,乾電他には十と一の極があることを知り,両極と豆電球を導線でつなぐと点燈することに気づく。

 (イ) 乾電他と豆電球の回路にスイッチをつないで豆電球を点滅させて,回路の一部が離れていると電気が通らないことに気づく。

 (ウ) 乾電池と豆電球の回路に,金物・紙・木などを入れて,豆電球の点燈のしかたを調べ,電気を通しやすいものと通しにくいものがあることに気づく。

コ 物の溶け方を調べる。

 (ア) 食塩やほう酸を使ってうがい水を作り,食塩は水に溶けやすいが,ほう酸は水に溶けにくいことに気づく。

 (イ) ほう酸を水や湯に溶かして比べ,その溶け方が,水の暖かさによって違うことに気づく。

 (ウ) 湯に溶けたほう酸の液を冷やすと,湯がさめるにつれて,液中にほう酸が小さな粒となって出てくることに気づく。

 (エ) 濃い食塩水(飽和溶液)を10倍ないし20倍にうすめて,うがい水をつくることができるようになる。

 (オ) マッチやアルコールランプの扱い方を知り,安全に使うことができるようになる。

サ 青写真の感光紙の色の変わり方に関心をもつ。

 (ア) 青写真の感光紙を太陽の光に当てると色の変わること,光の当て方によって,感光紙の色の変わり方に違いのあることに気づく。

 (イ) 感光紙の上に花や葉などや,絵や字を書いた薄い紙などをのせて日光に当てると,その物の形が写し出されることに興味をもつ。

 (ウ) (イ)のように光を当てた感光紙は,水で洗えば,さらに光を当てても変色しないようになることを知る。

3 指導上の留意事項

 (1) 内容(1)アの「学校園の世話」で,あぶらなやえんどう,へちまを例示したのは,春まき・秋まきの作物の一例であるので,地域に即したものを扱えばよい。ここでは成長の著しい変化を児童が自分から見いだし,進んで記録するようにしむけ,観察記録のしかたの初歩を指導する。

 (2) 内容(1)のカ「人のからだ」の,筋肉・骨組みなどのおよそのつくりとは,からだを見たり,さわったり,動かしたりしてわかる程度でよく,骨については,頭の骨・あばら骨・背骨・腰の骨・手足の骨などがわかる程度でよい。

 (3) 内容(2)のア「天気の特徴」について,季節の著しい変化が見られるくらいの時期(2〜3週間)にとどめるのがよい。観察の開始の時期は,長期予報などを参考にして変化の多そうな時期を選ぶようにする。

 (4) 内容(2)のイ「土の性質」と,内容(1)のア「学校園の世話」とは関係が深いから,その点を考慮して指導する必要がある。

 (5) 内容(2)のエ「月の形」は,天体を夜観察するのであるから,特に家庭における学習のしかたについて懇切に指導し,児童の負担が過重にならないように注意しなければならない。

 (6) 内容(3)のウ「音の伝わり方」では,ピアノの上に手をおいたり,おんさをたたいて耳にふれさせたりして,音は発音体から伝わって来ることを中心に扱うのかよい。

 (7)  内容(3)のカ「物の温度」では,今まで感覚的にとらえてきた冷温の程度を客観的に温度計でとらえる最初で,内容(2)のア「四季の天気」に関連して,だんだんと気温も温度計でとらえるようにすることが望ましい。温度計の正しい取り扱いは必要感をじゅうぶん感じさせて導入するのがよい。

 (8)  内容(3)のク「磁石の性質」では,磁石には,いろいろの形のものがあるが,どれも同じ性質をもっていることを知らせる。また,方位については,磁石(コンパス)を使って実際に束・西・南・北をはからせ,それが確実にわかるようになってから,八方位におよぶのがよい。

 (9) 内容(3)のケ「豆電球」では,豆電球・電池がそれぞれ1個の場合の点燈のしかたを取り扱い,2個以上は第6学年で扱う。ここでは電気の流れについて理解を深めるように導く。

 (10) 虫めがね・マッチ・アルコールランプなどの実験観察に必要な器具の正しい扱い方を指導するだけでなく,必要に応じてこれらを使用させ,その扱い方に慣れさせるよう指導することがたいせつである。

 

〔第6学年〕

1 目標

 (1) 身近な自然の事物や現象に対する興味を深め,観察・観測・実験などによって,事物や現象の間の関係を見つけようとする態度を養う。

 (2) 自然の環境の中にある問題を見いだし,解決の方法をいろいろ考えて,事実に即して確かめ,処理できるようにする。

 (3) 日常生活の中で経験できる事実をもとにして,自然科学的な基礎的原理を理解し,これを生活にあてはめてみるように導く。

 (4) 自然の事物や現象についての理解をもとにして,自然と人間の生活との関係に気づくようにし,自然を愛護しようとする態度を養う。

2 内容

 (1) 観察や飼育・栽培によって,個々の生物のつくり,暮らし方の著しい特徴やそれらの違いに気づくようにするとともに,生物の一生の変化には一定のきまりがあることを知らせる。

また,人のからだの成長や正常なはたらきに気づくようにし,人の栄養についても理解させる。
ア いもの育ち方やふえ方を調べる。

 (ア) じゃがいも,または,さつまいもなどの栽培のしかたを知り,これを栽培して,その生育の様子に気づく。

 (イ) 植物には,じゃがいもなどのように,いもでふえるもののあることに気づく。

イ 飼っている動物の世話をし,その育ち方や習性を調べる。

 (ア) にわとりやうさぎなどのような飼いやすい動物がうまく育つように世話をし,育ち方,えさの種類,著しい習性について知る。

ウ 川や池の水草やもについて,その種類やつくりを調べる。

 (ア) 観察や採集によって,池や沼には,うきくさのような水面に浮いているもの,くわい・はすのように葉や茎の一部は水面に出ているが,根を水底の地中におろしているもの,きんぎょものように水中に生育するものなどかあることを知る。

 (イ) 水辺・水面・水中に生育する植物の葉や茎を観察して,それぞれの著しい特徴に気づく。

 (ウ) うきくさを水そうに入れておき,それが分かれてふえることや,日当たりなどによってふえ方に速いおそいがあることに気づく。

エ 虫を飼育したり,観察したりして,その一生の変化を調べる。

 (ア) ちょう,またはかいこなどを飼育,観察し,その育つ様子を記録して,卵から幼虫,さなぎを経て成虫となる事実に気づく。

 (イ) か・はえの一生の変化や生活の様子を観察して,これをもとにして駆除する方法を考えることができるようになる。

オ 海辺の生物の種類や生活の様子を調べる。

 (ア) 海には,潮の満ち干がある事実に気づく。

 (イ) 潮のひいた砂浜,潮だまり,または,いそで,貝・うにのように手に入れやすい海浜の動物を観察したり採集したりして,それらにはいろいろな種類のあることや,それらの生活の様子に気づく。

 (ウ) 海そうや海浜の植物のはえている様子を観察したり,それらを採集したりして,その性状が野山の植物と違っている点に気づく。

 (エ) あさり・はまぐりなどのような二枚貝を観察して,貝がら・ちょうつがい・貝柱・足・入水管・出水管などのあることを知る。

カ 池や川の水の中の小さい生物を観察する。

 (ア) 池や川などの水を顕微鏡で見ることにより,水中には,みじんこ・ぞうりむしなどの小さい生物がすんでいることに気づく。

キ 生物の冬越しのしかたを調べる。

 (ア) 冬の野山や校庭などで,植物の地下の茎・いも・根・冬芽などの観察を通して,植物はいろいろな姿で冬を越す事実に気づく。

 (イ) こん虫は,その種類によって,卵・幼虫・さなぎまたは成虫のようないろいろの状態で冬を越すことを観察し,あわせて身近に見られるその他の動物の冬の越し方を知る。

 (ウ) 春・夏のころ見られた鳥りの中には,秋から冬にかけて見られなくなるものがあり,秋・冬のころになると春・夏のころ見られなかった種類の鳥が見られるようになることを知る。

ク 自分のからだの発育や,からだのおよそのはたらきを調べる。

 (ア) 健康診断の測定資料を前学年までのものと比較して,体重・身長など,自分のからだの成長に気づく。

 (イ) 鼓動・体温・呼吸などが,運動したときや病気のときには正常時と違うことを知る。

 (ウ) 口・目・耳・鼻・皮膚の清潔に注意し,むし歯・トラホームなどの病気にかからないようにする。

ケ 食物に含まれる栄養素のはたらきに関心をもつ。

 (ア) 日常の食物は,でんぷん・糖・脂肪・たんぱく質・ビタミン・カルシウム・鉄のような栄養素を含んでいることを知る。

 (イ) これらの栄養素は,それぞれ独自のはたらきをもっていて,一つの種類の食物だけでは,栄養を完全にとることはできないことを知る。
 (2) 気温・地温・水温の変化や,川や海の水のはたらき,星や星座を観察したり観測したりして,自然現象に興味をもち,簡単な事実に気づくようにする。
ア 気温を測り,その変化を調べる。

 (ア) 温度計を正しく操作して,気温が測れるようになる。

 (イ) 気温を測り,それが1日のうちでも,また季節によっても変化することに気づく。

 (ウ) 地温や水温を測り,気温との違いに気づく。

イ 川の水の流れ方を調べる。

 (ア) かわらで,川幅,流れの速さ,水のかさなどを観察して,これらが上流と下流とでは違いがあることを知る。

 (イ) 川に木片などを流して,流れの様子を調べ,川の中央と岸とでは流れの速さに違いがあることに気づく。

ウ 川や海の水のはたらきを調べる。

 (ア) 川が曲がりくねって流れていることや,大水の前後のかわらの様子の違いなどから,川の水には,川底や岸を削ったり,削りとった石や砂や粘土を運んだり,それらを水底に積もらせたりするはたらきのあることを考えることができる。

 (イ) 海岸のがけ・砂浜の様子などから,海水にも川の水と同じようなはたらきがあることを知る。

 (ウ) 雨水や川の水のはたらきで,長い間に土地の様子がしだいに変化していくことを知る。

エ おもな星と星座を観察する。

 (ア) いろいろな星の明るさを比べ,星は明るさによって1等星・2等星などに分けられていることを知る。

 (イ) 北極星・北斗七星・カシオペア座・さそり座・オリオン座など目ぼしい星や星座を観察して,明るさや並び方など,区別のつく特徴に気づき,これらを見分けられるようになる。

 (ウ) 季節によって,見える星はいつも同じではないことに気づく。

 (エ) 北極星は方角を知るのに役だつことを知る。
 (3) 簡単な道具や機械のしくみとはたらきに興味をもったり,自然物に含まれている物質の性質に気づくようにしたりして,身近に見られる事実や現象の変化に興味をもたせ,初歩的な原理をわからせる。
ア てんびんのしくみとはたらきを調べる。

 (ア) 簡単なてんびんを作り,左右に等しい重さの物をかけたときにつりあうことに気づく。

 (イ) 上ざらてんびんのはたらきを知って,正しく使うことができるようになる。

イ 物の浮き沈みについて調べる。

 (ア) 同じ体積の水より軽いものは,水の中に押し沈めても浮き上がり,水より重いものは沈むことを理解する。

 (イ) 卵などは水の中では沈むけれども,濃い食塩水の中では浮くことに気づく。

ウ てこに関心をもち,その使い方をくふうする。

 (ア) 捧をてことして使い,小さな力で重い物を動かす方法をくふうし,てこには,てこをささえる点,力を加える点,加えた力のはたらく点のあることに気づき,これらの点の位置が変わると,同じ大きさの力を加えても,物にはたらく力の大きさが変わる事実を知る。

 (イ) はさみ・おしぎりなどは,てこのはたらきを応用した道具であることを知り,その使い方に慣れる。

エ ポンプのしくみとはたらきを調べる。

 (ア) 吸い上げポンプや押し上げポンプを扱ったり,簡単なポンプを作ったりして,シリンダー・ピストン・弁・気室などのしくみとはたらきに気づく。

オ 温度の違いによる水の状態の変化を調べる。

 (ア) 氷を溶かしたり,水を沸騰させたりして,水(液体)は氷(固体)・水蒸気(気体)に変わることに気づく。

 (イ) 水が凍るのは普通0℃,沸騰するのは普通100℃であることを知る。

カ 温度の違いによる物の膨張・収縮を調べる。

 (ア) 水・空気・金物などを熱したり冷やしたりして,物は暖まると膨張し,冷えると収縮する事実や,その度合いの違いに気づく。

 (イ) 温度計は,温度の高低によって,水銀や,アルコールなどが膨張・収縮することを応用したものであることを知る。

 (ウ) 水が氷になったり,氷が水になったりするときには,体積が変わる事実に気づく。

 (エ) 水を少量入れた試験管を熱して,試験管にはめたせんを飛ばし,水は水蒸気になると,体積が著しく増すことを知る。

キ 乾電他と豆電球のつなぎ方による明るさの違いを調べる。

 (ア) 2個の豆電球を乾電池につなぐとき,直列・並列のつなぎ方によって豆電球の明るさが違うことに気づく。

 (イ) 2個の乾電他を豆電球につなぐとき,直列・並列のつなぎ方によって豆電球の明るさが違うことに気づく。

 (ウ) 豆電球の明るさが違うのは,豆電球を流れる電流の強さが違うからであることを知る。

 (エ) 乾電池に豆電球をつないだときの回路を,簡単な絵や記号を使った配線図で表わしたり,配線図に従って簡単な回路を組み立てたりすることができるようになる。

 (オ) 乾電池や豆電球などを使って,簡単な懐中電燈・シグナルなどをくふうして作ることができる。

ク 電磁石のはたらきを調べる。

 (ア) 簡単な電磁石を作り,電流を通じると磁石としてはたらき,電流を断つと,はたらかなくなることを確かめる。

 (イ) 電磁石は,導線を多く巻いたり,電流を強くしたりすると,磁力が強くなることを理解する。

 (ウ) 電鈴などには電磁石が利用されていることを知り,それらのしくみや,はたらきを理解する。

ケ でんぷんを取り,その性質を調べる。

 (ア) じゃがいも・さつまいもなどのようないもには,でんぷんが含まれていることを知り,それらからでんぷんを取り出すことができる。

 (イ) でんぷんを水に入れて振ったり,これを熱したりして,でんぷんは水に溶けないが,これを暖めるとのりになることに気づく。

 (ウ) でんぷん液によう素液を加えると青紫色に変わることから,でんぷんを確かめるには,よう素液を用いればよいことを知る。

 (エ) パンやごはんなどによう素液をつけると青紫色に変わることから,これらの食物にはでんぷんが含まれていることがわかる。

 (オ) ごはんをかんでいると甘くなることから,でんぷんは,つばのはたらきで砂糖のなかまに変わることを知る。

コ 動植物から取ったあぶらの性質を調べる。

 (ア) ごま,または,あぶらななどの種子を押しつぶして,あぶらをしみ出させたり,豚肉などを熱してあぶらを取り出したりすることができる。

 (イ) 水にあぶらを入れると,まじらないで上に浮くことから,あぶらは水に溶けないで,水より軽いことに気づく。

 (ウ) あぶらの中にしんを立てて火をつけると,燃えることに気づく。

サ たんぱく質の性質を調べる。

 (ア) たんぱく質は,卵・肉・牛乳・だいずなどに含まれていることを知る。

 (イ) たんぱく質を含んだものを焼くと,特臭を出して変化することに気づく。

 (ウ) たんぱく質には,熱したり,酢を加えたりすると固まるものがあることに気づく。

シ 食塩水を水と食塩とに分ける。

 (ア) 食塩にごみがまじってしるときには,これを水に溶かしてろ過し,固形物と食塩水に分けることができるようになる。

 (イ) 食塩水(または海水)を熱して水分を蒸発させ,食塩を取り出すことができることに気づくとともに,製塩法を知る。

 (ウ) 食塩水を熱し,出てきた水蒸気を集めて冷やし,その水を味わって,食塩が含まれていないにとに気づく。

3 指導上の留意事項

 (1) 内容(1)のエ「海辺の生物」に関する学習は,海に遠くて海辺の様子や生物の生態などの観察の困難な所では,入手できる海そうや貝などについての学習にとどめ,全般の学習は海に行く機会を利用するのがよい。また,視聴覚資料の活用も理解を助けたり深めたりするのに効果的である。

 (2) 内容(1)のキ「自分のからだ」では,そのつくりやはたらきの学習をもとにして,正常な人体の状態を理解させ,病状について自己診断し,それを訴えることができるようにする。健康の習慣については,保健と連絡をとって合理的に処理できるようにする。

 (3) 内容の(1)のク「食物と栄養素」は,内容(3)のエ「でんぶん」,サ「あぶら」,シ「たんぱく質」との関連を考えて指導することがたいせつである。

 (4) 内容(2)の気温・地温・水温の観察結果や記録やその処理については,グラフや表を活用してその理解を深めることがたいせつである。

 (5) 内容(2)のエ「おもな星と星座」では,家庭で学習するようになるので,視聴覚資材を活用するなどして,児童が夜星を観察するのに負担にならないよう,学校での取り扱いにじゅうぶん配慮することが必要である。家庭の協力をあおぐことも忘れてはならない。

 (6) 内容(3)のウ「てこ」に関する学習は,日常用いられる道具を使い,それを通して具体的な経験を得させ,てこの三点とそれにはたらく力について理解させ,三点間の数量的関係は中学部で扱う。

 (7) 化学実験については,器具の破損・安全にじゅうぶん留意して,事故を起こさないように気をつけることがたいせつである。

 

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 内容にあげた各事項は,いずれも学校の指導計画に含まれ,指導されるべきものであるが,各事項のまとめ方や,順序は,これによる必要はない。学校において適切な組織・順序をもった指導計画を立てて指導する必要がある。

2 学校の指導計画作成にあたっては,児童の能力や経験,児童が見いだした疑問や問題,教師の指導目標などを考慮して,全体をいくつかのまとまりに組織することが望ましい。

3 内容中(ア),(イ),(ウ)などの事項は,内容の程度や望ましい学習活動を示してある。学習指導にあたっては,その地城の実情や学校の施設設備などに応じ,適切な方法によって,そのねらいを達成するように努めることがたいせつである。

4 内容中にあげた生物の種名や岩石名などは,その例を示したものであるから,地域の生物や地質などを考慮して,それを学習に生かすようにし,また,季節や地域の気象・行事などとの関連に留意し,適切な時期に観察・実験・飼育・栽培などができるように計画する必要がある。

5 児童の発達段階に応じ,その興味関心を発展させ,児童の経験や実生活との結びつきを重んじ,つとめて具体的な事物・現象からはいり実証的,研究的な態度で学習させるようにすることがたいせつである。なお,この場合児童の個人差にも適切に対処できるように考慮する必要があるが,学習可能な事はつとめて扱うようにし,能力や態度については,同じことがらについて反復して積み上げていくようにする。

6 できるだけ広く観察・実験を行なうことが必要であって,観察・実験を行なわないで,単に知識のみに偏することは厳に避けなければならない。そのためには,平素から学習の環境を整備し,自然の事物や現象に接する機会を多くしたり,観察・実験がたやすくできるようにし,児童の学習態度を助長するように指導することが望ましい。

7 理科の学習を通して,直接事物・現象に即して語いを拡充していくようにする。また文字や絵,スライドなどを使うことによって,知識や理解の習得を確実にすることか望ましい。しかし,語いや知識の習得を強調しすぎて,理科学習の本来の目的を失してはならない。

8 観察・観測・飼育・栽培などを継続して行なうために,必要に応して指導の時間を分割したり,野外観察のために半日ないし1日,理科の時間をまとめたりして指導してもよい。

 また,長期にわたって計画を立てる必要のあるものも多いから,綿密な配慮のもとに長期計画を立てておくことがたいせつである。

9 学習活動を展開するにあたっては,児童の特質をじゅうぶんに考慮し,常に児童とともに学ぶという態度がたいせつで,特に観点を指示することによって,目標を見あやまらないようすることがたいせつである。

10 第1・2学年では,特に遊びの活動を多く取り入れ,自然に興味を感じさせつつ,いろいろな事物・現象に気づくようにする。また観察するものは,第1・2学年ではなるべく動的なものを扱い,上の学年にいくにしたがって静的なもの,小さいものを扱うことが望ましい。

11 野外観察・実験などにあたり,事故の防止を特に留意すること。不注意あるいは無意識な動作,好奇心による行動,扱い方を理解しないで操作することなどから,けがをしたり,機械器具を破損したりすることを理解させ,理科の時間ばかりでなく,日常生活においても科学的な考え深い行動をとる習慣をつけるように指導する。

12 児童は,経験領域が狭いから,実地の観察を多くしたり,視聴覚教材を利用したりして,生活経験を豊かにするようにする。

13 音の理解を伴う教材,人体の耳の知識についての取り扱いについては,特にくふうして指導する。


 
第5節 律唱

第1 目標

1 聴覚,振動感覚およびその他の感覚を利用して,おもにリズムを中心として,音楽的な経験を豊かにし,リズム感覚の発達を図るとともに,美的情操を養う。

2 身体表現をすること,楽器を演奏すること,歌を歌うことなどの学習活動に必要な技能を身につけ,創造的表現の能力を伸ばす。

3 いろいろな音およびおもにリズムを中心として,音楽に親しませ,聞く態度や能力を養う。

4 音楽的経験を豊かにするために必要なリズムや音楽に関する知織を,聞くことや表現活動を通して理解させる。

5 おもにリズムを中心として,音楽的な経験を通して,日常生活にうるおいや豊かさをもたらす態度や習慣を養う。

 上に掲げた律唱科の目標は,相互に密接な関連をもつものであるが,目標1は律唱科で指導すべき総括的な目標である。

 したがって,各学年における具体的な学習が,主として目標2,3および4のいずれにかかる場合においても,常に目標1が考慮されなければならない。目標2,3および4は,それぞれ表現力,聞く態度や能力および知的理解について,その目標を掲げたものであるが,各学年における具体的な学習においては,それらのねらいが有機的に結びつけられるとともに,目標5との関連を考慮しなければならない。

 次に示す各学年の目標は,それぞれの学年において指導すべき身体表現,器楽,歌唱および聴能訓練・鑑賞(聴覚,振動感覚およびその他の感覚を利用して,音・音声や音楽などを聞く。)の領域について,その学年としての指導のねらいを具体的に掲げたものである。なお,律唱科の指導は体育科の指導,および国語科における聴能訓練との有機的な関連を図って行なうようにする。

 

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕

1 目標

 (1) 身体の動きを通して,基礎的なリズム感覚を養う。

 (2) 楽器の音に親しみをもたせ,リズム楽器の奏法に慣れさせるとともにリズム楽器による基礎的な合奏技能を身につけさせる。

 (3) 基礎的な発声に慣れさせ,歌うことに興味をもたせる。

 (4) 音を聞くことに興味をもたせ,また,身体反応を伴った活動を通してリズム感覚の芽ばえを養う。

2 内容

 A 身体表現

 (1) 身体動作を通して基礎リズムを表現する能力を養う。
ア 四分音符,八分音符に合わせて手を打ったり,リズム楽器を打ったり,また,ステップしたりする。(2) ことばをリズミカルに言えるようにする。
ア 模倣動作をしながら,擬声・擬態語・擬音語を言う。(3) 拍子感を身につけさせる。
ア アクセントに対して身体反応をする。

イ 二拍子・三拍子に合わせて手を打ったり,リズム楽器を打ったり,また,ステップしたりする。
 (4) フレーズ感を身につけさせる。
ア 次のようなリズムフレーズに合わせて手を打ったり,リズム楽器を打ったり,また,ステップしたりする。(例)

 など。

 (5) 読譜の能力を養う。
ア 絵譜やリズム譜を見て身体表現をする。(6) 即興的に身体表現をする能力を養う。
ア 動物や乗り物などの身体模倣をする。

 B 器楽

 (1) 器楽演奏に興味をもたせる。
ア 楽器の形や音色に興味をもつ。

イ 音楽や太鼓などに合わせて,手を打ったり,リズム楽器を打ったりする。

ウ 身体表現をしながら,リズム楽器を打つ。
 (2) リズム楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア よい姿勢,正しい持ち方で打つ。

イ 大太鼓・タンブリン・カスタネット・トライアングルなどのリズム楽器の奏法に慣れる。
 (3) 旋律楽器に親しませる。
ア 木琴でリズム奏やグリサンド奏などをする。(4) 合奏の基礎能力を養う。
ア リズム楽器で合奏する。

イ リズム楽器で,次のようなリズムを打つ。

(例)

ウ フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。

エ 先生の合い図によく合わせて合奏する。
 (5) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

 C 歌唱

 (1) 楽しく歌う態度を養う。
ア 動物の鳴き声や動作を摸倣する。

イ 自由に身体表現をしながら歌う。
 (2) 基礎的な歌唱技能を身につけさせる。
ア よい姿勢で歌う。

イ 自然な声で歌う

ウ 口形や口声を模倣して歌う。

エ 息つぎに注意して歌う。

オ 絵譜や,リズム譜などを見ながら歌う。

 D 聴能訓練・鑑賞

 (1) 楽しく聞く態度を養う。
ア 自由に身体反応をしながら聞く。

イ 明るくリズミカルな音楽を聞く。

ウ 場面や情景を想像しながら聞く。
 (2) 静かに聞く習慣を養う。
ア 先生や友だちの歌や演奏を静かに聞く。

イ 放送やレコードなどの音楽を静かに聞く。
 (3) 聴覚,振動感覚およびその他の感覚などによって,音楽的感覚の芽生えを養う。
ア 音楽の速度・強弱の違いを感じとり,身体表現をする。(4) いろいろな音を聞く能力を養う。
ア 大太鼓・タンブリン・カスタネットなどのリズム楽器等の音を聞く。

イ 生活のまわりの音を聞く。
 (5) 補聴器をつける習慣を養う。
ア イヤホーンの正しいつけ方を知る。

イ スイッチを入れたり切ったり,自分でする。

ウ 音量の調節のしかたを知る。

3 指導上の留意事項

 (1) この学年では,リズムを中心として基礎的な音楽的経験を与え,明るく楽しい学校生活を営ませるようにする。

 (2) この学年では,学習のひん度を多くするほうが効果的である。特に時間は短くても,毎日学習ができるようくふうすることが望ましい。

 (3) 鑑賞や表現の場合,身体の動きを伴った学習をさせることが望ましい。

 (4) この学年では,音に関心をもたせることをねらいとする。しかし,一度に多くの音を与えて,混乱させないように留意する。

 (5) 補聴器の使用については,国語科における聴能訓練との関連を図り,およそ次のことに留意する。
ア はじめから長時間装用させずに,短い時間で回数多くつけさせ,慣れるにしたがって徐々に時間を増すようにする。

イ 児童の聴覚の障害の状態に即して,音量・音質を調整し,また,むりな使用によって,児童が補聴器の装用をきらうことのないよう,あらかじめじゅうぶん考慮する。

ウ 音の弁別や語音の弁別などには,室内で反響の少ない静かな状態で聞かせるなどの配慮が望ましい。

エ 聴覚の障害の状態に即して,ひとりひとりについての個人差に応じた指導の徹底を図るようにする。

オ 補聴器を日常生活に役だてるために,常時携帯して,いつでも自主的に使用できるような態度と習慣を身につけさせるようにすることが望ましい。

 以上のことは,特に第1学年から計画的に行ない,各学年を通じて,適切な指導をすることが必要である。

 

〔第2学年〕

1 目標

 (1) 身体の動きを通して基礎的なリズム感覚を伸ばし,リズム表現ができるようにする。

 (2) リズム楽器の奏法に慣れさせるとともに,リズム楽器による合奏技能を身につけさせる。

 (3) 基礎的な歌い方に慣れさせ,歌うことにいっそう興味をもたせる。

 (4) 楽しく静かに聞く態度や習慣を養うとともに,身体反応を伴った活動を通して,音楽的感覚,特にリズム感を養う。

2 内容

 A 身体表現

 (1) 身体動作を通して,基礎リズムを表現する能力を養う。
ア 四分音符,八分音符,スキップのリズム

,二分音符に合わせて手を打ったり,リズム唱をしたり,また,ステップしたりする。
 (2) ことばをリズミカルに言えるようにする。
ア 短いことばにリズムをつけて言う

イ いろいろな呼び声や,掛け声に合わせてリズム打ちをする。
 (3) 拍子感を身につけさせる。
ア いろいろな楽器の組み合わせを考えて,二拍子・三拍子の拍子打ちをする。

イ 二拍子・三拍子の指揮をする。

ウ 腕で,二拍子・三拍子の拍子をとりなから基礎リズムをステップする。

エ 二拍子・三拍子に合った遊びをする。
 (4) フレーズ感を身につけさせる。
ア 次のようなリズムフレーズに合わせて手を打ったり,リズム楽器を打ったり,また,ステップしたりする。

(例)

など。

イ リズムフレーズのリズム唱をする。

ウ 拍子に合わせて歩きながら基礎リズムを打つ。
 (5) 読譜の能力を養う
ア 絵譜やリズム譜を見て,リズム楽器を打つ。

イ リズムを聞いて,そのリズムの積み木などをする。
 (6) 即興的に身体表現をする能力を養う。
ア 動物や乗り物などの身体模倣をする。

 B 器楽

 (1) 器楽演奏に興味をもたせる。
ア 楽器の形や音色に興味をもって演奏する。

イ 音楽や太鼓などに合わせて,手を打ったり,リズム楽器を打ったりする。

ウ 身体表現をしながら,リズム楽器を打つ。
 (2) リズム楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア よい姿勢,正しい持ち方で打つ。

イ 前学年のリズム楽器のほかに,木魚や鈴などの奏法に慣れる。
 (3) 旋律楽器に親しませる。
ア 木琴で,リズム奏やグリサンド奏などをする。(4) 合奏の基礎能力を養う。
ア リズム楽器で合奏する。

イ リズム楽器で次のようなリズムを打つ。
 (例)

ウ フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。

エ 先生の合い図によく合わせて合奏する。
 (5) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

 C 歌唱

 (1) 楽しく歌う態度を養う。
ア みんなで歌ったり,ひとりで歌ったりする。

イ 生活のまわりの音を模倣する。

ウ 自由に身体表現をしながら歌う。
 (2) 基礎的な歌唱技能を身につけさせる。
ア よい姿勢で歌う。

イ 自然な声で歌う。

ウ はっきり,口形や口声を模倣して歌う。

エ 息つぎに気をつけて歌う。

オ 正しいリズムで歌う。

カ 習った歌をそらで歌う。

 D 聴態訓練・鑑賞

 (1) 楽しく聞く態度を養う。
ア 自由に身体反応をしながら聞く。

イ 聞いた歌を口ずさむ。

ウ 明るく,リズミカルな音楽のほかに,静かな音楽も聞く。

エ 場面や,情景を想像しながら聞く。
 (2) 静かに聞く習慣を養う。
ア 先生や友だちの歌や演奏を,静かに聞く。

イ 放送やレコードなどの音楽を,静かに聞く。
 (3) 聴覚,振動感覚およびその他の感覚などによって,音楽的感覚を養う。
ア 二拍子,三拍子および四拍子を感じとり,身体表現をする。

イ 音楽の速度・強弱の違いを感じとり,身体表現をする。
 (4) いろいろな音を聞く能力を養う。
ア リズム楽器(前学年のものに木魚や鈴などを加える。)等の音を聞く。

イ 生活のまわりの音を聞き,それをまねる。
 (5) 演奏形態について理解させる。
ア ひとりで演奏することと,大ぜいで演奏することの違いに気をつけて聞く。(6) 補聴器で聞く習慣を養う。
ア イヤホンの正しいつけ方に慣れる。

イ スイッチを入れたり切ったり,自分でする。

ウ 音量の調節を自分ですることに慣れる。

3 指導上の留意事項

 (1) 前学年と同様,なるべく学習のひん度を多くするようくふうすることが望ましい。

 (2) 特に学習に興味をもたせることが必要で,そのためには,多くの視聴覚教材などを活用するようくふうすることがたいせつである。

 (3) 身体動作を伴った学習の場合は,太鼓だけでなく,なるべくいろいろな楽器を使うことが望ましい。

 

〔第3学年〕

1 目標

 (1) 基礎的なリズム感覚をいっそう伸ばし,リズム表現ができるようにする。

 (2) リズム楽器および旋律楽器の奏法に慣れさせるとともに,旋律楽器を加えた合奏ができるようにする。

 (3) 簡単な楽譜に親しませ,読譜能力の素地を養うとともに歌唱技能を身につけさせる。

 (4) 静かに注意深く聞く習慣を養うとともに,音楽的感覚を伸ばし,楽器の音や,いろいろな音楽に興味をもたせる。

2 内容

 A 身体表現

 (1) 身体動作を通して,基礎リズムを表現する能力を養う。
ア 前学年のリズムのほかに,付点四分音符と八分音符のリズム

も含めて,手を打ったり,リズム唱をしたり,また,ステップする。
 (2) ことばをリズミカルに言えるようにする。
ア ことばのリズムをリズム打ちしたり,ステップしたりする。(3) 拍子感を身につけさせる。
ア 腕で四拍子の拍子をとりながら,基礎リズムをステップする。

イ 拍子に合わせて歩きながら,手でリズム打ちをする。
 (4) フレーズ感を身につけさせる。
ア 拍子をとりながら歌う。

イ リズム打ちをしながら歌う。

ウ 拍子に合わせて歩きながら,歌のリズム打ちをする。

エ 休符に注意して,リズム唱したり,歌ったりする。
 (5) 読譜や記譜の能力を養う。
ア 音符や休符の名まえを覚える。

イ いろいろな音符や休符を書く。

ウ ステップしたリズムを書く。
 (6) 即興的に身体表現をする能力を養う。
ア 一つの基礎リズムから他の基礎リズムに変えて打つ。

イ 即興的にリズムフレーズをステップする。

 B 器楽

 (1) 器楽演奏に興味をもたせる。
ア 音楽や太鼓などのリズムに合わせて手を打ったり,リズム楽器を打ったりする。

イ 身体表現をしながら,リズム楽器を打つ。

ウ 旋律楽器で好きな旋律を演奏する。
 (2) リズム楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア よい姿勢,正しい持ち方で打つ。

イ 前学年のリズム楽器のほかに,ウッドブロックや拍子木などの奏法に慣れる。
 (3) 旋律楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア 木琴や鉄琴などで好きな旋律を演奏する。(4) 合奏の基礎能力を養う。
ア リズム楽器に木琴や鉄琴などを加えた合奏をする。

イ 二組みに分かれて,次のようなリズムを打つ。

(例)

など。

ウ フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。

エ 先生の合い図によく合わせて合奏する。
 (5) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

 C 歌唱

 (1) 楽しく歌う態度を養う。
ア みんなで歌ったり,ひとりで歌ったりする。

イ 歌遊びをする。

ウ 自由に身体表現をしながら歌う。

エ 歌詞を理解して歌う。
 (2) 基礎的な歌唱技能を身につけさせる。
ア よい姿勢で歌う。

イ 自然な声で歌う。

ウ はっきりした発音で歌う。

エ 歌い出し,息つぎ,フレーズのくぎり方および歌い終わりに気をつけて歌う。

オ 正しいリズムで歌う。

カ 習った歌をそらで歌う。

 D 聴能訓練・鑑賞

 (1) 楽しく聞く態度を養う。
ア 自由に身体反応をしながら聞く。

イ 聞いた歌を口ずさむ。

ウ 明るく,リズミカルな音楽のほかに,静かな音楽も聞く。
 (2) 静かに注意深く聞く習慣を養う。
ア 先生や友だちの歌や演奏を,静かに注意深く聞く。

イ 放送やレコードなどの音楽を,静かに注意深く聞く。
 (3) 聴覚,振動感覚およびその他の感覚などによって,音楽的感覚を伸ばす。
ア 音楽を聞いてリズムの変化を感じとり,身体表現をする。

イ 身体反応を通して,リズムフレーズを感じとる。

ウ 速度・強弱など対照的な感じの音楽を比較して聞く。
 (4) 楽器やいろいろな音を聞き分ける能力を養う。
ア リズム楽器のほかに,木琴や鉄琴などの音を聞く。

イ 生活のまわりの音を聞き分ける。
 (5) 音楽の種類および演奏形態について理解させる。
ア 声楽曲や器楽曲を聞く。

イ ひとりで演奏することと,大ぜいで演奏することの違いに気をつけて聞く。
 (6) 補聴器で聞く習慣を養う。

3 指導上の留意事項

 (1) 身体表現や器楽合奏などでは,必要に応じて近接学年と合併して行なうこともよい。

 (2) リズム楽器の指導については,身体表現と関連して行なうことが望ましい。

 (3) 歌詞の取り扱いについては,国語科などと関連して,その程度や内容を考慮することが望ましい。

 

〔第4学年〕

1 目標

 (1) リズム感覚を身につけ,いっそう進んだリズム表現ができるようにする。

 (2) リズム楽器および旋律楽器の奏法を身につけさせるとともに,旋律楽器を加えた合奏ができるようにする。

 (3) 楽譜についての,初歩的な理解をもたせ,読譜や記譜の基礎能力を養うとともに視唱力を身につけさせる。

 (4) 静かに注意深く聞く習慣を養うとともに,音楽的感覚を伸ばし,楽器の音や,いろいろな音楽にいっそう興味をもたせる。

2 内容

 A 身体表現

 (1) 身体動作を通して基礎リズムを表現する能力を養う。
ア 前学年のリズムのほかに,付点二分音符や全音符および付点四分音符のリズムを含めて手を打ったり,リズム唱したり,また,ステップしたりする。

イ 拍子に合わせて歩きながら,付点二分音符や全音符を手で打ったり,リズム楽器で打ったりする。また,それをステップしながら拍子を手で打ったり,リズム楽器で打ったりする。

ウ シンコペーションのリズム

を手で打ったり,リズム唱したり,また,ステップしたりする。
 (2) ことばをリズミカルに言えるようにする。
ア ことばのリズムに合わせてリズム楽器を打ったり,ステップしたりする。

イ ことばのリズムを書く。
 (3) 拍子感を身につけさせる。
ア 腕で拍子をとりながら,リズムフレーズをステップする。

イ 腕で歌の拍子をとりながら,歌のリズムをステップする。
 (4) フレーズ感を身につけさせる。
ア シンコペーションのリズムを含むリズムフレーズのステップをする。

イ 二組みに分かれて,次のようなそれぞれ違ったリズムを手で打ったり,リズム楽器で打ったり,また,ステップしたりする。

(例)

など。
 (5) 読譜や記譜の能力を養う。
ア いろいろな基礎リズムをステップした後書く。

イ 簡単なリズムフレーズを身体表現した後書く。

ウ シンコペーションのリズムを書く。
 (6) 即興的に身体表現する能力を養う。
ア 自由に基礎リズムを手で打ったり,リズム楽器で打ったり,また,リズム唱したりする。

イ リズムフレーズを作って書き,それを手で打ったり,リズム唱したり,また,ステップしたりする。

 B 器楽

 1 器楽演奏の興味を深める。
ア 音楽や太鼓などのリズムに合わせて,手を打ったり,リズム楽器を打ったりする。

イ 身体表現をしながら,リズム楽器を打つ。

ウ 旋律楽器で好きな旋律を演奏する。
 2 リズム楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア よい姿勢,正しい持ち方,美しい音色で打つ。

イ 前学年のリズム楽器のほかに,小太鼓の奏法に慣れる。
 3 旋律楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア 木琴や鉄琴などで好きな歌や旋律を演奏する。4 合奏の基礎能力を養う。
ア リズム楽器に木琴や鉄琴などを加えた合奏をする。

イ 二組みに分かれて,次のようなリズムを打つ。

(例)

など。

ウ フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。

エ 指揮者の指示に従って合奏する。

5 器楽の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

 C 歌唱

 (1) 楽しく歌う態度を養う。
ア みんなで歌ったり,ひとりで歌ったりする。

イ 歌問答などをする。

ウ 自由に身体表現をしながら歌う。

エ 歌詞の内容を理解して,気持ちをこめて歌う。
 (2) 歌唱技能を身につけさせる。
ア よい姿勢で歌う。

イ むりのない自然な声で歌う。

ウ はっきりした発音で歌う。

エ 曲にあった強さと速さで歌う。

オ 呼吸法に気をつけ,歌い出し,息つぎ,フレーズのくぎり方および歌い終わりに気をつけて歌う。

カ 正しいリズムで歌う。

キ 楽譜を見て歌ったり,書いたりする。

ク 習った歌を暗唱する。

 D 聴能訓練・鑑賞

 (1) 楽しく聞く態度を養う。
ア 自由に身体反応をしながら聞く。

イ 聞いた歌や音楽を口ずさむ。

ウ 朗るく,リズミカルな音楽のほかに,静かな音楽も聞く。
 (2) 静かに注意深く聞く習慣を養う。
ア 先生や友だちの歌や演奏を,注意深く静かに聞く。

イ 放送やレコードなどの音楽を,注意深く静かに聞く。
 (3) 聴覚,振動感覚およびその他の感覚などによって音楽的感覚を伸ばす。
ア 音楽を聞いてリズムの変化を感じとり,身体表現をする。

イ 身体反応を通して,リズムフレーズを感じとる。

ウ 速度・強弱など対照的な感じの音楽を比較して聞く。
 (4) 楽器やいろいろな音を聞き分ける能力を養う。
ア リズム楽器,木琴,鉄琴などのほか,ピアノやオルガンなどの音を聞く。

イ 生活のまわりの音を聞き分ける。
 (5) 音楽の種類および演奏形態について理解させる。
ア 声楽曲や器楽曲を聞く。

イ 独唱,せい唱および合奏などの演奏形態のあることを理解する。
 (6) 補聴器で聞く習慣を養う。

3 指導上の留意事項

 (1) 身体表現などでは,なるべく創造的な表現ができるようにする。

 (2) 楽器の取り扱いや手入れについても,常に指導して,注意深く扱う習慣をつける。

 (3) 歌詞をよく理解させて歌わせる。

 

〔第5学年〕

1 目標

 (1) 創造的な学習活動を通して,即興的にリズム表現をする能力を養う。

 (2) リズム楽器および旋律楽器の演奏技能を身につけ,楽しい合奏ができるようにする。

 (3) 読譜や記譜の能力を養い,輸唱などの歌唱技能を高めるとともに,創造的な表現ができるようにする。

 (4) 注意深く,しかも想像しながら聞く習慣を養うとともに,音楽的感覚をいっそう伸ばし,音楽の種類および演奏形態について理解させる。

2 内容

 A 身体表現

 (1) 身体動作を通して,基礎リズムを表現する能力を養う。
ア 既習の基礎リズムのほかに,十六分音符や三連符,および六拍子のリズム

を含めてステップする。

イ 前項のリズムをリズム唱したり,手で打ったりする。

ウ 拍子に合わせて歩きながら,十六分音符や三連符を手で打ったり,リズム楽器で打ったりする。また,それをステップしながら拍子を手で打ったり,リズム楽器で打ったりする。
 (2) ことばをリズミカルに言えるようにする。
ア 十六分音符や三連符に合ったことばを言う。

イ ことばのリズムに合わせて,身体動作をする。
 (3) 拍子感を身につけさせる。
ア 既習の拍子に加えて,六拍子の身体表現をする。

イ 六拍子の指揮をしたり,拍子打ちをしたりする。

ウ 六拍子の歌のリズムをリズム打ちする。
 (4) フレーズ感を身につけさせる。
ア 歌を歌いながらそのリズムを手で打ったりリズム楽器で打ったりまた,ステップしたりする。

イ 先生や友だちの打ったリズムフレーズに続いてすぐそのリズムフレーズを打つ。

ウ つぎのようなリズムカノンを,二組みに分かれて身体表現する。
 (例)

 など。

 (5) 読譜や記譜の能力を養う。
ア リズム譜を見て,そのリズムをリズム打ちしたり,リズム唱したりする。

イ リズムフレーズを作って書き,身体表現をする。

ウ 先生や友だちの打ったリズムを書く。
 (6) 即興的に身体表現をする能力を養う。
ア リズムフレーズを作って書き,それを手で打ったり,リズム唱したり,また,ステップしたりする。

イ 即興的にリズム問答をする。

ウ 複合リズムを作り,リズム楽器で打つ。

 B 器楽

 (1) 器楽演奏の興味を深める。
ア 音楽のリズムに合わせて手を打ったり,リズム楽器を打ったりする。

イ 身体表現をしながら,リズム楽器を打つ。

ウ 旋律楽器で好きな歌や旋律を演奏する。
 (2) リズム楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア よい姿勢,正しい持ち方,美しい音色で打つ。

イ 前学年のリズム楽器のほかに,シンバルなどの奏法に慣れる。
 (3) 旋律楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア けん盤楽器(吹奏用を含む)で好きな歌や旋律を演奏する。(4) 合奏の能力を伸ばす。
ア リズム楽器に旋律楽器を加えた合奏をする。

イ 二組みに分かれて,次のようなリズムを打つ。

(例)

など。

ウ フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。

エ 指揮者の指示に従って合奏をする。
 (5) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

 C 歌唱

 (1) 楽しく歌う態度を養う。
ア 指揮者の指示に反応して歌う。

イ 伴奏に合わせて歌う。

ウ 自由に身体表現をしながら歌う。

エ 歌詞の内容を理解して,気持ちをこめて歌う。
 (2) 歌唱技能を伸ばす。
ア よい姿勢で歌う。

イ むりのない自然な声で歌う。

ウ はっきりした発音で歌う。

エ 曲にあった速度や強弱に気をつけて歌う。

オ 呼吸法に気をつけ,歌い出し,息つぎ,フレーズのくぎり方,および歌い終わりを正しく歌う。

カ 正しいリズムで歌う。

キ 輪唱などをする。

ク 楽譜を見て,歌ったり,書いたりする。

 D 聴能訓練・鑑賞

 (1) 楽しく聞く態度を養う。
ア 自由に身体反応をしながら聞く。

イ 聞いた歌や音楽を口ずさむ。

ウ 明るく,リズミカルな音楽のほかに,静かな音楽も聞く。
 (2) 注意深く,しかも想像しながら聞く習慣を養う。
ア 先生や友だちの歌や演奏を,注意深く,しかも想像しながら聞く。

イ 放送やレコードなどの音楽を,注意深くしかも想像しながら聞く。
 (3) 聴覚,振動感覚,およびその他の感覚などによって音楽的感覚をいっそう伸ばす。
ア 音楽を聞いてリズムの変化を感じとり,身体表現をする。

イ 身体反応を通して,リズムフレーズを感じとる。

ウ 対照的な感じの音楽を比較して聞く。
 (4) 楽器の種類とその特徴を理解させる。
ア オーケストラの楽器や日本の楽器の形状を知り,その音を聞く。(5) 音楽の種類および演奏形態について理解させる。
ア 声楽曲や器楽曲を聞く。

イ 独唱,せい唱,独奏および合奏などの演奏形態のあることを理解する。
 (6) 補聴器の使用に習熱する。

3 指導上の留意事項

 (1) リズムフレーズを作ったり,即興的な表現をする場合は,人の模倣にならないよう,特に創造的な学習活動をさせることが望ましい。

 (2) 合奏教材は,児童の能力に応じて編曲したものであり,クラブ活動などのために作られた程度の高いものは避けることが望ましい。

〔第6学年〕

1 目標

 (1) 創造的な学習活動を通して,即興的にリズム表現をする能力を伸ばす。

 (2) リズム楽器および旋律楽器の演奏技能を高め,楽しい合奏ができるようにする。

 (3) 読譜や記譜の能力を伸ばし,輸唱などの歌唱技能をいっそう高めるとともに,より創造的な表現ができるようにする。

 (4) 注意深く,しかも想像しながら聞く習慣を養うとともに,音楽的感覚をいっそう伸ばし,音楽の種類および演奏形態について理解を深める。

2 内容

 A 身体表現

 (1) 身体動作を通して,基礎リズムを表現する能力を養う。
ア 既習の基礎リズムのほかに,いろいろなリズムの身体表現をする。

イ いろいろなリズムをリズム唱する。

ウ 拍子に合わせて歩きながら,六拍子の基礎リズムを手で打ったり,リズム楽器で打ったりする。また,それをステップしながら拍子打ちをする。
 (2) ことばをリズミカルに言えるようにする。
ア 既習のリズムのほかに,六拍子の基礎リズムに合ったことばを言う。

イ 六拍子に合わせて歩きながら,ことばを唱える。

ウ ことばのリズムに合わせて,身体動作をする。

エ 六拍子の歌の歌詞にリズムをつけて言う。
 (3) 拍子感を身につけさせる。
ア 腕で拍子をとりながら,基礎リズムをステップする。

イ 腕で拍子をとりながら,歌のリズムをステップする。

ウ 既習の歌を歌いながら,その拍子を手で打ったり,ステップしたりする。
 (4) フレーズ感を身につけさせる。
ア 歌のリズムフレーズを身体表現する。

イ 六拍子のリズムフレーズの強弱や速度変化の身体表現をする。

ウ 既習のリズムに付点四分音符と八分音符のリズム

や,スキップのリズム

などを複合して身体表現する。

エ 簡単な六拍子のリズムカノンを身体表現する。
 (5) 読譜や記譜の能力を養う。
ア 六拍子の基礎リズムを見て書く。

イ リズムフレーズを,リズム打ちや身体表現したのち,書く。
 (6) 即興的に身体表現をする能力を養う。
ア 即興的にリズム打ちをしたり,リズム唱をしたりする。

イ 即興的にリズムをステップしたり,リズム楽器で打ったりする。

ウ 簡単なリズムフレーズを作って書き,それをリズム唱やリズム打ちをしたり,また,ステップしたりする。

 B 器楽

 (1) 器楽演奏の興味を深める。
ア 音楽のリズムに合わせて手を打ったり,リズム楽器を打ったりする。

イ 身体表現をしながら,リズム楽器を打つ。

ウ 旋律楽器で好きな歌や旋律を演奏する。
 (2) リズム楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア よい姿勢,正しい持ち方,美しい音色で打つ。

イ いろいろなリズム楽器の奏法に慣れる。
 (3) 旋律楽器を演奏する基礎技能を身につけさせる。
ア けん盤楽器(吹奏用を含む)で好きな旋律を演奏する。(4) 合奏の能力を伸ばす。
ア リズム楽器に旋律楽器を加えた合奏をする。

イ 二組みに分かれて,次のようなリズムを打つ。

(例)

など。

ウ フレーズごとに楽器の紺み合わせをくふうして,合奏や分担奏をする。

エ 指揮者の指示に従って合奏をする。
 (5) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

 C 歌唱

 (1) 楽しく歌う態度を養う。
ア 指揮者の指示に反応して歌う。

イ 伴奏に合わせて歌う。

ウ 自由に身体表現をしながら歌う。

エ 歌詞の内容などを理解して気持ちをこめて歌う。
 (2) 歌唱技能を伸ばす。
ア よい姿勢で歌う。

イ むりのない自然な声で歌う。

ウ はっきりした発音で歌う。

エ 曲にあった速度や強弱に気をつけて歌う。

オ 呼吸法に気をつけ,歌い出し,息つぎ,フレーズのくぎり方,および歌い終わりを正しく歌う。

カ 輪唱などをする。

キ 楽譜を見て,歌ったり,書いたりする。

 D 聴能訓練・鑑賞

 (1) 楽しく聞く態度を養う。
ア 自由に身体反応をしながら聞く。

イ 聞いた歌や音楽を口ずさむ。

ウ 明るく,リズミカルな音楽のほかに,静かな音楽も聞く。
 (2) 注意深く,しかも想像しながら聞く習慣を養う。
ア 先生や友だちの歌や演奏を,注意深く,しかも想像しながら聞く。

イ 放送やレコードなどの音楽を,注意深くしかも想像しながら聞く。
 (3) 聴覚,振動感覚およびその他の感覚などによって,音楽的感覚をいっそう伸ばす。
ア 音楽を聞いてリズムの変化を感じとり,身体表現をする。

イ 身体反応を通して,リズムフレーズを感じとる。

ウ 対照的な感じの音楽を比較して聞く。
 (4) 楽器の種類とその特徴を理解させる。
ア オーケストラの楽器や日本の楽器の形状を知り,その音を聞く。(5) 音楽の種類および演奏形態について理解させる。
ア 声楽曲や器楽曲を聞く。

イ 独唱・合唱・独奏・吹奏楽・管弦楽などの演奏形態のあることを理解する。
 (6) 補聴器の使用にいっそう習熟する。

3 指導上の留意事項

 中学部における教育との関連を考慮し,小学部6か年間に求められるべき最低の能力や態度は,できるだけすべての児童が身につけるように考慮すべきである。

 

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 一般的留意事項

 (1) 各学年の目標達成にあたっては,聴覚の障害の状態,また,失聴などの時期,その他を考慮して,補聴器を適切に活用し,多くの感覚を通して,音楽的経験を豊かにするよう努めるとともに,表現や理解に対する能力や技能を,聴覚の障害の状態に応じて伸ばすようにしなければならない。

 (2) 国語科との関連を密接にし,発声や発音を正しくして,自然で明るい声を出したりするなど,言語指導に寄与するようにする。

 (3) 聴能訓練は,国語科における話す活動を中心とした「聴能訓練」と有機的な関連のもとに,聴覚の障害の状態,およびその他の個人差に応じ,聴覚,振動感覚およびその他の感覚等を利用して日常の身のまわりの音を理解し,また音を弁別する能力を養うようにする。

2 各領域について

 (1) 身体表現
ア この領域の学習にあたっては,リズム表現の楽しさをじゅうぶん味わわせるよう考慮すること。

イ 低学年においては,周囲の音などを模倣させることから始め,学年が進むにしたがって,それに応じた指導をし,児童の自主的な活動や創造的な表現を重視する。

ウ 身体表現においては,形などにとらわれずに,のびのびとした動作表現をさせる。

エ この領域の学習では,広々とした板張りの床をもつ教室で,しかも素足で行なうことが望ましい。

オ 指導にあたっては,他の領域および他の教科,特に体育科とのじゅうぶんな関連のもとに行なう。
 (2) 器楽
ア 各学年の内容で示したリズム楽器・旋律楽器については,なるべくそのすべてを経験させることが望ましい。しかし,やむを得ない場合には,少なくともリズム楽器・旋律楽器のおのおの一種だけは,個性に応じて演奏技能を身につけさせるようにする。

イ 合奏における楽器の編成にあたっては,均衡のとれた編成をする。

ウ 各学年に示してあるリズムの指導にあたっては,2回以上くり返して行なうようにする。

エ 吹奏用のけん盤楽器は,なるべく個人持ちにすることが望ましいが,むりな場合は,よく消毒したり,吹き口だけは交換するなど,適切な方法を考慮する。
 (3) 歌唱
ア 児童に親しみやすい歌唱教材は,なるべく暗唱できるよう指導しておくことが望ましい。「君が代」は,各学年を通じ児童の発達段階に即して指導するものとし,そのほかに校歌なども学年に応じて適切な指導をすることが望ましい。

イ 発声については,息の使い方や,自然な声の出し方をじゅうぶん指導するとともに,特にむりな声を出させないように注意することがたいせつである。

ウ 指導にあたっては,音高にあまりこだわらないようにする。また,聴覚の障害の状態に留意して補聴器を使用するなどして,むりな要求をしないように留意する。

エ 国語科における発音の指導と有機的な関連を保ち,自然な明るい声でことばをリズミカルに歌えるように留意する。

オ 歌唱教材の選曲にあたっては,平易で親しみやすく,特に歌詞の内容が,教育的で,しかも児童にふさわしいものを選ぶようにする。

カ 一般に歌詞は,口語体のものを原則とする。ただし,児童が容易に理解しうるもので,すでに久しく歌い親しまれてきたものは,文語体のものでも取り上げてさしつかえない。
 (4) 聴能訓練・鑑賞
ア 補聴器は,学校備え付けのものを使用するのを原則とするが,使用時間が延長され,常に使用するようになれば,個人持ちにすることが望ましい。

イ 聴能訓練については,児童の聴覚の障害の状態と学習の実情に応じて,諸感覚を活用するとともに,国語科における聴能訓練と一体的な関連を保ち,およそ次の事項に留意して,各学年にわたる系統的,計画的な指導が行なえるようにする。

 (ア) 音の存在を知ること。

 (イ) 補聴器の装用と使い方を知ること。

 (ウ) 大まかな音(生活の中の音,楽器,擬音など)などを弁別すること。

 (エ) ことばを聞き分けること。

 (オ) 発音発語指導に補聴器を有効に用いること。

 (カ) 音楽を聞いて楽しんだり,歌を歌ったりすること。

 (キ) 音の高低を聞き分けること。

ウ この領域では,特に児童の聴覚の障害の状態に応じた指導をするようにし,程度の高いものを強制するることは避けなければならない。

エ 鑑賞教材などに関連して,そのつど日本および外国の名高い作曲家や演奏家についての逸話などを知らせ,親しみをもたせるように指導することが望ましい。


 
第6節 図画工作

第1 目標

1 絵をかいたり,ものを作ったりする造形的な欲求や興味を満足させ,情緒の安定を図る。

2 造形活動を通して,造形感覚を発達させ,創造的表現の能力を伸ばす。

3 造形的な表現や鑑賞を通して,美的情操を養う。

4 造形的な表現を通して,技術を尊重する態度や,実践的な態度を養う。

5 造形活動を通して,造形能力を生活に生かす態度を養う。

 上に掲げた図画工作科の目標は,相互に密接な関連をもつものであるが,目標1は,図画工作科における指導の出発点となり,またその基底となるものである。したがって,各学年における具体的な学習が,主として目標2,3および4のいずれにかかる場合においても,図画工作科の特性上,常にその指導の根底には,目標1が考慮されなければならない。目標2,3および4は,それぞれ創造的表現力,美的情操および造形活動における実践的態度について,その目標を掲げたものであるが,各学年における具体的な学習においては,これらのねらいが有機的に結びつけられるとともに,目標5との関連が考慮されなければならない。

 次に示す各学年の目標は,下学年では,まず造形活動を活発に行なわせて,児童の欲求や興味を満足させることに重点を置いて指導し,上学年に進むにつれて造形的な経験を豊かにし,表現や鑑賞の技能・態度を伸ばすとともに,美と用との両面にわたる造形的な秩序を理解したり,感じとったりすることができるようになることをねらいとして示したものである。

 

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕

1 目標

 (1) 絵をかきたい,ものを作りたい,飾りたいという欲求を満足させ,表現に対する興味を起こさせる。

 (2) 何をどのようにかき,何をどのように作るかについて,ある程度心の中でくふうさせる。

 (3) のびのびとした創造的表現を通して,喜びと自信とをもたせる。

 (4) いろいろな表現材料や用具を扱うことを経験させる。

 (5) いろいろな美しいものを見ることの喜びを味わわせる。

2 内容

 (1) 絵をかく。
ア 児童が自由に選んでかくことを主とするが,必要に応じ題を与えてかかせる。

イ かく題材は,人物・動物・交通機関その他児童の生活環境から適宜選んでかかせる。

ウ かき方は,児童の自然発生的な方法を重んじ,描法についてのおしつけをすることなく,かくことの興味をそそり,思いのままにかくようにさせる。

エ この学習に伴って,美しいものを見る喜びを味わわせる。

オ 描画材料は,鉛筆・クレヨン・パス類・不透明水絵の具・指絵の具など必要に応じていろいろなものを使わせる。
 (2) 版画を作る。
ア 版画の種類は,いろいろの印その他のものを押して作る版画,木の葉やその他のものに絵の具やインクをつけ,それを版として作るもの,たく本的の版画など,簡易な方法の中から1〜2種の方法を選んで作らせる。

イ 題材その他については,(1)に準ずる。
 (3) 粘土を主材料として,いろいろなものを作る。
ア 作るものは,人物・動物などの彫塑的なもの,遊び道具・乗り物・器物などのような工芸的なものにつながるもの,その他幻想的あるいは抽象的なものの中から,任意に選んで作らせる。ただし,必要に応じ題を与えて作らせることもある。

イ 作り方は,遊戯的,自然発生的な方法による。
 (4) 模様を作る。
ア 作る模様は,印を押して作る模様,木や草の葉その他の実物の配列による模様,色紙を切ったり,ちぎったりしてはりつけて作る模様,絵の具・クレヨン・パス類などで自由にかく模様,その他これに類するものの中から適当なものを選んで作らせる。

イ 配色については,いろいろな色を使う経験をさせる。(配色のよしあしについての問題は積極的に触れなくてよい。)

ウ (1),(4)および次の(5)の学習と関連して,クレヨン・パス類・絵の具・色紙などの色の名を覚えさせる。
 (5) いろいろなものを作る。
ア 作るものは,色紙・中厚紙,その他身辺にある自然材料や人工材料を使って,器物・器具・遊び道具・交通機関その他いろいろなもの,抽象的なものの中から自由に作らせたり,題を与えて作らせたりする。作るものの形は,平面・半立体・立体とする。

イ 作り方は,児童の自然発生的な方法を主とする。作るものによっては,作り方の順序方法を知らせるものもあってよい。

ウ 紙の切り方,折り方,曲げ方,のりのつけ方などの方法を習得させる。

エ はさみの使い方に慣れさせる。

3 指導上の留意事項

 (1) 「2内容」に示す各事項の時間配当の割合は,おおむね次のとおりとする。

 (1),(2),(3)………45%

 (4)………………………10%

 (5)………………………45%

 (2) 内容に示す各事項はそれぞれ孤立することなく,互いに関連して学習させ,また,適宜分合して学習内容を組織して指導する。

 (3) 表現の学習においては,もっぱら表現意欲を盛んにすることに重点を置き,表現の喜びを味わい,好んで表現するようにさせる。

特に,表現方法の指導をあせりすぎて,表現意欲を減退させることのないように留意する。

 (4) 鑑賞の指導は,表現活動に付帯して行なうようにする。

 (5) 機会をとらえて共同製作をさせてもよいが,この学年の程度では,個個の児童のかいたり作ったりしたものを集めて,一つのまとまりとする程度である。

 (6) 内容(1)の絵をかく指導において,かく題材は実在的なものばかりでなく,幻想的なものにも及び,また,絵本やぬり絵の影響を受けたり,他人のまねをしないようにして,表現させるように留意する。

 (7) 内容(2)の版画指導においては,内容(4)の中に含ませて学習してもよい。なお,学校の実情によっては,他の内容の指導とかえることができる。

 (8) 内容(3)の指導において,「工芸的なもの」は,内容(5)の中に含ませて指導してもよい。

 (9) 内容(4)の模様の組み立てについては,この学年の程度では興味のおもむくままにやらせる程度でよい。

 (10) 内容(4)の指導におけるクレヨン・パス類・絵の具の色名は,JIS(日本工業規格)に定められた色名により,色紙の色は文部省教育用品規格の教育用色紙に定められた色名による。

 (11) 聾(ろう)児童は,音楽による情操を養うことや,言語による発表に困難が伴うので,情緒が不安定になりやすいから,絵をかいたり,ものを作ったりする造形的な欲求や,興味を満足させることによって,情緒の安定を図ることが必要である。

 (12) 聾(ろう)児童は,友だちとのまじわりや生活経験が限られやすいので,豊かな経験を与えるよう特に考慮することが必要である。

 

〔第2学年〕

1 目標

 (1) 絵をかきたい,ものを作りたい,飾りたいという欲求を満足させ,表現に対する興味を広げ,深める。

 (2) 何をどのようにかき,何をどのように作るかについて,ある程度心の中でくふうさせる。

 (3) のびのびとした創造的表現を通して,喜びと自信をもたせる。

 (4) 表現には,自由な表現と,用途をもっている役に立つ表現との両様があることに気づかせ,それを経験させる。

 (5) 表現材料や用具を扱う力を高める。

 (6) いろいろな美しいものを見ることの喜びを味わわせる。

2 内容

 (1) 絵をかく。
ア 児童が自由に題を選んでかくことを主とするが,必要に応じ題を与えてかかせる。

イ かく題材は,人物・動物・交通機関その他児童の生活環境から適宜選んでかかせる。

ウ かき方は,児童の自然発生的な方法を重んじ,各自の持ち味を生かし,それぞれ違ったいき方の絵をのびのびとかくようにし,それがおのずから創造的な表現になるようにさせる。

エ この学習に伴って,美しいものを見る喜びを味わわせる。

オ 描画材料は,鉛筆・クレヨン・パス類・不透明水絵の具など必要に応じていろいろなものを使わせ,しだいに材料の使い方に慣れさせる。
 (2) 版画を作る。
ア 版画の種類は,押して作る版画,実物版画,こすり絵,紙版画,石こう・粘土などのようなやわらかい版材による版画,その他これに類するものの中から1〜2種類選んで作らせる。

イ 題材その他については,(1)に準ずる。ただし,版画は一つの版から同じ絵がいくつか得られるところに特色があり,興味もあることを理解させ,その特色を利用することも考えさせる。
 (3) 粘土を主材料として,いろいろなものを作る。
ア 作るものは,人物・動物などの彫塑的なもの,遊び道具・乗り物・器物などのような工芸的なものにつながるもの,その他幻想的あるいは抽象的なものの中から,児童に任意に選ばせて作らせる。ただし必要に応じて題を与えて作らせてもよい。

イ 作り方は,遊戯的,自然発生的な方法を主とし,粘土の取り扱いに慣れさせる。
 模様を作る。

 (4) 模様を作る。
ア 作る模様は,押して作る模様,実物を並べて作る模様,色紙その他をはりつけて作る模様,絵の具・クレヨン・パス類などで自由にかく模様,その他これに類するものの中から任意のものを選んで作らせる。

イ 配色については,色を使う経験をますます豊富にし,おのずから配色のよしあしに関心をもつようにする。

ウ 色については,同じ名まえの色でも少しずつ違ったもののあることや,また,色には,だいだいや赤のように暖かい感じのするものと,青のように寒い感じのするものとがあることに注意を向けさせる。
 (5) いろいろなものを作る。
ア 作るものは,色紙・中厚紙,その他身辺にある自然材料や人工材料を使って,器物・器具・建築物・交通機関・遊具・おもちゃの類・人物・動植物・風景などのようなものや,平面・立体の初歩的な抽象構成の中から,好きなものを選ばせて作らせたり,題を与えて作らせたりする。

イ 作り方は,自然発生的な方法を主とする。しかし,作るものによっては多少見通しをつけ,作る方法を考えて作らせる。

ウ 紙の切り方・折り方・曲げ方・接合・組み立ての方法などを習得させる。

エ はさみ・ものさしなどの使い方に慣れさせる。

3 指導上の留意事項

 (1) 「2内容」に示す各事項の時間配当の割合は,おおむね次のとおりとする。

 (1),(2),(3)………40%

 (4)………………………20%

 (5)………………………40%

 (2) 内容に示す各事項は,それぞれ孤立することなく,互いに関連して学習させ,また適宜分合して学習内容を組織して指導する。

 (3) 表現の学習においては,もっぱら表現意欲を盛んにすることに重点を置き,指導方法の適切を図るよう留意する必要がある。

 (4) 鑑賞の指導は,表現活動に付帯して行なうようにする。

 (5) 機会をとらえて共同製作をさせる。この学年の程度では,初めから計画を立て,仕事を分担して一つのものを作り上げるという共同製作は困難であるから,個々の児童のかいたり作ったりしたものを集めて,一つのまとまりのあるものにする程度である。

 (6) 内容(1)の絵をかく指導においては,かく題材は具象的なものだけに限らず,幻想的なものにも及ぶ。

 (7) 内容(2)の版画の指導において,模様に属するものは,内容(4)の項の中に含ませて学習してもよい。なお,学校の実情によっては他の内容の指導とかえることができる。

 (8) 内容(3)の指導において,「工芸的なもの」は,内容(5)の中に含ませて指導してもよい。

 (9) 内容(4)の指導において,作る模様は,用途をもだない自由構成のものでもよいが,できた結果を何かに利用させることに心を向けさせるよう留意して指導する。

 (10) 第1学年3指導上の留意事項(11),(12)は,第2学年においても,第1学年と同様留意して指導する。

〔第3学年〕

1 目標

 (1) 絵をかいたり,ものを作ったり,飾ったりする活動において,少しずつ見通しをつけて表現するように導き,表現力を養う。

 (2) 何をどのようにかき,何をどのように作り,何をどのように飾るかについての構想力を養う。

 (3) 自己の創造的表現の特色に気づかせるようにし,表現に対する誇りと自信とをもたせる。

 (4) 表現の技術について関心をもたせ,形・色・材質などの処理がたいせつであることを注意する方向に導く。

 (5) 自由な表現力を養うとともに,用途上の目的をもつ表現をも経験させる。

 (6) 使用する表現材料や用具の範囲を広め,材料を取り扱う体験を豊富にさせる。

 (7) 造形品を見たり,使ったりして,そのもののよさを味わわせる。

2 内容

 (1) 絵をかく。
ア 児童が自由に題を選んでかくことを主とするが,必要に応じ題を与えてかかせる。

イ かく題材は,児童の生活領域の広まるにつれ,その範囲を広めるとともに,特色ある場面を選んでかくようにさせる。

ウ かき方は,児童の自然発生的な方法を主とするが,描写にいくぶんの計画性をもたせて,少しずつ先の見通しをつけてかいたり,また少しずつ意識的に個性的,創造的な表現のできるようにさせる。

エ この学習に伴って,美しいものを見る喜びを味わわせる。

オ 描画材料は,鉛筆・クレヨン・パス類・不透明水絵の具など必要に応じていろいろなものを使わせ,しだいに各材料が使えるようにする。
 (2) 版画を作る。
ア いろいろな版式の種類を,いくらかずつ増して作らせる。

イ 題材その他については,(1)に準ずる。ただし,版画には版画特有の味わいや特色のあることを理解させ,その特色をいろいろなことに生かして使うことも考えさせる。
 (3) 粘土を主材料として,いろいろなものを作る。
ア 作るものは,人物・動物などの彫塑的なもの,遊び道具・乗り物・器物などのような工芸的なものの中から,任意に選ばせて作らせる。ただし,必要に応じ,題を与えて作らせることもある。

イ 作り方は,自然発生的な方法をもととし,必要に応じて材料の扱い方,表現の方法を徐々に会得させる。
 (4) デザインをする。
ア いろいろな表現材料を用い,用途上の目的をもたない自由構成のものを主とし,必要に応じて工作で作るもののデザイン,環境にあるものの装飾,ポスターその他社会生活上必要なもののデザインなど,用途をもったもののデザインにも及ぶ。

イ 配色については,一つの色をおき,次にどんな色をおくと色がつりあうかについて多少考えて扱うようにし,また,配色の結果のよしあしについてもいくらかわかるようにする。

ウ 混色についての理解を深めさせる。

エ 有彩色は,似ている色を次々にとなりあわせに並べると,一つの輪になるということを,標準になる色紙を使って実験させる。

オ 色を集め,暖色・寒色・中性色に分けたり,色あい(色相)の似ているものに分けたりして,色の性質を理解させる。
 (5) いろいろなものを作る。
ア 作るものは,色紙・中厚紙・厚紙,その他身辺にある諸材料を使って,児童の生活にとって役に立つものや,作ることそれ自身に興味あるもの,もっぱら組み立てのおもしろさに重点を置くもの,基礎的な感覚の訓練に役だつものの中から自主的に選んで作らせたり,教師が題を与えて作らせたりする。

イ 作り方は,ものによって違うが,自然発生的な方法によって作らせる場合と,だいたいの見通しをつけ,あるいはそれを児童の程度に合った方法で図示し,作り方の順序方法を考えさせて作らせる場合とがある。

ウ 各種の紙の扱い方,その他身辺にある材料を扱う技術の初歩的な習得をさせる。

エ 三角定木・コンパス・切り出し小刀などの使い方を練習させる。

オ 必要に応じて,自分の考えを図で表わしてみる経験をさせる。この図は,図法的なものでなく,自然発生的なものによる。また,開いた図を自然発生的にかく経験をさせる。

3 指導上の留意事項

 (1) 「2内容」に示す各事項の時間配当の割合は,おおむね次のとおりとする。

 (1),(2),(3)………40%

 (4)………………………20%

 (5)………………………40%

 (2) 内容に示す各事項はそれぞれ孤立することなく,互いに関連して学習させ,また適宜分合して学習内容を組織して指導する。

 (3) 表現する意図をもっていても,それをどのようにかき,どのように作るかについてわからない場合には,表現方法についての適当な指導をする。

 (4) 鑑賞の指導は,表現活動に付帯して行なうようにする。

 (5) 機会をとらえて共同製作をさせる。共同製作は,ものにより個々の作品を集めて一つのまとまりあるものとする場合と,初めから計画を立て仕事を分担して構成する場合とがある。この学年では後者の場合には,ごく初歩的なものでよい。

 (6) 学習によって得た力をなるべく生活に適用させる機会を与える。たとえば,絵日記をかくとか,教室を飾ることなど。

 (7) 内容(1)の絵をかく指導において,自主的に題を選んでかけるようにするためには,環境を観察したり生活経験を豊富にしたりして,その中から題を見つけさせる。

 (8) 内容(2)の版画の指導においては,刀の安全で有効な使い方,刷り方などについても,少しずつ会得させる。

 (9) 内容(2)のデザインの指導においては,この学年では,デザインといっても,絵をかいたり,ものを作ったりするのと同じ気持ちで学習させる。ただし,構成のしかたには多少の関心をもたせ,いくらかずつ計画的な仕事をする方向に向ける。

 (10) 第2学年3指導上の留意事項(10)は,第3学年においても第2学年と同様留意して指導する。

 (11) 表現意欲が活発な時期であるので,見学やその他の生活経験を多くすることに努め,表現内容の拡充を図る。

〔第4学年〕

1 目標

 (1) 絵をかいたり,ものを作ったり,飾ったりする活動において,漸次計画酌に表現するように導き,表現力を養う。

 (2) 何をどのようにかき,何をどのように作り,何をどのように飾るかについて漸次構想力を養う。

 (3) 自己の創造的表現の特色に注意し,表現に対する誇りと自信とをもたせる。

 (4) 表現の技術について注意を向けさせ,形,色,材質,材料のもつはだあいや,それらの組み合わせによってできる美しさの構成について関心をもたせる。

 (5) 自由な表現力を発展させるとともに,用途上の目的をもつ表現についても漸次その力を伸ばす。

 (6) 使用する表現材料や用具の範囲や種類を増し,材料を取り扱う体験を豊富にさせる。

 (7) 造形品を見たり,使ったりして,そのもののよさを味わわせる。

2 内容

 (1) 心の中にあるものを絵で表現する。
ア 各自の心の中に宿った想念を,思い思いにかかせることを主とする。ただし,話し合いで題を決めたり,教師が題を与えてかかせることもある。

イ かく題材は,児童の生活領城に応じて,その範囲をしだいに広めるとともに,特色ある場面を選んでかかせるようにする。

ウ かき方は,児童各自のかき方を発展させ,しだいに計画的,意識的に創造的表現ができるようにさせる。

エ 表現の結果について反省し,作品のよしあしについていくらかの判断ができるようにする。

オ 各種の描画材料を使いこなす力を増し,かくものや表現の意図によって,みずから適当な描画材料を選んでかけるようにさせる。
 (2) 外界を観察しながら,それを絵で表現する。
ア 描写に必要な形のかき方,色の扱い方,児童自身の見方や表わし方などの学習をさせる。

イ 精密な描写,大づかみな描写,形を主とする描写など,いろいろな描写をも試みさせる。

ウ この学習に伴って,自然の美しさを味わわせる。
 (3) 版画を作る。
ア いろいろな版式の種類をいくらかずつ増して作らせる。

イ 題材その他については,(1),(2)に準ずる。なお,版画に特有の味わいや特色について理解させ,版画を有効に利用する道も考えさせる。

ウ 彫刻刀の安全で有効な使い方,彫刻刀その他用具の手入れや,刷りの技法などについて会得させる。
 (4) 彫塑を作る。
ア 使用する材料は,粘土のような造形材料を主とするが,彫りこんで造形する材料その他も用いる。

イ 作るものは,児童の頭にあるものの自由表現と,外界にあるものの写生的表現との二つの方法により,任意に題を選んで作らせたり,題を与えて作らせたりする。

ウ 作り方は,まる彫りを主とし,物によっては浮き彫りをする。製作の技法については必要に応じて徐々に会得させる。
 (5) デザインをする。
ア 用途をもたない自由構成を主とし,工作で作るもののデザイン,学校行事や社会的な行事に関連あるもので,児童に可能なもののデザイン,身辺にあるものの装飾,およびこれらに発展する性質をもつものなど,用途をもったもののデザインもさせる。

イ 感覚を通して,リズム,対称,つりあい,くり返し,変化と統一などの美しさを体得し,作品のよしあしがだんだんわかるようにさせる。

ウ デザインは,平面的なものばかりでなく,できるだけ立体的なものにも及ぶ。

エ 配色については,いくらか計画的にできるようにし,自主的に主調色を選ぶことができるようにさせる。

オ 色には,色あい(色相)の違いのほかに,明るさ(明度)の違いやあざやかさ(彩度)の違いがあることに注意させ,また,有彩色と無彩色のあることを確認させる。また,これらの色の性質や違いをうまく使うことが,配色上たいせつであることを理解させる。

カ 色に伴う感情,色相距離と配色との関係などについて初歩的な理解をさせる。
 (6) いろいろなものを作る。
ア 作るものは,粘土,各種の紙類,竹,木,その他身辺にある諸材料を使って,児童の生活に役に立つもの,感覚訓練,基礎的な構成練習などを目ざすもの,作ることそれ自身に興味あるものの中から,自主的に選んで作らせたり,教師が題を与えて作らせたりする。

イ デザイン学習と関連して,作るものの計画,設計,工作の順序・方法,塗装仕上げまでの一貫した作業過程を,いくつかのものについて経験させる。

ウ 各種の紙の扱い方,粘土による成形,竹・木の初歩的な扱い方,その他必要な初歩的な技術を習得させる。

エ 三角定木・コンパス・切り出し小刀・のこぎり・なた・きり,その他必要な用具の使い方および手入れの練習をさせる。

オ 簡単なものの開いた図がかけるようにし,また自分の考えを図で表わす経験をさせる。その図は見取り図的なもの,平面図的なもの,立面図的なものなどを主とし,図では表わしきれないところは,説明の文で表わすなど,児童の自然的な発達に応じた方法をとらせる。

3 指導上の留意事項

 (1) 「2内容」に示す各事項の時間配当の割合は,おおむね次のとおりとする。

 (1),(2),(3),(4)………40%

 (5)………………………………20%

 (6)………………………………40%

 (2) 内容に示す各事項はそれぞれ孤立することなく,互いに関連して学習させ,また適宜分合して学習内容を組織して指導する。

 (3) 表現する意図はもっていても,その表わし方がわからない児童には徐々に表現方法の指導をする。

 (4) 鑑賞の指導は,表現活動に付帯して行なうようにする。

 (5) 機会をとらえて共同製作をする。

 (6) 学習によって得た力をなるべく生活に適用させる機会を与える。たとえば,身辺にあるものを美しく整理したり,絵地図をかいたり,学校行事や社会の行事に関係あることなど。

 (7) 内容(1)の指導にあたり,児童にかく想念を心の中にたくわえるためには,観察や生活経験から得たものを描写のための想念としてとらえ,これを育てることに心を用いさせる。また,いろいろなものからヒントを得て,それを自分のものとして発展させるくふうをさせる。

 (8) 内容(2)の指導にあたっては,かき方に一つの型を授けることのないように留意し,また描写の方法を授けることを急ぎすぎて描写への熱意をそがないようにする。

 (9) 聾(ろう)児童は,日常生活の音を理解することが困難であるため,片寄った経験や視察をしていることが多いので,この面の指導には特にくふうを要する。

 (10) 徐々に,図画工作科に関する用語の正しい読み方や意義の理解,工具や材料の名称の正しい読み方や,使用法には,特に留意して指導する。

 

〔第5学年〕

1 目標

 (1) 絵をかいたり,ものを作ったり,飾ったりする活動において,計画的に表現する力を高める。

 (2) 何をどのようにかき,どんな感動を表わすか,何をどのように作り,何のためにするか,何をどのように飾り,何のためにするかについての構想力を高める。

 (3) 自己の創造的表現についての,いくらかの自覚をもたせ,表現に対する誇りと自信とをもたせる。

 (4) 表現の技術について注意し,形,色,材質,材料のもつはだあいやそれらの組み合わせによってできる美しさの構成について理解させる。

 (5) 自由な表現力を発展させるとともに,用途上の目的をもった表現力をも高め,両者の違いについて理解させる。

 (6) 表現材料に硬材料を加えて,材料や用具の範囲・種類を拡充し,材料を取り扱う体験を深める。

 (7) 自他の作品のよしあしを判断できるようにし,自然美を感得させ美術作品を鑑賞する能力を養うとともに,美術作品をたいせつにする態度を養う。

2 内容

 (1) 心の中にあるものを絵で表現する。
ア 各自の心の中に宿った想念を,思い思いにかかせることを主とする。ただし,話し合いで題を決めたり,教師が題を与えてかかせることもある。

イ 題材を選ぶのに表現の結果を予想して,特色ある場面を選んでかくようにさせる。

ウ かき方は,児童各自のかき方を発展させることを根底とし,必要に応じて,技法的なものを徐々に加える。また,心の中に宿った構想をスケッチやその他の方法を用い,いろいろに発展させ,まとまりのある表現をさせる。

エ 表現の結果について反省し,その美しさについて関心をもたせる。

オ 各種の描画材料を使いこなす力を増し,かくものや表現の意図によって,みずから適当な材料を選んで,かける力を増す。
 (2) 外界を観察しながら,それを絵で表現する。
ア 実物を見て絵をかく場合は,人により,感じ方,見方の違いのあることを経験を通して理解させ,それぞれの個性に応じた創造的表現をしなければならないことを会得させる。

イ 描写の方法については,児童にまずその必要感を起こさせ,その必要を満足させる程度において授け,各自の描写方法を形成させるようにする。

ウ 描写の目的,描写練習の必要に応じて,細密な描写,大づかみな描写,単純化した描写,あるいは素描,彩画,また実物のある特徴に重点を置いた描写などを適宜に組み合わせて学習させる。児童のそれぞれの個性を生かすとともに,片寄らない描写力をつけ,円満な発達をさせるようにする。

エ 描写にあたって,明るい・暗いの関係や,遠い・近いの関係を理解させる。

オ この学習に伴って,自然の美しさを味わわせる。
 (3) 版画を作る。
ア 木版画を主とし,必要に応じてその他の版画も試みさせる。

イ 題材その他については,(1),(2)に準ずる。なお,版画に特有の味わいのあることや特色について理解させ,版画を有効に利用することも考えさせる。

ウ 彫刻刀の安全で有効な使い方,用具の手入れなどを会得し,いろいろな版式や刷り方の技法について理解させる。

エ わが国の伝統的な版画や,近代版画の特色について,いくらかの理解をさせる。
 (4) 彫塑を作る。
ア 使用する材料は,粘土のような可塑性の材料を主とし,やわらかい石材,木材などのような彫り刻んで造形するものも用いさせる。

イ 作るものは,児童の頭の中にあるものの自由表現と,外界にあるものの写生的表現との二つの方法により,任意に題を選ばせて作らせたり,題を与えて作らせたりする。

ウ 作り方は,まる彫りを主とし,ものによっては浮き彫りを試みさせ,製作の技法については徐々に会得させる。
 (5) デザインをする。
ア 用途をもったもののデザインを主とし,生活領域の広まるにしたがって扱う範囲を広める。ただし,デザインの基礎学習としての感覚訓練や着想を育てるための用途をもたない自由構成のデザインも学習させる。

イ デザイン構成の方法,表現の方法などは,児童の必要と要求とに応じて少しずつ指導する。また,経験を通してデザインのもつ美的あるいは機能的秩序をだんだん理解させ,また,作品のよしあしの判断ができるようにさせる。

ウ 平面・立体の両様のデザインを経験させる。

エ 暖かい感じのする配色,寒い感じのする配色,日だつ配色,目だたない配色,にぎやかな配色,落ち着いた配色,それぞれの用い場所に応した配色が計画的にできるようにさせる。

オ 対称の美しさ,つりあいの美しさ,リズムの美しさ,大小・強弱その他の対照の美しさ,だんだん小さく,だんだん強くなどの変化の美しさなどについて理解させる。

カ 色は明るさの順に並べたり,あざやかさの順に並べることができることを理解させ,明るい色,暗い色,あさやかな色,くすんだ色の取り合わせが,色あいの取り合わせ同様,配色上重要であることを理解させる。

キ いろいろな色彩現象に注意を向ける。たとえば,周囲の色の関係で同じ色でも違って見える対比現象,とびだして見える色と,ひっこんで見える色のあることなど。

ク 色の機能的使用を,いくつかの例について理解させる。たとえば,注目性を利用した交通標識,色を利用した図書の分類など。
 (6) 役に立つものを作ったり,構成の練習をしたりする。
ア 作るものは,各種の紙・粘土・竹・木・針金・板金,その他身辺にある材料を使って,生活上の役に立つものを作ったり,構成上興味あるものを作らせる。役に立つものを作る場合は,美と用との関係について初歩的な理解をさせる。

イ 作るものをまず頭に浮かべて構想し,略図をかいてみたり,参考品を見たりして,構想を発展させ,だんだん精密な設計をして材料を集め,構成の順序・方法を検討して作製し,塗装仕上げの効果を考えて作る経験をする。その間におのずからいろいろな作り方を体得させる。

ウ 木材の切り方,削り方,接合方法などの初歩,板金・針金の切り方,曲げ方,接合方法などの初歩を会得させる。

 粘土での成形・焼成の初歩,その他必要な技術の習得をさせる。

エ 三角定木・コンパス,簡易な木工用具や金工用具,その他必要な用具の使い方,および手入れのしかたを練習させる。

オ 児童の自然発生的な図示法だけでは表わしきれないところができたとき,それを整理してだんだんに図法的な表現方法に近づけさせる。
 (7) 機構的な玩(がん)具・模型の類を作る。
ア 作るものは,ゴム・ばね,その他の動力を利用した玩具(がんぐ)や模型の類などの中から,適当なものを選んで作らせる。

イ 使用材料は,(6)に示したものに準ずる。
 (8) 作品を鑑賞する。
ア 鑑賞する作品は,児童の作品および児童にわかりやすい絵画・彫刻・建築・工芸品などとする。

イ 必要に応じて,年代・作者,その他関係事項を理解させる。

ウ 作品鑑賞の態度を養うようにする。

3 指導上の留意事項

 (1) 「2内容」に示す各事項の時間配当の割合は,おおむね次のとおりとする。

 (1),(2),(3),(4)……35%

 (5)……………………………20%

 (6),(7)……………………40%

 (8)……………………………5% 

 (2) 内容に示す各事項は,それぞれ孤立することなく,互いに関連して学習させ,また適宜分合して,学習内容を組織して指導する。

 (3) 機会をとらえて共同製作をする。

 (4) 学習によって得た力をなるべく生活に適用させる機会を与える。たとえば,学校園や校庭の整備,教室の整備や装飾をしたり,自分の持ち物,家庭用品や学校備品への簡単な修理など。

 (5) 内容(1)の指導において,想念を心の中にたくわえるためには,感覚を鋭くして,環境を注意深く見たり,また,あらゆるものから示唆を得て,それを自分のものとして発展させるためのくふうをさせる。

 (6) 内容(7)の指導において,小さな部分品は,既製品を用いてもよいが,セットになっている材料を用いてある一つの決まった工作法にならないようにさせる。また,この指導においては,重点を科学的,構造的な基盤の上に置くが,美的効果も忘れないようにさせる。

 (7) 内容(8)の指導においては,鑑賞させる作品は実物が最もよいが,それが得られない場合は,写真・複製品によらなければならない。それらの写真・複製品は,よく原作の趣を伝えるものでなければならない。

 (8) 図画工作科に関する用語の正しい読み方や,意義の理解,工具や材料の名称の正しい読み方や,使用法には,特に留意して指導する。

 (9) 上学年になるにつれ,指導内容が豊富になり,程度も高くなっている。したがって,理解が困難となり,指導時間も多くを要するので,内容を精選して指導することが望ましい。

〔第6学年〕

1 目標

 (1) 絵をかいたり,ものを作ったり,飾ったりする活動において,計画的に表現する力をいっそう高める。

 (2) 何をどのようにかき,どんな感動を表わすか,何をどのように作り,何のためにするか,何をどのように飾り,何のためにするかについての構想力をいっそう高める。

 (3) 自己の創造的表現についての自覚を伸ばし,表現に対する誇りと自信とをもたせる。

 (4) 表現の技術について注意し,形,色,材質,材料のもつはだあいやそれらの組み合わせによってできる美しさの構成について理解を深める。

 (5) 自由な表現力をいっそう高めるとともに,用途上の目的をもつ表現力をいっそう高め,自由な表現と違った価値のあることを理解させる。

 (6) 表現材料や用具の範囲・種類を拡充し,材料を取り扱う体験をいっそう深める。

 (7) 自他の作品のよしあしを判断できるようにし,自然美を感得させ,美術作品を鑑賞する能力を養うとともに,美術作品をたいせつにする態度を養う。

2 内容

 (1) 心の中にあるものを絵で表現する。
ア 各自の心の中に宿った想念を自由にかかせることを主とする。ただし,話し合いで題を決めたり,教師が題を与えてかかせることもある。

イ 題材を選ぶのに表現の結果を予想して,特色ある場面を選んでかくようにさせる。

ウ かき方は,各自のかき方をさらに発展させることを根底とし,必要に応じて技法的なものを加える。また,心の中に宿った構想をスケッチやその他の方法によりいろいろに発展させ,まとまりのある表現をさせる。

エ 表現の結果について反省し,作品のもっている美しさについて関心を深めさせる。

オ 各種の描画材料を使いこなす力をいっそう増し,かくものや表現の意図によって,みずから適当な材料を選んでかける力をいっそう増すようにさせる。
 (2) 外界を観察しながら,それを絵で表現する。
ア 実物を見てかく場合も,それぞれ自分の感じ方・見方のあることを理解し,それに応じた表現の方法をくふうし,個性的,創造的な表現をするようにさせる。

イ 描写方法については,児童の必要感に応じて授け,児童各自の描写方法を形成させる。

ウ 描写の目的,描写練習の必要に応じて,細密な描写,大づかみな描写,単純化した描写,あるいは素描,彩画,また,実物のある特徴に重点を置いた描写などを適宜に組み合わせて学習し,身についた描写力をつけさせる。

エ 描写にあたって,明るい・暗いの関係や,遠い・近いの関係を理解し,その表現ができるようにさせる。

オ この学習に伴って,自然の美しさを味わわせる。
 (3) 版画を作る。
ア 木版画を主とし,必要に応じて,その他の版画も試みさせる。

イ 題材その他については,(1),(2)に準ずるほか,版画に特有の味わいのあることや特色について理解させ,版画を有効に利用することも考えさせる。

ウ 彫刻刀の安全で有効な使い方,用具の手入れなどの技能を会得し,いろいろな版式や刷りの技法について理解させる。

エ わが国の伝統的な版画や,近代版画の特色について,いくらか理解させる。
 (4) 彫塑を作る。
ア 使用する材料は,粘土その他可塑性のある材料を主とし,やわらかい石材,木材などのような彫り刻んで造形しうるものも用いさせる。

イ 作るものは,心の中にあるものの自由表現と,外界にあるものの写生的表現との二つの方法により,任意に題を選ばせて作らせたり,題を与えて作らせたりする。

ウ 作るものにより,また児童の必要に応じて製作技法について会得させる。
 (5) デザインをする。
ア 用途をもったもののデザインを主とし,生活領城に応じて,しだいに扱う範囲も広める。ただし,デザインの基礎学習としての感覚訓練や,着想を育てるための用途をもたない自由構成のデザインも学習させる。

イ デザインの意味を作品を通して理解し,デザインと絵や工作との違いについていくらかわかるようにさせる。

ウ 平面・立体の両様のデザインを扱う。

エ 初めに配色の意図を決め,その意図に従った配色ができるようにし,配色のよしあしについて判断できる力を増す。

オ 対称の美しさ,つりあいの美しさ,リズムの美しさ,大小・強弱その他の対照の美しさ,だんだん小さく,だんだん強くなどの変化の美しさなどについて理解させる。

カ 色あい,色の明るさ,色のあざやかさの取り扱い方と配色の効果との関係についての理解を増す。

キ いろいろな色彩現象についての初歩的な理解をさせる。たとえば,色の対比現象,とびだして見える色,ひっこんで見える色,重く見える色,軽く見える色などの初歩的な理解をすることなど。

ク 色の機能的使用についての初歩的な理解をさせる。だとえば,各種の標識の色,室内色のいかんによって,気持ちや仕事の能率のうえに違いができることなど。
 (6) 役に立つものを作ったり,構成の練習をしたりする。
ア 作るものは,各種の紙・粘土・竹・木・針金・板金,その他身辺にある材料を使って,生活上の役に立つものを作ったり,構成上興味あるものを作らせる。役に立つものを作る場合は,美と用との関連について理解させる。

イ 作るものをまず頭に浮かべて構想し,図にかいてみたり,参考品各種資料を見たりして,構想を発展させ,だんだん精密な設計をして構成のできるような図をかき,材料や用具をととのえ,構成の順序・方法を検討して製作し,塗装仕上げの効果を考えて作る経験をさせる。その間にいろいろな作り方を体得させる。

ウ 木材の切り方,削り方,接合のしかたなどの初歩を会得させる。また,針金・板金の切り方,曲げ方,接合方法などの初歩を会得させる。粘土の成形・焼成の初歩的な技能,その他必要な技能の習得をさせる。

エ 三角定木・コンパス,簡易な木工用具や金工用具,その他必要な用具の使い方,手入れのしかたについて練習させる。

オ 意図的な図示法をだんだんに発展させる。また,前から見た図,上から見た図,横から見た図などについて理解を深めさせる。
 (7) 機総的な玩(がん)具・模型の類を作る。
ア 作るものは,滑車・ベルト機構・歯車機構,その他簡単な機構や,ゴム・ばね,その他の動力を利用した玩(がん)具・模型の類などの中から適当なものを選んで作らせる。

イ 使用材料は,(6)に示したものに準ずる。
 (8) 作品を鑑賞する。
ア 鑑賞する作品は,児童の作品および児童にわかりやすい絵画・彫刻・建築・工芸品などとする。また,その地方にある芸術作品にも注意する。

イ 必要に応じて,年代・作者,その他関係事項を理解させる。

ウ 作品鑑賞の態度を養うようにする。

3 指導上の留意事項

 (1) 「2内容」に示す各事項の時間配当の割合は,おおむね次のとおりとする。

 (1),(2),(3),(4)……35%

 (5)……………………………20%

 (6),(7)……………………40%

 (8)……………………………5%

 (2) 内容に示す各事項は,それぞれ孤立することなく,互いに関連して学習させ,また,適宜分合して学習内容を組織して指導する。

 (3) 機会をとらえて共同製作をする。

 (4) 学習によって得た力をなるべく生活に適用させる機会を与える。たとえば,学校内の備,学校や家庭の備品の簡単な修理,学芸会・展覧会などの会場の整備・装飾など。

 (5) 内容(1)の指導にあたっては,かく想念を心の中にたくわえるためには,感覚を鋭くして,環境を注意深く見たり,また,あらゆるものから示唆を得て,それを自分のものとして発展させるためのくふうをさせる。

 (6)  内容(7)の指導にあたっては,小さい部品は既製品を用いてもよいが,セットになっている材料を用いてある一つの決まった工作法にならないように留意する。技術の修練は一定の型を授けるのではなく,技術への適応性を養うことに主点がある。したがって,ここで授ける技術は発展性のあるものでなければならない。

 (7) 図画工作科に関する用語の正しい読み方や,意義の理解,工具や材料の名称の正しい読み方や,使用法には特に留意して指導する。

 (8) 上学年になるにつれ,指導内容が豊富になり,程度も高くなっている。したがって,理解が困難となり,指導時間も多くを要するので,内容を精選して指導することが望ましい。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 内容に示した事項は,学年が進むにつれてしだいに多くなっている。これは高学年にいたるほど指導の内容を分析的に細かく取り上げてあるためである。したがって,特に低学年の指導にあたっては,高学年において取り上げてある事項が未分化的に含まれているものと解して,その学習を進めるよう考慮する必要がある。

2 内容中,題材や材料などについて例をあげてあるが,それらは必ずしも全部学習させなければならないというものではない。材料・施設,その他学校の実情に応して取捨選択してよいし,また,図画工作科の指導目標にかなったものであるならば,その地方特有のものを課してもよい。しかし,その内容が一部に偏することのないように留意することがたいせつである。

3 各学年の内容には,自由に題を選ばせてかかせたり,作らせたりする自由選題の指導を主とするところがあるが,これらはただ好きなものをかけとか,好きなものを作れと言って放任するのではない。その指導にあたっては,指導の目標を確認し,一つの学習から次の学習への移行が発展的になされ,全体として学習が体系的なまとまりのある経験となるよう計画されなければならない。

4 指導の適切を図るために,作品・図版・スライドなどの資料を準備し,有効に利用するとともに,また危険を伴う用具・機械などの取り扱いに際しては,安全の保持にじゅうぶん留意する。

5 指導の実際にあたって,たとえば鑑賞の指導など,言語を用いての説明を必要とする場合には,児童の発達の程度に応じて資料の提示のしかたや言語の使用のしかたなどをくふうし,理解しやすいように導くことが必要である。

6 造形活動を通して,生活を美化しようとする積極的な態度を養うとともに,特に生活に役だつものを作ったり,構成上興味あるものを作ったりする基礎的な技能を習得するよう留意する。


第6節 図画工作

第1 目標

1 絵をかいたり,ものを作ったりする造形的な欲求や興味を満足させ,情緒の安定を図る。

2 造形活動を通して,造形感覚を発達させ,創造的表現の能力を伸ばす。

3 造形的な表現や鑑賞を通して,美的情操を養う。

4 造形的な表現を通して,技術を尊重する態度や,実践的な態度を養う。

5 造形活動を通して,造形能力を生活に生かす態度を養う。

 上に掲げた図画工作科の目標は,相互に密接な関連をもつものであるが,目標1は,図画工作科における指導の出発点となり,またその基底となるものである。したがって,各学年における具体的な学習が,主として目標2,3および4のいずれにかかる場合においても,図画工作科の特性上,常にその指導の根底には,目標1が考慮されなければならない。目標2,3および4は,それぞれ創造的表現力,美的情操および造形活動における実践的態度について,その目標を掲げたものであるが,各学年における具体的な学習においては,これらのねらいが有機的に結びつけられるとともに,目標5との関連が考慮されなければならない。

 次に示す各学年の目標は,下学年では,まず造形活動を活発に行なわせて,児童の欲求や興味を満足させることに重点を置いて指導し,上学年に進むにつれて造形的な経験を豊かにし,表現や鑑賞の技能・態度を伸ばすとともに,美と用との両面にわたる造形的な秩序を理解したり,感じとったりすることができるようになることをねらいとして示したものである。

 

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕

1 目標

 (1) 絵をかきたい,ものを作りたい,飾りたいという欲求を満足させ,表現に対する興味を起こさせる。

 (2) 何をどのようにかき,何をどのように作るかについて,ある程度心の中でくふうさせる。

 (3) のびのびとした創造的表現を通して,喜びと自信とをもたせる。

 (4) いろいろな表現材料や用具を扱うことを経験させる。

 (5) いろいろな美しいものを見ることの喜びを味わわせる。

2 内容

 (1) 絵をかく。
ア 児童が自由に選んでかくことを主とするが,必要に応じ題を与えてかかせる。

イ かく題材は,人物・動物・交通機関その他児童の生活環境から適宜選んでかかせる。

ウ かき方は,児童の自然発生的な方法を重んじ,描法についてのおしつけをすることなく,かくことの興味をそそり,思いのままにかくようにさせる。

エ この学習に伴って,美しいものを見る喜びを味わわせる。

オ 描画材料は,鉛筆・クレヨン・パス類・不透明水絵の具・指絵の具など必要に応じていろいろなものを使わせる。
 (2) 版画を作る。
ア 版画の種類は,いろいろの印その他のものを押して作る版画,木の葉やその他のものに絵の具やインクをつけ,それを版として作るもの,たく本的の版画など,簡易な方法の中から1〜2種の方法を選んで作らせる。

イ 題材その他については,(1)に準ずる。
 (3) 粘土を主材料として,いろいろなものを作る。
ア 作るものは,人物・動物などの彫塑的なもの,遊び道具・乗り物・器物などのような工芸的なものにつながるもの,その他幻想的あるいは抽象的なものの中から,任意に選んで作らせる。ただし,必要に応じ題を与えて作らせることもある。

イ 作り方は,遊戯的,自然発生的な方法による。
 (4) 模様を作る。
ア 作る模様は,印を押して作る模様,木や草の葉その他の実物の配列による模様,色紙を切ったり,ちぎったりしてはりつけて作る模様,絵の具・クレヨン・パス類などで自由にかく模様,その他これに類するものの中から適当なものを選んで作らせる。

イ 配色については,いろいろな色を使う経験をさせる。(配色のよしあしについての問題は積極的に触れなくてよい。)

ウ (1),(4)および次の(5)の学習と関連して,クレヨン・パス類・絵の具・色紙などの色の名を覚えさせる。
 (5) いろいろなものを作る。
ア 作るものは,色紙・中厚紙,その他身辺にある自然材料や人工材料を使って,器物・器具・遊び道具・交通機関その他いろいろなもの,抽象的なものの中から自由に作らせたり,題を与えて作らせたりする。作るものの形は,平面・半立体・立体とする。

イ 作り方は,児童の自然発生的な方法を主とする。作るものによっては,作り方の順序方法を知らせるものもあってよい。

ウ 紙の切り方,折り方,曲げ方,のりのつけ方などの方法を習得させる。

エ はさみの使い方に慣れさせる。

3 指導上の留意事項

 (1) 「2内容」に示す各事項の時間配当の割合は,おおむね次のとおりとする。

 (1),(2),(3)………45%

 (4)………………………10%

 (5)………………………45%

 (2) 内容に示す各事項はそれぞれ孤立することなく,互いに関連して学習させ,また,適宜分合して学習内容を組織して指導する。

 (3) 表現の学習においては,もっぱら表現意欲を盛んにすることに重点を置き,表現の喜びを味わい,好んで表現するようにさせる。

特に,表現方法の指導をあせりすぎて,表現意欲を減退させることのないように留意する。

 (4) 鑑賞の指導は,表現活動に付帯して行なうようにする。

 (5) 機会をとらえて共同製作をさせてもよいが,この学年の程度では,個個の児童のかいたり作ったりしたものを集めて,一つのまとまりとする程度である。

 (6) 内容(1)の絵をかく指導において,かく題材は実在的なものばかりでなく,幻想的なものにも及び,また,絵本やぬり絵の影響を受けたり,他人のまねをしないようにして,表現させるように留意する。

 (7) 内容(2)の版画指導においては,内容(4)の中に含ませて学習してもよい。なお,学校の実情によっては,他の内容の指導とかえることができる。

 (8) 内容(3)の指導において,「工芸的なもの」は,内容(5)の中に含ませて指導してもよい。

 (9) 内容(4)の模様の組み立てについては,この学年の程度では興味のおもむくままにやらせる程度でよい。

 (10) 内容(4)の指導におけるクレヨン・パス類・絵の具の色名は,JIS(日本工業規格)に定められた色名により,色紙の色は文部省教育用品規格の教育用色紙に定められた色名による。

 (11) 聾(ろう)児童は,音楽による情操を養うことや,言語による発表に困難が伴うので,情緒が不安定になりやすいから,絵をかいたり,ものを作ったりする造形的な欲求や,興味を満足させることによって,情緒の安定を図ることが必要である。

 (12) 聾(ろう)児童は,友だちとのまじわりや生活経験が限られやすいので,豊かな経験を与えるよう特に考慮することが必要である。

 

〔第2学年〕

1 目標

 (1) 絵をかきたい,ものを作りたい,飾りたいという欲求を満足させ,表現に対する興味を広げ,深める。

 (2) 何をどのようにかき,何をどのように作るかについて,ある程度心の中でくふうさせる。

 (3) のびのびとした創造的表現を通して,喜びと自信をもたせる。

 (4) 表現には,自由な表現と,用途をもっている役に立つ表現との両様があることに気づかせ,それを経験させる。

 (5) 表現材料や用具を扱う力を高める。

 (6) いろいろな美しいものを見ることの喜びを味わわせる。

2 内容

 (1) 絵をかく。
ア 児童が自由に題を選んでかくことを主とするが,必要に応じ題を与えてかかせる。

イ かく題材は,人物・動物・交通機関その他児童の生活環境から適宜選んでかかせる。

ウ かき方は,児童の自然発生的な方法を重んじ,各自の持ち味を生かし,それぞれ違ったいき方の絵をのびのびとかくようにし,それがおのずから創造的な表現になるようにさせる。

エ この学習に伴って,美しいものを見る喜びを味わわせる。

オ 描画材料は,鉛筆・クレヨン・パス類・不透明水絵の具など必要に応じていろいろなものを使わせ,しだいに材料の使い方に慣れさせる。
 (2) 版画を作る。
ア 版画の種類は,押して作る版画,実物版画,こすり絵,紙版画,石こう・粘土などのようなやわらかい版材による版画,その他これに類するものの中から1〜2種類選んで作らせる。

イ 題材その他については,(1)に準ずる。ただし,版画は一つの版から同じ絵がいくつか得られるところに特色があり,興味もあることを理解させ,その特色を利用することも考えさせる。
 (3) 粘土を主材料として,いろいろなものを作る。
ア 作るものは,人物・動物などの彫塑的なもの,遊び道具・乗り物・器物などのような工芸的なものにつながるもの,その他幻想的あるいは抽象的なものの中から,児童に任意に選ばせて作らせる。ただし必要に応じて題を与えて作らせてもよい。

イ 作り方は,遊戯的,自然発生的な方法を主とし,粘土の取り扱いに慣れさせる。
 模様を作る。

 (4) 模様を作る。
ア 作る模様は,押して作る模様,実物を並べて作る模様,色紙その他をはりつけて作る模様,絵の具・クレヨン・パス類などで自由にかく模様,その他これに類するものの中から任意のものを選んで作らせる。

イ 配色については,色を使う経験をますます豊富にし,おのずから配色のよしあしに関心をもつようにする。

ウ 色については,同じ名まえの色でも少しずつ違ったもののあることや,また,色には,だいだいや赤のように暖かい感じのするものと,青のように寒い感じのするものとがあることに注意を向けさせる。
 (5) いろいろなものを作る。
ア 作るものは,色紙・中厚紙,その他身辺にある自然材料や人工材料を使って,器物・器具・建築物・交通機関・遊具・おもちゃの類・人物・動植物・風景などのようなものや,平面・立体の初歩的な抽象構成の中から,好きなものを選ばせて作らせたり,題を与えて作らせたりする。

イ 作り方は,自然発生的な方法を主とする。しかし,作るものによっては多少見通しをつけ,作る方法を考えて作らせる。

ウ 紙の切り方・折り方・曲げ方・接合・組み立ての方法などを習得させる。

エ はさみ・ものさしなどの使い方に慣れさせる。

3 指導上の留意事項

 (1) 「2内容」に示す各事項の時間配当の割合は,おおむね次のとおりとする。

 (1),(2),(3)………40%

 (4)………………………20%

 (5)………………………40%

 (2) 内容に示す各事項は,それぞれ孤立することなく,互いに関連して学習させ,また適宜分合して学習内容を組織して指導する。

 (3) 表現の学習においては,もっぱら表現意欲を盛んにすることに重点を置き,指導方法の適切を図るよう留意する必要がある。

 (4) 鑑賞の指導は,表現活動に付帯して行なうようにする。

 (5) 機会をとらえて共同製作をさせる。この学年の程度では,初めから計画を立て,仕事を分担して一つのものを作り上げるという共同製作は困難であるから,個々の児童のかいたり作ったりしたものを集めて,一つのまとまりのあるものにする程度である。

 (6) 内容(1)の絵をかく指導においては,かく題材は具象的なものだけに限らず,幻想的なものにも及ぶ。

 (7) 内容(2)の版画の指導において,模様に属するものは,内容(4)の項の中に含ませて学習してもよい。なお,学校の実情によっては他の内容の指導とかえることができる。

 (8) 内容(3)の指導において,「工芸的なもの」は,内容(5)の中に含ませて指導してもよい。

 (9) 内容(4)の指導において,作る模様は,用途をもだない自由構成のものでもよいが,できた結果を何かに利用させることに心を向けさせるよう留意して指導する。

 (10) 第1学年3指導上の留意事項(11),(12)は,第2学年においても,第1学年と同様留意して指導する。

〔第3学年〕

1 目標

 (1) 絵をかいたり,ものを作ったり,飾ったりする活動において,少しずつ見通しをつけて表現するように導き,表現力を養う。

 (2) 何をどのようにかき,何をどのように作り,何をどのように飾るかについての構想力を養う。

 (3) 自己の創造的表現の特色に気づかせるようにし,表現に対する誇りと自信とをもたせる。

 (4) 表現の技術について関心をもたせ,形・色・材質などの処理がたいせつであることを注意する方向に導く。

 (5) 自由な表現力を養うとともに,用途上の目的をもつ表現をも経験させる。

 (6) 使用する表現材料や用具の範囲を広め,材料を取り扱う体験を豊富にさせる。

 (7) 造形品を見たり,使ったりして,そのもののよさを味わわせる。

2 内容

 (1) 絵をかく。
ア 児童が自由に題を選んでかくことを主とするが,必要に応じ題を与えてかかせる。

イ かく題材は,児童の生活領域の広まるにつれ,その範囲を広めるとともに,特色ある場面を選んでかくようにさせる。

ウ かき方は,児童の自然発生的な方法を主とするが,描写にいくぶんの計画性をもたせて,少しずつ先の見通しをつけてかいたり,また少しずつ意識的に個性的,創造的な表現のできるようにさせる。

エ この学習に伴って,美しいものを見る喜びを味わわせる。

オ 描画材料は,鉛筆・クレヨン・パス類・不透明水絵の具など必要に応じていろいろなものを使わせ,しだいに各材料が使えるようにする。
 (2) 版画を作る。
ア いろいろな版式の種類を,いくらかずつ増して作らせる。

イ 題材その他については,(1)に準ずる。ただし,版画には版画特有の味わいや特色のあることを理解させ,その特色をいろいろなことに生かして使うことも考えさせる。
 (3) 粘土を主材料として,いろいろなものを作る。
ア 作るものは,人物・動物などの彫塑的なもの,遊び道具・乗り物・器物などのような工芸的なものの中から,任意に選ばせて作らせる。ただし,必要に応じ,題を与えて作らせることもある。

イ 作り方は,自然発生的な方法をもととし,必要に応じて材料の扱い方,表現の方法を徐々に会得させる。
 (4) デザインをする。
ア いろいろな表現材料を用い,用途上の目的をもたない自由構成のものを主とし,必要に応じて工作で作るもののデザイン,環境にあるものの装飾,ポスターその他社会生活上必要なもののデザインなど,用途をもったもののデザインにも及ぶ。

イ 配色については,一つの色をおき,次にどんな色をおくと色がつりあうかについて多少考えて扱うようにし,また,配色の結果のよしあしについてもいくらかわかるようにする。

ウ 混色についての理解を深めさせる。

エ 有彩色は,似ている色を次々にとなりあわせに並べると,一つの輪になるということを,標準になる色紙を使って実験させる。

オ 色を集め,暖色・寒色・中性色に分けたり,色あい(色相)の似ているものに分けたりして,色の性質を理解させる。
 (5) いろいろなものを作る。
ア 作るものは,色紙・中厚紙・厚紙,その他身辺にある諸材料を使って,児童の生活にとって役に立つものや,作ることそれ自身に興味あるもの,もっぱら組み立てのおもしろさに重点を置くもの,基礎的な感覚の訓練に役だつものの中から自主的に選んで作らせたり,教師が題を与えて作らせたりする。

イ 作り方は,ものによって違うが,自然発生的な方法によって作らせる場合と,だいたいの見通しをつけ,あるいはそれを児童の程度に合った方法で図示し,作り方の順序方法を考えさせて作らせる場合とがある。

ウ 各種の紙の扱い方,その他身辺にある材料を扱う技術の初歩的な習得をさせる。

エ 三角定木・コンパス・切り出し小刀などの使い方を練習させる。

オ 必要に応じて,自分の考えを図で表わしてみる経験をさせる。この図は,図法的なものでなく,自然発生的なものによる。また,開いた図を自然発生的にかく経験をさせる。

3 指導上の留意事項

 (1) 「2内容」に示す各事項の時間配当の割合は,おおむね次のとおりとする。

 (1),(2),(3)………40%

 (4)………………………20%

 (5)………………………40%

 (2) 内容に示す各事項はそれぞれ孤立することなく,互いに関連して学習させ,また適宜分合して学習内容を組織して指導する。

 (3) 表現する意図をもっていても,それをどのようにかき,どのように作るかについてわからない場合には,表現方法についての適当な指導をする。

 (4) 鑑賞の指導は,表現活動に付帯して行なうようにする。

 (5) 機会をとらえて共同製作をさせる。共同製作は,ものにより個々の作品を集めて一つのまとまりあるものとする場合と,初めから計画を立て仕事を分担して構成する場合とがある。この学年では後者の場合には,ごく初歩的なものでよい。

 (6) 学習によって得た力をなるべく生活に適用させる機会を与える。たとえば,絵日記をかくとか,教室を飾ることなど。

 (7) 内容(1)の絵をかく指導において,自主的に題を選んでかけるようにするためには,環境を観察したり生活経験を豊富にしたりして,その中から題を見つけさせる。

 (8) 内容(2)の版画の指導においては,刀の安全で有効な使い方,刷り方などについても,少しずつ会得させる。

 (9) 内容(2)のデザインの指導においては,この学年では,デザインといっても,絵をかいたり,ものを作ったりするのと同じ気持ちで学習させる。ただし,構成のしかたには多少の関心をもたせ,いくらかずつ計画的な仕事をする方向に向ける。

 (10) 第2学年3指導上の留意事項(10)は,第3学年においても第2学年と同様留意して指導する。

 (11) 表現意欲が活発な時期であるので,見学やその他の生活経験を多くすることに努め,表現内容の拡充を図る。

〔第4学年〕

1 目標

 (1) 絵をかいたり,ものを作ったり,飾ったりする活動において,漸次計画酌に表現するように導き,表現力を養う。

 (2) 何をどのようにかき,何をどのように作り,何をどのように飾るかについて漸次構想力を養う。

 (3) 自己の創造的表現の特色に注意し,表現に対する誇りと自信とをもたせる。

 (4) 表現の技術について注意を向けさせ,形,色,材質,材料のもつはだあいや,それらの組み合わせによってできる美しさの構成について関心をもたせる。

 (5) 自由な表現力を発展させるとともに,用途上の目的をもつ表現についても漸次その力を伸ばす。

 (6) 使用する表現材料や用具の範囲や種類を増し,材料を取り扱う体験を豊富にさせる。

 (7) 造形品を見たり,使ったりして,そのもののよさを味わわせる。

2 内容

 (1) 心の中にあるものを絵で表現する。
ア 各自の心の中に宿った想念を,思い思いにかかせることを主とする。ただし,話し合いで題を決めたり,教師が題を与えてかかせることもある。

イ かく題材は,児童の生活領城に応じて,その範囲をしだいに広めるとともに,特色ある場面を選んでかかせるようにする。

ウ かき方は,児童各自のかき方を発展させ,しだいに計画的,意識的に創造的表現ができるようにさせる。

エ 表現の結果について反省し,作品のよしあしについていくらかの判断ができるようにする。

オ 各種の描画材料を使いこなす力を増し,かくものや表現の意図によって,みずから適当な描画材料を選んでかけるようにさせる。
 (2) 外界を観察しながら,それを絵で表現する。
ア 描写に必要な形のかき方,色の扱い方,児童自身の見方や表わし方などの学習をさせる。

イ 精密な描写,大づかみな描写,形を主とする描写など,いろいろな描写をも試みさせる。

ウ この学習に伴って,自然の美しさを味わわせる。
 (3) 版画を作る。
ア いろいろな版式の種類をいくらかずつ増して作らせる。

イ 題材その他については,(1),(2)に準ずる。なお,版画に特有の味わいや特色について理解させ,版画を有効に利用する道も考えさせる。

ウ 彫刻刀の安全で有効な使い方,彫刻刀その他用具の手入れや,刷りの技法などについて会得させる。
 (4) 彫塑を作る。
ア 使用する材料は,粘土のような造形材料を主とするが,彫りこんで造形する材料その他も用いる。

イ 作るものは,児童の頭にあるものの自由表現と,外界にあるものの写生的表現との二つの方法により,任意に題を選んで作らせたり,題を与えて作らせたりする。

ウ 作り方は,まる彫りを主とし,物によっては浮き彫りをする。製作の技法については必要に応じて徐々に会得させる。
 (5) デザインをする。
ア 用途をもたない自由構成を主とし,工作で作るもののデザイン,学校行事や社会的な行事に関連あるもので,児童に可能なもののデザイン,身辺にあるものの装飾,およびこれらに発展する性質をもつものなど,用途をもったもののデザインもさせる。

イ 感覚を通して,リズム,対称,つりあい,くり返し,変化と統一などの美しさを体得し,作品のよしあしがだんだんわかるようにさせる。

ウ デザインは,平面的なものばかりでなく,できるだけ立体的なものにも及ぶ。

エ 配色については,いくらか計画的にできるようにし,自主的に主調色を選ぶことができるようにさせる。

オ 色には,色あい(色相)の違いのほかに,明るさ(明度)の違いやあざやかさ(彩度)の違いがあることに注意させ,また,有彩色と無彩色のあることを確認させる。また,これらの色の性質や違いをうまく使うことが,配色上たいせつであることを理解させる。

カ 色に伴う感情,色相距離と配色との関係などについて初歩的な理解をさせる。
 (6) いろいろなものを作る。
ア 作るものは,粘土,各種の紙類,竹,木,その他身辺にある諸材料を使って,児童の生活に役に立つもの,感覚訓練,基礎的な構成練習などを目ざすもの,作ることそれ自身に興味あるものの中から,自主的に選んで作らせたり,教師が題を与えて作らせたりする。

イ デザイン学習と関連して,作るものの計画,設計,工作の順序・方法,塗装仕上げまでの一貫した作業過程を,いくつかのものについて経験させる。

ウ 各種の紙の扱い方,粘土による成形,竹・木の初歩的な扱い方,その他必要な初歩的な技術を習得させる。

エ 三角定木・コンパス・切り出し小刀・のこぎり・なた・きり,その他必要な用具の使い方および手入れの練習をさせる。

オ 簡単なものの開いた図がかけるようにし,また自分の考えを図で表わす経験をさせる。その図は見取り図的なもの,平面図的なもの,立面図的なものなどを主とし,図では表わしきれないところは,説明の文で表わすなど,児童の自然的な発達に応じた方法をとらせる。

3 指導上の留意事項

 (1) 「2内容」に示す各事項の時間配当の割合は,おおむね次のとおりとする。

 (1),(2),(3),(4)………40%

 (5)………………………………20%

 (6)………………………………40%

 (2) 内容に示す各事項はそれぞれ孤立することなく,互いに関連して学習させ,また適宜分合して学習内容を組織して指導する。

 (3) 表現する意図はもっていても,その表わし方がわからない児童には徐々に表現方法の指導をする。

 (4) 鑑賞の指導は,表現活動に付帯して行なうようにする。

 (5) 機会をとらえて共同製作をする。

 (6) 学習によって得た力をなるべく生活に適用させる機会を与える。たとえば,身辺にあるものを美しく整理したり,絵地図をかいたり,学校行事や社会の行事に関係あることなど。

 (7) 内容(1)の指導にあたり,児童にかく想念を心の中にたくわえるためには,観察や生活経験から得たものを描写のための想念としてとらえ,これを育てることに心を用いさせる。また,いろいろなものからヒントを得て,それを自分のものとして発展させるくふうをさせる。

 (8) 内容(2)の指導にあたっては,かき方に一つの型を授けることのないように留意し,また描写の方法を授けることを急ぎすぎて描写への熱意をそがないようにする。

 (9) 聾(ろう)児童は,日常生活の音を理解することが困難であるため,片寄った経験や視察をしていることが多いので,この面の指導には特にくふうを要する。

 (10) 徐々に,図画工作科に関する用語の正しい読み方や意義の理解,工具や材料の名称の正しい読み方や,使用法には,特に留意して指導する。

 

〔第5学年〕

1 目標

 (1) 絵をかいたり,ものを作ったり,飾ったりする活動において,計画的に表現する力を高める。

 (2) 何をどのようにかき,どんな感動を表わすか,何をどのように作り,何のためにするか,何をどのように飾り,何のためにするかについての構想力を高める。

 (3) 自己の創造的表現についての,いくらかの自覚をもたせ,表現に対する誇りと自信とをもたせる。

 (4) 表現の技術について注意し,形,色,材質,材料のもつはだあいやそれらの組み合わせによってできる美しさの構成について理解させる。

 (5) 自由な表現力を発展させるとともに,用途上の目的をもった表現力をも高め,両者の違いについて理解させる。

 (6) 表現材料に硬材料を加えて,材料や用具の範囲・種類を拡充し,材料を取り扱う体験を深める。

 (7) 自他の作品のよしあしを判断できるようにし,自然美を感得させ美術作品を鑑賞する能力を養うとともに,美術作品をたいせつにする態度を養う。

2 内容

 (1) 心の中にあるものを絵で表現する。
ア 各自の心の中に宿った想念を,思い思いにかかせることを主とする。ただし,話し合いで題を決めたり,教師が題を与えてかかせることもある。

イ 題材を選ぶのに表現の結果を予想して,特色ある場面を選んでかくようにさせる。

ウ かき方は,児童各自のかき方を発展させることを根底とし,必要に応じて,技法的なものを徐々に加える。また,心の中に宿った構想をスケッチやその他の方法を用い,いろいろに発展させ,まとまりのある表現をさせる。

エ 表現の結果について反省し,その美しさについて関心をもたせる。

オ 各種の描画材料を使いこなす力を増し,かくものや表現の意図によって,みずから適当な材料を選んで,かける力を増す。
 (2) 外界を観察しながら,それを絵で表現する。
ア 実物を見て絵をかく場合は,人により,感じ方,見方の違いのあることを経験を通して理解させ,それぞれの個性に応じた創造的表現をしなければならないことを会得させる。

イ 描写の方法については,児童にまずその必要感を起こさせ,その必要を満足させる程度において授け,各自の描写方法を形成させるようにする。

ウ 描写の目的,描写練習の必要に応じて,細密な描写,大づかみな描写,単純化した描写,あるいは素描,彩画,また実物のある特徴に重点を置いた描写などを適宜に組み合わせて学習させる。児童のそれぞれの個性を生かすとともに,片寄らない描写力をつけ,円満な発達をさせるようにする。

エ 描写にあたって,明るい・暗いの関係や,遠い・近いの関係を理解させる。

オ この学習に伴って,自然の美しさを味わわせる。
 (3) 版画を作る。
ア 木版画を主とし,必要に応じてその他の版画も試みさせる。

イ 題材その他については,(1),(2)に準ずる。なお,版画に特有の味わいのあることや特色について理解させ,版画を有効に利用することも考えさせる。

ウ 彫刻刀の安全で有効な使い方,用具の手入れなどを会得し,いろいろな版式や刷り方の技法について理解させる。

エ わが国の伝統的な版画や,近代版画の特色について,いくらかの理解をさせる。
 (4) 彫塑を作る。
ア 使用する材料は,粘土のような可塑性の材料を主とし,やわらかい石材,木材などのような彫り刻んで造形するものも用いさせる。

イ 作るものは,児童の頭の中にあるものの自由表現と,外界にあるものの写生的表現との二つの方法により,任意に題を選ばせて作らせたり,題を与えて作らせたりする。

ウ 作り方は,まる彫りを主とし,ものによっては浮き彫りを試みさせ,製作の技法については徐々に会得させる。
 (5) デザインをする。
ア 用途をもったもののデザインを主とし,生活領域の広まるにしたがって扱う範囲を広める。ただし,デザインの基礎学習としての感覚訓練や着想を育てるための用途をもたない自由構成のデザインも学習させる。

イ デザイン構成の方法,表現の方法などは,児童の必要と要求とに応じて少しずつ指導する。また,経験を通してデザインのもつ美的あるいは機能的秩序をだんだん理解させ,また,作品のよしあしの判断ができるようにさせる。

ウ 平面・立体の両様のデザインを経験させる。

エ 暖かい感じのする配色,寒い感じのする配色,日だつ配色,目だたない配色,にぎやかな配色,落ち着いた配色,それぞれの用い場所に応した配色が計画的にできるようにさせる。

オ 対称の美しさ,つりあいの美しさ,リズムの美しさ,大小・強弱その他の対照の美しさ,だんだん小さく,だんだん強くなどの変化の美しさなどについて理解させる。

カ 色は明るさの順に並べたり,あざやかさの順に並べることができることを理解させ,明るい色,暗い色,あさやかな色,くすんだ色の取り合わせが,色あいの取り合わせ同様,配色上重要であることを理解させる。

キ いろいろな色彩現象に注意を向ける。たとえば,周囲の色の関係で同じ色でも違って見える対比現象,とびだして見える色と,ひっこんで見える色のあることなど。

ク 色の機能的使用を,いくつかの例について理解させる。たとえば,注目性を利用した交通標識,色を利用した図書の分類など。
 (6) 役に立つものを作ったり,構成の練習をしたりする。
ア 作るものは,各種の紙・粘土・竹・木・針金・板金,その他身辺にある材料を使って,生活上の役に立つものを作ったり,構成上興味あるものを作らせる。役に立つものを作る場合は,美と用との関係について初歩的な理解をさせる。

イ 作るものをまず頭に浮かべて構想し,略図をかいてみたり,参考品を見たりして,構想を発展させ,だんだん精密な設計をして材料を集め,構成の順序・方法を検討して作製し,塗装仕上げの効果を考えて作る経験をする。その間におのずからいろいろな作り方を体得させる。

ウ 木材の切り方,削り方,接合方法などの初歩,板金・針金の切り方,曲げ方,接合方法などの初歩を会得させる。

 粘土での成形・焼成の初歩,その他必要な技術の習得をさせる。

エ 三角定木・コンパス,簡易な木工用具や金工用具,その他必要な用具の使い方,および手入れのしかたを練習させる。

オ 児童の自然発生的な図示法だけでは表わしきれないところができたとき,それを整理してだんだんに図法的な表現方法に近づけさせる。
 (7) 機構的な玩(がん)具・模型の類を作る。
ア 作るものは,ゴム・ばね,その他の動力を利用した玩具(がんぐ)や模型の類などの中から,適当なものを選んで作らせる。

イ 使用材料は,(6)に示したものに準ずる。
 (8) 作品を鑑賞する。
ア 鑑賞する作品は,児童の作品および児童にわかりやすい絵画・彫刻・建築・工芸品などとする。

イ 必要に応じて,年代・作者,その他関係事項を理解させる。

ウ 作品鑑賞の態度を養うようにする。

3 指導上の留意事項

 (1) 「2内容」に示す各事項の時間配当の割合は,おおむね次のとおりとする。

 (1),(2),(3),(4)……35%

 (5)……………………………20%

 (6),(7)……………………40%

 (8)……………………………5% 

 (2) 内容に示す各事項は,それぞれ孤立することなく,互いに関連して学習させ,また適宜分合して,学習内容を組織して指導する。

 (3) 機会をとらえて共同製作をする。

 (4) 学習によって得た力をなるべく生活に適用させる機会を与える。たとえば,学校園や校庭の整備,教室の整備や装飾をしたり,自分の持ち物,家庭用品や学校備品への簡単な修理など。

 (5) 内容(1)の指導において,想念を心の中にたくわえるためには,感覚を鋭くして,環境を注意深く見たり,また,あらゆるものから示唆を得て,それを自分のものとして発展させるためのくふうをさせる。

 (6) 内容(7)の指導において,小さな部分品は,既製品を用いてもよいが,セットになっている材料を用いてある一つの決まった工作法にならないようにさせる。また,この指導においては,重点を科学的,構造的な基盤の上に置くが,美的効果も忘れないようにさせる。

 (7) 内容(8)の指導においては,鑑賞させる作品は実物が最もよいが,それが得られない場合は,写真・複製品によらなければならない。それらの写真・複製品は,よく原作の趣を伝えるものでなければならない。

 (8) 図画工作科に関する用語の正しい読み方や,意義の理解,工具や材料の名称の正しい読み方や,使用法には,特に留意して指導する。

 (9) 上学年になるにつれ,指導内容が豊富になり,程度も高くなっている。したがって,理解が困難となり,指導時間も多くを要するので,内容を精選して指導することが望ましい。

〔第6学年〕

1 目標

 (1) 絵をかいたり,ものを作ったり,飾ったりする活動において,計画的に表現する力をいっそう高める。

 (2) 何をどのようにかき,どんな感動を表わすか,何をどのように作り,何のためにするか,何をどのように飾り,何のためにするかについての構想力をいっそう高める。

 (3) 自己の創造的表現についての自覚を伸ばし,表現に対する誇りと自信とをもたせる。

 (4) 表現の技術について注意し,形,色,材質,材料のもつはだあいやそれらの組み合わせによってできる美しさの構成について理解を深める。

 (5) 自由な表現力をいっそう高めるとともに,用途上の目的をもつ表現力をいっそう高め,自由な表現と違った価値のあることを理解させる。

 (6) 表現材料や用具の範囲・種類を拡充し,材料を取り扱う体験をいっそう深める。

 (7) 自他の作品のよしあしを判断できるようにし,自然美を感得させ,美術作品を鑑賞する能力を養うとともに,美術作品をたいせつにする態度を養う。

2 内容

 (1) 心の中にあるものを絵で表現する。
ア 各自の心の中に宿った想念を自由にかかせることを主とする。ただし,話し合いで題を決めたり,教師が題を与えてかかせることもある。

イ 題材を選ぶのに表現の結果を予想して,特色ある場面を選んでかくようにさせる。

ウ かき方は,各自のかき方をさらに発展させることを根底とし,必要に応じて技法的なものを加える。また,心の中に宿った構想をスケッチやその他の方法によりいろいろに発展させ,まとまりのある表現をさせる。

エ 表現の結果について反省し,作品のもっている美しさについて関心を深めさせる。

オ 各種の描画材料を使いこなす力をいっそう増し,かくものや表現の意図によって,みずから適当な材料を選んでかける力をいっそう増すようにさせる。
 (2) 外界を観察しながら,それを絵で表現する。
ア 実物を見てかく場合も,それぞれ自分の感じ方・見方のあることを理解し,それに応じた表現の方法をくふうし,個性的,創造的な表現をするようにさせる。

イ 描写方法については,児童の必要感に応じて授け,児童各自の描写方法を形成させる。

ウ 描写の目的,描写練習の必要に応じて,細密な描写,大づかみな描写,単純化した描写,あるいは素描,彩画,また,実物のある特徴に重点を置いた描写などを適宜に組み合わせて学習し,身についた描写力をつけさせる。

エ 描写にあたって,明るい・暗いの関係や,遠い・近いの関係を理解し,その表現ができるようにさせる。

オ この学習に伴って,自然の美しさを味わわせる。
 (3) 版画を作る。
ア 木版画を主とし,必要に応じて,その他の版画も試みさせる。

イ 題材その他については,(1),(2)に準ずるほか,版画に特有の味わいのあることや特色について理解させ,版画を有効に利用することも考えさせる。

ウ 彫刻刀の安全で有効な使い方,用具の手入れなどの技能を会得し,いろいろな版式や刷りの技法について理解させる。

エ わが国の伝統的な版画や,近代版画の特色について,いくらか理解させる。
 (4) 彫塑を作る。
ア 使用する材料は,粘土その他可塑性のある材料を主とし,やわらかい石材,木材などのような彫り刻んで造形しうるものも用いさせる。

イ 作るものは,心の中にあるものの自由表現と,外界にあるものの写生的表現との二つの方法により,任意に題を選ばせて作らせたり,題を与えて作らせたりする。

ウ 作るものにより,また児童の必要に応じて製作技法について会得させる。
 (5) デザインをする。
ア 用途をもったもののデザインを主とし,生活領城に応じて,しだいに扱う範囲も広める。ただし,デザインの基礎学習としての感覚訓練や,着想を育てるための用途をもたない自由構成のデザインも学習させる。

イ デザインの意味を作品を通して理解し,デザインと絵や工作との違いについていくらかわかるようにさせる。

ウ 平面・立体の両様のデザインを扱う。

エ 初めに配色の意図を決め,その意図に従った配色ができるようにし,配色のよしあしについて判断できる力を増す。

オ 対称の美しさ,つりあいの美しさ,リズムの美しさ,大小・強弱その他の対照の美しさ,だんだん小さく,だんだん強くなどの変化の美しさなどについて理解させる。

カ 色あい,色の明るさ,色のあざやかさの取り扱い方と配色の効果との関係についての理解を増す。

キ いろいろな色彩現象についての初歩的な理解をさせる。たとえば,色の対比現象,とびだして見える色,ひっこんで見える色,重く見える色,軽く見える色などの初歩的な理解をすることなど。

ク 色の機能的使用についての初歩的な理解をさせる。だとえば,各種の標識の色,室内色のいかんによって,気持ちや仕事の能率のうえに違いができることなど。
 (6) 役に立つものを作ったり,構成の練習をしたりする。
ア 作るものは,各種の紙・粘土・竹・木・針金・板金,その他身辺にある材料を使って,生活上の役に立つものを作ったり,構成上興味あるものを作らせる。役に立つものを作る場合は,美と用との関連について理解させる。

イ 作るものをまず頭に浮かべて構想し,図にかいてみたり,参考品各種資料を見たりして,構想を発展させ,だんだん精密な設計をして構成のできるような図をかき,材料や用具をととのえ,構成の順序・方法を検討して製作し,塗装仕上げの効果を考えて作る経験をさせる。その間にいろいろな作り方を体得させる。

ウ 木材の切り方,削り方,接合のしかたなどの初歩を会得させる。また,針金・板金の切り方,曲げ方,接合方法などの初歩を会得させる。粘土の成形・焼成の初歩的な技能,その他必要な技能の習得をさせる。

エ 三角定木・コンパス,簡易な木工用具や金工用具,その他必要な用具の使い方,手入れのしかたについて練習させる。

オ 意図的な図示法をだんだんに発展させる。また,前から見た図,上から見た図,横から見た図などについて理解を深めさせる。
 (7) 機総的な玩(がん)具・模型の類を作る。
ア 作るものは,滑車・ベルト機構・歯車機構,その他簡単な機構や,ゴム・ばね,その他の動力を利用した玩(がん)具・模型の類などの中から適当なものを選んで作らせる。

イ 使用材料は,(6)に示したものに準ずる。
 (8) 作品を鑑賞する。
ア 鑑賞する作品は,児童の作品および児童にわかりやすい絵画・彫刻・建築・工芸品などとする。また,その地方にある芸術作品にも注意する。

イ 必要に応じて,年代・作者,その他関係事項を理解させる。

ウ 作品鑑賞の態度を養うようにする。

3 指導上の留意事項

 (1) 「2内容」に示す各事項の時間配当の割合は,おおむね次のとおりとする。

 (1),(2),(3),(4)……35%

 (5)……………………………20%

 (6),(7)……………………40%

 (8)……………………………5%

 (2) 内容に示す各事項は,それぞれ孤立することなく,互いに関連して学習させ,また,適宜分合して学習内容を組織して指導する。

 (3) 機会をとらえて共同製作をする。

 (4) 学習によって得た力をなるべく生活に適用させる機会を与える。たとえば,学校内の備,学校や家庭の備品の簡単な修理,学芸会・展覧会などの会場の整備・装飾など。

 (5) 内容(1)の指導にあたっては,かく想念を心の中にたくわえるためには,感覚を鋭くして,環境を注意深く見たり,また,あらゆるものから示唆を得て,それを自分のものとして発展させるためのくふうをさせる。

 (6)  内容(7)の指導にあたっては,小さい部品は既製品を用いてもよいが,セットになっている材料を用いてある一つの決まった工作法にならないように留意する。技術の修練は一定の型を授けるのではなく,技術への適応性を養うことに主点がある。したがって,ここで授ける技術は発展性のあるものでなければならない。

 (7) 図画工作科に関する用語の正しい読み方や,意義の理解,工具や材料の名称の正しい読み方や,使用法には特に留意して指導する。

 (8) 上学年になるにつれ,指導内容が豊富になり,程度も高くなっている。したがって,理解が困難となり,指導時間も多くを要するので,内容を精選して指導することが望ましい。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 内容に示した事項は,学年が進むにつれてしだいに多くなっている。これは高学年にいたるほど指導の内容を分析的に細かく取り上げてあるためである。したがって,特に低学年の指導にあたっては,高学年において取り上げてある事項が未分化的に含まれているものと解して,その学習を進めるよう考慮する必要がある。

2 内容中,題材や材料などについて例をあげてあるが,それらは必ずしも全部学習させなければならないというものではない。材料・施設,その他学校の実情に応して取捨選択してよいし,また,図画工作科の指導目標にかなったものであるならば,その地方特有のものを課してもよい。しかし,その内容が一部に偏することのないように留意することがたいせつである。

3 各学年の内容には,自由に題を選ばせてかかせたり,作らせたりする自由選題の指導を主とするところがあるが,これらはただ好きなものをかけとか,好きなものを作れと言って放任するのではない。その指導にあたっては,指導の目標を確認し,一つの学習から次の学習への移行が発展的になされ,全体として学習が体系的なまとまりのある経験となるよう計画されなければならない。

4 指導の適切を図るために,作品・図版・スライドなどの資料を準備し,有効に利用するとともに,また危険を伴う用具・機械などの取り扱いに際しては,安全の保持にじゅうぶん留意する。

5 指導の実際にあたって,たとえば鑑賞の指導など,言語を用いての説明を必要とする場合には,児童の発達の程度に応じて資料の提示のしかたや言語の使用のしかたなどをくふうし,理解しやすいように導くことが必要である。

6 造形活動を通して,生活を美化しようとする積極的な態度を養うとともに,特に生活に役だつものを作ったり,構成上興味あるものを作ったりする基礎的な技能を習得するよう留意する。


  第7節 家  庭

第1 目  標

1 被服・食物・すまいなどに関する初歩的,基礎的な知識・技能を習得させ,日常生活に役だつようにする。

2 被服・食物・すまいなどに関する仕事を通して,時間や労力,物資や金銭を計画的,経済的に使用し,生活をいっそう合理的に処理することができるようにする。

3 健康でうるおいのある楽しい家庭生活にするように,被服・食物・すまいなどについて創意くふうする態度や能力を養う。

4 家庭生活の意義を理解させ,聴覚の障害を克服し,家庭の一員として家庭生活をよりよくしようとする実践的態度を養う。

 家庭科は,第4学年までにおける家庭生活についての経験や学習の発展に即応し,組織的,実践的な指導を行なうため,第5学年から置かれるものである。

 上に掲げた目標は,相互に密接な関連をもつものてある。目標1は,家庭科で指導すべき中心的なねらいであり,目標2および3は,目標1のねらいを具体的,重点的に示したものであって,この指導にあたっては家庭科の特性上,常にその根底において目標4が考慮されなければならない。

 

第2 各学年の目標および内容

〔第5学年〕

1 目  標

(1) 日常の身なりを整えたり,被服を清潔に保ち,正しくしまつしたりする初歩的な知識・技能を身につけさせる。

(2) 布と糸や針を用いて簡単な日常用いる身のまわりのものを作らせ,製作に関する初歩的な知識や基礎的な技能を身につけさせるとともに製作の喜びを味わわせる。

(3) 食事のしたくやあとかたづけのしかたを習得させ,進んで手伝おうとする態度を養うとともに,日常の食事作法を身につけさせる。

(4) 日常の食物の栄養について理解させ,調理の初歩的な知識や基礎的な技能を身につけさせる。

(5) すまいの掃除や整理・整とんに関する初歩的な知識や技能を身につけさせ,気持ちよく住まおうとする態度を養う。

(6) 家族の一員として自分の役割を知り,家庭の仕事に協力し,楽しい家庭生活を営もうとする態度を養う。

2 内  容

 A 被  服

(1) 身なりの整え方を理解させ,簡単な被服の修理ができるようにする。
ア 日常着の正しい着方について,下着や上着の種類,着る順序,姿勢との関係などを知る。

イ 自分にふさわしい衣服の形・色などについて考える。

ウ 日常の身なりを整えるように努める。

エ ボタン・スナップなどの正しいつけ方を実習する。

オ ほころびのなおし方を実習する。
(2) 衛生的な被服の着方を理解させ,簡単な洗たくができるようにする。
ア 衛生的な下着の選び方について,地質・色・形・大きさなどから考える。

イ もめんの下着などの簡単な洗たくの実習をし,実践するように努める。

 (ア) 洗たくにふさわしい身じたくを知る。

 (イ) 洗たく用具の種類と使い方を知る。

 (ウ) 洗剤の種類,用いる分量,用い方について知る。

 (エ) 洗い方,しぼり方,干し方およびたたみ方を知る。
(3) 簡単な被服の手入れや,しまつのしかたができるようにする。
ア 被服の手入れやしまつのしかたを調べる。

イ ブラシの使い方を知る。

ウ 自分の衣服のたたみ方を実習する。

エ 自分の日常着の整理・整とんのしかたを考える。
(4) 布と糸や針を用いて,日常用いる台ふきおよび袋類を作らせる。
ア 製作するものの目的や用途に適した布やその他の材料の選び方,ととのえ方を知る。

イ 使用の目的に適した形や大きさ,調和のとれた形を考える。

ウ 製作用具の種類やそれぞれの使い方,扱い方を知る。

エ 寸法の取り方,決め方,縫いしろの決め方,取り方を知る。

オ 手縫いの基礎として,なみ縫い,まつり縫い,本返し縫い,半返し縫い,玉むすび,玉どめ,すくい返しどめ,および重ねつぎができる。

カ アップリケ・チェーンステッチ・アウトラインステッチ・クロスステッチなどから選んで,簡単なししゅうをする。

キ 仕事を計画的に手順よく進めるようにする。

ク 製作の楽しさや,製作品を使うことの喜びを味わう。

 B 食  物

(1) 日常の食事のぜんだてやあとかたづけのしかたを理解させ,進んでそれらを実行するようにさせる。
ア 日常の食事のぜんだてやあとかたづけを,衛生的,能率的にするしかたを考えて,実習する。

イ 家族が気持ちよく楽しく食事をすることができるように,くふうする。

ウ 食器やふきんの取り扱い方,洗い方,しまい方を衛生的にする。

エ 食事の場や台所を清潔に保つように努める。
(2) 食物の栄養について理解させる。
ア 食事についての栄養的な意義について考える。

イ 栄養的な基礎食品群について知る。
(3) 野菜の生食,ゆで卵,青菜の油いためなどの簡単な調理を実習させる。
ア 調理にふさわしい身じたくをする。

イ 調理用具の種類と使い方,簡単な手入れのしかたを知る。

ウ 調理に必要な計量器の使い方を知る。

エ 材料の見分け方について調べる。

オ 燃料やこんろの安全で合理的な使い方を知る。

カ 調理用具・食器などを安全に能率的に配置する。

キ 食品・調理用具・食器などを衛生的に取り扱う。

ク 調理するものの目的や,栄養の効果などを考えて,食品を洗ったり,切ったり,加熱したり,味をつけたり,盛りつけたりするしかたができる。

ケ 廃棄物を衛生的に処理する。

コ 計画に従って手順よく仕事を進める。

サ 仕事を協力して能率的に進める。
(4) 日常の食事作法を身につけさせる。
ア これまでの経験をもとにして,日常の食事の望ましいしかたについて考える。

イ お茶の入れ方,飲み方,菓子やくだものの食べ方を実習する。

ウ 来客に対する茶菓やくだもののすすめ方を実習する。

 C すまい

(1) すまいの清掃の正しいしかたを理解させ,簡単なそうじ用品の製作または修理のしかたを理解させ,進んで清掃を実行するようにさせる。
ア すまいを清掃することの必要について,衛生上,精神上などから,考える。

イ そうじに適当な身じたくについて考える。

ウ すまいの各部の清掃のしかたを知り,実践するように努める。

エ そうじ用具の種類やその使い方,しまい方,および手入れのしかたを知る。

オ ぞうきん・ちりとり・くず入れなどのような簡単なそうじ用品を作ったり,または,修理加工したりする。
(2) すまいの整理・整とんのしかたを理解させ,実践させるようにする。
ア すまいを整理・整とんする必要について考える。

イ 自分の持ち物の整理・整とんのしかたについて,類別・使用に便利な置き方,使用度数による置き場所,整とんの美しさなどを考えてくふうする。

ウ 室内や家のまわりの整理・整とんのしかたをくふうする。

エ 調和のある物の置き方を考える。

オ 整理箱または整理袋を作って活用するように努める。

 D 家  庭

(1) 家族の一員としての自分の役割を認識させて,貴任を果たすようにさせる。
ア 家族はそれぞれどんな立場や役割をもっているかを調べる。

イ 自分の家庭における仕事の種類や分担の様子を調べる。

ウ 家族としての望ましいあり方を考える。

エ 家庭生活を維持向上するために,自分のとる態度について考える。
(2) 応接や訪問のしかたができるようにする。
ア 来訪者に対する適切な応対について考える。

イ 来客の取り次ぎ,接待のしかたを実習する。

ウ 適切なあいさつや動作ができるように訪問のしかたを実習する。

3 指導上の留意事項

(1) A(4)の力は,生活を美しく豊かにすることをねらいとして,簡単に装飾する程度である。

(2) Bの(3)の調理の実習は,年間2回程度行なうことにする。

(3) B(4)のイ,ウは,Dの(2)と関連させて,取り扱うようにする。

(4) C(1)のオは,A(4)の台ふき以外に製作,修理加工するものの例をあげた。

(5) Dの(1)は,A,B,Cの内容を指導する際に,いろいろな角度から理解させるように配慮する。

 

〔第6学年〕

1 目  標

(1) 日常生活において,目的に応じた被服の着方や被服の手入れができ,被服生活を計画的に営むようにさせる。

(2) 簡単な被服や,布・糸利用の日用品をくふうして製作し,被服に関する基礎的な知識・技能を身につけさせる。

(3) 日常食の栄養的な取り方について理解させ,調理に関する初歩的な知識や基礎的な技能を身につけさせるとともに,調理を能率的に安全にしようとする態度を養う。

(4) 食事のもつ社交的意義を知り,望ましい態度で食事ができるようにする。

(5) 健康で合理的なすまい方をくふうし,すまいの美化やすまい方の改善に関心をもたせ,これを実行する態度を養う。

(6) 家庭の機能を理解し,家族と協力して,家庭生活の向上を図り,時間や労力,物資や金銭を合理的に使用する態度を養う。

2 内  容

 A 被  服

(1) 目的に応じた被服の着方ができるようにする。
ア 衣服の暖かい着方,涼しい着方について,衣服の材料・形・色・ 重ね方などを知る。

イ 気温に応じた被服の調節のしかたについて知る。

ウ 活動に便利な衣服について考える。

エ 調和のとれた着方や持ち物の調和についてくふうする。
(2) 被服の日常の手入れについて,繕い・洗たく・アイロンかけなどができるようにし,また,保存のしかたを理解させる。
ア 布のいたみに応じた繕い方として,かぎざきの繕いを実習する。

イ 運動服,簡単な上着などのような衣服の洗たくを実習する。

 (ア) 布地の種類に応じた洗剤の選び方,用い方,合理的な洗い方を知る。

 (イ) 洗い場の高さ,洗たく用具の能率的な置き方などをくふうする。

ウ アイロン仕上げを実習する。

 (ア) 布地の種類とアイロンの温度との関係を知る。

 (イ) アイロンの扱い方,かけ方,しまい方を知る。

エ 墨,どろ,果じゅう,絵の具,しょうゆ,油,えりあかなどのしみやよごれの簡単な取り方について知る。

オ 防虫や防湿に適した容器,防虫剤の種類や使い方を調べ,被服を保存する方法を知る。
(3) 自分の被服生活を計画的にするようにさせる。
ア 自分に必要な被服の種類や数を調べ,計画的に使用することができる。

イ 被服を長持ちさせるようにくふうする。

ウ 被服の補充について,既製品を選んで買う,更生利用,手製のくふうなどの方法について考える。
(4) カバー類のような,簡単な布・糸利用の日用品をくふうして作らせる。
ア 必要に応じたものをくふう製作する。

イ 製作の目的を明らかにし,仕事を計画的に手順よくする。

ウ 用途に適した布やその他の材料を選び,ととのえる。

エ 使用の目的に適した形や大きさ,調和のとれた形をくふうする。

オ 製作用具の使い方,扱い方に慣れる。

カ 裁ち方をくふうする。

キ 手縫いの縫い方に慣れる。

ク ミシンの扱い方,踏み方がわかり,ミシンで縫うことができるようになる。

ケ かき染め,はん染めなどの簡単な染色をする。

 B 食  物

(1) 栄養的な食物の取り方を理解させる。
ア 栄養的な食品の選択や組み合わせ方を知る。

イ 1日に必要な食物のおおよその量を知る。

ウ 献立を作って食事をすることの必要なわけを知る。
(2) ごはん・みそしる・サンドイッチ程度の簡単な日常食の調理を実習させる。
ア 材料をととのえる時期を知る。

イ 鮮度・品質・費用などを考えて材料を選ぶ。

ウ 調理台・流しなどの高さや配置は仕事の能率に関係のあることを知る。

エ 調理するものの目的や,栄養の効果などを考えて食品を洗ったり,切ったり,加熱したり,味をつけたり,盛りつけたりするしかたができる。

オ 調理用具や調理に必要な計量器の使用に慣れる。

カ 燃料やこんろの安全で合理的な使用に慣れる。

キ 食品・調理用具・食器などを清潔に取り扱い,廃棄物は衛生的に処理する。

ク 調理にふさわしい身じたくをし,仕事を協力して計画的,能率的にする。
(3) 日常の食事作法や会食のしかたを身につけさせる。
ア 皆とともに望ましい態度で食事をするしかたを実習する。

イ 明るい清潔な食事の場を作り,楽しく会食するしかたを実習する。

 C すまい

(1) すまいの各場所のはたらきを理解させ,健康なすまい方をくふうさせる。
ア 清潔なすまい方について,簡単な消毒や殺虫のしかた,大そうじの時期・方法・効果,梅雨時の処置などを知る。

イ 涼しく住むために,気温と湿度との関係,通風,日よけ,必要な家具・用具などを知り,くふうする。

ウ 暖かく住むために,日当たり,暖房のしかた,へやの適当な温度・換気,暖房用具の種類・特徴・使い方などを知り,くふうする。

エ 必要な明るさが得られるように,採光のしかたをくふうし,また,照明器具の種類・特徴・使い方を知る。

オ 安全に住めるように災害予防に関心をもち,その簡単な方法を調べる。
(2) 調和のある楽しいすまい方をくふうさせる。
ア 調和や能率を考えて,物の配置や飾りつけをくふうする。

イ 室内の美化について考え,雑誌入れ・花びんしき・壁掛け・カーテン・のれんなどのような簡単な実用品や装飾品をくふうし製作する。

D 家  庭

(1) 合理的な生活について考えさせ,これを実践しようとさせる。
ア 家庭の機能について知る。

イ 家の仕事のしかたについて,能率的,計画的にすることをくふうする。

ウ 規則正しく生活して,余暇を利用し,生活を楽しくすることをくふうする。

エ 金銭の使い方について,じょうずな買い物のしかたを考えたり,金銭の収支の記録のしかたを実習する。

3 指導上の留意事項

(1) Aの(4)の製作については,必要に応じて,女子に簡単なスカートなどを選ばせて指導してもよい。

(2) A(4)のケの染色は,カバー類の製作,または,C(2)のイの実用品・装飾品の製作に関連させて実習させる。

(3) Bの(2)の調理の実習は,年間2回程度行なうことにする。また,Bの(3)はBの(2)と関連して取り扱うようにする。

(4) Cの(1)は,生活に生かす方法を具体的に考えさせ,実践できるようにする。

(5) Dの(1)は,A,B,Cの内容を指導する際に,いろいろな角度から考えさせ,実践しようとさせるように配慮する。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 指導計画の作成について,次の事項を考慮する。

(1) 第2に示した内容は,領域ごとの指導を示したものではなく,また,指導の順序を示したものでもない。

 指導計画の作成にあたっては,これらの内容を児童の家庭生活や寄宿舎の生活などの経験を考え,生活的なまとまりをもたせ,相互に有機的関連をもって指導できるようにする。その際,地域および学校や寄宿舎などの事情を考え,さらに季節との関連などを考慮して,児童の生活経験を生かすとともに,学習に対する興味や必要感を起こさせるようにする。

(2)  題材は,常に児童の家庭生活や寄宿舎の生活などの実際的な必要や問題に基づいて選び,実習・製作・操作・応用などの実践的な学習を通して指導する。知識や理解を主とした内容も,教師の一方的な講義に終わることなく,児童の興味・必要・経験などに基づき,家庭や寄宿舎などの実際的な仕事と結びつけて指導しうるように,題材の作成をくふうする。

(3) 被服・食物・すまいなどに関する技能の発展的系統をよく吟味して,その基本的なものから,順序を追って発展的に指導できるようにする。

(4) この段階の男女の児童の家庭生活における仕事の分但の違いや興味の違いなどの特性に応じ,むりのないようにする。

(5) 他の教科や道徳などの指導との関連をじゅうぶんに考慮する。家庭科は教科の特性上,他の教科や道徳などの指導との関係がきわめて密接であるから,指導計画の作成にあたっては,関連する内容の取り扱いについてよく検討する。

(6) 規則正しく生活したり,余暇を利用して生活を楽しくしたり,じょうずな買い物のしかたをくふうしたりするなど,日常の家庭生活や寄宿舎の生活などの実際的な能力を身につけるよう特に配慮する。

(7) 衣食住の知的理解に関する学習においては,特に実習や見学などの機会を多くし,また視聴覚教材を用いたりして具体的に経験させて,言語による理解の困難を補い,理解させるようにする。

(8) 製作・実習の機会を多くし,家庭生活を進んで改善しようとする意欲と態度を養うよう特に配慮する。

2 技能の指導は,正確に身につけさせることをねらいとする。しかし,単に手先の巧みさだけをねらっているのではなく,学習の過程における注意深さ,どう察やくふう,構想力などの発達をねらっているのである。それゆえ,指導にあたっては,目的をはっきりさせ,学習の意味をよく理解させることが必要である。また合理的に学習させるように指導するとともに,楽しく学習させるようにくふうしたり,完成の喜びを味わわせることがたいせつである。

3 学習は作業を伴うことが多いから,実際の指導にあたっては,学校の施設・設備をじゅうぶんに活用するように,くふうすることが必要である。なお,学習活動においては危険を伴う用具・機械などを取り扱う場合が多いので,安全の保特にじゅうぶん注意する。4 学習指導においては,教科の特性上,家庭または寄宿舎における生活環境との関連を図ることが特にたいせつである。


 
第8節 体  育

第1 目  標

1 聴覚の障害を克服し,各種の運動を適切に行なわせることによって,基礎的な運動能力を養い,心身の健全な発達を促し,活動力を高める。

2 各種の運動に親しませ,運動のしかたや技能を身につけ,生活を豊かにする態度を育てる。

3 運動やゲームを通して,公正な態度を育て,進んで約束やきまりを守り,互いに協力して自己の責任を果たすなどの社会生活に必要な態度を養う。

4 健康・安全に留意して運勤を行なう態度や能力を養い,さらに保健の初歩的知識を理解させ,健康な生活を営む態度や能力を育てる。

 上に掲げた目標は,相互に密接な関連をもつものである。目標2,3および4は,主として運動を中心とする具体的な学習を通して達成されるものであるが,目標1は,これらの目標を目ざして継続的な学習を行なうことによって,はじめて達成しうるものであるから,目標2,3および4の指導の根底には,常に目標1が考慮されなければならない。

 なお,目標4については,各学年を通じて,各種の運動の実践にあたって必要な健康・安全に関する態度や能力の育成に努めるとともに,特に,第5学年以上において,健康な生活を営むために必要な保健に関する初歩的な知識を得させることを目ざしている。

 次に示す各学年の目標は,児童の発達段階に応じ,上記の目標を達成するために必要なことがらを具体的に示したものである。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕

1 目  標

(1) いろいろな運動に興味をもつ。

(2) 各種の簡単な運動を行なわせることによって,基礎的な運動能力を養い,身体諸機能の調和的な発達を図る。

(3) だれとでも仲よくし,また,きまりを守って楽しく運動を行なう態度を育てる。

(4) 運動と関連した健康・安全についてのきまりを守る態度や習慣を養う。

2 内  容

 A 徒手体操

(1) 次のような運動によって,身体を全身的,総合的に動かすことができるようにする。
ア しゃがんだり,立ったりする。

イ 足を大きく開いたり,片足または両足でとんだりする。

ウ 両手で押したり,引いたりする動作をする。

エ 腕をいろいろな方向に振り上げたり,振り回したりする。

オ 片手をすり上げながら,体を左右に曲げる。

カ 開脚で,足首を握って体を前に深く曲げ,両脚の間から後ろを見たり,手を腰にあて体を後ろにそらせ,後ろを見るようにしたりする。

キ 体を左右に回して,体側で手をたたく。
(2) 楽しくきまりよく運動を行なう態度を育てる。

 B 器械運励

(1) 次の運動によって,器械・器具の取り扱いに慣れさせ,いろいろな器械遊びができるようにする。
ア 固定施設による遊び……固定施設(たとえば,ぶらんこ・シーソ一・すべり台・登り棒・雲梯(てい)・ジャングルジム・平均台など)を使って運動する。

イ 鉄棒遊び……腕立てとび上がり,足かけ振り,後ろおり,足ぬき回りをする。

ウ とび箱遊び……またぎ越し,踏み越し,腕立てとび上がり,とびおりをする。

エ マット遊び……横回り,ゆりかごをする。
(2) だれとでも仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア 友だちの運動をよく見る。

イ 待つときの順番を守る。

ウ 運動をしている者に近寄らない。

 C 陸上運動

(1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。
ア かけっこ(約30m)……まっすぐに走る。

イ 置き換えリレー……決まった方法で置き換えや引き継ぎをする。

ウ 並びっこ……位置を移動して早く並ぶ。

エ 川とび……片足や両足でとび越す。

オ ゴムとび……ひざの高さぐらいをとび越す。
(2) だれとでも仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア 順番を守る。途中でやめずに,きまりを守り最後まで走る。

イ 走るとき,他人を押したり突いたりしない。

ウ 用具の準備を手伝う。

 D ボール運動

(1) 次の運動によって,ボールの取り扱いに慣れさせ,簡単なゲームができるようにする。
ア 手渡し順送球……ボールを上・横から手渡しする。指を開いて両手でボールを捕える。

イ ころがしドッジボール……ボールをころがし,中の者に当てる。ボールを当てられないように身をかわす。

ウ たま入れ……高い所につったかごに紅(白)球を投げ入れる。腕やからだを調子よく使って投げる。

エ 対列ボールけり……止まっているボールをける。ころがってくるボールを止めてける。
(2) だれとでも仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア 順番を守る。

イ 合い図や約束を守る。

ウ 逃がしたボールを進んで取りにいく。

エ ボールを避けたり取ったりするとき,他人を押したり突いたりしない。

 E リズム運動

(1) 次の歌を伴う遊びや模倣遊びを行なわせ,楽しくリズム運動ができるようにする。
ア やさしい簡単な歌を伴う遊び……自由隊形や1重円で,スキップ,ランニング,ウォーキングなどをする。

イ 模倣遊び

 (ア) 動物,乗り物,遊びなどの簡単な模倣をする。

 (イ) ひとりないし3人で,はう,ころがる,歩・走,跳躍,屈伸などの1,2拍動作を速度を変えて行なう。
(2) だれとでも仲よく運動を行なう態度を育てる。
ア だれとでも組んで遊ぶ。

イ 役を代わりあって遊ぶ。

 F その他の運動

(1) 次の運動ができるようにする。
ア すもう……押し出し遊び,片足ずもうをする。

イ 鬼遊び………ひとり鬼,場所とり鬼,けん鬼をする。

ウ なわとび……短なわで片足前とび,両足とび,1回旋2跳躍とびをする。長なわで大波小波をする。

エ 水遊び……水中を歩いたり,走ったりするなどの遊びによって水に慣れる。
(2) だれとでも仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア すもう,鬼遊びなどの遊び方の約束を守る。

イ なわを代わりあって持ち,順番を守ってとぶ。

ウ 用具を仲よく使う
(3) 水遊びの心得を知らせ,日常生活に生かされるようにする。
ア 水遊びの前後には,必ず人員点呼を受ける。

イ プールにはいる前には,必ず用便をすませ,水遊び後は,きれいな水でからだや目を洗う。耳を清潔にしておく。

ウ ひざぐらいの深さで遊ぶ。

エ 決してひとりだけで水遊びに行かない。

オ あぶない場所で水遊びをしない。

カ あぶないときやおぼれた人を見たときは,大声で近くの人の助けを求める。

 G 以上のAからFまでの各領域を通して,次の事項を指導する。

(1) 運動でけがをしないようにし,からだの清潔に気をつける態度や習慣を養う。
ア 運動をする場所の小石や危険物を取り除く。

イ 運動後,手足を洗い,汗をふく。

3 指導上の留意事項

(1) 各運動の指導において,教師の合い図で縦隊に早く並べるようにする。また,押したり突いたりしないで,静かに早く自由隊形に集合できるようにする。

(2) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える,つめを短く切るなどについても適切に行なうようにする。

(3) 歩行,かけ足の訓練を,徒手体操,陸上運動,リズム運動などの学習に関連して考慮する。

(4) 体育の学習に関連して,特に危害予防についての態度・習慣を身につけさせ,安全に生活を営むことができるようにする。

 また,危害予防に関する指導は,社会科の指導との関連を図り,理解させるようにする。

 このことについては,各学年においても同様である。

(5)  Aの(1)の内容は,運動の範囲や方法の例を示したものである。指導にあたっては,事物や動作の模倣などを取り入れるとともに,座臥(が)姿勢で行なうことも考慮する。また,Aの(2)については,手具や太鼓等の使用をくふうし,動作を大きく調子よく行なうように指導する。

 このことについては,第2学年および第3学年においても同様である。

(6) リズム運動は律唱科と関連して指導する。特に太鼓等の打楽器を使用して学習させることが望ましい。

 このことについては,各学年においても同様である。

(7) 水遊びの指導にあたっては,あらかじめ学校医の診断を受けて,必要に応じて耳せんをするなど適切な注意を払い,耳鼻の疾病を予防することが望ましい。また,水遊びのときは,赤色等の水泳帽子を着用することが必要である。

 このことについては,各学年においても同様である。

〔第2学年〕

1 目  標

(1) 各種の簡単な運動を行なわせることによって,基礎的な運動能力を養い,身体諸機能の調和的な発達を図る。

(2) 運動をするときの簡単なきまりをつくり,みんなで同じ運動を仲よく楽しく行なう態度を育てる。

(3) 競争やゲームにおいて,規則を守り,負けてもすなおに認める態度を育てる。

(4) 運動と関連した健康・安全についてのきまりを守る態度や習慣を養う。

2 内  容

 A 徒手体操

(1)次のような運動によって,身体を全身的,総合的に動かすことができるようにする。
ア しゃがんだり,背伸びしたりする。

イ 足を大きく開く。

ウ 両足または片足で,移動したり,向きを変えたりしてとぶ。

エ 両手で押したり,引いたりする動作をする。

オ 腕をいろいろな方向に振り上げたり,振り回したりする。

カ 片手をすり上げながら,体を左右に曲げる。

キ 指先が,地面や足先につくまで体を前に深く曲げる。

ク 開脚で,腕を下げたまま体を後ろにそらせ,後ろのものを見る。

ケ 開脚で,体を前に深く振り曲げ,両脚の間から後ろに物を投げたり,体を後ろにそらせ,頭の上から後ろに物を投げたりする動作をする。

コ 体を左(右)に回して,両手で左(右)から後ろに物を投げる動作をする。
(2) 楽しく,きまりよく運動を行なう態度を育てる。

 B 器械運動

(1) 次の運動によって,器械・器具の取り扱いに慣れさせ,いろいろな器械遊びができるようにする。
ア 固定施設による遊び……固定施設(たとえば,ぶらんこ・シーソ一・登り棒・雲梯(てい)・ジャングルジム・平均台など)を使って運動する。

イ 鉄捧遊び……腕立てとび上がり,足かけ振り,前回りおり,足ぬき回り(前後連続)をする。

ウ とび箱遊び……またぎ越し,踏み越し,腕立てとび上がり,とびおりをする。

エ マット遊び……ふたり組み横回り,前回りをする。
(2) 友だちと仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア 気づいたことを進んで注意しあう。

イ 器具の使い方のきまりを守る。

ウ 順番を守って運動をする。

 C 陸上運動

(1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。
ア かけっこ(約30m)……そろってスタートする。

イ 回旋リレー……じょうずに回って走る。

ウ かけ足……約1分間同じ調子でかけ足をする。

エ 川とび……片足や両足で踏み切ってとぶ。

オ ゴムとび……腰の高さぐらいを走っていってとぶ。
(2) 友だちと仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア 途中でやめないで最後まで走る。

イ 決められた約束を守る。

ウ だれとでも楽しく行なう。

 D ボール運動

(1) 次の運動によって,ボールの取り扱いに慣れさせ,簡単なゲームができるようにする。
ア 投げ渡し順送球……両手で上・横・下から相手の取りやすい所にボールを投げる。それたボールは移動して捕える。

イ 円形ドッジボール……相手をねらって投げる。ボールをよく見て身をかわす。

ウ ボール投げ……ボールを目標に当てる。ボールを遠くへ投げる。ボールを両手で捕える。

エ 対列ボールけり……ボールを手・体・足で止め,けり返す。
(2) 友だちと仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア ボールの奪いあいをしないなどの簡単なきまりをつくって遊ぶ。

イ 乱暴やじゃまをしないで遊ぶ。

ウ ゲームで負けても,すなおにそれを認める。

エ ボールをたいせつに取り扱い,決められた場所に返す。

 E リズム運動

(1) 次の歌を伴う遊びや模倣遊びを行なわせ,楽しくリズム運動ができるようにする。
ア やさしい簡単な歌を伴う遊び……やさしい歌を伴う遊びや2重円や対列で,スキップ,ランニング,ウォーキングなどをする。

イ 模倣遊び

 (ア) 動物・乗り物・遊び・手伝いなどの簡単な模倣をする。

 (イ) ひとりないし3人で,はう,ころがる,歩・走,跳躍,屈伸などの1,2拍動作を速度を変えて行なう。前後に移動したり,回ったりする。
(2) だれとでも組みになって,同じ遊びができるような態度を育てる。
ア だれとでも組んで遊ぶ。

イ 役を代わりあって遊ぶ。

 F その他の運動

(1) 次の運動ができるようにする。
ア すもう……押し出し遊び,片足ずもうをする。

イ 鬼遊び……子ふやし鬼,場所とり鬼,けん鬼をする。

ウ なわとび……短なわでかけ足とび,1回旋1跳曜とびをする。長なわで回旋とびをする。

エ 水遊び……水中を歩いたり,走ったり,水をかけあったりして水に慣れる。
(2) 友だちと仲よくし,簡単なきまりをつくり,それを守って運動を行なう態度を育てる。
ア すもうでは乱暴にならないようにきまりをつくり,それを守る。

イ 鬼の交代のしかた,場所の範囲などを決め,それを守る。

ウ とぶ順番,なわをもつ順番などのきまりをつくり,それを守る。

エ なわをよく見て,とぶ調子,はいるタイミングなどをしゅうぶん学習する。
(3) 水遊びの心得を知らせ,日常生活に生かされるようにする。
ア 水遊びの前後には,必ず人員点呼を受ける。

イ プールにはいる前には,用便をすませ,からだをよく洗い,水遊び後は,きれいな水でからだや目を洗い,耳の中の水をとり,耳を清潔にしておく。

ウ ひざから腰ぐらいの深さで遊ぶ。

エ 決してひとりだけで水遊びに行かない。

オ あぶない場所で水遊びをしない。

カ あぶないときやおほれた人を見たときは,大声で近くの人の助けを求める。

 G 以上のAからFまでの各領域を通じて,次の事項を指導する。

(1) 運動でけがをしないようにし,からだの清潔に気をつける態度や習慣を養う。
ア 運動をする場所の小石や危険物を取り除く。

イ 運動後,手足を洗い,汗をふく。

3 指導上の留意事項

(1) 各運動の指導において,必要に応じて,教師の合い図で縦隊に早く整列できるようにする。また,押したり突いたりしないで,静かに早く自由隊形に集合できるようにする。

(2) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える。つめを短く切るなどについても適切に行なうようにする。

(3) リズム運動については,かかとをつけずに,つまさきで軽快にスキップ,ランニングを行ない,また,ウォーキングは正常な歩き方などを,みんなと足並みをそろえて歩くことができるようにする。

 このことは,各学年においても同様である。

 

〔第3学年〕

1 目  標

(1) 各種のやや形の整った運動を行なわせ,初歩的な運動技能とともに基礎的な運動能力を養い,身体諸機能の調和的な発達を図る。

(2) 運動するときの簡単なきまりをつくり,決められた役割を果たし,励ましあって運動を行なう態度を育てる。

(3) 競争やゲームにおいて,規則を守り,最後まで努力し,負けてもすなおに認める態度を育てる。

(4) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。

2 内  容

 A 徒手体操

(1) 次のような運動によって,身体を全身的,総合的に動かすことができるようにする。
ア 閉脚で手をひざにあて,または腕を前に振ってひざを屈伸する。

イ 足を前後に広く開いたり,足を交互に前に振って脚の下で手をたたいたりする。

ウ 足を前後・左右に開閉してとぶ。

エ 腕で,上下を突く動作をする。

オ 腕を,前と上に振ったり,前後に回旋したりする。

カ 首を前後・左右に曲げたり,左右に回したりする。

キ 片腕を横から,上に上げながら体を左右に曲げる。

ク 体を前に曲げて頭を両脚の間に入れるようにしたり,後ろの物が見えるまで体を後ろに曲げだりする。

ケ 腕立て伏臥(が)の姿勢で,足を手の位置までひきつけて進む。

コ あお向けで,両手と両足を床につけて前後に歩く。

サ 両腕を左(右)から後ろに振り上げながら,体を左(右)に回す。

シ 体を回旋して,両手で空間にできるだけ大きなまるや横8の字をかく。
(2) 互いに仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を養う。
ア 気づいたことは進んで注意しあう。

 B 器械運動

(1) 次の運動によって,器械運動の初歩的な技能を育てる。
ア 鉄棒運動……さか上がり,前回りおり,足かけ振りをする。

イ とび箱運動……踏みとび(とび箱,横,高さ約30cm,腕立てとびのり(とび箱,縦,高さ約50cm),腕立てとび上がりおり(とび箱,縦,高さ約50cm)をする。

ウ  マット運動……前回り(連続)をする。
(2) 互いに助けあい,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。
ア 気づいたことを進んで注意しあう。

イ よくできない人を励ましたり助けたりする。

ウ 器具の出し入れには,きまりを守り,みんなで協力する。

 C 陸上運動

(1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。
ア 短距離走(約50m)……スタンディングスタートで腕を調子よく振って走る。

イ 折返しリレー……走りながらバトンの受け渡しをする。

ウ かけ足……約2分間みんなで調子をあわせてかけ足をする。

エ 走り幅とび……片足踏み切りでとぶ。

オ 走り高とび……片足踏み切りで横木をとび越す。
(2) 互いに協力する態度や勝敗に対する正しい態度を育てる。
ア チームでバトンを受け渡しなどのしかたを互いに教えあう。

イ グループで計測の係りなどを代わりあって行なう。

ウ 負けた者の悪口を言わない。

 D ボール運動

(1) 次のボール運動の技能を養い,ゲームができるようにする。
ア 方形ドッジボール……片手でねらいをつけて強く投げる。ボールを両手で捕える。ボールを見てすばやく身をかわす。

イ ハンドベースボール……片手でもったボールを他の手で打つ。ゴロやフライボールを捕えてベースに投げる。投げられたボールを捕える。走塁する。

ウ フットベースボール……置いてあるボールを走っていってける。方向や強さを考えてボールをける。ボールはからだの正面で取るように,ボールの飛んでくるほうへ移動する。走塁をする。

エ ラインサッカー……ボールをけって進める。方向を決めて,ボールをける。
(2) ゲームに対する好ましい態度,ならびに,仲間と協力して運動を行なう態度や能力を育てる。
ア ゲームに必要なきまりを決め,それを守る。

イ 審判の判定によく従う。

ウ 失敗したり負けたりしても,気を落とさないでがんばる。

エ へたな者も仲間はずれにしないで助けあう。

オ 決められたボールやコートの準備,あとしまつなどの係りをじょうずに果たす。

 E リズム運動

(1) やさしい歌を伴う遊び,フォークダンスや模倣遊びができるようにする。
ア やさしい歌を伴う遊びや簡単なフォークダンス。やさしい歌を伴う遊びや,簡単なフォークダンス,また,1重円・2列縦隊・方形でスキップ,ランニング,ウォーキングをする。

イ 模倣遊び

 (ア) こん虫・草花・乗り物・行事・お話などから特徴をとらえて摸倣し,それらを組み合わせる。

 (イ) ふたりないし6人で,歩・走,眺躍,屈伸,回旋などの1,2,3,4拍動作を速度を変えて行なう。前後・左右に移動したり,回ったりする。
(2) 役割を分担して協力する態度を育てる。
ア 役を受け持ち,また代わりあって行なう。

イ 決められた用具,準備などの係りをじょうずに果たす。

ウ みんながじょうずになるように教えあう。

 F その他の運動

(1) 次の運動ができるようにする。
ア すもう……中腰の構えで押しあいずもうをする。

イ 鬼遊び……子とり鬼,ともえ鬼,手つなぎ鬼,組み鬼をする。

ウ なわとび……短なわで連続してとぶ。長なわでいろいろの回旋とびをする。

エ 水遊び……顔を水につけ,目を開き,鼻または口から息をはく。水中じゃんけん,石拾いなどを行ない,からだの浮くことを知る。
(2) きまりをつくり,それを守って仲よく運動を行なう態度を育てる。
ア 押しだけですもうを行なうなどの規則をつくって,それを守り,グループで互いに審判を交代しながら行なう。

イ 鬼遊びのきまりをつくり,それを守る。

ウ グループできまりをつくり,互いにとびくらべをする。
(3) 水遊びの心得を知らせ,日常生活に生かされるようにする。
ア 水遊びの前後には,必ず人員点呼を受ける。

イ プールにはいる前には,用便をすませ,からだを洗い,水遊び後は,きれいな水でからだや目を洗う。

ウ ひざから腰ぐらいの深さで遊ぶ。

エ あぶない場所で水遊びをしない。

オ 決してひとりだけで水遊びに行かない。

カ あぶないときやおほれている人を見たときは,大声で近くの人の助けを求める。

 G 以上のAからFまでの各領域を通じて,次の事項を指導する。

(1) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 運動をする場所の危険物を取り除き,安全に整備する。

イ 用具の破損に注意する。

ウ 軽い服装で運動をする。

エ つめをいつも短く切っておく。

オ 運動・整理運動をする。

3 指導上の留意事項

(1) 各運動の指導において,必要に応じて,縦隊の整列ができるようにする。

(2) 健康・安全に関する指導においては,運動後の手足の清潔,汗のしまつなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。

 

〔第4学年〕

1 目  標

(1) 各種のやや形の整った運動を行なわせ,初歩的な運動技能を養うとともに,基礎的な運動能力を高め,身体諸機能の調和的な発達を図る。

(2) 運動するときのきまりをつくり,必要に応じてそれを改めたり,また役割を決めたりして,リーダーを中心に助けあって運動を行なう態度を育てる。

(3) 競争やゲームにおいて規則を守り,最後まで努力し,負けてもすなおに認める態度を伸ばす。

(4) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。

2 内  容

 A 徒手体操

(1) 次のような運動によって,身体を部分的,総合的に動かすことかできるようにする。
ア あしの運動……閉脚または開脚で手をひざにあて,ひざを屈伸する。腕を前と上に振ってひざを屈伸する。足を左右に広く開く。足を前に振り上げる。腕を横と上に振りながら足を左右に開閉してとぶ。

イ 腕の運動……腕を前・左右・上下に突く動作をする。腕を横と斜め上に振る。腕を内外に回旋する。

ウ 首の運動……首を前後・左右に曲げる。首を左右に回す。首を回旋する。

エ 胴体の運動……片腕を横から上に振り上げて,体を左右に曲げる。ひざを伸ばしたまま足首を握り,体を前に曲げ,頭を脚につけるようにする。手を腰にあて,体を反動的に深く後ろに曲げる。ひざつきですわり,体を後ろに曲げる(補助をする)。あお向けで両手,両足を床につけて前後・左右に歩く。腕立て伏臥(が)の姿勢で足を中心に手を使って円をかく。開脚で腕を前に上げ,左(右)に振りながら体を左(右)に回す。開脚で体を回旋する。
(2) 互いに仲よく,きまりを守って運動を行なう態度を養う。
ア グループの中で互いに教えあい,助けあって練習する。

 B 器械運動

(1) 次の運動によって,器械運動の初歩的技能を養う。
ア 鉄棒運動……さか上がり(連続),足かけ上がり(振って上がる),踏み越しおり,腕立て後ろ回り,足かけ後ろ回りをする。

イ とび箱運動……開脚の腕立てとび越し(とび箱,縦,高さ約50cm),閉脚の腕立てとび越し(とび箱,横,高さ約40cm),前回り(とび箱,縦,高さ約30cm)をする。

ウ マット運動……前回り(連続),後ろ回りをする。
(2) 互いに協力して運動を行なう態度を育てる。
ア グループの中で互いに教えあい,助けあって行なう。

イ よくできない人を励ましたり助けたりする。

ウ 器械・器具の使い方のきまりをくふうする。

エ 器具をたいせつにし,器具の出し入れに協力する。

 C 陸上運動

(1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。
ア 短距離走(約80m)……クラウチングスタートで走る。

イ 円形リレー……走りながらバトンの受け渡しをする。追い越すときは外側から追い越す。

ウ 持久走……約3分間みんなでそろってかけ足をする。

エ 走り幅とび……助走に速度をつけてとぶ。

オ 走り高とび……片足で踏み切り,横木をとび越す。
(2) グループで協力して練習する態度や勝敗に対する正しい態度を育てる。
ア 出発合い図,順位の判定,計測などの係りを代わりあってする。

イ おくれても途中で競走をやめない。

ウ グループで走り方,とび方などを互いに注意しあう。

 D ボール運動

(1) 次のボール運動の技能を養い,ゲームができるようにする。
ア ポートボール……パスやドリブルでボールを進める。ボールを取ったら,じゃまされていない味方を捜してパスする。パスしたらすぐあいている所に走る。相手に触れないで相手をじゃまする。

イ ハンドベースボール……投手の投げたボールを手で打つ。ゴロやフライのボールを早くその位置にいってじょうずに取る。走塁をする。審判をする。

ウ フットベースボール……ころがされた,または置かれたボールを走っていって,足の甲でける。けられたボールをいろいろの場合に応じて正確に早く処理する。走塁をする。審判をする。

エ ラインサッカー……相手や味方の位置に応じて,方向・強さを考えてボールをける。パスされたボールをすばやく移動して取る。相手がボールをけるのを足でじゃまをする。
(2) チームで協力して練習やゲームを行なう態度や能力ならびにゲームに対する好ましい態度を育てる。
ア 自分のポジションの責任を果たす。

イ へたなことや失敗を許しあい,互いに励ましあう。

ウ リーダーを中心に計画に従って活動する。

 E リズム運動

(1) 次のリズム運動の技能を養い,フォークダンスや美しい表現ができるようにする。
ア 簡単なフォークダンス

 (ア) 簡単なフォークダンスなどをする。

 (イ) 1重円・2重円・1列縦隊で,ツーステップ,ポルカステップ,ホップバランスなどをする。

イ 表  現

 (ア) 鳥・植物・行事・物語などから特徴をとらえて簡単な表現をし,よい組み合わせをつくる。

 (イ) 4人ないし6人で,歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転などの1,2,3,4拍動作を強度をかえて行なう。前後・左右に移動したり,回ったりする。
(2) グループで役割を分担し,協力して運動を行なう態度や能力を育てる。
ア 役割や配役を決めて,じょうずに果たす。

イ 表現の内容や順序などを話しあって決める。

 F その他の運動

(1) 次の運動の技能を養い,すもう,なわとび,初歩の水泳ができるようにする。
ア すもう……押しと突きを用いてすもうをする。

イ なわとび……短なわであやとび,ふたりとびをする。長なわでいろいろな回旋とびを行ない,どちらからもはいれるようにする。

ウ 水  泳

 (ア) 面かぶり……顔を水につけ,目を開き,鼻または口から息をはく。

 (イ) 浮くこと……沈み方,浮き方,立ち方をする

 (ウ) 泳ぎ……ばた足,平体の泳ぎ(犬かき)をする。

 (エ) 立ち飛び込み……低い台からとび,足から水にはいる。
(2) グループで協力して練習や競技を行なう態度や能力を育てる。
ア 突く部位の範囲を決めるなど,危険のないように規則を決める。

イ グループで互いに審判を交代して行なうなど協力してすもうを行なう。

ウ きまりをつくってグループ対抗のとびくらべをする。
(3) 水泳の心得を理解させ,日常生活に生かされるようにする。
ア 水泳の前後には,必ず人員点呼を受ける。

イ プールの清潔に注意する。

ウ ふたり組みをつくって泳ぐ。

エ 水にはいるときは,すぐ飛び込まないで徐々にはいる。

オ からだの調子の悪いときは泳がない。

カ 腰から腹ぐらいの深さで泳ぐ。

キ 水泳に安全な場所と危険な場所を知る。

ク 必ず水泳に自信のあるおとなと同行する。

ケ あまり長時間水にはいらない。

コ けいれんを起こしたとき,あぶないとき,おほれた人を見たときは大声で知らせ,近くの人の助けを求める。

 G 以上のAからFまでの各領城を通じて,次の事項を指導する。

(1) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 運動をする場所の危険物を取り除き,安全に整備する。

イ 用具の破損に注意する。

ウ 軽い服装で運動する。

エ つめをいつも短く切っておく。

オ 準備運動・整理運動をする。

3 指導上の留意事項

(1) 各運動の指導において,必要に応じて,2列ないし4列の横隊の整列や方向変換(左・右・後)ができるようにする。

(2) 常によい姿勢を保つように留意するとともに,日常の正しい歩き方についても適切な指導をする。

 このことについては,第5学年および第6学年においても同様である。

(3) 男女が反発しあう時期であるから,男女仲よく助けあって運動を行なうように指導する。

(4) 健康・安全に関する指導においては,運動後の手足の清潔,汗のしまつなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。

(5) Aの(1)の内容は,運動の範囲や方法の例を示したものである。指導にあたっては,この例を参考として,各種の方法をくふうして行なうようにする。

 このことについては,第5学年および第6学年においても同様である。

(6) 危険な場所で遊ばないようにじゅうぶんな指導をする。

 

〔第5学年〕

1 目  標

(1) 各種のやや組織だった運動を行なわせ,運動技能を養い,基礎的な運動能力を高め,身体諸機能の調和的な発達を図る。

(2) 練習やゲームのきまりをくふうし,チームをつくり,リーダーを選んで,共通の目標に向かって互いに協力して運動を行なう態度を育てる。

(3) 競争やゲームで,規則を守り,最後まで努力し,勝敗の原因を考え,さらに進歩向上を図ろうとする態度を育てる。

(4) 日常生活における運動の行ない方や心得を理解させ,学校や家庭における運動や遊びを健全に豊かにする態度や能力を養う。

(5) 自己のからだの発達や健康状態について関心をもたせるとともに,身近な日常生活における健康・安全についての初歩的な理解をもたせる。

2 内  容

 A 徒手体操

(1) 次のような運動によって,身体を部分的,総合的に動かすことができるようにする。
ア あしの運動……閉脚または開脚で,手をひざにあて,ひざを屈伸する。腕を前後に回しながら,ひざを屈伸する。足を前と斜め前に振り上げる。足を横と後ろに振り上げる。片足を前・後・左・右に上げ,片足で調子よくとぶ。

イ 腕の運動……腕を前・横・上下にゆっくりと,または強く速く屈伸する。腕を前・横・上に振る。腕を横8の字形に回旋する。

ウ 首の運動……首を前後・左右に曲げる。首を左右に回す。首を回旋する。

エ 胴体の運動……腕を肩に曲げ,胸を伸展する。腕を前に上げ,左右に開いて胸を伸展する。腕を横に上げ,片腕を横から上に上げながら,体を左右に曲げる。開脚で足首を握って,体を前や斜め前に曲げる。腕を上に上げ,体を後ろに深く曲げる。ひざつきですわり,体を後ろに曲げる。腕立て伏臥(が)の姿勢で脚をささえてもらい,両手で歩く。舟のろをこぐ動作をする。腕を前に上げ左(右)に振り,体を左(右)に回す。開脚で体を回旋する。
(2) 互いに協力して運動を行なう態度を育てる。
ア グループでリ―ダを決めて練習する。(3) 各部位の運動の効果を理解させ,他の運動の準備運動・整理運動として活用できるようにする。

 B 器械運動

(1) 次の運動によって,器械運動の初歩的技能を養う。
ア 鉄棒運動……さか上がり(伸膝(しつ)),足かけ上かり,腕立て後ろ回り(両足をそろえて),足かけ後ろ回りをする。

イ とび箱運動……開脚の腕立てとび越し(とび箱,縦,高さ約60cm),閉脚の腕立てとび越し(とび箱,横,高さ約50cm),前回り(とび箱,縦,高さ約40cm)をする。

ウ マット運動……とびこみ前転,前回り(開脚),後ろ回り(開脚),腕立て側転,背支持腕立て前転,倒立(補助)をする。
(2) 互いに協力して運動を行なう態度を養う。
ア グループで役割を決めて助けあう。

イ 器械・器具の使用についてのきまりをつくる。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 器械・器具の破損の有無に注意し,安全を確かめる。

イ 準備運動・整理運動をする。

ウ 自分の能力やからだの調子を知り,段階的に練習する。

 C 陸上運動

(1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。
ア 短距離走(約100 m)……体をやや前に傾けて走る。

イ リレー……約5歩ないし6歩走りながら,バトンを受け取る。

ウ 障害走……障害物をいくつか置いて越す。

エ 持久走……同じような調子で約600m走る。

オ 走り幅とび……踏み切り線を決めてとぶ。

カ 走り高とび……助走や踏み切りを考えてとぶ。
(2) グループごとに協力する態度や,勝敗に対する正しい態度を養う。
ア グループごとにリ一ダーを中心に協力して練習する。

イ 記録,計測などの係りを代わりあって行なう。

ウ グループ対抗のリレーを計画し実施する。

エ 勝敗にこだわらず最後までがんばる。

オ 個人やチームの力に応じて,ハンディキャップをつけて競走する方法のあることを知る。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 砂場をやわらかにしたり,走路を整備して安全に行なう。

イ 高とびの横木,障害物などの用具の破損の有無に注意し,安全を確かめる。

ウ 準備運動・整理運動をする。

エ 持久走では,自分のからだの調子を考えて走る。

 D ボール運動

(1) 次のボール運動の技能を養い,ゲームができるようにする。
ア ポートボール……走りながらボールを捕え,2歩以内にパスする。ドリブルして止まったら,続いてドリブルしないでパスかシュ一トをする。三角パスをする。相手を決めてじゃまをする。審判をする。

イ ハンドベースボール……投手の投げたボールを,手またはラケットで打つ。ゴロやフライボールを早く移動して取り、適切な塁にすぐ投げる。捕球のとき,近くの者がバックアップする,走塁をする。審判をする。

ウ 簡易サッカー……ドリブルやパスでボールを進め,ゴールにけり込む。足・脚・体を使って止める。頭の上からスローインする。相手のボールを前や横からじゃまをする。ゴールキーパーは,ボールを手や足で止めて防ぐ。審判をする。
(2) グループの協力によって,練習やゲームの運営を計画的に進める能力を育てる。
ア 規則やきまりをつくり,必要に応じて改善する。

イ 審判,コート・用具係りなどの役割を分担し,それを果たす。

ウ チームのつくり方を知り,チームをつくって計画的に協力して練習する。

エ 勝敗の原因を考え,練習のしかたをくふうする。

オ グループが相互に協力して,ゲームに必要な係り,ゲームの方法,組み合わせを決める。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 競技規則で禁じられた方法を用いない。

イ コートや用具の安全を確かめ,整備する。

ウ 準備運動・整理運動をする。

 E リズム運動

(1) 次のリズム運動の技能を養い,フォークダンスや美しい表現ができるようにする。
ア フォークダンス

 (ア) みんなで楽しくフォークダンスをする。

 (イ) 2重円・対列・放射形で,スキップ,ギャロップ,ウォーキング,ミクサーなどをする。相手と調子を合わせて踊る。

イ 表  現

 (ア) 自然現象・日常生活事象・物語などから,やさしい題を選んで表現し,簡単なまとまりをつける。

 (イ) 4人ないし6人で,歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均などの1,2,3,4拍動作を,強度を変え,相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。

 (ウ) 表現の特徴やよい組み合わせを感じとる。
(2) グループごとに計画に従って,役割を分担して練習や発表会を行なう態度を養う。
ア 役割や配役を決めてじょうずに果たす。

イ グループの中で長所,短所を見つけて直しあう。

ウ 役割を分担して発表会を行なう。

 F その他の運動

(1) 次の運動の技能を養い,すもうや初歩的な水泳かできるようにする。
ア すもう……しこ・伸脚・運び足・攻めなどの基本動作をする。押しあい,突きあい,押しと突きを用いたすもうをする。

イ 水  泳

 (ア) クロール……伏し浮きで,ばた足を用いてひと息だけ泳ぐ。

 (イ) 平泳ぎ……顔を水面に出し,かえる足またはあおり足で泳ぐ。

 (ウ) さか飛び込み‥…踏み切って頭から水にはいる。
(2) 健康・安全に注意し,役割を分担し,互いに協力して運動を行なう態度や能力を養う。
ア あらかじめ,攻め手,防ぎ手を決めて,押しと突きの練習をする。

イ のどを攻める,けんつき,胸に頭を突き当てるなどの禁じわさを守る。

ウ リーダーを中心に練習のしかたを決める。

エ 水泳の前後には,必ず人員点呼を受ける。

オ ふたり組みをつくって練習する。

カ 水泳の前後には,準備運動・整理運動をする。

キ プールでのきまりを知り,それを守ってプールの清潔に注意する。

ク さおや手つなぎて救助する方法を知る。
(3) 水泳の心得を理解させ,日常生活に生かされるようにする。
ア 健康を害しているとき,空腹時,疲労時,食事や激動の直後には泳がない。

イ 水泳に安全な場所と危険な場所を知る。

ウ 必ず水泳に自信のあるおとなと同行する。

エ 飛び込むときは,水深,水中の危険物の有無を確かめる。

オ あまり長時間水にはいらない。

カ ひとりだけ離れて泳がない。

キ 水泳中は絶対に悪ふざけをしない。

ク けいれんを起こしたとき,あぶないとき,おぼれた人を見たときは大声で知らせ,近くの人の助けを求める。

 G 体育や保健に関する知識

(1) 健康な生活  身近な日常生活における健康・安全について基礎的な事項を理解させ,これを日常生活において実践する態度や習慣を養う。
ア からだや身の回りを常に清潔にすることの必要を知る。

イ 立位,座位,歩行などの姿勢について相互に比較しながら,よい姿勢と悪い姿勢に気づくとともに,悪い姿勢のきょう正のしかたを理解する。

ウ 激しい運動や長時間の作業などの疲労の状態,各自の睡眠時間などについての経験を通して,休養・唾眠の必要を理解する。

エ 運動が健康上必要なこと,自己の健康状態に応じた運動のしかたなどについて理解する。
(2) 身体の発選状態や健康状態  自己のからだの発達状態や健康状態について理解させるとともに,日常生活における健康異常の状態について理解させ,健康異常に注意する態度を養う。
ア 健康診断の結果に基づいて,自己の身長・体重・胸囲・座高を知り,また,他人や同年齢の者と比較し,自己のからだの形態的発達状態を知る。

イ 健康診断の結果に基づいて,自己の視力・聴力の状態,疾病異常の有無などの健康状態について知り,進んで治療を受けたり,健康をそこなわないように注意したりすることの必要に気づく。

ウ 肺活量・背筋力・握力・基礎的運勤能力などの測定の結果に基づいて,自己のからだの機能の現状を知り,運動がこれらの機能の向上に役だつことに気づく。

エ 健康異常の状態にあるときは,顔色が悪くなったり,気分が悪くなったり,食欲がなくなったり,頭痛がしたりすることなどを知り,また,その場合には,体温・脈はく・呼吸などに変化が起こることもあることについての理解を深める。さらに健康異常の場合は,進んで処置を受けるようにする。

3 指導上の留意事項

(1) 各運動の指導において,必要に応じて,縦隊や横隊の整列,列の増減ができるようにする。

(2) 女子は,この学年ごろから身体の発達が急速になるので,女子の特性を考慮して指導する。

(3) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える。運動後からだを清潔にするなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。

(4) さか飛び込みについては,児童の心身の状態に応じ,強制することなく,特に危害予防については,じゅうぶん留意する。このことについては,第6学年においても同様である。

(5) D(1)のウ「簡易サッカー」の指導では,男女別に練習の方法やチームの編成などを考慮する。このことについては,第6学年においても同様である。

(6) F(1)のア「すもう」は,女子の場合,欠くことができる。このことについては第6学年についても同様である。

(7) Gの指導においては,理科,家庭科などとの関連を図り,また,掛け図等の視聴覚教材を利用するなどして,適切な計画を立て,学習効果のあがるように指導する。

 

〔第6学年〕

1 目  標

(1) 各種のやや組織だった運動を行なわせ,運動技能や基礎的な運動能力を高め,身体諸機能の調和的な発達を図る。

(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚し,共通の目標に向かって互いに協力して練習やゲームを行なう態度を伸ばす。

(3) 練習やゲームのしかたをくふうし,討画的に行なう能力を育て,校内競技などの計画や運営に参加できるようにする。

(4) 競争やゲームで,規則を守り,最後まで努力し,勝敗の原因を考え,さらに進歩向上を図ろうとする態度を伸ばす。

(5) 運動やスポーツなどに関する初歩的知識をもたせ,日常生活における運動や遊びを健全に豊かにする態度や能力を養う。

(6) 日常かかりやすい病気やけがの予防,簡単な処置について理解させ,健康・安全な生活ができる態度を養う。

2 内  容

 A 徒手体操

(1) 次のような運動によって,身体を部分的,総合的に動かすことができるようにする。
ア あしの運動……閉脚または開脚で手をひざにあて,ひざを屈伸する。腕を内外に回しながら,ひざを屈伸する。足を前−横−前に振り上げる。両腕を曲げ,前上方に振り上げながら,その場でまたは移動して上方に強くとぶ。

イ 腕の運動……腕を前・横・上下に強弱・遅速をつけて屈伸する。腕を下からうしろに振り,上に上げる。腕を横8の字形に回旋する。

ウ 首の運動……首を前後・左右に曲げる。首を左右に回す。首を回旋する。

エ 胴体の運動……腕を斜め上に上げ,胸を伸展する。腕を前に上げ,左右に開いて,胸を伸展する。腕を横に上げ,片腕を横から上に上げながら体を左右に曲げる。閉脚で,体を前に曲げ,ひざを曲げてしゃがみ,ひざを伸ばして体を前に曲げ,体を起こして腕を斜め上に上げ,胸を後ろにそらす。腕を上に上げ,体を後ろに深く曲げる。ひざつきですわり体を後ろに曲げる。腕立て伏臥(が)の姿勢でとびながらひざを屈伸する。舟のろをこぐ動作をする。腕を前に上げ,左(右)に振り,体を左(右)に回す。開脚で体を回旋する。
(2) 互いに協力して運動を行なう態度や能力を養う。
ア グループで計画を立てて練習する。

 B 器械運動

(1) 次の運動によって,器械運動の初歩的な技能を養う。
ア 鉄棒運動……さか上がり(伸膝(しつ)),腕立て後ろ回り(連続),足かけ後ろ回り,足かけ前回り,足かけ上がり――足かけ後ろ回りをする。

イ とび箱運動……開脚の腕立てとび越し(とび箱,縦,高さ約70cm),閉脚の腕立てとび越し(とび箱,横,高さ約60cm),腕立て横とび越し(とび箱,横,高さ約70cm。伏臥(が)の姿勢),前回り(とび箱,縦,高さ約50cm)をする。

ウ マット運動……前回り−後ろ回り,とびこみ前転,腕立て側転,背支持腕立て前転,倒立(補助)をする。
(2) 互いに協力して運動行なう態度や能力を養う。
ア グループで計画を立てて練習する。(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 器械・器具の破損の有無に注意し,安全を確かめる。

イ 準備運動・整理運動をする。

 C 陸上運動

(1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。
ア 矩距離走(約100 m)……体をやや前に傾けて,手足の調和を保って直線やコーナーを走る。

イ リレー……リレーゾーンがじょうずに使える。

ウ 障害走……きき足で踏み切れるように足を合わせる。

エ 特久走……同じような調子で約1,000 m走る。

オ 走り幅とび……そりとびのような形でとぶ。

カ 走り高とび……とび越し方や到着地点を考えてとぶ。

キ 立ち三段とび……腕を大きく振ってとぶ。
(2) グループごとに目標をもち,協力して練習する態度や勝敗に対する正しい態度を養う。
ア グループごとに計画を立てて協力して練習する。

イ 記録・計測などの係りを代わりあって行なう。

ウ 勝敗にこだわらず最後までがんばる。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 砂場,走路,用具などの安全を確かめ,整備する。

イ 準備運動・整理運動をする。

ウ 持久走では,自分のからだの調子を考えて走る。

 D ボール運動

(1) 次のボール運動の技能を高め,ゲームができるようにする。
ア ポートボール……走っている味方の速度・方向を考えてパスをする。片手のパスをする。ボールだけでなくまわりも見てドリブルする。ボールを得たら,速く攻める。相手を決めてじゃまをする。審判をする。

イ ソフトボール……正しい構えでスイングしてボールを打つ。走塁・盗塁・帰塁をする。バックアップやベースカバーをする。審判をする。

ウ 簡易サッカー……右足も左足も使ってける。ヘッディングをする。ドリブルからパスやシュートをする。相手のボールを前や横からじゃまをする。ポジションを守って攻めたり守ったりする。審判をする。
(2) 練習やゲームを計画的に進める能力を高める。
ア 互いに能力を考えてチームを編成し,規則をつくり,計画的に練習やゲームを行なう。

イ 相手の立場を考えながら,意見を交換し,目標に協力する。

ウ 用具・コート係りの役割を分担し,それを果たす。

エ なるべく多くの者が交代して審判をする。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
ア 競技規則で禁じられた方法を用いない。

イ コートや用具の安全を確かめ,整備する。

ウ バットの取り扱いに注意し,危険のないようにする。

エ 準備運動・整理運動をする。

 E リズム運動

(1) 次のリズム運動の技能を高め,フォークダンスや美しい表現ができるようにする。
ア フォークダンス

 (ア) やさしい郷土の民踊,その他前学年よりやや進んだ程度のフォークダンスなどをする。

 (イ) 方射形・対列・1重円でスキップ,ランニング,ウォーキング,ギャロップ,スタンプ,日本民踊の手ぶり・足どりなどをする。

 それぞれの国の踊りの特徴にふさわしく踊る。

イ 表  現

 (ア) 自然・日常生活事象・音楽・物語などからやさしい題を選んで表現し,中心をもつようにまとめる。

 (イ) 4人ないし6人で,歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒などの1,2,3,4拍動作を強度や連続を変えて相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。

 (ウ) 題や内容の選び方,表わし方,まとめ方などについてよい表現を見分ける。
(2) グループで相互に協力して練習や発表会を計画し,運営する能力を養う。
ア グルーブごとに簡単な練習計画を立てる。

イ 役割や配役を決めてじょうずに果たす。

ウ グループの中で,またグループ相互に長所,短所を見つけて直しあう。

エ 発表会を計画し,プログラム係り,進行係りなどの役割を決め、運営する。

 F その他の運動

(1) 次の運動技能を養い,すもうや水泳ができるようにする。
ア すもう……しこ・伸脚・運び足・攻めなどの基本動作を行なう。押しあい,突きあい,寄りあいの練習をする。押し・突き・寄りを用いたすもうをする。

イ 水  泳

 (ア) クロール……腕と足の動作を調和的にする。腕で水をかいたときに息を吸う。

 (イ) 平泳ぎ……主として脚の力で泳ぎ,腕は浮きをとる。

 (ウ) 潜水……平泳ぎの要領で潜水する。

 (エ) さか飛び込み……低い台から飛び込む。
(2) 健康・安全に注意し,グループで計画をもって協力して運動を行なう態度や能力を養う。
ア リーダーを中心に練習のしかたを決める。

イ チームをつくり,チーム対抗のすもうの競技会を計画し,運営する。

ウ 頭の毛をつかむ,すねをける,つねる,さばおりなどの禁じわざを守る。

エ 水泳の前後には,必ず人員点呼を受ける。

オ 水泳ではふたり組みをつくって練習する。

カ 水泳の前後には,準備運動・整理運動をする。

キ プールでのきまりを守り,プールの清潔に注意する。

ク 浮き具を投げて救助する方法を知る。
(3) 水泳の心得を理解させ,日常生活に生かされるようにする。
ア 健康を害しているとき,空腹時,疲労時,食事や激動の直後には泳がない。

イ 水泳に安全な場所と危険な場所を知る。

ウ 必ず水泳に自信のあるおとなと同行する。

エ 飛び込むときは,水深,水中の危険物の有無を確かめる。

オ あまり長時間水にはいらない。

カ 沖に向かって泳がないで岸に平行に泳ぐ。

キ 水泳中は絶対に悪ふざけをしない。

ク けいれんを起こしたとき,あぶないとき,おぼれた人を見たときは,大声で知らせ,近くの人の助けを求める。

 G 体育や保健に関する知識

(1) 病気の予防  日常かかりやすい病気の症状とその予防のしかたについて理解させる。
ア かぜの症状や原因について知り,その予防に努める。

イ インフルエンザの症状や感染経路を知るとともに,その予防には,うがいをしたり,患者に近づかないことなどが必要であることを知る。

ウ 回虫病,十二指腸虫病の症状について知るとともに,その感染経路についての理解を深め,その予防に注意し,定期的に検便を受け,虫卵があったときは,駆虫に努めるようにする。

エ 白せん,かいせんなどの皮膚病の症状や感染経路を知り,その予防には,からだや衣服の清潔がたいせつであることを知る。

オ トラホーム,流行性角結膜炎などの症状や感染経路について知り,その予防について努める。

カ 食中毒の症状やおもな原因について知るとともに,その予防には,ねずみやごきぶり,(あぶら虫)の駆除,食物の保存に注意すること,加熱して食べることなどが必要であることを知る。

キ 赤痢の症状を知るとともに,消化器系の伝染病の予防には,下水やふん便の完全な処理,なま水やなまものを飲食しないこと,はえの発生の防止や駆除など,いろいろな方法があるが,日常生活において手をよく洗うことや,食物の清潔に注意することが最もたいせつであることを知る。

ク 結核については,発病していても自覚症状のほとんどないことや,その予防には,定期的な健康診断を受け,その結果に従って適切な処置を受けることが必要であることを知る。なお,自然陽転者は,約1か年,日常生活において特に栄養や休養に注意しなければならないことを知る。

ケ 伝染病の発生状態などから,伝染病の予防のために,予防接種が必要であることを知るとともに,定期的に受けなければならない予防接種の種類を知る。
(2) 傷害の防上  けがややけどの原因とその防止について理解させ,簡単な応急手当てができるようにする。
ア 交通事故,遊びや運動の事故,その他日常生活における事故の原因と防止のしかたについて知り,特に,聴覚の障害からくる危険を予防し,これに対処する能力と態度を養い,また安全についての規則を理解し,必要に応じて安全についてのきまりをつくる。

イ やけどの原因と防止のしかたを知る。

ウ すり傷,切り傷の手当てや簡単な止血法,ほうたいの簡単なしかた,およびやけどの簡単な手当てについて理解するとともに,それに必要な技能を養う。
(3) 各種の運動の特徴と運動競技会  運動の種類とその特徴,校内競技,運動会などの計画や運動についての基礎的事項について理解させるとともに,国民的な体育行事についても関心をもたせ,日常生活において進んで運動を実践する態度や習慣を養う。
ア いままで学習した運動について,その種類や特徴についての理解を深め,仲間や場所に応じた運動のしかたを知る。

イ 校内競技,運動会の計画や運営にあたって必要なチームの単位,競技会の形式,競技規則,役員などの決定,コートや用具の整備などの基礎的事項について知る。

ウ 広く国民の間に運動やスポーツを普及し,生活を明るく健全にするため,毎年,国民的な体育行事として国民体育大会が設けられていることを知る。

3 指導上の留意事項

(1) 各運動の指導において,必要に応じて,場所の広さに応じ縦隊や横隊に整列することができるようにする。

(2) 女子は,身長,体重の急速な発達に心臓の発達が伴わないことがあり,また第二次性徴も現われはしめるので,その特性を考慮して指導する。

(3) 潜水については,児童の心身の状態に応じ,強制することなく,特に危害予防については,じゅうぶん留意する。

(4) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える,運動後からだを清潔にするなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。

(5) Gの(1),(2)については,理科,家庭科などとの関連を図り,学習効果のあがるように指導する。(2)については,単なる知識の指導に終わることなく,AからFまでの各領域や特別教育活動などとの関連を図り,適切に指導する。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 次の表は,年間の授業時数に対する各領域の授業時数のおよその割合を示したものである。

 
学年

領域






徒 手 体 操

5〜10%

5〜10%

5〜10%
器 械 運 動

20〜25%

15〜20%

15〜20%
陸 上 運 動

10〜15%

15〜20%

15〜20%
ボ 一 ル 運 動

10〜15%

20〜25%

20〜25%
リ ズ ム 運 動

20〜25%

15〜20%

15〜20%
そ の 他 の 運 動

20〜25%

15〜20%

5〜10%
体育や保健に関する知識
   
10%
2 第2に示す内容は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱うことを標準とするものであるが,児童の聴覚の障害の状態に即し,地域や学校の実態を考慮し,特に必要と認める場合は,これに示していない運動種目を加えて指導してもさしつかえない。しかし,いたずらに指導する種目を多くしたり,程度の高い事項を取り扱ったりして,示された目標や内容の趣旨を逸脱したり,負担過重にならないよう慎重に配慮しなければならない。

3 地域の特性,施設,季節およびその他の条件を考慮して,各領域の内容やその授業時数について,次のような措置をとることができる。

(1) 適当な水泳場がなく,水泳を実施することができない場合は,水泳を欠くことができる。その場合は,水泳に割り当てられた時数は,他の領域の内容に割り当てる。

(2) 寒冷地,積雪地では,スキー(雪遊びを含む。),スケートを指導することができる。この場合,1に示した内容の各領域についての授業時数の割合をあまりせばめないよう配慮する。

4 各学校において,指導計画を立てる際,内容を組織し,配列する場合には次のような点に留意する。

(1) それぞれの運動の特性,児童の健康状態,運動の経験などの現状,地域の特性,施設用具などを考慮して内容を組織し,たとえば,運動種目を組み合わせたり,基礎的な運動能力の測定の機会を設けたりするなども配慮する。

(2) 前後の学年をあわせて,複式による指導を行なうことが適当な場合においても,児童の年齢および心身の発達の程度を考慮して内容を選定し,適切な指導を行なうようにする。

(3) 内容の配列にあたっては,特別教育活動,学校行事等(たとえば,運動会など),季節および施設用具などを考慮する。

5 学習指導に際しては,次のような点を考慮する。

(1) 運動の特性や指導のねらいに応じ,単に技能の指導に陥ることなく,必要な内容が片寄りなく学習されるように各種の指導の方法を活用し,学習効果のあがるように配慮する。

(2) 児童の聴覚の障害に伴う運動機能の不適応に,じゅうぶん留意し,男女の特性や個人差に即し,また心身の発達の程度に応じた目標をもたせるなど,個人差に応ずる指導を考慮する。

(3)  毎時間の指導においては,常に児童の健康状態を観察し,健康に異常のある場合は,休養または見学させるなどの指導は当然であるが,また,病弱者,身体虚弱者,その他心身の障害をあわせもつ児童に対しては,学校医と密接な連絡をとり,その障害の状態に即して適切に指導する。

(4) ボール運動などの審判法については,笛・太鼓・旗などの使用についてくふうする。

(5) 登校,下校の際には交通規則をよく守り,また,危険な場所で遊ばないように指導する。


 

第3章 道徳,特別教育活動および学校行事等
第1節 道  徳

第1 目  標

 人間尊重の精神を一貫して失わず,この精神を,家庭・学校その他各自がその一員であるそれぞれの社会の具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造と民主的な国家および社会の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成することを目標とする。

 以上の目標を達成するため,道徳の時間においては,次の具体的な目標のもとに指導を行なう。

1 日常生活の基本的な行動様式を理解し,これを身につけるように導く。

2 道徳的心情を高め,正邪善悪を判断する能力を養うように導く。

3 個性の伸長を助け,創造的な生活態度を確立するように導く。

4 民主的な国家・社会の成員として必要な道徳的態度と実践的意欲を高めるように導く。

第2 内  容

 それぞれの具体的な目標に,最も関係の深いと思われる内容は,次のとおりである。

 この内容はおのおの,他の具体的な目標や内容とも関連するものである。

 また,その配列は,指導の順序を意味するものではない。

 実際の指導においては,いくつかの内容を関連づけて指導することが,効果的な場合が多いであろう。

 (かっこ内の説明は,学年段階に応じて指導することか望ましと考えられる内容の重点を示したものである。しかし,学年段階によって,内容の重点に特に差異をつけなくてもよいと思われるものについては,説明を省略した。)

主として「日常生活の基本的行動様式」に関する内容

(1) 生命を尊び,健康を増進し,安全の保持に努める。

(2) 自分のことは自分でし,他人にたよらない。

(3) 服装・言語・動作など,時と場に応じて適切にし,礼儀作法を正しくする。

(4) 身のまわりを整理・整とんし,環境の美化に努める。

(5) ものや金銭をだいじにし,じょうずに使う。

 (低学年・中学年においては,自他のものの区別をすること,ものや金銭をだいじに使うこと,公共物の愛護と使い方などを指導し,高学年においては,さらに,これらを関連づけたものを内容とすることが望ましい。)

(6) 時間をたいせつにし,きまりのある生活をする。

 (低学年においては,決められた時刻を守ることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,時間の有効な使い方や時間を決めて,きまりのある生活をすることなどを加えて内容とすることが望ましい。)

主として「道徳的心情・適徳的判断」に関する内容

(7) 自他の人格を尊重し,お互いの幸福を図る。

 (低学年においては,この心情の芽ばえを育てることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,他人の気持ちや立場を尊ぶこと,人間の尊さを知ることなどを内容とすることが望ましい。)

(8) 自分の正しいと信ずるところに従って意見を述べ,行動し,みだりに他人の意見や行動に動かされない。

 (低学年においては,自分の考えをはっきり述べることや自分の考えをもって行動することを指導し,中学年・高学年においては,さらに,みだりに他人に動かされないことなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(9) 自分の考えや希望に従ってのびのびと行動し,それについて責任をもつ。

 (低学年においては,のびのびと行動することを指導の中心とし,中学年においては,さらに,責任ある行動をするということを指導し,高学年においては,自由と責任との関連をも考えさせることなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(10) 正直でかげひなたなく,真心をもった一貫性のある行動をする。

 (低学年においては,うそを言わないこと,ごまかしをしないこと,約束を守ることなどを指導し,中学年・高学年においては,常に誠実に行動することを内容とすることが望ましい。)

(11) 正を愛し不正を憎み,誘惑に負けないで行勤する。

 (低学年においては,正を愛し不正を憎む気持ちを育てることを指導の中心とし,中学年においては,さらに,みずから正と不正を見きわめることや誘惑に負けないことなどを加え,高学年においては,これらを総括して内容とすることが望ましい。)

(12) 正しい目標の実現のためには,困難に耐えて最後までしんぼう強くやり通す。

 (低学年においては,つらいことにも耐えることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,障害や失敗にもくじけないで,ねばり強くものごとをやりぬくことなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(13) 自分を反省するとともに,人の教えをよく聞き,深く考えて行動する。

 (低学年においては,あやまちや欠点をすなおに認めることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,常に言行をふり返ること,人の教えをよく聞くこと,深く考え落ち着いて行動することなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(14) わがままな行動をしないで,節度のある生活をする。

 (低学年においては,わがままをしないことを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,度を過ごさない生活をすることなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(15) いつも明るく,なごやかな気持ちで,はきはきと行動する。

(16) やさしい心をもって,動物や植物を愛護する。

(17) 美しいものや崇高なものを尊び,清らかな心をもつ。

主として「個性の伸長,創造的な生活態度」に関する内容

(18) 自分の特徴を知り,長所を伸ばす。

 (低学年においては,他の内容に含めてこの趣旨を生かし,中学年・高学年においては,自分の特徴を知ることや長所を伸ばすことを内容とすることが望ましい。)

(19) 常により高い目標に向かって全力を尽くし,大きな希望をもつ。

 (低学年においては,ものごとを熱心にやり,それを成し遂げた喜びを感じさせることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,目標に向かって絶えず励むこと,志を立て,希望をもって進むことなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(20) ものごとを合理的に考えて行動する。

 (低学年においては,よく考えて行動することを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,事実に即して考えること,広い視野に立って,正しく批判し,判断して行動することを加えて内容とすることが望ましい。)

(21) 創意くふうをこらして生活をよりよくしようとする。

 (低学年においては,くふうして仕事をすることを指導の中心とし,中学年においては,さらに新しい考えや方法を生み出すことを指導し,高学年においては,創意的な生活をすることなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(22) 常に研究的態度をもって,真理の探究に努める。

 (低学年においては,研究的態度の芽ばえを育てることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,真理を尊び,常に研究的態度をもってその探究に努めることを内容とすることが望ましい。)

(23) よいと思ったことは進んで行ない,新しい分野も開いていく。

 (低学年・中学年においては,よいと思ったことは進んで行なうことを指導の中心とし,高学年においては,さらに,積極的に新しい分野を切り開いていくことなどを加えて内容とすることが望ましい。)

主として「国家・社会の成員としての道徳的態度と実践的意欲」に関する内容

(24) だれにも親切にし,弱い人や不幸な人をいたわる。

(25) 自分や世の中のために尽くしてくれる人々に対し,尊敬し感謝する。

 (低学年においては,自分の世話をしてくれる人々や,公共のために尽くす人々に対し,尊敬し感謝することを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,先人の遺業を敬うことなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(26) 互いに信頼しあい,仲よく助けあう。

 (低学年においては,友だちと仲よくし,励まし助けあうことを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,正しい忠告をすることや,人を信頼し人の信頼を裏切らないことなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(27) 自分の好ききらいや利害をとらわれずに,公正にふるまうとともに,だれに対しても公平な態度をとる。

(28) 人の立場を理解して,広い心で人のあやまちをも許す。

 (低学年においては,人のあやまちを許すことを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,広い心をもって自分と異なる意見をも重んずることなども加えて内容とすることが望ましい。)

(29) 規則や,自分たちで作るきまりの意義を理解し,進んでこれを守る。

 (低学年においては,きまりや規則を守ることを指導の中心とし,中学年・高学年においては,規則の意義を知ることや,自分たちできまりを作り,これを守り,さらに改善することなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(30) 権利を正しく主張するとともに,自分の果たすべき義務は確実に果たす。

 (低学年・中学年においては,自分の果たすべきことは確実に果たすことを指導の中心とし,高学年においては,さらに,権利を正しく主張することや,権利と義務との関連を考えることなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(31) 勤労の尊さを知るとともに,進んで力を合わせて人のためになる仕事をする。

 (低学年においては,自分の仕事に励むことを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,勤労の意義や尊さを知ること,協力してみんなのためになる仕事をすることなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(32) 公共物をたいせつにし,公徳を守り,人に迷惑をかけない。

(33) 家族の人々を敬愛し,よい家庭を作りあげようとする。

 (低学年においては,父母・きょうだいに対し感謝の念や親愛の情をもつことを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,家庭における自分の役割を果たして,よい家庭を作ろうとすることなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(34) 学校の人々を敬愛し,りっぱな校風を作りあげようとする。

 (低学年においては,先生や友だちに対して感謝の念や親愛の情をもつことを指導の中心とし,中学年・高学年においては,さらに,学校に対する愛情をもって,りっぱな校風を作ろうとすることなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(35) 日本人としての自覚をもって国を愛し,国際社会の一環としての国家の発展に尽くす。

 (低学年においては,国民的な心情の芽ばえを育てることを指導の中心とし,中学年においては,さらに,日本の国土やすぐれた文化・伝統をたいせつにすることを指導し,高学年においては,国家の繁栄を願い,国民としての責任を自覚して,国際社会の一環としての日本の発展に尽くそうとする意欲を育てることなどを加えて内容とすることが望ましい。)

(36) 広く世界の人々に対して正しい理解をもち,仲よくしていこうとする。

 (低学年・中学年においては,国民相互はむろんのこと,外国の人々に対しても,偏見にとらわれないで親しみの情をもつことや,あたたかい心で助けあうことなどを指導し,高学年においては,さらに,進んで世界の国々と仲よくし,世界の平和と人類の幸福に役だつ人間になろうと努めることなどを加えて内容とすることが望ましい。)

第3 指導計画作成および指導上の留意事項

1 指導計画は,学校の教育活動全体を通して行なう道徳教育の計画の一環として,各教科,特別教育活動および学校行事等における道徳教育を補充し,深化し,統合し,またはこれと相互に交流しうるよう,組織的,発展的なものでなければならない。

2 指導計画は,学校における道徳教育の全体計画,地域や児童の実態等を考慮して,具体的に立てることが必要である。

3 指導計画は固定的なものとは考えず,児童の生活の中に起こる問題や時事的な問題等をも適宜取り入れ,修正を加えるよう,弾力性をもたせることが特にたいせつである。

4 低学年における道徳の時間については,1単位時間を2,3回に分けて指導することもさしつかえない。

5 児童の道徳性に関係する家庭環境,生育歴,地域の特性や交友などについての資料は,指導計画作成のためにも,指導の効果をあげるためにも,できるだけ多く収集・整理しておき,これを活用することが望ましい。

6 指導の効果をあげるためには,家庭や地域社会との連絡を密接にするとともに,よい学級のふんい気を作ることが必要である。

7 指導にあたっては,できるだけ児童の自主性を尊重するとともに,また教師の積極的な指導が必要である。

 教師は,常に児童とともに人格の完成を目ざして進むという態度をもつとともに,長い目で児童の変化を見つめ,根気よく指導しなければならない。

8 指導にあたっては,児童が聴覚の障害からくる種々の困難を克服して,強く生きようとする意欲を高め,明るい生活態度を養うとともに,情緒の安定を図り,健全な人生観の芽ばえを育てるよう留意することがたいせつである。

9 指導は,広い角度から種々の場面・機会・教材を利用して行なわなければならない。その際,話し合い,教師の説話,読み物の利用,視聴覚教材の利用,劇化,実践活動などの諸方法を適切に組み合わせて用い,教師の一方的な教授や単なる徳目の解説に終わることのないようにしなければならない。

10 児童の道徳性は年齢によって異なった発達を示し,同一年齢においても,児童によってある程度まで発達の様相を異にするのであるから,これらの発達の段階や個人差に応じた指導方法をとる必要がある。

11 児童の適徳性について評価することは,指導上たいせつなことである。しかし,道徳の時間だけについての児童の態度や理解などを,教科における評定と同様に評定することは適当ではない。


 
第2節 特別教育活動

第1 目  標

1 児童の自発的,自治的な活動を通して生活経験を拡充し,日常生活や学校生活の諸問題を適切に処理する能力を高め,自主的な生活態度を養い,社会性の育成を図る。

2 所属する集団の運営に積極的に参加し,自信と意欲をもって,その向上発展に尽くすことができるようにする。

3 実践活動を通して,個性の伸長を図り,趣味や教養を深めて余暇を善用る基礎を養い,心身ともに健康で充実した生活ができるようにする。

 

第2 内  容

 特別教育活動においては,児童会活動,学級会活動,クラブ活動などを行なうものとする。

 A 児童会活動

 児童会は,全校の児童をもって構成し,学校生活に関する諸問題を話し合い,解決し,さらに学校内の仕事を分担処理するための活動を行なう。その運営は主として高学年児童によって行なわれる。

 B 学級会活動

 学級会は,学級ごとに,全員をもって組織し,学級生活に関する諸問題を話し合い,解決し,さらに学級内の仕事を分担処理するための活動を行なう。

 C クラブ活動

 クラブは,主として中学年以上の同好の児童が組織し,共通の興味・関心を追求する活動を行なう。

 

第3 指導計画作成および指導上の留意事項

1 特別教育活動の指導計画作成およびその実施にあたっては,児童の自発的な要求を可能なかぎり受け入れるようにし,取り上げるべき種類,時間,方法などを慎重に考慮する必要がある。その際,各教科,道徳および学校行事等との関連はもちろん,児童の実態について,じゅうぶん留意しなければならない。

2 特別教育活動は児童の自主的活動を基本とするものであるから,その計画は,固定的なものではなく,児童とともにいっそう具体的な実施計画を立てることができるような弾力性・融通性に富むものでなければならない。なお,中学部・高等部の特別教育活動と適切な調和が保たれているものであることが望ましい。

3 指導にあたっては,特に下記の事項に留意する必要がある。

 A 児童会活動に関するもの

(1) 児童会は,あくまで児童による実践的な活動を基本とするものであるから,その活動が具体的な生活の場面で実際に生かされ,常に児童の経験の深化と拡大に結びつき,自信と意欲を高めるよう配慮されなければならない。

(2)  児童会に所属するいくつかの部(またはこれに類するもの)の種別や数は,児童の希望,学校の事情などを考慮し,形式的な組織や運営に流れないよう,じゅうぶん配慮し,各部の活動が有機的な関連をもって,学校生活全体を向上しうるような配慮のもとに決められなければならない。

(3)  必要に応じては,小学部の全児童が集まって児童会の集会を開くことがあり,また,中学部・高等部や地域社会との関係において校外における奉仕活動が行なわれる場合も考えられるが,それらの際には学校行事等との関連に留意するとともに,その教育的価値との限界について配慮する必要がある。

 B 学級会活動に関するもの

(1) 学級会は,学級のすべての児童が,積極的に参加できる活動でなければならない。したがって一部の児童だけが運営に参加していることのないように留意する必要がある。

(2) 学級会に所属するいくつかの係り(またはこれに類するもの)の種類や数は,児童の希望,学級の事情などを考慮して,決められなければならない。

(3) 学級会の活動が,単に申し合わせや反省会の形で終わることなく,進んで自分たちの力で問題を解決したり,児童会へ問題を提起したりする実践的な活動とならなければならない。

(4) 毎週一定の時間を学級会にあてることが望ましい。しかし,学年の段階によって,時間の長短は考慮されなければならない。

 C クラブ活動に関するもの

(1) クラブの種別,数の決定には,児童の実態とその希望および学校の実情,地域社会の特性などをじゅうぶん考慮しなければならない。また,余暇を善用する態度を養うよう配慮する必要がある。

(2) どのクラブに参加するかは,児童の自発性にまつのであるが,その際にも教師の適切な指導を忘れてはならない。また,クラブの種別によっては,指導にあたる教師の配置と人数も慎重に配慮する必要がある。

(3) クラブ活動が教科の学習と深い関連をもつ場合が多いのであるが,単に教科の補習にならないように配慮する必要がある。

 

 
第3節 学校行事等

第1 目  標

 学校行事等は,各教科,道徳および特別教育活動のほかに,これらとあいまって小学部教育の目標を達成するために,学校が計画し実施する教育活動とし,児童の心身の健全な発達を図り,あわせて学校生活の充実,発展と児童の生活経験の拡充に資する。

 

第2 内  容

 学校行事等においては,儀式,学芸的行事,保健体育的行事、遠足;学校給食,その他上記の目標を達成する教育活動を適宜行なうものとする。

 

第3 指導計画作成および指導上の留意事項

1 学校行事等の指導計画作成およびその実施にあたっては,各教科,道徳および特別教育活動との関連を考慮するとともに,教育的見地から取り上げるべき種類ならびに実施の時期・時間・回数・方法などを決めなければならない。この際,児童の発達段階に即応するよう留意するとともに,中学部・高等部または寄宿舎の諸行事等との関連を配慮する必要がある。

2 児童の自然や社会に対する関心や理解を深め,人間関係における協力の精神を高め,指導の効果をあげるように配慮する必要がある。

3 地域社会の要請と関連して,学校行事等の計画を作成し,実施する場合には,その教育的価値をじゅうぶん検討し,学校全体の教育計画を乱すことのないよう,特に留意する必要がある。

4 学校行事等の計画や実施にあたっては,児童が常に積極的な意欲をもって障害を克服するよう配慮するとともに,学校生活に変化を与え,児童の生活をより楽しく豊かなものにするように努めなければならない。また,集団行動における児童の規律的な態度を育てることなどにじゅうぶん配慮する必要がある。

5 学校行事等の計画や実施にあたっては,児童の負担過重に陥ることのないように考慮し,その健康や安全に特に留意しなければならない。

6 国民の祝日などにおいて儀式などを行なう場合には,児童に対してこれらの祝日などの意義を理解させるとともに,国旗を掲揚し,君が代をせい唱させることが望ましい。

7 学校給食を実施する学校においては,給食時において,関係の教科,道徳および特別教育活動との関連を考慮して,適切な指導を行なうようにしなければならない。


施行期日

この聾学校学習指導要領小学部編は,昭和39年4月1日から施行する。





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