文部省告示第102号
盲学校学習指導要領中学部編を次のように定めた。

 昭利40年2月27日

文部大臣  愛 知 揆 一




盲学校学習指導要領中学部編
目次

 第1章 総 則
  第1 盲学校中学部の教育目標
  第2 教育課程の編成
  第3 指導計画作成および指導の一般方針
  第4 道徳教育

 第2章 各教科
  第1節 国 語     第7節 保健体育
  第2節 社 会     第8節 技術・家庭
  第3節 数 学     第9節 外国語
  第4節 理 科     第10節 職 業
  第5節 音 楽     第11節 家 庭
  第6節 美 術

 第3章 道徳,特別教育活動および学校行事等
  第1節 道 徳
  第2節 特別教育活動
  第3節 学校行事等

 施行期日




 
第1章 総    則

第1 盲学校中学部の教育目標

 盲学校は,盲者(強度の弱視者を含む。)に対して,幼稚園,小学校,中学校または高等学校に準ずる教育を施し,あわせてその欠陥を補うために,必要な知識技能を授けることを目的としている(学校教育法第71条)。

 盲学校中学部における教育については,この目的を実現するために,小学部における教育の基礎の上に立ち,次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。

1 盲学校小学部における教育の目標をなおじゅうぶんに達成して,国家および社会の形成者として必要な資質を養うこと。
2 社会に必要な職業についての基礎的な知識と技能,勤労を重んずる態度および個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。
3 学校内外における社会的活動を促進し,その感情を正しく導き,公正な判断力を養うこと。


 
第2 教育課程の編成

1 一 般 方 針
(1) 盲学校中学部の教育課程は,必修教科,選択教科,道徳,特別教育活動および学校行事等によって編成するものとすることとなっており,必修教科は,国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育および技術・家庭の各教科,選択教科は,外国語,職業,家庭,数学,音楽および美術の各教科となっている(学校教育法施行規則第73条の8)。
(2) 各盲学校においては,教育基本法,学校教育法,学校教育法施行規則(以下「規則」という。),盲学校学習指導要領中学部編,教育委員会規則等に示すところに従って教育課程を編成するものとする。この場合,各盲学校においては,地域や学校の実態を考慮し,生徒の発達段階,経験および視力またはその他の視機能の障害の状態に即応するように留意しなければならない。
(3) 第2章以下は,おおむね点字により教育を行なうことが適当な者について,目標,内容等を示したものであるから,強度の弱視者のうち,視覚により教育を行なうことが適当な者については,必修教科,選択教科,特別教育活動および学校行事等に関し,この学習指導要領で示す目標,内容の一部を除き,または他の目標,内容を加えて教育課程を編成することができる。この場合にあっては,生徒の視力またはその他の視機能の状態に応じて中学校学習指導要領を参考として編成するものとする。

2 授業時数の配当
(1) 盲学校中学部の各学年における必修教科,選択教科,道徳および特別教育活動のうちの学級活動(以下「学級活動」という。)の授業時数は,次の表のとおりとする。


区  分 第1学年 第2学年 第3学年
 




国 語 175(5) 140(4) 175(5)
社 会 175(5) 175(5) 140(4)
数 学 140(4) 140(4) 105(3)
理 科 140(4) 140(4) 140(4)
音 楽 70(2) 70(2) 35(1)
美 術 70(2) 35(1) 35(1)
保健体育 105(3) 105(3) 105(3)
技術・家庭

 
105(3)

 
105(3)

 
105(3)

 
 




外国語 105(3) 140(4) 140(4)
職 業 70(2) 70(2) 70(2)
家 庭 70(2) 70(2) 70(2)
数 学     70(2)
音 楽 35(1) 35(1) 35(1)
美 術


 
35(1)


 
35(1)


 
35(1)


 
道  徳 35(1) 35(1) 35(1)
学級活動 35(1) 35(1) 35(1)


(2) 上掲(1)の表において,必修教科および選択教科(以下「各教科」という。)のそれぞれの授業時数は,年間の標準授業時数とし,道徳および学級活動の授業時数は,年間の最低授業時数とする。
(3) 上掲(1)の表において,授業時数の1単位時間は50分となっており,かっこ内の授業時数は年間授業日数を35週とした腸合における週当たりの平均授業時数である。
(4) 必修教科の授業時数の計は,第1学年にあっては945単位時間,第2学年にあっては910単位時間,第3学年にあっては840単位時間を,各学年における選択教科の授業時数の計は105単位時間を,また各学年における各教科,道徳および学級活動の授業時数の計は1,120単位時間を,それぞれ下ってはならない。
(5) 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等に授業時数を配当するにあたっては,下記の事項に注意する必要がある。
ア 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の年間の総授業時数を定めたり,配当したりするにあたっては,生徒の負担過重にならないように考慮すること。
イ 特別教育活動のうちの生徒会活動,クラブ活動などや学校行事等については,それらに充てる授業時数は定められていないが,年間,学期,月または週ごとに適切な授業時数を配当するようにすることが望ましいこと。
ウ 各教科の授業時数は,生徒の障害の状態に即応する必要がある場合および数学年の生徒で学級を編制する場合(規則第73条の12第2項で準用する第19条)にあっては,各教科の目標の達成に支障のない範囲において,上掲(1)の表に示す授業時数を増減することができること。
エ 各教科,道徳および学級活動についての各学年の授業は,年間35週以上にわたって行なうように計画すること。
オ 各教科,道徳および特別教育活動についての1週間の時間割りを作成するにあたっては,上掲(1)の表のうち,かっこ内に示した週当たりの平均授業時数を参照し,季節およびその他の事情を考慮し,調和的,能率的な指導を行いうるようにすること。
カ 各教科,道徳および学級活動の授業の1単位時間は,50分とすることが望ましいこと。季節およびその他の事情により,授業の1単位時間を50分未満とする場合は,当該学年において,上掲(1)の表のうちの道徳および学級活動の授業時数ならびに,上記(4)に示す授業時数を下らないようにすること。
 なお,授業の1単位時間には教室を移動したり,休憩したりするのに要する時間を含まないものとすること。
キ 上記(1)の表において,第2学年および第3学年にあたっては,道徳および学級活動の授業時数の合計は,1,120単位時間には達しないようになっているが,各盲学校においては,その実情に即応して,各教科,道徳または学級活動のうち必要と思われるものに授業時数を増して配当し,それらの計が,1,120単位時間以上となるようにしなければならないこと。

3 選択教科の運営
 選駅教科は,土地の状況ならびに生徒の進路およひ特性を考慮して設けるものとし,その際下記によるものとする。
(1) 選択教科を2教科以上履修させている場合は,少なくともいずれか1の教科の授業時数について,70単位時間以上(外国語にあっては105単位時間以上)でなければならないこと。
(2) 盲学校は,個々の生徒について,その進路,特性等をじゅうぶん考慮し,それぞれの生徒に適した選択教科を選択させて履修させるように指導しなければならない。
(3) 選択教科のうち外国語については,英語,その他の現代の外国語のうちいずれか1か国語を履修させることを原則とし,第1学年から履修させることが望ましい。
 なお,進路,特性等により外国語を深く学習しようとする生徒に対しては,第3学年において,これを175単位時間以上履修させることが望ましい。
(4) 進路,特性等により数学をさらに深く学習しようとする生徒に対しては,第3学年において,選択教科の数学を履修させることが望ましい。
(5) 選択教科音楽または美術については,生従の進路,特性等に応じて履修できるようにすることが望ましい。

4 特    例
(1) 私立の盲学校においては,各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等のほか,宗教を加えて教育課程を編成することができ,この場合は,宗教をもって道徳に代えることができることとなっている(規則第73条の12第4項で準用する第24条第2項)。
 また,宗教の時間と道徳の時間とを合わせて設けている私立の盲学校にあっては,宗教の授業時数をもって道徳の授業時数の一部に代えることができるものとする。
(2) 非常変災,伝染病等により,臨時に授業を行なわない場合で,上掲2の(1)の表のうちの道徳および学級活動の授業時数ならびに上記2の(4)に示す授業時数を補うことができないようなやむを得ない事情があるときは,これらの授業時数を下ることができる。
(3) 精神薄弱等他の心身の故障をあわせ有する生徒に係る教育課程については,特に必要がある場合は,特別の教育課程によることができることとなっている(規則第73条の11第1項)。


 
第3 指導計画作成および指導の一般方針

1 盲学校においては,下記の事項に留意して,各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等について,相互の関連を図り,全体として調和のとれた指導計画を作成するとともに,発展的,系統的な指導を行なうことができるようにしなければならない。
(1) 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等について第2章以下に示すとこうに基づき,地域や学校の実態を考慮し,生徒の視力またはその他の視機能の障害の状態や経験に即応して,具体的な指導の目標を明確にし,実際に指導する事項を選定し,配列して,効果的な指導を行なうようにすること。
(2) 第2章に示す各教科(選択教科のうちの職業および家庭を除く。)の内容に関する事項は,上記第2の1の(3)に示す場合を除き,いずれの盲学校においても原則として取り扱うことを必要とするものである。各盲学校において特に必要と認められる場合には,第2章に示していない事項を加えて指導することをさまたげるものではない。しかし,いたずらに,指導する事項を多くしたり,程度の高い事項を取り扱ったりして,学年別の目標や内容の趣旨を逸脱し,または,生徒の負担過重とならないよう慎重に配慮すること。
(3) 選択教科のうちの職業および家庭については,下記の事項に留意して指導計画を作成し,職業生活および家庭生活に関する基礎的な知識と技能を習得させるようにするものとすること。
ア 第2章に示された職業については,農業,工業,商業,その他の分野すべてにわたって指導することもできるし,いずれかの分野に限って指導することもできること。
イ 第2章に示された職業および家庭については,土地の状況や学校の事情,指導する分野などに即応し,第2章に示されていない内容についても指導することができるし,また授業時数や土地の状況,学校の事情,指導する分野などに即応して各分野ごとの内容のいずれかに重点をおいて指導することもできること。
(4) 第2章に示す各教科の学年別の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,そのまま指導の順序を示すものではない。
 各盲学校においては,各事項のまとめ方や順序をくふうして指導するようにすること。(5) 歩行に関する指導は,小学部の基礎の上に立ち基本的事項を保健体育で行なうほか,他の各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の教育活動の全体を通じて行なうものとすること。
(6) 政治および宗教に関する事項の取り扱いについては,それぞれ教育基本法第8条および第9条の規定に基づき,適切に行なうように配慮しなければならないこと。
(7) 生徒が心身の状況によって履修することが困難な各教科は,その生徒の心身の状況に適合するよう課さなければならないことになっている(規則第73条の12第2項で準用する第26条)。各盲学校においては,このような生徒については特別な配慮をしなければならないこと。
(8) 数学年の生徒で編制する学級において,特に必要がある場合は,各教科について,所定の目標の達成に支障のない範囲において,その学年別の順序によらないことができること。

2 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の指導を能率的,効果的にするためには,下記の事項について留意する必要がある。
(1) 生徒の視力およびその他の視機能の障害の状態,失明等の時期,生育歴,発達段階および経験ならびに家庭および寄宿舎等における生活環境をよく理解すること。
(2) 学習の目標を生徒にじゅうぶんはあくさせること。
(3) 生徒の生活経験の不足を補い,これを拡充するように努めること。
(4) 生徒の興味や関心を重んじ,自主的,自発的な学習をするように導くこと。
(5) 生徒の個人差に留意して指導し,それぞれの生徒の個性や能力をできるだけ伸ばすようにすること。
(6) 生徒の調和的な心身の発達,歩行能力の向上,視覚以外の感覚の訓練に努めること。
(7) 強度の弱視者については,保有する視覚を活用することなどによって,できるだけ視知覚の向上を図るように努めること。
(8) 学級および学校における好ましい人間関係を育て,教室内外の整とんや美化に努めるなど学習環境を整えるようにすること。
(9) 教科書,その他の教材・教具などについて常に研究し,その活用に努めること。また,学校図書館の資料や視聴覚教材等については,これを精選して活用するようにすること。
(10) 学校医との連絡を密にし,教育活動全体を通じて,医学的配慮を加えるようにすること。特に,目の衛生と健康に留意すること。
(11) 指導の成果を絶えず評価し,指導の改善に努めること。


 
第4 道 徳 教 育

 学校における道徳教育は,本来,学校の教育活動全体を通して行なうことを基本とする。したがって,道徳の時間はもちろん,各教科,特別教育活動および学校行事等の学校教育のあらゆる機会に,道徳性を高める指導が行なわれなければならない。
 道徳教育の目標は,教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基づく。すなわち,人間尊重の精神を一貫して失わず,この精神を,家庭,学校その他各自がその一員であるそれぞれの社会の具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造,民主的な国家および社会の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成することを目標とする。
 道徳の時間においては,各教科,特別教育活動および学校行事等における道徳教育と密接な関連を保ちながら,これを補充し,深化し,統合し,またはこれとの交流を図り,生徒の望ましい道徳的習慣,心情,判断力を養い,社会における個人のあり方についての自覚を主体的に深め,道徳的実践力の向上を図るように指導するものとする。
 道徳の時間における指導は,学級担任の教師が担当することを原則とする。



 

第2章 各 教 科

第1節 国  語

第1 目  標

1 生活に必要な国語の能力を高め,思考力を伸ばし,心情を豊かにして,言語生活の向上を図る。
2 経験を広め,知識を求め,教養を高めるために,話を確実に聞き取り,文章を正確に読解し,あわせてこれらを鑑賞する態度や技能を身につけさせる。
3 経験したこと,感じたこと,考えたことをまとめ,人に伝えるために,わかりやすく効果的に話し,正しく書写し,的確に文章に書き表わす態度や技能を身につけさせる。
4 ことばのはたらきを理解させて,国語に対する関心や自覚を深め,国語を尊重する態度や習慣を養う。

 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として国語科の目標をなすものである。2,3,4について指導する場合には,常にその根底に1を考慮していなければならない。また,4は,2,3と関連づけて指導することが必要である。


第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 生活に必要な国語の能力の基礎を養う。
(2) 聞くこと,話すことの基礎的な技能を身につけさせるとともに,誠実に聞き,話す態度を養う。
(3) 読むことの基礎的な技能を身につけさせるとともに,読み物に親しむ態度を養う。
(4) 文章を書くことの基礎的な技能を身につけさせるとともに,進んで文章に書き表わす態度を養う。
(5) 点字を正しく,きれいに書くことができるように努めさせる。
(6) ことばの正しい使い方を知って,正しい理解と表現ができるようにさせる。

2 内  容
 A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
 (聞くこと,話すこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 的確な応答のしかたに慣れること。
イ 相手を尊重しつつ,進んで話し合いに参加すること。
ウ 話し合いの筋をたどり,話の主題からはずれないように,聞いたり,話したりすること。
エ 常に向上しようとする意欲をもって聞くこと。
オ 必要な用件やことがらを確実に聞き取ること。
カ 話題を広く求め,場に適切な材料で話すこと。
キ 相手にわかりやすいように,話の組み立てを明確にして話すこと。
ク 朗読のしかたをくふうしたり,朗読を味わって聞いたりすること。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 話し合い,会議などに参加する。
イ 経験したこと,感じたこと,考えたことなどの発表や報告をしたり,聞いたりする。
ウ 考えたこと,読んだこと,調べたことなどの発表や説明をしたり,聞いたりする。
エ 即読をしたり聞いたりする。
(3) 指導にあたっては,劇,校内放送,放送,録音機または電話などを適宜利用した学習をさせることを考慮する。

 (読むこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 文章を読み通す態度を身につけること。
イ 辞書,参考書などの利用のしかたを理解すること。
ウ 文学作品などに親しみ,また,楽しんで読書しようとする態度を身につけること。
エ 説明的な文章の要点を正確につかむこと。
オ 文章の主題や要旨をつかむこと。
カ 段落相互の関係を読み取ること。
キ 文章を読み,ものの見方や考え方についての問題をとらえること。
ク 情景や人間の心情が書かれている箇所を読み味わうこと。
ケ 語句の意味を文脈の中でとらえること。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 記録,報告などを読む。
イ 説明,論説などを読む。
ウ 詩歌,随筆,物語,伝記,小説,脚本などを読む。
(3) 指導にあたっては,身近にある掲示,広告,中学部生徒向きの新聞,雑誌などを利用して,いろいろな文章に慣れさせることを考慮する。また,科学に関して書いた文章,民俗や祖先の生活に取材した文章,人生に対する希望や励ましや障害を克服して強く生きる力などを与える作品,人間の心情や自然の姿を身近に感じさせるような作品,古典をわかりやすく書きかえた文章,やきしい翻訳作品などを用いることを考慮する。
 なお,(2)に掲げられた事項に該当する活動については,特に録音による指導を考慮する。一般に録音は「聞くこと」の活動事項に入れられるものであるが,点字本の不足を補い,あるいは点字本に代わる意味で録音を利用する意義は大きい。その場合(1)の指導事項のほとんどが適用される。したがって,その各項目の「読む」を「聞く」に置き換えて指導することが望ましい。
 このことについては第2学年および第3学年においても同様である。

 (書くこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 必要に応じて,進んで文章に書き表わす態度を身につけること。
イ あらかじめ文章をよく考えてから書く態度や習慣を身につけること。
ウ 自分の書いた文章を繰る態度や習慣を身につけること。
エ 必要な要件やことがらを落ちなく文章に書くこと。
オ 要点を明確に書くこと。
カ 文脈に即して,語句を適切に使い分けること。
キ 点字の表記のしかたに注意し,くぎり符号などを正しく使うこと。
ク 点字を正しくきれいに書くとともに,正しい書写の態度を伸ばすこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 手紙を書く。
イ 経験したこと,感じたこと,考えたことなどを書く。
ウ 事実を知らせる報告を書く。
エ 感想,感動などを文章に書き表わす。
オ 転写,聴写などの練習をする。
(3) 指導にあたっては,文集,新聞(学校新聞などを含む。),ノートしたものまたは掲示などを利用するとともに,自然や身辺のできごと,学校生活のできごとなどを適宜取り上げて,文章を書くように導くことを考慮する。

 B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことの学習を通して,ことばに関する次のような指導を行なう。
(1) 次のような事項を指導する。
ア ことばの正しい使い方を知り,それによって理解と表現を確かめ,説りを正すこと。
イ 文の中の意味の切れ目と続き方に注意し,文の成分の順序や,その間の照応と統一を考えて,理解し表現すること。
ウ 文章の中の意味の切れ目と続き方に注意し,段落を考えて,理解し表現すること。
エ 語句をできるだけ豊かにし,その意味と用法を身につけて,適切に用いること。
オ 同音異義語に注意し,文章の中で正しい意味をつかむこと。
備考 1 イ,ウ,エおよびオの事項は,それぞれアの事項と関連させて指導するものとする。
   2 イ,ウおよびエの事項は,第1学年および節2学年を通して指導するものであるが,第1学年または第2学年のいずれかの学年に重点をおいて指導してもよい。

(2) 指導にあたっては,具体的な言語経験を通して,ことばのきまりの基本的なものに気づき,それらに基づいて,正しい理解と表現を得るようにさせる。
(3) なお,指導にあたっては,次のような点に留意する。
ア 文の成分の順序,ますあけ,抑揚などによって,意味の変化することに気づかせる。
イ 文の組み立てや文章の組み立てに関連して,接続する語句(接続詞などをいう。)の用法に慣れさせる。
ウ 指示する語句(代名詞などをいう。)のはたらき,また,活用の性質などを具体的な用例を通して確かめるとともに,助詞,助動詞およびこれらと同じようなはたらきをもつ語句による各種の表現形式(たとえば,断定,推量,伝聞などをいう。)の用法に慣れさせる。
エ 一つの語句がいろいろの意味や用法をもち,一つの意味がいろいろの語句で表わされることに気づかせる。また,語感の違いに気づかせ,敬語の用法に慣れさせ,語句の組み立てや,接頭語,接尾語のはたらきなどをわからせる。
オ 話しことばと書きことば,共通語と方言などのそれぞれの違いを考えさせる。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 国語の能力をいっそう高め,国語に対する関心や自覚を深めるようにさせる。
(2) 聞くこと,話すことの技能をいっそう高めるとともに,正確に聞き,話す態度を養う。
(3) 読むことの技能をいっそう高めるとともに,必要なものを選んて正確に読む態度を養う。
(4) 文章を書くことの技能をいっそう高めるとともに,事実に基づき,意見を整理して,文章を明確に書く技能や態度を養う。
(5) 点字を正しくきれいに速く書くことができるようにさせる。
(6) ことばのきまりを理解し,ことばを正しく使い分けることができるようにさせる。

2 内  容
 A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
 (聞くこと,話すこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 改まった場での応対や発言をすること。
イ 会議,討議に参加して,話の進行に適する発言をすること。
ウ 話の中心の部分と付加的な部分とに注意して,話の主題を聞き取ること。
エ 効果的なことばづかいに注意しながら,また,語句の意味を推察しながら聞き取ること。
オ 話題を広く求めるとともに,確かな材料や正しい根拠に基づく責任ある話をすること。
カ 話の主題を明確にし,筋道を立てて話すこと。
キ 文学作品などの朗読をしたり,それを鑑賞したりすること。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 会議,討議などに参加して,進行などを勤める。
イ 経験したこと,調査したことなどの発表や報告をしたり,聞いたりする。
ウ 考えたこと,研究したことなどの発表や説明をしたり,聞いたりする。
エ 朗読をしたり聞いたりする。
(3) 指導にあたっては,劇,校内放送,放送または録音機などを適宜利用した学習をさせることを考慮する。

 (読むこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 文章の内容をよく吟味しながら読む態度を身につけること。
イ 辞書,参考書の利用に慣れること。
ウ 自己の向上のために,適当なものを選んで読む態度を身につけること。
エ 説明的な文章の内容を正確につかみ,要約すること。
オ 文章の主題や要旨を確実につかむこと。
カ 文章の中心の部分と付加的な部分とを注意して読み分けること。
キ 文章から読み取った問題について,ものの見方や考え方を深めること。
ク 文学作品などを,表現に注意して,味わって読むこと。
ケ 語句のもつ意味の範囲,語感などをつかむこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 記録,報告などを読む。
イ 説明,論説などを読む。
ウ 詩歌,随筆,物語,伝記,小説,脚本などを読む。
(3) 指導にあたっては,新聞,雑誌などを利用したり,資料の抜粋をさせたり,感想を書かせたりすることを考慮する。また,科学に関して書いた文章,意見や主張を述べた文章,人生に対する希望や励ましや障害を克服して強く生きる力などを与える作品,自然や人生について書いた作品,古典に関心をもたせるように書いた文章,翻訳作品,格言,故事や成語,短くてやさしい文語文などを用いることを考慮する。

 (書くこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 目的に応じて,表現をくふうする態度を身につけること。
イ はっきりした根拠のある材料を用い,事実を正確に文章に書く態度を身につけること。
ウ 事実と意見とを区別して文章を書くこと。
エ 要旨の明確な文章を書くこと。
オ 段落の切り方をくふうし,筋道を立てて文章を書くこと。
カ 文脈にふさわしい語句を選んで,文章を書くこと。
キ 点字の表記のしかたに慣れ,符号などを適切に使うこと。
ク 目的や必要に応じて,適当に書くこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 必要なことを記録する。
イ 研究調査したことなどの説明や報告を書く。
ウ 感想.意見,感動などを文章に書き表わす。
(3) 指導にあたっては,用件や考えたことなどのメモ,手紙,新聞(学校新聞などを含む。),学級日記などを利用するとともに,自然や身辺のできごと,社会のできごとなどを適宜取り上げて,文章を書くように導ことを考慮する。また,書写については,その技能を高め,目的に応じて書くことができるように留意する。

 B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことの学習を通して,ことばに関する次のような指導を行なう。
(1) 次のような事項を指導する。
ア ことばの正しい使い分けを考えて,明確に理解し表現すること。
イ 文の中の意味の切れ目と続き方に注意し,文の成分の順序や,その間の照応と統一を考えて,理解し表現すること。
ウ 文章の中の意味の切れ目と続き方に注意し,段落を考えて,理解し表現すること。
エ 語句をできるだけ豊かにし,その意味と用法を身につけて,適切に用いること。
オ 同音異義語に注意し,文章の中で正しい意味をつかむこと。
備考 1 イ,ウ,エおよびオの事項は,それぞれアの事項と関連させて指導するものとする。
   2 イ,ウおよびエの事項は,第1学年および第2学年を通して指導するものであるが,第1学年または第2学年のいずれかの学年に重点をおいて指導してもよい。
(2) 指導にあたっては,ことばの使い方の相違に気づき,さらに,ことばの使い方を類別整理し,それに基づいて,理解を深め,表現を正すようにさせる。
(3) なお,指導にあたって留意する点については,第1学年の内容のBの(3)に同じとする。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 生活に必要な国語の能力の充実に努め,国語に対する関心や自覚を深めて,言語生活の向上を図るようにさせる。
(2) 目的に応じて,聞くこと,話すことの技能を確かにさせるとともに,自主的に聞き,話す態度を養う。
(3) 目的や形態に応じて読むことの技能を確かにさせるとともに,考えながら読む態度や読書の習慣を身につけさせる。
(4) 目的に応じて文章を書くことの技能を確かにさせるとともに,それを生活に役だてようとする態度を身につけさせる。
(5) 点字を書く技能を完成させる。
(6) ことばのきまりを理解させ,ことばを適切に使い分けさせるとともに,国語の特質について気づくようにさせる。

2 内  容
 A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
 (聞くこと,話すこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 改まった場での応対や発言に慣れること。
イ 会談,討議に参加して,話の主題や意見の展開を整理して聞き,また,適切に発言すること。
ウ 話す人の意見をその根拠を考えながら聞くこと。
エ 話の主題の展開,ことばづかいなどに注意しながら,話す人の真意を確実に聞き取ること。
オ 自分の感情に支配されないで,落ち着いた態度で話すこと。
カ 場にふさわしい話題を選び,適切な材料で裏づけて話すこと。
キ 時間を考慮して,一定の内容を明確にまとめて話すこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 会議,討議などに参加して,司会などをする。
イ 経験したこと,調査したことなどの発表や報告を,大ぜいの前でしたり,それらを聞いたりする。
ウ 考えたこと,研究したことなどの発表や説明を,大ぜいの前でしたり,それらを聞いたりする。
エ 朗読をしたり聞いたりする。
(3) 指導にあたっては,劇,校内放送,放送または録音機などを適宜利用した学習をさせることを考慮する。

 (読むこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 文章の内容を読み取って批判する態度を身につけること。
イ 辞書,参考書,新聞,雑誌など,いろいろな資料を適切に利用する態度を身につけること。
ウ すぐれた作品を読み,人生や社会の問題を考えていく態度を身につけること。
エ 説明的な文章の内容を速く正確につかむこと。
オ 文章を読んで,主題や要旨をつかみ,それについて自分の意見をもつこと。
カ 文章の論理的な構成がわかること。
キ 作者の意図か表現の上にどのように生かされているかを読み取ること。
ク 文学作品などを読んで,鑑賞し,まとまった感想をもつこと。
ケ いろいろな文体の特徴に注意して読むこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 記録,報告などを読む。
イ 説明,論説,評論などを読む。
ウ 詩歌,随筆,物語,伝記,小説,脚本などを読む。
(3) 指導にあたっては,実用的な各種の文章に触れて,これらを読み取るようにさせることを考慮する。また,社会や科学などに関して書いた文章,意見や主張を述べた文章,人生に対する希望や励ましや障害を克服して強く生きる力などを与える作品,自然や人生について書いた作品,翻訳作品,現代語訳や注釈などをつけたり書き下したりして理解しやすくした古典などを用いることを考慮し,なお,わが国のことばや文学について考えさせる文章にも触れさせることを考慮する。

 (書くこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア はっきりした根拠に基づいて,事実や意見を正確に書く態度を伸ばすこと。
イ 論旨をいくつかの論点に分け,適切な構成によって文章を書くこと。
ウ 必要に応じて,それにふさわしい形態で文章を書くこと。
エ ことばの効果を考えて,使い方をくふうして文章を書くこと。
オ 点字を使いこなすこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 必要なことを記録する。
イ 研究調査したことなどの説明や報告を書く。
ウ 意見,感動などを文章に書き表わす。
(3) 指導にあたっては,手紙その他の実用的な文章,新聞(学校新聞などを含む。),または生徒会活動やクラブ活動や学級活動などの記録,報告などを利用するとともに,自然や身辺のできごと,社会のできごとを適宜取り上げて,文章を書くように導くことを考慮する。

 B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことの学習を通して,ことばに関する次のような指導を行なう。
(1) 次のような事項を指導する。
ア ことばのきまりをよりどころにして,的確に理解し表現するくふうをすること。
イ ことばの使い分けについて考え,相手と時と場所に応じて,適切に理解し表現するくふうをすること。
ウ 国語は,国民の思考や心情と深い関連をもち,生活の充実や文化の発展に欠くことのできないものであることを自覚し,国語の特質とその問題点について触れること。
(2) 指導にあたっては,常に国語の能力を高め,国語を愛護し,発展させていこうとする態度を養うようにさせる。
(3) なお,指導にあたって留意する点については,第1学年の内容のBの(3)に同じとする。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 指導計両を作成するにあたっては,聞くこと,話すこと,読むこと,書くことの内容を,相互に密接に関連させて,片寄りがないようにする。
2 聞くこと,話すことを主とする学習は,計画的に指導し,各学年とも,年間授業時数の1/10以上をこれに充てるようにする。なお,共通語の発音については,小学部における学習を基礎として適宜指導することとする。
3 読み物は,文学作品に片寄らないで,広く各種のものにわたるようにする。なお,古典については,基本的なものに適宜触れさせ,古典に対する関心をもたせるように留意する。
4 書くことのうち,作文を主とする学習は,計画的に指導し,各学年とも,年間授業時数の1/10以上をこれに充てるようにする。
5 点字の学習は特に練習を必要とするものであるから,全学年を通じてじゅうぶん習熟するよう適宜指導する。
6 ことばに関する事項の学習は,具体的な言語経験を通して行なうようにし,機械的な暗記,形式的な文例の学習に陥らないように特に留意して指導する。なお,文語のきまりについては,取り扱う文語文を読むのに必要があれば触れる程度にとどめる。
7 学習指導にあたっては,生徒の必要と興味と能力に応じて,聞き,話し,読み,書く活動に有機的な関連をもたせ,それらの活動が総合的に展開されるようにする。その場合に,目標を明らかにし,内容を充実させることに留意する。
8 話題や文章の選定にあたっては,生徒の発達段階に即応させ,片寄りのないように注意しなければならないが,常に正しく強く生きようとする気持ちを養ない,障害を克服して健全な人生観を育てるのに役立つものを加えるように留意する。
9 国語科は,国語について,基礎的,本質的なものの指導を徹底する任務を有するものであるから,指導する事項を精選して,国語の能力の向上に努めなければならない。また,指導計画の作成や学習指導にあたっては,他の教科,道徳,特別教育活動その他の指導と密接に関連させることが必要である。



 
第2節 社  会

第1 目  標

1 自他の人格や個性を尊重することが社会生活の基本であることについての理解をいっそう深め,また民主主義の諸原則を理解させ,これを日常の生活に正しく生かしていく態度や能力を養う。
2 人間生活と自然との関係,地城相互の関係を考えさせ,人々の生活には地域によって特色があることや,その底には共通な人間性が流れていることを理解させ,広い視野に立って,郷土や国土に対する愛情を育てる。
3 われわれの社会生活は長い歴史的経過をたどって今日に及んでいることを理解させ,歴史の発展における個人や集団の役割を考えさせ,よい伝統の継承や社会生活の進歩に対する質任感を養う。
4 家族,村落,都市,国家その他の社会集団の機能や,それらにおける人間の相互関係,ならびにわが国の政治・経済の機構や機能を理解させるとともに,わが国が当面している諸問題に着目させ,社会生活に適応し,さらにこれを改善していこうとする積極的な態度や能力を養う。
5 世界におけるわが国の立場を正しく理解させ,国民としての自覚を高め,民主的で文化的な国家を建設して,世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする態度を養う。

 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として社会科の目標をなすものであり,主として2,3または4のいずれかにかかわる指導においても,常に5をあわせ考慮する必要があり,さらに,すべての指導の根底に,1を考慮しておかなければならない。

第2 各学年の目標および内容

 中学部社会科の目標を達成するために,第1学年では地理的分野について,第2学年では歴史的分野について,第3学年では政治・経済・社会的分野についてそれぞれ学習させることを原則とする。

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 郷土や日本における生活の特色を,他地域との比較・関連において明らかにし,郷土のわが国における地位やわが国の世界における地位を理解させ,郷土や国土に対する愛情を育て,わが国の発展に努力しようとする態度を養う。
(2) 郷土,日本の諸地城,世界の諸地域における生活には,地方的特殊性と一般的共通性とがあることを明らかにし,それらが成立した自然的,歴史的,社会的の条件やその意義を総合的に考えさせ,他地域の人々を偏見や先入観にとらわれないで,正しく理解しようとする態度を育てる。
(3) 日本や世界の各地域相互の関係がますます密接になってきたことを理解させるとともに,これらの各地域における生活を世界的視野に立って考えさせ,国家および世界の一員としての自覚を高め,協調の精神を養う。
(4) 自然環境そのものはあまり変化しないが,人間の自然に対する働きかけのしかたは,科学・技術の進歩によって発展するものであることを理解させる。また,自然をいっそう利用して人間の生活を向上させるためには,自然を深く理解しその愛護に努めるとともに,適切な利用と開発の方法を創意しくふうすることがたいせつであることを理解させる。
(5) 野外観察や調査などを行ない,地理的事象に直接触れ,それを正しく観察したり考察したりする態度や能力を養う。
(6) 地図に親しませ,また,統計その他の資料を正しく取り扱わせて,いろいろな事象の実態,特色,傾向などを読み取る能力を育てる。

2 内  容
(1) 郷  土
  野外観察と調査
  郷土における生活と自然
  郷土と他地域との関係
  郷土の地理的諸問題
 小学部において習得した地理的な知識・技能・態度を拡充させ,野外観察,調査,地図の利用などに関する基礎的な技能をいっそうよく身につけさせる。また,郷土における具体的な事象の学習を通して,地理学習に対する興味と関心を高め,地理的な見方や考え方の基礎を体得させるとともに,郷土に関する理解と関心を深め,広い視野に立って,郷土の発展に努力しようとする態度を養う。
 「野外観察と調査」については,郷土におけるいくつかの地理的事象を選んで観察し調査させる。この際,模型や大きな縮尺の地図と現地のようすを関連づけてとらえるようにし,また,それらの模型や地図を活用して野外調査の初歩的な要領を心得させるとともに,統計その他の資料の取り扱い方を練習させ,人間生活と自然との関係について考えさせる。
 「郷土における生活と自然」については,郷土の自然環境,開発の歴史,人口,産業,交通,衣食住などの大要を理解させる。
 「郷土と他地域との関係」については,物資や人口の移動などを収り上げて,他地域との相互依存関係を理解させる。
 「郷土の地理的諸問題」については,郷土の当面する地理的諸問題」,たとえば開発事業,産業の振興,都市計画などに着目させ,郷土の生活の向上に対して関心をもたせる。
 郷土の地域的範囲については,生徒の生活に最も密接な関係のある範囲を中心とするのが適当であるが,指導する事項のねらいによってはその範囲に広狭があり,行政区画と一致する場合もあり一致しない場合もある。
 指導にあたっては,地理的な見方や考え方の基礎を養うために,郷土を地理的分野の学習の最初に取り扱うのが適当である。しかし,郷土に関する学習は,これだけで終わるのではなく,日本や世界について学習させる際にも,常に郷土を顧み,他地域と郷土との比較,他地域と郷土との関係などの学習によって,郷土に関する理解を深めさせ,結果においては,上記の内容およびそのねらいを達成できるように配慮しなければならない。

(2) 日本の諸地域
  位置と歴史的背景
  自然環境の特色
  資源の開発と産業・交通
  集落・人口
  他地域との関係
 日本の諸地域における生活特に生産活動の特色,地域相互の関係,各地域が日本全体において果たしている役割などを理解させ,人間と自然との関係について考えさせる。
 「位置と歴史的背景」については,たとえば地理的位置の変化,開発の歴史などについて,その地域の現在の事象を理解し,将来の見通しをつけるために必要と考えられる点を取り上げる。
 「自然環境の特色」については,各地域の地形や気候などがその地域の生活特に生産活動や自然の災害などと,どのような関係をもっているかに重点をおいて考えさせる。なお,自然の恩恵や風景の美を感じさせるように配慮することも望ましい。
 「資源の開発と産業・交通」については,各地域のおもな産業や各種の資源の分布とその開発状況などを理解させるとともに,たとえば土壌(じょう)浸食,地盤沈下,鉱害など,産業の発達に伴う地理的諸問題にも着目させて,国土の総合開発と資源の愛護・保全が重要であることを認識させる。また,交通の発達が各地域の産業の発展に果たしている意義を理解させる。
 「集落・人口」については,おもな都市の発達とその機能,その他の特色ある集落,各地域の人口の分布,人口の都市集中などを,そのおもな内容として学習させる。
 「他地域との関係」については,物資や人口の移動現象などに現われた経済的関係を重視する。
 指導にあたっては,いろいろな事象をいたずらに列挙することなく,それぞれの地域の特色が明確に理解できるような事象を選ぶことがたいせつである。また,その地域の課題や,今後の発展の方向について考えさせることが必要である。

(3) 全体としての日本
  日本の自然環境の特色
  日本の人口
  日本の産業・交通・貿易
 日本の自然環境,人口,産業・交通・貿易などには全体としてどのような特色や問題があるかを理解させる。
 「日本の自然環境の特色」については,位置,地形,気候,海洋,自然の災害などの学習を通して,全体としての日本の自然環境を理解させるとともに,それと国民の生活特に生産活動との関係を考えさせる。
 「日本の人口」については,日本の人口現象にはどのような特色や問題があるかを,領土の変化,人口の増減,人口の分布と移動,産業別・年齢別の人口構成などの学習を通して理解させる。
 「日本の産業・交通・貿易」については,日本の農牧業,林業,水産業,鉱業,工業,商業などについて,それぞれの特色や最近の動きを地理的に考察させる。また,どのような農業地域や工業地域などがあるかを明らかにし,その相互関係や,各農業地域や各工業地域がそれぞれ日本全体において占めている地位などを理解させる。それとともに,総合開発地域,交通および貿易などの特色と現状などの学習を通して,わが国の産業の振興と国民生活の向上についての関心を高める。
 指導にあたっては,「(2)日本の諸地域」の学習と関連させて取り扱うとともに,政治・経済・社会的分野との関連に留意して,その学習への関心を高める方向に指導することがたいせつである。

(4) 世界の諸地域
  位置と歴史的背景
  自然環境の特色
  住民と人口
  資源の開発と産業
  主要国の国がらとその国際的地位
 世界の諸地域における生活特に生産活動の特色,他地域との関係,各地域における人間生活と自然との関係,各地域や主要国の世界における地位などを理解させ,わが国の発展に寄与しようとする態度を養う。
 「位置と歴史的背景」については,「(2)日本の諸地域」の場合の取り扱いに準ずるものとする。
 「自然環境の特色」については,「(2)日本の諸地域」の場合の取り扱いに準ずるものとするが,地形,気候のほか,海洋,植物分布などをも取り扱う。
 「住民と人口」については,各地域における人々の衣食住,交通手段,宗教,風習などの生活様式には,それぞれ特色のあることを理解させ,他国民のすぐれた特色に注意させるとともに,人種的,民族的な偏見を取り除かなければならないことについて認識させる。また,人口については,各地域や主要国における人口の分布および増減などの特色を理解させ,生産活動や開発の歴史などと関連させて考えさせる。
 「資源の開発と産業」については,各地域におけるおもな産業,おもな資源の分布とその開発の状況,おもな総合開発地域,資源の開発と国際関係,主要国の交通や貿易などを理解させる。さらに,生産活動には地域によってそれぞれ特色があることに気づかせる。
 「主要国の国がらとその国際的地位」については,主要国について,その政体,国民の民族構成,国民性などを取り扱って,その国がらを理解させ,また主要国の国際政治経済において占める地位,わが国との関係などについて学習させる。
 指導にあたっては,「(2)日本の諸地域」に示したことのほかに,次の諸点に留意する。すなわち,国際社会において重要な地位を占める国についてはいうまでもないが,そのほかわが国と関係の深い国についても重きをおいて指導することが必要である。また,どの地域を指導するにあたっても,常にわが国と比較させ,わが国との関係について考えさせることに留意する。

(5) 全体としての世界
  世界の自然環境
  世界の民族・人口
  世界の資源と産業
  交通・貿易による世界の結びつき
  世界の情勢と日本の地位
 上記の諸事象について,世界の結びつきという観点から,全体的な理解を得させるとともに,世界における日本の地位を正しく理解させる。
 「世界の自然環境」については,世界の水陸分布,地形,気候,海洋などの学習を通して,人間生活と深い関係のある自然環境の意義を理解させる。
 「世界の民族・人口」については,世界における人種,民族,言語,宗教などの分布のあらましや,文化の地域的差異を知らせ,世界における人口の増減と分布の状況を理解させる。
 「世界の資源と産業」については,おもな資源の分布とその開発の状況を明らかにするとともに,世界の農業地域,牧畜地域,工業地域などの特色を比較考察させる。この際,人口分布と関連させて考えさせることが望ましい。
 「交通・貿易による世界の結びつき」については,世界の探検・開発などに伴って地理的知識が拡大してきたこと,交通機関の発達によって世界の時間的距離が著しく縮小されて,諸国家間の関係はいっそう密接になってきたことなどを理解させる。また,おもな物資の移動についての学習を通して,主要国間の経済的な結びつきを理解させる。
 「世界の情勢と日本の地位」については,独立国,植民地,信託統治地などの分布の状態を理解させるとともに,世界には産業の進んだ,地域とまだおくれている地域とがあることや,国家間の紛争,国家群の対立,国際協力の動きなどがあることに触れて,世界の情勢と世界における日本の地位に関心をもつ態度を養う。
 指導にあたっては,「(4)世界の諸地域」の学習と関連させて取り扱うとともに,政治・経済・社会的分野の「(5)世界と日本」との関連に留意して指導することが必要である。

3 指導上の留意事項
(1) 「(2)日本の諸地域」,「(3)全体としての日本」,「(4)世界の諸地域」および「(5)全体としての世界」は,相互に関連しかつ深めあう関係にある。また,「(1)郷土」に関する理解は,日本や世界に関する事項を学習することによって,いっそう深められる。さらに,地理的分野の学習の成果は,歴史的分野や政治・経済・社会的分野の学習指導によって大きく育てられる。指導計画の作成および学習指導に際しては,このような関係をじゅうぶん考慮することが必要である。
(2) 地域区分およびその取り扱いの順序は,指導上の観点や学校所在の地方の事情に従つて,適切に選ぶことが望ましいが,日本または世界を,初めからあまりに数多くの地域に細分して学習させることは,避けなければならない。また広く使用されている地域名については,その意味を理解させることにも留意する必要がある。
(3) 「(2)日本の諸地域」および「(4)世界の諸地域」の学習指導に配当する時数は,それぞれ年間授業時数のおよそ1/3程度以上とすることが適当である。
(4) 「(3)全体としての日本」と「(5)全体としての世界」とを一つにまとめて学習させることも,一つの方法である。
(5) 地理的分野の学習が列挙的,平板的な知識の習得に終わることのないようにするため,指導する事項を精選し,適切な指導法をくふうして,地理的思考力を養うことがたいせつである。
(6) 地図の指導について留意すべきおもな事項は,次のとおりである。
ア 日本または世界の全図や地方図などの縮尺・方位やそれらの地図の記号をだいたい読解できるようにさせる。
イ 各種の分布図から,地理的事象や特色を読み取ることができるようにさせる。
ウ 日本や世界のおもな地理的事象の所在を,地図と結びつけて理解する習慣を身につけさせる。
エ 簡単な地理的事象を地図に表わしたりすることができるように,させる。
オ 日本や世界の各地における時事的なできごとを理解したり,遠足や修学旅行の計画を作成したりするためにも,常に地図を利用する態度や能力を育てる。
カ 地図の指導においては,基本的な内容を確実に指導するようにし,応用的,類推的な能力を伸ばすことが望ましい。
(7) 地図のほか,地球儀,録音教材,標本,模型などや,統計,新聞その他の資料を有効に使用して,地理的経験を広めるなかで地理的事象を具体的に理解させることが必要である。また,放送や有名な探検家,旅行家,開拓者の伝記などを利用することも望ましい。
(8) 野外の観察と調査は,最初に郷土を指導する際に実施するだけでなく,社会科の年間の指導計画の中に適宜に織り込んで実施することが望ましい。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 現在のわれわれの社会生活が,どのような歴史的事情のもとに形成されてきたかを理解させるとともに,身近なことがらや現代社会の当面する種々の問題を,歴史的に考えようとする態度を育てる。
(2) 歴史における名時代の概念を明確につかませ,歴史の移り変わりを総合的に理解させるとともに,それぞれの時代のもつ歴史的意義を理解させ,各時代が今日のわれわれの社会生活にどのように影響しているかを考えさせる。
(3) わが国の歴史を,世界史的視野に立って正しく理解させ,それを通して国家・民族の伝統や日本文化の特質などを考えさせ,われわれが国際社会に対して果たすべき役割を自覚させて,国民的心情の育成を図る。
(4) 近代史の学習に重点をおき,特に民主主義の成立と発展,近代産業の形成,国際関係の推移,近代文化の成長などについて理解させる。
(5) 人類の歴史的発展には,民族,時代および地域によってそれぞれ特殊性があるとともに,その底には共通な人間性のあることを理解させる。また,文化の交流や国際協調の史実を考えさせ,世界平和の実現に進んで協力しようとする意欲と態度を養う。
(6) 歴史は人間の自然環境に対する働きかけや,社会生活をよくするためのたゆまない努力によって発展することを理解させ,国家や社会および文化の発展に尽くした先人の業績(すぐれた盲人の業績を含む。)を理解し尊敬する態度を養う。
(7) 学問,宗教,芸術などの文化遺産を,それらが生み出された時代の学習を通して理解し,それらのもつ意味を考えてこれを尊重し,新しい文化を創造し発展させようとする意欲と態度を養う。
(8) 正確な史実に基づき,種々の学習活動によって,歴史的思考力や公正な判断力を養い,真実を追求しようとする態度を育てる。

2 内  容
(1) 文明のおこり
  人類のはじめ
  世界の文明のあけぼの
  日本の原始社会
 「人類のはじめ」については,人類のおこりに簡単に触れ,原始人が言語,道具,火などの使用によって,しだいに文明生活を営むようになったことを理解させる。
 「世界の文明のあけぼの」については,世界の四大文明の発生に触れ,さらにその拡大を,ギリシア文明・ローマ文明,古代インド文明,漢文明などの学習を通して理解させる。
 「日本の原始社会」については,日本列島の地理的位置や日本民族のおこりについて簡単に触れ,縄文文化・弥生文化,農業生活のはじまりなどの学習を通して,そのころ,われわれの祖先がどのような生活をしていたかを理解させる。
 以上の指導にあたっては,社会組織などに深入りしたり,考古学的な興味だけにとらわれて,これらに多くの時間を費やさないように留意する必要がある。

(2) 日本の古代とアジア
  国家の形成とアジア
  大化の改新と律令制
  奈良・平安時代の政治と日本文化の形成
 「国家の形成とアジア」については,大和朝廷,古墳文化,氏姓制度,大陸文化の伝来,日韓関係の推移などの学習を通して,わが国がアジアの形勢と密接な関連をもちながら統一に向かい,大陸の影響を受けながら国の文化を発展させていったことを理解させる。この際,古典に見える神話や伝承などについても正しく取り扱い,当時の人々の信仰やものの見方などに触れさせることが望ましい。
 「大化の改新と律令制」については,十七条憲法の制定,飛鳥文化,大化の改新,大宝律令の制定などの学習を通して,隋・唐の制度を学んで中央集権的な国家体制が成立した事情を理解させる。この際,唐代文化の特色を明らかにするとともに,制度・文化の輸入にあたって,当時の人々が払った苦心などを考えさせる。
 「奈良・平安時代の政治と日本文化の形成」については,奈良の都と地方,天平文化,荘園制の発達,摂関政治,国風文化などの学習を通して,奈良・平安時代の政治と社会の推移を理解させる。また,この時代の仏教やその他の文化が,国家や貴族の保護のもとに,大陸文化を受け入れて形成された事情と,独自の国風文化に発展していったことを明らかにし,あわせてそれが後世に及ぼした影響についても考えさせる。

(3) 武家社会の形成
  武家政治の成立と展開
  アジア大陸との関係
  鎌倉・室町時代の文化
  産業・経済の発達と地方の動き
 「武家政治の成立と展開」については,武士のおこり,源氏と平氏,鎌倉幕府の成立と発展,建武の新政,室町幕府と応仁の乱,群雄の割拠などの学習を通して,武家政治が公家政治に代わって成立し発展していった過程と,武士の生活やその政治の特色を理解させる。

 「アジア大陸との関係」については,日宋関係,蒙古襲来,日明関係などの学習を通して,中国では宋・元・明があいついでおこったことに触れながら,そのころの中国の文化が,武家文化の形成に大きな影響を与えたことを理解させる。
 「鎌倉・室町時代の文化」については,鎌倉文化と新仏教,東山文化とその普及などの学習を通して,この時代の文化が武士を中心として発展していった事情とその特色を理解させるとともに,現在の生活の中には,この時代の文化や衣食住などの生活様式の残っているものもあることに気づかせる。なお,このころの社寺が教育や文化のうえで重要な役割を果たしたことや,都の文化が地方に広まっていったことに着目させる。
 「産業・経済の発達と地方の動き」については.農村と都市の成長,商工業の勃興,庶民生活の向上などの学習を通して,今日の村落や都市の中には,その基礎がこのころにできたものもあることや,戦国時代にいたって地方の開発が進み新しい機運の芽ばえてきたことを理解させる。

(4) 武家社会の確立
  ヨーロッパ人の来航
  国内の統一
  江戸時代の社会と文化
  武家社会のゆきづまり
 「ヨーロッパ人の来航」については,ヨーロッパ人のアジア進出,キリスト教のわが国への伝来とその影響などの学習を通して,日本人がはじめてヨーロッパ文化に触れた事情を世界史的視野に立って理解させる。この際,ヨーロッパ人がイスラム世界との接触などによって,直接に東洋貿易に目を開き,新航路の発見に努力したことにも触れる必要がある。
 「国内の統一」については,織田・豊臣の統一事業,桃山文化,江戸幕府の成立,日本人の海外発展,鎖国などの学習を通して,武家政治が確立していく過程を理解させ,日本の封建社会の発展や鎖国の意義などについて考えさせる。
 「江戸時代の社会と文化」については.封建社会と士農工商,村のしくみと農民の生活,産業・都市・交通・貨弊経済の発達,儒学を中心とする学問・教育その他の文化の変遷などの学習を通して,この時代の社会,経済,文化などの発展のありさまと特色について理解させる。特に,武家によるきびしい統制があったにもかかわらず,国内の商工業が発達し,町人の力が強まり,町人文化が形成されていった事情や,この時代の農民が生産の増大などによって生活の維持や向上に苦心したことに着目させ,今日の地方の特色ある産業には,その基礎がこのころできあがったものもあることに気づかせる。また,この時代につくられた種々の文化や慣習などが現在にいたるまでなお影響を及ぼしていることに注意させ,これに対する正しい理解と判断をもつようにさせる。
 「武家社会のゆきづまり」については,幕政の改革,新しい学問,社会の新しい動き,幕政への批判などの学習を通して,江戸幕府のゆきづまりの事情について理解させる。
  (5)の「近代ヨーロッパへの歩み」をここで学習させることもできる。

(5) 近代世界の成立
  近代ヨーロッパへの歩み
  民主主義の発達と産業革命
  ヨーロッパ諸国の海外進出とアジア
 「近代ヨーロッパへの歩み」については,ルネサンス,宗教改革,ヨーロッパ世界の拡大などの学習を通して,西ヨーロッパでは封建社会がくずれてしだいに近代化し,わが国やアジア各地に比べて急速に進歩していったことのあらましについて理解させる。指導にあたっては,ヨーロッパの中世社会に簡単に触れてルネサンスや宗教改革にいたった事情を考えさせ,また宗教改革とキリスト教のアジアへの伝道との関係に気づかせるとともに,ヨーロッパ人のいわゆる地理上の発見によって,世界の各地がしだいに結びついていったことに着目させることがたいせつである。
 「民主主義の発達と産業革命」については,イギリスにおける議会政治の発達,アメリカ合衆国の独立,フランス革命,産業革命の進行,科学の進歩と近代文化の発達などの学習を通して,ヨーロッパ・アメリカでは早くから近代的改革の努力がなされ,民主主義の国に発展していったことを理解させる。また,現在の生活様式や社会問題が産業革命のころから始まっていることに気づかせる。いずれの場合にも,それぞれの国の特殊性や複雑な様相に深入りすることなく,歴史の発展の流れを大きくつかませることに留意し,特に科学や文化についての学習では,人名などの列挙に終わらないように注意することが必要である。
 「ヨーロッパ諸国の海外進出とアジア」については,オランダ,イギリス,フランス,ロシアなどのアジア進出を中心に取り扱い,産業革命がアジア諸国に及ぼした影響についても考えさせる。この際,アジアのうちでは,清,ムガールのことを主とし,ヨーロッパ諸国の日本への接近の前提として取り扱うにとどめる。なお,アメリカ合衆国のアジア進出については,主として次の(6)において取り扱う。

(6) 日本の近代化
  明治維新
  立憲政治の成立
  近代産業の発達
  近代文化の形成
  国際情勢と日本の地位の向上
 ここでは,ヨーロッパ・アメリカ諸国に立ち遅れた日本が,急速に近代的な装いを整え,国際的地位を実測いった事情を理解させる。指導にあたっては,近代化の道筋や,独立を保つための努力,ならびにそれらに伴って起こってきたいろいろな問題についても,国際的視野に立って総合的に考えさせることがたいせつである。
 「明治維新」については,開港,王政復古,制度の改革,文明開化などの学習を通して,維新の改革が国の内外の複雑な情勢の中で,国内の経済,社会および思想の発展に伴って行なわれるにいたった事情を理解させるとともに,それが近代日本の成立に果たした役割や,維新の当時者がわが国の独立と発展のために払った苦心などについても考えさせる。
 「立憲政治の成立」については,自由民権運動,大日本帝国憲法の制定,議会政治の発展などの学習を通して,わが国がしだいに近代的な政治形態を整えていった過程を理解させる。特に,議会政治の実現には,多くの人々の努力が重ねられたことや,なお,それがじゅうぶんには実現されなかった事情について考えさせる。
 「近代産業の発達」については,冨国強兵,日本の産業革命と資本主義の発達,社会問題の発生などの学習を通して,近代産業の発達のあらましを理解させるとともに,わが国の工業が初め官営によって発達した事情と,近代工業が戦争と深い関係をもちながら発達していったことに着目させ,なお,急速に先進国に追いつこうとしたことから,そこには,多くの問題が起こったことに気づかせる。
 「近代文化の形成」については,新しい学問と教育,科学と文化などの学習を通して,それまでと著しく違った文化が,急速に形成されていったありさまについて理解させる。この際,西洋文化の摂取を急ぐ一方,伝統的な文化について考えようとする動きのあったことに気づかせる。科学や文化の取り扱いでは,いたずらに細かな忠実の列挙に陥らないように留意し,明治時代の特色を全体としてつかませるように配慮することが必要である。
 「国際情勢と日本の地位の向上」については,朝鮮との関係,日清戦争,日露戦争,条約改正などの学習を通して,複雑な国際関係の中で国内の政治,経済,文化などの発展をもとにして,わが国の地位がどのように向上していったかを理解させる。指導にあたっては,国際関係と国内の政治や経済などの事情とが,密接な関連をもっていたことに着目させるとともに,条約改正にあたっては,国民の多大の苦心があった点を理解させる。国際社会に登場した日本と外国との関係については,わが国の立場を公正に判断する態度を養うことが必要である。また,国際情勢については,分割され植民地化されたアジアやアフリカの動きに触れながら,中華民国の成立前後の事情を日本との関係において理解させることが望ましい。

(7) 二つの世界大戦と日本
  第一次世界大戦
  動揺する世界
  第二次世界大戦と日本
 ここでは,第一次世界大戦に触れ,ベルサイユ体制が成立した以後の世界と日本の情勢について,そのあらましを理解させる。この際,特に,国際連盟が成立し,世界が急速に一体化に向かって進みながら,ベルサイユ体制にいろいろの欠陥もあったので,国家間の新しい対立が激しくなるという矛盾が起こり,ふたたび大戦をくり返した事情について考えさせる。
 「第一次世界大戦」については,大戦にいたる国際情勢やわが国の参戦などに簡単に触れる程度にとどめる。
 「動揺する世界」については,ベルサイユ体制と国際協調,軍縮会議,経済の世界的不況,社会主義とソビエト連邦,イタリア・ドイツの独裁政治などの学習を通して,主要諸国が新しい体制をうち立てようとしたことや,それら諸国間の対立が激化し,第二次世界大戦となった事情のあらましについて理解させる。
 「第二次世界大戦と日本」については,政党政治の推移,経済界の変動,新思想と文化,中国の民族運動と日本の大陸進出,軍部の政治への介入,日華事変と第二次世界大戦,日本の敗戦などの学習を通して,第一次世界大戦後から終戦にいたる国内情勢の推移を,世界の動きや大陸問題と関連させて理解させる。指導にあたっては,国内政治の動きと第二次世界大戦にいたる国際関係の変転に重点をおくものとする。また,この大戦について反省し,特に戦争のもたらした人類の不幸についても考えさせることがたいせつである。
(8) 新しい世界と日本の課題
 ここでは,日本の民主化への動きと第二次世界大戦後の世界の進展のあらましについて学習させ,第3学年の学習に対する歴史的展望を与える。
 わが国が第二次世界大戦の後,日本国憲法を制定し,復興と独立に力を尽くして,国の再建と民主化を図ってきたことを理解させる。また,世界においては,国際連合の成立,アジア・アフリカ諸国の狐立,国家群の対立などが見られて,そこにはさまざまの問題が起こっていることや,いわゆる原子力の時代の出現とあいまって,ますます世界の平和が塾まれていることを理解させ,変転する世界の情勢の中で,わが国がどのように歩むべきかについて,国民のひとりとして考えさせることがたいせつである。

3 指導上の留意事項
(1) 指導する事項は,政治史や社会経済史に片寄ることなく,総合的な学習ができるように配慮することが必要である。また,生徒の発達段階を考慮し,人名,地名,年代などを精選して基本的事項の理解にとどめ,宗教,思想,学問などの文化の高度な内容や,複雑な社会構造などの学習に深入りしないように留意する。また,特に人物を収り扱う際は,絶えず歴史的背景と結びつけて正しく理解させることが必要である。
(2) 時代区分は,指導上の観点によっていろいろなものが考えられるが,細かな時代区分だけにとらわれて,大きな時代の流れや,その時だしの社会の特色を失わないように留意する必要がある。
(3) 指導にあたっては,日本史の学習に重点をおき,世界史のあらましに触れるが,日本史と世界史との内容の比率は,およそ7:3くらいにするのが適当と考えられる。
(4) わが国の歴史を,世界史的視野に立って学習させることがたいせつである。特に中学部の生徒の発達段階においては,日本史と世界史を完全に分離して学習させることは,目標の達成上望ましくない。また,日本史に世界史的事象をしばしばさしはさんでその流れを中断することは,生徒の理解を困難にするおそれがある。したがって,日本に特に関係の深いことがら以外は,適当に大きくまとめて学習させることが望ましい。また,世界史の中では,特に近代世界の成立とその発展に重点をおき,日本の近代化を考察する上に役だたせるように配慮することが必要である。
(5) 学習を史実の列挙や暗記に終わらせないために,指導にあたっては,次の諸点に留意する必要がある。
ア 身近な資料や録音教材,標本,模型,放送,映画などを活用して歴史事象の具体化に努め,さまざまの学習活動をくふうして学習をいっそう効果的にさせることが望ましい。
イ 郷土の発展の跡を実地調査させたり,遺跡,遺物を見学させることによって,わが国の歴史の発展を具体的にはあくさせ,郷土との関連についても理解させるように努める。
ウ 歴史を正確に理解する能力と態度を養うために,地図や年表,図表などを使用したり作成したりすることに努めさせる。
(6) わが国の歴史の中で盲人の生活は恵まれない環境の中から,先人のたゆみない努力によって,教育や職業の開拓,文化への貢献を通して今日の社会的地位を築いたことを理解させるように努める。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 民主主義を実現し人権を尊重することが,人間性の向上やわれわれの幸福に密接な関係があることを理解させ,そのために努力しようとする態度を養う。
(2) 政治・経済・社会の機構や機能について,それらがわれわれの生活と密接に結びついていることや,民主主義のよりよい実現のために,現状がどうなっているかを理解させ,また,どのように発展させたらよいかについて考えさせる。
(3) 近代文明の発達によって,政治・経済・社会の各方面に大きな進歩が見られるとともに,多くの問題が生じていることを理解させ,それらの問題に対処していくためには,どのようにすればよいかについて考えさせる。
(4) 人々が自国を愛し,その平和と繁栄を図り,文化を高めることによって,人類の福祉に寄与できるものであることを理解させ,国家や社会のよい形成者となろうとする態度を育てる。
(5) 国と国との関係は,相互に対等の立場で尊重しあい,その主権を互いに尊重することによって,はじめて平和な関係を維持できるものであることを理解させ,国際的視野に立って,他国民と協力し,世界の平和の確立に貢献しようとする態度を養う。
(6) 国家や社会の一員としての望ましいあり方を理解させるとともに,民主主義を家庭や学校をはじめ広く社会生活のうえに,具体化していくための基礎的な能力や態度を養う。
(7) 確実な資料を選んでこれを正しく利用し,いろいろな問題について先入観や偏見をもたず,公正な判断を得ようとする態度や能力を養う。

2 内  容
(1) 近代社会と民主主義
  近代民主主義の原則
  人間と社会生活
 人間の尊厳を重んずることが民主主義の根本であることを理解させ,民主主義を日常の政治的,経済的,社会的活動に実現していく能力と態度を養う。
 民主主義の社会は,人々が人権を尊重し,人間の自由・平等・友愛・正義について考え,公共の福祉のために権利と義務を行使し,寛容の精神と協調の態度によって問題を平和的に解決しようと努力することにより,実現されるものであることを理解させる。また,近代民主主義の発展は人類の多年にわたる努力の成果であることに着目させ,民主主義を不断の努力によって維持し発展させていくことが,われわれの重要な責任であることを自覚させる。
 このことと関連して,いろいろな社会集団のあることや,個人と集団との関係,集団と集団との関係,社会における慣習・道徳・法などの役割,国家の意義などに触れて,人間は本来社会的存在であることを認識させ,集団生活においては秩序を重んずるとともに,人々が相互の愛情と尊敬によって結ばれることが,民主的社会生活を営むための重要な基礎であることを理解させる。
 指導にあたっては,以上の観点と内容とが政治・経済・社会的分野のすべての内容と密接な関連のあることを考慮して,指導計画を立てる必要がある。また,歴史的分野の学習の成果を活用して指導を展開することが望ましい。

(2) 民主政治の組織と運営
  日本国憲法と民主政治
  政治の組織と運営
  選挙と政党
 日本国憲法の大要に触れ,国や地方の政治のしくみと働きについての理解をもとにして,主権が国民にあることについての自覚を高める。
 「日本国憲法と民主政治」については,日本国憲法は,基本的人権の尊重,平和主義,国民主権,三権分立,代議制,議院内閣制などの基本的な減速に基づいていることを認識させ,あわせて,天皇の憲法上の地位について理解させる。
 「政治の組織と運営」については,国会・内閣・裁判所,地方自治などの学習を通して,政治がわれわれの生活にどのような働きをしているかを理解させる。
 「選挙と政党」については,選挙制度のあらましに触れ,公明選挙の実現に対する関心を深めさせる。また,政党と国民との関係や,政治と世論との関係を理解させる。
 指導にあたっては,歴史的分野の学習の成果をじゅうぶんに活用するとともに,道徳の時間における指導との関連を図ることが望ましい。また,単なる政治組織についての学習に終わることのないように留意し,民主政治の基盤について考えさせなければならない。権利には義務が伴っていることや,多数決の原理が正しく行なわれるためには,ひとりびとりの教養と自覚が高まり,また少数者は多数者の決定に従うとともに,多数者は少数者の意見を尊重する必要があることなどを,身近な体験から反省させる。そして民主政治の長所を理解させるとともに,その陥りやすい欠陥にも気づかせ,国民ひとりびとりが政治の実際について責任を感じ,政治をよくするための知識や態度をみがくことがたいせつであることを認識させる。なお,大局的に見れば,民主政治はこれまでの他の政治のしくみに比べて,はるかにすぐれていることに気づかせ,民主政治の発展に協力する態度を養うようにする。

(3) 産業・経済の構造と機能
  経済の組織と動き
  財政と家計
  わが国の経済と産業構造の特色
 近代産業の発達により,経済生活の様子が一変したことに着目させて,資本主義経済の特色を理解させるとともに,生産・流通・消費の相互関係を理解させ,この中において財政を考えさせる。また,これらの学習と関連させて,わが国のおもな産業と貿易の現状を明らかにし,その産業構造の特色を知らせ,経済生活に対する正しい理解と協力の態度を養う。
 「経済の組織と動き」については,近代的生産の発達とその特色,企業,金融,物価,景気の変動などの学習を通して,生産・流通・消費がどのように結びついているかを理解させるようにする。なお,協同組合,証券取引,交通,保険などについても触れることが望ましい。
 「財政と家計」については,家計の収支,貯蓄と投資などについて学習させて,家計が生産と結びついていることを理解させる。また,予算,租税,公債などの学習を通して,国や地方の財政と国民経済との関係を理解させる。
 「わが国の経済と産業構造の特色」については,自由経済と経済の計画化(社会主義経済にも触れる。),国民所得と生活水準などについて学習させ,また,わが国のおもな産業や貿易(国際収支にも触れる。)などのあらましを理解させ,わが国の産業構造の特色と世界におけるわが国民経済の地位を明らかにさせる。
 指導にあたっては,経済用語の単なる解説に終わったり,いたずらに細かな事項の学習に深入りさせたりすることなく,大要を理解させることがたいせつである。また,産業・経済に関する各種の統計その他の資料を有効に使用することや,地理的分野および歴史的分野の学習の成果をじゅうぶんに活用することが必要である。

(4) 現代の社会生活と文化
  家族生活
  都市と村落の生活
  職業と社会生活
  文化と社会
 近代社会の成立に伴って,個人の自由や平等がしだいに保障されるようになったことや,近代産業の発達によって社会生活が大きく変化したことを理解させるとともに,そこにはまた新しい問題が発生してきていることに気づかせる。
 「家庭生活」については,家族の社会集団としての機能を理解させ,民法にも触れながら家族生活のあり方について考えさせる。
 「都市と村落の生活」については,都市生活における明暗の両面,村落生活における慣習と都市化の傾向などに気づかせ,都市と村落における社会生活のそれぞれの特色を理解させる。
 「職業と社会生活」については,職業分化の傾向が増大し,社会階層の構成に変化が生じてきていることに気づかせる。また,職業を通してわれわれの個性を生かし能力を尽くすことが,個人生活および社会生活をささえかつ進歩させる力であることなど,職業の社会的意義を理解させる。それとともに,現代社会では,組織化や機械化のために,ともすれば人間性や個性がそこなわれるおそれがあることに気づかせ,職場における人間関係の改善に努めることや,余暇の利用により個人の生活を充実することなどが必要であることを理解させる。
 「文化と社会」については,学問,芸術,宗教,教育などの社会生活における機能を理解させ,文化は人間の品性を高め,その心を豊かにするものであると同時に,個人と社会との結びつきを深め,社会生活を向上させる源泉であることを理解させる。また,マスコミュニケーションの発達とその機能を理解させ,自主的な判断力をもってこれを受け入れることの必要なことを認識させる。さらに,機械技術文明の発展に伴い,現代文化には,商品化や大衆化などの傾向が生じてきていることに気づかせる。
 指導にあたっては,生徒の身近にある事象をとらえること,および政治・経済の機構や機能と関連させることによって,具体的に理解させ,そのような理解を背景として社会生活における個人のあり方を考えさせる必要がある。

(5) 世界と日本
  国際社会の現状
  国際平和と国際協力
 国際社会の現状とわが国の国際的地位とを正しく認識させ,国際間の平和がなければ,個人の幸福も生活の向上も期待できないことを理解させ,国民としての自覚をもって,世界の平和と人類の福祉に寄与しようとする熱意と態度を養う。
 「国際社会の現状」については,種々の国家や人種,民族がそれぞれ密接に結びあっていることや,諸国家間の相互尊重,主権平等がたいせつであることなどを理解させる。それとともに,現実の国際社会には,国と国,国家群と国家群などの間領土(領海,領空を含む。),政治,経済,文化民族などに関連して,さまざまな問題があることに着目させる。また,国際間には条約その他の国際法のあることを理解させる。なお,アジア,アフリカなどの民族問題についても考えさせる。
 「国際平和と国際協力」については,核兵器の使用される危険性のある現状のもとでは,ひとたび戦争が起これば,それは人類を破滅におとしいれるおそれがあることを考えさせ,平和への熱意と協力の態度を養う。そのために,国際協力関係についての関心を高めさせる必要がある。とりわけ,国際連合やユネスコをはじめおもな国際連合の専門機関については,その組織と活動のあらましを理解させる。また,人種,国籍,文化などの相違している人々に対しても,人間として尊敬しあい,偏見をもたないような態度を育てる。
 これらの学習を通して,世界における日本の地位を,国際社会の動向の中において正しく理解させる。
 指導にあたっては,道徳の時間における指導との関連に留意するとともに,地理的分野,歴史的分野の学習の成果を活用することが必要である。

(6) 現代の諸問題
  産業・経済の振興
  国民生活の向上
  文化の創造と伝統の継承
 近代産業や科学・技術の発達,交通・報道の進歩,民主主義の発展などによって,人々の生活の向上には著しいものがあるが,それとともに社会の各方面に新しい問題が生じていることを理解させ,これらの問題についての正しい判断力を養い,福祉の増進と文化の向上に努めるようにする積極的な態度を育てる。
 「産業・経済の振興」については,技術の進歩と生産の増大,中小企業対策,貿易の振興,国土の総合開発,生活水準の向上,完全雇用などがわが国の重要な課題であることを理解させる。
 「国民生活の向上」については,国民生活を向上させるためには,産業・経済の振興を図るほかに,人口問題,労働問題,社会福祉と社会保障,農村問題,都市問題,犯罪の問題など,解決に努力しなければならない多くの問題のあることを考えさせる。そして,個人の幸福が,国家や社会の機能や人々の協力に深く結びついていることに気づかせ,社会福祉や社会保障を積極的に進めることがたいせつであることを理解させる。
 「文化の創造と伝統の継承」については,産業・経済の振興も国民生活の向上も,けっきょくにおいては,人間の文化の発展にまつものであることについて考えさせる。そしてわが国文化のよい伝統を継承しながら,同時に,未来の社会に対する希望をもって,普遍的にしてしかも個性豊かな文化を創造しようとする熱意と態度を養う。
 指導にあたっては,問題を総合的に考察させるために,第3学年における他の内容と有機的に関連させることが重要であり,また,地理的分野,歴史的分野の学習の成果を活用することが望ましい。なお,単に現代社会の欠陥の指摘に終わることなく,これまでの努力と進歩の跡をも認め,できるだけ客観的に取り扱わなければならない。さらに,先入観や偏見をもたず,広い立場に立って考えさせ,社会の実情に立脚しながらも,科学的,合理的な探究心に裏づけられた積極的,建設的な態度を育てるようにする。

3 指導上の留意事項
(1) 地理的分野,歴史的分野の学習の成果を活用して,第3学年の学習指導の効果を高めることに留意する。特に,地理的分野の「(3)全体としての日本」および「(5)全体としての世界」との関連や,歴史的分野の「(5)近代世界の成立」,「(6)日本の近代化」,「(7)二つの世界大戦と日本」,「(8)新しい世界と日本の課題」などとの関連については,じゅうぶんに配慮することが必要である。
(2) 義務教育の最終学年であることに留意し,単に社会に関する基礎的知識の習得だけに終わることなく,それを社会生活に活用する能力を養うとともに,現代の諸問題について対処していくためには,どうすればよいかについて考える態度を養うように指導する必要がある。
(3) 指導にあたっては,生徒の日々の生活や思考・感情と結びつけて学習内容を具体的に理解させることや,生徒が現実の日常生活において,経験を豊かにして視野を広め,民主的な生活を実現していく態度や能力を養うように考慮することが必要である。
(4) 指導にあたっては,盲人の政治への参加,経済生活の実情や盲教育,文化の発展等に果たした功績,盲人の国際的なつながりなどを適宜指導することが望ましい。
(5) 学習の全般を通して,各種の統計,年表,年鑑,新聞放送,録音教材,標本,模型,その他の資料を有効に使用する能力を育て,各種の資料を整理したり図表に表わしたりする技能を養うことがたいせつである。また,必要に応じて見学し調査させるなど,具体的事例に即して考えさせ,指導する事項を具体的に理解させることが望ましい。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 地理的分野,歴史的分野,政治・経済・社会的分野の学習は相互に緊密な関連を保って,それぞれ孤立した取り扱いにならないように配慮しなければならない。そのために.3か年間の指導の見通しをつけ,その見通しのもとに,各学年の指導計画を作成して,相互の有機的な関連を図り,指導の発展の筋道を明らかにしておくことが特に必要である。
2 内容の各項目は指導のうえで必ずしも同等の重要さをもつものではなく,同じ時数をこれに充てるものでもない。また,各項目の組織・配列は,必ずしもそのまとめ方や順序を示すものではない。したがって,「第1 目標」および各学年の目標に基づき,さらに各項目に付記した取り扱いの観点や指導上の留意事項をじゅうぶん考慮して,適切な組織,順序をもった指導計画を作成して指導することが望ましい。
3 指導計画の作成や学習指導にあたっては,少なくとも,次の諸事項を考慮することが望ましい。
(1)  生徒の生活経験や生活環境,ならびに生徒の社会に対する関心や意識を考慮すること。
(2) 生徒の当面する身近な問題とわが国の社会全体の問題との関連について,正しい理解をもつこと。
(3) 小学部の社会科ならびに,中学部の他の各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等との関連を図ること。
(4) 地域社会で学習に利用できる資料や施設の状況を調べておくこと。
4 学習指導においては,教師の講義本位による注入に陥ることなく,報告,討議,訪問,見学,調査その他種々の学習活動を展開して,生徒の自発的な学習意欲を高めることが望ましい。この際,それらが雑然とした皮相な学習経験や型にはまった学習活動にならないように留意し,学習活動の全体に系統を与え,特に基本的な知識や技能などを確実に身につけさせるように指導しなければならない。
5 指導する事項の中に時事的なできごとを取り入れることは,その理解をいっそう具体的なものにするとともに,現実の社会に関心をもたせ,また,国民として必要な政治的教養の基礎を養ううえにも大きな効果がある。しかしながらこの場合生徒の公正な判断力の育成を目ざした指導でなければならない。
6 学校における道徳教育において,社会科は,社会に関する正しい理解を得させることによって,道徳的判断力の基礎を養い,望ましい態度や心情の裏づけをしていくという点で,重要な任務を担当している。特に,社会科における指導によって育成された道徳的判断力が,道徳の時間において,生徒ひとりびとりの内面的自覚として深められ,これがふたたび社会科の学習にも具体的に生かされるようになることがたいせつである。
7 第1学年では地理的分野,第2学年では歴史的分野,第3学年では政治・経済・社会的分野についてそれぞれ学習させることを原則とするが,じゅうぶんな準備がある場合には,たとえば,第1学年および第2学年を通して地理的分野および歴史的分野の内容を学習させるなどの指導計画を作成し,実施することもできる。この場合には,上記の「第1 目標」,「第2 各学年の目標および内容」ならびに「第3 指導計画作成および学習指導の方針」にそった指導でなければならない。また,地理的分野および歴史的分野の学習には175単位時間,政治・経済・社会的分野の内容の学習には140単位時間を充てることを標準とする。



 
第3節 数  学

第1 目  標

1 数量や図形に関する基礎的な概念や原理・法則の理解を深め,より進んだ数学的な考え方や処理のしかたを生み出す能力を伸ばす。
2 数量や図形に関して,基礎的な知識の習得と,基礎的な技能の習熟を図り,それらを的確かつ能率的に活用できるようにする。
3 数学的な用語や記号を用いることの意義について理解を深め,それらによって,数量や図形についての性質や関係を簡潔,明確に表現したり,思考を進めたりする能力を伸ばす。
4 ものごとを数学的にとらえ,その解決の見通しをつける能力を伸ばすとともに,確かな根拠から筋道を立てて考えていく能力や態度を養う。
5 数学が生活に役だつことや,数学と科学・技術との関係などを知らせ,数学を積極的に活用する態度を養う。

以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として数学科の目標をなすものであるから,指導にあたって,この点を常に考慮しなければならない。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 整数,小数および分数を数として統一的にとらえさせ,その取り扱いに習熟させる。さらに数を正の数,負の数にまで拡張して,数の概念の理解を深め,これらの数を用いて数量を統一的に表現し,処理する能力を養う。
(2) 文字を用いて数量についての関係や法則を一般的にしかも簡潔に表現して,ものごとを考察し,処理する能力を養う。
(3) 比についての理解を深め,その取り扱いに習熟させる。また,事象の変化について,これを数量的にとらえ,変数や対応の考え方や見方をしだいに伸ばし,各種の数量関係を見いだす能力を養う。
(4) 計量の意義や方法についての理解を深めるとともに,基本的な図形の面積や体積を求める能力を伸ばす。
(5) 図形について,基本的な操作に慣れさせる。また,これらの操作や計量などを通して,基本的な図形について相互の関係や性質の理解を深め,図形の観念を豊かにする。特に,空間図形と平面図形との関連を明らかにする。

2 内  容
 A 数
(1) 四則についての相互関係や法則が,整数,小数および分数を通じて変わらないことなどについて理解を深める。
(2) 整数の約数と倍数についての性質を明らかにし,分数などの計算に習熟させる。
(3) 正の数,負の数を用いると,式がより広い意味に用いられることを理解させるとともに,これらの数の四則計算に習熟させる。
(4) 場面に応じて,適切な近似値の取り扱いができるようにする。
ア 誤差や有効数字の意味と近似値の表わし方。
イ 計算尺による乗法と除去。
 用語と記号
加法,減法,乗法,除法,四則,逆数,累乗,2乗,平方,3乗,立方,指数,交換法則,結合法則,分配法則,偶数,奇数,素数,公約数,公倍数,最大公約数,最小公倍数,正の数,負の数,符号,正の符号(+),負の符号(−),絶対値,項,数直線,不等号,>,<,誤差,近似値,有効数字

 B 式
(1) 文字を用いて,数量およびその間の関係や法則を式に表現することができるようにする。
ア 式の中の文字は,数の代わりの記号であること。
イ 式の中の文字に,数値を代入して式の値を求めること。
ウ 文字を用いた式における乗除の表わし方の規約。
(2) 等式において,値のわからない文字が一つのとき,その文字の1位を,逆算で求める能力をいっそう伸ばす。
 用語と記号
式の値,代入

 C 数 量 関 係
(1) 比および比例式についての理解を深め,その取り扱いに習熟させる。
ア 比の三用法の相互関係
イ 利率,指数など社会で用いられている各種の比率の意味。
ウ 連比および比例式の意味ならびに比例式の基本的な性質。
(2) 伴って変わる二つの量の関係を,グラフや式などに表わしてその特徴を見いだし,これを用いることができるようにする。
ア 二つの量の関係を表やグラフに表わすことおよびその変化の特徴。
イ 式の形の上からみた比例および反比例の特徴。
 用語と記号
単利,復利,元金,利率,期間,利息,日歩,元利合計,指数(割合に関するもの。),連比,比例配分,比例式,比例定数

 D 計  量
(1) 測定の意味の理解を深め,測定には必ず誤差を伴うことを明らかにする。
(2) 単位系の理解を深め,メートル法の長所を活用できるようにする。
ア メートル法の単位が,基本単位と誘導単位からできていることおよびそれらの単位の間の関係。
イ メートル法と尺貫法およびヤードポンド法との単位の関係ならびに表またはグラフを用いて換算すること。
ウ 現行計量制度についての知識。
(3) 図形の計量についての能力を伸ばす。
ア 小学部で学習した各種の基本図形についての求積公式の理解を深めることおよび球やすい体の求積公式を知り,これらを用いること。
イ 円における中心角と弧との関係およびおうぎ形における中心角と面積との関係を知り,これらを用いること。
ウ 図形を基本的な図形に分解して,その図形の面積や体積を求めること。
 用語と記号
π,メートル毎秒,m/S,キロメートル毎時,km/h(はたはkm/時)

 E 図  形
(1) 基本的な作図についてくふうさせ,これらを通して平面図形の概念や性質を明らかにする。
ア 平行線,角の二等分線,垂線,線分の垂直二等分線などの作図。
イ 各種の三角形と四角形の作図およびそれらを決定する要素と性質。
ウ 二直線の位置関係と平行線の性質。
エ 図形を基本的な図形に分解し考察すること。
オ 三角形や多角形の角についての性質。
(2) 直線図形の間の特殊一般の関係について理解を深める。
ア 三角形の種類とその相互関係。
イ 四角形の種類とその相互関係。
(3) 空間図形の中に平面図形を見いだしたり,平面図形から空間図形を構成したりする操作に親しませ,図形の概念を明らかにする。
ア 直線と直線との位置関係,平面と平面との位置関係および直線と平面との位置関係ならびにその基本的な性質。
イ 基本的な立体図形の展開図と性質。
ウ 基本的な立体図形の投影図または断面と性質。
エ 平面図形の運動(回転移動と平行移動)によって空間図形ができることおよびこれらと関連した円柱,円すい.球などの性質。
(4) 回転や対称の見方に親しませ,これらによって新しい図形を作ったり,図形の性質を明らかにしたりする。
ア ある図形と対称な図形の作図。
イ 二等辺三角形,長方形,正方形,正多角形などの性質。
ウ 円の性質や円と直線との位置関係およびこれらを球の性質や球と平面との位置関係などに拡張すること。
 用語と記号
線分,半直線,中点,二等分線,垂線,上,平行線,//,距離,分(′),秒(″),対頂角,錯角,同位角,∠,∠R,鋭角,鈍角,余角,補角,頂角,底角,内角,外角,斜辺,△,鋭角三角形,鈍角三角形,  正多角形,弧,弦,弓形,接点,接線,内接多角形,外接多角形,平面,ねじれの位置,正三角すい,正四面体,平行六面体,角すい台,円すい台,母線,正多面体,大円,小円,投撮図,基線,平画面,立画面,側画面,平面図,立面図,側面図,点対称,線対称,面対称

3 指導上の留意事項
(1) A(4)イの計算尺については,乗法と除法の計算に利用される器具であることを知る程度とする。
(2) B(2)の等式については,主としてすでに公式としてわかっているものや立式の容易なものを扱う。
(3) C(1)アの比の三用法については,歩合,百分率などの各種の比率を含めて扱うものとする。
(4) C(2)の伴って変わる二つの量の数量関係については,主として具体的な量を扱う。
(5) 作図については,定木とコンパスに限らず,必要に応じて分度器やものさしなどの用具を使用させる。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 正の数,負の数の理解を深め,それらを式やグラフの取り扱いに活用する能力を伸ばす。
(2) 文字は,数と同じように取り扱えることを理解させ,式の基本的な操作に習熱させる。また,文字を用いることにより,数量的な関係を,一般的にしかも手ぎわよく処理する能力を伸ばす。
(3) 一次や比例の関数関係を式やグラフに表わし,それらの特徴を理解させる。また,そのようなことを通して,変数や対応の考え方や見方を深め,見通しをもって,数量的な関係を処理する能力を伸ばす。
(4) 合同,相似などの図形の性質を活用して,直接測定が困難なものの測定をくふうしたり,能率のよい測定方法を考えたりする能力を伸ばす。
(5) 合同や相似の概念を明らかにし,それらに基づいて図形の基本的な性質を明確にする。また,図形に対する直観的な見方や考え方をさらに伸ばすとともに,論証の意義や方法について理解させ,論理的に筋道を立てて考える能力を養う。

2 内  容
 A 数
 前学年に引き続いて,正の数,負の数の理解を深め,これらの四則計算にいっそう習熟させる。

 B 式
(1) 文字および文字を用いた式の意味の理解を深め,数量や数量の間の関係を表現する能力をいっそう伸ばす。
ア 文字で表わされた式を一つの数とみること。
イ 式の中の文字を変数としてみること。
ウ 等式の中のある文字を未知数としてみること。
エ 未知数として一つの文字を用いて,数量の間の関係を方程式に表わすこと。
オ 未知数として二つの文字を用いると,数量の間の関係が方程式に表わしやすくなること。
カ 式が表わす関係は,用いる文字にはかかわりなく,式の形のみに依存すること。
キ 文字を用いて数量の間の関係を表わしたとき,文字のとりうる値の範囲に制約のあること。
(2) 文字および文字を用いた式が,数と同じように操作できることを理解させ,次の計算に習熟させる。
ア 単項式の四則。
イ 多項式の加法と減法。
ウ 多項式と単項式との乗法。
エ 多項式を単項式で割る除法。
(3) 等式の性質を理解させ,これを用いて方程式を解くことができるようにする。
ア 一元一次方程式の解法およびこれを用いて問題を解くこと。
イ 数係数の簡単な連立二元一次方程式の解法およびこれを用いて簡単な問題を解くこと。
 用語と記号
項(式に関するもの),単項式,多項式,同類項,係数,一次式,二次式,等式,方程式,一次方程式,根,解く,未知数,左辺,右辺,両辺,移項,連立方程式,消去,代入法,加減法

 C 数量関係
(1) 座標や式のグラフの概念を理解させ,簡単な関数関係をグラフに表わし,関数関係を明確にする。
ア y=ax,y=ax+bおよびy=a/xのグラフ。(数係数の場合)
イ グラフにおける式の係数の意味。
(2) 比例関係および一次の関係の特徴を式の形や計算を通して明らかにし,これを用いることができるようにする。
ア 一次の関係と比例との関連ならびに一次の関係の特徴。
イ 反比例の関係は逆数に比例する関係ともみられることおよび一般の比例関係の特徴。
ウ 実験,実測などの結果を表わす直線のグラフから,その式を求めること。
(3) 必要に応じて,公式の中のある文字を変数,他の文字を定数とみなして,比例関係や一次の関係を見いだすことができるようにする。
 用語と記号
変数,定数,座標軸,原点,x軸,横軸,y軸,縦軸,x座標,y座標,一次関係(一次凾(かん)数),傾き(こうばい),切片,双曲線,2乗に比例,3乗に比例,2乗に反比例.積に比例

 D 計  量
(1) 適当な縮図を用い,直接測定の困難な量を測定することができるようにする。
ア 簡単な縮図を用いて,高さ,距離,方向などを求めること。
イ 縮図が種々の場面に応用されることを知ること。
 用語と記号
仰角,ふ角
 E 図  形
(1) 図形の合同の概念を明確にし,三角形の合同条件を理解させ,これを用いることができるようにする。
ア 平面図形についての合同の意味。
イ 三角形の合同条件と,これから導かれる簡単な図形の性質。
(2) 図形の相似の概念を明確にし,三角形の相似条件を理解させ,これを用いることができるようにする。
ア 平面図形についての相似の意味。
イ 三角形の相似条件と,これから導かれる簡単な図形の性質。
ウ 二つの図形が相似の位置にあることの意味および図形を拡大,縮小すること。 
エ 相似形の相似比と面積比との関係。
オ 簡単な立体図形についての相似の意味およびその相似比と体積比との関係。
(3)  図形についての研究方法として,論証を用いる意義や方法の理解を図り,論理的に筋道を立てて考えることができるようにする。
ア 帰納や類推の方法によって,推測した図形の性質が正しいかどうかを確かめるには,根拠とすることがらや用語の定義が明確であり,推論の筋道が論理的に正しいことが必要であること。
イ 論証における仮定と結論の意味。
(4) 次のような図形の基本的な性質を明らかにし,これを用いることができるようにする。
ア 三角形の基本的な性質。(直角三角形と二等辺三角形の中線についての性質や一般の三角形について内心,外心および重心が存在することなど。)
イ 平行線に関する線分の比例についての性質およびこれらの平行平面への拡張。
ウ 平行四辺形の基本的な性質およびこれから類推される平行六面体の性質。
 用語と記号
合同,≡,合同条件,相似,∽,相似条件,内分,外分,対応(合同と相似に関するもの),相似の中心,相似の位置,相似比,定義,定理,証明,仮定,結論,中線,重心,内心,外心

3 指導上の留意事項
(1) B(3)アにおける文字係数の一元一次方程式については,公式の変形に関連して必要なものを取り扱う程度とする。
(2) Cの「用語と記号」に示した「傾き」の代わりに「こうばい」を用いてもよいが,いずれか一方を用いる場合には,他方の表記を指導しておく必要がある。
(3) D(1)については,実測などの作業は必要最少限にとどめ,そのもとになっている数学的な原理を明らかにすることを重視する。
(4) E(3)の図形についての論証とは,それ以前に学んだ図形の基本的な性質を根拠にして,種々の性質を演えき的な推論によって導くことを意味する。また,論証の対象としての図形の性質については,主として基本的で平易なものを扱う。
(5) E(4)アの三角形の基本的な性質については,その一部を第3学年において扱うことができる。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 数の平方根を理解させ,これまでの有理数と合わせて,数の概念の理解を深める。また,これらの数を用いて数量の処理ができるようにする。
(2) 式を扱いやすい形に変形する方法や乗法公式などを理解させ,見通しをもって式を収り扱う能力を養う。
(3) 式やグラフで関数関係を表わすことの理解を深め,簡単な二次関数の特徴や関数と方程式との関係を理解させ,見通しをもって数量的な関係を処理する能力を伸ばす。また,統計的事象について,度数分布を考えてその傾向をとらえる能力を伸ばす。
(4) 三角比や三平方の定理が,計量において果たす役割について理解させ,これらや式の変形などを活用して,計量がいっそう能率よく,しかも詳しくできるようにする。
(5) 図形の性質の理解を深め,計量的に扱う能力や与えられた条件を満たす図形を求める能力を養う。図形について,見通す力や論理的に考える力をいっそう伸ばすとともに,論理の過程を正確に表現する能力を養う。

2 内  容
 ※のついたものは選択教科としての数学の内容とする。

 A 数
(1) 数の平方根の意味とその必要を理解させ,これを用いることができるようにする。ア 数の平方根には有理数でないものがあること。
イ 根号を用いて種々の量を式で表わすこと。
ウ 平方根表を用いて,数の平方恨を求めること。
※(2) 数の平方根について,次の計算法則を明らかにし,これを用いることができるようにする。
√a√b=√ab
  
 用語と記号
平方根,根号,√,有理数,無理数

 B 式
(1) 式の計算にいっそう習熟させるとともに,基本的な乗法公式を利用できるようにする。
ア 多項式と多項式との乗法。
イ 次の乗法公式を用いる式の展開と因数分解。
(a+b)2=a2+2ab+b2
(a−b)2=a2−2ab+b2
(a+b)(a−b)=a2−b2
(x+a)(x+b)=x2+(a+b)x=ab
※(ax+b)(cx+d)acx2+(ad+bc)x+db
※(2) 式を文字で置き換える方法を理解させ,これを式の計算に利用できるようにする。
※(3) 分数式は,分数と同じような計算のしかたで計算できることを理解させ,簡単な分数式の四則計算ができるようにする。
(4) 次のような数係数の二次方程式について,その必要性や解き方を知らせる。
ax2+b=0(a,bは整数で,実根をもつ場合。)
x2px+q=0(p,qは整数で,実根をもつ場合。)
※(5) 二次方程式の必要性を知らせ,一般の二次方程式(係数は有理数で,実根をもつもの。)が解けるようにする。
(6) 連立方程式の理解を深め,数係数の連立二元一次方程式を用いて問題を解くことができるようにする。
※(7) 未知数を適当にとって連立一次方程式をたてる能力を伸ばし,問題をうまく解くことができるようにする。
ア 未知数の数と方程式の数との関係。
イ 連立三元一次方程式が連立二元一次方程式と同じ考え方で解けること。
ウ 数係数の簡単な連立三元一次方程式の解法。
 用語と記号
展開,因数,因数分解,二次方程式

 C 数量関係
(1) 簡単な二次関数のグラフについて理解を深め,これを用いることができるようにする。
ア y=ax2およびy=ax2+bのグラフ。(数係数の場合。)
イ 「ア」のグラフの特徴および係数と形との関係
ウ 「ア」に掲げる二次関数と一次関数との値の変化のしかたの違い。
エ 「ア」のグラフを用いた二次方程式の解法。
(2) 一つの二元一次方程式は,二つの変数の間の関数関係ともみられることを理解させ,この関係をグラフに表わすことができるようにする。また,方程式をグラフに表わすことによって,連立方程式を解くことについて理解させる。
※(3) 式のグラフの見方,作り方の理解を深めて,簡単な数係数の二次三項式のグラフをかき,これを用いることができるようにする。
(4) 資料を整理し,表,グラフ,代表値などを用いて,その資料の傾向を知ることができるようにする。
ア 度数分布の意味とヒストグラムの見方。
イ 代表値の意味。
ウ 簡単な場合の相関表や相関図の見方。
 用語と記号
二次関数(二次函数),放物線,度数,分布,階級,ヒストグラム,代表値,相関図,相関表

 D 計  量
(1) 鋭角についての三角比の意味を理解させ,三角比に関する計算ができるようにする。
ア 正接,正弦および余弦の意味。
イ 三角比の表の使い方。
(2) 三角比を用いて数量の間の関係を式に表わし,これを用いることができるようにする。
ア 直角三角形の辺と角との関係。
イ 三角比を用い表て三角形の面積などを計算すること。
(3)三角比相互の基本的な関係を理解させ,これを用いることかできるようにする。
 用語と記号
三角比,正接,tan,正弦,sin.余弦,cos

 E 図  形
(1) 三平方の定理を理解させ,これを図形の性質の考察や計量に用いることができるようにする。
ア 三平方の定理。
イ 平面図形や空間図形について,三平方の定理を用いること。
※ウ 線分の投影図から,その実長を計算や作図により求めること。
(2) 基本的な図形の性質の理解を深め,これを用いるとともに,図形に対する直観力や論証の能力をいっそう伸ばす。
ア 円と直線,二つの円に関する基本的な性質およびこれを用いることならびにこれから類推される球の性質。
イ 円周角と中心角との関係およびその簡単な応用。
※(3) 平衡線,角の二等分線,線分の垂直二等分線,円などが,ある条件を満たす点の動いてできたものとみなすことができること,および点の運動によって,新しい図形が生まれることを理解させる。
※(4) ※(3)の場合にむいて,条件がさらに一つ加われば,点の位置が決定することを理解させる。また,このことを利用して作図ができるようにする。
 用語と記号
動心円,用心線,内接,外接,共通内接線,共通外接線,円周角

3 指導上の留意事項
(1) Aにおいて分母を有理化する場合は,b/√aの有理化の程度とする。
(2) B※(2)の式を文字で置き換える場合は,単項式や簡単な二項式を一つの文字で置き換える程度とする。
(3) C(2)については,第2学年において扱うことができる。
(4) C※(3)における二次三項式のグラフについては,主として点をとってグラフをかくことを扱う。
(5) E(1)※ウの作図による方法については,原理を扱う程度とする。
(6) E(2)アのうち,円と直線および二つの円に関する基本的な性質の一部を,第2学年において扱うことができる。
(7) 論証の対象としての図形の取り扱いについては,第2学年の3の(3)に準ずる。
(8) 選択教科としての数学は,必修教科としての数学と密接な関連を図って,指導計画を立てて実施するようにする。また,選択教科としての数学と必修教科としての数学とを合わせて一貫した指導計画を立てて実施することもできる。

第3 指導計画作成および学習指導の方針
1 各学年の内容は,五つの領域(数,式,数量関係,計量および図形)に分けて示してあるが,これはこの五つの領域に分けて指導したり,示した順序に指導したりすることを意味するものではない。指導計画を作成する場合には,各領域の中の内容の前後関係や他の領域の中の内容との関連を考え,これらの内容がすべて含まれるよう適切に計画しなければならない。
2 各学年の内容として示したものは,その取り扱いに深浅の程度が考えられるから,実情に即して適切な指導する事項や指導法を考慮する必要がある。
3 概念や原理・法則を理解させる場合には,なるべく多くの具体的なものを与えて,抽象化できるようにするとともに,概念や原理・法則などを実際の場に用いて具体化できるようにすることを考慮する必要がある。また,指導の内容に応じて,実測などの各種の作業も重視して指導することも考慮しなければならない。
4 生徒が与えられた問題を解くことも重要であるが,それとともに進んで問題を見いだし,その解決に努力することも重要である。そのためには,常に生徒の自主的な学習を尊重し,創意くふうする態度を育てるように努めることが必要である。
5 図形や数量における演えき的な考え方の指導については,生従の発達段階をじゅうぶん考慮し,演えき的な考え方を漸進的に向めていくように配慮することが必要である。
6 数量の指導と図形の指導との関連に意を用いて,数学を一体として学習できるようにすることが必要である。
7 数学の学習の素材として,他の教科の学習の成果も用いたり,また,数学の学習の成果を他の教科の学習において用いたりできるように留意する必要がある。
8 生徒の視力またはその他の視機能の障害の状態,失明の時期,生育歴および視覚表象の有無等の違いは,数学科の指導上いろいろと関係するから,これらをじゅうぶん慮することが必要である。



 
第4節 理  科

第1 目  標

1 自然の事物や現象についての関心を高め,真理を探究しようとする態度を養う。
2 自然の環境から問題をとらえ,事実に基づき,筋道をたてて考えたり処理したりする能力を養い,また,実験や観察に必要な機械器具を目的に応じて取り扱う技能を高める。
3 生活や産業の基礎となる自然科学的な事実や原理の理解を深め,これを活用する能力を伸ばし,さらに,新しいものをつくり出そうとする態度を養う。
4 自然科学の進歩が生活を豊かにするのに役だつことを認識させ,自然科学の成果や方法を生活の中に取り入れ,生活を合理化しようとする態度を養う。
5 自然と人間生活との関係を認識させるとともに,自然の保護利用に対する関心を高める。

 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって理科の目標をなすものである。指導にあたっては,特定の項目にのみ重点をおくことなく,目標が全体として達成されるように考慮しなければならない。

第2 各学年の目標および内容

 各学年の内容は,第1分野および第2分野に分かれているが,各分野の学習は,年間を通して行なうことをたてまえとする。

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 水・空気,燃焼・熱などの事象について,物の性質,物が熱などによって物理的,化学的に変化すること,および物質の状態や化学変化の説明に分子・原子の概念が役だつことなどを理解させる。
(2) 生物の特徴を分析や比較によって考察する能力を養い,また,生物の適応や生物相互間の関係を理解させる。
(3) 水や空気,火山や地震などの作用によって地表が変化すること,およびおもな岩石・鉱物について調べ方や性質を理解させる。

2 内  容
 A 第1分野
(1) 水と空気を中心として,固体・液体・気体の基本的な性質および化合物・単体,元素・原子などの概念について指導する。
ア 水の重さと圧力
 (ア) 重さと力
  a 液量計で水の体積が測れるわけと方法を理解する。
  b 水1cm3の重さが,ほぼ1gであることを確かめ,あわせて重さの測り方を習得する。
  c 力の大きさを重さで表わすことを理解する。
 (イ) 圧  力
   圧力は面に垂直にはたらく力であること,および単位面積あたりの力の大きさで圧力の強さを表わすことを理解する。
 (ウ) 水の圧力
  a 水の中にある物が,水の圧力を受けること,および水の深さと圧力の強さとの関係を理解する。
  b パスカルの原理と,これの水圧機への応用を理解する。
 (エ) 水による浮力
   アルキメデスの原理を理解し,船が浮くわけを考察する。
 (オ) 比  重
  a 比重の意味および固体の比重の測り方を理解する。
  b 物の浮き沈みと比重との関係を調べ,浮きばかりで液体の比重が測定できるわけを考察する。

イ 水の表面
 (ア) 水 平 面
  a 水は,静止すると水平面をつくることを知る。
  b 水平面と鉛直線とが直交することを調べる。
 (イ) 表面張力
   水の表面には表面張力がはたらくことを確かめ,表面張力によって起こる諸現象を調べる。
 (ウ) 毛管現象
   毛管現象がいろいろな場合に起こっていることを調べ,管が細いほど水が高くまで上がることを確かめる。

ウ 空気の重さと圧力
 (ア) 空気の重さ
   空気に重さがあることを調べる。
 (イ) 大気の圧力
  a 大気の圧力が存在することを確かめる。
  b トリチェーリーの実験によって,大気の圧力と真空とを理解する。
  c 気圧の単位を知る。
  d サイホンのはたらきを調べる。
 (ウ) 空気の圧力と体積
  a ボイルの法則を理解する。
  b 圧縮空気の利用について調べる。
 (エ) 空気による浮力
   気球が空気中に上がるわけを知る。

エ 水の三態
 (ア) 水蒸気・水・氷
  a 水は,4°Cのとき比重が最も大きいことを知る。
  b 水の三態の変化と温度との関係を調べ,沸点・氷点が温度の定点になることを理解する。
  c 水の三態の違いが水の分子の集まり方の違いから説明できることを知る。
 (イ) 沸点と氷点
   沸点と氷点の測り方および温度の目もりの決め方を理解する。

オ 水の精製
 (ア) 飲 料 水
  a 良い水と悪い水との違いを知る。
  b 上水道における浄水のしかたを知る。
  c ろ過のしかたを習得する。
 (イ) 純粋な水
  a 蒸留水と天然水との違いを知る。
  b 蒸留の方法を理解する。

カ 溶  液
 (ア) 溶  液
  a 濁った液と溶液とを比べる。
  b 溶液の概念を確かにする。
  c 物質によって溶け方が違うことや,同じ物質でも溶け方が温度によって違うことを理解する。
  d 濃度とその表わし方(重量パーセント)を理解する。
  e 物を速く溶かす方法を調べる。
 (イ) 海  水
  a 海水には,食塩や塩化マグネシウムが溶けていることを知る。
  b 食塩の性質と日常生活におけるおもな用途を知る。
 (ウ) 結  晶
   溶液からいろいろな結晶をつくり,結晶の形が物質によって特有であることを理解する。

キ 水の成分
 (ア) 水の分解と合成
  a 水を電気分解して,その成分を調べる。
  b 酸素と水素とで水が合成されることから化合の概念を理解し,また,化学変化と物理変化の違いを知る。
 (イ) 水  素
   水の電気分解のほか,希酸と金属の反応などで水素が発生することを調べ,水素のおもな性質を理解する。
 (ウ) 元素と原子
  a 純粋な物質と混合物とがあることを知る。
  b 化合物と単体とがあることを知る。
  c 原子と分子の概念を理解する。
  d いくつかの元素と元素記号を知る。
  e 成分元素の種類と成分元素の原子数の割合を,化学式で表わすことを理解する。

ク 空気の成分
 (ア) 空気の組成
 空気はその体積のおよそ1/5が酸素であることを調べ,空気の組成の大要を知る。
 (イ) 酸  素
  a 過酸化水素水と二酸化マンガンによって酸素が発生することを調べ,二酸化マンガンが触媒としてはたらいていることを知る。
  b 酸素のおもな性質を理解する。

(2) 燃焼によって起こる化学変化とその表わし方および熱によって温度上昇,熱膨張,状態の変化などが起こることを指導する。
ア 燃  焼
 (ア) いろいろなものの燃焼
  a 水素が燃えてできるもの,木炭が燃えてできるもの,およびそれらの調べ方を理解する。
  b 石油,ロウ,砂糖などか燃えてできるものから,もとの物質に水素と炭素があることを理解する。
  c すすのできる燃え方を調べ,あわせて炎が明るいのは炭索粒によることを知る。
  d マグネシウムの燃え方と燃えてできるものを調べる。
  e 水素,炭素およびマグネシウムか燃える反応を化学反応式で表わすことを理解する。
  f 酸化と酸化物について理解する。
 (イ) 爆  発
  a 水素と空気の混合物の爆発について知る。
  b 爆発の危険と利用について知る。
  c 黒色火薬の成分のはたらきを知る。
 (ウ) 燃焼の条件と消化
  a 発火点と引火点を理解する。
  b 燃焼が続く条件を調べ,消火の原理と応用を理解する。

イ 温度と熱
 (ア) 温度と熱量
  a 温度の違う物を接しておくと,それらの物の温度が等しくなることを理解する。
  b 熱の移動によって温度の変化が起こることを知り,熱量の概念を理解する。
  c 同じ熱量を与えても,物によって温度の上がり方が違うことを知る。
  d 水の比熱は,他の物質に比べて特に大きいことを知る。
 (イ) 熱 膨 張
  a 物は,一般に熱によって膨張すること,および固体の膨張の割合,物質によって違うことを理解する。
  b 液体の膨張の割合は,一般に固体に比べて大きいことを理解する。
  c 気体の熱膨張の割合は,固体や液体に比べて大きく,また,気体によってほとんど違わないことを知る。
  d 熱膨張が温度の測定などに利用されていることを知る。

ウ 状態の変化
 (ア) 融解と凝固
  a 物がとけるときには,一定の融点があり,また,融解熱を要することを理解する。
  b 物が凝固するときには,その体積が変化することを知る。
 (イ) 気化と液化
  a 沸騰の現象を調べ,一定の沸点があることを理解する。
  b 圧力によって沸点が変化することを理解する。
  c 気化の様子を調べ,気化には気化熱を要することを理解する。
  d 水が液体から気体になると,その体積が増すことを知る。
  e 空気中の飽和水蒸気の量は,温度によって変わることを知り,また,湿度の意味と表わし方を理解する。
  f 冷凍機の原理を知る。
  g 液体空気の性質を知る。
  h 昇華の現象を調べる。

エ 熱の移り方
  a 物の暖まり方や冷え方を調べる。
  b 保温のしかたを知る。

 B 第2分野
(1) 生物は,環境の影響を受け,環境に適応し,また,相互につながりをもって生きていることについて指導する。
ア 気候と生物
 (ア) 季節と生物
  a 生物が季節によってどのように変わるかを調べる。
  b 生物の冬越しや,渡り・回遊などを理解する。
 (イ) 気候の違いと生物
   土地の気候によって,生物の分布に違いのあることを知る。

イ 生物と環境
 (ア) 環境要素
  a 生物の生活は,光・温度・水・土などの環境要素に支配されることを理解する。
  b 種子の発芽と環境条件との関係を調べる。
 (イ) 環境と適応
   生物は,環境に適応して生きていることを知る。

ウ 生物どうしのつながり
 (ア) 群落と集団
  a 植物が群落をつくることを知る。
  b 動物には,家族生活や社会生活などをするものがあることを知る。
 (イ) 寄生と共生
  a 寄生虫,寄生病害菌,寄生植物など,生物に寄生生活をするものがあることを理解する。
  b 根粒細菌や地衣類などのように,共生生活をするものがあることを理解する。

(2) 生物にはいろいろの種類があり,それぞれ形態上の特徴をもっているが,すべてそのからだは細胞からできていることについて指導する。
ア 種子でふえる植物
 (ア) 花と種子
  a サクラ,アブラナ,キク,エンドウ,イネ,アヤメのそれぞれの仲間の花の構造を調べ,それぞれの特徴やそれらの間の違いを理解する。
  b 裸子植物の花の構造を調べ,被子植物の花と違う点を理解する。
  c 子房は果実になり,はい珠は種子になることを理解する。
 (イ) 根・茎・葉
  a 植物には種類によって,主根が発達するものと,ひげ根が発達するものとがあることを理解する。
  b 茎には,草本・木本の別,地上茎・地下茎の別があることを理解する。
  c 葉の形を調べ,単葉・複葉の別,網状脈葉・平行脈葉の別などがあることを理解する。

イ 胞子でふえる植物
 (ア) シダ類・コケ類・海ソウ
  a スギナ,ワラビ,ゼニゴケなどに,胞子ができることを知る。
  b 海ソウについて,緑ソウ類・カッソウ類・紅ソウ類の特徴を知る。
 (イ) キノコ類・カビ類
  a キノコやカビに胞子ができることを知る。
  b キノコやカビは,菌糸からできていて,動物性または植物性の養分をとって生きていることを知る。

ウ 背骨のある動物
 (ア) ホ乳類・鳥類・ハ虫類
   身近なホ乳類,鳥類,ハ虫類について,形態を比較し,それらの間の違いや共通性を理解し,あわせてそれぞれの形態と生活との関係を考察する。
 (イ) 両生類・魚類
   カエルと魚の形態を比較し,それらの間の違いや共通性を理解し,あわせてそれぞれの形態と生活との関係を考察する。

エ 背骨のない動物
 (ア) コン虫類・クモ類
   コン虫とクモの外部形態を調べ,それそれの特徴を理解する。
 (イ) 貝  類
   二枚貝や巻き貝のからだを知り,その特徴を理解する。

オ 微 生 物
 (ア) 水たまりの微生物
   いろいろな微生物が水たまりにいることを知り,おもな原生動物や糸状のソウ類について知る。
 (イ) 細 菌 類
   細菌類には,球菌・カン菌・ラセン菌・放線菌などがあることを知る。

カ 細  胞
  a 植物細胞と動物細胞の構造を知る。
  b 生物は,単細胞生物と多細胞生物に分けられることを知る。

(3) 地表が水や空気などによって変化することや,地かくには地震や火山活動が起こったり,隆起・沈降,しゅう曲,断層などの現象がみられることを指導する。
ア 風化作用と土
 (ア) 風化作用
  a 岩石は,風,水,温度の変化および生物などによる機械的な作用で風化することを理解する。
  b 岩石は,空気や水の化学的な作用によって風化することを知る。
 (イ) 土
   土は,岩石が風化してできたものであること,その成分や粒度などによって性質が違うこと,およびその違いが植物の生育に影響することを理解する。

イ 川と海の作用
 (ア) 川の作用
  a 流水は,浸食・運搬・たい積の作用で地形を変えることを理解する。
  b V字形の谷,扇状地,三角州などのでき方を理解し,地形図の見方を知る。
  c 湖のでき方やはたらきについて知る。
 (イ) 海水の作用
   海水の浸食・運搬・たい積の作用と,海食がい,海食台,砂州などのでき方を理解する。
 (ウ) 地形の移り変わり
   地形は,浸食によって長い間に幼年期・壮年期・老年期の順に変わっていくことを理解する。

ウ 火山と地震
 (ア) 火  山
  a 火山のおもな噴出物について知る。
  b 火山の形は,溶岩の性質や噴火のしかたなどによって決まることを理解する。
  c 火山の分布を調べ,また,火山活動の原因を考察する。
  d 温泉の成因および温泉と火山との関係について知る。
 (イ) 地  震
  a 地震計に振り子が利用されるわけを理解する。
  b 初期微動の継続時間から,震源までの距離がわかることを知る。
  c 日本の震央分布から,地震の多い地域と少ない地域のあることを知る。また,世界の震央分布と比較する。
  d 地震のおもな災害と,その防止の方法について知る。

エ 地かくの動き
 (ア) 土地の降起と沈降
  a 河岸段丘や海岸段丘などの地形は,土地の隆起によってできたものであることを理解する。
  b リアス式海岸やおぼれ谷などの地形は,土地の沈降によってできたものであることを理解する。
 (イ) しゅう曲と断層
  a 地層のしゅう曲や断層のでき方を知る。
  b 山脈は,しゅう曲や断層が大がかりに起こってできたものであることを知る。

(4) 地かくを構成しているおもな岩石・鉱物の特徴や成因について指導する。
ア 岩石のでき方と性質
 (ア) 火 成 岩
  a おもな火成岩について,造岩鉱物の種類や組み合わせを調べ,火成岩はいくつかの種類に分けられることを知る。
  b おもな火成岩の組織から,そのでき方を考察する。
  c 火成岩の節理の特徴を知る。
 (イ) たい積岩
  a 浸食によるどろや砂が積もってできたたい積岩の特徴やおもな種類を理解する。
  b 生物体がもとになってできたたい積岩の特徴や種類を理解する。
  c 火山の噴出物が積もってできたたい積岩の特徴や種類を理解する。
 (ウ) 変 成 岩
   変成岩のおもな種類と特徴を調べ.その成因を考察する。
 (エ) 岩石の利用
  a 石材として利用されている岩石の性質と利用との関係を理解する。
  b 岩石には,ガラス,セメント,陶磁器などに利用されるものがあることを知る。

イ 鉱物の種類と性質
 (ア) 造岩鉱物
   おもな造岩鉱物の特徴を調べ,それらの間の違いを理解する。
 (イ) 鉱物の性質
  a おもな鉱物たとえば石墨,イオウ,黄鉄鉱,方解石,ホタル石,セッコウなどの形,割れ方,かたさ,比重などを比べ,色,つや,条こんなどが鉱物の種類によって決まっていることを知る。
  b 方解石の酸に対する反応の実験から,その成分を知る。

3 指導上の留意事項
(1) A(1)およびA(2)の指導においては,比例・反比例などの数量関係があることを取り扱うが,この学年ではこれらの関係を文字を用いた式で表わすことはできるだけ避ける。
(2) A(1)およびA(2)で取り扱う元素記号,化学式および化学反応式の種類は,内容で触れたものの程度にとどめる。また,構造式は取り扱わない。B(4)イ(イ)bで取り扱う鉱物の成分については,それらの重要な成分を実験などを通して知る程度にとどめ,化学式については扱わない。
(3) B(1)およびB(2)で扱う生物やB(4)で扱う岩石と鉱物については.できるだけ身近なものを選び,それらの特徴を,分類の基礎的な考え方と関連づけて指導する。種類を多くして,これらを機械的に記憶させることは避ける。
(4) B(1)およびB(2)で扱う生物やB(3)で扱う地かくの変化や構造,およびB(4)で扱う岩石と鉱物については,できるだけ野外観察や野外調査をさせ,自然を直接に観察して,そこから系統や原因を帰納させるように指導する。
(5) 沈殿の有無,色およびその変化については,感光器を用いて理解させるよう指導する。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 力のつりあい,音,電流の作用などの現象や,酸・アルカリ・塩などの物質について,その基本的な性質を理解させ,また,これらの調べ方に習熟させる。
(2) 気象現象の起こる様子を理解させ,また,天気予報についての知識を得させ,気象現象と生活との関係を認識させる。
(3) 生物体(人体を含む。)の構造とはたらきを,分析的に関係的に理解させる。

2 内  容
 A 第 1 分 野
(1) 酸・アルカリ・塩の化学的な関係を,それぞれの代表的な物質について指導する。
ア 酸
 (ア) 酸の水溶液
  a 塩酸・硫酸・硝酸のうすい水溶液の性質を調べる。
  b 塩酸・硫酸のうすい水溶液の金属に対するはたらきを調べる。
 (イ) おもな酸の性質
   濃い塩酸,濃い硫酸,濃い硝酸および酢酸の性質を知る。

イ  ア ル カ リ
 (ア) アルカリの水溶液
  a 水酸化ナトリウム・水酸化カルシウムなどのうすい水溶液の性質を調べる。
  b 水酸化ナトリウムの濃い水溶液のはたらきを調べる。
 (イ) おもなアルカリの性質
   水酸化ナトリウムおよび水酸化カルシウムの性質を知る。

ウ 塩
 (ア) 中和と塩
  a 酸とアルカリが中和すること,および中和によって塩ができることを理解する。
  b 金属と酸によって塩ができることを調べる。
 (イ) 塩の水溶液
  a 塩の色を調べる。
  b 炭酸ナトリウム,硫酸銅,塩化第二鉄などの水溶液は中性を示さないことを調べる。

(2) 力と仕事についての基本的な性質,および動力を伝える方法,物が力によって変形することなどを指導する。
ア 力のつりあい
 (ア) 力
   力は,大きさと方向によって表わされることを理解する。
 (イ) 1点にはたらく力のつりあい
  a 2力のつりあいを理解する。
  b 作用と反作用との関係を理解する。
  c 3力のつりあいを理解する。
  d 力か合成・分解できることを知る。
 (ウ) 斜面と摩擦
  a 斜面上の物体にはたらく力を調べる。
  b 斜面の利用を知る。
  c 摩擦力は,物と物とが接する面にはたらくことを理解する。

イ 力のモーメント
 (ア) てこと滑車
  a 力のモーメントのはたらきとその表わし方を理解する。
  b てこの原理を理解する。
  c 滑車のはたらきをてこの原理から理解する。
 (イ) 物体の安定
  a 棒や板は,それらの重心でささえられること,および立体的な物体にも重心があることを調べる。
  b 物体のすわりのよしあしと重心の位置との関係を調べる。
  c 船の安定について知る。

ウ 仕  事
  a 仕事の表わし方を知る。
  b 仕事の原理を理解する。
  c 仕事の意味とその表し方を知る。

エ 動力の伝達
  a 回転の速さや向きを変えるしくみに,べルト,チェーン,歯車などが用いられることを理解する。
  b 往復運動と回転運動とを互いに変えるしくみに,クランク,カムなどが用いられることを理解する。

オ 材料の強さ
 (ア) 物の変形
  a 物の弾性変形,そ性変形および破壊について知る。
  b 物の弾性変形についてフックの法則がなりたつことを確かめる。
 (イ) じょうぶな組み合わせ
  a 棒の形と強さの関係を調べる。
  b 棒を三角形に組み合わせると,じょうぶであることを調べる。

(3) 音が波であること,および音の波としての性質について指導する。
ア 音波とその伝わり方
  a 波の性質を理解し,また,音が空気の波であることを知る。
  b 音の伝わる速さを調べる。

イ 音の性質
 (ア) 音の高さ・強さ・音色
   音の高さと振動数,音の強さと振幅および音色と波形の関係を知る。
 (イ) 音の共鳴とうなり
  a おんさと適当な長さの空気柱とが共鳴することを調べる。
  b 振動数のわずかに違う二つのおんさで,うなりが発生することを調べる。

(4) 電波の強さと電圧・抵抗との関係および電流の熱作用や化学作用について指導する。
ア 電気と電流
 (ア) 摩擦電気
  a 正の電気と負の電気があることを調べる。
  b 雷は放電であることを知る。
 (イ) 電流・電圧・抵抗
  a 電圧と電流との関係を理解する。
  b 電気抵抗が物質により形によって違うことを調べる。
  c 電圧・電流・抵抗の間にはオームの法則がなりたつことを理解する。

イ 電流の熱作用
 (ア) 電流による発熱
  a 電流によって熱が発生することを理解する。
  b 安全電流と安全器および感電について知る。
 (イ) 電  力
   電力と電力量について理解する。

ウ 電流の化学作用
 (ア) 電 解 質
  a 電解質の水溶液は,電流を伝えることを調べる。
  b イオンについて知る。
 (イ) 電 気 分 解
  a 食塩水を電気分解し,それによってできる物質を調べる。
  b 金属塩と金属板を用いて電気めっきができることを知る。
 (ウ) 電  池
   ボルタの電池を調べ,その原理が実用の乾電池・蓄電池にも用いられていることを知る。

 B 第 2 分 野
(1) 気象現象について,その変化の様子や原因および日本の天気の特徴を指導する。
ア 気  温
 (ア) 気温の変化
  a 気温の変化を調べ,最高・最低気温,日平均気温および較差について知る。
  b 気温は,海面からの高度によって違うことを知る。
 (イ) 気温変化の原因
  a 日射,放射,対流および移流が,気温を変えるおもな原因であることを理解する。
  b 地面や海が気温の変化に関係することを知る。

イ 雨 と 雪
 (ア) 温度の変化
  a 乾湿計による湿度の測り方を習得し,また,湿度計について知る。
  b 湿度には,日変化,年変化および場所による違いがあることを理解する。
  c 水の蒸発のしかたは,温度,湿度,風などによって違うことを知る。
 (イ) 雲 と 霧
  a 雲量や雲形を中心にして雲の測り方を知る。
  b 雲や霧が,水滴または氷晶の集まりであることや,大気中に浮かんでいるわけを知る。
  c 霧および雲のでき方の大要を理解する。
 (ウ) 降  水
  a 降水には雨,雪,あられ,ひょうなどがあることを知る。
  b 降水量の測り方を知る。

ウ 気圧と風
 (ア) 気圧の測り方
   気圧は水銀気圧計,アネロイド気圧計などで測ることを知り,海面更正が必要なことを理解する。
 (イ) 風 の 原 因
   気圧傾度によって風が吹くことを理解し,高気圧・低気圧における風の吹き方を知る。
 (ウ) 風の測り方
   風向(16方位)や風速の測り方を知る。
 (エ) 風 の 変 化
  a 風には日変化と年変化のあることを知る。
  b 暴風と風圧および防風林のはたらきについて知る。

エ 天気の変化
 (ア) 天 気 図
  a 簡単な天気図を作り,その見方を知る。
  b 高気圧,低気圧,気圧の谷,前線(温暖・寒冷・停滞)および気図ならびにそれらと天気の変化との関係を理解する。
 (イ) 日本の天気
   日本の天気の大要を理解し,天気が生活と関係の深いことを知る。
 (ウ) 天 気 予 報
   天気予報や気象警報が出るまでの経過の大要と,それらの利用について知る。

(2) 植物の各器官は,それぞれ特有の組織をもち,決まったはたらきを営むことを指導する。
ア 葉の構造とはたらき
 (ア) 蒸  散
   植物体は,葉から水分を蒸散していることを調べ,その意義を知る。
 (イ) 葉 の 構 造
  a 葉の表と裏とで気孔の分布に違いのあることを知る。
  b 葉をつくっている組織や,葉脈の断面の構造を知る。
 (ウ) 光 合 成
  a 光合成でデンプンがつくられることをヨウ素試法で調べ,光合成の条件を知る。
  b 光合成によってつくられたデンプンの移動と貯蔵について知る。

イ 茎の構造とはたらき
 (ア) 茎の内部構造
  a カボチャなどやトウモロコシなどの茎の内部構造を知り,双子葉植物と単子葉植物の茎の内部構造のおもな違いを知る。
  b マツなどの裸子植物の茎の内部構造を知る。
  c 草本と木本の茎の構造の違いを知る。
 (イ) 通  道
   茎の通道のはたらきを調べる。

ウ 根の構造とはたらき
 (ア) 根の構造
   根の先の断面の構造を知り.成授点や維管束があることを知る。
 (イ) 吸  収
  a 根は根毛で水分や養分を吸収することを知る。
  b 肥料の3要素および栽培について知る。

エ 植物の呼吸
   植物が呼吸していることを確かめ,呼吸熱について知る。

(3) 人体のおもな器官の構造とはたらきや,体内における物質の変化について指導し,あわせて他のおもな動物の器官のはたらきを指導する。
ア 人体の構造の大要
 (ア) カエルのからだの構造
  a カエルを解剖して,おもな内臓を知る。
  b カエルの皮膚,筋肉および骨格について知る。
 (イ) 人体の構造
   人体の各部や諸器官の大要を知る。

イ 食  物
 (ア) 食物と栄養
  a 食物には,植物性のもの,動物性のもの,無機物などがあり,それらには,生きていくために必要な物質が含まれていることを知る。
  b 糖やデンプンは,炭素,水素および酸素の化合物であることを知る。
  c タンパク質は,炭素,水素のほかに窒素などを含む化合物であること,およびタンパン質の簡単な検出法を知る。
  d 脂肪は,炭素,水素および酸素の化合物で水に混じらないこと,および脂肪の簡単な検出法を知る。
  e おもなビタミンを知る。
 (イ) 腐敗と発酵
  a 腐敗は,細菌のはたらきによって起こることを確かめる。
  b アルコール発酵が,酵母菌のはたらきによって起こることなどから,発酵の意味を知る。

ウ 消化器とそのはたらき
 (ア) 消化器の構造
  a ヒトのおもな消化器と消化せんについて知る。
  b ウシ,ニワトリなどの消化器と,ヒトの消化器との違いを知る。
 (イ) 消化と吸収
  a だ液のはたらきを調べ,消化の意味を理解する。
  b おもな消化液の種類とそのはたらきを知る。
  c 小腸の吸収作用について知る。

エ 循環器とそのはたらき
 (ア) 血管と心臓
  a ヒトの心臓の構造について理解し,また,血管には動脈と静脈のあることを知る。
  b 魚やカエルの心臓とヒトの心臓との違いを知る。
 (イ) 血液の循環
  a 大循環と小循環について理解する。
  b はく動について知る。
 (ウ) 血液とリンパ
  a 血液のおもなはたらきを理解する。
  b リンパと血液の違いと,リンパせんのはたらきを知る。

オ 呼吸器および排出器とそれらのはたらき
 (ア) 呼  吸
  a 気道と肺の構造を知る。
  b 呼吸運動のしくみを理解する。
  c 呼吸が必要なわけと内呼吸・外呼吸について理解する。
  d コン虫,魚などの呼吸について知る。
 (イ) 排  出
  a 排出器の構造と,そのはたらきを知る。
  b 汗せんとそのはたらきを知る。

カ 骨格と筋肉
 (ア) 骨格と筋肉のなりたち
  a ヒトのおもな骨格と筋肉を知り,また,硬骨と軟骨の違いを知る。
  b 横紋筋と平滑筋の違いを知る。
 (イ) 骨と筋肉のつながり
  a 関筋の構造と筋肉運動との関係を理解する。
  b ヒトの骨格とエビ・カニの仲間やコン虫の骨格との違いを理解する。

キ 感覚と調節
 (ア) 中枢神経と末しょう神経
   脳・せき髄の構造と末しょう神経の構造の大要を知る。
 (イ) 反  射
  a 反射運動の起こるわけを理解する。
  b 内臓の運動やはたらきも,神経によって調節されていることを知る。
 (ウ) 目 と 耳
  a 目の構造について,水晶体や網膜のあることを知り,目のはたらきを理解する。
  b コン虫などは複眼をもっていることを知る。
  c 耳の構造について,鼓膜や内耳のあることを知り,耳のはたらきを理解する。
 (エ) 鼻 と 舌
  a 鼻の構造と臭覚について知る。
  b 舌と味覚について知る。
 (オ) 皮  膚
  a 皮膚の構造と皮膚感覚について理解する。
  b 皮膚の体温調節のはたらきを理解する。
 (カ) 内 分 泌
  a ヒトのおもな内分泌せんを知る。
  b おもなホルモンのはたらきについて知る。

3 指導上の留意事項
(1) A(1)における化学式および化学反応式については,〔第1学年〕3の(2)に準ずる。B(2)およびB(3)の指導では各種の物質を取り扱い,実験などを行なって,理解を深めなければならないが,これらの物質の多くは有機化合物で構造が複雑であるから,化学式では示さない。
(2) B(1)については,〔第1学年〕A第1分野の学習経験を基礎とし,またB第2分野における生物や地表の変化に関する学習経験にも関連づけて指導する。
(3) この学年の生徒は,数量関係を文字を用いた式で取り扱うことができるようになるが,文字を用いた式を使うときには,その意味をじゅうぶんに理解させるように指導しなければならない。また,A(2)ア(イ),(ウ)などで分力を求めるときは,縮図の方法による。
(4) B(3)におけるヒト以外の動物の構造とはたらきについては,それらの目だった特徴や人体とのおもな違いを理解させる程度にとどめる。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 物の運動,光および電磁気の性質と法則を現象を通して理解させ,また,物質の構造や電波についての初歩的な知識を得させる。
(2) 生物は,種族を保ちながら進化していくこと,生物は多種多様であるが,それらは地球の歴史とともに進化したもので,系統ある類縁関係を示していることを理解させる。
(3) 太陽系の構造と地球や月の運動およびそれらの運動と生活との関係を理解させ,また,恒星や宇宙についての概要を知らせる。
(4) 天然資源がどのように開発され,また,加工されて利用されるかを知らせる。

2 内  容
 A 第 1 分 野
(1) 光が直進し,物の境界面で反射・屈折すること,および光の色や物体の色について指導する。
ア 光の進み方
 (ア) 光 線 と 影
  a 光が直進すること,および光源の大きさによって本影と半影ができることを理解する。
  b 光の速さは非常に大きいことを知る。
 (イ) 光源と明るさ
  a 光源の強さと照らされる面の明るさとの関係を理解する。
  b 光度の単位としてカンデラ,照度の単位としてルクスが用いられることを知る。

イ 光 の 反 射
 (ア) 反射のしかた
  a 光が反射するとき,反射の法則がなりたつことを理解する。
  b 平滑でない面では,乱反射が起こることを理解する。
  c 平両鏡によって物体の像ができることを理解する。
 (イ) 球 面 鏡
  a おう面鏡やとつ面鏡による像のでき方を理解する。
  b 球面鏡が利用されている様子を知る。

ウ 光 の 屈 折
 (ア) 屈折のしかた
  a 物質の境界面で光が屈折したり,反射したりすることを調べる。
  b 屈折率を測定と作図によって求め,それが入射角によって変わらないことを理解する。
  c 水から空気へある角度以上で入射する光は,全反射することを理解する。
  d プリズムによる全反射を利用して,光の進路が変えられることを調べる。
 (イ) レ ン ズ
  a とつレンズやおうレンズで,平行な光線,集まる光線または広がる光線が得られ,また,像ができることを理解する。
  b 近視と遠視のめがねのはたらきを知る。

エ 色
 (ア) スペクトル
  a 太陽光線は,プリズムによっていろいろな色の光に分けられることを知る。
  b 紫外線とけい光について知る。
  c 赤外線について知る。
 (イ) 物 体 の 色
  a 物体が固有の色をもつわけ,および絵の具の3原色について知る。
  b 高温度の物体は光を出し,その光の色が温度によって変わることを知る。

(2) おもな気体の性質,沈殿の生成,酸化と還元などの化学変化について指導する。 
ア 気体の生成
 (ア) おもな気体の性質
  a 炭酸塩と塩酸から二酸化炭素をつくり,そのおもな性質を理解する。
  b 食塩と濃硫酸から塩化水素をつくり,そのおもな性質を理解する。
  c アンモニウム塩とアルカリからアンモニアをつくり,そのおもな性質を理解する。
  d 塩酸と酸化剤から塩素をつくり,そのおもな性質を理解する。
  e カルシウムカーバイドと水からアセチレンをつくり,そのおもな性質を理解する。
 (イ) 気体の水溶液からの気体の発生
   二酸化炭素,塩化水素,アンモニアなど,水に溶けやすい気体の水溶液から気体を発生させる反応を調べる。

イ 沈殿の生成
 (ア) 水に溶けやすい塩と溶けにくい塩
   硝酸銀と塩化銀,塩化バリウムと硫酸バリウム,塩化カルシウムと炭酸カルシウムのように,水に溶けやすい塩と溶けにくい塩があることを理解する。
 (イ) 沈殿ができる反応
  a 塩化銀,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなどが沈殿となって生成する反応があることを調べる。
  b 塩素イオン,硫酸イオン,カルシウムイオンなどのイオンの検出のしかたを知る。

ウ 酸化と還元
 (ア) 金属の酸化
   金属について,激しい酸化とゆるやかな酸化があることを調べる。
 (イ) 金属酸化物の還元
  a 金属酸化物のあるものは,還元炎によって還元されることを調べる。
  b 金属酸化物のあるものは炭素や水素によって還元されることを調べる。

(3) 電流と磁界との関係および交流と直流の性質の違いについて指導する。
ア 磁石と電流
 (ア) 磁石の性質
  a 磁石の磁界をつくることを調べる。
  b 地球は大きい磁石であることを知る。
  c 磁界中の鉄片は,磁石になっていることを知る。
 (イ) 電磁石とその応用
  a 電磁石の構造とはたらきを調べる。
  b コイルに流れる電流が磁界をつくることを理解する。
  c 直流電動機の原理を理解する。
  d 電流計・電圧計の原理を理解する。
  e スピーカーのはたらくわけを理解する。

イ 交  流
 (ア) 電 磁 誘 導
  a 磁石の運動によってコイルに電圧が生ずることを調べる。
  b 電磁誘導の現象を理解する。
  c 交流発電機の原理を理解する。
  d 電磁誘導の原理を応用したマイクロホンのはたらきを理解する。
 (イ) 交  流
  a コイルは,直流と交流に対して,そのはたらきに違いがあることを調べる。
  b 変圧器の原理を理解する。

(4) 落下の速さの変化,力と運動の関係およびエネルギーの概念について指導する。
ア 落 下 運 動
 (ア) 物体の速さ
  a 一様な速さの表わし方を理解する。
  b 等速直線運動の性質を理解する。
 (イ) 落下の様子
  a 落下の速さは,時間とともに増すことを理解する。
  b 落下の速さは,重さによらないことを確かめる。
  c 水平に投げられた物体の速度(速さと方向)を定性的に理解する。

イ 力 と 運 動
 (ア) 重  力
  a 物体が落ちるのは,地球に引かれるからであることを理解する。
  b 重力は,地球の引力であることを知る。
 (イ) 運動の法則
  a 慣性の法則を理解する。
  b 一様な加速度について,加速度の意味を理解する。
  c 物体に力を加えると加速度を生ずることを理解する。
 (ウ) 振り子の運動
  a 振り子の運動が等時性をもつこと,および振り子の長さと周期との関係を調べる。
  b 振り子の運動が継続するわけを定性的に理解する。
 (エ) 向 心 力
  a 円運動をしている物体には,中心に向いている力がはたらいていることを理解する。
  b 円運動をしている物体にはたらいている向心力がなくなれば,物体は直線運動をすることを理解する。
 (オ) 流れから受ける力
   板を流れに対して斜めにおくと,板は,流れに対して横向きにも力を受けることを調べる。

ウ エネルギー
 (ア) 熱 機 関
  a 熱が仕事に変わることを理解する。
  b 蒸気機関や内燃機関は,シリンダーとピストンの機関によって動力を得るしくみであることを知る。
  c 蒸気タービンは,はね車の機構によって動力を得るしくみであることを知る。
  d ロケットやジェットは吹き出す気体の反作用によっておす力を得るしくみであることを知る。
 (イ) エネルギー
   エネルギーは,いろいろな形をとること,およびそれらの移り変わりについて知る。

(5) 電波が受信できること,および原子の構造の大要について指導する。
ア 電子と真空管
 (ア) 二極管と電子
   二極管が整流作用をもつことを調べ,それが電子の性質によって説明できることを知る。
 (イ) 三極管のはたらき
   三極管によって電圧の変化が増幅されることを知る。

イ 電波とラジオ
 (ア) 電  波
  a ラジオの波,光およびX線は,すべて電波であることを知る。
  b X線は,透過力が大きいことを知る。
 (イ) ラ ジ オ
  a アンテナが電波を受けると,電波に応じた交流が流れることを知る。
  b コイルに流れる交流によって,そのコイルの両端に電圧が生ずることを知る。

ウ 原子の構造
 (ア) 質 空 放 電
  a ネオンサインなどでみられるように,希薄な気体中に真空放電が起こることを知る。
  b 陰極線の性質から,ブラウン管の原理を知る。
 (イ) 原子の構造
  a 原子は,原子核と電子とからできていることを知る。
  b 原子核は,陽子と中性子とからできていることを知る。
  c 放射性元素は,放射線を出すことを知る。
  d 人工的に元素を変換できることを知る。

 B 第 2 分 野
(1) 生物のいろいろなふえ方および遺伝しくみとその利用について指導する。
ア 生物の成長と細胞の分裂
 (ア) 生物の成長
  a 動物には成長の間に変態するものがあることを知る。
  b 植物の発芽と成長の様子を調べる。
  c 植物は,成長する間に,いろいろな成長運動をすることを知る。
 (イ) 細胞の分裂
  a 細胞分裂には,無糸分裂と有糸分裂があることを知る。
  b 生物の成長は,細胞分裂によることを理解する。

イ 無 性 生 殖
 (ア) 分裂・出芽・胞子形成
  a 細菌,アメーバ,ケイソウ,酵母菌などは,分裂または出芽によってふえることを理解する。
  b カビ類は,無性的に胞子によってふえることを調べる。
 (イ) 栄 養 生 殖
   植物は地下茎などによって無性的にふえることや,さし木・取り木・つぎ木などによってふやすことができることを知る。

ウ 有 性 生 殖
 (ア) 植物の受粉と受精
  a 花粉の発芽のしかたを知る。
  b 花粉がはい珠に達して受精が行なわれることを理解する。
 (イ) 動物のふえ方
  a 動物の雌雄の違いについて知る。
  b 動物の受精の過程を知る。

エ 発  生
 (ア) 卵の割れ方
   カエルなどの卵の初期の割れ方を知る。
 (イ) はいの発生
   発生が進むにつれて,組織や器管ができるようになることを知る。

オ 遺伝と変異
 (ア) 遺  伝
  a 生物には,遺伝する形質と遺伝しない形質があることを知る。
  b 生物の形質にはいろいろな変異があることを知る。
 (イ) 遺伝のしくみ
  a 染色体と遺伝の関係についての大要を知る。
  b メンデルの法則の大要を知る。
 (ウ) 品 種 改 良
  a 品種改良の方法には,選択法,交雑法,人為突然変異法などがあることを理解する。
  b 良い形質を保存する方法について知る。

(2) 化石や地質構造からわかった地質時代の変遷,生物進化の事実とその説明および生物の系統と自然分類について指導する。
ア 地表の歴史
 (ア) 地表の歴史を知る手がかり
  a 整合・不整合などの地層の重なり方は,過去の自然を知る手がかりの一つになることを理解する。
  b 化石から,過去の自然環境や地層の時代を推定できることを知る。
 (イ) 地質時代と生物
  a 地質時代の区分は,主として化石をもとにしていることを理解する。
  b 太古代・古生代・中生代・新生代の自然の様子やおもな生物について知り,生物の移り変わってきた大要を理解する。
  c 人類の出現と進化の大要を知る。
 (ウ) 日本列島の歴史
  a 日本列島の地質時代の様子の大要を知る。
  b 日本の地質構造の特徴を知る。

イ 生物の進化
 (ア) 進化の事実
   生物進化の事実を,化石,発生,分布,形態の比較などから理解する。
 (イ) 進化の説明
   ラマルク,ダーウィン,ド=フリスなどの進化についての考えを知る。

ウ 生物の系統と分類
 (ア) 生物の系統
   生物の種類は,系統的に配列できることを理解する。
 (イ) 生物の分類
   生物の自然分類の大要を知る。

(3) 地球の表面と内部構造,地球と月の運動および太陽系と恒星について指導する。
ア 地  球
 (ア) 地球の形と大きさ
  a 地球の形や大きさと,それを知る方法の大要を理解する。
  b 緯度・経度の決め方を理解する。
 (イ) 地球の表面と内部
  a 水陸分布,陸地の高低,海底の地形などの大要を知る。
  b 海には海流があることを知る
  c 大気圏の構造を知る。
  d 地球の内部の様子とそれを知る手がかりについて知る。
 (ウ) 地球の運動
   地球の自転と公転を理解する。
 (エ) 季節と暦
  a 四季のできるわけと,春分・秋分・げし・冬至について理解する。
  b 太陽日,太陽時,地方時と標準時などの大要を理解する。
  c 太陽暦の決め方を知る。

イ 月
 (ア) 月とその運動
  a 月面の様子を知る。
  b 月の満ち欠けの様子と月の出入りの時刻との関係を理解し,月の自転と公転を知る。
  c 月の満ち欠けと潮の干満とは関係があることを知る。
 (イ) 日食と月食
   日食や月食の起こるわけを理解する。

ウ 太陽と太陽系
 (ア) 太  陽
   太陽の表面の様子を知り,光と熱を出していることを知る。
 (イ) 太 陽 系
  a 太陽系の構造の大要を知る。
  b 金星,火星,木星などの見かけの運動や,流星について知る。

エ 恒  星
  a 恒星の色,光度,距離などについて知る。
  b 季節によって,見える星座が違うことを知る。
  c 銀河系と宇宙について知る。

(4) 生物の利用と保護,天然資源が化学工業によって加工・利用されていること,およびエネルギー資源とその利用について指導する。
ア 生物資源
 (ア) 生物の利用
   生物がいろいろの目的に利用されていることを知る。
 (イ) 生物資源の保護と開発
  a 生物資源の保護・育成の必要とその方法を知る。
  b 生物資源の開発について知る。

イ 天然資源と化学工業
 (ア) 鉱石と金属
  a 金属鉱床のでき方と採鉱の方法の大要を知る。
  b 鉱石のおもな種類と特徴を調べ,また化学成分を知る。
  c 製鉄の方法の大要を知り,鋼の特性と利用について理解する。
  d アルミニウムの製法を知り,アルミニウムの特性と利用について理解する。
  e 銅とその合金の特性と利用について理解する。
 (イ) 無機化学工業
  a イオウから硫酸がつくられることを知る。
  b 空気中の窒素からアンモニアが合成されることを知る。
  c 硫酸とアンモニアから硫安がつくられることを知る。
 (ウ) 有機化学工業
  a 石炭からいろいろな物質がつくられることを知る。
  b 石油と天然ガスを採掘する方法,原油を分留すると性質の違った油ができること,および天然ガスや石油が化学工業原料にもなることを知る。
  c 油脂からセッケンその他の物がつくられることを知る。
  d パルプなどのセルロースからビスコースレーヨンその他の再生人造繊維や半合成繊維がつくられ,また,石炭や石油などからナイロンなどの合成繊維がつくられること,およびこれらの人造繊維や天然繊維がそれぞれ特徴をもつことを知る。
  e それぞれ特徴をもった合成樹脂がつくられていることを知る。

ウ エネルギー資源
  a おもな燃料の使用上の特性を知る。
  b 水力,風力および太陽熱の利用について知る。
  c 原子力の特性の大要を知る。

3 指導上の留意事項
(1) 光に関する実験は,盲人用光学台等を用いて適切に行なう。
(2) A(1)ウ(イ)イにおけるレンズで像ができることの指導は,とつレンズの実像について実験させて,距離関係を見いだすことを中心とし,レンズの公式は取り扱わない。A(1)エ(ア)におけるスペクトルの指導においても,光の波長には触れない。A(3)イ(ア)における電磁誘導は,実験を通じて定性的に取り扱う。A(4)イ(ア)における引力については,それが存在し,その大きさが質量と距離に関係するという程度にとどめ,式は取り扱わない。A(4)イ(ウ)および(エ)についても,定性的,実験的に取り扱うにとどめる。
(3) A(5)については,それぞれの実際の応用の細部にわたったり,種類を多くあけたりすることは避け,内容としてあげた基本的なことを理解させる程度にとどめる。
(4) B(1),B(2),B(3)などについても,できるだけ観察,実験,観測などの指導を行ない,これらの概念や法則がつくられた筋道がよく理解されるように指導する。また,B(2)イにおける地質時代については,化石と関連づけて,結論が得られた考え方に重点をおくように指導する。
(5) B(1)オ(イ)で扱う染色体と遺伝の関係については,遺伝の因子が染色体にあることを理解させる程度にとどめ,減数分裂,遺伝子記号などによって説明することは避ける。
(6) A第1分野で指導する諸種の化学変化における化学式および化学反応式の取り扱いは〔第1学年〕3の(2)に準ずる。B第2分野においても(4)に関連して諸種の物質を取り扱うが,これらのうち(4)イにおける鉱物や有機化合物については,化学式や化学反応式を扱わない。
(7) B(4)イ(ア)で扱う金属鉱物は実物の観察などを通じて指導する。また(4)イ(イ)および(ウ)で扱う化学工業についても,それぞれの工業の過程のうちから,実験しうるものを選び,実験を中心として指導する。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 年間標準授業時数(各学年とも140単位時間)で指導する場合には,第1分野および第2分野の指導に,それぞれおよそ70単位時間を充てる。標準授業時数より多くの時数を充てて指導する場合は,標準授業時数を越える部分の時数を,必ずしも第1,第2分野に等分する必要はない。
2 指導計画は,各学年の内容において示したような二つの分野に分けて立てる。各分野をさらにいくつかの分野に分けることは避け,二つの各分野は,それぞれ一つにまとまった組織をもつように計画する。
3 各分野の内容を一つのまとまりに組織だてるとき,学問的体系によりすぎることなく,取り扱う事項の関連を重視し,生徒に理解できる体系を組み立てることが必要である。
4 各学年の内容にあげた各事項は,いずれも学校の指導計画に含まれ指導されることを原則とするものてあるが,各事項のまとめ方や順序については,必ずしもこれによる必要はない。学校において適切な組織,順序をもった指導計画を立てて指導する。
5 指導計画作成にあたっては,基本的な事項の指導をじゅうぶんに行なうことができるよう配慮する。このために,指導計画の中に取り入れて指導する事項は,特に精選することがたいせつである。標準授業時数より多くの時数を充てて指導する場合においても,各学年の内容にあげた各事項の学習をさらに深めることを方針とし,いたずらに多くの事項を取り扱うことは避ける。
6 基本的な事項の指導においても,理論的な演えきに傾いて生徒の経験を無視したり,実生活との結びつきを軽んじたりすることのないように注意し,つとめて具体的な事象からはいり,帰納的な考え方を重視し,このようにして学習した原理や法則を,実際の応用に結びつけるように指導する。
7 知識を得させることにのみ片寄ることなく,知識や理解を得させる過程において,理科の目標とする科学的能力や態度を,具体的に習得していくように指導する。
 特に,実験,観察の指導は困難を伴うが,できるだけ盲生徒の特性に即した方法をくふうするとともに,適切な標本,模型,器械,器具などを活用して,実験,観察のふじゅうぶんなところを補うよう留意する。
8 基礎的な実験法や計量器機械,器具などの取り扱いの技能を高めることがたいせつであるが,これらが機械的操作に陥らないように,指導する事項との関連をじゅうぶんに図り,操作の意味を考えさせるように指導する。
9 必要に応じて数量的な取り扱いを行ない,事象の関係を定量的にとらえさせ,また,事象の関係が簡単な場合には,事象の変化を予測させることがたいせつである。この場合,数学の学習との関連をじゅうぶんに図るとともに,取り扱う数量や数式の物理的な意味などが,生徒によく理解されるように指導する。
10 実験・観察や野外調査などの指導においては,特に事故の防止についてじゅうぶんに留意する。



 
第5節 音  楽

第1 目  標

1 音楽の表現や鑑賞を通して美的感覚を洗練し,情操を高め,豊かな人間性を養う。
2 音楽を表現する喜びを味わわせるとともに,音楽表現に必要な技術に習熟させ,音楽によって創造的な表現ができる能力を伸ばす。
3 わが国および世界のすぐれた音楽に親しませ,よい音楽を愛好する心情を養い,鑑賞する能力を高める。
4 わが国および世界の音楽文化に対する正しい理解を得させ,すぐれた音楽を継承し,わが国の音楽文化を向上させようとする基礎的な態度を養う。
5 音楽の表現や鑑賞によって得た美的情操や音楽的能力をもって音楽を生活に生かし,生活を豊かにする態度や習慣を育てる。

 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として音楽科の目標をなすものであるから,指導にあたっては,この点を常に考慮しなければならない。

第2 各学年の目標および内容
〔第1学年〕
1 目  標
(1) 小学部における学習経験の基礎の上に,音楽の表現力をいっそう高めることに重点をおき,あわせて音楽を鑑賞し理解する力の基礎を養い,中学部における音楽学習の基礎を確立する。
(2) 合唱活動を盛んにし,歌い合わせることの喜びを深めるとともに,視唱力を高める。
(3) 簡易な編成による合奏によって,楽器演奏の技術を養い,合奏の楽しさを味わわせる。
(4) 音楽の創作意欲を助長し,声や楽器で,自由に旋律を作る能力を養う。
(5) 広くよい音楽を聞かせ鑑賞への興味を高める。
(6) 音楽の組み立ての初歩的な知識を身につけさせる。
(7) 郷土の音楽やわが国および世界の有名な民謡・民族音楽を取り扱い,それらの違いや共通性を感じさせる。
(8) 音楽によって,学級やその他学校生活の中に好ましいふんい気を作り,またこれを家庭生活にも及ぼす習慣を養う。

2 内  容
 A 表  現
 (歌唱)
(1) 歌唱は,合唱を中心として行ない,歌うことへの興味を高める。
ア 歌唱活動の形態は,せい唱,輪唱,同声二部合唱および平易な同声三部合唱とする。
イ 親しみやすい愛唱歌を数多くもつ。
ウ 曲の気持ちが,調,拍子,速さ,強弱および詞の内容と関係があることを理解し,それにふさわしい歌い方をする。
エ 楽曲がもつリズム,旋律,速さなどの特色を生かして表現する。
オ 歌曲は暗唱し,心のこもった表現をする。
カ 変声期に関する予備的知識をもつ。
(2) 次のような基礎的歌唱能力を伸ばす。
ア 正しい姿勢や呼吸法をもって,無理がなくむらのない発声で歌う。
イ 母音および子音の練習を行ない,明確な発音で歌う。
ウ 歌い始め,息つぎ,歌い終わりを正しく,リズムにのった歌い方をする。
エ 表現に必要な記号や標語の読み方とそれらの意味を理解して歌う。
(ア) 強弱に関する記号
  
 (イ) 速さに関する標語Allegro(アレグロ),Allegretto(アレグレット),Moderato(モデラート),Andante(アンダンテ)
 (ウ) 速さの変化に関する記号 rit.a temdo
 (エ) その他の記号
  

オ 合唱の基礎を作るための終止形合唱を行なう。
 (ア) 長調,短調のそれぞれの主要三和音の響きとそれら三和音のいろいろな組み合わせによる和声進行感の経験。
 (イ) リズムをいろいろに変化させた終止形合唱。
 (ウ) 各声部の役割を理解しての歌い方。
(3) 視唱力を高めるための基礎練習を行なう。
ア 平易な音程やリズムによる短い旋律を聞き,それを反射的に階名唱する。
イ 平易な音程とリズムをもつ旋律を視唱する。
ウ 歌曲を階名暗唱する。
エ 記憶している旋律を記譜する。
(4) 歌唱教材の範囲は,次のとおりとする。
ア わが国や世界の明るく親しみやすい有名な歌曲,民謡および郷土の歌。
イ 次の教材を含めるものとする。
  わかれ……………岡本敏明 作詞,ドイツ民謡
  喜びの歌…………勝 承夫 作詞,ベートーべン 作曲
  朝だ元気で………八十島稔 作詞,飯田信夫 作曲
(5) 歌唱教材の程度は,次のとおりとする。
ア 音程は,全音階的音程とする。
イ 拍子は2/4,4/4,6/8,3/4とする。
ウ 調は,ハ,ト,へ,ニ,変ロの長調およびそれらの関係短調とする。日本音階は,それらと同じ調号の範囲とする。
エ 声城は,
を標準と,する。
オ 歌詞は,口語体とし,歌って意味のわかりやすいものとする。
カ わが国において歌い慣れている歌曲の歌詞や平易な外国語(特に英語)の歌詞は,そのまま用いてもよい。
キ 合唱曲の曲態は,主として和声様式のものとする。

 (器  楽)
(1) 簡易な合奏によって,楽器演奏の技術を養い,合奏することの楽しさを味わわせる。
ア 合奏は,リード楽器または節を中心とした編成で行なう。
イ 歌唱教材を利用して,歌唱と違った効果があることを経験する。
ウ 器楽曲として作られた曲を演奏し器楽の持ち味を生かす表現をする。
エ 視奏力を高める。
(2) 次のような合奏の基礎的能力を身につけさせる。
ア 個人の演奏技能
 (ア) 正しい姿勢と楽器の正しい操作。
 (イ) 正しい呼吸法。
 (ウ) 正確なタンギング。
 (エ) レガートおよびスタカートの奏法。
 (オ) 打楽器の正しい奏法
 (カ) 表現に必要な記号や標語の読み方とそれらの意味の理解。
  範囲は,おおむね(歌唱)(2)のエに示したものに準ずる。
イ 合奏の技術
 (ア) 正しい速さによる合わせ方やリズムの合わせ方。
 (イ) 各声部の役割を理解しての演奏。
ウ 視 奏 法
 (ア) 楽譜によるリズム奏
 (イ) 音符とポジションの関連の理解。
(3) 合奏教材の範囲は,次のとおりとする。
ア せい奏,二部合奏および三部合奏で行なう歌唱教材。
イ 歌唱と混合した形。
ウ 平易な合奏曲。
(4) 合奏教材の程度は,次のとおりとする。
 おおむね,(歌唱)(5)のア,イおよびエに示したものに準ずるが,調は,ハ長調および同じ調号の日本音階によるものとする。
(5) けん盤楽器では,次の程度で取り扱う。
ア 音階構成の理解の手がかりとする程度。
イ 歌唱学習で暗譜した旋律,あるいは創作した自作の旋律をひくなどの程度。

 (創  作)
(1) 自由な表現方法で旋律を作ったり,調に旋律をつけたりなどさせる。
ア 歌ったり奏したりして,自由に旋律を歌い出す。
イ 旋律線,リズム,段落の音などで,いろいろな感じの違いができることを理解して作る。
ウ 自分で即興的に生み出した旋律でも練り直すことができるように,これを記憶する。
エ 創作したものを互いに歌ったり奏したりして,旋律のつづり方に慣れる。なお旋律の長さは,おおむね8小節程度までにとどめる。
(2) 記譜の力をつける。
 自分で作った旋律を,楽譜として書き表わす。

 B 鑑  賞
(1) いろいろな種類の楽曲に親しませ,リズム,旋律,和声などのよさ,美しさ,おもしろさに対する関心を向める。
ア 親しみやすい音楽を反復して聞き,心を集中して聞く態度や習慣をつける。
イ 愛好する鑑賞曲の数を増す。
ウ 同一の楽曲をリズム,旋律,和声などの点から多面的に聞いて,音楽のもついろいろなよさ,美しさ,おもしろさを味わう。
エ 鑑賞を通して,作曲家に対する関心をもつ。
(2) 鑑賞の基礎的な力をつけるために,次のような聞き取り,聞き分けをさせる。
ア リズム,旋律,和声,拍手,速さ,調などのはたらきやそれらの表情,美しさを聞き取る。
イ 独唱,独奏,重唱,重奏,合唱,合奏など,声楽や器楽の演奏形態の効果の違いを聞き分ける。
ウ 標題楽などで表わそうとしていることがら,情景を聞き取る。
(3) 鑑賞教材は,次のような点を考慮して選ぶものとする。
ア 広く一般に知られているもの。
イ 生徒の理解や感得の容易なもの。
ウ 音楽の要素的なものや演奏形態などがはっきりわかるもの。
エ 次の教材を含むものとする。
  春の海……………宮城道雄 作曲
  今 様……………日本古謡
  弦楽四重奏曲 ハ長調「皇帝」から 第2楽章………ハイドン 作曲
  歌劇「魔弾の射手」から“かりゅうどの合唱”………ウェーバー 作曲
  魔 王……………シューベルト 作曲
  組曲「動物の謝肉祭」………サン=サーンス 作曲
  チゴイネルワイゼン………サラサーテ 作曲

3 指導上の留意事項
(1) 入学当初には,生徒のこれまでの音楽経験に違いのあることを考慮しその調整を行なう必要がある。
(2) 合唱については,合唱することに喜びや楽しさを感じさせるように配慮することが必要である。
(3) 合唱は,生徒の変声の状態によって混声の形態で行なうこともできる。
(4) 合唱の基礎を作るためには,終止形唱のほかに平易な対位的合唱を加えることができる。この場合,1度程度の短いカノンを扱う。
(5) 合唱曲のの曲態は,和声様式のもののほかに対位様式のものを加えてもよい。
(6) 音程の取り扱いについては,半音と全音および度数のみにとどめ,長,短,増,減などの種類には触れない。また主要三和音については,音階と同様それが調性の確立に不可欠なものであることも理解させる。
(7) 創作では,あまり形式にこだわりすぎて,生徒の自由な創作意欲を減殺するような取り扱いにならないようにする。
(8) 郷土の音楽を取り上げる場合には,その音楽と生活との関係,伝承されている様子などについて正しい理解をもたせることがたいせつである。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 第1学年における学習経験の基礎の上に,多くのすぐれた器曲に触れさせることによって,鑑賞力をいっそう伸ばすことに重点をおく。
(2) 変声に応じた歌唱法により,せい唱,輸唱,合唱などを通して歌唱能力を高める。
(3) 楽器演奏の技術の向上を図るとともに,平易な器楽曲の演奏によって合奏の楽しさを経験させる。
(4) 旋律を作る能力を伸ばし,まとまりのある音楽表現ができるようにさせる。
(5) 鑑賞活動を盛んにして,鑑賞力を高める。
(6) 音楽の形式的要素や演奏形態などについて理解させる。
(7) 郷土の音楽,各種の民謡および民族音楽などについて,それぞれの音楽の特色ある美しさを味わわせる。
(8) 愛唱歌を豊富にして,学校生活や家庭生活を楽しくすることに積極的に参加する態度や習慣を養う。

1 内  容
 A 表  現
 (歌  唱)
(1) 歌唱は合唱を中心として行ない,より高い歌唱の表現能力を習得させる。
ア 歌唱活動の形態は,第1学年の内容として示したものに準ずるが,混声三部合唱を加える。
イ 親しみやすい愛唱歌をさらに数多くもつ。
ウ 曲の気持ちや詞の意味を理解し,それにふさわしい歌い方をする。
エ 旋律線やリズムの反復,対照,変化などを理解し,それにふさわしい表現をする。
オ 歌曲は暗唱し,心のこもった表現をする。
カ 変声期における身体的,精神的特徴を理解し,音声の衛生に留意して無理のない歌い方をする。
(2) 次のような基礎的歌唱能力の充実を図る。
ア 正しい姿勢や呼吸法をもって,無理がなくむらのない発声で歌う。
イ 母音および子音の練習を行ない,明確な発音で歌う。
ウ 歌い始め,息つぎ,歌い終りを正しく,リズムにのった歌い方をする。
エ 表現に必要な記号や標語の読み方とそれらの意味を理解して歌う。
  第1学年の内容として示したものにAdagio(アダージョ),Largo(ラルゴ)を加えてもよい。
オ 速さや強弱などの変化に応じた歌い方をする。
カ スタカート,マルカートおよびレガートの歌い方に慣れる。
キ 指揮者の指示に,直観的に反応して歌う。
ク 合唱の基礎をつくるための終止形合唱および平易な対位的合唱を行なう。
 (ア) 第1学年の内容として示したものに,副三和音および属七の和音を加えたもの。
 (イ) 1度,5度などの短いカノン。
 (ウ) 各声部のもつ役割を理解しての歌い方。
(3) 視唱力を身につけるための基礎練習を行なう。
ア 短い旋律を聞き,それを反射的に階名唱する。
イ 短い旋律を聴音記譜する。
ウ 平易な旋律の初見練習をする。
エ 歌曲を階名暗唱する。
オ 記憶している旋律の記譜をする。
(4) 歌唱教材の範囲は,次のとおりとする。
ア わが国や世界の親しみやすい有名な歌曲,民謡および郷土の歌。
イ 次の教材を含めるものとする。
  荒城の月………………土井晩翠 作詞,滝廉太郎 竹曲
  踊りの精………………堀内敬三 作詞,ドイツ民謡
  サンタ ルチア………小松 清 作詞,ナポリ民謡
(5) 歌唱教材の程度は,次のとおりとする。
ア 音程は,第1学年の内容として示したものに平易な半音階的音程を加える。
イ 拍子は,第1学年の内容として示したものに3/8,2/2を加えることができる。
ウ 調は,第1学年の内容として示したものに,イ,変ホの長調を加えそれらの関係短調を加えることもできる。日本音階はそれらと同じ調号のものの範囲とする。
エ 声域は,第1学年に準ずるが変声期の者の声域は,無理のないようにする(男子はおよそ   )。
オ 歌詞は口語体とし,しだいに文語体を加えてもよい。
カ わが国において歌いなれている歌曲の歌詞や,平易な外国語の歌詞(特に英語)は,そのまま用いてもよい。
キ 合唱曲の曲態は,主として和声様式のものとし,対位様式のものも加える。
ク 楽曲は,平易な転調を含んだものを加えてもよい。

 (器  楽)
(1) 楽器演奏の技術の向上を図るとともに,楽曲のもつ特徴やおもしろさを,合奏を通して経験させる。
ア 合奏は,リード楽器または笛を中心として編成し,さらに低音楽器を加えて和声の充実した編成に発展させる。
イ 歌唱教材を利用することにより,歌唱と違った効果があることを経験する。
ウ 合奏独自の効果や特徴を生かして表現する。
エ 視奏力を高める。
(2) 次のような合奏の基礎的能力の向上を図る。
ア 個人の演奏技能
 (ア) 正しい姿勢と楽器の正しい操作。
 (イ) 正しい呼吸法。
 (ウ) 正確なタンギング。
 (エ) レガートおよびスタカートの奏法。
 (オ) #および♭のついた音の奏法。
 (カ) フレージングの正しい奏法。
 (キ) 打楽器の正しい奏法。
 (ク) 表現に必要な記号や標語の読み方とそれらの意味の理解。
  範囲は,おおむね(歌唱)(2)のエに示したものに準ずる。
イ 合奏の技術
 (ア) 正しい速さによる合わせ方やリズムの合わせ方。
 (イ) 各声部の役割を理解し,それぞれの声部にふさわしい作音。
 (ウ) 指揮者の指示への順応。
 (エ) 各種の伴奏型の奏法。
ウ 規 奏 法
 (ア) 楽譜によるリズム奏。
 (イ) 音符とポジションとの関連の理解。
 (ウ) 簡単な初見練習。
(3) 合奏教材の卸囲は,次のとおりとする。
ア 第1学年の内容として示したもの。
イ 歌唱学習に結びつけて行なうもの。
 (ア) 合唱と混合した形。
 (イ) 歌唱を助奏した形。
 (ウ) 歌唱を伴奏した形。
ウ 中声部および低声部の各声部が充突した合奏曲。
(4) 合奏教材の程度は,次のとおりとする。
ア 音程は,第1学年の内容として示したものに平易な半音階的音程を加える。
イ 拍子は,第1学年の内容として示したものに3/8,2/2を加えることができる。
ウ 調は,ハ,へ,トの長調とその関係短調ならびにこれと同じ調号の日本音階によるものとする。
(5) けん盤楽器では,次の程度で取り扱う。
ア 長音階や短音階および日本音階の構成の理解の手がかりとする程度。
イ 歌唱学習や創作学習との関連において取り扱う程度。

 (創  作)
(1) 旋律を作ったり,詞に旋律をつけたりなどさせて,一つのまとまった旋律にするようにさせる。
ア 自由に旋律をうたい出す力を伸ばす。
イ まとまりをもつためには形式か必要であり,それは反復,対照,変化などによって統一されていることを理解して作る。
ウ 一つのまとまりをもった旋律を作るために使用する音を,考えたり,選んだりする。
エ 与えられた形式や和声をもとにして,まとまった旋律を作る。
 (ア) 形式は一部または二部形式。
 (イ) 和声は主要三和音。
オ 各自が作った旋律を,互いに歌ったり奏したりして,旋律のまとめ方に慣れる。
  なお,旋律はおおむね8小節ないし16小節程度とする。
(2) 記譜の力を伸ばす。
ア 自分で作った旋律を,正しく記譜できるようにする。
イ 自分の感じがよく表わせるように,いろいろな記号や標語の使い方に慣れる。

 B 鑑  賞
(1) いろいろな形態の名曲に親しませ,それらの音楽の形式や音色のよさ,美しさ,おもしろさを味わわせ,進んでよい音楽を鑑賞する態度や能力を養う。
ア 親しみやすいよい音楽を反復して聞き,心を集中して聞く態度および,音楽のもつよさや美しさを求めようとする意欲を高める。
イ 愛好する鑑賞曲の数を増す。
ウ 同一の曲を音色,演奏形態,形式などの点から多面的に聞いて,音楽のもつよさ,美しさ,おもしろさを味わう。
エ 鑑賞を通して,作曲家やその作品に対する関心をもつ。
(2) 鑑賞の基礎的な力をつけるために次のような聞き取り,聞き分けをさせる。
ア 人声や楽器の種類およびそれらの個々の声や音色の美しさを聞き取る。
イ 各種の演奏形態を比較して聞き,それらがもつ次のような点を聞き分ける。
 (ア) 主旋律と伴奏。
 (イ) 高音域,中音城.低音域のそれぞれの分担。
 (ウ) リズム,旅律,和声など要素の分担。
 (エ) 音楽を色彩的に飾る声部。
ウ 二部,三部,複合三部,変奏曲,ロンド,ソナタ形式など基礎的な音楽の形式の中における主題の反復,対照,変化,発展の様子を聞く。
(3) 鑑賞教材は,次のような点を考慮して選ぶものとする。
ア 一般によく知られているもの。
イ 生徒の理解や感得が容易なもの。
ウ 基礎的な形式が明確なもの。
エ 演奏形態の様子がはっきり聞き取れるもの。
オ 次の教材を含めるものとする。
  江 差 追 分………………………日本民謡
  越後獅子(じし)(長うた)……杵(きね)屋六左衛門 作曲
  ピアノ ソナタ イ長調 K.331…モーツアルト 作曲
  バイオリン協奏曲 ホ短調…………メンデルスゾーン 作曲
  組曲「アルルの女」第1,第2……ビゼー 作曲
  こどもの領分…………………ドビッシー 作曲
  ヘンリー=パーセルの主題による変奏曲とフーガ(青少年のための管弦楽入門)…………………………プリトン 作曲

3 指導上の留意事項
(1) 第2学年においては,多くの男子が変声期にはいるので,指導の重点を鑑賞におき,表現の指導では,器楽や創作に重点をおくようにする。
(2) 男子の変声期においてはその声域もせばまり,5度程度の範囲になる者もあるので,このような生徒の指導にはじゅうぶんな配慮が必要である。
(3) 楽曲の強弱や速さは,絶対的なものでなく,相対的関係にあることを理解させることが必要である。
(4) (歌唱)(2)のク(ア)で取り扱う副三和音および属七の和音は,それらの和音の響きや和声進行感を経験させる程度にとどめ,和音そのものについての理論的な指導は行なわない。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 第2学年までに習得した音楽的諸能力を充実し,すぐれた音楽を表現し鑑賞することによって音楽美を愛する心を高め,生活を美化する態度や習慣を養う。
(2) 変声後の各自の音声の特色を伸ばし,より充実した合唱の経験を得させる。
(3) 第2学年までに得た演奏の技術を活用して,より高い音楽的な合奏ができるようにさせる。
(4) 創作能力をさらに伸ばし,個性的な表現ができるようにさせる。
(5) 鑑賞活動を盛んにするとともに,よい音楽を積極的に聞こうとする態度を養う。
(6) 時代別および民族別による音楽の特徴や音楽の組み立てを理解させ,特に日本の音楽に対する関心を高める。
(7) 音楽によって,学校,家庭,地域社会などを明るいものにしようとする態度や習慣を身につける。

2 内  容
 A 表  現
 (歌  唱)
(1) 変声期終了後に安定しつつある各自の声の特色をもとにして,個性に応じた歌唱表現ができるようにさせる。
ア 歌唱活動の形態は,第2学年の内容として示したもののほか,平易な混声四部合唱を加えることができる。
イ 芸術的な愛唱歌を数多くもつ。
ウ 曲の気持ちや詞の意味を理解して,それにふさわしい表現をする。
エ 楽曲がもつリズム,旋律,和声,速さ,表情記号などの示す特徴をとらえて表現する。
オ 歌曲は暗唱し,心のこもった表現をする。
 (ア) 旋律の高まりや静まりを心に照応させた表現。
 (イ) 伴奏を含めての音楽的なふんい気を感情に照応させた表現。
カ 各自の声種や声質の特色を生かして表現する。
(2) 曲や歌詞にふさわしい表情をもって表現できるようにさせる。
ア 正しい姿勢や呼吸法をもって,無理がなくむらのない発声で歌う。
イ 母音および子音の練習を行ない,明確な発音で歌う。
ウ 歌い始め,息つぎ,歌い終わりを正しく,リズムにのった歌い方をする。
エ 表現に必要な記号や標語の読み方とそれらの意味を理解して歌う。
  範囲は第2学年の内容として示したものと同じとする。
オ 速さや強弱などの変化に応じた歌い方をする。
カ スタカート,マルカートおよびレガートなどの歌い方に習熟する。
キ 指揮を理解し,指揮者の指示に順応して歌う。
ク 歌詞や曲想に対する個性的な解釈をして歌う。
ケ 合唱の基礎をつくるために,終止形合唱および平易な対位的合唱を行なう。
 (ア) 第2学年の内容として示したものに準ずる。
 (イ) 1度,5度,4度の短いカノン。
 (ウ) 各声部のもつ役割を理解しての歌い方。
(3) 視唱力を身につけるための基礎練習を行なう。
ア 簡単な旋律を聴音記譜する。
イ 簡単な旋律の初見練習をする。
ウ 新しい歌曲を視唱する。
エ 歌曲を階名暗唱する。
オ 暗唱歌を記譜する。
(4) 歌唱教材の範囲は,次のとおりとする。
ア わが国や世界の親しみやすい有名な歌曲や民謡。
イ 平易な芸術的歌曲。
ウ 次の教材を含めるものとする。
  花……………………武島羽衣 作詞,滝廉太郎 作曲
  こもり歌……………武内俊子 作詞,ブラームス 作曲
  やしの実……………島崎藤村 作詞,大中寅(とら)二 作曲
(5) 歌唱教材の程度は,次のとおりとする。
ア 音程,拍子および調は,第2学年の内容として示したものと同じとする。
イ 声域は,第2学年の内容として示したものに準ずるが,変声期終了後においては,無理のない範囲において声域を広げてもよい(男声はおよそ   まで)。
ウ 歌詞は口語体とし,文語体を加えてもよい。
エ わが国において歌い慣れている歌曲の歌詞や,平易な外国語の歌詞(特に英語)は,そのまま用いてもよい。
オ 合唱曲の曲態は主として和声様式のものとし,対位様式のものを加える。
カ 楽曲には,平易な転調を含んだものを加えてもよい。

 (器  楽)
(1) 楽器特有の音色を生かし,また楽器の機能を発揮させるとともに,まとまりのある演奏ができるようにさせる。
ア 合奏は,リード楽器または笛を中心として編成し,いっそう和声の充実した編成に発展させる。
イ 歌唱教材を利用することにより,歌唱と違った効果があることを経験する。
ウ 第2学年までに習得した技術によって,効果的にまとめた合奏曲の表現をする。
エ 視奏力を高める。
(2) 次のような合奏の基礎能力の確立を図る。
ア 個人の演奏技能
 (ア) 正しい姿勢と楽器の正しい操作。
 (イ) 正しい呼吸法。
 (ウ) 正確なタンギング。
 (エ) レガートおよびスタカートの奏法。
 (オ) #および♭のついた音の奏法。
 (カ) フレージングの正しい奏法。
 (キ) 打楽器の正しい奏法。
 (ク) 表現に必要な記号や標語の読み方とそれらの意味の理解。
  範囲はおおむね(歌唱)(2)のエに示したものに準ずる。
イ 合奏の技術
 (ア) 正しい速さによる合わせ方やリズムの合わせ方。
 (イ) 各声部の役割を理解し,それぞれの声部にふさわしい作音。
 (ウ) 指揮者の指示への順応。
 (エ) 各種の伴奏型の奏法。
 (オ) 速さ,強弱およびリズムの変化に応じた奏法。
 (カ) 発想記号や発想標語などを生かした奏法。
ウ 視 奏 法
 (ア) 楽譜によるリズム奏。
 (イ) 音符とポジションとの関連の理解。
 (ウ) 初見練習。
(3) 合奏教材の範囲は,次のとおりとする。
ア 和声的構成をもつもの。
イ 対位的な構成をもつもの。
ウ 表情的な主旋律をもつもの。
(4) 合奏教材の程度は,次のとおりとする。
ア 音程は,第2学年の内容として示したものに半音階的音程を加える。
イ 拍子は,第2学年の内容として示したものと同じとする。
ウ 調は,第2学年の内容として示したものに,さらに,ニ,変ロの長調およびその関係短調,同じ調号による日本音階を加えてもよい。
(5) けん盤楽器では,次の程度で取り扱う。
ア 和音の理解の手がかりとする程度。
イ 歌唱学習や創作学習との関連において取り扱う程度。

 (創  作)
(1) 旋律の中に,自分の気持ちや意図を表現する力を伸ばす。
ア 第2学年までに習得した知識や技能を活用して,自分の気持ちをじゅうぶんにうたいあげるようにする。
イ 既習の歌唱教材を分析研究することによって,形式,和声進行,旋律線などの点から旋律の構成を理解し,その理解の上に立って旋律を作る。
ウ 自分の気持ちや意図を表現するにふさわしい音を考えたり,選んだりする力を充実する。
エ 前もって一つの計画をもち,それに適した旋律を作る。
 (ア) 楽器のための旋律。
 (イ) 民謡風なまたは独唱曲風な旋律。
 (ウ) 形式または三部形式まで。
 (エ) 和声は主要三和音。
オ 簡易な伴奏づけまたは和声づけを試みる。
カ 各自が作った旋律を,互いに歌ったり奏したりして,旋律のまとめ方に慣れる。
(2) 記譜の力を高める。
ア 自分で作った旋律を,正しく記譜できるようにする。
イ 自分の感じを表わすのにふさわしい,記号や標語の使い方に慣れる。

 B 鑑  賞
(1) すぐれた楽曲を鑑賞させ,日本人としての品格を高めるうえに好ましい音楽と好ましくない音楽とを判別する力をもたせ,進んでよい音楽を求めようとする態度を養う。
ア すぐれた音楽を反復して聞き,心を集中して聞く態度および音楽のもつよさや美しさを積極的に求めようとする意欲を高める。
イ 愛好する鑑賞曲の数を増す。
ウ 同一の曲を,音楽を性格づける要素のはたらきや形態の特微,形式の構成などの点から多面的に聞いて,音楽のもつ美しさやおもしろさを聞き取る。
エ 鑑賞を通して,作曲家やその作品に対するほか,演奏家に対する関心をもつ。
オ 音楽に対する正しい考え方や感じ方を得て,価値の高いものと低いものとの判別をする。
(2) 鑑賞の基礎的な能力をつけるために,次のような聞き取り,聞き分けをさせる。
ア 人声や楽器の組み合わせのおもしろさや美しさを聞き取る。
イ 古典,ロマン,近代,現代の音楽を聞き,それらの音楽の時代的特徴を感じ取る。
ウ 民謡や民謡を主題とした作品,民族的色彩の濃い作品などを聞き,それらの音楽の民族的特徴を感じ取る。
エ ソナタ,交響曲など大きな構成をもつ楽曲の,楽章構造や組み形式のおよその構造を聞き取る。
(3) 鑑賞教材は,次のような点を考慮して選ぶこととする。
ア 名曲として知られているもの。
イ 音楽の時代区介の中で代表的なもの。
ウ 音楽の民族的区分の中で代表的なもの。
エ 日本音楽の代表的なもの。
オ 次の教材を含めるものとする。
  雅楽「越天(えてん)楽」……………………………日本古曲
  組曲 第2番 ロ短調………………………バッハ 作曲
  交響曲 第六番 へ長調「田園」…………ベートーベン 作曲
  交響詩「中央アジアの広原にて」…………ボロディン 作曲
  歌劇「おちょう夫人」から“ある晴れた日に”……プッチーニ 作曲
  ボレロ……………………………………ラヴェル 作曲
  舞踊組曲「ガイーヌ」………………………ハチャトゥリアン 作曲

3 指導上の留意事項
(1) この学年では,変声期も漸次終わるのであるが,完全なおとなの声にはまだなりきれない。したがって,特に男生徒の取り扱いでは,バスやテナーの標準的な声域と考えられている低い音や高い音も歌唱が困難であるから,じゅうぶんな注意が必要である。
(2) 混声四部合唱では,それを経験させるという程度で,あまり高度のものを求めない配慮が必要である。
(3) 楽曲構造を理解するための音楽の聞き取りは,あまり分析的に陥らないよう,およその様子がわかる程度とする。
(4) 音楽の時代的特徴の取り扱いは,鑑賞と関連をもって具体的につかませるよう,特に留意する。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 各学年の内容は,「表現」と「鑑賞」の二つの領域にわたって示し,また「表現」の内容は,歌唱および器楽,創作に分けて示してあるが,これらは相互に関連しあうものであり,その指導が統合的に行なわれてはじめて音楽の目標を達成することができる。したがって指導計画を作成するにあたっては,この点に留意しなければならない。
2 指導計画を作成するにあたっては,豊かな音楽経験が得られるよう,変化に富んだ取り扱いが必要であるが,一方,歌唱技能,演奏技能,視唱能力など基礎的な能力や技能に関するものは,各学年を通して系統的,累積的に指導する必要がある。
3 音楽の理解に関する学習は領域として示してなく,理解すべき事項は「表現」や「鑑賞」の中に盛り込んであるので,これらの事項は表現や鑑賞を通して指導する。
4 選択教科としての音楽の時間においては,各学年の内容に示したものをより深めるという取り扱いをする。深めるべき内容としては,すべての領域にわたって行なうのもよいし,生徒の特性に応じて器楽や創作の面に重点をおいてもよい。
5 生徒の発達段階に即応して第1学年では表現の指導に,第2学年では鑑賞の指導にそれぞれ重点をおき,第3学年では表現,鑑賞の指導は同等に扱う。
6 指導にあたっては,知的理解や技術の指導に片寄ることなく,感性に訴えた豊かな音楽経験を与えるようにする。
7 変声期の指導に関しては,各学年の内容に示したもののほか,次の点について考慮する必要がある。
(1) 教師はみずから生徒の変声期に関して理解するとともに,生徒に対してもじゅうぶんこれを理解させ,音声の衛生を指導しなければならない。またこの変声から起こる音楽忌避,音楽に対する自信の喪失などの心理的な面についても指導を怠らないように留意すること。
(2) 変声期中の生徒には適正な声域と声量によって歌わせ,強声を求めたりまた,長時間を歌唱に充てないこと。
8 合唱は常に伴奏つきのものでなく,時には無伴奏の形態のものも経験させることが必要である。
9 歌唱の指導においては,移動ド唱法を原則とする。
10 器楽では,吹奏楽器や弦楽器を加えてもよいが,吹奏楽や弦楽合奏を取り扱う場合は,選択教科としての音楽の時間などにおいて指導する。
 また楽器に対しては愛情をもち,手入れや保管が行き届くように指導する。
11 けん盤楽器を使用する学習にあっては,直接楽器を用いて指導することが望ましい。
12 鑑賞学習にあっては,生徒の積極的な鑑賞態度を高めるために,主要な旋律を歌ったり奏したりなどして,楽曲に親しみを覚えさせるくふうをする。
 また,鑑賞で知的な学習を行なう場合にあっても,生徒の感情に訴えて行なう指導が必要である。
13 鑑賞教材として示したもののうち長い楽曲については,それぞれ各学年の内容B鑑賞(1)および(2)に示したところに応じて主要な部分を聞かせるとか,あるいは適当な楽章を取り出して聞かせるなどのくふうも必要である。
14 指導の補助手段として,放送,録音機などの利用をくふうすることも有効である。



 
第6節 美  術

第1 目  標

1 彫塑や絵画的なものなどの表現や鑑賞を通して,美術的な表現意欲を高め,創作の喜びを味わわせる。
2 形や地はだなどに関する学習を通して造形感覚を伸ばし,造形的な表現能力を養う。
3 自然や人工のものを観察させ,触覚による観察力を養う。
4 わが国および諸外国の美術作品を鑑賞させ自然に親しませて美術や自然を愛好する心情や鑑賞する力を養う。
5 美術の表現や鑑賞を通して,情燥を豊かにするとともに美術的な能力を生活に生かす態度や習慣を養う。

 以上の目標の各項目は相互に密接な関連をもって,全体として美術科の目標をなすものであるから,指導にあたっては,この点を常に考慮しなければならない。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 小学部における学習経験の基礎の上に,いっそう美術的な創造力を養う。
(2) 小学部に引き続いて自由な構想力を伸ばすとともに,観察による表現力もあわせて養う。
(3) 形や地はだなどを美術的に処理する能力や,デザインの能力の基礎を養う。
(4) わが国および諸外国の美術作品に親しませ,表現能力を養うことに役だたせるとともに作品のよさを味わい楽しむ態度や能力を養う。

2 内  容
 A 内  容
 (印象や構想などの表現)
 印象や構想などの表現を,以下観察による表現と構想による表現とに分けるものとする。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 観察による表現の指導においては,対象を観察し,対象物から受けた感動をとらえて表現する能力を養う。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 構想による表現の指導においては,外界の対象や生活経験,物語詩などをもととし,記憶,想像,空想などを自由に表現する能力を養う。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 小学部における学習経験の基礎の上に,第1学年においては,構想による表現の指導にやや重点をおくものとする。

(1) 観察による表現
 生徒の必要や興味によって身近な自然や人工物の中から,美しさを見いだし,その印象を率直に表現させたり,対象を形をくわしく観察して表現させたりする。
ア 彫  塑
 対象物の立体的な組み立てを観祭し,量感を豊かに表現させる。
 (ア) 表現題材は,動植物,人物,その他の具象物とする。
 (イ) 表現材料は,繊維性塑材・粘土類,人工材料などの可塑材・木材・硬土類・人工材料などの彫刻材などのうちから適宜選ぶものとする。
 (ウ) 表現方法は,浮き彫り,まる彫りとする。
イ 絵画的なもの
 (ア) 表現題材は,身近な動植物,人物,人工物などとする。
 (イ) 表現材料は,紙材,繊維性材・粘土類・自然物その他から適宜選ぶものとする。
 (ウ) 表現方法は,浮き彫り的表現方法その他などとする。

(2) 構想による表現
 記憶,想像,空想などによって構想を自由に表現させる。
ア 彫  塑
 (ア) 表現題材は,生活経験に関連のあるもの,科学的なもの,文学的なものなどとする。
 (イ) 表現材料は,繊維性塑材・粘土類・人工材料などの可塑材,木材・硬土類・人工材料などの彫刻材などから適宜選ぶものとする。
 (ウ) 表現方法は,浮き彫り,まる彫り,その他表現に適する任意な方法を選ぶものとする。
イ 絵画的なもの
 (ア) 表現題材は,生活経験に関連のあるもの,科学的なもの,文学的なものなどとする。
 (イ) 表現材料は,紙材,繊維材,粘土類,自然物その他から適宜選ぶものとする。
 (ウ) 表現方法は,浮き彫り的表現方法その他などとする。

 (形の基礎練習)
 形体,材質感などによる構成練習を通して,調和の感覚を訓練し,彫塑や絵画的なものなどにおける表現やデザインの基礎的な能力を高めることを主とする。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 第1学年においては,基礎的で比較的容易なものを扱い,生徒の興味と関心をよび起こさせる。
(1) 形の構成練習
 美しい形を見いだしたり,創作したり,また造形の美的秩序を研究させる。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 第1学年においては,次の練習を通して,創造的構成の関心を高める。
ア 自然形をもとにした練習
  自然物の形をもとにして,自由な形体を作り出させるものとする。
イ 抽象形をもとにした練習
  簡単な幾何学的な図形や好きな抽象形を用いて,自由な組み立てをさせるものとする。

(2) 材料についての経験
 材料は,おのおの材料特有の性質と材質感をもつが,それらの材料が,美術的表現の材料となる可能性を感づかせ見いださせる。
 第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 第1学年においては,次の活動を通して材料は造形上おのおの特有の性質と材質感をもつものであることを知らせ,材料についての興味を深めさせる。
ア いろいろな材料を集めて比べたり,地はだを調べたりする。
イ 材料の扱い方をくふうして,いろいろな表現効果をためしてみる。
ウ 身近な材料で立体のおもしろい形をくふうする。

 (美術的デザイン)
 デザインの指導においては,使用目的およびそれに関連するいろいろの条件を考えて,創造的な活動を行ない,美的に総合して物を作り上げる能力を養う。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 デザインの対象となるものは広い範囲に及ぶが,ここにいう美術的デザインの内容として扱うものは工的技術を主とした建築や工業的デザインを除いた分野のものとし,デザインの能力とみられる物の配置配合,環境の改善美化もここに加えて指導するものとする。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 第1学年においては,生徒の経験や興味を生かし,次のような身近なもの,自由なものについてのびのびとデザインをさせる。

(1) デザイン
  マーク,表紙,身近な日用品などから適宜選んで指導する。
(2) 物の配置配合
  学校生活,家庭(寄宿舎)生活における室内のいろいろな用具日用品などの配置配合を適宜選んで指導する。

 B 鑑  賞
 主として表現の指導に関連して,自然や人工の美を観察,鑑賞させ,また,美術作品などに親しませる。

3 指導上の留意事項
(1) 2A(印刷や構想などの表現)の「(1)観察による表現」については,生徒の年齢上,観察して表現しようとする傾向や要求に適応して適切な指導が必要である。しかし,あまり程度の高いことを期待して,表現意欲を妨げないようじゅうぶん注意することが必要である。また「(1)観察による表現」においては,まず対象の美しさをじゅうぶん感じとらせることがたいせつである。
 このために教師は,この学年の生徒にも感じ取られような美しい対象を用意したり,環境を整えてやることが必要である。
(2) 2A(印象や構想などの表現)の「(2)構想による表現」については,中学部生徒の年齢になると小学部児童ほど表現活動に自由さがなくなる傾向がみられるので,教師の適切な示唆により,生徒の想像力や,空想力を育て,表現内容に深みや豊かさをもたせるように指導することが必要である。
 また,表現に移る前に表現の意図を明確にさせるようにする。
(3) 2A(形の基礎練習)の「(1)形の構成練習」において自然形をもとにした練習では,観察の態度や方法によっていろいろ異なった感じ方があることなどを,それに適した方法を講じて気づかせ,新鮮な感銘によって形を作り出すことのできるように指導する。さらに抽象形をもとにした練習では,自由にのびのびと扱うことを主旨とするが,その練習はあまり冗漫になったり,様式的にならないような注意がたいせつである。
(4) 2A(形の基礎練習)の「(2)材料についての経験」ではいたずらに材料の種類を多くしたり,それらを扱う方法について,深入りした指導をしないように留意する。
(5) 2A(美術的デザイン)については,よい構想を持ちながら,表示能力が伴わないために,デザイン学習に困難さをきたす生徒が多いので,表現の巧拙にかかわらずよい構想や口頭発表などを認めるようにし,また,よい構想に適切な表示方法を指導することがたいせつである。
 また,配置配合の指導にあたっては,それらを単独に取り出して指導するのでなく,他の内容の扱いに関連して指導の機会を見いだすようにすることが望ましい。
(6) 2の「B鑑賞」における自然や人工の美の観察,鑑賞の指導は他の「A表現」の内容と関連をとって行なうものとする。また,美術作品などの鑑賞の指導にあたっては,生徒に親しみのある身近な作品,を選んで親しませるとともによく理解させることに重点をおき表現指導との関連を考えながら,いろいろな観点から扱うことが望ましい。
 さらに美術品の扱い方や,作者や作品に対する尊敬の念を育てるように留意する必要がある。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 第1学年における学習経験の基礎の上に,さらに美術的な創造力を伸ばすとともに,基礎的な表現力や鑑賞力を養う。
(2) 観察的な表現力をいっそう伸ばすとともに,自由な想像力をも伸ばす。
(3) 第1学年における形や地はだなどの基礎練習や美術的デザインの学習経験を基礎にして,さらに意図的に自分の構想をまとめ,これを表現する能力を養う。
(4) 身近な生活環境を美術的に処理する態度や能力を養う。
(5) わが国および諸外国の美術作品に親しませ,表現能力を養うことに役だたせるとともに,作品のよさを味わい楽しむ態度や能力を養う。

2 内  容
 A 表  現
 (印象や構想などの表現)
 第1学年における学習経験の基礎の上に,観察による表現を主とし,構想による表現も指導する。
(1) 観察による表現
 対象の形体,材質などを観察して表現させたり,また全体的に関係的に対象を観察して表現させたり,さらに適切な構成をくふうさせたりすることによって,対象から受ける感動を表現させる。
ア 彫  塑
 対象物の立体の組み立てを観察し,均衡に留意して表現させる。
 (ア) 表現題材は,動植物,人物,その他具象的的なものとし,複合体などのやや程度の高いものを扱う。
 (イ) 表現材料は,粘土類・石こう・セメント・人工材料などの可塑材,硬土類・軟石類・人工材料などの彫刻材などのうちから適宜選ぶものとする。
 (ウ) 表現方法は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(1)の(ウ)に示したものに同じとする。
イ 絵画的なもの
 (ア) 表現題材は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(1)イの(ア)に示したものに同じとする。
 (イ) 表現材料は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(1)イの(イ)に示したものに同じとする。
 (ウ) 表現方法は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(1)イの(ウ)に示したものに同じとする。

(2) 構想による表現
 記憶・想像・空想などによる構想をやや計画的に表現させる。
ア 彫  塑
 (ア) 表現題材は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(2)の(ア)に示したものに同じとする。
 (イ) 表現材料は,粘土類・石こう・セメント・人工材料などの可塑材,硬土類・軟石類・人工材料などの彫刻材などから適宜選ぶものとする。
 (ウ) 表現方法は,表現に適した任意な方法を選ぶものとする。
イ 絵画的なもの
 (ア) 表現題材は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(2)イの(ア)に示したものに同じとする。
 (イ) 表現材料は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(2)イの(イ)に示したものに同じとする。
 (ウ) 表現方法は,表現に適した任意な方法を選ぶものとする。

 (形の基礎練習)
 第1学年の内容として示したものを深め,形体,材質感などの総合的な練習も行なわせる。
(1) 形の構成練習
 形の構成練習において,次の練習を通して,自然の観察力を深めるとともに,構成力を養い,また材質感についても考えさせる。
ア 自然形をもとにした練習
  自然形をもとにした練習では,自然物の形をよく観察して,形の特微を生かした新しい形体を構成させるものとする。
イ 抽象形をもとにした練習
  抽象形の配置や組み立てにあたって,変化や統一などの構成に注意しながら行なわせるものとする。
(2) 材料についての経験
 第1学年2A(形の基礎練習)の(3)に示した内容に準ずるが,「(1)形の構成練習」と融合して扱うことに重点をおくものとする。
 (美術デザイン)
 デザイン上の諸条件を考え,条件に適応して,次のようなもののデザインをさせる。
(1) デザイン
 第1学年2A(美術的デザイン)の「(1)デザイン」に準ずる。
(2) 物の配置配合
 第1学年2A(美術的デザイン)の「(2)物の配置配合」に準ずる。

 B 鑑  賞
 第1学年「B鑑賞」に示したものに準ずる。

3 指導上の留意事項
(1) 2A(印象や構想などの表現)の「(1)観察による表現」については表現意欲を高めるように観察する態度をいっそう養う必要がある。また「(1)観察による表現」について,これを「2A(形の基礎練習)」に関連づけいっそう効果的にする技法を指導する。このため時には分析的な指導をするのもよい。
「(1)観察による表現」においては,それぞれの生徒の個性を生かした指導をすることがたいせつである。
(2) 2A(印象や構想などの表現)の「(2)構想による表現」については時間的に制限あもり,生徒の関心の度合いにも差が生じてくるから,「(1)観察による表現」とあわせて指導してもよい。また,表現の技法も教える必要がある。
(3) 2A(美術的デザイン)の指導においては,デザインの目的や諸条件に適応して創造的な働きができるようにしていくことをねらいとするが,それには,デザインするものの使用目的や使用環境あるいは製作される過程などの条件をじゅうぶん理解,はあくさせるようにし,これらをもとにして,総合的に新しい考え方をくふうさせるようにする。
 また,「(2)物の配置配合」の指導は,美術の時間の指導で終わるというのでなく,学校内外の生活で,生徒が興味と関心をもち,この能力を発揮できるように指導することが望ましい。
(4) 2の「B鑑賞」の指導にあたっては,わが国および当用諸国を中心として彫刻,工芸品などの作品の中で,生徒に親しみやすい,わかりやすいものを選び,じゅうぶんよさを味わせるとともに理解させる。
 また,鑑賞の指導が,既成の概念や知的な理解に終わらないように各種資料を準備することが望ましい。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 第2学年における学習経験の基礎の上に,表現や鑑賞の力を充実するとともに,生活と美術との関係についての関心を高める。
(2) 表現にくふうをこらし,自信と自由感をもって,表現する能力を養う。
(3) 第1学年や第2学年の形の基礎練習や美術的デザインの学習経験の基礎のう上に,これらをいっそう伸ばすとともに,総合的に応用する力を養う。
(4) 環境美化について関心をもたせる。
(5) わが国および諸外国の美術作品に親しませ,表現能力を養うことに役だたせるとともに,作品のよさを味わい楽しむ態度や能力を養う。

2 内  容
 A 表  現
 (印象や構想などの表現)
 第2学年2A(印象や構想などの表現)の学習経験の基礎の上に,観察による表現を主とし,構想による表現も指導し,表現の深さを増すように指導する。
(1) 観察による表現
 第2学年2A(印象や構想などの表現)の「(1)観察による表現」に示した内容の程度をさらに高めて,各自に適した表現の態度や方法を指導し,自信や自由感をもって表現させる。
ア 彫  塑
 対象物の立体の組み立てを観察し,動勢に留意して表現させる。
 (ア) 表現題材は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)の(ア)に示したものに同じとする。
 (イ) 表現材料は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)の(イ)に示したものに同じとする。
 (ウ) 表現方法は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)の(ウ)に示したものに同じとする。
イ 絵画的なもの
 (ア) 表現題材は,身近な動植物,器物,人物,人工物などから適宜選ぶものとする。
 (イ) 表現材料は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)イの(イ)に示したものに同じとする。
 (ウ) 表現方法は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)イの(ウ)に示したものに同じとする。

(2) 構想による表現
 第2学年における学習経験を深めて,記憶,想像,空想などによる構想を的確に表現させる。
ア 彫  塑
 (ア) 表現題材は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(2)の(ア)に示したものに同じとする。
 (イ) 表現材料は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(2)の(イ)に示したものに同じとする。
 (ウ) 表現方法は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(2)の(ウ)に示したものに同じとする。
イ 絵画的なもの
 (ア) 表現題材は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)イの(ア)に示したものに同じとする。
 (イ) 表現材料は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)イの(ウ)に示したものに同じとする。
 (ウ) 表現方法は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)イの(ウ)に示したものに同じとする。

 (形の基礎練習)
 第2学年2A(形の基礎練習)の内容として示したものをさらに深めさせる。
(1) 形の構成練習
 立体における空間構成について関心を高める。
 いろいろな形や材料を扱って,立体における構成,量,均衡,方向や律動などを考えて構成させる。
(2) 材料についての経験
 第2学年2A(形の基礎練習)の(2)に準じ,「(1)形の構成練習」と融合して扱うことに重点をおくものとする。

 (美術的デザイン)
 デザインの諸条件を第2学年2A(美術的デザイン)に示したよりもさらに深く理解し,条件に適応し,かつ創造的価値の高いものになるように,次のもののデザインをさせ,また,その表示の能力も伴うように指導する。
(1) デザイン
 第2学年2A(美術的デザイン)の「(1)デザイン」に示した内容に準ずる。
(2) 物の配置配合
 第2学年2A(美術的デザイン)の「(2)物の配置配合」に示した内容に準ずる。

 B 鑑  賞
 第2学年「B鑑賞」に示したものに準ずる。

3 指導上の留意事項
(1) 2A(印象や構想などの表現)の「(1)観察による表現」については,観察の態度がいっそう深く広いものにし,生徒によっては,時に美の表現のために強調した表現もできるように適切に指導する。
 さらに材料,技法は生徒の能力,興味に適したものを取り上げあまり細かな技法を強制しないように留意する。
(2) 2A(印象や構想などの表現)の「(2)構想による表現」については,時間的にも制限があり,また生徒の関心の度合いにも差が生じてくるから,「(1)観察による表現」とあわせて指導してもよい。表現の技法もくふうさせ意図を明確に表現するように指導する。大きな立体に表現することを指導してもよい。また共同製作を課してもよい。
(3) 2A(形の基礎練習)(1)形の構成練習では,身近な材料を扱って指導し,立ち入った材料の組み立ての技法の指導は避ける。
(4) 2A(美術的デザイン)の指導にあたっては,学校行事等と関連をとり,その実際に役だつように配慮することが望ましい。
 さらに,社会の環境の実態の上に立ってこれらを美化する基本的な事項を説明したり,指導することも考えられる。
(5) 2の「B鑑賞」の指導にあたっては,わが国および西洋の彫刻,工芸などの作品の中で,生徒に親しみやすいものを選び,じゅうぶんに味わわせるとともに理解させる。
 また,鑑賞の指導が既成の概念や知的な理解に終わらないように各種の資料を準備することが望ましい。さらに,郷土に適当な美術作品があれば,適宜これを取り入れて指導することが望ましい。美術文化交流と国際親善についても適宜指導し,必要によっては美術の動向についても平易な指導をする。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 各学年の内容は,A表現と,B鑑賞の二つの領域に大別し,A表現はさらに印象や構想などの表現形の基礎練習および美術的デザインの三つに分けてある。したがって,指導計画の作成や指導にあたってはそれだけの特性を生かすとともに相互の有機的な関連を図るように心がけなければならない。
2 指導する事項の扱いにおいては,この教科の性格上,生徒の発達段階に応じて同一の事項でも,これを質的に高めていくべき性格のものもあるから,この点に留意しなければならない。
3 各学年の2A(印象や構想などの表現)中の表現題材については,指導計画を作成するにあたって,全学年を通して生徒の発達段階などを考慮して,適切な計画を立てなければならない。
4 選択教科としての美術の時間においては,各学年の内容において示したものを深めるという取り扱いをする。深めるべき内容としては,すべての領域にわたって行なう。
5 指導計画作成にあたっては,特に技術・家庭科との関連を図ることが必要である。
6 指導計画作成にあたっては,学校の施設設備の状況,季節などを考慮して年間計画などを作成して,指導を計画的に行なうことが必要である。
7 指導する事項の取り扱いや指導法については,教師の興味に偏することなく,生徒の必要や要求に応ずるようにくふうすることがたいせつである。
8 指導を有効に進めるためには,造形に関する実物,模型,複製,標本など資料を精選してなるべく多く準備することが望ましい。



 
第7節 保 健 体 育

第1 目  標

1 心身の発達について理解させるとともに,各種の運動を適切に行なわせることによって,身心の健全な発達を促し,活動力を高める。
2 合理的な練習によって,各種の運動技能を高めるとともに,生活における運動の意味を理解させ,生活を健全にし豊かにする態度や能力を養う。
3 運動における競争や協同の経験を通して,公正な態度を養い,進んで規則を守り,互いに協力して責任を果たすなどの社会生活に必要な態度や能力を向上させる。
4 個人生活や社会生活における健康・安全について理解させ,自己や他人を病気や傷害から守り,心身ともに健康な生活を営む態度や能力を養う。

 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として保健体育科の目標をなすものであるから,指導にあたってはこの点を常に考慮しなければならない。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 各種の運動の練習を通して,身体の形態や機能の発達を促し,基礎的運動能力を伸ばすとともに,運動の技能を養う。
(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚して責任を果たすとともに,共通の目標に向かって,互いに協力して運動を行なう態度を養う。
(3) 運動を行なうときのきまりや方法をくふうし,計画をもって行なう態度や能力を養う。
(4) 競技における規則や審判や相手の果たす機能を理解し,勝敗に対して公正な態度がとれるようにする。
(5) 運動の練習に関する必要な事項を理解させ,運動を合理的に行ない,生活を豊かにする態度や能力を養う。
(6) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や能力を養う。

2 内  容
 (徒手体操)
(1) 次の運動によって,身体の柔軟性を増し,各部位の運動が律動的な動きでできるようにする。
ア 下肢の運動
 (ア) 屈伸(半屈膝・全屈膝)
 (イ) 挙振(側・前・後)
 (ウ) 跳躍(片足・両足)
イ 上肢の運動
 (ア) 挙振(側・前・上・斜上)
 (イ) 屈伸(側・前・上・下)
 (ウ) 回旋(内外・前後・側方)
ウ くびの運動
 (ア) 屈(前・後・側)
 (イ) 転(側)
 (ウ) 回 旋
エ 胸の運動
 伸 展
オ 体側の運動
 (ア) 屈(側)
 (イ) 倒(側)
カ 背腹の運動
 (ア) 屈(前・後・斜前・斜後)
 (イ) 倒(前・後)
キ 胴体の運動
 (ア) 転(側)
 (イ) 回 旋
(2) 徒手体操の効果を理解し,進んで行なう態度を養う。
ア 身体の各部位の動きの範囲を理解する。
イ 徒手体操を準備運動,整理運動および不良姿勢の予防・きょう正などに役だたせる方法を理解する。
ウ 互いに批判しあって行なう。

 (器械運動)
(1) 次の運動によって,器械運動の基礎的な技能を養う。
ア 鉄棒運動
 (ア) 上がり方
  a 片足外かけ上がり
  b さか上がり
 (イ) おり方
  a うしろおり
  b 前回おり
  c 踏み越しおり
 (ウ) 回  転
  a 足かけ後転
  b 足かけ前転
  c 腕立て後転
  d 腕立て前転
 (エ) 連  続
  上がり方−おり方(2種目ないし3種目)
イ とび箱運動
 (ア) 腕立てとび越し
  a 腕立てとび上がりおり(横)(女子)(主として女子が行なう。以下単に「女子」という。)
  b 腕立て横とび(伏臥)
  c 腕立て開脚とび
  d 腕立て閉脚とび
 (イ) 転  回
  a 前  転
  b 腕立て前転(男子)(主として男子が行なう。以下単に「男子」という。)
ウ マット運動
 (ア) 転  回
  a 横転(女子)
  b 前  転
  c 後  転
  d 開脚前転
  e 開脚後転
  f 倒立前転(男子)
 (イ) 腕立て転回
  a 腕立て側転
  b 腕立て前転(男子)
 (ウ) 倒  立
  a 倒立(補助)
(2) 自己の能力を知り,目標をもって協力して練習を行なう態度を養う。
ア 他人の技能を知りくふうする。
イ 互いに技能を批判しあう。
ウ 場所や用具の準備,あとしまつをする。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 場所や用具を清潔にし,安全を確かめる。
イ 準備運動や整理運動をする。

 (陸上競技)
(1) 次の運動によって,走・跳の技能を養う。
ア 鉄線走(60m)
 (ア) 発 走 法
   スタンディングスタート
 (イ) 疾 走 法
   腕の振り方,体の前傾のしかた,パイプの持ち方などを知って走る。
 (ウ) 60mを走り通す。
イ 円周リレー
  引きつぎ(引きつぎの合い図を確かめて,速く引きつぐ。)
ウ 幅 と び
  そりとびまたははさみとび(踏み切り線で踏み切る。)
エ 高 と び
  正面とびまたはベリーロール(着地などに注意してとぶ。)
オ 持 久 走
  走法およびベースのとり方(男子は1,000m程度,女子は持久走として500m程度とする。)
(2) 自己の能力を知り,目標をもって協力して行なう態度や勝敗に対する正しい態度を養う。
ア 互いに技能を批判しあう。
イ 記録や順位の決定をする。
ウ 必要な規則について知る。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 場所や用具の安全を確かめる。
イ 跳躍順を決める。
ウ 準備運動や整理運動をする。

 (格技)(男子のみ)
(1) 次の運動によって,格技の基礎的な技能を養う。
《すもう》
ア 基本動作
  四股,伸脚,構え,しきり,運び足,攻め,防ぎなどの基本動作をする。
イ 簡易なすもう
 (ア) 押しあいずもう
 (イ) 寄りあいずもう
《柔道》
ア 基本動作
 (ア) 受け身
 (イ) 姿勢と組み方
 (ウ) くずしと体さばき
イ 応用技能
 (ア) ひざ車,つりこみ足
 (イ) 大腰,つりこみ腰
 (ウ) けさ固め
ウ 試  合
  簡易な規則による試合

(2) 自己の能力を知り,互いに協力して練習を行なう態度を養う。
ア 互いに技能を批判しあう。
イ 礼儀正しく行なう。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 練習場を整備する。
イ のどわ,指取り,けん突き,頭突き,さばおりなどの禁じわざを守る。
ウ すもうのしきりのときは互いに額または頭をつけ,審判者が背をたたく合い図で始める。
エ 柔道の試合は自然体の姿勢で組み合い,審判者が背をたたく合い図で始める。
オ 準備運動や整理運動をする。

 (球  技)
(1) 次の運動の技能を養い,簡易な規則によるゲームができるようにする。
《バレーボール》(盲生徒むき)
ア 基本技能
 (ア) パ  ス
 (イ) サーブ
イ ゲーム
 簡易な規則によるゲーム
《バスケットボール》(盲生徒むき)
ア 基本技能
 (ア) パスとキャッチ
 (イ) ドリブル
 (ウ) ショット
イ ゲーム
 簡易な規則によるゲーム
《ベースボール》(盲生徒むき)
ア 基本技能
 (ア) 投  球
 (イ) 捕  球
 (ウ) 打  撃
イ ゲーム
 簡易な規則によるゲーム

(2) チームを作り,位置や役割を決め,互いに協力して練習やゲームを行なう態度を養う。
ア 練習やゲームに必要な規則を決める。
イ 互いに技能を批判しあう。
ウ 各自の位置を守り責任を果たす。
エ 味方の失敗を許す。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 練習場をにし,危険物を除く。
イ 用具(バットなど)の取り扱いに注意する。
ウ 乱暴なプレーをしない。
エ 準備運動や整理運動をする。

 (水  泳)
(1) 次の泳ぎや飛び込みの技能を養う。
ア クロール
イ 平泳ぎ
ウ 横泳ぎ
エ 潜  水
オ さか飛び込み
(2) 規則を守り,互いに協力して練習を行なう態度を養う。
ア プールなどの使用についての規則に従って泳ぐ。
イ 互いに技能を批判しあう。
(3) 水泳の心得を守り,安全に練習を行なう態度を養う。
ア 水にはいる前や水から出たあとは身体を清潔にする。
イ 健康を害しているとき,空腹のとき,疲労しているときなどは泳がない。
ウ ひとりだけで泳がない。
エ あぶないときは大声で助けを求める。
オ 安全で清潔な水泳場の選び方を理解する。
カ 準備運動や整理運動をする。

 (ダンス)(女子)
(1) 次のダンスの技能を養い,フォークダンスや美しい表現について理解し,それらができるようにする。
ア フォークダンス
 (ア) ナポレオン,オクラホマミクサー,さくら踊りなどをする。
 (イ) 1重円や2重円で,ツーステップ,ヒールエンドトウポルカ,ミクサー,日本民踊の手ぶり・足どりなどをする。
 (ウ) それぞれの国の踊りの特徴を知って踊れるようにする。
イ 表  現
 (ア) 植物,自然現象,日常生活事象などから題を選んで表現し,ひとつのまとまりをもつようにまとめる。
 (イ) 2人ないし4人で歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒などの1,2,3,4,拍動作を強度や連続を変え,また相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。
 (ウ) 題や内容の選び方,表わし方,まとめ方などについてよい表現を見分ける。
 (エ) 内容にふさわしい伴奏音楽(リズム楽器,旋律楽器,歌を歌うなど。)を選ぶ。
(2) グループごとに計画をもち,自主的に練習を行なう態度を養う。
ア 役割を決め,責任をもって分担する。
イ 発表会を計画し,運営する。
ウ グループの中で,互いに長所,短所を知って直しあう。

 (体育に関する知識)
(1) 運動種目の特性と選択
ア 運動種目の特性
  徒手体操,器械運動,陸上競技,格技,球技,水泳,ダンス,野外活動などの特性を身体の発達や生活との関係において理解させる。
イ 運動種目の選択
  自己の身体の状態・運動能力,季節,施設および将来の職業などと運動種目の特性との関係について知らせ,適切な運動種目を選んで実践することが必要であることを理解させる。
(2) 練習の重要性と練習に関する諸条件
ア 練習の重要性
  運動の練習と技能の上達との関係について知らせ,練習のもつ意味とその重要性を理解させる。
イ 練習に関する諸条件
  練習と意志,協力などの関係ならびに運動と栄養,疲労,休養,疾病,傷害などの関係について知らせ,合理的に練習を行なうことの必要を理解させる。
(3) 練習の方法
ア 練習のしかた
  準備運動や整理運動などのもつ意味,分習法や全習法の適用などについて理解させる。
イ 練習の計画
  練習の日数,時間,強さなどと練習の能率および生活との関係について知らせ,計画的に練習することの必要を理解させる。
(4) 運動生活の設計
 校内競技,運動のクラブ活動,対外運動競技,野外活動などの意味や家庭における運動の意味を理解させ,学校や家庭における自己の運動生活を設計するように努めさせる。

3 指導上の留意事項
(1) 「(徒手体操)では,座臥(が)姿勢でも行なうように考慮し,またきょう正運動,補強運動などとして行なうときは組み体操も考慮する。このことについては第2学年および第3学年においても同様である。
(2) 「(陸上競技)」の(1)のエにおいて,ベリーロールを指導する場合には,指導の方法ならびに砂場の整地など特に安全に注意する。このことについては第2学年においても同様である。
(3) 「(格技)」については,「《すもう》」または「《柔道》)」のうちいずれか1種目を指導するものとする。このことについては第2学年および第3学年においても同様である。
(4) 「(球技)」については前記のほかソフトボール,ハンドボール,ピンポン,ネットボール,テニスなどを行なってもよい。しかし,この場合,次の各グループから1種目以上行なうのを原則とする。このことについては.第2学年および第3学年においても同様である。
 ○ ソフトボール,ベースボール
 ○ バスケットボール,サッカー,ハンドボール
 ○ バレー,ピンポン,ネットボール,テニス
(5) 「(水泳)」において,初心者には,面かぶり,沈み方,浮き方,立ち方などの練習によって,水に慣れさせ,泳ぎや飛び込みの練習にはいれるようにする。このことについては,第2学年および第3学年においても同様である。
(6) この時期は姿勢が悪くなりやすいので,姿勢の指導には,特に留意する。
(7) 各運動の指導にあたっては,各生徒の歩行能力の向上を図って,安全歩行や日常の正しい歩き方についても適切に行なうようにする。
 このことについては第2学年および第3学年においても同様である。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 各種の運動の練習を通して,身体の形態や機能の発達を促し,基礎的運動能力や運動の技能を高める。
(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚して責任を果たすとともに,チームやグループが互いに協力して運動を行なう態度を養う。
(3) 運動を行なうときのきまりや方法をくふうし,計画をもって行なう能力を育て,校内競技などの計画や運営に参加できるようにする。
(4) 競技における規則や審判や相手の果たす機能を理解し,勝敗に関する問題を適切に処理する態度や能力を養う。
(5) 運動の身体的・精神的効果を理解させ,進んで運動を行ない,生活を豊かにする態度や能力を養う。
(6) 傷害とその防止について理解させ,傷害の防止や救急処置に必要な態度,能力および技能を養う。
(7) 環境の衛生について理解させ,これに基づいて適切な環境の衛生的な処置を行なう態度,能力および技能を養う。
(8) 心身の発達の状態を正しく理解させ,これに基づいて心身の健全な発達を図ろうとする態度や能力を養う。
(9) 栄養について理解させ,望ましい食生活を営む態度や能力を養う。
(10) 疲労と学習や仕事の能率との関係について理解させ,これに基づいて学習や仕事を健康的に行なう態度や能力を養う。

2 内  容
 A 体  育
 (徒手体操)
(1) 次の運動によって,身体の柔軟性を増し,各部位の運動がのびのびと力強くできるようにする。
ア 下肢の運動
 (ア) 屈伸(半屈膝・全屈膝)
 (イ) 挙振(側・前・後)
 (ウ) 跳躍(片足・両足)
イ 上肢の運動
 (ア) 挙振(側・前・上・斜上)
 (イ) 屈伸(側・前・上・下)
 (ウ) 回旋(内外・前後・側方)
ウ くびの運動
 (ア) 屈(前・後・側)
 (イ) 転(側)
 (ウ) 回  旋
エ 胸の運動
  伸  展
オ 体側の運動
 (ア) 屈(側)
 (イ) 倒(側)
カ 背腹の運動
 (ア) 屈(前・後・斜前・斜後)
 (イ) 倒(前・後)
キ 胴体の運動
 (ア) 転(側)
 (イ) 回  旋
(2) 互いに協力して,一連の体操をくふうする能力を養う。
ア グループで,互いに体操を作り,批判しあう。
イ 運動の組み合わせの順序をくふうする。

 (器械運動)
(1) 次の運動によって,器械運動の技能を養う。
ア 鉄棒運動
 (ア) 上がり方
  a 片足中かけ上がり
  b さか上がり
  c 背面さか上がり(男子)
  d け上がり(男子)
 (イ) おり方
  a 前おり(背面)
  b 踏み越しおり
  c 振りとび
 (ウ) 回  転
  a 足かけ後転
  b 足かけ前転
  c 腕立て後転
  d 腕立て前転
  e ともえ(男子)
 (エ) 連  続
   回転−おり方(2種目ないし3種目)(男子)
イ とび箱運動
 (ア) 腕立てとび越し
  a 腕立てとび上がりおり(縦)(女子)
  b 腕立て横とび
  c 腕立て閉脚とび
  d 腕立て開脚とび
 (イ) 転  回
  a 前 転
  b 腕立て前転(男子)
ウ マット運動
 (ア) 転  回
  a 横転(女子)
  b とび込み前転(男子)
  c 伸膝前転
  d 開脚後転
 (イ) 腕立て転回
  a 腕立て側転
  b 腕立て前転(男子)
 (ウ) 倒  立
  倒立歩行(男子)

(2) グループごとに計画をもって,練習を行なう態度を養う。
ア 種目の組み合わせ,順序,段階を考えて計画する。
イ 場所や用具の使用について協定する。
ウ 互いに技能を批判しあう。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 場所や用具の安全を確かめる。
イ 準備運動や整理運動をする。

 (陸上競技)
(1) 次の運動によって,走・跳の技能を高める。
ア 鉄線走(60m)
 (ア) 発走法
   スタンディングスタート
 (イ) 疾 走 法
   腕の振り方,体の前傾のしかた,パイプの持ち方などを知って走る。
イ 円周リレー
  引きつぎ(引きつぎの合い図を確かめて速く引きつぐ)
ウ 幅 と び
  そりとびまたははさみとび
エ 高 と び
  正面とびまたはベリーロール
オ 持 久 走
  自分の能力に応じて調子よく走る。(男子は1,000m程度,女子は持久走として500m程度とする。
(2) 記録係,用具係などの役割を決め,計画的に練習や競技を行なう態度を養う。
ア チームを作って競技し,自己の責任を果たす。
イ 規則に従って競技をする。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 持久走のあとじゅうぶん休息する。
イ 砂場やハードルの安全を確かめる。
ウ 準備運動や整理運動をする。

 (格技)(男子のみ)
(1) 次の運動によつて,格技の基礎的な技能を高める。
《すもう》
ア 基本動作
  四股,伸脚,構え,しきり,運び足,攻め,防ぎ,前さばきなどの基本動作をする。
イ 簡易なすもう
 (ア) 寄りあいずもう
 (イ) 押しあいずもう
《柔道》
ア 基本動作
 (ア) 受け身
 (イ) くずしと体さばき
イ 応用技能
 (ア) 大外刈り,大内刈り
 (イ) 体落し
 (ウ) かみ四方固め
ウ 試  合
  簡易な規則による試合

(2) 役割を決め,練習や競技を計画し,運営する態度や能力を養う。
ア 練習や競技に必要な規則を決める。
イ 体格や能力のあう者で組み合わせを作る。
ウ すもうでは交代で審判をする。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 練習場を清潔にし,安全を確かめる。
イ のどわ,指取り,けん突き,頭突き,さばおりなどの禁じわざを守る。
ウ すもうのしきりのときは,互いに額または頭をつけ,審判者が背をたたく合い図で始める。
エ 柔道の試合は自然体の姿勢で組み合い審判者が背をたたく合い図で始める。
オ 準備運動や整理運動をする。

 (球技)
(1) 次の運動の技能を養い,簡易な作戦を立ててゲームができるようにする。
《バレーボール》(盲生徒向き)
ア 基本技能
 (ア) パ ス
 (イ) ト ス
 (ウ) タッチ
 (エ) サーブ
イ ゲーム
  簡易な規則によるゲーム
《バスケットボール》(盲生徒向き)
ア 基本技能
 (ア) パスとキャッチ
 (イ) ショット
 (ウ) ガード
イ ゲーム
  簡易な規則によるゲーム
《ベースボール》(盲生徒向き)
ア 基本技能
 (ア) 投  球
 (イ) 捕  球
 (ウ) 打  撃
イ ゲーム
  簡単な規則によるゲーム

(2) チームを作り,自己の位置や役割を自覚して責任を果たすとともに,互いに協力して練習やゲームを行なう態度を養う。
ア 計画をもって練習する。
イ 練習やゲームのしかたをくふうをする。
ウ 審判の判定に従う。
エ 失敗の原因を考える。
オ チームとチームで練習の場所や用具を協定する。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 乱暴なゲームをしない。
イ 場所や用具を清潔にし,安全を確かめる。
ウ 準備運動や整理運動をする。

 (水泳)
(1) 次の泳ぎや飛び込みの要領を会得し,その能力を高める。
ア クロール(スタート,ターンも含む。)
イ 平泳ぎ(スタート,ターンも含む。)
ウ 横泳ぎ
エ 潜  水
オ さか飛び込み
(2) 互いに協力して,能力に応じた計画をもって練習を行なう態度を養う。
ア 能力に応じたグループを作り,グループごとに計画を立てる。
イ 練習に必要な規則を決め,順序よく泳ぐ。
ウ 互いに技能を批判しあう。
(3) 水泳の心得を守り,安全に練習を行なう態度を養う。
ア 水にはいる前や水から出たあとには身体を清潔にする。
イ 健康を害しているとき,空腹のとき,疲労しているときは泳がない。
ウ 安全な水泳場の選び方について理解する。
エ おぼれている者に,さお,綱,板などを与えて助ける方法を知る。
オ 準備運動や整理運動をする。

 (ダンス)(女子)
(1) 次のダンスの技能を高め,フォークダンスや美しい表現について理解し,それらができるようにする。
ア フォークダンス
 (ア) ドードレプスカポルカ,トトウール,若きつどいなどをする。
 (イ) 1重円や2重円またはひとりで自由に,ウォーキング,ポルカ,ツーステップターン,グランドチェーン,日本民謡の手ぶり・足どりなどをする。
 (ウ) それぞれの国の踊りの特徴を知って踊れるようにする。

イ 表  現
 (ア) 植物,自然現象,音楽や生活感情などから題を選んで表現し,変化のあるまとまりをつける。
 (イ) 2人ないし4人または他のグループと関係をもって,歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒,波動などの1,2,3,4,6拍動作を強度や連続を変え,また相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。
 (ウ) 題や内容の選び方,表わし方,まとめ方などについて美しい表現のしかたを知り,くふうする。
 (エ) 内容にふさわしい伴奏音楽(リズム楽器,旋律楽器,歌を歌うなど。)をくふうする。
(2) 計画をもって,互いに協力して練習や発表を行なう態度を養う。
ア 役割を決め,責任をもって分担する。
イ 発表会を計画し,運営する。
ウ グループの中で長所,短所を知って直しあう。

 (体育に関する知識)
(1) 運動の身体的効果
ア 運動と身体の形態的発達
  運動の身長,体重,胸囲などの発達や体型に及ぼす効果を理解させる。
イ 運動と生理機能の発達
  運動の呼吸・循環機能などの発選に及ぼす効果を理解させる。
ウ 運動と運動能力の発達
  運動の走・跳・投・懸垂などの基礎的運動能力,運動技能および筋力,敏しょう性,柔軟性などに及ぼす効果を理解させる。
エ 運動と姿勢
  正しい姿勢の意義と重要性,不良姿勢や職業固癖の予防ときょう正の方法などについて理解させるとともに,常に正しい姿勢を保つように努めさせる。
オ 運動能力の測定
  各種の運動能力の測定法を理解させ,各自の運動能力の現状を知って運動することの必要を理解させる。
(2) 運動の精神的効果
ア 情緒の安定と感情の純化
  運動が活動の喜びや情緒の安定をもたらし,身体の美的表現などによって美的情操が高められることを理解させる。
イ 運動と社会性の発達
  運動が自主,責任,協力,公正などの社会性を養うのに貢献することを理解させる。
 B 保  健
(1) 傷害の防止
ア 傷害とその防止
  骨折,脱きゅう,ねんざ,創傷,火傷などの傷害の種類や原因について理解させ,傷害の発生の防止に努めさせる。
イ 事故災害とその防止
  交通事故,労働災害などの現状や原因について理解させ,事故災害の発生の防止に努め,また,事故災害の発生した際の応急措置が適切に行なえるような態度や能力を養う。
ウ 救急処置
  傷病者のでたときの取り扱いや傷の処置,止血法,包帯法,人工呼吸法などの救急処置のしかたを理解させ,また救急処置の目的や限界を知り,救急の場合に,適切な処置ができるようにする。
(2) 環境の衛生
ア 環境と心身との関係
  環境衛生の意義と必要性や環境の条件の心身に及ぼす影響などについて知らせ,環境と心身との関係について理解させる。
イ 環境の衛生検査
  水質検査,気温・気湿・気流の測定,換気の測定,じんあい・ばい煙・一酸化炭素・炭酸ガスの測定の方法とそれぞれの衛生基準について理解させる。
ウ 環境の衛生的な処理
  水の簡易ろ過,保温,防暑,採光照明などの衛生的な維持改善や汚物・廃棄物の処理,ねずみ族・こん虫の駆除,消毒法について理解させ,家庭生活などにおける環境の衛生的な処理が適切にできるようにする。
(3) 心身の発達と栄養
ア 中学部生徒の心身の発達の特徴
  心身の発達の年齢差および男女差,中学部生徒の身体的発達・精神的発達・行動の特性および身体的発達と精神的発達との関係について理解させるとともに,身体の発達の測定方法を知らせ,自己の心身の発達の理解に努めさせる。
イ 心身の発達に影響する条件
  心身の発達は,遺伝,内分泌,病気,栄養,運動,労働,環境などにより影響を受けることを理解させ,自己の心身の発達を図ろうとする態度を養う。
ウ 栄養の基準と食品の栄養価
  年齢別,性別,労作別の栄養基準量や食品の栄養価を理解させ,健康の保持増進の立場から,食品の選択や栄養障害と食生活との関係について考えさせ,食生活の改善に努める。
(4) 疲労と作業の能率
ア 疲労と学習や仕事の能率
  疲労と学習や仕事の能率との関係,疲労の自覚や判断のしかた,疲労による心身の状態の変化などについて理解させる。
イ 疲労の回復
  疲労の回復に必要な休養・栄養の取り方や環境の整え方および疲労の回復を図ることによって,学習や仕事の能率が向上することを理解させる。
ウ 学習や仕事の能率と生活の調和
  学習や仕事,余暇利用,睡眠などの1日の時間的組み立てを,疲労の回復や能率向上の立場から,効果的にする方法を理解させ,これを日常生活に実践しようとする態度を養う。

3 指導上の留意事項
(1) A「(格技)」において,この学年ではじめて指導する種目については,第1学年の内容として示したものから指導を始める。このことについては第3学年においても同様である。
(2) この時期の生徒は,相当組織だった運動を求めるようになり,また男女の特性もかなりはっきりしてくるので,各運動の指導においては,この点をじゅうぶんに考慮する。
(3) B「(2)環境の衛生」については,学校および地域における実情を考慮して指導する。
(4) B「(3)心身の発達と栄養」特に栄養については,理科,技術・家庭などとの関連を考慮して指導する。
(5) B「(4)疲労と作業の能率」については,生徒の家庭や学校における日常生活の状態を考慮し,これと密接な関連をもって指導する。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 各種の運動の練習を通して,身体の形態や機能の発達を促すとともに,各運動の技能をいっそう高め,生活に役だたせるようにする。
(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚して責任を果たすとともに,チームやグループが互いに協力して運動を行なう態度を養う。
(3) 運動を行なうときのきまりや方法をくふうし,計画を立てて行なう能力を高め,校内競技などを計画し,運営できるようにする。
(4) 競技における規則や審判や相手の果たす機能を理解し,勝敗に関する問題を適切に処理する態度や能力を伸ばす。
(5) 生活におけるスポーツやレクリェーションの意味を理解させ,それらを日常生活に取り入れて,生活を豊かにする態度や能力を高める。
(6) 病気とその予防について理解させ,病気の予防に必要な態度や能力を養う。
(7) 精神の健康について理解させ,これに基づいて生活を楽しく営む習慣や態度を養う。
(8) 集団の健康について理解させ,進んでその健康を高めることに協力する態度を養う。
(9) 個人の健康成立の条件や健康の考え方について理解させ,これに基づいて心身ともに健康な生活を営む態度や能力を養う。

2 内  容
 A 体  育
 (徒手体操)
(1) 次の運動によって,身体の柔軟性をいっそう高め,各部位の運動が正確にできるようにする。
ア 下肢の運動
 (ア) 屈伸(半屈膝・全屈膝)
 (イ) 挙振(側・前・後)
 (ウ) 跳躍(片足・両足)
イ 上肢の運動
 (ア) 挙振(側・前・上・斜上)
 (イ) 屈伸(側・前・上・下)
 (ウ) 回旋(内外・前後・側方)
ウ くびの運動
 (ア) 屈(前・後・側)
 (イ) 転(側)
 (ウ) 回  旋
エ 胸の運動
  伸  展
オ 体側の運動
 (ア) 屈(側)
 (イ) 倒(側)
カ 背腹の運動
 (ア) 屈(前・後・斜前・斜後)
 (イ) 倒(前・後)
キ 胴体の運動
 (ア) 転(側)
 (イ) 回 旋
(2) 互いに協力して,各自の行うスポーツや日常生活に応ずる体操をくふうする態度や能力を養う。
ア 各部位の運動の正確な動きについて理解する。
イ 自己の行なうスポーツに応ずる補強運動をくふうする。
ウ 健康の保持僧進を目的とした日常生活で行なう徒手体操をくふうする。

 (器械運動)
(1) 次の運動によって,器械運動の技能をいっそう高める。
ア 鉄棒運動
 (ア) 上がり方
  a さか上がり(女子)
  b け上がり(男子)
 (イ) おり方
  a 踏み越しおり
  b 振りとび
 (ウ) 回  転
  a 腕立て後転
  b 腕立て前転
  c ともえ(男子)
 (エ) 連  続
   上がり一回転−おり方(2種目ないし3種目)(男子)
イ とび箱運動
 (ア) 腕立てとび越し
  a 腕立てとび上がりおり(女子)
  b 腕立て横とび(あおむけ)
  c 腕立て閉脚とび
  d 腕立て開脚とび
 (イ) 転  回
  a 前 転
  b 腕立て前転(男子)
ウ マット運動
 (ア) 転  回
  a 横転(女子)
  b とび込み前転(男子)
  c 伸膝前転
  d 伸膝後転
 (イ) 腕立て転回
  a 腕立て側転
  b 腕立て前転(男子)
 (ウ) 倒 立
   倒立(男子)
(2) グループで計画を立て,互いに協力して練習や発表を行なう態度や能力を養う。
ア グループごとに計画を立てる。
イ 競技の規則を決める。
ウ 発表会を計画し,運営する。
エ 互いに技能を批判しあう。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 場所や用具の安全を確かめる。
イ 準備運動や整理運動をする。

 (陸上競技)
(1) 次の運動によって,走・跳・投の技能を高める。
ア 鉄線走(60m)
  不必要な緊張を除いて走る。
イ 円周リレー
  引きつぎ(引きつぎの合い図を確かめて引きつぐ。)
ウ 立ち三段とび(男子)
  ホップ・ステップ・ジャンプを調子よくとぶ。
エ 持久走
  自分の能力に応じて調子よく走る。(男子は1,000m程度,女子は持久走として500m程度とする。)
オ 砲丸投げ(男子)またはソフトボール投げ。
  脚や腰の力を利用して正しく投げる。
(2) グループが互いに協力して,練習や競技を行なう態度を養う。
ア 必要な規則について知る。
イ 競技会を計画し運営する。
ウ グループが互いに場所の協定をする。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 持久走のあとはじゅうぶん休息する。
イ 砲丸投げやソフトボール投げを行なうときは特に安全に注意する。
ウ 準備運動や整理運動をする。

 (格技)(男子のみ)
(1) 次の運動によつて,格技の基礎的な技能を高める。
《すもう》
ア 基本動作
  四股,伸脚,しきり,運び足,攻め,防ぎ,前さばきなどの基本動作をする。
イ 簡易なすもう
 (ア) 押しあいずもう
 (イ) 寄りあいずもう

《柔道》
ア 基本動作
 (ア) 受け身
 (イ) くずしと体さばき
イ 応用技能
 (ア) 出足払い,送り足払い
 (イ) 浮き腰,払い腰
ウ 試  合
  簡易な規則による試合
(2) グループで計画を立てて,練習や競技を行なう態度を養う。
ア グループごとに計画を立てる。
イ 競技に必要な規則を決める。
ウ 礼儀正しく行なう。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 練習場を整備し,安全を確かめる。
イ のどわ,指取り,頭突き,けん突き,さばおりなどの禁じわざを守る。
ウ すもうのしきりのときは互いに,額または頭をつけ審判者が背をたたく合い図で始める。
エ 柔道の試合は自然体の姿勢で組み合い,審判者が背をたたく合い図で始める。
オ 準備運動や整理運動をする。

 (球技)
(1) 次の運動の技能を高め,相手を考え,作戦を立ててゲームができるようにする。
《バレーボール》(盲生徒向き)
ア 基本技能
 (ア) パ  ス
 (イ) キ  ル
 (ウ) タッチ
 (エ) ストップ
 (オ) サーブ
イ ゲーム
  簡易な規則によるゲーム
《バスケットボール》(盲生徒向き)
ア 基本技能
 (ア) パスとキャッチ
 (イ) ドリブル
 (ウ) ショット
 (エ) ガード
イ ゲーム
  簡易な規則によるゲーム
《ベースボール》(盲生徒向き)
ア 基本技能
 (ア) 投  球
 (イ) 捕  球
 (ウ) 打  撃
イ ゲーム
  簡単な規則によるゲーム
(2) ゲームにおける役割を自覚して,その責任を果たし,互いに協力して練習やゲームを行なう態度を養う。
ア 各人がチームの作戦に従って動き,かってな行動をしない。
イ 審判は明確な判定を下す。
ウ チームが相互に協力して練習する。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 乱暴なプレーをしない。
イ 場所や用具を清潔にし,安全を確かめる。
ウ 準備運動や整理運動をする。

 (水泳)
(1) 次の泳ぎや飛び込みの要領を会得し,その能力を高める。
ア クロール(スタート,ターンも含む。)
イ 平泳ぎ(スタート,ターンも含む。)
ウ 背泳(スタート,ターンも含む。)
エ 横泳ぎ
オ 立ち泳ぎ
カ 潜水
キ さか飛び込み
(2) 練習や競技の計画を立てて行なう態度や能力を養う。
ア 練習や競技に必要な規則を決める。
イ 互いに技能を批判しあう。
(3) 水泳の心得を守り,安全に練習を行なう態度を養う。
ア 水にはいる前や水から出たあとは身体を清潔にする。
イ 健康を害しているとき,空腹のとき,疲労しているときは泳がない。
ウ 人工呼吸法について習熟する。
エ おぼれている者を水にはいって助ける方法について理解する。
オ 準備運動や整理運動をする。

 (ダンス)(女子)
(1) 次のダンスの技能を高め,フォークダンスや美しい表現について理解し,それらができるようにする。
ア フォークダンス
 (ア) オスロワルツ,ネリーブライ,郷土民踊などをする。
 (イ) 1重円・2重円・方形で,ワルツターン,ステップターン,スライド,スイング,日本民踊の手ぶり・足どりなどをする。
 (ウ) それぞれの国の踊りの特徴を知って踊れるようにする。
イ 表  現
 (ア) 自然,生活事象,生活感情などからの題を選んで表現し,変化のあるまとまりをつける。
 (イ) 2人ないし6人または他のグループと関係をもって,歩・走,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒,波動などの1,2,3,4,6,8拍動作を強度や連続を変え,また相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。
 (ウ) 題や内容の選び方,表わし方,まとめ方などについて,いろいろな美しい表現のしかたをくふうする。
 (エ) 内容にふさわしい伴奏音楽(リズム楽器,旋律楽器,歌を歌うなど。)をくふうする。
(2) グループごとに計画を立て,互いに協力して練習や発表を行なう態度を養う。
ア グループごとに計画を立てる。
イ 役割を決め,責任をもって分担する。
ウ 発表会を計画し,運営する。
エ グループの中で,互いに長所,短所を知って直しあう。
オ 他のグループと互いに長所,短所を知って直しあう。

 (体育に関する知識)
(1) 競技会
ア 国際競技
  国際競技の発展の大要やその役割について理解させる。
イ 国内競技
  国内のおもな競技会の特徴を国民生活との関連において理解させる。
ウ アマチュアスポーツと職業スポーツ
  アマチュアスポーツと職業スポーツの特徴について理解させる。
(2) 生活と運動によるレクリェーション
ア 現代のレクリェーシヨン
  世界のおもな国のレクリェーションにふれて,現代生活におけるレクリェーションの意味を理解させる。
イ レクリェーション生活の設計
  地域社会の生活や職場の生活においてレクリェーションの必要なことを理解させ,生活にレクリェーションを計画的に取り入れようとする態度や能力を養う。

 B 保  健
(1) 病気の予防
ア 伝染病および寄生虫病とその予防
  赤痢,腸チフスなどの消化器系伝染病,結核などの呼吸器系伝染病,その他の伝染病および寄生虫病の病原体,感染経路,症状およびその予防などの大要について理解させ,伝染病および寄生虫病の予防に必要な生活を実践する態度を養う。
イ 循環器系の疾患とその予防
  高血圧,狭心症,慢性リューマチ性心臓疾患などの循環器系の疾患の原因,症状およびその予防などの大要について理解させ,循環器系の疾患の予防に努めさせる。
ウ 呼吸器系の疾患とその予防
  気管支炎,肺炎,気管支ぜんそくなどの呼吸器系の疾患の原因,症状およびその予防などの大要について理解させ,呼吸器系の疾患の予防に努めさせる。
エ 消化器系の疾患とその予防
  胃炎,腸炎,胃かいよう,胃拡張症,十二指腸かいよう,虫垂炎などの消化器系の疾患の原因,症状およびその予防などの大要について理解させ,消化器系の疾患の予防に努めさせる。
オ その他の病気とその予防
  精神神経症その他の精神障害,神経痛その他の神経系の疾患,職業病,じん臓病.中耳炎・アデノイド・慢性副鼻腔(くう)炎などの耳鼻咽喉(いんこう)疾患やおもな眼疾患などの原因,症状およびその予防などの大要について理解させ,これらの病気の予防に努めさせる。
カ 病気の処置と病後の注意
  病後の看護のしかたや病後の生活のしかたなどについて理解させ,病気をすみやかに回復させ,また再発しないように努めさせる。また医薬品の正しい利用のしかたについて理解させ,医薬品の誤った使用によって事故を起こさないようにさせる。
(2) 精神衛生
ア 精神の健康
  精神の健康は,身体の健康,家庭生活,社会生活と密接な関係があることや酒,たばこ,麻薬などの乱用によって精神の健康がそこなわれることおよび精神の健康がそこなわれると望ましくない行動をしがちになることを知らせ,精神の健康の意義や精神を健康に保つ必要を理解させる。
イ 精神の健康を守るための生活
  精神の健康を守るには,自己や他人をよく理解し,気分の転換や不満の解消を適切にし,また望ましくない生活態度や習慣を改めることなどが必要であることを理解させ,これを日常生活で守るように努めさせる。
(3) 国民の健康
ア 国民の健康状態
  国民の平均余命,死因とおもな病気,栄養,体格体力などの現状および推移の大要について知らせ,国民の健康状態の大要を理解させる。
イ 健康とその重要性ならびに社会との関係
  既習の内容を総合して,結核などの主要な国民病から自己の健康を守るため,日常生活の実践をどのようにすればよいか,また健康診断,予防接種を積極的に受ける必要を理解させ,その実践に努めさせる。
  以上のことから,さらに健康と日常生活や社会との関係,個人の健康成立の条件,健康の考え方,保健活動の必要性を理解させる。
ウ 健康な国民生活
  国民の健康のための制度,組織,施設についてその大要を理解させ,進んでその健康を高めることに協力するように努めさせる。

3 指導上の留意事項
(1) 生徒の卒業後の生活を考慮し,各運動ができるだけ,生活に活用されるよう,内容や指導の方法をくふうする。
(2) B「(1)病気の予防」については,理科および小学部における体育科との関連を図り,人体の構造・機能に関する指導も考慮する。なお,性病についても適宜指導する。
(3) B「(3)国民の健康」については,公衆衛生における個人の立場に重点をおき,また既習の理解に立って健康および健康生活について正しい考え方をもたせて,進んで保健活動を推進させるように指導する。

第3 指導計画作成およひ学習指導の方針

1 各学年の体育の分野の標準授業時数は,次のとおりである。
学年
      分野
第1学年

 
第2学年

 
第3学年

 
体  育 105単位時間 70単位時間 70単位時間
保  健   35単位時間 35単位時間
105単位時間 105単位時間 105単位時間
 
 
 
2 指導計画の作成にあたっては,生徒の視力およびその他の視機能の障害の状態や運動能力などに留意して,体育の分野の各領域の指導が適切に行なわれるよう配慮しなければならない。
3 第2に示す体育の分野の内容は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても原則として取り扱うことを必要とするものであるが,地域や学校の実態を考慮し,特に必要と認められる場合は,これに示していない運動種目を加えて指導してもさしつかえない。しかし,いたずらに指導する種目を多くしたり,程度の高い項目を取り扱ったりして,示された目標や内容の趣旨を逸脱したり,負担過重にならないよう慎重に配慮しなければならない。
4 適切な水泳場がないなどで,水泳を指導できない学校では,これを欠くことができる。
  ただし,上記の場合でも,人工呼吸法については,保健学習との関連を図って指導する。
5 積雪地,寒冷地の学校ては,スキー,スケートを指導することができる。この場合,特に安全についてはじゅうぶん留意する。
6 体育において指導計画を作成するにあたっては,それぞれの運動の特牲,生徒の健康状態,視力およびその他の視機能の障害の状態,生徒の運動の経験,男女の特性などを考慮しなければならない。その場合には,運動種目を組み合わせたり,基礎的運動能力の測定を行なうなども含めて,学習の効果をあげるように配慮する。
  また,保健においては,学校における保健管理と密接な関連を図り,能率的な指導ができるようにする。
7 歩行に関する指導は,小学部の基礎の上に立ち,基本的事項を体育の分野で行なうほか,保健の分野や他の各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の指導とも関連を図って,各生徒が安全歩行,ひとり歩きの自信と能力が養われるよう配慮する。なお,歩行に対する指導計画を立てる際は,各生徒の視力およびその他の視機能の障害の状態や個人差などに即応するよう留意する。
8 指導する事項の配列にあたっては,特別教育活動,学校行事等,季節および施設用具などを考慮する。
9 各学年に示した「(体育に関する知識)」についての指導は,体育の全体計画の中に位置づけて,できるだけ各運動の指導と密接な関連を図るとともに保健との関連にも留意する。
10 体育学習においては,指導のねらいや運動の特性に応じ,単に運動技能の指導のみに陥ることなく必要な内容が,片寄りなく学習されるように考慮する。
11 集団行動については,各運動の指導と関連させ,小学部における学習の基礎の上に,いっそうその能力を高めるよう適切に指導する。
12 各運動の指導においては,生徒の健康状態や運動能力および男女の特生などに応じて指導する事項の程度や取り扱いを考慮する。
13 各運動の指導にあたっては,病弱者,身体虚弱者および肢体不自由者などに対しては,学校医と連絡をとり,その程度に応じて適切な指導をする。
14 心身の発達,病気の予防,精神衛生などの学習においては,性教育を考慮して指導する。
15 保健学習では,適宜に実習,調査,見学なども加え,学習の効果があがるようにする。



 
第8節 技術・家庭

第1 目  標

1 生活に必要な基礎的技術を習得させ,創造し生産するよろこびを味わわせ,近代技術に関する理解を与え,生活に処する基本的な態度を養う。
2 考案・計画・製作などの学習経験を通して,表現・創造の能力を養い,ものごとを合理的に処理する態度を養う。
3 製作・操作などの学習経験を通して,技術と生活との密接な関連を理解させ,生活の向上と技術の発展に努める態度を養う。
4 生活に必要な基礎的技術についての学習経験を通して,協同と責任と安全を重んじしる実践的な態度を養う。
 以上の目標の各項日は,相互に密接な関連をもって,全体として技術・家庭科の目標をなすものである。1は,基礎的技術について主として実践的活動を通して学習させ,必要な知識,技能,態度を身につけさせるという技術・家庭科の総括的目標であり,2,3または4のいずれかにかかわる指導においても,常に1が根底にならなければならない。

第2 各学年の目標およひ内容

 生徒の現在および将来の生活が男女によって異なる点があることを考慮して,「各学年の目標およひ内容」を男子を対象とするものと女子を対象とするものに分ける。

 A 男子向き
〔第1学年〕
1 目  標
(1) 木材加工・金属加工・栽培に関する基礎的技術を習得させ,考案計画の能力を養うとともに,技術と生活との関係を理解させ,ものごとを合理的に処理する態度を養う。
(2) 木材加工・金属加工では,木材製品や金属製品の製作に関する基礎的技術を習得させ,造形的な表現能力を発展させるとともに,作業を安全かつ協同的に進める態度を養う。
(3) 栽培では,栽培に関する基礎的技術を習得させ,栽培技術と自然環境との関係を理解させるとともに,作物を合理的に育成する態度を養う。

2 内  容
(1)木材加工・金属加工
 木材加工では主として板材,金属加工では主として針金を加工するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作に即して指導するとともに,考案・計画・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。特に考案計画の段階においては,製作目的に応じた機能,構造,材料などの研究を行なうように指導する。なお,加工法については特殊な工芸技法にわたらないこととする。
ア 考案計画
 模型,型紙,展開図,計画書などによる表示。
イ 木材・金属材料
 (木材加工)スギ,マツ,ヒノキ,カツラ,ホオ,合板など。
 (金属加工)針金,アルミニウム板など。
ウ 接合材料
 (木材加工)くぎ,木ねじ,接着剤など。
エ 塗  料
 ワニスペイントなど。
オ 木工具・金工具の使用法
 (木材加工)のこぎり,かんな,きり,つち,けびき.やすり,木工万力,ねじ回し,盲人用ものさし,定規など。
 (金属加工)ベンチ,金切りばさみ,やっとこ,やすり,金工万力,弓のこ,つち,盲人用ものさし,定規など。
カ 工作法
 (木材加工)木取り,のこぎりびき,かんなけずり,穴あけ,くぎ打ち,ねじしめ,接着,組み立て,塗装など。
 (金属加工)切断,折り曲げ,打ち出し,やすりかけ,接合,組み立て,塗装など。
 (実習例)木材加工……壁かけ,花びん敷き,家庭用品など。
      金属加工……衣紋かけ,もちあみ,さら類など。
(2) 栽  培
 草花類や果菜類などを栽培するのに必要な技術の基礎的技術を,「(実習例)」にあけた作物の栽培に即して指導するとともに,栽培目的に応じた計画・栽培・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。
ア 栽培の計画
 花だん,野菜園などの計画,目的に基づく作物の選定,作付け計画など。
イ 気温,水分,風,日照などの諸条件と作物の栽培
 種まき・さし木・株分け,自然環境を調整するためのかこい作り・水かけ・うねたて・日おおい・しきわらなどの時期と方法。
ウ 土や肥料などと作物の栽培
 作物の根や茎葉などの発育を調整するための中耕・土寄せ・施肥・摘心,枝の仕立て,取り入れなどの時期と方法方。
エ 作物の病気や害虫とその対策
 普通の花だんや野菜園に発生しやすい病気,害虫,雑草などとその簡単な対策。
 (実習例)草花類……一,二年草,宿根草,球根など。
      果菜類……ナス,カボチャ,ピーマン,豆類など。

3 指導上の留意事項
(1) (1)木材加工・金属加工」の実習では,特に工具の取り扱いに注意して,災害の防止に努める。また工具の使用と保管,材料の購入と配分などについては,製作の段階において,その管理に関する基礎的な理解を得させるようにする。
(2) 「(2)栽培」の学習に用いる立て札,さくの柱,かこいなどの製作を行なう場合は,「(1)木材加工・金属加工」の学習において行なうようにする。
(3) 内容については,一部に偏することのないように留意する。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 木材加工・金属加工・機械に関する基礎的技術を習得させ,考案・計画の能力を高めるとともに,技術と生産の関係を理解させ,生活の向上と技術の発展に努める態度を養う。
(2) 木材加工・金属加工では,第1学年の「木材加工・金属加工」の学習を発展させるとともに,主として工作用具の基礎的取扱法を習得させ,作業を確実に進める態度を養う。
(3) 機械では,機械の整備に関する基礎的技術を習得させ,それらを活用する能力と態度を養う。

2 内  容
(1) 木材加工・金属加工
 第1学小の「(1)木材加工・金属加工」の学習を基礎にし,それを発展させ,それに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作に即して指導するとともに,考案・計画・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。特に考案計画の段階においては,製作目的に応じて機能,構造,材料などの研究を行なうように指導する。なお,加工法については特殊な工芸技法にわたらないこととする。
ア 木材・金属材料
 第1学年にあげたもののほか,角材,軟鋼板,軟鋼棒など。
イ 荷重と構造
 材料の強さ,構造の強さなど。
ウ 接合材料
 第1学年にあげたもののほか,次のものを加える。
 補強金具,ボルト,ナット,リベット,はんだなど。
エ 塗  料
 第1学年にあげたもののほか,ラッカー,合成樹脂塗料など。
オ 木工具・金工具の使用法
 第1学年ににあげたもののほか,次のものを加える。
 (木材加工)のみ
 (金属加工)けがき針,押し切り,ハンドドリル,折り台,打ち木,はんだごて,鋼尺,直角定規など。
カ 工作法
 第1学年にあげたもののほか,次のものを加える。
 (木材加工)のみきざみ,ほぞつぎ,組みつぎなど。
 (金属加工)けがき,切断,穴あけ,ひずみとりなど。
 (実習例) 木材加工……本立て,花台,庭いすなど。
       金属伽工……角形容器.ちりとりなど。
(2) 機  械
 自転車,裁縫ミシン,点字印刷機などの取り扱いや整備に必要な技術の基礎的事項について指導する。
ア 機械の構造,機能
イ 機械の取り扱い
ウ 故障の点検・調整
 (実習例) 自転車,裁縫ミシン,点字印刷機など。

3 指導上の留意事項
(1) 「(1)木材加工・金属加工,(2)機械」の実習では.特に工具の取り扱いに注意して,災害の防止に努める。
(2) 内容については,一部に偏することのないように留意する。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 機械および電気に関する基礎的技術を習得させ,近代技術を活用する能力を養うとともに,近代技術と生産や生活との関係を理解させ,生活に処する基本的な態度を養う。
(2) 機械では,第2学年の「機械」の学習を発展させるとともに,主として原動機の取り扱いに関する基礎的技術を習得させ,機械技術の特性およびそれと生活や産業との関係を理解させ,安全に留意する態度を養う。
(3) 電気では,簡単な電気器具の取り扱いや製作に関する基礎的技術を習得させ,電気技術の特性およびそれと生活や産業との関係を理解させ,安全に留意する態度を養う。

2 内  容
(1) 機  械
 第2学年の「(2)機械」の学習を基礎とし,その発展として,エンジンなどの取り扱いに必要な技術の基礎的事項を,取り上げる機械に即して指導するとともに,機械の要素や機構は取り上げる機械と関連させて指導する。
ア 機械の要素と機構
 運動の方向を変える機構,運動の速度を変える機構,直線運動を回転運動に変える機構,回転運動を直線運動に変える機構,回転運動を動揺運動に変える機構,間断的な運動をさせる機構など。
イ 原動機の種類
 2サイクル機関
ウ 潤滑油
 モービル油,グリースなど。
エ 故障の点検
 起動前の点検,運転中の留意事項,停止後の点検,故障の原因など。
オ 起動・運動・停止
 起動,速度の調節,停止,停止後の処置など。
カ 洗浄・給油
 日常の手入れ,洗浄法,給油 箇所,給油の時期と量,給油法など。
キ 燃  料
 燃料の選定,補給の時期,補給上の注意,補給法など。
ク 機械と生活や産業との関係
 生活の能率化と機械の利用,機械技術の進歩が各種産業に及ぼす影響など。
 (実習例)オートバイ,スクーター,石油発動機など。
(2) 電  気
 証明器具,電熱器具,電動機,受信機などを点検・修理するのに必要な技術の基礎的事項を,取り上げる製品に即して指導するとともに,電気回路要素や電気計器の取扱法は,取り上げる製品と関連させて指導する。
ア 電気配線図
 一般電気用記号
イ 電気回路要素
 電源など。
ウ 電気計器の取扱法
 回路計による電流・電圧・抵抗の測定,部品検査法,導通試験など。
エ 電気工作法
 電線の接続・分岐・絶縁法・配線工作・部品交換法など。
オ 配線器具の点検と修理
 屋内配線の方式,許容電流・定格値,電線・コード,開閉器・接続器・点滅器など。
カ 照明器具,電熱器具の点検と修理
 (実習例)けい光灯,電気スタンド,電気こんろ,電気アイロンなど。
キ 電動機をつけた家庭用機器の取り扱いと点検
 (実習例)電気洗濯機
ク 電気と生活や産業との関係
 生活の能率化と電気の利用,電気技術の進歩が各種産業に及ぼす影響など。

3 指導上の留意事項
(1) 「(1)機械,(2)電気」の実習では,特に危険防止にじゅうぶん留意し,災害や事故の防止に努める。
(2) 内容については,一部に偏することのないように留意する。

 B 女子向き
〔第1学年〕
1 目  標
(1) 調理,被服製作,家庭機械・家庭工作に関する基礎的技術を習得させ,考案設計の能力を養うとともに,技術と生活との関係を理解させ,ものごとを合理的に処理する態度を養う。
(2) 調理では,日常食の調理に関する基礎的技術を習得させ,青少年期の日常食の献立作成の能力を養うとともに,食生活を合理的に営む態度を養う。
(3) 被服製作では,簡単な被服の製作,被服の整理および簡単な編み物に関する基礎的技術を習得させ,衣生活を合理的に営む態度を養う。
(4) 家庭機械・家庭工作では,調理,被服の製作と整理に用いられる機械の正しい取り扱いおよび簡単な木材加工に関する基礎的技術を習得させ,生活を合理的に営む態度を養う。

2 内  容
(1) 調  理
 日常食を調理するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた食物の調理に即して指導するとともに,青少年向きのものを中心にして,その献立・調理・評価などの各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。
 また,青少年期の日常食の献立に必要な知識は,取り上げる献立に即して重点的に指導する。

ア 献  立
 青少年期の栄養,食品の栄養的特質,性別・年齢別・食品群別摂取量のめやす,青少年向きの献立作成。
イ 調理材料
 米,うどん,パン,粉類,いも類,食用油脂,豆製品,魚,貝,肉,卯,乳,海そう,緑黄色野菜,淡色野菜,くだもの,調味料など。
ウ 調理用具・食器
 計量器,炊飯器, フライパン, その他普通用いられる調理用具・食器。
エ 調理用熱源
 木炭,石抽.ガス類など。
オ 調理法
 はかり方,洗い方,切り方,ゆで方,煮方,焼き方,いため方,調味のしかたなど。
カ 食物と生活
 青少年期の好みと食生活,食習慣の改善など。
 (実習例)米食(カレーライス)・粉食の調理,魚の煮付けと油焼き,野菜の油いためなどの日常食の調理。
(2) 被服製作
 青少年期における女子の日常生活に必要な被服を製作したり,簡単な編物をしたり,被服を整理するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作や整理に即して指導するとともに,計画・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。特に繊維の性能,布地の用途,用具,洗剤などは,計画の段階において,取り上げる「(実習例)」に関連させて重点的に指導する。
 また,編み物は基礎的な編み方について指導し,それらを適当に組み合わせることによって各種の模様編みができることを理解させる。
ア 繊維・布地と編み物用糸
 天然繊維(もめん,羊毛),再生繊維,合成繊維の性能と,それらで織られたれた布地の用途,編み物用糸の規格。
イ 被服製作・被服整理の用具,機械,施設
 ピンキングはさみ,たらいとその台,乾燥用具,その他普通に用いられるもの,干し場など。
ウ 被服整理用剤
 せっけん,中性洗剤,けい光増白剤,のり類,普通に用いられる防虫剤・しみぬき剤など。
エ 被服製作・被服整理・編み物の方法
 (ア) 被服製作
  製作計画,型紙の選択,用布の積もり方,裁ち方,しつけのしかた,本縫い,仕上げのしかた。
 (イ) 被服整理
  a 洗たく
    予洗,本洗,すすぎ,脱水,乾燥,仕上げのしかた.つくろい方。
  b しみぬき
    日常つきやすいしみの除去法。
  c 保  管
    乾燥,ブラシのかけ方,アイロンのかけ方,防虫剤の使用法,しまい方,容器と保管のしかた。
 (ウ) 編み物
  かぎ針および棒針を用いる基礎編みとその編み目の記号,基礎編み応用の簡単な模様編み,ゲージの決め方。
オ 被服と衣生活
 整容,被服と活動との関係,繊維や被服整理用剤の進歩と衣生活。
 (実習例)被服製作……エプロン,三角布など。
      被服整理……スリップ,ブラウス,ソックスなどの洗たく。
      編み物………こども帽子,マフラーなど。
(3) 家庭機械・家庭工作
 家庭機械の取り扱いおよび実用品や装飾品の製作に必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの取り扱いや製作に即して指導する。この場合,家庭機械の取り扱いは,調理や被服製作の学習と関連させて指導するようにし,家庭工作は考案設計・製図・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。
ア 家庭機械の取り扱い
 操作法,使用中の留意事項,日常の手入れなど。
イ 家具用木材
 スギ,マツ,ヒノキ,サクラ,カツラ,ホウ,セン,キリ,合板など。
ウ 接合材料と塗料
 くぎ,木ねじ,合成樹脂接着剤などの接合材料。
 ペイント,ラッカーなどの塗料。
エ 木工具の使用法と工作法
 のこぎり,かんな,きり,つち,ねし回しなどの工具。
 木取り,のこぎりびき,穴あけ,くぎ打ち,ねじしめ,接着,組み立て,塗装などの工作法。
 (実習例)家庭機械……裁縫ミシン,洗たく機,電気アイロン,はかり,こんろ類など。
      家庭工作……花びん敷き,壁掛け,整理箱など。

3 指導上の留意事項
(1) 調理や被服製作では,火気の取り扱いや衛生にじゅうぶん注意して,事故の防止に努める。
(2) 盲人の体位や生活の実態から,青少年期の食事の重要性をじゅうぶん指導する。
 このことについては,第2学年および第3学年においても同様である。
(3) 各内容の指導においては,基礎的技術の向上に重点をおき,いたずらに高度,広範囲の作品に及ばないこと。
 このことについては,第2学年および第3学年においても同様である。
(4) 内容については,一部に偏することのないように留意する。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 調理,被服製作,家庭機械・家庭工作に関する基礎的技術を習得させ,考案設計の能力を高めるとともに,技術と家庭生活との関係を理解させ,生活の向上と技術の発展に努める態度を養う。
(2) 調理では,第1学年の「調理」の学習を発展させるとともに,日常食および常備食の調理に関する基礎的技術を習得させ,家族の日常食の献立作成の能力を得させ,生活を明るく営む態度を養う。
(3) 被服製作では,第1学年の「被服製作」の学習を発展させるとともに,休養着に必要な知識を理解させ,簡単な日常着の製作および簡単なししゅうに関する基礎的技術を習得させ,生活を快適に営む態度を養う。
(4) 家庭機械・家庭工作では,第1学年の「家庭機械・家庭工作」の学習を発展させるとともに,家庭機械の整備や家具の修理に関する基礎的技術を習得させ,それらを活用する能力および生活を能率的に営む態度を養う。

2 内  容
(1) 調  理
 日常食の調理および家族の日常食の献立に必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた食物の調理に即して指導するとともに,成人向きのものを中心にして,その献立・調理・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。また,家族の日常食の献立に必要な知識は,取り上げる献立に即して重点的に指導する。
ア 献  立
 家族の栄養,性別・年齢別・労作別による食品群別摂取量のめやす,食品と季節,家族の献立作成。
イ 調理材料
 第1学年にあげたもののほか,乾物,かんづめなど。
ウ 調理用具・食器
 第1学年に準じる。
エ 台所の施設設備
 流し,調理台,こんろ台,食卓,戸だななどとその配置。
オ 調理用熱源
 第1学年にあげたもののほか,まき,練炭,電熱など。
カ 調理法
 第1学年にあげたもののほか,乾物のもどし方,かんづめ・びんづめを用いる調理のしかた,ジャム・つくだ煮・つけものなどの作り方など。
キ 食物と生活
 家事労働の能率化と調理法および台所の施設設備,食物費と家庭経済。
 (実習例)米食(すし)・粉食の調理,しるもの・あえもの・よせもの・酢のものなどの日常食の調理,ジャム・つくだ煮などの常備食の調理など。
(2) 被服製作
 青少年期の女子に必要な被服に対する知識を総合的に理解させたり,簡単なししゅうを行なうのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあけたもののうちからそれぞれ一つを選んで,製作に即して指導するとともに,計画・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。
 また,被服の修理・更生・新調などの計画の立て方についても指導する。
ア 布  地
 ゆかた地,タオル地,ネル,ブロード,ギンガム,ポプリンなど。
イ 被服製作・ししゅうの方法
 (ア) 被服製作
  a 和  服
    和服構成の基本,寸法,製作計画,用布の積り方,着方,たたみ方,しまい方。
  b 洋  服
    洋服構成の基本,採寸,製作計画,型紙の選択,用布の積もり方,裁ち方,仮り縫,補正,本縫い,仕上げのしかた,たたみ方,着方,しまい方。
 (イ) ししゅう
  基礎的なししゅうのしかた。
ウ 被服と生活
 被服と休養との関係,被服の修理・更生・新調の計画,被服費と家庭経済。
 (実習例)被服製作……スカート。
      ししゅう……手さげ袋など。
(3) 家庭機械・家庭工作
 家庭機械の整備や家具の修理に必要な技術の基礎的事項を「(実習例)」にあげたものに即して指導するとともに,機械の材料や要素は,取り上げる機械と関連させて重点的に指導する。
ア 家庭機械の材料
 アルミニウム,鋳鉄,鋼,合金鋼,軽合金など。
イ 機械要素
 締結用(ねじ,リベット,キー,ビンなど。)
 軸用(軸,クラッチ,軸受けなど。)
 伝導用(ベルト,歯車,カム,リンクなど。)
 緩衝用(ばねなど。)
ウ 家庭機械の整備
 工具の使用法,故障の原因と点検,分解・組み立ての順序,部品の手入れと交換,調整の要領,給油の箇所と方法など。
エ 家具の取り扱い法と簡単な修理
 日常の点検,接着剤,補強金具による修理など。
オ 刃物のとぎ方と手入
 といしによる方法など。
カ 機械と生活
 生活の能率化と機械の利用,機械技術の進歩が家庭生活や産業に及ぼす影響など。
 (実習例)家庭機械……裁縫ミシンなど。
      家庭工作……家具類の修理,刃物の手入れなど。

3 指導上の留意事項
(1) 調理用熱源については,その地域で一般に多く用いられるものについて実習させ.各種熱源について比較研究させる。
(2) 内容については一部に偏することのないように留意する。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 調理,被服製作,保育,家庭機械・家庭工作に関する基礎的技術を習得させ,近代技術を活用する能力を養うとともに近代技術と生活との関係を理解させ,生活に処する基本的な態度を養う。
(2) 調理では,第2学年の「調理」の学習を発展させるとともに,老人・病人などの食物の調理,客ぜん調理および行事食の調理に関する基礎的技術を習得させ,食生活を改善する態度を養う。
(3) 被服製作では,第2学年の「被服製作」の学習を発展させるとともに,日常着の製作,被服整理および簡単な染色に関する基礎的技術を習得させ,衣生活を改善する態度を養う。
(4) 保育では,幼児の衣食住に関する技術を総合的に習得させ,こどもを愛育する態度を養う。
(5) 家庭機械・家庭工作では,一般に使われている家庭用電気器具の取り扱いおよび室内整備に必要な家具の修理に関する基礎的技術を習得させ,それらを活用する能力および生活を能率的に営む態度を養う。

2 内  容
(1) 調  埋
 既習事項と有機的な関連を図りながら,消化しやすい食物,客ぜん調理や行事食などの調理に必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた食物の調理に即して総合的に指導する。また,客ぜん調理や行事食の調理はそれぞれの地域における生活習慣との関連において,それらを合理的,能率的に改善する態度を養うように指導する。
ア 献  立
 幼児・老人・病人などの栄養,幼児・老人・病人などの食事,行事食・客ぜん調理などの献立作成。
イ 調理材料
 第2学年に準ずる。
ウ 調理用具・食器
 第2学年にあげたもののほか,蒸し器,天火,電気調理器具などの調理用具。
 普通に用いられる幼児・病人の食事,行事食,客ぜん調理などの食器・容器。
エ 調理法
 第2学年にあげたもののほか,消化しやすい食物の調理のしかた,蒸し方,あわたてのしかた,うらごしのしかたなど。
オ 食物と生活
 食生活の習慣や年中行事などとそれらの改善。
 (実習例)米飯(たきこみ飯)・茶わん蒸し・卵焼き・つけ焼き・吸い物・サラダなどの調理,消化しやすい食物の調理など。
(2) 被服製作
 青少年期における女子の日常着の製作,被服の選び方,被服整理および簡単な染色を行なうのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作や整理に即して指導する。
 また,染色は基礎的な染め方を簡単に指導し,これに基づいて「(実習例)」にあげたもののうちから一つを選んで,その考案設計を行なわせ,これに基づいて製作させるように指導する。
ア 繊維・布地
 第1学年にあげたもののほか,麻,絹およびそれらの交織物など。
イ 被服の付属品
 装飾用ボタン,バックルなど。
ウ 被服製作・被服整理・染色の方法
 (ア) 被服製作
   第2学年にあげたもののほか被服の選択と購入など。
 (イ) 被服整理
   絹や毛の洗たく法。
 (ウ) 染  色
   絞り染の基礎。
エ 被服と生活
 衣生活の改善。
 (実習例)被服製作……ブラウス類。
      洗 た く……絹物,毛糸編み物など。
      染  色……ふろしきなど。
(3) 保  育
 幼児の生活を中心に,その衣食住について総合的に指導する。
ア 幼児の衣食住
 幼児食,間食,幼児服,おもちゃ,遊び場。
イ 保育と家庭生活
 幼児の心身の発達と衣食住。
 (実習例)間食などの調理,幼児服の考案設計,おもちゃの製作,遊び場の設計など。
(4) 家庭機械・家庭工作
 配線器具,照明器具,電熱器具,電動機などを点検・修理するのに必要な技術の基礎的事項を,取り上げる製品に即して指導する。また家庭工作では,家具の手入れを中心に,すまいについて研究させる。
ア 間取り図と屋内配線図
 建築記号,一般電気用記号など。
イ 電気計器の取扱法
 回路計による電流・電圧・抵抗の測定,導通試験など。
ウ 配線器具の点検・修理
 屋内配線の方式,許容電流・定格値,電線・コード,開閉器・接続器・点滅器など。
エ 証明器具,電熱器具の点検・修理
 (実習例)けい光灯,電気こんろ,電気アイロンなど。
オ 電動機をつけた家庭用機器の取り扱い・点検
 (実習例)単相誘導電動機など。
カ すまいのくふう
 換気,採光,照明,清潔などの条件とすまい,家具の配置・配合,塗料の選定と使用法など。
 (実習例)間取りの設計,家具の塗装など。
キ 電気と生活
 生活の能率化と電気の利用,電気技術の進歩が家庭生活や産業に及ぼす影響など。

3 指導上の留意事項
(1) 第3学年では既習事項と有機的な関連を図り,近代技術を活用して家庭生活を合理化し,家事労働を能率化する能力を養うようにする。また必要に応じて適当な機会に家庭生活における衣食住の計画,記帳などについて総合的な指導を行ない,家庭生活の経営についてまとまりのある理解を得させるようにする。
(2) 内容については,一部に偏することのないように留意する。

第3 指導計画作成および学習指導の方針
1 技術・家庭科は主として実践的活動を通して学習させる教科であるから,実習を中心にして計画し,指導する。この場合単なる技能の習熟に片寄らないように留意する。
2 各学年の内容の各項目の組織や配列は,必ずしもそのまとめ方や指導の順序を示すものではないから,「第1目標」および各学年の目標や指導上の留意事項をじゅうぶん考慮し,適切な組織順序をもった指導計画を作成して指導することが望ましい。
3 内容の項目に示してある「(実習例)」は,その項目に示してある基礎的な事項を学習させるのに適当と思われるものを例示したものである。指導計画を作成する場合,学校の事情や生徒の必要や視力およびその他の視機能の障害の状態などを考慮して,この例にならって適切なものを取り上げるようにする。
4 指導計画の作成にあたっては,生徒の学習のための集団の作り方や時間割りなどをくふうして,指導が円滑に行なわれるようにする。
5 学習の環境を整備し,実習のために服装を整えさせ,各種の規定を守らせ,安全・清潔・あとかたづけなどに留意させて,事故防止に努める。



 
第9節 外 国 語

第1 目  標

1 外国語の音声に慣れさせ,聞く能力および話す能力の基礎を養う。
2 外国語の基礎的な語法に慣れさせ,読む能力および書く能力の基礎を養う。
3 外国語を通して,その外国語を日常使用している国民の日常生活,風俗習慣,ものの見方などについて基礎的な理解を得させる。

 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として外国語科の目標をなすものであるから,指導にあたっては,この点を常に考慮しなければならない。

第2 英語についての各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 英語の発音,アクセント,初歩的な抑揚などに親しませ,聞くことや話すことに慣れさせる。
(2) 英語の初歩的な語,句,文に親しませ,読むことや書くことに慣れさせる。

2 内  容
(1) 言語材料
ア 音  声
 (ア) 発音については,現代のイギリスまたはアメリカの標準的な発音によるものとする。
 (イ) アクセントについては,第1次アクセントを用いて話し,読むことができるようにさせる。
 (ウ) 抑揚については,下降調および上昇調を用いて話し,読むことができるようにさせる。

イ 文は単文を主とし,文型はおよそ次の程度とする。
 (ア) 平叙文
  a 肯定文
   (a) 主語+動詞 の文型については,
      主語+動詞
      主語+動詞+副詞
      主語+動詞+副詞句
   (b) 主語+動詞+補語 の文型については,
      主語+be動詞+名詞
      主語+be動詞+代名詞
      主語+be動詞+形容詞
   (c) 主語+動詞+目的語 の文型については,
      主語+動詞+名詞
      主語+動詞+代名詞
   (d) その他の文型については,
      There is(are)〜.
      Here is(are)〜.
      Let us 〜.
  b 否定文
    上記aの文型に基づくもの。
 (イ) 疑問文
  a 動詞または助動詞で始まり,上記(ア)アの文型に基づくもの。
  b 前項aの文型に基づき,orを含むもの。
  c How,What,When,Where,Which,WhoまたはWhoseで始まり,上記(ア)の文型に基づくもの。
 (ウ) 命令文
  動詞または助動詞で始まり,上記(ア)の文型に基づくもの。
 (エ) 感嘆文
  a Howで始まり,be動詞で終わるもの。
  b Whatで始まり,be動詞またはhave動詞で終わるもの。

ウ 語および連語
 (ア) 新語の数は,およそ300語程度とし,その中に別表1に示したもののうちから選択したものを含める。
   この場合,名詞のうち不規則な複数形および複合名詞,代名詞の性,数および格の変化の語,動詞のうち不規則な過去形ならびに形容詞および副詞のうち不規則な変化の語は,それぞれ1語として数える。
 (イ) 連語については,別表2に示したもののうちから選沢したものを含める。

エ 文法事項は,およそ次の範囲とする。
 (ア) 名  詞
  主として普通名詞および固有名詞とし,数および格を扱う。
 (イ) 代名詞
  人称,指示,疑問および数量を表わすものとし,性,数および格を扱う。
 (ウ) 形容詞
  性質,状態および数量を表わすものとし,比較は主として規則的な変化とする。
 (エ) 副  詞
  比較は,主として規則的な変化とする。
 (オ) 動  詞
  時制は現在形および現在進行形とし,活用は現在形および現在分詞とする。

オ 文字は点字アルアァベットとし,符号は大文字符,終止符,コンマ,疑問符,感嘆符,アポストロフ,ハイフン,引用符などとする。

(2) 題  材
 題材は,主として英語国民の日常生活,風俗習慣,物語,地理,歴史などに関するもののうちから変化をもたせて選択し,特定のものに片寄らないようにする。なお,題材の形式は,主として対話文および説明文とする。

(3) 学習活動
 学習活動には,次のものを含めるものとする。
ア 聞くこと,話すこと
 (ア) 英語を聞き取らせる。
 (イ) 英語を聞かせ,これにならって言わせる。
 (ウ) 英語を聞かせ,これに動作で答えさせる。
 (エ) 英語を暗記し,暗唱させる。*
 (オ) 実物,模型,音,動作などについて英語で言わせる。
 (カ) 文の一部を置き換えて言わせる。*
 (キ) 文を転換して言わせる。*
 (ク) 英語で問答させる。

イ 読むこと
 (ア) 範読にならって音読させる。
 (イ) ひとりで音読させたり,集団で音読させたりする。
 (ウ) 対話の登場人物を分担して読ませる。

ウ 書くこと
 (ア) 英語を読みながら書き写させる。
 (イ) 語のつづりを言わせたり,書かせたりする。
 (ウ) 英語を書き取らせる。*
 (エ) 暗記した文を書かせる。
 (オ) 文の一部を置き換えて書かせる。*
 (カ) 文を転換して書かせる。*

 〔備考〕*印を付した学習活動は,授業時数を140単位時間以上(週当たり4単位時間以上)実施する場合に,深めるものとする。

3 指導上の留意事項
(1) 学年初めのある期間は,基本的な文型や語を聞かせ,これにならって言わせたり,これに動作で答えさせたり,また,問答をさせたりして,英語の音声に慣れさせる。この場合,盲生徒の特性と実態に即した場面の構成をくふうし,効果的な学習活動ができるように努めなければならない。
 なお,このことについては第2学年および第3学年においても同様である。
(2) 平易な英語の歌を歌わせ,英語学習のふんい気を作り出すとともに,音声に慣れさせるのもよい。
(3) 英語特有の発音を指導するために,その補助的な手段として万国音標文字のうち必要なものを提示してもよい。
 なお,発音の指導にあたっては,口形や舌の動かし方などは,盲生徒に指導するのが困難であるから,模型を用いたり,直接手を取って示すなど具体的な指導法をくふうすることがたいせつである。
(4) 暗記,暗唱および書き取りの指導にあたっては,運用度の高い言語材料を精選し,できるだけ回数を重ねて行なうようにする。
(5) 読むことと書くことにある程度慣れさせた後,英和辞書のひきかたを指導する。

〔第2学年〕
1 目  標
 第1学年における学習経験の基礎の上に,英語を聞き,話し,読み,書くことに習熟させる。

2 内  容
(1) 言語材料
ア 音声は,第1学年の内容として示したものに,発音を指導する補助的な手段として万国音標文字を加え,これを見て発音できるようにさせる。

イ 文は第1学年の内容として示したものに,重文および複文を加え文型は第1学年の内容として示したものに,次のものを加えた程度とする。
 (ア) 平叙文
  a 肯定文
   (a) 主語+動詞 の文型については,
      主語+動詞+副詞として用いられた不定詞(結果を表わす場合を除く。)
   (b) 主語+動詞+補語 の文型については,
      主語+be以外の動詞+名詞
      主語+be以外の動詞+形容詞
   (c) 主語+動詞+目的語 の文型について,
      主語+動詞+動名詞
      主語+動詞+名詞として用いられた不定詞
      主語+動詞+how+不定詞
      主語+動詞+thatで始まる節
      (thatの省略された場合も含む。)
   (d) 主語+動詞+間接目的語+直接目的語 の文型については,
      主語+動詞+間接目的語+直接目的語
      主語+動詞+目的語+to+名詞または代名詞
   (e) 主語+動詞+目的語+補語 の文型については,
      主語+動詞+目的語+名詞
      主語+動詞+目的語+形容詞
      主語+動詞+目的語+現在分詞
   (f) その他の文型については,
      主語+ask,tell,whatなどの動詞+目的語+不定詞
  b 否定文
    上記aの文型に基づくもの。
 (イ) 疑問文
  a 上記(ア)の文型に基づくもの。
  b Whyで始まり,上記(ア)の文型に基づくもの。
 (ウ) 命令文
   上記(ア)の文型に基づくもの。
 (エ) 感嘆文
   Howで始まり,be以外の動詞で終わるもの。

ウ 語および述語
 (ア) 新語の数は,およそ400語程度とし,その中に別表1に示したもののうちから選択したものを含める。
  語を数える単位については,第1学年の場合に同じとする。
 (イ) 述語については,別表2に示したもののうちから選択したものを含める。

エ 文法事項は,第1学年の内容として示したものに,次のものを加えた範囲とする。
 (ア) 名  詞
  集合名詞,物質名詞および抽象名詞とする。
 (イ) 形容詞
  比較は,不規則な変化とする。
 (ウ) 動  詞
  a 時制は,過去形,未来形,過去進行形および現在完了形とする。
  b 活用は,過去形および過去分詞とする。
  c 受け身の形を扱うが,進行形および完了形を含めない。
  d 不定詞は,名詞,形容詞および副詞としての用法を扱う。
  e 分詞は,現在分詞および過去分詞の形容詞としての用法とする。
  f 動名詞を扱う。

オ 文字および符号は,第1学年の場合に同じとし,さらに,およそ次のような略字を指導する。

    and for of the with -ing 
    but can do every 
    from go have just knowledge 
    like more not people quite 
    rather so that us very 
    will it you as 
    ar ed er gh ow

(2) 題  材
 題材は,第1学年の場合に同じとする。なお,題材の形式は,第1学年の内容として示したものに物語形式および少数の劇形式のものを加えたものを主とする。

(3) 学習活動
 学習活動には,次のものを含めるものとする。
ア 聞くこと,話すこと
 (ア) 英語を聞き取らせる。
 (イ) 英語を聞かせ,これにならって言わせる。
 (ウ) 英語を聞かせ,これに動作で答えさせる。
 (エ) 英語を暗記し,暗唱させる。*
 (オ) 実物,模型,音,動作などについて英語て言わせる。
 (カ) 文の一部を置き換えて言わせる。*
 (キ) 文を転換して言わせる。*
 (ク) 英語で問答させる。
イ 読むこと
 (ア) 範読にならって音読させる。
 (イ) ひとりで音読させたり,集団で音読させたりする。
 (ウ) 対話や劇の登場人物を分担して読ませる。
ウ 書くこと
 (ア) 英語を読みながら書き写させる。
 (イ) 語のつづりを言わせたり,書かせたりする。
 (ウ) 英語を書き取らせる。*
 (エ) 暗記した文を書かせる。
 (オ) 文の一部を置き換えて書かせる。*
 (カ) 文を軽換して書かせる。*
 (キ) 既習の文型を用いて日本語の意味を英語で書き表わさせる。*

 〔備考〕 *印を付した学習活動は,授業時数を175単位時間以上(週当たり5単位時間以上)実施する場合に,深めるものとする。

3 指導上の留意事項
(1) 聞くこと,話すことに習熟させるためには反復練習が必要であり,発音記号はこれを助ける補助的な手段として用いるものであるから,発音を聞かせてこれを発音記号で書かせるようなことは避ける。
(2) この段階の生徒はとかく発言したがらない傾向も生ずるので,問答においては完全な文の形で答えさせたり,正しい答えをいっせいに言わせたりして,つとめて英語を話させる機会を多くする必要がある。
(3) 読むことの領域においては,日本語で説明する必要も生ずるが,つとめて直接英語から理解させるように指導する。
(4) 文型や語の数がしだいに増してくるので,暗唱および書き取りをできるだけ回数を重ねて行ない,学習を確実に積み重ねていくように指導する。
(5) 文法事項がしだいに複雑になってくるが,ある程度用例に親しませた後に帰納して指導し,運用する能力を伸ばすことに役だたせる。
(6) 英語の学習にかなり個人差が現われてくる段階であるが,学習の遅れている生徒には基本的な事項を徹底させるとともに,学習の進んでいる生徒にはいっそう能力を伸ばさせるようにくふうする。
(7) 点字略字の指導にあたっては,生徒に略字の意義および効用を理解させ,略字の使用に興味をもたせることが必要である。

〔第3学年〕
1 目  標
 第2学年における学習経験の基礎の上に,英語を聞き,話し,書く能力の基礎を養うとともに,読む能力の基礎を充実させる。

2 内  容
(1) 言語材料
ア 音声については,第2学年の場合に同じとする。

イ 文は第2学年の場合に同じとし,文型は第1学年および第2学年の内容として示したものに,次のものを加えた程度とする。
 (ア) 平叙文
  a 肯定文
   (a) 主語+動詞 の文型については,
      主語+動詞+副詞として用いられた不定詞(結果を表わす場合。)
   (b) 主語+動詞+目的語 の文型については,
      主語+動詞+what,when,whereまたはwhich+不定詞
      主語+動詞+how,what,when,where,which,whoまたはwhyで始まる節
      主語+動詞+ifまたはwhetherで始まる節*
   (c) 主語+動詞+間接目的語+直接目的語の文型については,
      主語+動詞+間接目的語+how,what,when,whereまたはwhich+不定詞
      主語+動詞+間接目的語+how,if,that,what,when,where,which,whoまたはwhyで始まる節*
   (d) 主語+動詞+目的語+補語 の文型については,
      主語+動詞+目的語+過去分詞*
      主語+動詞+目的語+toのない不定詞*
      主語+thinkなどの動詞+it〜(for〜)to〜.*
   (e) その他の文型については,
      It+be動詞〜(for〜)to〜.
      主語+be以外の動詞+現在分詞
  b 否定文
    上記aの文型に基づくもの。
 (イ) 疑問文
  a 上記(ア)のaの文型のうち,(a)(b)および(e)に基づくもの。
  b 付加疑問文。
 (ウ) 命令文
   上記(ア)の文型に基づくもの。
 (エ) 感嘆文
   Whatで始まり,beおよびhave以外の動詞で終わるもの。

 〔備考〕*印を付した文型は,授業時数を175単位時間以上(週当たり5単位時間以上)とする場合に取り扱うものとし,授業時数を140単位時間(週当たり4単位時間)とする場合には軽く触れる程度にとどめるものとする。

ウ 語および連語
 (ア) 新語の数は,授業け数が140単位時間(週当たり4単位時間)の場合はおよそ400語程度とし,175単位時間以上(週当たり5単位時間以上)の場合はおよそ600語程度とし,その中に別表1に示したもののうちから選択したものを含める。
  語を数える単位については,第1学年の場合に同じとする。
 (イ) 連語については,別表2に示したもののうちから選択したものを含める。

エ 文法事項は,第1学年および第2学年の内容として示したものに,次のものを加えた範囲とする。
 (ア) 代名詞
  関係代名詞を扱うが,前置詞+関係代名詞は*とする。
 (イ) 副  詞
  関係副詞を扱う。
 (ウ) 動  詞
  a 時制は,過去完了形および現在完了進行形とする。
  b 受け身の形は,完了形を扱う。*
  c 分詞構文のうち基本的なものを扱う。*
  d 仮定法を扱い,次の程度とする。*
    I wish〜動詞または助動詞の過去形〜.
    lf〜shouldまたは動詞の過去形〜.
  e 話法のうち平易なものを扱う。*

 〔備考〕*印を付した文法事項は,授業時数を175単位時間以上(週当たり5単位時間以上)とする場合に取り扱うものとし,授業時数を140単位時間(週当たり4単位時間)とする場合には軽く触れる程度にとどめるものとする。

オ 文字および符号は,第1学年の場合に同じとし,略字は第2学年の内容として示したものに,およそ次のものを加えて指導する。
 st(still),ch(child),sh(shall).th(this)
 wh(which),ou(out)
 in,en(enough),was,were

(2) 題  材
 題材は,第1学年の場合に同じとする。なお,題材の形式は,第1学年および第2学年の内容として示したものに,少数の日記形式および手紙形式のものを加えたものを主とする。

(3) 学習活動
 学習活動には,次のものを含めるものとする。
ア 聞くこと,話すこと
 (ア) 英語を聞き取らせる。
 (イ) 英語を聞かせ,これにならって言わせる。
 (ウ) 英語を聞かせ,これに動作て答えさせる。
 (エ) 英語を暗記し,暗唱させる。*
 (オ) 実物,模型,音,動作などについて英語で言わせる。
 (カ) 文の一部を置き換えて言わせる。*
 (キ) 文を転換して言わせる。*
 (ク) 英語で問答させる。
イ 読むこと
 (ア) 範読にならって音読させる。
 (イ) ひとりで音読させたり,集団で音読させたりする。
 (ウ) 対話や劇の登場人物を分担して読ませる。
 (エ) 文と文との関係やパラグラフの大意をつかませる。
ウ 書くこと
 (ア) 英語を読みながら書き写させる。
 (イ) 語のつづりを言わせたり,書かせたりする。
 (ウ) 英語を書き取らせる。*
 (エ) 暗記した文を書かせる。
 (オ) 文の一部を置き換えて書かせる。*
 (カ) 文を転換して書かせる。*
 (キ) 既習の文型を用いて日本語の意味を英語で書き表わさせる。
 (ク) 日記や手紙を書かせる。

 〔備考〕*印を付した学習活動は,授業時数を175単位時間以上(週当たり5単位時間以上)実施とする場合に,深めるものとする。

3 指導上の留意事項
(1) この段階の生徒はとかく音声をおろそかにしがちであるから,正しい音声でつとめて英語を話し,読ませる機会を作る必要がある。
(2) 平易な言語材料を用いるならば,第2学年において日記や手紙を書かせてもよい。
(3) 既習の文型,語,連語,文法事項などについて,ときどきまとめさせて,運用する能力の基礎を確実にさせる。

別表1 次の語は第1学年,第2学年および第3学年のうちいずれかの学年において指導する。
a about above across after
afternoon again ago all almost
along already also always am
America American among an and
animal another answer any anybody
anyone anything April are arrive
as Asia ask at August
autumn away back be because
become been before begin behind
beside best better between big
bird black blackboard blue book
both box boy bread breakfast
bring brother build building but
buy by call can carry
catch chair chalk child children
city class classroom clock cloud
cold colo(u)r come cool could
country cross cry cup cut
dark daughter day dear December
desk diary dictionary did dinner
do doctor does door down
drink during each early earth
east easy eat eight eighteen
eighth eighty either eleven eleventh
else England English enough Europe
even evening ever every everybody
everyone everything face fall familly
for fast father February feet
few fifteen fifth fifty find
fine finish first fish five
flower fly food foot for
forget forty four fourteen fourth
Friday friend from fruit game
garden gentleman get girl give
glad glass go good goodby(e)
grass great green grow had
half hand happy hard has
have he head hear help
her here hers herself high
him himself his hold holiday
home hope hot hour house
how hundred I if ill
in ink interesting into invite
is it its January Japan
Japanese July June Just keep
kind knife know lady large
last learn leave left lend
lesson let letter lie light
like listen little live long
look low lunch make man
many March May may me
meet men mile milk mine
minute Miss Monday month moon
more morning most mother mountain
Mr. Mrs. Mt. much must
my myself name near need
never new next nice night
nine nineteen ninety ninth no
noon north not notebook nothing
November now o'clock October of
off often old on once
one only open or other
our ours ourselves out over
page past pen pencil people
perhaps picture play please pocket
poor present pretty pupil put
quarter question quite rain rather
reach read ready red rich
ride right rise river room
round run same Saturday say
school sea season second see
sell send September seven seventeen
seventh seventy shall she shine
short should show shut sick
since sing sister sit six
sixteen sixth sixty sky sleep
slowly small smile snow so
some somebody someone something sometimes
son song soon sorry south
speak sport spring stand star
still stop story street strong
study such summer sun Sunday
supper swim table taKe talk
tall teach teacher tell ten
tenth than thank that the
their theirs them themselves then
there these they thing think
third thirteen thirty this those
though thousand three through Thursday
till time to today together
tomorrow too town tree try
Tuesday twelfth twelve twenty two
under understand up us use
very village visit walk wall
want warm was wash watch
water way we Wednesday week
well were west what when
where which while white who
whom whose why wide will
wind window winter wish with
within without woman women word
work world would write year
yellow yes yesterday yet you
young your yours    

 〔備考〕できるだけ基礎的な語から指導するとともに,2義以上をもつ語については基本的な意味から指導する。

別表2 次の連語は第1学年,第2学年および第3学年のうちいずれかの学年において指導する。
a few a great many a little
a lot of a pair of a piece of
as〜as as〜as〜can as soon as
be able to be afraid of be fond of
both〜and each other either〜or
had better have to in front of
lots of not only〜but(also) of course
one another out of plenty of
so〜that too〜to  

 〔備考〕できるだけ基本的な連語から指導する。

第3 英語についての指導計画作成および学習指導の方針

1 第1学年においては聞くこと,話すこと,読むことおよび書くことの領域のうち,聞くこと,話すことの領域に比較的に重点をおき,第2学年においては3領域をほぼ同等に扱い,第3学年においては読むことの領域にやや重点をおくものとする。
2 1単位時間の学習指導においては,聞くこと,話すこと,読むことおよび書くことの3領域にわたって,つりあいのとれた形で進めることが必要である。
3 低学年においては,表現できる程度まで指導する言語材料をできるだけ多くし,高学年に進むに従って,理解にとどめる言語材料を取り入れるようにする。
4 基本的にして運用度の高い言語材料は,各学年を通して反復させるとともに,その上にしだいに程度の高い言語材料を積み重ねていくように計画することが必要である。
5 上記の各学年の内容に示した,言語材料における用語は,その範囲または程度を示すために用いたものであるから,指導にあたっては用語の提示は最小限にとどめるようにする。
6 指導にあたっては,特定の指導法に片寄ることなく,生徒の心理,特性,経験などに即して進めるようにする。
7 英語は,日本語とその語系語族を別にし,音声,文字および語法に大きな相違があるので,聞くこと,話すこと,読むこと,および書くことの各領域にわたって,特に反復練習させる必要がある。
8 音声を指導する補助的な手段として,レコード,録音機,放送などを利用することが望ましい。
9 文法は,聞くこと,話すこと,読むことおよび書くことの中で指導し,ある期間の終わりごろに既習の文法事項を整理させることなどは必要である。
10 英語を通して英語国民についての基礎的な理解を得させることはたいせつであるが,風物や制度などの説明に深入りしないようにするとともに,英語学習の結果英語国民に対する偏見をもつことのないように努める。
11 第2学年および第3学年の内容として掲げた点字略字の指導時期については,次に示すものを標準とする。

 and,for,of,the,with,-ing(第2学年初期)
 but,can,do,every,from,go,have,just,knowledge,like,more,not,people,quite,rather,so,that,us,very,will,it,you,as,(第2学年中期)
 ar,ed,er,gh,ow(第2学年中期)
 st(still),ch(child),sh(shall),th(this),wh(which),ou(out)(第3学年初期)
 in,en(enough),was,were(第3学年初期)

第4 その他の外国語
 ドイツ語,フランス語など英語以外の外国語については,「第1 目標」に基づき,英語に準じて行なうものとする。



 
第10節 職  業

第1 目  標

1 職業に対する基礎的な知識,技能を習得させる。
2 職業技術の科学的な根拠を理解させ,これを実際に活用する能力を養う。
3 協同と責任を重じる態度を養う。

第2 内  容

1 農  業
 A 養  畜
 家畜,家きんなどの飼育を通して,養畜の基礎的な知識と技能を習得させ,それらを合理的,能率的に育成する態度を養う。
  (実習例) ウサギ,ニワトリ,ブタ,ヤギなど。

 B 農耕および園芸
 食用作物の栽培を通して,農耕および園芸の基礎的な知識と技能を習得させ,それを合理的,能率的に育成する態度を養う。
  (実習例) 食用作物−イネ,ムギ,マメ,イモ類など。
        園芸作物−葉菜類,根菜類,果菜類など。

 C 農産加工
 農産物の加工,貯蔵を通して,加工,貯蔵の基礎的な知識,技能を習得させ,さらに合理的,能率的に行なう態度を養う。
  (実習例) 乾燥野菜,つけもの,果じゅう,ジャムなど。

2 工  業
 A 木,竹,とう類による工芸
 工芸の基礎的な知識と技能を習得させる。
  (実習例) 日用品,工芸品の製作。

 B 手仕上げ
 主として手仕上げ作業について,機械工作の基礎を学習させ,材料と工作法の関連を理解させる。
  (実習例) やすりなどによる仕上げ。

3 商  業
 A 商事活動
 商業事務について,実務的な知識,理解を得させ,それを生活および職業の上に役だてる能力と態度を養う。
(1) 売  買
 購入,販売,取り引き関係書類,物品の受け渡し,代金の決済,店舗の設計と装飾,広告など。
(2) 運送,通信
 陸上,海上,航空による旅客,貨物の運送,郵便,電信,電話などの利用。
(3) 保  管
 金庫の利用。
(4) 金  融
 銀行その他の金融機関の利用,一般の金銭貸借の方法,小切手,手形の利用。
(5) 保  険
 各種の損害保険および生命保険の利用。
(6) 有価証券,取引所
 株式および公債,社債と投資,証券取引所および取引所の働きと取り引き方法のあらまし。
(7) 企業の形態と組織
 会社,組合などの種類と特徴。企業の規模,事業体の内部組織。

 B 経  理
 簿記の基礎的な知識,技能を習得させ,経理を明確に処理する能力と態度を養う。
(1) 金銭収支の記帳
 記帳の必要性,記帳の一般原則,現金出納帳の記録,預金や貸借の記録,伝票の利用。(2) 商品売買の記帳
 仕入れ帳,売り上げ帳,商品有高帳の記録伝票の利用
(3) 仕訳と勘定科目
 仕訳の原則,勘定科目の種類,仕訳帳,元帳の記録。
(4) 決算と財務諸表
 帳簿の締め切り,試算表,たな卸し表,貸借対照表,損益計算書の作成。
(5) 税  務
 税金の計算,青色申告。

 C 計算事務
 珠算による計算技術を習得させ,計算事務を能率的に処理し,ものごとを計数的に判断する能力と態度を養う。
(1) 珠  算
 加減算,乗除算。

 D 文書事務
 文書作成および整理に関する技術を習得させ,文書事務の能率を増進する能力と態度を養う。
(1) 文書作成
 タイプライティング。
(2) 文書整理
 文書の受け付け,発送,整理,保管などの方法。

4 その他
 地域や生徒の実態と盲人の特性に応じたいろいろな職業に関する知識と技能を習得させる。

5 指導上の留意事項
(1) 農業について
ア 「養畜」は家きん・小家畜の飼育から始めて,養畜に対する関心を高めさせ,経営経済的な観点に立って飼育するように指導し,必要によりニワトリの卵の人工ふ化,育すう,点燈飼育あるいは肥育,去勢などの内容を加えて指導する。
イ 農業用の殺虫剤,殺菌剤,除草剤,植物ホルモン,土の化学反応,肥料などについては,調査,測定,観察などによる実験的な取り扱いを加えて指導する。
ウ 農産物の加工・貯蔵の方法には簡易で便宜的な方法や,高度の品質管理のもとに大規模の施設設備を用いて行なう方法などがある。施設設備のないために簡易な方法で指導する場合にも,いたずらに結果を急ぐことを戒めて,特に原料の選定,消毒,温度や湿度の管理,作業工程などを正確に行ない,単なる操作法や技能の習得に陥らないようにし,伝統的な方法などを改善する能力を養うように指導する。

(2) 工業について
ア 盲生徒の特性に応じた指導の方法をくふうするとともに,技術・家庭科の内容との関連において指導する。

(3) 商業について
ア 商事活動について
 (ア) 学習指導の順序は必ずしもこの項目の配列の順序によらなくてもよいが,商事活動の全般にわたることが必要である。
 (イ) 単に知識として得させるだけでなく,できるだけ実際に役だてるように指導する。
イ 経理について
 (ア) 記帳は点字による方法をくふうして実践させるように指導する。
 (イ) 勘定科目の種類は基本的なものに重点をおき,決算についても複雑なものは避ける。
 (ウ) 税務については,所得税を中心として一般的な税の計算のしかたに重点をおいて指導する。
ウ 文書事務について
 (ア) 盲人に適した,文書の整理,保管の方法をくふうして指導する。
 (イ) 文書事務に関する一般的な知識を習得させるように留意する。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 指導計画作成にあたっては,内容1,2,3および4のうちいずれかを選んでもよいし,また,それらのうちいくつかを関連づけて総合的に取り扱うようにしてもよい。なお,学習のための集団の作り方や,時間割りなどをくふうして,指導が円滑に行なわれるようにする。
2 学習指導においては,生徒の興味や関心の深い具体的なものから順次応用的,総合的なものに及ぶよう留意すること。
3 常に危険の防止に留意させ,安全に関する意識の高揚に努める。このためには服装の整備,学習環境の整理・整とん,作業規律の励行などをゆるがせにしないように指導する。なお,これらのことは農業,工業に関する指導においては特に重要である。



 
第11節 家  庭

第1 目  標

1 家庭生活に必要な衣食住,保育・看護および家庭経営について理解させ,家事その他の実務に役だつ基礎的技術を習得させる。
2 家庭生活を合理的,能率的にし,明るく快適にする態度を養う。

第2 内  容

 A 被  服
1 日常の衣生活について理解させ,これに必要な洋裁,和裁,手芸に関する基礎的技術を習得させて,それらの製作能力を高めるとともに,衣生活を改善する態度を養う。
(1) 衣生活
ア 活動・休養と被服,被服と保健衛生,被服と作法
イ 衣生活の計画,衣生活と家庭経済・家事労働
ウ 衣生活の改善,最近のわが国における和洋裁・手芸併用の傾向と被服の推移,わが国の衣料事情
(2) 被服製作
ア 被服の製作・整理に関する改善
イ 洋  裁
 「技術・家庭科B女子向き〔第2学年〕」にあげたことのほか,用途による形の選び方。
ウ 和  裁
 「技術・家庭科B女子向き〔第2学年〕」にあげたことのほか,用途による布の選び方。
エ 手  芸
 機械編み,手編み,簡単な織物,ししゅうなどの方法。
  (実習例) 洋裁……エプロン,スカート,ボレロ,スラックスなど。
        和裁……大裁ちひとえ長着女物または男物,中裁ち・小裁ちのひとえ長着など。
        手芸……セーター,カーディガン,下ばき,テーブルクロス,袋類など。
2 指導上の留意事項
(1) 衣生活に関する内容は,できるだけ「(実習例)」にあげたものの製作に関連させて指導する。
(2) 裁縫ミシン,編み物機などの操作に慣れさせるように留意する。
(3) 「被服」の授業時数は105単位を標準とし,地域の事情によって洋裁70単位時間,手芸35単樹時間とするか,または和洋裁70単位時間,手芸35単位時間とする。

 B 食  物
1 日常の食生活について理解させ,これに必要な献立,調理に関する基礎的技術を習得させて,それらの能力を高めるとともに,食生活の改善を図る態度を養う。
(1) 食生活
ア 日常の食品,食品の鑑別法
イ 地域の家庭や自分の家族の栄養の実態,わが国の食糧事情
ウ 食物と衛生
エ 食生活の改善
(2) 献立・調理
ア 調理法の改善,台所や食品貯蔵場などの改善
イ 食物の味に関する感覚
ウ 献立作成の練習
エ 調理法
  飯類・パン類・めん類の調理,蒸し物・しるもの・煮物・焼き物の調理,菓子の作り方,郷土料理の作り方など。
  (実習例) どんぶり物・ホットケーキ・めん類の調理,赤飯,スープ・煮こみ・含め煮の調理,なべ料理・姿焼き・蒸し焼きなど。

2 指導上の留意事項
(1) 献立作成の練習と「(実習例)」にあげた調理実習とは,じゅうぶん関連を図って指導する。
(2) 「食物」の授業時数は70単位時間を標準とする。

 C 保育・看護
1 保  育
 乳幼児の心身の発達に応じた扱い方やその衣食住について理解させ,それに心要な技術を習得させて,こどもを愛育する態度を養う。
(1) 乳幼児の身体の発育,生理機能
(2) 乳幼児の栄養,妊産婦および授乳婦の栄養,離乳期および幼児期の食物,乳児の被服
(3) 乳幼児の精神の発達,幼児理解の方法,こどもの絵,おもちゃ,遊び,環境
  (実習例) 流動食・半流動食その他消化しやすい食物の調理,紙しばい,人形しばい,自然物のおもちゃのくふうなど。

2 看  護
 日常かかりやすい病気について,家庭における看護法を理解させ,それに必要な看護技術を習得させる。
(1) 病気の早期発見,医師を招くまでの処置
(2) 病状の観察とその記録
(3) 病人の衣食住に関する世話のしかた,簡単な手当法,排せつ物の処置など。
(4) こどもに多い病気の予防とその看護法
(5) 家庭常備薬と家庭看護用品の整備
  (実習例) 体温,脈はく・呼吸の測り方とその記録,病室・病床の整え方,病衣の換え方,食事の与え方,薬の用い方と与え方,かん腸,便器の扱い方など。

3 指導上の留意事項
(1) 「1保育」の乳幼児食と「2看護」の病人食については,消化しやすい食物の調理としてあわせて実習させる。
(2) 「保育・看護」の授業時数は,18単位時間を標準とする。

 D 住居・家庭経営
1 住  居
 すまいの機能について,理解させ,すまいを衛生的,能率的に,また完全,快適にくふう改善するのに必要な能力と態度を養う。
(1) 健康とすまい
 排水・給水,防そ,防虫など。
(2) 家族の生活の場としてのすまい
 家族生活を中心とするすまい,職業の場とすまいの分離,家事労働と休養の場としてのすまい,各室の機能と配置,すまいの広さ。
(3) 地域や職業とすまい
(4) 住居とその施設設備のくふう改善
  (実習例) 勉強の場所や押し入れなどの考案設計。

2 家庭経営
 家庭生活における衣食住,保育などの総合的な運営について理解させ,それに必要な経営の能力と態度を養う。
(1) 家庭経済
 物の選択,購入,使い方,家庭における経済生活のめやす,支出と収入,記帳,予算,決算,剰余・不足の処置,家族の協力,家庭経済に影響を与えるもの。
(2) 家事労働
 家事労働と休養・余暇,家族の協力と分担,生活時間の計画と実行,年中行事その他の風習の反省と改善。
(3) 家庭生活
 これからの家庭生活,家族の一員としての望ましい生活,衣食住・保育・看護・家庭経営と家族関係。
  (実習例) 記帳(家計簿),生活時間の計画。

3 指導上の留意事項
(1) 「1住居」については,その地域の実態に即して指導する。
(2) 「2家庭経営」は,衣食住などと緊密に関連させて取り扱う。
(3) 「住居・家庭経営」の授業時数は17単位時間を標準とする。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 この教科は将来家事その他の実務に従事しようとする者の必要に応じて設けられたものであるから,実践的活動を重視して指導する。
2 この教科は,特に「技術・家庭科B女子向き」の各学年の指導と密接な関連を図り,その応用発展としてじゅうぶん効果をあげるようにするとともに,その地域の行事,風俗,習慣などの社会環境や季節その他の自然環境を考慮して計画し,指導する。
3 指導計画の作成にあたっては,生徒の学習のための集団の作り方や時間割りなどをくふうして,指導が円滑に行なわれるようにする。また家庭実習を行なう場合は,精密な計画を立てて効果的に行なうようにする。
4 実習のために服装を整えさせ,規定を守らせ,用具の正しい取り扱いに慣れさせ,清潔や衛生に留意させて,事故の防止に努める。




 
第3章 道徳,特別教育活動および学校行事等

第1節 道  徳

第1 目  標

 人間尊重の精神を一貫して失わず,この精神を,家庭,学校その他各自がその一員であるそれぞれの社会の具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造と民主的な国家および社会の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成することを目標とする。

第2 内  容

 道徳教育の内容は,教師も生徒もいっしょになって理想的な人間のあり方を追求しながら,われわれはいかに生きるべきかを,ともに考え,ともに語り合いその実行に努めるための共通の課題である。
 道徳性を高めるに必要なことがらは,本来分けて考えられないものであって,道徳的な判断力を高めること,道徳的な心情を豊かにすること,創造的,実践的な態度と能力を養うことは,いかなる場合にも共通に必要なことであるが,上の目標を達成するためのおもな内容をまとめて示すと,次のとおりである。

1 日常生活の基本的な行動様式をよく理解し,これを習慣づけるとともに,時と所に応じて適切な言語動作ができるようにしよう。
(1) 生命を尊び安全の保持に努め,心身ともに健全な成長と発達を遂げるように励もう。
 自己はもとより,他のすべてのものの生命を尊ぶことは,人間が意義ある生活を営むための第一歩である。からだも心も,いたずらにその場の気分に負けないで,節度があり均衡のとれた生活をすることによって,健康な成長と発達を遂げるように努めよう。
(2) 正確適切なことばづかいや能率的な動作ができるように努めよう。
 集団生活は,お互いの理解と協同の上になりたつものであるから,他人に不快な感じをもたせることのないように表情や身なりにも注意し,時と所に応じて,正確適切なことばつかいや能率的な動作ができ,しかもそれらが個性的で,他人から敬愛されるものになるように努めよう。
(3) 整理整とんの習慣を身につけて,きまりよくものごとが処理できるようにしよう。
 平素から身のまわりを整理整とんし,清潔と美化に努めることは,気持ちを整え,ものごとをきまりよく処理できるもとになるから,ものぐさにならないように,よい習慣をつけよう。
(4) 時間や物資や金銭の価値をわきまえて,これらを活用しよう。
 合理的で充実した生活を営むために,時間や物資や金銭などの価値をよくわきまえて,これらをむだにすることなく,計画的に活用しよう。特に決められた時刻はよく守り,公共のものはそまつにしないように気をつけよう。
(5) 仕事を進んで行ない,根気よく最後までやりぬく態度や習慣を身につけよう。
 お互いの生活を向上させるために,ひとりひとりが自分の果さなければならない仕事の役割と責任を自覚して進んで行い,困難にも負けないで,根気よく最後までやりぬくように努めよう。

2 道徳的な判断力と心情を高め,それを対人関係の中に生かして,豊かな個性と創造的な生活態度を確立していこう。
(1) 人間としての誇りをもち,自分で考え,決断し,実行し,その責任をみずからとるように努めよう。
 人は,生存を維持するための生物的な欲求に動かされ,また,社会の慣行に盲従しやすい弱くてもろい面をもつが,同時に自分で考え,決心し,自主的に行動する力を与えられている。
 つとめて衝動をおさえ,冷静に考えて,正しいと信ずるところを実行し,その結果にみずから責任をとろうとすることに,誇りを感ずるようになろう。
(2) すべての人の人格を尊敬して,自他の特性が,ともに生かされるように努めよう。
 人格とは,人はその根本において,お互いに自由であり平等であるという自覚から生まれたことばである。
 人間の尊重とは,現実の人間関係の中において,自分の人格をたいせつにするばかりでなく,他のすべての人格を尊敬していこうとする人間の本性に根ざした精神であって,民主的社会における基本的人権も,この精神によってささえられているものである。
 この自覚にたって,お互いの人格を敬愛しあい,各人の個性や長所を伸ばしあっていくようにしよう。
(3) つとめて謙虚な心をもって,他人の意見に耳を傾け,自己を高めていこう。
 人は,自主自律であるとともに,謙虚であって,はじめて自己をよりよく伸ばすことができる。ことに青年期においては,一方的な自己主張にはしりやすいが,精神的に未成熟であり,経験もふじゅうぶんであるから,両親や教師や先輩などの意見に謙虚に耳を傾けて,暖かい援助に対してはすなおな感謝の心を表わしていこう。
 また,省みてすぐれた先人の生き方に学び,自己のよりいっそうの向上を心がけよう。
(4) 他人と意見が食い違う場合には,つとめて相手の立場になってみて,建設的に批判する態度を築いていこう。
 人は,先入観や感情にとらわれたり,無批判に他の意見に支配されたりして,しばしば真実を見失いがちである。自分の偏見を捨てるとともに,相手の立場にもなってみて,事実に基づいて合理的に批判し,よりよい結論に到達しようとする建設的な態度を築いていこう。
(5) あやまちは率直に認め,失敗にはくじけないようにしよう。また,他人の失敗や不幸には,つとめて暖かい励ましをおくろう。
 人は,とかくあやまちを犯したり,失敗をしがちなものである。しかも自介のあやまちを率直に認めることはむずかしいことであって,言いわけをしようとしたり,責任を他に転嫁したりしがちである。しかし,自分のあやまちや失敗を潔く認め,卑屈になったり他人の成功をねたまないで,それらの原因を冷静に究明し,再起に役だたせよう。また,他人のあやまちに対しては寛容で,その失敗に対しては,暖かい励ましをおくることに努めよう。
(6) 異性関係の正しいあり方をよく考え健全な交際をしよう。
 男女の相互敬愛は,民主的社会において尊重されなければならない。相互の愛情は,人生にとって貴重なものであるが,そのあり方は,自己および相手の一生の運命にかかわることであるばかりでなく,その影響を周囲の人々にも及ぼすものである。
 中学生の時期には,異性への関心も目ざめてくるし,そのためにかえって相互に反発する傾向も出てくる。男女が相互に理解しあい,敬愛しあう心構えを養い,一時の軽はずみな行動をとることなく,親や教師にも相談して,公明で清純な交際をするように努めよう。
(7) 常に真理を愛し,理想に向かって進む誠実積極的な生活態度を築いていこう。
 真理を愛し,現実の困難にもかかわらず,あくまで理想を追求することは,青年にふさわしいりっぱな態度である。しかし,ともすると夢を追って空想にはしったり,また,現実のきびしさに負けて,世をいとうようになりがちであるが,それは,理想と現実の関係を正しく理解しないからである。
 人間は現実のただ中にあって,良心を失わず,真理の追求と理想実現の努力を続けることを通して成長するものであることを理解し,誠実積極的な生活態度を築いていこう。
(8) 真の幸福は何であるかを考え,絶えずこれを求めていこう。
 人はだれしも幸福を願うものであり,それは尊重されなければならない。物質的な豊かきや感覚的な快楽を求めることも,それが人間の幸福を高め,かつ,社会的に承認される形で充足されるかぎりは,意義のあることである。しかし,このような欲求の充足のみで真の幸福が得られるとはいえない。心の底から満足でき,しかも,長続きのする幸福は何かをいつも自分の心に問い,高い精神的価値を求める誠実な生活態度を築いていこう。
(9) 情操を豊かにし,文化の継承と創造に励もう。
 自然に親しみ,動植物を愛護し,健全な娯楽や身体に適したスポーツを選ぼう。また,古典を友とし,すぐれた文学,美術,音楽,映画,演劇などを鑑賞し,その伝統を尊び,みずからもその新しい創造に直接間接に参加して,日々の生活を趣味あり情操豊かなものにしよう。
(10) どんな場合にも人間愛を失わないで,強く生きよう。
 長い人生には,すべてに激しく絶望して,何もかも信じられなくなるときもあろう。その場合,宗教は多くの人に永遠なものへの信仰を与え,魂の救いとなってきた。これらの宗教を信ずる者も信じない者も,人間愛の精神だけは最後まで失わないで,正しく生き,民主的社会の平和な発展に望みをかけていこう。

3 民主的な社会および国家の成員として,必要な道徳性を発達させ,よりよい社会の建設に協力しよう。
(1) 家族員相互の愛情と思いやりと尊敬とによって,健全な家庭を築いていこう。
 家族は,本来深い愛情でつながっているものであるが,親しさのあまり感情を露骨に表わして,ともすれば他人どうしの場合よりもかえって気まずい空気をかもし出しがちである。
 このようなことを反省して,お互いの立場を理解することに努め,許しあい,いたわりあって,暖かく健全な家庭を築いていこう。
(2) お互いに信頼しあい,きまりや約束を守って,集団生活の向上に努めよう。
 学校や職場などの集団生活は,お互いが正直誠実で一定のきまりや約束を守らなければなりたたない。それゆえに,集団の意義や目標と自己の分担する役割をよく理解し,成員としての自覚をはっきりもって,お互いに信頼しあうことがたいせつである。また,各自が勤労の尊さを理解し,勤労を通じて集団生活の向上に努めよう。
(3) 狭い仲間意識にとらわれないで,より大きな集団の成員であるという自覚をもって行動しよう。
 社会には,それぞれ目標や立場の違う多くの集団がある。われわれは自分の集団の目標や立場だけにとらわれがちであるが,そうすると,他の集団との間に利害の対立や,考え方の相違に基づく争いが起こりやすい。このような集団的利己主義を反省して,他の集団に対する理解を深め,お互いにより大きな集団の成員でもあるという自覚をもって連帯共同の実をあげるように努めよう。
(4) 悪を悪としてはっきりとらえ,決然と退ける強い意志や態度を築いていこう。
 社会生活の中で,人は多くの悪に直面しないわけにはいかない。われわれは誘惑を受ければ,悪に陥りやすい弱さをもち,また,集団の中においては,友情や義理の名のもとに悪に引きずり込まれたり,悪を見のがしたりするものであるが,悪を悪としてはっきりとらえ,勇気をもってこれに臨む強い意志や態度を築くことに努めるとともに,みんなで力を合わせて悪を退けるくふうを続けていこう。
(5) 正義を愛し,理想の社会の実現に向かって,理性的,平和的な態度で努力していこう。
 正義が支配する理想の社会をつくることは,これまでも人間が絶えず願ってきたことである。しかし,人はとかく自己のいだく思想や所属する集団の立場からのみ,何が正義であるかを判断しがちであり,そのような考え方から専制や暴力や過激な感情も正当化されやすい。
 われわれは,制度や法の意義を理解し,公私の別を明らかにして,公共の福祉を重んじ,権利を正しく主張するとともに義務も確実に果たして,少数者の意見をも尊重し,平和的,合法的方法で,よりよい社会をつくっていくことに力を合わせよう。
(6) 国民としての自覚を高めるとともに,国際理解,人類愛の精神をつちかっていこう。
 われわれが,国民として国土や同胞に親しみを感じ,文化的伝統を敬愛するのは自然の情である。この心情を正しく育成し,よりよい国家の建設に努めよう。
 しかし,愛国心は往々にして民族的偏見や排他的感情につらなりやすいものであることを考えて,これを戒めよう。そして,世界の他の国々や民族文化を正しく理解し,人類愛の精神をつちかいながら,お互いに特色ある文化を創造して,国際社会の一員として誇ることのできる存在となろう。

第3 指導計画作成および指導上の留意事項

1 指導計画は,学校の教育活動全体に通ずる道徳教育の一環として,各教科,特別教育活動および学校行事等における道徳教育と密接な関連を保ちながら,これを補充し,深化し,統合し,またはこれとの交流を図り,生徒の発達に即し,組織的,発展的に指導できるものでなければならない。この指導計画の作成にあたっては,学校のすべての教師がこれに参加し,協力することをたてまえとする。
2 上記第2に示した内容の配列は,指導の順序を示すものではない。指導計画は,内容の各項目の単なるられつにとどまることなく,各学校において生徒の生活の実態や地域の特色などを考慮して具体化したものでなければならない。
3 指導計画は,固定的なものでなく,生徒の生活場面に時々に起こってくる問題や時事的な問題なども適宜取り入れることのできるような弾力性をもたせることが必要である。
4 指導にあたっては,道徳的な観念や知識を明確にするとともに,理解,判断,推理などの諸能力を養い,さらに習慣,心情,態度などのすべてにわたって健全な発達を遂げけさせ,これらが統合されて,自我の強さが形成されるように適切な指導を与えることが必要である。
5 指導にあたっては,生徒が視角の障害からくる数々種々の困難を克服して強く生きようとする意欲を高め,明るい生活態度を養うとともに,情緒の安定を図り,健全な人生観を育てるよう留意することがたいせつである。
6 生徒の道徳性は,家族,友人,学校,地域社会,職場,国家,国際社会など,いろいろの場との関連において形成されるものであることを常に念頭において,指導がなされなければならない。
7 指導の効果をあげるためには,生徒の道徳性形成に関係のある家庭環境,生育歴,地域の特性や交友関係などに関する資料を収集・整理し,これを活用することが必要である。
8 教師は,深い愛情をもって公平に生徒に接し,できるだけ許容的な態度で,気長に生徒の道徳的な自覚を育てる必要がある。しかし,それとともに,生徒が悪や低俗な行為に引きずられ,望ましい転換がなかなか起こらないような場合には,適時に適切な積極的指導を与えることも必要である。
  なお,生徒の道徳性の発達には,個人差のあることを考慮し,これに応じた指導をしなければならない。
9 指導にあたっては,生徒の経験や関心を考慮し,なるべくその具体的な生活に即しながら,討議(作文などの利用を含む),問答,説話,読み物の利用,視聴覚教材の利用,劇化,実践活動など種々な方法を適切に用い,一方的な教授や,単なる徳目の解説に終わることのないように特に注意しなければならない。


 
第2節 特別教育活動

第1 目  標

1 生徒の自発的自治的な活動を通して,生活経験をいっそう拡充し,楽しく規律正しい学校生活を築き,自主的な生活態度や公民としての資質を育てるとともに障害を克服して正しく生き抜こうとする人生観をつちかう。
2 健全な趣味や豊かな教養を養い,余暇を利用する態度を育て,個性の伸長を助ける。
3 心身の健康の助長を図るとともに,将来の進路を正しく選択する能力と,その進路に対し積極的な意欲を高める。

第2 内  容

 特別教育活動においては,生徒会活動,クラブ活動,学級活動などを行なうものとする。
 A 生徒会活動
 生徒会は,全校の生徒を会員とし,主として学校における生徒の生活の改善や福祉をめざす活動,およびクラブ活動,学級活動などの生徒活動の連絡調整に関する活動を行なう。
 B クラブ活動
 クラブは,学年や学級の所属を離れて同好の生徒をもって組織し,共通の興味・関心を追求して,それぞれ文化的,体育的または生産的などの活動を行なう。
 C 学級活動
 学級活動においては,学級としての諸問題の話し合いと処理,レクリエーション,心身の健康の保持,将来の進路の選択などに関する活動を行なう。
 なお,特に将来の進路の選択に関する活動においては,次の事項についての指導(進路指導)を行なうことが必要である。
(1) 自己の個性や家庭環境などについての理解
 自己分析をしたり,諸検査の結果を検討したりして,各自の個性や家庭環境を理解するとともに,それらと学習や進路との関連,学習や進路の計画・相談の必要,進路選択の一般的めやすなどについて理解すること。
(2) 職業,高等部各課程などについての理解
 職業については,産業との関連を考慮して,仕事の内容,社会的な役割,資格その他の諸条件,就職の機会などの概要について理解するとともに,高等部の各課程については,将来の職業との関連を中心にして,それらの内容を理解すること。特に理療や音楽その他盲人の新職業といわれるものについて,その内容と解決すべき諸種の問題点を理解し,積極的な意欲をもつこと。
(3) 進学についての知識
 高等部各課程の特色と選び方,および卒業者の進路状況などについて知ること。
(4) 高等部の学習生活における適応についての理解
 中学部と高等部の学習生活の相違とそれの適応のしかたなどについて理解すること。

第3 指導計画作成および指導上の留意事項

1 特別教育活動においては,生徒の自発的な活動を助長することがたてまえであるが,常に教師の適切な指導が必要である。
2 指導計画の作成にあたっては,各活動相互の関連ならびに各教科,道徳,学校行事等との関連に留意するとともに全校ならびに小学部,高等部の行事との調和と関連にも配慮必要がある。
3 指導計画においては,なるべく生徒がみづから計画を作り,自主的に活動するのを奨励し,援助するように図ることが望ましい。また,すべての計画にあたって生徒が各自の経験をいっそう深めるとともに,個々の経験をみずから整理統合して常に総合的,全体的に理解し認識する能力を高めるよう配慮する必要がある。
4 学級活動は,毎学年35単位時間以上実施するものとし,このうち進路指導については,毎学年計画的に実施し,卒業までの実施時数は40単位時間を標準とする。
5 生徒会活動やクラブ活動などは,学校の事情に応じ適当な時間を設けて,計画的に実施するよう配慮するとともに,これらの活動を通して障害の程度や状態を異にする生徒が相互に理解を深め,一段と融和協力するよう指導しなければならない。
6 クラブ活動に全校生徒が参加できることは望ましいことであるが生徒の自発的な参加によってそのような結果が生まれるよう指導することがたいせつである。また,クラブの種別も生徒の希望により設定されなければならないが,これらは生徒が余暇を有効に活用し将来に向かって充実した生活を営むのに役だつものであることが望ましい。
7 クラブ活動は教科の学習と深い関連をもつ場合もあるが,そのような場合には,単に教科の補習を目ざすようなものとならないように注意する必要がある。
8 学級活動の指導は,学級担任の教師が担当することを原則とするが進路指導などの場合には,その内容に応じて,適当な他の教師の協力を受けることが望ましい。
9 特に学級活動における進路指導においては,一方的な知識の注入に陥らないように留意し,生徒の自主的な活動を促すとともに,できるだけ具体的な事例に即して指導を行なうなど,効果的な方法をくふうする必要がある。
 なお,個々の生徒に対する進路指導を徹底するためには,適当な機会をとらえて,面接相談などによる指導を行なうことが望ましい。
10 生徒会などにおいては,必要により全校または学年の集会活動を計画し,実施するが,この場合には,学校行事等との関連をじゅうぶん図るように指導する必要がある。


 
第3節 学校行事等

第1 目  標

 学校行事等は,各教科,道徳および特別教育活動のほかに,これらとあいまって中学部教育の目標を達成するために,学校が計画し実施する教育活動とし,生徒が心身の健全な発達を図り,あわせて学校生活の充実・発展と生徒の生活経験の拡充・深化に資する。

第2 内  容

 学校行事等においては,儀式,学芸的行事,保健体育的行事,遠足,修学旅行,学校給食,その他上記の目標を達成する教育活動を適宜行なうものとする。

第3 指導計画作成および指導上の留意事項

1 学校行事等は,学校が計画し,実施するものであるが,その計画や実施にあたっては,生徒に自主的な協力をさせるよう配慮し,特に特別教育活動との関連を図ることが望ましい。
2 学校行事等の計画にあたっては,年間を通ずる指導計画のもとに,各教科,道徳および特別教育活動との関連を配慮して,その種類ならびに実施の時期,時間,回数,方法などを決定するものとする。この際生徒の発達段階に即応するよう留意するとともに,小学部,高等部または寄宿舎等の諸行事等との関連を配慮する必要がある。
3 地域社会の要請と関連して,学校行事等の計画を作成し,実施する場合には,その教育的価値をじゅうぶん検討し,学校全体の教育計画を乱すことのないよう特に留意する必要がある。なお,盲学校の特殊性から,ともすれば地域社会との関連がなおざりになりやすいので,このようなことのないよう積極的,意図的に対処しなければならない。
4 学校行事等の計画や実施にあたっては,生徒が常に積極的な意欲をもって障害を克服するよう配慮するとともに,学校生活に変化を与え,生徒の生活を楽しく豊かなものにするように努めなければならない。また,集団行動における生徒の規律的な態度を育てるとともに障害の程度や状態を異にするものが互いに融和協力する態度を育てることなどにじゅうぶん配慮する必要がある。
5 学校行事等の計画や実施にあたっては,生徒の負担過重に陥ることのないように考慮し,その健康や安全に特に留意しなければならない。また社会的適応牲を高め,自由に行動ができるようにするため,周到な計画と適切な指導のもとに歩行および生活上の訓練を行ない,自立独立の精神が養われるよう配慮する必要がある。
6 国民の祝日などにおいて儀式などを行なう場合には,生徒に対してこれらの祝日などの意義を理解させるとともに,国旗を掲揚し,君が代をせい唱させることが望ましい。

7 学校給食の実施にあたっては,給食時において,関係の教科,道徳および特別教育活動との関連を考慮して,適切な指導を行なうようにしなければならない。
 特に偏食のきょう正や食事作法の指導にはじゅうぶん配慮する必要がある。

施行期日
 この盲学校学習指導要領中学部編は,昭和40年4月1日から施行する。





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