文部省告示第103号
聾学校学習指導要領中学部編を次のように定めた。
 昭和40年2月27日

文部大臣  愛 知 揆 一




聾学校学習指導要領中学部編
目次

 第1章 総 則
  第1 聾学校中学部の教育目標
  第2 教育課程の編成
  第3 指導計画作成および指導の一般方針
  第4 道徳教育

第2章 各教科・科目
  第1節 国 語     第8節 技術・家庭
  第2節 社 会     第9節 外国語
  第3節 数 学     第10節 農 業
  第4節 理 科     第11節 工 業
  第5節 音 楽     第12節 商 業
  第6節 美 術     第13節 家 庭
  第7節 保健体育

 第3章 道徳,特別教育活動および学校行事等
  第1節 道 徳
  第2節 特別教育活動
  第3節 学校行事等

 施行期日



 

第1章 総     則

第1 聾学校中学部の教育目標

 聾学校は,聾者(強度の難聴者を含む。)に対して,幼稚園,小学校,中学校または高等学校に準ずる教育を施し,あわせてその欠陥を補うために,必要な知識技能を授けることを目的としている(学校教育法第71条)。
 聾学校中学部における教育については,この目的を実現するために,小学部における教育の基礎の上に立ち,次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。

1 聾学校小学部における教育の目標をなおじゅうぶん達成して,国家および社会の形成者として必要な資質を養うこと。
2 社会に必要な職業についての基礎的な知識と技能,勤労を重んずる態度および個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。
3 学校内外における社会的活動を促進し,その感情を正しく導き,公正な判断力を養うこと。


 
第2 教育課程の編成

1 一般方針
(1) 聾学校中学部の教育課程は,必修教科,選択教科,道徳,特別教育活動および学校行事等によって編成することとなっており,必修教科は,国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育および技術・家庭の各教科,選択教科は,外国語,農業,工業,商業,家庭,国語,数学,音楽および美術の各教科ならびにその他特に必要な教科となっている(学校教育法施行規則第73条の8)。
(2) 各聾学校においては,教育基本法,学校教育法,学校教育施行規則(以下「規則」という。),聾学校学習指導要領中学部編,教育委員会規則等に示すところに従って教育課程を編成するものとする。この場合各聾学校においては,地域や学校の実態を考慮し,生徒の発達段階,経験および聴覚の障害の状態に即応するように留意しなければならない。
(3) 強度の難聴者等であって,言語の発達が相当年齢の中学校生徒とほぼ同程度の者については,各教科,特別教育活動および学校行事等に関し,この学習指導要領で示す目標,内容の一部を除き,または他の目標,内容を加えて教育課程を編成することができる。この場合にあっては,生徒の心身の発達に即応して,中学校学習指導要領を参考として編成するものとする。

2 授業時数の配当
(1) 聾学校中学部の各学年における必修教科および選択教科,道徳ならびに特別教育活動のうちの学級活動(以下「学級活動」という。)の授業時数は,次の表のとおりとする。


区 分 第1学年 第2学年 第3学年







 
国 語 245(7) 245(7) 210(6)
社 会 140(4) 140(4) 140(4)
数 学 175(5) 175(5) 175(5)
理 科 140(4) 140(4) 140(4)
音 楽 35(1) 35(1) 35(1)
美 術 70(2) 70(2) 35(1)
保健体育 105(3) 105(3) 105(3)
技術・家庭 140(4) 140(4) 105(3)









 
外国語 70(2) 70(2) 70(2)
農 業   70(2) 70(2)
工 業   70(2) 70(2)
商 業   70(2) 70(2)
家 庭 70(2) 70(2) 70(2)
国 語 70(2) 70(2) 70(2)
数 学 70(2) 70(2) 70(2)
音 楽 35(1) 35(1) 35(1)
美 術 70(2) 70(2) 70(2)
その他特に必要な教科     70(2)
道 徳 35(1) 35(1) 35(1)
学級活動 35(1) 35(1) 35(1)
 (備考) この表に掲げる「その他特に必要な教科」は,学校や地域の事情,生徒の進路や特性により,農業,工業,商業,家庭以外に職業に関する教科を特に設ける必要がある場合に,その学杖の設置者が,名称,目標,内容等について定めるものとする。
 この場合,特定の職業に関する基礎的な知識と技能を習得させるように配慮するものとする。

(2) 上掲(1)の表において,必修教科および選択教科(以下「各教科」という。)のそれぞれの授業時数は,年間の標準授業時数とし,道徳および学級活動の授業時数は,年間の最低授業時数とする。
(3) 上掲(1)の表において,授業時数の1単位時間は50分となっており,かっこ内の授業時数は年間授業日数を35週とした場合における週当たりの平均授業時数である。
(4) 各学年における必修教科の授業時数の計は980単位時間を,各学年における選択教科の授業時数の計は70単位時間を,各学年における各教科,道徳および学級活動の授業時数の計は1,120単位時間を,それぞれ下ってはならない。
(5) 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等に授業時数を配当するにあたっては,下記の事項に注意する必要がある。
ア 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の年間の総授業時数を定めたり,配当したりするにあたっては,生徒の負担過重にならないように考慮すること。
イ 各教科の授業時数は,生徒の障害の状態に即応する必要がある場合および数学年の生徒で学級を編成する場合(規則第73条の12第2項で準用する第19条)にあっては,各教科の目標の達成に支障のない範囲において,上掲(1)の表に示す授業時数を増減することができること。
ウ 特別教育活動のうちの生徒会活動,クラブ活動などや学校行事等については,それらに充てる授業時数は定められていないが,年間,学期,月または週ごとに適切な授業時数を配当するようにすることが望ましいこと。
エ 各教科,道徳および学級活動についての各学年の授業は,年間35週以上にわたって行なうように計画すること。
オ 各教科,道徳および学級活動についての1週間の時間割を作成するにあたっては,上掲(1)の表のうち,かっこ内に示した週当たりの平均授業時数を参照し,季節およびその他の事情を考慮し,調和的,能率的な指導を行ないうるようにすること。
カ 各教科,道徳,および学級活動の授業の1単位時間は50分とすることが望ましいこと。季節およびその他の事情により,授業の1単位時間を50分未満とする場合は,当該学年において上掲(1)の表のうちの道徳および学級活動の授業時数ならびに上記(4)に示す授業時数を下らないようにすること。
 なお,授業の1単位時間は教室を移動したり,休憩したりするのに要する時間を含まないものとすること。

3 選択教科の運営
 選択教科は,土地の状況ならびに生徒の進路および特性を考慮して設けるものとし,その際,下記によるものとする。
(1) 聾学校は,個々の生徒について,その進路,特性等をじゅうぶん考慮し,それぞれの生徒に適した選択教科を選択させて履修させるように指導しなければならない。
(2) 選択教科のうち外国語については,英語その他の現代の外国語のうちいずれか1か国語を履修させることを原則とする。

4 特 例
(1) 私立の聾学校においては,各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等のほか,宗教を加えて教育課程を編成することができ,この場合は,宗教をもって道徳に代えることができることとなっている(規則第73条の12第4項で準用する第24条第2項)。
 また,宗数の時間と道徳の時間とを合わせて設けている私立の聾学校にあっては,宗教の授業時数をもって道徳の授業時数の一部に代えることができる。
(2) 非常変災,伝染病等により,臨時に授業を行なわない場合で,上掲2の(1)の表のうちの道徳および学級活動の授業時数ならびに上記2の(4)に示す授業時数を補うことができないようなやむを得えない事情があるときは,これらの授業時数を下ることができる。
(3) 精神薄弱等他の心身の故障をあわせ有する生徒に係る教育課程については,特に必要がある場合は,特別の教育課程によることができることとなっている(規則第73条の11第1項)。


 
第3 指導計画作成および指導の一般方針

1 聾学校においては,下記の事項に留意して,各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等について,相互の関連を図り,全体として調和のとれた指導計画を作成するとともに,発展的,系統的な指導を行なうことができるようにしなければならない。
(1) 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等について,第2章以下に示すところに基づき,地域や学校の実態を考慮し,生徒の聴覚の障害や経験に即応して,具体的な指導の目標を明確にし,実際に指導する事項を選定し,配列して,効果的な指導を行なうようにすること。
(2) 第2章に示す必修教科の内容に関する事項は,上記第2の1の(3)に示す場合を除き,いずれの聾学校においても原則として取り扱うことを必要とするものである。各聾学校において特に必要と認められる場合には,第2章に示す各教科の学年別の目標,内容以外の事項を加えて指導することができる。
(3) 選択教科については,下記の事項に留意して指導計画を作成するものとする。
ア 1の教科を履修させる場合においては,第2章に示された当該教科の内容を標準とすること。
イ 地域の状況や学校の事情などに即応し,第2章に示されていない内容についても指導することができること。
ウ 授業時数や地域の状況,学校の事情などに即応して,第2章に示した当該教科の内容のいずれかに重点をおいて指導することもできること。
(4) 上記(2)により,必修教科について第2章に示す学年別の目標,内容以外の事項を加えて指導する場合または上記(3)のイにより選択教科について第2章に示されていない内容について指導する場合,生徒の心身の状況に即して指導するようにし,いたずらに指導する事項を多くしたり,程度の高い事項を取り扱ったりして,各教科の目標や内容の趣旨を逸脱したり,生徒の負担過重とならないよう慎重に配慮すること。
(5) 第2章に示す各教科の学年別の内容に掲げる事頂の順序は,特に示す場合を除き,そのまま指導の順序を示すものではない。各聾学校においては各事項のまとめ方や順序をくふうして指導するようにすること。
(6) 言語指導に関する事項は,小学部の基礎の上に立ち,その基本的事項を国語で,聴覚利用に関する事項は,その基本的事項を国語および音楽で行なうほか,他の各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の教育活動の全体を通じて行なうものとすること。
(7) 政治および宗教に関する事項の取り扱いについては,それぞれ教育基本法第8条および第9条の規定に基づき,適切に行なうように配慮しなければならないこと。
(8) 生徒の心身の状況によって履修することが困難な各教科は,その生徒の心身の状況に適合するよう課さなければならないことになっている(規則第73条の12第2項で準用する第26条)。
  各聾学校においては,このような生徒については特別な配慮をしなければならないこと。
(9) 数学年の生徒で編制する学級において,特に必要がある場合は各教科について,所定の目標の達成に支障のない範囲において,その学年別の順序によらないことができること。

2 各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の指導を能率的効果的にするためには,下記の事項について留意する必要がある。
(1) 生徒の聴覚の障害の状態,失聴等の時期,生育歴,発達段階および経験ならびに家庭および寄宿舎等における生活環境をよく理解すること。
(2) 学習の目標を生徒にじゅうぶんはあくさせること。
(3) 生徒の生活経験の不足を補い,これを拡充するように努めること。
(4) 生徒の興味や関心を重んじ,自主的,自発的な学習をするように導くこと。
(5) 生徒の個人差に特に留意して指導し,それぞれの生徒の個性や能力をできるだけ伸ばすようにすること。
(6) 言語指導にあたっては,生徒の知的,情緒的,社会的に均衡のとれた全人的発達を図るように留意すること。
(7) 学級および学校における好ましい人間関係を育て,教室内外の整とんや美化に努めるなど,学習環境を整えるようにすること。
(8) 教科書,その他の教材,教具などについて常に研究し,その活用に努めること。また,学校図書館の資料や視聴覚教材等については,これを精選して活用するようにすること。
(9) 学校医との連絡を密にし,教育活動全体を通じて,医学的配慮を加えるようにすること。
(10) 指導の成果を絶えず評価し,指導の改善に努めること。


 
第4 道 徳 教 育

 学校における道徳教育は,本来,学校の教育活動全体を通じて行なうことを基本とする。したがって,道徳の時間はもちろん,各教科,特別教育活動および学校行事等の学校教育のあらゆる機会に,道徳性を高める指導が行なわれなければならない。
 道徳教育の目標は,教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基づく。すなわち,人間尊重の精神を一貫して失わず,この精神を,家庭,学校その他各自がその一員であるそれぞれの社会の具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造,民主的な国家および社会の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成することを目標とする。
 道徳の時間においては,各教科,特別教育活動および学校行事等における道徳教育と密接な関連を保ちながら,これを補充し,深化し,統合し,またはこれとの交流を図り,生徒の望ましい道徳的習慣,心情,判断力を養い,社会における個人のあり方についての自覚を主体的に深め,道徳的実践力の向上を図るように指導するものとする。
 道徳の時間における指導は,学級担任の教師が担当することを原則とする。




 

第2章 各  教  科

第1節 国    語

第1 目  標

1 日常生活に必要な国語の能力を高め,思考力を伸ばし,心情を豊かにして,言語生活の向上を図る。
2 経験を広め,知識や情報を求め,教養をつちかうために,話を確実に読話し,文章を正確に読解し,あわせてこれらを鑑賞する態度や技能を養う。
3 日常生活で使われる話しことばの能力を高め,さらに経験したこと,感じたこと,考えたことをまとめ,人に伝えるために,わかりやすく効果的に話し,正しく書写し,的確に文章に書き表わす態度や技能を養う。
4 読話し,話し,読み,書く能力をいっそう確実にし,ことばのはたらきを理解させて,国語に対する関心や自覚を深めるようにする。
 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として国語科の目標をなすものである。2,3,4について指導する場合には,常にその根底に1を考慮しなければならない。また4は,2,3と関連づけて指導することが必要である。
 なお,聴覚の障害の状態に応じ,聴覚その他の感覚を利用して,国語の能力の発達をじゅうぶん図るように務めなければならない。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 相手や場を考えて読話したり話したりできるようにする。
(2) 正しく判断しながら読話する技能や態度を身につけるようにする。
(3) 相手にわかりやすく話す技能と態度を身につけるようにする。
(4) 調べるために読むことができ,また,味わって読むことができるようにする。
(5) わからない文字や語句の読み方や意味を自分で調べることができるようにする。
(6) 読み物の範囲を広げ,読み物を自分で選択することができるようにする。
(7) 文章を書く技能を伸ばし,かなり自由に書くことができるようにする。
(8) 文,文章の組み立てや語句の使い方に注意して書くことができるようにする。
(9) 文章を書く必要性を意識し,それに応ずることができるようにする。
(10) 文字を正しく速く書くことができるようにする。

2 内  容
 A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。
(読話すること,話すこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 話題からそれないように話すこと。
イ 相手の意図を正しく早くとらえること。
ウ ことばづかいのよしあしを読話して区別すること。
エ 相手にわかりやすいようにことばを選んで話すこと。
オ 主旨のはっきりした話し方をすること。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 話し合いに参加する。
イ 説明をする。
ウ 報告をする。
エ 発表をする。
 上に示す各活動のほか,テレビなど視聴覚教材を活用することが望ましい。

(読むこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 味わって読むために,また他人に伝えるために,声を出して読むこと。
イ 書き手の意図や文章の主題をとらえること。
ウ 自分の生活や意見と比べながら読むこと。
エ 調べるために読むこと。
オ 自分の読書のしかたを反省して,その向上を図ること。
カ 国語辞典などが使えること。
 上に示す指導事項のほか「学校図書館を利用すること」などについて指導することが望ましい。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 日常生活に取材した日記または手紙,記録または報告,感想などを読む。
イ 知識や情報を与える説明,解説,報道などを読む。
ウ 経験を広め心情を豊かにする物語,伝記,詩,脚本などを読む。

(書くこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 主旨のはっきりした文章を書くこと。
イ 必要に応じて文章を詳しく書いたり簡単に書いたりすること。
ウ 段落のはっきりした文章を書くこと。
エ 目的に応じたすいこうをすること。
オ 書かれた文字の形,大きさ,配列などのよしあしを見分けること。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 記録を書く。
イ 報告を書く。
ウ 手紙を書く。
エ 簡単な感想や意見を書く。
オ 物語などのあらすじを書く。
カ 詩などを書く。
キ 新聞や文集などを作る。

 B 以上の読話すること話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1) 小学部における発音の指導の基礎の上に,個人差に応じ誤音のきょう正および正しい発音の習得をいっそう進め,生徒が自覚してめいりょうな発音で話すようにすること。
(2) 語句には,使い方のうえでいろいろな種類があることに気づくこと。
(3) 文における主語述語の関係,修飾の関係に注意し,また文と文との接続,文章における段落相互の関係などにも注意を向けること。
(4) かなづかいに注意して正しく書くこと。
(5) 「第3指導計画作成および学習指導の方針」に示す漢字配当表の(E)までに配当されている漢字を中心とした680〜740字ぐらいを読み,そのだいたいを書くこと。
(6) 聴覚利用についての指導は小学部の聴能訓練の基礎の上に音楽における聴覚利用の指導と有機的な関連を図り生徒の聴覚の障害の状態に応じて,聴覚を活用し,特に話しことばの能力をいっそう高めるようにすること。
(7) ローマ字については,次の事項を指導する。
ア 小学部第6学年で学習したことの上に立って簡単なローマ字の文章を読むこと。
イ わかち書きに注意して,ローマ字の文を書くこと。
ウ ローマ字に使われるおもな符号について理解すること。

3 指導上の留意事項
(1) この学年では話し手や書き手の意図を正確に読話したり読み取ったりする学習に力をそそぐとともに,自分の表現しようと思う主旨をはっきりさせて話したり書いたりできるようにする。
(2) ローマ字の指導に充てる時間は年間10時間程度とする。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 読話すること話すことによって生活を高め充実していくようにする。
(2) 正確に判断して読話する態度をいっそう高めるようにする。
(3) 効果的に話すことができるようにする。
(4) 目的に応じた読み方ができるようにする。
(5) 読むために必要な語句の範囲を広げその量を増すようにする。
(6) よい読み物を選んで読む習慣をつける。
(7) 書くことを身につけて生活に役だてることができるようする。
(8) 文・文章の組み立てや語句の使い方について工夫するようにする。
(9) 目的に応じた文章を書くことができるようにする。
(10) 文字をいっそう正しく速く書けるようにする。

2 内  容
 A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。
(読話すること,話すこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 話の内容と相手の考えを正しく判断して読話すること。
イ 相手や場に応じて注意深く読話すること。
ウ 事実と意見を区別して読話するように努めること。
エ 話の順序を決めて話すこと。
オ 相手や場にふさわしい話し方をすること。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 話し合いや会議に参加する。
イ 説朋をする。
ウ 報告をする。
エ 発表をする。
 上に示す活動のほか,テレビなど視聴覚教材を活用することが望ましい。

(読むこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 読み物の内容と読む目的に応じてそれに適した読み方をすること。
イ 書かれていることの中の事実と意見を判断しながら読むこと。
ウ 文章の組み立てや叙述に即して正確に読むこと。
エ 文章を味わって読むこと。
オ 要点を抜き出したり全体を要約したりすること。
カ どんな本がよいかを見分け,よい本を選ぶこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して上記の事項を指導する。
ア 日常生活に取材した日記または手紙,記録または報告,感想などを読む。
イ 知識や情報を与える説明,解説,報道などを読む。
ウ 経験を広め心情を豊かにする物語,伝記,詩,脚本などを読む。
 上に示す活動のほか,「学校図書館を利用すること」などについて指導することが望ましい。

(書くこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 目的に応じた書き方を考えること。
イ 効果的に表現しようとすること。
ウ 材料を整えて書くこと。
エ 書いた文章を練る態度や習慣をつけること。
オ 文字の点画が乱れないように注意して正しく速く書くこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 記録を書く。
イ 報告を書く。
ウ 手紙を書く。
エ 感想や意見を書く。
オ 抜き書きをする。
カ 詩などを書く。
キ 新聞や文集などを作る。

 B 以上の読話すること,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1) 発音の仕方の基本をいっそう自覚し,話しことばの調子に留意して話すこと。
(2) ことばの抑揚の違いに関心をもつこと。
(3) 文と文との接続,文章における段落相互の関係などに注意すること。
(4) 語の由来などに関心をもつこと。
(5) 日常よく使われる敬語の使い方に慣れること。
(6) 「第3指導計画作成および学習指導の方針」に示す漢字配当表の(F)までに配当されている漢字を中心とした800〜881字ぐらいを読み,そのだいたいを書くこと。
(7) 聴覚利用の指導は第1学年の基礎の上にいっそうの習熟を図ること。
(8) ローマ字については次の事項を指導する。
ア 第1学年で学習したことの上に立って簡単なローマ字の文章を読むこと。
イ 正しくわかち書きをして簡単なローマ字の文を書くこと。

3 指導上の留意事項
(1) 話し手や書き手の意図を要約して読話したり読み取ったりする学習に力をそそぐとともに,自分の表現しようと思う主旨をいっそうはっきりさせて話したり書いたりできるようにする。
(2) ローマ字の指導に充てる時間は年間10時間程度とする。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 読話すること,話すことによって生活をいっそう高め充実していくようにする。
(2) 誠実に読話する態度を身につけるようにする。
(3) わかりやすく効果的に話すことができるようにする。
(4) 目的に応じていろいろな読み方ができるようにする。
(5) 読むために必要な語句の範囲をいっそう広げ,その量を増すようにする。
(6) 読むことの技能を身につけるとともに読み物に親しむ態度を養うようにする。
(7) 書くことを身につけて,生活を充実することができるようにする。
(8) 文・文章の組み立てや語句の使い方についていっそうくふうするようにする。
(9) 目的に応じて,いろいろな文章を書くことができるようにする。
(10) 文字を正しく,美しく,速く書くことができるようにする。

2 内  容
 A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。
(読話すること,話すこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 相手を尊重しつつ,進んで話し合いに参加すること。
イ 話し合いの筋をたどり,話の主題からはずれないように,読話したり話したりすること。
ウ 必要な用件やことがらを確実に理解すること。
エ 話題を広く求め,場に適切な材料で話すこと。
オ 相手にわかりやすいように話の組み立てを明確にして話すこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記のことを指導する。
ア 話し合いや会議に参加する。
イ 説朋をする。
ウ 報告をする。
エ 発表をする。
 上に示す活動のほか,テレビなど視聴覚教材を活用することが望ましい。

(読むこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 目的に応じた読み方ができ,その内容を確実に読み取ること。
イ 文章を読み,ものの見方や考え方についての問題をとらえること。
ウ 段落相互の関係を読み取ること。
エ 情景や人間の心情が書かれている箇所を読み味わうこと。
オ 説朋的な文章の要点を正確につかむこと。
カ 文学作品などに親しみ,また楽しんで読書しようとする態度を身につけること。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 生活に取材した記録,報告,感想などを読む。
イ 知識や情報を与える説明,論説,報道などを読む。
ウ 心情を豊かにする詩歌,随筆,物語,伝記,小説,脚本などを読む。
 上に示す活動のほか,「学校図書館を利用すること」などについて指導することが望ましい。

(書くこと)
(1) 次の事項について指導する。
ア 進んで文章に書き表わす態度を身につけること。
イ 必要な用件やことがらを落ちなく文章に書くこと。
ウ 要点を明確に書くこと。
エ 文章を練る態度や習慣をいっそう身につけること。
オ いろいろな書式に従って書くことに慣れること。
カ 書写の機能を高め,正しく,速く,美しく書くこと。
(2) 次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 記録や報告を書く。
イ はがきや手紙や電文などを書く。
ウ 履歴書や諸届けなどを書く。
エ 感想や意見を書く。
オ 要約をする。
カ 詩などを書く。
キ 新聞や文集などを作る。

 B 以上の読話すること,話すこと,読むこと,書くことの学習を通して,ことばに関する次のような指導を行なう。
(1) 「第3指導計画作成および学習指導の方針」に示す漢字配当表に掲げる漢字の全部の読み書きができ,さらにその他のおもな当用漢字が読めるように努めること。
(2) すべての発音の要領について自覚し,正しい語調で話すこと。
(3) 文章の中の意味の切れ目と続き方に注意し,段落を考えて,理解し表現すること。
(4) ことばのきまりについて理解し,その用法に慣れさせること。
(5) 聴覚利用の能力を高め前学年までの基礎の上に,聴覚の障害の状態に応じて,話しことばを理解する能力の習熟を図ること。

3 指導上の留意真項
(1) この学年では,中学部としての読話すること,話すこと,読むこと,書くことのすべてにわたって,一応のまとまりをうけることが必要である。
(2) この学年においては,第1学年および第2学年の基礎の上に,身近にある掲示,広告,中学部向の新聞(学級新聞を含む),雑誌,文集,文学作品なども利用し,また,自然や,身辺のできごと,学校生活の中のできごとなども取り上げ,いっそう国語の理解と表現を深めるようにし,さらに社会的経験を広め心情を豊かにするようにする。また,これらを通じ,ことばのきまりの基本のすべてにわたり,じゅうぶん指導の徹底をはかり,中学部としてのまとまりをつけるようにする。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 指導計画を作成するにあたっては,読話すること,話すこと,読むこと,書くことの内容を,相互に密接に関連させて,片寄りがないようにする。
2 各学年の内容に示す指導すべき事項および活動に基づき,学習活動を組織する。そのためには,国語科の目標を根底におき,各学年の目標,内容の相互関係をはっきりさせておくことが必要である。
3 各学年の内容に示す指導すべき事項や活動は,もし先にその指導の準備をしておくことが有効だと考えられる場合には,その前の学年で初歩的な形で取り上げ,また,その発展的指導をする必要があると考えられる場合には,そのあとの学年で程度をたかめて取り上げてもよい。
4 読話すること,話すことを主とする学習は,計画的に指導し,各学年とも,年間授業時数の15%を下らないように配慮する。
 なお,発音については,小学部における学習を基礎として適切に指導することとする。
5 読み物は,広く各種のものにわたるようにする。
 なお,古典については,必要に応じて基本的なものに適宜触れさせるようにする。
6 書くことのうち,作文を主とする学習は,計画的に指導し,各学年とも,年間授業時数の15%以上をこれに充てるようにする。
7 書写の学習は,時宜に応じて指導するようにする。
 なお,必要に応じて,毛筆による書写を課することができる。
8 ローマ字の学習については,小学部にひきつづいて学習し,適宜応用もできるように指導する。
9 ことばに関する事項の学習は,具体的な言語経験を通して行なうようにし,機械的な暗記,形式的な文例の学習に陥らないように特に留意して指導する。
10 学習指導については,生徒の必要と興味と能力に応じて,読話し,話し,読み書く活動に有機的な関連をもたせ,それらの活動が総合的に展開されるようにする。その場合に,目標を明らかにし,内容を充実させるように留意する。
11 国語科は,国語について,基本的,本質的なものの指導を徹底する任務を有するものであるから,指導する事項を精選して,国語の能力の向上に努めなければならない。また指導計画の作成や学習指導にあたっては,他の教科,道徳,特別教育活動その他の指導と密接に関連させることが必要である。
12 聴覚利用は,小学部の基礎の上に立ち,音楽の指導との関連を図るとともに,特に読話すること,話すこと,読むこと,書くことの各活動の中で,じゅうぶん活用するようにする。
13 選択教科としての国語の時間においては,各学年の内容に示したものを,より深めるという取り扱いをする。深めるべき内容としては,すべての領城にわたって行なうのもよいし,生徒の能力に応じて,特定の領域に重点をおいてもよい。

漢字配当表

 (A) 一二三四五六七八九十日月火水木金土左右上下大中小目耳口手足人子女先生赤青白山川田森雨花石本正  (46字)

 (B) 雲円王音何夏家会海外学間気汽休牛京玉空犬見元戸古工光行考校高合谷国黒今作糸思紙字時車秋出春書少色心西声夕切雪千前組早走草村多男池地知竹虫町長鳥朝天冬東道読南入年馬麦半百父風分文米歩母方北名明毛門夜友用来力立林話  (105字)

 (C) 悪安暗意引運駅園屋温化科荷歌画回貝界開絵角活寒感岸岩顔記起帰期客究急級球去魚教強橋局近銀苦君兄形計決県研原庫午後語公広交向黄号根才細算止仕市死使始指次寺自事持室実社者弱主取首受終週集住重所暑助昭勝乗場食申身新神深進親図数世星晴船全送太体待台第炭茶着注柱昼追通弟鉄店点電都度刀当投島答頭同動肉波配買売畑発坂板番皮美表病品負物聞平返勉毎妹万鳴面野役由遊葉様曜落楽里理流旅両礼和  (187字)

 (D) 愛案衣以囲位医委育印員院飲泳英塩横加貨芽改械階害覚官関館観願季喜旗器機宮挙共協鏡競業曲極具郡係景軽芸血結建言固湖幸航港告差祭菜最材昨刷察散産残士史司姉歯詩試式失写借守酒種州拾習順初消唱商章照焼植臣信真成清勢静整席積節線戦選然争相速息族続卒孫他打対隊代題達短談治置帳調直丁定底停庭的転徒努湯登等燈堂童働内熱農反飛悲費鼻必氷秒不夫付府部服福粉別変便包放法望末味脈民命問薬油有勇予洋陽利陸良料緑輸類冷歴列連練路老労録  (205字)

 (E) 圧易胃移因栄永衛液演央往応億恩仮果河過価課賀快解各格碓完漢管慣希寄規紀技義議久求救給居許漁興均区句軍群型経欠件健験限現個護功厚候康講鉱査際在殺雑参蚕酸賛氏支示志師似辞識質舎謝収周修宿祝術準序承省賞常情織性政精製責績折接設説浅銭祖素倉想総造象像増則側測帯貸単団築貯張腸低敵適典伝統銅導特毒独任念燃能破敗倍博飯比非肥備筆俵票標貧布婦武副復仏兵辺編弁保報防貿牧満務無迷綿約輸余要容養浴留量領令例  (194字)

 (F) 異遺壱営益延可我革拡額株刊幹勧歓眼基貴疑逆旧供境勤禁訓系敬潔券兼険検絹憲権減厳己故誤后孝効皇耕構穀混再災妻採済財罪策至私視詞資児釈授需宗衆就従述純処諸除招称証条状職仁推是制聖誠税舌絶宜専善創蔵俗属存損尊退態断忠著賃提程展党討得徳届難弐認納派拝犯判版否評富複奮陛補墓豊暴未盟訳預欲律率略臨論  (144字)

 指導上のつごうによっては,各学年の2 内容Bで示した学年配当区分によらず,若干字を,前後の学年で指導してもよい。



 
第2節 社    会

第1 目  標

1 自他の人格や個性を尊重することが社会生活の基本であることについての理解をいっそう深め,また民主主義のあらましの基礎を理解させ,これを日常の生活に正しく生かしていく態度や能力を養う。
2 人間生活と自然との関係,地域相互の関係を考えさせ,国民生活や文化をささえるおもな産業の発達と現状を理解させ,広い視野に立って,郷土や国土に対する愛情を育てる。
3 われわれの社会生活は長い歴史的経過をたどって今日に及んでいることを理解させ,歴史の発展における個人や集団の役割を考えさせ,よい伝統の継承や社会生活の進歩に対する責任感を養う。
4 いろいろな社会集団の機能やそれらにおける人間相互の関係を理解させわが国の政治・経済のしくみ世界の国々の概要をはあくさせるとともに,社会生活に適応し,さらにこれを改善していこうとする積極的な態度や能力を養う。
5 世界におけるわが国の立場を正しく理解させ,国民としての自覚を高め,民主的で文化的な国家を建設して,世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする態度を養う。

 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として社会科の目標をなすものであり,主として2,3または4のいずれかにかかわる指導においても,常に5をあわせ考慮する必要があり,さらに,すべての指導の根底に,1を考慮しておかなければならない。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 農業生産の意義やその特色を中心にしながら,わが国土で営まれているおもな産業のようすについて理解させ,資源の開発保全や働く人々への関心を高める。
(2) わが国における工業生産の現状やその発達が国民生活全般に及ぼした影響等について理解させ,わが国の発展と科学・産業などとの関係について考えさせる。
(3) わが国の地理的環境の特性をはあくさせるとともに,国内各地における生産活動の条件として重要な役割を果たしている交通,商業,貿易などについても目を開かせる。 
(4) 自然を利用して国民の生活を向上させるためには,自然を深く理解し,その愛護に努めるとともに,適切な利用と開発の方法を創意し,くふうすることがたいせつであることを理解させ,国土に対する愛情や国民的自覚の基礎を養う。

2 内  容
(1) アジア大陸の東の端に沿い四面を海に囲まれ,山がちの日本の国土の特色に関連して重要な意味をもつ水産業,林業,鉱業のほか,国民生活をささえる産業の種類はきわめて多く,人々は日本の各地で各種の産業に従事している。そしてこれらの産業は相互に密接な関係をもって営まれ国民の生活や文化をささえるもとになっている。
(2) わが国では地形その他の条件のため,国土の2割たらずの土地が耕地として開かれているにすぎないが,この狭い耕地でできるだけ生産を高めなければならないので,わが国の農業には他国にみられない特色があり,いろいろな苦心が払われてきている。
(3) 夏の温度が高く,雨量の多い気候を生かしたり,その他種々の努力を重ねたりして発達させてきた米の生産は,農業生産の基幹になっており,その生産高の多少が農業ばかりでなく国民生活に大きな影響を与える。また麦類,野菜,果樹,工芸作物の栽培,養蚕,酪農等もそれぞれ重要な役割を果している。
(4) 農家の人々の労働やこれに伴う苦心は,土地の条件によって異なるが,一般に各種の災害対策,土地の改良,土地に適した品種や肥料や進んだ農機具の導入,経営のしかたなどについて払われる苦心が大きい。
(5) 現在のわが国では,いっそう農業生産を高める必要があるので,個々の農家の努力ばかりでなく,国の立場からも,新しい土地の開発,土地の改良生産技術や経営の改善などの仕事が進められている。
(6) わが国の工業は,国民の衣食住や産業の基礎になる資材の生産などの面ばかりでなく,貿易の上からもきわめて重要な役割を果たしている。
(7) 今日の工業は,一部の特殊な手工業を除いて大部分が機械生産に移っているが,機械生産は手工業生産と比べて新しい動力や機械の利用,分業のしくみ,大量生産などの点で著しい特色をもち,わが国では明治以降特に発達したものである。
(8) 明治以後,最初は繊維工業などを中心に発達したわが国の工業は,しだいに重工業方面にも及び,アジアにおける重要な工業国としての地位を高めてきたが,この間,新しい技術の導入や改善発明や発見,その他生産の向上のために払われた努力はきわめて大きかった。
(9) わが国の四大工業地帯やその他の工業地域はそれぞれ日本全体において重要な地位を占めており,すぐれた工業製品を生産することによって,国の経済力を高め,国民生活の向上に貢献している。
(10) 産業の発達に伴い国内国外各地からの原料の入手,あるいは製品の販売等が重要になり,市場,問屋,小売り店などがたいせつな働きをしているが,このような商業のしくみはしだいに発達してきたものである。
(11) また国内の陸上交通や海上交通もしだいに整備発達し,今日では主要な鉄道幹線や国内航路,さらに航空路等が国内各地の生活をますます緊密に結びつけ,国民生活全般のたいせつな基礎となっている。
(12) わが国の工業は,多くの原料を外国から輸入し,また製品の市場を広く海外に求める必要があるので,諸外国との貿易が行なわれており,そこにはいろいろな苦心が払われている。
(13) 国民生活の発展は科学の進歩や産業の発達などにまつところが大きいから,それらに深い関心をもつとともに,その成果を国民全体の福祉のために役だてようとすることがたいせつである。

3 指導上の留意事項
(1) この学年においては,小学部までの学習を通して養われた自然環境のもつ意味や地城の特色などについて考える力を,さらにいちだんと深めながら,国土全体の特色やそこに展開されている国民生活についての理解を与えるように適切な指導を行なうことが,特にたいせつである。
(2) 特にこの学年ごろから,各種の統計資料やグラフを利用する学習の機会が多くなる。したがって,その際に必要な基礎的知識や技能については,他教科との関係などを考えながら,適切な指導を行なうべきである。
 統計やグラフの利用にあたっては,あまり細かな数字にとらわれず,統計が示している意味や傾向などを大きくつかませることがたいせつである。
(3) また,利用する地図の種類もふえ,地球儀を使う必要性も多くなる。このようなことと関連して,たとえば等高線,等温線,経度,緯度などのおおまかな意味や分布図の読み方等の指導についても留意し,単なる知識の習得に終ることのないように努めることがたいせつである。
 特に映画,スライド,写真,新聞,テレビなど効果的な視覚教材を活用して,有効な学習ができるよう配慮することがたいせつである。
(4) 内容の(10)に関連した学習においては,この学年の生徒の能力をじゅうぶん考え,詳細な商業史にわたることのないように特に留意すべきである。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 現在のわれわれの社会生活が,どのような歴史的事情のもとに形成されてきたかを理解させるとともに,身近なことがらや現代社会の当面する種々の問題を,歴史的に考えようとする態度を育てる。
(2) わが国の政治のしかたや国民生活は,それぞれの時代の特色をもちながら今日に及んでいることを具体的に理解させ,国家や社会の発展に貢献した人々の業績などについて考えさせる。
(3) わが国の近代化を政治の歩み,近代産業の発達文化の形成を通して明らかにするとともに,現代社会の成立をはあくさせ,社会の発展に対する正しい判断力を得させる。
(4) わが国の文化や伝統に対する正しい理解やこれを尊重する態度を養い,わが国を愛する心情をつちかうとともに,人類の福祉や平和に貢献しようとする意欲を育てる。

2 内  容
(1) わが国では,農耕生活が始まってから,しだいに人々の生活も高まり,大和(やまと)朝廷による国家の統一,文化の改新による政治の改革などを経て,朝廷を中心とする貴族の政治が,奈良や京都を都として栄えたが,その間,大陸の文化も取り入れられ,独特の日本文化がつくられた。
(2) やがて地方に起こった武士が政治の実験をにぎり,その政治は,鎌倉幕府の創立,蒙古聾来等を経て室町幕府に及んだが,その間武士は農村に住んで地方の開発に努めた。また,一方商業も盛んになり村や町も発達し,都の文化も地方に広まった。
(3) 戦国の世の中がほぼ統一された前後には,ヨーロッパと交渉が始まり,日本人の海外発展も盛んになった。やがて江戸幕府が武士を中心とする社会のしくみを固めたり,鎖国を行なったりしたので,わが国は世界の進展から遅れることになったが,その間,国内の諸産業や都市が発達し,町人の経済力や文化が高まり,武士の支配はしだいに弱くなっていった。
(4) 開国後やがて明治維新が行なわれ,四民平等の世の中に移っていったばかりでなく,その後の政府や民間の先覚者たちの非常な努力によって,欧米の文化が取り入れられ,新しい学問と教育,科学と文化などが盛んとなり,憲法がつくられ,議会政治への道が開かれた。また近代産業もおこり,日清,日露の戦争や条約改正を経て,わが国の国際的地位は向上した。
(5) その後,第一次世界大戦が起こり,わが国も参戦した。第一次世界大戦後には,世界に平和を望む気持がひろまり,国際連盟が生まれ,軍縮会議などが行なわれる一方,赤十字,オリンピックなどの運動も活発となったが,それらの努力にもかかわらず,諸国間の対立が激化し第二次世界大戦となった。
(6) 第二次世界大戦の後,日本国憲法を制定し,復興と独立に力を尽して,国の再建と民主化を図ってきた。また,わが国も国際連合に加盟して国際社会の重要な一員としての責務を果そうと,いろいろの努力を続けている。
(7) 現在の政治や国民生活が行なわれるようになったのは,われわれの祖先が政治を改め,進んで海外の文化を取り入れ,国家や社会の発展に尽くしてきた努力の結果であるが,わが国の政治や文化はそれぞれの時代の特色をもちながらしだいに広く国民全般に及び,また世界の国々とのつながりも広く深くなってきた。

3 指導上の留意事項
(1) 前学年までに生徒が習得した歴史的理解との関連をじゅうぶん図るとともに,単に歴史的事象をもうら的に記憶させるのではなく,特に内容の(7)に示したようなわが国の歴史についての全体的なはあくができるように配慮することがたいせつである。
(2) 歴史上の人物を取り上げて指導する必要があるが,その場合には,人物教材の長所,たとえば生徒の歴史的理解を具体的にし学習に対する興味を高めることができる点などをじゅうぶん生かすとともに,時代的背景から遊離した取り扱いや人物中心の学習にはしりすぎないように留意すべきである。
(3) 特に文化の取り扱い方については生徒の能力をこえないように注意すること,したがって,たとえば内容(1)の文化の場合でもかな文字,大仏,その他著名な神社・寺院など親しみ深いものを効果的に取り上げることが望ましい。
(4) 時代区分は指導上の観点によっていろいろなものが考えられるが,細かな時代区分だけにとらわれて,その時代の社会の特色を見失わないように留意する必要がある。
(5) 内容の(4),(5),(6)に関連した学習のうち,政治的事項については,歴史史的ながれの中の位置づけを理解させるだけでなく第3学年における政治的事項の学習との関連を考慮して取り扱うものとする。
(6) 言語の能力の不足を補うために,指導にあたっては次のことに留意することがたいせつである。
ア 身近な資料やスライド,映画,テレビ,年表,写真,地図図鑑などを活用して歴史事象の具体化に努め,学習をいっそう効果的にさせることが望ましい。
イ 郷土の発展の跡を実地調査させたり遺跡,遺物を見学させることによって,わが国の歴史の発展を具体的にはあくさせるように努める。
ウ 歴史を正しく理解する能力と態度を養うために地図を読んだり,描いたり,また,年表や図表を使用したり作成させるように努める。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 民主主義を実現し,人権を尊重することが,人間性の向上やわれわれの幸福に密接な関係があることを理解させ,そのために努力しようとする態度を養う。
(2) 具体的な問題の学習を通して政治の働きと日常生活との関係について理解させ,今日の政治の基本的なしくみや考え方に気づかせ,あわせて生産,流通,消費,労働などの経済活動と,その相互関係のあらましを理解させる。
(3) 世界の主要な国々のようすやわが国とこれらの国々との関係などを具体的に理解させ,他地域の人々を偏見や先入観にとらわれないで,正しく理解しようとする態度や協調の精神を育てる。
(4) 国家や社会の一員としての望ましいあり方を理解させるとともに民主主義を家庭や学校をはじめ広く社会生活のうえに,具体化していくための基礎的な能力や態度を養う。

2 内  容
(1) 地方や国の政治の働きが身近な公共施設や道路の改善,その他郷土や家庭の日常生活に反映し,影響を与えている場合が少なくない。
(2) わが国の現在の政治は国民全体の意見を政治に表すため,国民が選んだ代表者による議会政治のかたちをとっている。
(3) このような政治のしくみのおおもとのほか,国家の理想,天皇の地位,国民としてのたいせつな権利や義務などが,日本国憲法によって定められている。
(4) 生活に必要な物資の生産や流通は,各種の企業によって行なわれており,需要と供給,生産と消費などの関係によって物価や景気に変動が起こり,われわれの生活に大きな影響を与える。
(5) 現在地球上にはおよそ30億の人々が多くの国々をつくって,それぞれアジア,ヨーロッパ,アフリカ,南北アメリカ,オセアニア(大洋州)等の各地域に生活しているが,わが国にとって貿易その他の面で関係の深い国が多い。
(6) 世界の国々の中には,わが国とは古くから交渉が深く,現在のアジアにおいても重要な地位を占めている中国やインド,第二次世界大戦後独立の機会を得て,産業の開発や新しい国づくりに努めているアジアやアフリカの国々,古くから産業や文化の開かれた西ヨーロッパにおけるイギリスその他の国々,広大な土地や資源に恵まれ,現在の世界で重要な役割りを果たしているアメリカ合衆国,ソビエト連邦などがある。
(7) このような世界の国々は,最近のめざましい交通,通信,報道機関の発達などによって,互いに深く結びつくようになったが,一方国家間の利害の対立や紛争はなお絶えず,特に原子力時代といわれる今日では,これを戦争という手段によって解決しようとすれば,人類全体にとって恐るべき結果が予想されるので,人々の平和への願いはいっそう高まってきている。
(8) 第二次世界大戦後,国際連合というしくみがつくられ,世界の国々はこれに加盟して世界の平和や人類の福祉のために努力しているが,現在,わが国もその一員として重要な役割を果たしている。
(9) 家族は社会生活において最も基礎的な社会集団であり,家族生活を営む家庭は,人間の愛情によって結ばれた精神の安定の場所であり,社会的な人間形成の場所である。
(10) 民主的な家族生活を営むためには,家族同志が相互に愛情と尊敬と思いやりをもち,各人の立場をそれぞれ理解し尊重することがたいせつである。家庭生活の合理化や家族相互の話し合いによって明るい家庭生活が築かれる。
(11) 近代産業の発達に伴って組織化や機械化が進むにつれて現代の職業はますます分化し,専門化してきた。また,職業は個人生活および社会生活をささえるとともに,個人は職業を通して社会の進歩に役だつことになる。
(12) 明るい職場をつくるためには,職場における人間関係の改善に努めるとともに,個人生活を充実させることが必要になる。

3 指導上の留意事項
(1) 内容の(1),(2)および(3)に関連した学習においては,生徒会,学級活動などの自治的な集団生活に関する諸経験をできるだけ生かすよう努めるとともに,制度や機構調べに終始したりしないようにし,日本国憲法については,平明に取り扱うように配慮することがたいせつである。なお内容(4)については,生徒の学習の状態に即し,経済のしくみのあらましについてあまり細部にわたることなく,生徒の日常生活における身近な問題と関連させて理解させる程度にとどめるようにする。
(2) 内容の(5),(6),(7)等に関連した学習においては,国際理解,国際協調の精神を養うために必要な程度の基本的事項にとどめるべきである。なお,このような学習を通して,わが国の国旗をはじめ諸外国の国旗に対する関心をいっそう深め,これを尊重する態度などを養うことがたいせつである。
(3) 内容の(9),(10),(11)および(12)に関連した学習においては,内容(3)における日本国憲法の発展として,日常生活の具体的事例を通して民主的な人間関係のあり方について考えさせるように配慮することがたいせつである。
(4) 義務教育の最終学年であることに留意し,社会に関する基礎的知識を身につけるとともに時事問題等を通して現代の諸問題に目を開かせるように指導する必要がある。
(5) 指導にあたっては,生徒の日々の生活や思考・感情と結びつけて学習内容を具体的に理解させることや,生徒が現実の日常生活において,民主的な生活を実現していく態度や能力を養うように考慮することが必要である。
(6) 学習の全般を通して,各種の統計,年表,年鑑,新聞その他の資料を有効に使用する能力を育て,また,必要に応じて見学し調査させるなど,具体的事例に即して考えさせることや視聴覚教材を利用して,指導する事項を具体的に理解させることが望ましい。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 各学年の学習は相互に緊密な関連を保って,それぞれ孤立した取扱いにならないように配慮しなければならない。そのために,3か年間の指導の見通しをつけ,その見通しのもとに,各学年の指導計画を作成して,相互の有機的な関連を図り,指導の発展の筋道を明らかにしておくことが特に必要である。
2 内容の各項目は,指導のうえで必ずしも同等の重要さをもつものではなく,同じ時数をこれに充てるものでもない。また,各項目の組織,配列は,必ずしもそのまとめ方や順序を示すものではない。したがって,「第1 目標」および各学年の目標に基づき,指導上の留意事項をじゅうぶん考慮して,適切な組織,順序をもった指導計画を作成して指導することが望ましい。
3 指導計画の作成や学習指導にあたっては,少なくとも次の諸事項を考慮することが望ましい。
(1) 生徒の生活経験や生活環境,ならびに生徒の社会に対する関心や意識を考慮すること。
(2) 生徒の当面する身近な問題との関連を考慮すること。
(3) 小学部の社会科ならびに中学部の他の各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等との関連を図ること。
(4) 地域社会で学習に利用できる資料や施設の状況を調べておくこと。
4 学習指導においては,教師本位の知識注入に陥ることなく,報告,話し合い,見学,調査その他種々の学習活動を展開して,生徒の自発的な学習意欲を高めることが望ましい。この際,あらかじめよく検討し,綿密な準備,計画を考えておかなければならない。
 そして学習活動に系統を与え,特に基本的な知識や技能などを確実に身につけさせるように指導しなければならない。
5 指導する事項の中に時事的なできごとを取り入れることは,その理解をいっそう具体的なものにするとともに,現実の社会に関心をもたせるうえにも大きな効果がある。しかし,これは,無計画に取り上げるのでなく,目標をじゅうぶん達成することができることがらを精選して取り上げるべきである。
6 学校における道徳教育において,社会科は,社会に関する正しい理解を得させることによって,道徳的判断力の基礎を養い,望ましい態度や心情の裏づけをしていくという点で,重要な任務を担当している。特に,社会科における指導によって育成された道徳的判断力が,道徳の時間において,生徒ひとりびとりの内面的自覚として深められ,これがふたたび社会科の学習にも具体的に生かされるようになることがたいせつである。



 
第3節 数    学

第1 目  標

1 数量や図形に関する基礎的な概念や原理の理解を深め,より進んだ数学的な考え方や処理のしかたを生み出す能力を伸ばす。
2 数量や図形に関する基礎的な知識の習得と基礎的な技能の習熟を図り,それらを的確かつ能率的に用いられるようにする。
3 数学的な用語や記号を用いることの意義について理解を深め,それらによって具体的なことがらや関係を簡潔,明確に表現したり考えたりする能力を伸ばす。
4 数量的なことがらや関係について,適切な見通しを立てたり筋道を立てて考えたりする能力を伸ばし,ものごとをいっそう自主的,合理的に処理することができるようにする。
5 数学的な考え方や処理のしかたを,進んで日常の生活に生かす態度を伸ばす。

 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として数学科の目標をなすものであるから,指導にあたっては,この点を常に考慮しなければならない。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 整数,小数をまとめて十進数としての概念を朋らかにし,十進数についての計算がいっそう能率的にできるようにする。
(2) 速さや面積,体積についての理解を深め,これらを計算によって求める能力を伸ばす。
(3) 式や公式についての理解を深め,それを用いて数量の関係を簡潔に表に表わしたり,能率よく処理したりする能力を伸ばす。
(4) 表やグラフの用い方,かき方についての理解を深め,それらを適切に用いる能力をいっそう伸ばす。
(5) 基本的な平面図形やその性質についての理解を図り,図形を事物の考察や表現に有効に用いる能力を伸ばす。

2 内  容
 A 数と計算
(1) 整数および小数をまとめ,十進数としての理解を深める。
ア 単位の構成をまとめて理解すること。
イ 0.1……9の数字と小数点を用いて,どんな十進数もかけること。
ウ 小数点の位置を移して,10倍,100倍,1/10,1/100などの大きさの数を作ること。
(2) 十進数について,その大きさをわかりやすく表わしたり読んだりする能力を伸ばすとともに,概数についての理解を深める。
ア 小数点を適切な位置に移し,必要な位までの概数(1.5万など)で表わしたり,それらを読んだりすること。
イ 三けたくぎりが,一般的に用いられていることを知ること。
(3) 数の区間を示すのに,以上,未満などのことばを正しく用いることができるようにする。
(4) 商のたて方の理解を深め,整数の除法について計算する能力を伸ばす。
(5) 整数についての乗法,除法の計算がいっそう確実にかつ手ぎわよくできるようにする。
ア 必要に応じて,積や商を見積もったり計算の結果を概数で出したりすること。
イ 必要に応じて,除法の結果を分数で表わすこと。
ウ 末位の0を処理したり,適当に小数点の位置を移したりして,積や商を求めること。
エ 多くの数について計算する場合に,その計算を進める順序を考えたり,簡便な方法をくふうしたりすること。
(6) 小数の加法・減法および乗数・除数が整数の場合の乗法・除法について計算する能力を伸ばす。
(7) 分数の意味について理解を深める。
ア 分数は除法の結果(分子を分母で割った)を表わす数とみられること。
イ 分子,分母に同じ数(0でない)をかけても,また,それらを同じ数で割っても,分数の大きさが変わらないこと。
ウ 通分することによって,分数の相等や大小を一般的に比べることができること。
(8) 分数について四則計算の能力を伸ばす。
ア 加法・減法(主として異分母の場合)。
イ 乗法・除法(乗数,除数が整数の場合)。
(9) 整数および小数と分数との相互の関係を理解させる。
ア 整数および小数は分数の特別なものとみられること。
イ 分数を小数に直したり,小数を分数の形に表わしたりすること。
ウ 整数,小数および分数を,数直線の上に表わしたり,それを読んだりすること。
(10) そろばんによる加法・減法の計算が,いっそう確実にかつ速くできるようにする。
 B 量と測定
(1) 計器の取り扱いに慣れさせるとともに,実際の場における測定の能力をいっそう伸ばす。
ア 測定値を出すのに平均などを用いること。
イ 手ぎわよい測定の方法をくふうすること。
(2) 長さ,面積,体積などを,実際の場において概測する能力を伸ばす。
(3) 基本的な団形について,その面積が計算で求められをことを理解させ,面積を測定する能力を伸ばす。
ア 三角形,平行四辺形,ひし形,台形などの面積の求め方。
イ 多角形の面積を三角形などに分けて求めること。
(4) 体積の概念の理解を深め,体積を求める能力を伸ばす。
(5) 時間や日時について計算する能力を伸ばす。
(6) 速さの概念を明らかにし,速さを測定したり,速さを計算で求めたりする能力を伸ばす。
ア 速さの比べ方,表わし方。
イ 時速,分速,秒速などを計算で求めること。

 C 数量関係
(割  合)
(1) 二つの数量の割合についての理解をいっそう深めたり,簡単な場合について割合の計算のしかたの理解を深める。
(式,公式)
(2) 等号やかっこなどについての理解を深め,数量的な問題を処理するのに,式を有効に用いるようにする。
ア 簡単な場合に,未知のものにXなどの文字を使って,数量の関係を式で表わし,それから逆算でXの値を求めること。(未知数が―つの項だけ含まれる程度。)
(3) 公式の意味について理解を深めるとともに,公式の示している関係をより一般的に用いる能力を伸ばす。
(表,グラフ)
(4) 平均の意味について理解させ,平均や延べの考えを用いる能力を伸ばす。

 D 図  形
(1) 基本的な平面図形とその性質についての理解を深め,それらを弁別したり表現したりすることが,確実に手ぎわよくできるようにする。
ア 三角形,四角形
 (ア) 正三角形,二等辺三角形,ならびに,正方形,長方形,平行四辺形,ひし形,台形などについて,辺や角に着目してそれらの関係を明らかにすること。
 (イ) 求積の方法を理解するのに必要な簡単な性質を知ること。
(2) 実際の場において,基本的な図形が適切に用いられるようにする。

3 指導上の留意事項
(1) Aの(4)の指導で除法の計算としては,一応除数が二位数の場合までが確実にできることをねらっているが,三位数以上の場合は必要に応じ取り上げること。なお,整除できない場合については,余りの大きさに注意すること。また,余りを求めないで,その部分を四捨五入して商を出すことについても指導する。
(2) Aの(6)の指導については,整数の場合の考え方を生かして,できるだけ簡潔にできるようにすること。
(3) 倍数,約数の指導は,分数の計算に必要な程度にとどめること。
(4) 測定値などに関して,積や商を求める場合には,答えのけた数をもとのけた数よりも多く出しても,実際にはあまり意味がないことを知らせ,特別の必要がないかぎり,だいたいその限度に,積や商のけた数をとどめるような習慣を,漸次つけるようにすること。
(5) Bの(5)の指導について,時間の計算は,ここでは,主として乗法や除法について指導することになるが,満年齢の求め方も,この学年で一応できるようにすること。
(6) Bの(6)の指導については,直線的な運動とみられるものについての速さだけでなく,いろいろなことがらについても,単位時間当たりの仕事などをもとにして,その速さを考えたり比べたりすることができるようにすること。
(7) Cの(1)の指導について,これは小学部で簡単な場合について取り上げているが,相当抵抗度の高いものであるからごく平易に取り扱い,さらに中学部で指導してもよいことになっている。したがって,適切な適用場面を選び,これらを用いる機会を多くし,その理解をいっそう深めるよう留意すること。
(8) Cの(3)の指導について,ここで示した内容は,計算や測定などの指導と関連して取り扱うこと。
(9) Dの(1)の指導について,次のことについて留意すること。
ア 図形をかいたり,これを確かめたりするにあたって,辺や角などの要素と図形との関係に着目させ,できるだけ,能率的なやり方やほかの要素を用いて確かめることなどをくふうさせること。(この際,できるだけ少ない要素をおさえて,図形をかいたり弁別したりできるようにすることは望ましいが,必要じゅうぶんな条件だけに限定することは考えていない。)
また,このような学習を通して,漸次これらの図形について,その関係を具体的に知らせるようにすること。
イ 基本的な図形についての高さ,底辺などは,図形の位置に関係なく考えられるようにすること。
ウ 図形の諸性質は,主として実測的な方法によって調べさせるようにすること。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 整数,小数および分数をまとめて数についての理解を深め,さらに,小数について乗法,除法の意味とそ計算のしかたを理解させる。
(2) 面積と体積についての理解を深め,これらを計算によって求める能力を伸ばすとともに,実際の場において測定が適切かつ能率的にできるようにする。
(3) 百分率および歩合による割合の表わし方を知るとともに,割合に関する計算の基本的な場合について理解させる。
(4) 公式の意味についての理解を深め,それらを用いて数量の関係を能率的に処理する能力をいっそう伸ばす。
(5) 円グラフ,帯グラフなどの用い方,かき方を理解させ,数量の関係を調べるのに,表やグラフを適切に用いる能力を伸ばす。
(6) 基本的な平面図形,立体図形についての理解を深めるとともに,実際の場における事物の考察や処理に図形を有効に用いる能力を伸ばす。

2 内  容
 A 数と計算
(1) 四則の意味についての理解をいっそう深め,実際の場において計算が適切に用いられるようにする。
(2) 概数を用いる能力を伸ばすとともに,整数や小数についての四則の計算がいっそう確実にかつ手ぎわよくできるようにする。
(3) 分数の加法・減法について計算する能力をいっそう伸ばす。
(4) 乗数・除数が小数である場合の計算の意味とその方法を理解させ,小数の乗法,除法についても計算する能力を伸ばす。
(5) 小数の乗法・除法についても,整数の場合と同じ関係や法則がなりたつことを理解させ,計算の方法をくふうしたり計算の結果を確かめたりするのに,これを用いることができるようにする。
(6) 実際の場合において,計算の能率をあげるのに,そろばんを有効に用いることができるようにする。

 B 量と測定
(1) メートル法とその単位のしくみについて理解を深め,これを実際の場における数量の取り扱いに有効に用いることができるようにする。
ア 単位体積の水の重さを知り,体積の単位と重さの単位との関係を理解すること。
(2) 基本的な図形について,その面積が計算で求められることを理解させ,面積を測定する能力をいっそう伸ばす。
ア 円の面積の求め方。
(3) 角柱および円柱について,その表面積および体積を求める能力を伸ばす。

 C 数量関係
(割  合)
(1) 同種の二つの数量A,Bの割合を表わすのに,整数,小数および分数を用いることや,それに関する計算の基本的な場合について理解させる。(A,Bが整数または小数の場合。)
ア AのBに対する割合(P)を一つの数で表わすのに,A÷Bを用いること,ならびに,その割合(P)を整数,小数および分数で表わすこと。(比の第一用法)
イ Pが小数で表わされる場合にも,Aは,B×Pとして求められること。(比の第二用法)
ウ A÷BがPで表わされるとき,Bを1とみると,AがPで表わされること,およびPが1より大きいか小さいかで,AがBより大きいか小さいかがわかること。
(2) 百分率および歩合の意味について理解させる。(100%およびそれ以上の百分率の意味を含む。)
(3) 異種の二つの数量についての割合を表わすのに,一方の一定量に対する他の量の大きさを用いたり,「単位量当たり」の考え方を用いたりすることを理解させ,数量の関係を調べるのにこれを用いる能力を伸ばす。
(式,公式)
(4) 数量的な問題の処理に,式を有効に用いる能力を伸ばす。
(5) 式や公式を小数の場合にも適用することなどを通して,それらによって表わされる数量の関係を,より一般的にみていく考え方を伸ばしたり,公式を変量の関係とみたりする能力を漸次伸ばす。
(表,グラフ)
(6) 簡単な場合について,分布を表わした表やグラフから,資料のだいたいのちらばりぐあいをみたり,最もよく現われる値などを調べたりする能力を,漸次伸ばす。
(7) 円グラフ,帯グラフなどについて,その読み方,かき方を理解させ,それを用いて数量の関係を調べる能力を伸ばす。
(8) 簡単なことがらについて,場合の数を整理して数えたり,それを検討したりする能力を伸ばす。

 D 図  形
(1) 基本的な平面図形とその性質についての理解を深め,それらを弁別したり表現したりすることが,確実にいっそう手ぎわよくでるようにする。
ア 円
 (ア) 円周率とその意味(円周率としては3.14を用いる。)
 (イ) 円をもとにして正多角形をかくこと。
(2) 対称の概念について理解させ,簡単な場合について,図形の見方を深めたり整った図形を認めたりする能力を伸ばす。
(3) 基本的な立体図形や直線および平面の位置関係などについて理解を深める。
ア 直線および平面の平行,垂直の関係。
イ 角柱,角すい,円柱および円すい。

3 指導上の留意事項
(1) Aの(2)の指導では次のような能力を伸ばし,能率のあがる計算方法をくふうさせるようにすること。
ア 概算を用いること。
イ 簡便な方法,たとえば,和や積が10,100などになる関係などをくふうして用いること。
ウ 末位の0を処理したり,小数点を適宜移動して考えたりすること。
(2) Aの(3)の指導について,次のことを留意すること。
ア 乗法については比の第二用法,除法については比の第一および第三用法と,それぞれ関連させること。ただし,第三用法については主として第3学年で指導すること。
イ 小数をかけたり小数で割ったりしたときの積や商の大きさについて,具体的な場合に即して,特に理解を図ること。
ウ 除数が小数のとき,整除されない場合はふつう四捨五入して商を出すが,余りを出すことも一応できるようにすること。
(3) 珠算による乗法・除法は,地域の必要によっては,指導してよい。この場合には,できるだけ筆算の方法をもとにするなど簡単に指導できるようにくふうするとともに,他の内容の指導に支障が起こらないように,指導する時間数について配慮すること。なお,指導計画のつごうによっては,第1学年から取り扱ってもよい。
(4) Bの(2)の指導で,円の面積は(半径)×(半径)×(円周率)の式を用いて求められるようにすること。
(5) Cの(5)の指導について,ここで示した内容は前学年の指導に引きつづき,計算や測定などの指導と関連して取り扱うこと。すなわち,式を一般的に用いる考え方を伸ばすためには,たとえば,面積や体積の公式に小数を適用するときや,比の第一用法で,aのbに対する割合をa÷bの式で求めるのに,aがbより小さいときにもこの式を用いるときなどの機会を利用すること。
(6) cの(8)の指導については,形式的に「組み合せ」などの考え方を用いることは避け,特定のものに着目するなどして,具体的な場合について整理して考える程度にすること。
(7) Dの(1)の指導については,主として実測的な方法によって調べさせるようにすること。
(8) Dの(2)の指導は,基本的な図形について理解を深めることを主要なねらいとし,対応点を結ぶ直線が,対称の軸や対称の中心と,それぞれどんな関係にあるかを知ったり,それを折り重ねや回軽などの操作で確かめたりする程度にすること。
(9) Dの(3)の指導については,次のことに留意すること。
ア 一つの直線と平面との垂直関係は,その交点を通るその平面上の二つの直線と,もとの直線とが垂直であるかどうかで確かめられることを知らせること。
イ 円柱,角柱および円すいは,それぞれ直円柱,直角柱および直円すいを取り扱う程度,角すいは正角すいを取り扱う程度にすること。なお,角すいや円すいを作るのは,展開図が簡単にかける場合にかぎること。
ウ 立体図形については,適宜,見取り図を読んだりかいたりすることや,簡単な場合の立面図または平面図を読んだりかいたりすることなどを通して,立体図形をはあくする能力を伸ばすようにすること。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 分数についての乗法,除法の意味と,その計算のしかたを理解させる。さらに整数,小数および分数を数として統一的にとらえさせ,実際の場においていっそう適切かつ能率的に計算する能力を伸ばす。
(2) 量と測定についての理解をまとめ,実際の場において測定がいっそう適切かつ能率的にできるようにする。
(3) 比例の考え方を明らかにし,数量の関係のとらえ方を高めるとともに,公式の用い方についての理解をいっそう深め,それらを用いて数量の関係を能率的に処理する能力を伸ばす。
(4) 文字を用いて数量についての関係や法則を一般的に,しかも簡潔に表現して,ものごとを考察し処理する能力を養う。
(5) 基本的な立体図形について理解を深めるとともに,縮図の意味を知らせ,実際の場における事物の考察や処理に,図形をいっそう有効に用いる能力を伸ばす。

2 内  容
 A 数と計算
(1) 整数の約数と倍数についての性質を明らかにし,数についての理解を深める。
(2) 乗数,除数が分数である場合の計算の意味とその方法を理解させ,分数の乗法,除法について計算する能力を伸ばす。
(3) 簡単な場合について,次のようなことを理解させ,分数の乗法,除法を含めて,能率のあがる計算方法をくふうする能力を伸ばす。
ア 整数および小数についての計算は分数の計算の特別の場合とみられること。
イ 除法は除数の逆数をかける計算に直して考えられること。
ウ 乗法,除法に関する計算を一つの分数の形にまとめて表わすことができること。
(4) 整数,小数および分数について,大小がくらべられることや,四則についての法則が同じであることなどもまとめて,数について理解を深める。
(5) 正の数,負の数を用いると,式がより広い意味に用いられることを理解させるとともに,これらの数の四則計算になれさせる。
(6) 場面に応じて適切な近似値の取り扱いができるようにする。
ア 誤差や有効数字の意味と近似値の表わし方。
イ 計算尺による乗法と除法。

 B 量と測定
(1) 測定の意味の理解を深め,測定には必ず誤差を伴うことを明らかにする。
(2) 単位系の理解を深め,メートル法の長所を活用できるようにする。
ア メートル法の単位が,基本単位と誘導単位の関係からできていること,および,それらの単位間の関係。
イ メートル法と尺貫法およびヤードポンド法との単位の関係ならびに,表またはグラフを用いて換算すること。
ウ 現行計量制度についての知識。
(3) 比例関係などを用いて,量を測定する能力を伸ばす。
(4) 前学年までに学習した基本図形についての求積公式の理解を深め,図形の計量についての能力を伸ばす。

 C 数量関係
(割  合)
(1) 比の三つの用法について理解を深め,これを有効に用いることができるようにする。
ア AのBに対する割合(P)はA÷Bで求められること。(比の第一用法)
イ AはPが分数および小数のときもB×Pとして求められること。(比の第二用法)
ウ BはPが分数および小数のときもA÷Pとして求められること。(比の第三用法)
(2) 割合が百分率および歩合で表わされている場合にも,比の三つの用法を用いることができるようにする。
(3) 比の意味とその表わし方を知らせ,数量の関係を表わすのにこれを用いる能力を伸ばす。
ア 比の表わし方とその相等関係。
(4) 簡単な場合について,比例の考え方を理解させるとともに,それを用いる能力を伸ばす。
ア 比例(正比例)について,次のような関係を知ること。
  一方の量Aがaからa′になるとき,それに応じて他方の量Bがbからb′になるとき,
 (ア) Aがn倍(1/n)になるときは,それに対応してBもn倍(1/n)になること。
 (イ) 一般に b′/b が a′/a に等しいこと。
 (ウ) b′のa′に対する割合が,いつもbのaに対する割合に等しいこと。
 (エ) A,Bの関係を折れ線グラフに表わすと,そのグラフは直線(原点を通る。)になること。
イ 反比例について知ること。(比例と対比して知る程度。)
(式,公式)
(5) 数量的な問題の処理に,式を有効に用いる能力をいっそう伸ばす。
(6) 簡単な公式について,量の変化に着目して数量の関係の特徴を調べる能力を,漸次伸ばす。
(7) 文字を用いて,数量およびその間の関係や法則を式に表現することができるようにする。
ア 式の中の文字は,数の代わりの記号であること。
イ 式の中の文字に,数値を代入して式の値を求めること。
ウ 文字を用いた式における乗除の表わし方の規約。
(8) 等式において,値のわからない文字が一つのとき,その文字の値を,逆算で求める能力を伸ばす。
(表,グラフ)
(9) 前学年までに学習した表やグラフの特徴を知り,目的に応じて,それらを適切に選んだりくふうして用いたりすることができるようにする。
(10) 買物のねだんや郵便などの料金を速く知ることができるように,表やグラフをくふうして作ったり,読んだりする能力を伸ばす。

 D 図  形
(1) 基本的な図形が,実際の場においていっそう適切に用いられるようにする。
(2) 回軽体について理解させ,これを立体図形や具体的な事物を考察するのに用いる能力を伸ばす。
(3) 縮図について理解させ,縮図をかいたり読んだりする能力を伸ばすとともに,簡単な測量にそれを用いることができるようにする。
ア 縮図,縮尺の意味。
イ 簡単な図形をきまった割合に拡大したり縮少したりすること。
ウ 校地などの縮図をかいたり,縮図から実長を読んだりすること。
エ 川幅や木の高さなどを求めること。(一つの直角三角形を用いる程度)

3 指導上の留意事項
(1) Aの(2)の指導については,小数の場合と同じように次のことに留意すること。
ア 乗法については比の第二用法,除法については比の第一および第三用法とそれぞれ関連させること。
イ 分数をかけたり,分数で割ったりしたときの積や商の大きさについて,具体的な場合に即して,特に理解を図ること。
ウ 乗数および除数が帯分数のときも,簡単な場合について一応計算できるようにすること。
(2) Cの(2)の指導については,比の値として小数や分数と同じ考えで扱えるようにまとめるとともに,生活においてよく用いられる簡単な場合だけを取り上げる程度にすること。
(3) Cの(4)の指導では,既習の公式などについて比例する量を見いだしたり,理科で取り扱う法則などを「比例」ということばを用いてまとめて言い表わしたりすることができるようにする程度をねらっている。なお,比例関係を認めるにあたって,一方の量が増加すると他方の量もそれに応じて増加するような関係は,必ずしも比例であるとはかぎらないことに注意させること。
(4) Cの(8)の指導の等式については,主としてすでに公式としてわかっているものや,立式の容易なものを扱う。
(5) Dの(2)の指導で,回転体についての理解としては,軸に垂直な平面で切るといつも円ができることや,軸を含む平面で切るともとの図形がわかることを知らせる程度とすること。
(6) Dの(3)の指導を通して,図形をその形と大きさに着目して考察できるようにすること。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 生徒の学年的な発達に応じて指導をくふうすること。
 さきにあげた目標および内容においては,この点についていちいち明示してない場合が多いが,指導にあたっては,一般的に次のような点を考慮することが必要である。
 学習した内容について一応のまとまりをつけ,それを実際の場において適切に用いられるようにすることが重要であるので,それぞれの内容の有用性について,特に理解を深めるようにすることが必要である。
 なお,学習内容が豊富であるが,生徒の特性を考慮し,具体的な経験をさせたり,視聴覚的な教材を利用したりするなどして基本的な概念や原理の理解を図るとともに,数量に関する思考力を育てるよう留意することが必要である。
 またどの学年に限らず生徒の表現や筋道の通った考え方をたえず生かすようにし,生徒が自信をもって創意をはたらかしながら学習することができるように,指導をくふうすることが必要である。

2 各領域の内容を,総合的にまた関連をもって考えること。
 各学年の内容はだいたい四つの領域に分けて示してある。これは内容について,その学年としての主要な点や前後の学年との関係をわかりやすくするためのものであって,各領域の内容を別個に指導することを考えて設けたものではない。たとえば,その一つとして「数量関係」という領域がある。この「数量関係」は,一応割合,式,公式および表,グラフという観点から内容をあげており,一般に数量関係として考えられることを,すべてここにまとめたわけではないが,これなどは,むしろ,ほかの領域の内容と結合して指導されることが望ましい場合が多い。
 指導計画の作成にあたっては,各内容について,前後の関連や他の領域にあげてある内容との関連を考えて,指導する内容が生徒に無理なく発展し,身につくようにすることが必要である。

3 基礎的な技能の習熟を図るための機会を適宜,考慮すること。
 計算や測定などの基礎的な技能については,その方法はもちろんそれを用いる意味についても理解を深め,それらが実際の場において,確実に,また手ぎわよく用いられるようにするとともに,さらに進んだ方法を考えだす基盤として活用されるように,習熟を図っておくことが必要である。
 このようなものの指導にあたっては,1回の指導だけに終わらず,適宜反復して指導が行なわれるように,計画を立てることが必要である。なお,このような能力について各領域の内容としては,主として指導される学年においてのみあげ,それからあとの学年において,いちいち明示しない場合が多い。しかし必要に応じて,あとの学年においても指導の機会があるように考慮することが必要である。
 また,特に測定や図形については,実際の計器や事物についての操作がじゅうぶんに行なわれるようにすることが重要である。そのために,計器や器具をそろえるとともに,指導する時間がじゅうぶんとれるように配慮することが必要である。

4 他教科との関連を考え,学習の素材を豊かにすること。
 各領域の内容は,できるだけ数学科としての独自のねらいに合ったものだけに限ってある。しかし,数学科で指導する内容は,どの教科の学習においても活用できるように身につけることが必要であるので,学習の素材はできるだけ広い範囲にわたって取り上げるように留意しなければならない。
 金銭出納や売買に関することは内容としてあげてない。これらについては,社会的に特別な経験や知識を要する程度に深入りすることは望ましくないが,数量についての基本的な考え方や計算のしかたが,広く用いられるようにするために適度に素材として取り入れることが必要である。

5 数量的に問題を解決する能力を伸ばすようにすること。
 数学科の目標から考えて,形式的に計算や測定ができることも重要であるが,それだけにとどまらないで,実際の場において数量的に問題をはあくし,それを処理して,所期の目的に合っているかどうかを確かめることができるまでに,それらの能力を伸ばすことが重要である。
 これは,各領域であげた内容が,一体となって活用されてはじめて達成するものと考えられる。したがって,一つの領域や内容だけの指導でこの能力がじゅうぶんに伸ばされるものではないが,各内容の指導にあたっては,これに寄与するようじゅうぶんに配慮することが必要である。この指導で取り上げる問題の構造や領域については,生徒の心理的仕会的発達の程度や,各領域の内容との関連をじゅうぶん考慮することが必要である。また典型的な型や解法にとらわれないで,できるだけ生徒の思考を生かし,一般的な考え方や解決の手法を,漸次身につけるようにすることが望ましい。

6 生徒の個人差に応じた指導を考慮すること。
 数学科の指導においては,一般に遅れた生徒や進んだ生徒についての対策が特に必要と考えられる。それゆえ,実際の指導計画の作成においては,これらの生徒に対して適切な処置をあらかじめ考え,どの生徒も成功の喜びを味わい,進んで学習ができるように,指導計画について適切な配慮をすることが必要である。

7 選択教科としての数学は,必修教科としての数学と密接な関連を図って,指導計画を立てて実施するようにする。その内容は,各学年の内容に示したものを,すべての領域にわたって,より深めるという取扱いをする。



 
第4節 理    科

第1 目  標

1 自然の事物や現象についての関心を高め,真理を探究しようとする態度を養う。
2 自然の環境から問題をとらえ,事物に基づき,筋道をたてて考えたり処理したりする能力を養い,また,実験や観察に必要な機械器具を目的に応じて取り扱う技能を高める。3 生活や産業の基礎となる自然科学的な事実や原理の理解を深め,これを活用する能力を伸ばし,さらに,新しいものをつくり出そうとする態度を養う。
4 自然科学の進歩が生活を豊かにするのに役だつことを認識させ,自然科学の成果や方法を生活の中に取り入れ,生活を合理化しようとする態度を養う。
5 自然と人間生活との関係を認識させるとともに,自然の保護利用に対する関心を高める。

 上に掲げた目標は,各項目相互に密接な関連をもって理科の目標をなすものである。
 指導にあたっては,特定の項目にのみ重点をおくことなく,目標が全体として達成されるように考慮しなければならない。
 また各学年の目標は,教科の目標を,学年に発展させ,明らかにしたものである。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 身近な自然の事物や現象に対する興味を深め,観察,観測,実験などによって,事物や現象の間の関係を見つけようとする態度を養う。
(2) 自然の環境の中にある問題を見いだし,解決の方法をいろいろ考えて事実に即して確かめ,処理できるようにする。
(3) 日常生活の中で経験できる事実をもとにして,自然科学的な基礎的原理を理解し,これを生活にあてはめてみるように導く。
(4) 自然の事物や現象についての理解をもとにして,自然と人間の生活との関係に気づくようにし,自然を愛護しようとする気持ちを養う。

2 内  容
(1) 観察実験によって,生物の生活のしかたや育ち方などが生育の場所,食べ物や養分,温度などに関係のあることに気づき,さらに生物と人間の生活との関係を考慮するように導く。また病原体,寄生虫についても理解させる。

ア イネを栽培して,その育ち方を調べ,環境との関係に関心をもつ。
 (ア) もみのつくりを調べ,イネをよく育てるのには,充実しているもみを選ぶ必要のあることがわかり,選種のしかたを知る。
 (イ) もみをまき,発芽したときの様子を観察し,芽の出方の特徴に気づく。
 (ウ) イネの育ち方を観察して,株の分かれ方,花の咲く時期,花のつくりや開閉などを知る。
 (エ) イネ,ムギのほかにもマツ,トウモロコシなどのように,コン虫のなかだちによらないで受粉するもののあることを知る。
 (オ) 除草,施肥,水温や気温などが,イネの生育に関することを知る。
 (カ) イネは,ズイムシなどの害虫や病気におかされる場合のあることに気づくとともに,これらの害を防ぐ方法を知る。

イ 種子のつくり,発芽,伸び方を調べる。
 (ア) ダイズ等の豆を発芽させ,子葉が開きかけたとき,これをつみとると発育がおくれることから,子葉には養分がたくわえられていて,それが芽を出すのに役だつことを知る。
 (イ) 発芽には適当な水分や温度が必要なことを知る。
 (ウ) カキ,ソラマメのように,つくりの見やすい種子を観察して,種皮,子葉,はい乳などがあることやそれぞれのはたらきを知る。
 (エ) 種子をはちにまき,明るい所や暗い所で育て,茎の伸び方や色,茎や根の伸びる方向などが,光に関係することに気づく。

ウ 花と虫との関係や花のつくりを調べる。
 (ア) チョウ,ハチなどが花のみつを吸い,花粉を集める様子を観察し,チョウやハチが,その際に受粉のなかだちをすることを知るとともに花のつくりと虫のからだのつくりとの関係を理解する。
 (イ) 花には,カボチャのように雄花・雌花の別のあるものもあることを知るとともに,カボチャなどで人工受粉をしたり,受粉をさまたげたりして,花は受粉すると,めしべのもとがふくらみ,実となり,その中に種子ができることを知る。
 (ウ) アブラナ,ツツジ,タンポポなどの花びらの数,形,並び方などを観察して,それらには,それぞれよく似た花があることに気づく。

エ 魚のからだのつくり,習性,ふえ方を調べる。
 (ア) 魚のからだの外形や,ひれの形やつくり,泳ぎ方を観察したり,えら,うきぶくろなどの内部のつくりを観察したりして,からだのつくりが水中の生活に適しているところの多いことを知る。
 (イ) 海や池などの水を顕微鏡で,観察することにより,水中には,ミジンコ,ゾウリムシ,ケイソウなどの小さな微生物がすんでいることに気づき,これらが魚のえさとなることを知る。
 (ウ) いろいろな魚の種類や生活のしかたを調べて,魚には海にすむもの,川にすむものがあり,また生育の時期によって生活の場所を変えるものがあることを知る。
 (エ) メダカなどのふやしやすい魚を飼育して,魚が卵から生まれて育っていく様子を観察するとともに,魚の養殖のしかたを知る。

オ 病原体と寄生虫の種類や,人体にはいるまでの経路を知る。
 (ア) 伝染病には結核,赤痢などがあり,病原体によって伝染すること,ならびにその経路を知る。
 (イ) 病原体が体内にはいっても,必ず発病するものではないが,栄養の不足や,過労,不節生などのためにからだが弱っているときは,発病しやすいことを知る。
 (ウ)人体の寄生虫には,回虫,ギョウ虫,十二指腸虫などがあり,健康に影響することに関心をもつ。
 (エ) 回虫や十二指腸虫の寄生経路を知り,検便の必要や,これの駆除子防についての理解を深める。
 (オ) 病原体は日光,熱,薬品などによって殺すことができることを知る。

(2) 風の向きを測って,季節や場所による風の変化や特徴に気づくようにするとともに,風の向きや強さが日常生活と関係があることを知らせる。

ア 風の向きや強さを調べる。
 (ア) 樹木の動きや,波,煙などの様子で,風の強さの程度をいくつかに分けることができることを知る。
 (イ) 簡単な風向計を作って,風の向きを測り,風向は一日のうちでも変化することに気づくとともに,風の向きや速さを正確に測るには,風向計,風速計を使うことを知る。
 (ウ) 季節や場所(海岸,山あい)などによって,風が吹く向きやその変わり方に特徴があることに気づくとともに,風の向きや強さが日常生活と関係のあることを知る。
 (エ) 風は空気の動きであることに気づくとともに,局地風の起こるわけを実験によって理解する。

(3) 地層をつくる岩石や,その中に含まれている化石や地下水などを観察して,岩石や化石に関心をもたせ,地層のできかたや変化について知らせる。

ア 地層を観察し,そのでき方に関心をもつ。
 (ア) 地層を観察して,地層にはしま模様があることに気づくとともに,地層は岩石や砂や粘土からできていることを知る。
 (イ) 地層は水や風などのはたらきによって,粘土や砂などが積もり,長い年月かかってできたことを考えることができる。
 (ウ) 地層の傾きなどを観察して,地層はできてから後にもち上がったり,傾いたりすることを知る。

イ 泉や井戸を観察し,地下水に関心をもつ。
 (ア) 粘土の上に盛った砂に水をかけ,粘土の層が水を通しにくいことから泉や井戸水は,雨水が地中にしみこみ地中の岩石や粘土の上にある砂などの中にたまった水であることを理解する。

ウ 化石を観察して,そのでき方に関心をもつ。
 (ア) 化石を観察して,化石には貝や木の葉などがあることに気づくとともに,化石が地層に含まれていることを知る。
 (イ) 化石が過去の生物であることや,出てきた化石によって,その化石を含んでいた地層のできた当時の様子が,現在の様子と違っていたことを知る。

エ 地表の歴史と生物の進化について関心をもつ。
 (ア) 太古代から新生代までのおおまかな自然の様子や主な生物について知り,生物の移り変わってきた大要を理解する。
 (イ) 生物進化の事実を,化石,発生,分布,形態の比較などから理解する。
 (ウ) ラマルク,ダーウィンなどの進化についての考えを知る。

オ 石炭と石油のでき方を知る。
 (ア) 石炭・石油は地層の中にあって,これらが過去の生物から変化してできたものであることを知る。

(4) 太陽・地球・月の大きさや表面の様子などを知らせるとともに,太陽・月・星の動く様子をもとにして,地球が自転していることや昼夜のできるわけを理解させる。

ア 地球の自転と昼夜のでき方を理解させる。
 (ア) 太陽・月の表面を比較観察して,太陽・月の光り方,表面の様子などに違いのあることを知る。
 (イ) 月は太陽の光を反射して光っていることを知る。
 (ウ) 太陽は月とほぼ同じ大きさに見えるが月より大きくて,遠くにあることを知る。  (エ) 北の空の星は,北極星のまわりを回っているように見えることや,そのほかの星も時間がたつにつれて,位置が変わっていくことを観察して,星も太陽や月と同じように1日たつとだいたいもとの位置に見えることを知る。
 (オ) 太陽・月・星の1日の見かけの運行の事実から,地球は自転していることを知る。
 (カ) 海岸に近づく船が帆柱から見え始めることなどから,地球が球形であることを知る。
 (キ) 太陽は自転している地球の半分を照すために,昼夜ができることを理解する。

(5) 摩擦・すわりや,音・光・熱・電気などについての身近の諸現象や,簡単な道具や機械について,観察や実験を通して,その初歩的な原理やしくみ,はたらきに気づくようにする。

ア 物の運動に伴う摩擦の大小と,その利用について調べる。
 (ア) 机の上に置いた本やいろいろな物を押したり引いたりして動かし,物が運動している時には,接触している面にその運動をさまたげる力がはたらくことを知る。
 (イ) 同じ物を木やガラスなどの板の上で動かし,面のなめらかさによって摩擦に大小のあることに気づく。
 (ウ) 物を動かすとき,接触面にろうや油を塗ったり,ころや車を使ったりすると,運動をさまたげる力が小さくなることをぜんまいばかりなどを使って確かめる。
 (エ) 身のまわりの道具や機械には,ベアリングやブレーキなどのように,使う目的によって摩擦を小さくしたり,大きくしたりするくふうがされていることを理解する。

イ 物のすわりのよしあしを調べる。
 (ア) おきあがりこぼしを作り,それにつけるおもりの位置や重さを変えてその動きを観察しおもりの位置や重さによって,起き上がり方に違いのあることに気づく。
 (イ) あき箱(直方体)などの内部につけたおもりの位置を変えたり,また底の広さの違う箱を使ったりして,箱を少しずつ傾けて,その倒れ方を調べ,すわりのよしあしが,おもりの位置や重さ,底の広さに関係のあることを理解し,いろいろな物のすわりに関心をもつ。

ウ 音の高低と強弱を調べる。
 (ア) 音が弦,膜,棒などの振動によって出ることを,実験によって,理解する。
 (イ) 簡単な琴を使って,弦の長さ,太さ,張る強さの違いによって,音の高低の違いができることを理解する。
 (ウ) 琴の弦をはじいたり,太鼓をたたいたりなどして,音の強弱は,振幅の大小に関係することを理解する。

エ 音の伝わり方や進み方を調べる。
 (ア) 真空の中では,音が伝わらない事実などから,空気が音を伝えることを理解する。
 (イ) 水や金属なども,音を伝えることを知る。
 (ウ) 音は物に当たってはねかえったり,まわりのものに吸収されることを知る。

オ 光の直進,反射,屈折のしかたを調べる。
 (ア) 光はふつう水や空気の中ではまっすぐに進むことを理解する。
 (イ) 針穴写真機を使っていろいろな物の像を写し,それが光の直進によることを理解する。
 (ウ) 鏡に当った光は入射した方向によって反射する方向が決まることを確かめる。
 (エ) 光を出さないものが見えるのは,他から来た光を反射しているからであることを理解する。
 (オ) 光が空気中から水中にはいるとき,また水中から空気中に出るときなどには,その境で屈折したり反射したりすることを理解し,光の屈折によって起こる日常の現像に関心をもつ。
 (カ) 太陽光線はプリズムによっていろいろな色の光に分けられることを確かめる。

カ 熱の移り方にはいろいろあることを調べる。
 (ア) 温度の高い物と低い物を触れさせると両方の温度が変わることから,熱が温度の高いところから低いところへ移ることを知る。
 (イ) 金物などの一部を熱して熱が物を伝わって移ることに気づき,物によって熱をよく伝えるものと,伝えにくいものとがあることを理解する。
 (ウ) 水や空気の一部を熱してその動きを調べ,熱が水や空気の動きに伴って移ることを理解する。
 (エ) 太陽からの熱やストーブなどのそばで受ける熱は,中間の空気を暖めないで直接物に移ることを知り,黒い物は白い物よりも暖まりやすい事実に気づく。
 (オ) 日常生活には熱の移り方をうまく利用しているもののあることに気づき保温のしかたを知る。

キ モーターのしくみとはたらきを調べる。
 (ア) 電磁石は巻き線に流れる電流の向きによって極が変わることを確かめる。
 (イ) 界磁に永久磁石を使った簡単なモーターを作り,電機子は電磁石の一種であって,整流子は電機子に流れる電流の向きを変えるはたらきをすることを理解する。
 (ウ) モーターの回るわけを磁石の性質によって理解する。

(6) 日常の生活に関係の深い燃焼,セッケンのはたらき,酸性,アルカリ性の物質などの性質を実験により調べ,それらの性質や変化を理解させる。

ア 火の起こし方と消し方を調べる。
 (ア) こんろで火を起こし,物が燃えるには空気が必要なことに気づき,じょうずな火の起こし方をくふうする。
 (イ) 燃えているまきや木炭を火消しつぼに入れたり,水をかけたりすると火が消えることから,火を消すには空気を断ったり,温度を下げたりすることが必要であることを理解する。

イ 酸素と二酸化炭素をつくり,その性質を調べる。
 (ア) 酸素を発生させ,その中に燃えているものを入れると空気中より,はげしく燃えることに気づく。
 (イ) 空気の中には酸素のほかに窒素が含まれていることを知る。
 (ウ) 口の広いびんの中でロウソクや炭火を燃やし,消えたあとに石灰水を入れて振ると,白濁する事実に気づく。
 (エ) 石灰石,炭酸水素ナトリウム(重そう)または貝がらなどに塩酸を作用させて,二酸化炭素を捕集し,空気より重い気体であること,その中では物が燃えないこと,石灰水を白濁することに気づき,二酸化炭素の検出法がわかる。
 (オ) 二酸化炭素は水に溶け,その液は青色リトマス紙を赤く変えることに気づく。

ウ 燃料の種類と燃え方を調べる。
 (ア) 燃料にはいろいろな種類があり,燃料によって燃え方に違いのあることに気づく。
 (イ) 木片を試験管でむし焼きにすると,燃える気体が出て,あとに木炭ができることに気づく。
 (ウ) 木炭,れん炭などが燃えるとき,一酸化炭素ができることがあり,この気体は有毒であることを知る。
 (エ) アルコールランプとロウソクなどで,炎の様子を比較観察して,色,温度,すすのつき方は,燃える物や炎の部分によって違うことに気づき,炎は気体が燃えていることを知る。

エ セッケンのはたらきを調べる。
 (ア) ま水,食塩水などにセッケンを入れてよく振ると,食塩水のほうにはセッケンが溶けにくく,あわだちの悪いことに気づく。
 (イ) セッケン水とま水に油を落してよく振り,その変わり方を比較し,セッケン水は油を細かい粒に分けることを知る。
 (ウ) セッケン水とま水に,すすを加えてよく振り,その変化を比べ,セッケン水はすすを細かく分ける性質のあることを知る。
 (エ) セッケン水とま水の液面に毛糸や毛織物を浮かべ,セッケン水のほうが毛糸や毛織物の間に早くしみこむ性質のあることに気づく。

オ 酸性,アルカリ性の物質と,中和について調べる。
 (ア) ミカンのしる,酢,うすい塩酸などは酸味があり,青色リトマス紙を赤く変えることに気づき,これらのものは酸性であることを知る。
 (イ) 木灰の上澄み液,アンモニア水,石灰水や,水酸化ナトリウム,セッケンの水溶液などは赤色リトマス紙を青く変えることに気づき,これらのものは,アルカリ性であることを知る。
 (ウ) 蒸留水,砂糖水,食塩水などは中性であることに気づく。
 (エ) 水酸化ナトリウムの水溶液と塩酸を適当な割合で混ぜると,中和して中性になり,その水分を蒸発させると食塩ができることを知る。

3 指導上の留意点
(1) 内容(1)ア〔イネの栽培〕は,都会地においても,その栽培規模の大小は問わず,できるだけ内容に示したような経験を得させることが望ましい。また果菜類草花類についての経験も得させることが望ましい。このような場合には,見学または視聴覚資料の活用によって理解を助けたり,深めたりすることが望ましい。
(2) 内容の(1)オ〔病原体と寄生虫〕については,保健体育科との関連を,(6)のア〔火の起こし方〕ウ〔燃料〕エ〔セッケン〕については,技術・家庭科との関連をじゅうぶんに図る必要がある。これらについては,理科では,保健体育科や技術・家庭科の学習の基礎となる事項を取り上げることをたてまえとしている。
(3) 内容(3)のオ〔石炭と石油〕は,炭田,油田地方以外の一般の地域では,(6)のウ〔燃料〕と合わせて学習する程度に考えてよい。
(4) 内容(5)のウ〔音の高低と強弱〕に関する学習においては,残聴力などを活用するとともに,視覚化することによって理解を助けたり深めるようにする。
(5) 内容(6)のキ〔モーターのしくみとはたらき〕は,小学部第6学年(3)のク〔電磁石のはたらき〕と関連して扱うこと。
(6) 内容(6)のエ〔セッケンのはたらき〕に関する学習において,セッケン以外の洗剤をも取り上げることは望ましいが,ここではセッケンのはたらきを主として理解させることがたいせつである。
(7) 内容の文中「理解する」とあるのは,児童の活動と教師の指導によりじゅうぶん納得し,さらにこうして得られた知識が他の場合にもはたらくようになることをさしている。このことは第2,3学年においても同様である。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 身近な自然の事物や現象に対する興味を深め,観察,観測,実験などによって,広く事物や現象を関係的に見たり考えたりして,自然をいっそう深く見ようとする態度を養う。
(2) 自然の環境の中にある問題を見いだし,これを分析したり総合したりして考察することに慣れさせ,筋通の通った考え方でくふう,処理することができるようにする。
(3) 日常生活の中で経験できる事実をもとにして,自然科学的な基礎的原理を理解し,これを生活の上にあてはめ,合理的な生活を営もうとする態度を養う。
(4) 自然と人間の生活との関係についての理解を深め,自然の資源を保護する方法を考え,さらに進んでこれを利用することに関心をもたせる。

2 内  容
(1) 観察,実験によって生物のつくりやはたらきを知り,生物はそれぞれ生命を保つにつごうよくできている事実や,生物は互いに関係して生活している事実に気づくように導く。
 また,人のからだのしくみとはたらきについて知らせ,からだの各部が互いに関連してはたらいていることを理解させる。

ア 植物の根,茎,葉のおもなつくりとはたらきを調べる。
 (ア) 植物には主根,枝根やひげ根などのあることに気づき,根のはたらきを知る。
 (イ) 発芽したダイコンなどの根を観察して,根毛のあることに気づき,根毛のはたらきを知る。
 (ウ) 赤インクの中にホウセンカなどの茎をさし,その染まった茎を薄く横切りにして,水分の通り道を知る。
 (エ) 実験によって,植物は葉から水を蒸散している事実に気づき,顕微鏡によって気孔を観察し,そのはたらきを知る。
 (オ) 葉の表面の薄い皮を顕微鏡で観察し,これがいくつかのくぎりからできていて,その一つ一つが細胞であることを知る。
 (カ) 実験によって,緑の葉にはデンプンのできること,その場合に日光が関係することを知る。

イ 森林の生物について相互の関係を調べ,森林の保護に関心をもつ。
 (ア) 森林には,日なたに育つ高木や,日かげにも育つ低木のあることに気づく。
 (イ) 樹木の切り口を観察して年輸のある事実に気づき,樹木は,春,夏ころよく育ち,秋,冬にかけて育ちの悪くなることを知る。
 (ウ) 森林の中では,スギ,ヒノキなどが,まっすぐ上に伸びている様子を観察するとともに,フジなどのような草木のつるが樹木に巻きつくと樹木の生長をさまたげることがあることを知る。
 (エ) 繁茂した樹木の陰には,日かげに育つシダなどの植物がはえていることや,下草やコケと森林の樹木とは互いに関係しあって育っていることを理解する。
 (オ) 森林は鳥・獣などのよいすみかとなること,樹木を食害する虫を鳥が捕食することなどを理解して,生物の間のつながりを知るとともに,野鳥の保護に関心をもつ。
 (カ) 森林が大水,風,土砂くずれ,雪の害などを防ぐのに役だつことから,植林や森林保護の必要を知る。

ウ キノコやカビの種類やふえ方を調べる。
 (ア) キノコの種類やはえている場所を調べ,キノコには,食用になるものや毒があって食用にならないものがあることを知る。
 (イ) マツタケ・シイタケなどのようなキノコには,柄とかさがあり,かさの裏面には,ひだのあることに気づく。
 (ウ) シイタケのようなキノコの栽培のしかたから,キノコの育つ様子を知る。
 (エ) カビにはいろいろな種類があり,コウジカビなどのように利用できるものや,クロカビのように腐敗の原因となるものなどがあることを知る。

エ 人体のつくりやはたらきを調べ健康に関心を深める。
 (ア) からだを動かしたり,模型,標本などで調べたりして,筋肉や骨のしくみとはたらきを知る。
 (イ) 食物は口・胃・腸を通る間に細かく砕かれたり,消化液がまじったりして消化吸収されることを知る。
 (ウ) 血液は心臓から押し出され血管を通ってからだの各部に養分と酸素を送り,そこから不用なものを取り去ることを知る。
 (エ) 肺は空気中から酸素を取り,二酸化炭素を山して血をきれいにするはたらきをすることを知る。
 (オ) 尿や汗は,体内の不用になったものが体外に出されるものであることや汗には体温を調節するはたらきもあることを知る。
 (カ) 目,耳のつくりやはたらきを知る。

(2) 空気の湿り気や降水量などについて理解させ,これらが人の生活に深い関係があることに関心をもたせる。

ア 空気の湿り気を調べる。
 (ア) 器に入れた水が自然になくなることなどから,川,池,海などの水面や地面から,絶えず水が蒸発していることを知る。
 (イ) 冷たい水を入れたコップの表面に,綱かい水滴がつくことから,空気中には,水蒸気のあることに気づく。
 (ウ) 空気の湿りけは,空気に含まれる水蒸気の量に関係があることを知る。
 (エ) セロハンなどで湿りけを測る道具を作り,湿りけが量的に測れることを知るとともに,湿りけを測って,それが天気によって違いがあり日常生活にも関係があることに気づく。

イ 雨量や積雪量を調べる。
 (ア) 霧は水滴の集まりであり,雲は水滴や氷片の集まりであることを知るとともに,雲の発生は降雨・降雪の原因となることがわかる。
 (イ) 雲の高さや形を観察し,その変化は天気の変化に関係があることを知る。
 (ウ) 雨量は,たまった水の深さで測ることを知り,簡単な雨量計を作って雨量を測るとともに,雨量は日常生活や産業に関係があることに気づく。
 (エ) 積雪量の測り方を知るとともに,積雪量の多少が人の生活に関係深いことを理解する。
 (オ) 降雨や降雪の量は,季節や土地によって違いのあることを知る。

(3) 太陽の見かけの運行に興味をもち,観察によりその周期的変化に気づき,季節はこの周期的変化に関係して起こることや,地球は自転しながら公転していることをわからせる。

ア 太陽の運行を観測し季節の変化の起こるわけを調べる。
 (ア) 日の出,日の入りの方位や時刻南中の太陽の高度などを調べ,太陽の運行を正しくとらえることができる。
 (イ) 棒のかげを時刻を変えて調べ太陽の高度や方位を知ることができる。
 (ウ) 春分・夏至(げし)・秋分・冬至の日の日の出・日の入りの方位,時劾,南中の太陽の高度,昼夜の長さなどを調べ,これらの違いに気づくとともに,季節による移り変わりを知る。
 (エ) 季節の変化の起こる理由に関心を深め,その理由について考え,地球は自転しながら太陽のまわりを回っていることを知る。

(4) ばね・振り子・てこ・滑車・レンズ・電燈など身近な道具や機械のはたらきを数量的,分析的に調べて,それに関係する原理をつかむようにしこれらの道具や機械を合理的に使えるように導く。

ア 振り子の振れ方を調べる。
 (ア) ぶらんこの振れ方を観察したり,振り子の実験をしたりして,振り子の振動する時間は,振り子の長さに関係するが,振幅やおもりの重さには,ほとんど関係しないことに気づく。
 (イ) 振り子はとけいに利用され,正しい時をきざむのに役だつことを知る。

イ ばねのはたらきを調べる。
 (ア) ゴムひもや,つるまきばねの伸び方は,それにはたらく力の大きさに,関係することを数量的に調べて理解する。
 (イ) ぜんまいばかりで物の重さを測ったり,そのぜんまいを手で引いてみたりして,物の重さを力の大小で考えることができる。
 (ウ) ばねやゴムは,これをおし縮めたり引き伸したりすると,もとにもどろうとする力がはたらき,また,急に力かかかるとき,ばねやゴムを間に置くと力が弱められることを理解するとともに,身のまわりには,これを利用した道具や機械があることに気づく。

ウ 歯車やベルトのはたらきを調べる。
 (ア) 自転車やとけいなどの機械について,歯車によって力が伝えられていることを理解する。
 (イ) かみ合っている二つの歯車の回転の向き,回転数などについて理解する。
 (ウ) ベルトは,二つの車をつないで力を伝え,車の大きさが違うとその回転数が違い,ベルトのかけかたによって回転の向きが変わることを理解する。
 (エ) チェーンは,二つの歯車をつないで力を伝え歯車の大きさが違うと,その回転数が違うことを理解する。

エ てこ・輪軸・滑車のはたらきを調べる。
 (ア) てこについて,三点間の距離と,はたらく力の関係を数量的に調べ,力の大小や方向について理解する。
 (イ) 輪軸のはたらきを,てこの原理によって理解する。
 (ウ) 滑車を使うと,力の方向や,大きさを変えてはたらかせることができることを理解する。

オ レンズのはたらきを調べる。
 (ア) とつレンズでは光を集め,おうレンズでは光を広げるはたらきがあることを知る。
 (イ) とつレンズでは,軸に平行に来た光はその焦点に集まり,焦点の位置はレンズによって違うことを理解する。
 (ウ) とつレンズでは,焦点の外に物を置くと,反対がわにさかさまの実像ができ焦点内に置くと,実像ができないことを理解する。
 (エ) 写真機・幻燈機・望遠鏡・顕微鏡などには,組み合わせたレンズを使っていることを知る。

カ 摩擦電気を調べる。
 (ア) 正の電気と負の電気があることを調べる。

キ 電流の発熱作用を調べる。
 (ア) 同じ長さ,同じ太さの質の違う針金を直列につなぎ,電流を通ずると,電気が流れにくい線の部分に発熱しやすいことを確かめる。
 (イ) 電熱器では電熱線によって,電球ではタングステン線によって,電流を熱や光に変えていることを理解する。
 (ウ) 電熱器や電球では,電熱線やタングステン線の太さや長さを変えて,それに流れる電流の強さを変え,熱や光の出方が違うようにくふうされていることを理解する。

ク 家庭の電気の配線や,電気器具の安全な扱い方を理解する。
 (ア) スイッチ・コード・ソケットなどのしくみ,はたらきを理解して,これらを回路に正しくつなぐことができるようになる。
 (イ) 屋内配線のしかたを知り,安全器・ヒューズなどのはたらきを理解する。
 (ウ) 家庭の電気器具を安全に扱えるようになる。

(5) 日常用いられる金属や繊維の性質を調べ,金属や繊維にはいろいろあり,それぞれ特性があることを理解させ,それに応じた扱い方ができるようにする。

ア 鉄・銅・アルミニウムなどの性質を調べる。
 (ア) 鉄・銅・アルミニウムなど日常多く使われる金属の色の違いを観祭したり,小刀やガラスなどでこすってかたさを比べたり,同じ体積の重さを比べたりして,それぞれ性質が違うことに気づく。
 (イ) いろいろな金属の針金やはくを観察して,それは金属の伸びたり,広がったりする性質を利用したものであることを知る。
 (ウ) 縫い針を使って,焼き入れや焼きもどしをし,かたさが変わることに気づき,その性質が刃物などに利用されていることを知る。
 (エ) よくみがいたくぎを,空気中や水気のあるところに置いたり,これを熱したりして,それらの表面のさびる様子に違いのあることに気づき,鉄のさびに赤さびと黒さびのあることを知る。
 (オ) ロクショウを観察し,このさびは銅を水分の多い所に長く置くとできることやロクショウは有毒であることを知る。
 (カ) 鉄を酸性の液に入れたり,アルミニウムを酸性・アルカリ性の液に入れたりすると溶けることに気づき,そのとき出てくる気体が水素であることを知る。
 (キ) 鉄や銅に電気めっきしたものや,油・塗料を塗ったものを,そのままの鉄や銅などといっしょに水けの多い所に置き,さびる様子を比較観察して,さびを防ぐ方法に気づく。

イ はんだを作り,合金の性質を調べる。
 (ア) 鉛とスズを混ぜて熱すると,溶け合うことに気づき,それがはんだであることを知る。
 (イ) はんだはもとの鉛やスズよりも,溶けやすいことに気づき,はんだづけをすることができるようになる。
 (ウ) 合金の中には,黄銅のように色を美しくしたり,ジュラルミンのようにかたくしたり,ステンレススチールのようにさびにくくしたりしたものがあることを知る。

ウ いろいろな繊維について,その性質を調べる。
 (ア) いろいろな糸や布を調べて,それらには動物から取ったもの,植物から取ったもの,合成したものなどがあることを知る。
 (イ) いろいろな糸や日本紙を顕微鏡で調べて,それらが繊維からできていることや,それらの繊維は形状に違いのあることに気づく。
 (ウ) 毛織物や,綿織物・ナイロン製品など,またはそれらの糸を熱したり,酸性,アルカリ性の液に入れたりして,繊維には,熱や薬品によって変化を受けやすいものと,受けにくいものがあることに気づき,正しい扱い方を考える。
 (エ) 紙は植物の繊維を加工して作ったものであることを知る。

3 指導上の留意事項
(1) 内容(1)のイ〔森林の生物〕に関する学習においては,近くに森林のない地域では,海に遠い地域での海に関する学習の場合と同様にできるだけ森林に行く機会をつくって,この内容に示したような経験を得させることが望ましい。
(2) 内容(4)のア〔振り子〕・イ〔ばね〕・ウ〔歯車〕・エ〔てこ〕については,数量的に実験して理解させる必要がある。ことに,イ〔ばね〕・エ〔てこ〕については,数学科で得た知識・技能をじゅうぶんに活用し,また,この学習を通して,比例についての理解を深めることがたいせつである。
(3) 内容(4)のカ〔摩擦電気〕の学習では,生徒の能力に応じ,放電についてふれてもよい。
(4) 内容(5)のア〔金属の性質〕の学習にあたっては,既習の小学部第5学年(3)のケ〔豆電球の点灯〕・中学部第1学年(5)のカ〔熱の移り方〕で学習した金属の性質を思い起こさせ,この学習と相まって金属の性質がまとまるように導く。
(5) 内容(1)のエ〔人体〕については,保健体育科との関連を,(5)のウ〔繊維〕については,技術・家庭科との関連をじゅうぶん図ることがたいせつである。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 身近な自然の事物や現象に対する関心を高め,実験・観察などによって広く事物や現象を関係的に見たり考えたりして,真理を探究しようとする態度を養う。
(2) 自然の環境の中から問題をとらえ,事実に基づき,これを分析したりして筋道をたてて考えたり処理したりする能力を養う。
(3) 生活や産業の基礎になる自然科学的な事実や基礎的原理を理解し,これを生活の上にあてはめ,生活を合理化しようとする態度を養う。
(4) 自然と人間生活との関係について理解を深め,自然の保護利用に対する関心を高める。

2 内  容
(1) 生物にはいろいろの種類があり,それぞれ形態上の特徴をもっているが,すべてそのからだは細胞からできていることや,生物は環境の影響を受け環境に適応し,また,相互につながりをもって生きていることについて指導する。

ア 種子でふえる植物について,花・根・茎・葉の形態や,構造を調べる。
 (ア) サクラ・アブラナ・キク・エンドウ・イネ・アヤメのそれぞれの仲間の花の構造を調べ,それぞれの特徴やそれらの間の違いを理解する。
 (イ) マツの花の構造を観察し,サクラ・アブラナ・キクなどの花との違いを理解する。
 (ウ) 果実の構造を観察し,子房は果実になり,はい珠は種子になることを理解する。
 (エ) 植物には種類によって,主根か発達するものと,ひげ根が発達するものとがあることを理解する。
 (オ) 茎には,草本,木本の別,地上茎,地下茎の別などがあることを理解する。
 (カ) 葉の形を調べ,単葉,複葉の別,網状脈葉,平行脈葉の別などがあることを理解する。

イ 胞子でふえる植物について,おもな種類や,ふえ方を調べる。
 (ア) スギナ・ワラビ・ゼニゴケなどには胞子ができることを調べる。
 (イ) シダやコケのおもな種類を知る。
 (ウ) 海ソウについて,緑ソウ類・カツソウ煩・コウソウ類の特徴を知る。
 (エ) キノコやカビに胞子ができることを調べる。
 (オ) キノコやカビは,菌糸からできていて,動物性または植物性の養分をとって生きていることを知る。

ウ 背骨のある動物の形態や生活のしかたについて調べる。
 (ア) 身近なホ乳類,鳥類,ハ虫類について,形態を比較し,それらの間の違いや共通性を理解し,あわせてそれぞれの形態と生活との関係を考察する。
 (イ) カエルと魚の形態を比較し,それらの間の違いや共通性を理解し,あわせて,それぞれの形態と生活との関係を考察する。

エ 背骨のない動物の形態や生活のしかたについて調べる。
 (ア) コン虫とクモの外部形態を調べ,それぞれの特徴を理解する。
 (イ) 二枚貝や巻き貝のからだを調べ,その特徴を理解する。

オ 微生物のおもな種類について調べる。
 (ア) いろいろな微生物が水たまりにいることを調べ,おもな原生動物や糸状のソウ類について知る。
 (イ) 細菌類には,球菌・カン菌・ラセン菌・放線菌などがあることを知る。

カ 植物や動物のからだが細胞からできていることを調べる。
 (ア) ネギの表皮などを用いて,植物細胞の構造を調べる。
 (イ) ほおの粘膜などを用いて,動物細胞の構造を調べる。
 (ウ) 生物は単細胞生物と多細胞生物に分けられることを知る。

キ 気候の違いによって,すんでいる生物の種類や,生活のようすが違うことを調べる。 (ア) 生物が季節によってどのように変わるかを調べる。
 (イ) 生物の冬越しや渡り,魚の移動などを理解する。
 (ウ) 土地の気候によって生物の分布に違いがあることを知る。

ク 生物と環境の関係を調べる。
 (ア) 生物の生活は,光,温度,水,土などの環境要素に支配されることを理解する。
 (イ) 種子の発芽と環境条件との関係を調べる。
 (ウ) 生物は環境に適応して生きていることを知る。

ケ 生物相互の関係を調べ,生物どうしのつながりを知る。
 (ア) 植物が群落をつくることを知る。
 (イ) 動物には家族生活や社会生活をするものがあることを知る。
 (ウ) 寄生虫,寄生病原菌,寄生植物など生物に寄生生活するものがあることを理解する。
 (エ) 根粒細菌や地衣類などのように共生生活をするものがあることを理解する。

(2) 地表が水や空気などによって変化することや,地かくには地震や火山活動が起こったり,隆起,沈降,しゅう曲,断層などの現象が見られることを指導する。
ア 風化作用を知り,土との関係を理解する。
 (ア) 岩石は,風,水,温度の変化および生物などによる機械的な作用で風化することを理解する。
 (イ) 岩石は空気や水の化学的な作用によって風化することを知る。
 (ウ) 土は,岩石が風化してできたものであること,その成分や粒度などによって性質が連うことおよびその違いが植物の生育に影響することを理解する。

イ 川と海の作用について理解する。
 (ア) 流水は,浸食,運搬,たい積の作用で地形を変えることを理解する。
 (イ) V字形の谷,扇状地,三角州などのでき方を理解し,地形図の見方を習得する。
 (ウ) 湖のでき方やはたらきについて知る。
 (エ) 海水の浸食,運搬,たい積の作用と,海食がい,海食台,砂州などのでき方を理解する。
 (オ) 地形は浸食によって,長い間に幼年期,壮年期,老年期の順に変わっていくことを理解する。

ウ 火山と地震について理解する。
 (ア) 火山には,溶岩,火山灰,火山弾,火山ガスなどを噴出するものがあることを知る。
 (イ) 火山の形は,溶岩の性質や噴火のしかたなどによって決まることを理解する。
 (ウ) 火山の分布を調べ,また,火山活動の原因を考察する。
 (エ) 温泉は,地下から熱い渇がわき山したもので火山地城に多いことを知る。
 (オ) 地震計に振り子が利用されるわけを理解する。
 (カ) 初期微動の継続時間から震源までの距離がわかることを知る。
 (キ) 日本の震央分布から,地震の多い地域と少ない地域のあることを知る。また,世界の震央分布と比較する。
 (ク) 地震のおもな災害とその防止の方法について知る。

エ 地かくの動きについて理解する。
 (ア) 河岸段丘や海岸段丘などの地形は,土地の隆起によってできたものであることを理解する。
 (イ) リアス式海岸やおぼれ谷などの地形は,土地の沈降によってできたものであることを理解する。
 (ウ) 地層に見られるしゅう曲や断層を調べ,そのでき方を知る。
 (エ) 山脈は,しゅう曲や断層が大がかりに起こってできたものであることを知る。

(3) 地かくを構成しているおもな岩石,鉱物に関心を深め,観察によりその特徴や成因,および地かくが岩石によってできていることを指導する。

ア 岩石のでき方と性質について理解する。
 (ア) 花コウ岩,安山岩などを観察して,粒,色,かたさなどの特徴に気づくとともにこれらが火成岩であり,いくつかの種類にわけられることを知る。
 (イ) おもな火成岩の組織から,そのでき方を考察する。
 (ウ) 火成岩の節理の特徴を知る。
 (エ) 浸食によるどろや砂が積もってできたデイ岩,砂岩,レキ岩,粘板岩などの特徴を理解する。
 (オ) 生物体がもとになってできたたい積岩の特徴や種類を知る。
 (カ) 火山の噴出物が積もってできたたい積岩の特徴や種類を理解する。
 (キ) 変成岩のおもな種類と特徴を調べ,その成因を考察する。
 (ク) 石材として利用されている岩石の性質と利用との関係を理解する。
 (ケ) 岩石にはガラス,セメント,陶磁器などに利用されるものがあることを知る。

イ いくつかの鉱物の種類を調ベその利用に関心をもつ。
 (ア) 花コウ岩は石英,長石,雲母などからできていることを知り,これらの鉱物には,形,色などに違いがあることに気づく。
 (イ) 水晶や方解石などの鉱物の形を観察したり,ガラス,小刀などでかたさを比べたりして,その違いに気づく。
 (ウ) 黄鉄鉱,黄銅鉱または方鉛鉱などの金属鉱物を観察して,色,形,かたさ,素焼きのものにこすったときの粉の色など,これらの鉱物にはそれぞれ特徴があることを知るとともに,鉱物には金属を取り出すことができるものがあることを知る。

(4) 水と空気を中心として,固体・液体・気体の基本的な性質および化合物・単体,元素・原子などの概念について指導する。

ア 重さと力について調べる。
 (ア) 液量計で水の体積を測り,その測れるわけと方法を理解する。
 (イ) はかりで水の重さを測り,水1cm3の重さが,ほぼ1gであることを確かめ,あわせて水の重さの測り方を習得する。
 (ウ) 力の大きさを重さで表わすことを理解する。

イ 圧力について調べる。
 (ア) 圧力は面に垂直にはたらく力であることを理解する。
 (イ) 圧力の強さは単位面積当たりの力の大きさで表わすことを理解する。

ウ 水の圧力について調べる。
 (ア) 水の中にある物が,水の圧力を受けることを調べ,水の深さと圧力の強さとの関係を理解する。
 (イ) パスカルの原理を理解し,これの水圧機への応用を知る。

エ 水による浮力について調べる。
 (ア) アルキメデスの原理を理解し,船が浮くわけを考察する。

オ 比重について調べる。
 (ア) 比重の意味を知り,固体の比重の測り方を理解する。
 (イ) 物の浮き沈みと比重との関係を調べ,浮きばかりで液体の比重が測定できるわけを考察する。

カ 水平面について調べる。
 (ア) 水は静止すると水平面をつくることを知る。
 (イ) 水平面と鉛直線とが直交することを調ペる。

キ 表面張力について調べる。
 (ア) 水の表面には表面張力がはたらくことを確かめ,表面張力によって起こる諸現象を調べる。

ク 毛管現象について調べる。
 (ア) 毛管現象がいろいろな場合に起こっていることを調べる。
 (イ) 管が細いほど水が高くまで上がることを確かめる。

ケ 空気の重さについて調べる。
 (ア) 空気に重さがあることを調べる。

コ 大気の圧力について調べる。
 (ア) 大気の圧力が存在することを確かめる。
 (イ) トリチェリーの実験によって,大気の圧力と真空とを理解する。
 (ウ) 気圧の単位を知る。
 (エ) サイホンのはたらきを調べる。

サ 空気の圧力の体積について調ペる。
 (ア) 容器中の空気の体積と圧力の関係を調べ,ボイルの法則を理解する。
 (イ) 圧搾空気の利用について知る。

シ 空気による浮力について調べる。
 (ア) 気球が空気中に上がるわけを知る。

ス 水の三態について調べる。
 (ア) 水の三態の変化と温度との関係を調べ,沸点,氷点が温度の定点になることを理解する。
 (イ) 水の三態の違いが水の分子の集まり方の違いから説明できることを知る。
 (ウ) 水は4°Cのとき比重が最も大きいことを知る。

セ 沸点と氷点を調べる。
 (ア) 沸点と氷点と測り方および温度の目もりの決め方を理解する。

ソ 飲料水について調べる。
 (ア) 色,臭,濁り,溶解物,細菌などの有無について良い水と悪い水との違いを知る。
 (イ) 上水道における浄水のしかたを知る。
 (ウ) ろ過のしかたを習得する。

タ 純粋な水について調べる。
 (ア) 蒸留水と天然水との違いを知る。
 (イ) 蒸留の方法を理解する。

チ 溶液について調べる。
 (ア) 濁った液と溶液とを比べる。
 (イ) 溶液の概念を確かにする。
 (ウ) 食塩,硫酸銅などの溶け方が違うことや,同じ物質でも溶け方が温度によって違うことを理解する。
 (エ) 濃度とその表わし方(重量パーセント)を理解する。
 (オ) 物を速く溶かす方法を調べる。

ツ 海水について知る。
 (ア) 海水には,食塩や塩化マグネシウムか溶けていることを知る。
 (イ) 食塩の溶け方,結晶などその性質と日常生活におけるおもな用途を知る。

テ 結晶について調べる。
 (ア) 食塩,ミョウバンなどの水溶液から結晶を作り,結晶の形が物質によって特有であることを理解する。

ト 水の成分について調べる。
 (ア) 水を電気分解して,その成分を調べる。
 (イ) 酸素と水素とで水が合成さることから化合の概念を理解する。
 (ウ) 化学変化と物理変化の追いを知る。

ナ 水素について調べる。
 (ア) 希酸と金属の反応などで水素が発生することを調べる。
 (イ) 水素のおもな性質を理解する。

ニ 元素と原子とについて知る。
 (ア) 純粋な物質と混合物とがあることを知る。
 (イ) 化合物と単体とがあることを知る。
 (ウ) 水などについて原子と分子の概念を理解する。
 (エ) いくつかの元素と元素記号を知る。
 (オ) 水などについて,成分元素の種類と成分元素の原子数の割合を,化学式で表わすことを理解する。

ヌ 空気の組成について調べる。
 (ア) 空気中はその体積のおよそ1/5が酸素であることを調べ,空気の組成の大要を知る。

ネ 酸素について調べる。
 (ア) 過酸化水素と二酸化マンガンによって酸秦が発生することを調ベ,二酸化マンガンが触媒としてはたらいていることを知る。
 (イ) 酸素のおもな性質を理解する。

(5) 燃焼によって起こる化学変化とその表わし方および熱によって温度上昇熱膨張,状態の変化などが起こることを指導する。

ア いろいろなものの燃焼について調べる。
 (ア) 水素や木炭を燃やし水素が撚えてできるもの,木炭が燃えてできるものを確かめ,それらの調べ方を理解する。
 (イ) 石油,ロウ,砂糖などが燃えてできるものから,もとの物質に水素と炭素があることを理解する。
 (ウ) すすのできる燃え方を調べ,あわせて炎が朋るいのは炭素粒によることを知る。
 (エ) マグネシウムを燃やして,その燃え方や燃えてできるものを調べる。
 (オ) 水素,炭素,マグネシウムが燃える反応を化学反応式で表わすことを理解する。
 (カ) 酸化と酸化物について理解する。

イ 爆発について知る。
 (ア) 水素と空気の混合物の爆発について知る。
 (イ) 紙火薬,花火など身近なものの爆発の危険を知り,土木工事,内燃機関などの利用について知る。
 (ウ) 黒色火薬の成分のはたらきを知る。

ウ 燃焼の条件と消火について調べる。
 (ア) 発火点と引火点を理解する。
 (イ) 燃焼が続く条件を調べ,消火の原理と応用を理解する。

エ 温度と熱量について調べる。
 (ア) 温度の違うものを接しておくと,それらの物の温度が等しくなることに気づく。
 (イ) 冷水と温水を混ぜたりして,熱の移動による温度の変化を知り熱量の概念を理解する。
 (ウ) 同じ熱量を与えても,物によって温度の上がり方が違うことを知る。
 (エ) 水の比熱は,他の物質に比べて特に大きいことを知る。

オ 熱膨張について調べる。
 (ア) 鉄鋼などは熱によって膨張し,固体の膨張の割合は,物質によって違うことを理解する。
 (イ) 液体の膨脹の割合は,一般に固体に比べて大きいことを理解する。
 (ウ) 気体の熱膨張の割合は,固体や液体に比べて大きく,また気体によって,ほとんど違わないことを知る。
 (エ) 液体温度計,バイメタルなどから,熱膨張が温度の測定などに利用されていることに気づく。

カ 融解と擬固について調べる。
 (ア) 物がとけるときは,一定の融点があり,また融解熱を要することを理解する。
 (イ) 物が凝固するときには,その体積が変化することを知る。

キ 気化と液化について調べる。
 (ア) 沸勝は気化が液体の内部から起こることに気づく。
 (イ) 水,アルコールなどの沸点を測ることにより,物質によって沸点が違うことに気づき,純粋な物質はそれぞれ沸点が決まっていることを知る。
 (ウ) 圧力によって沸点が変化することを知る。
 (エ) 気化の様子を調ベ,気化には気化熱を要することを理解する。
 (オ) 水が液体から気体になると,その体積が増すことを知る。
 (カ) 空気中の飽和水蒸気の量は,温度によって変わることを知り,また,湿度の意味と表わし方を理解する。
 (キ) 冷凍機の原理を知る。
 (ク) 液体空気の性質を知る。
 (ケ) ヨウ素,ドライアイスなどを使って,昇華の現象を調べる。

3 指導上の留意事頑
(1) 内容(1)で扱う生物や内容(2),内容(3)で扱う岩石と鉱物については,できるだけ身近なものを選び,それらの特徴を,分類の基礎的な考え方と関連づけて指導する。種類を多くして,これらを機械的に記億させることは避ける。
(2) 内容で(1)で扱う生物や内容(2)で扱う地かくの変化や構造,および内容(3)で扱う岩石と鉱物については,できるだけ野外観察や野外調査をさせ,自然を直接に観察して,そこから系統や原因を帰納させるように指導する。
(3) 内容(4)トの(ア)〔水を電気分解して,その成分を調べる〕の項では,イオンについての考え方に触れて,指導することが望ましい。
(4) 内容(4)ネ(ア)(イ)については第1学年の内容(6)イ(ア)との関連を考えて扱う。
(5) 内容(4)および内容(5)の指導においては,比例,反比例などの数量関係があることを取り扱うが,この学年ではこれらの関係を文字を用いた式で表わすことはできるだけ避ける。
(6) 内容(4)および内容(5)で取り扱う元素記号,化学式および化学反応式の種類は,内容で触れたものの程度にとどめる。また構造式は取り扱わない。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 各学年の内容にあげた事項は,いずれも学校の指導計画に含まれ指導されるべきものであるが,各事項のまとめ方や順序については,これによる必要はない。学校において適切な組織順序をもった指導計画を立てて指導する。
2 指導計画作成にあたっては,基本的事項の指導をじゅうぶんに行なうことができるように配慮する。このために,指導計画の中に取り入れて指導する事項は,特に精選することがたいせつである。最低授業時数より多くの時数を充てて指導する場合においても,各学年の内容にあげた各項目の学習をさらに深めることを方針とし,いたずらに多くの事項を取り扱うことは避ける。
3 内容中(ア)(イ)(ウ)などの事項は,内容の程度や望ましい学習活動を示してある。
 学習指導にあたっては,その地域の実情や学校の施設設備などに応じ,適切な方法によってそのねらいを達成するように努めることがたいせつである。
4 内容中にあげた生物の種名や岩石名などは,その例を示したものであるから,地域の生物や地質などを考慮して,それを学習に生かすようにし,また,季節や地域の気象,行事などの関連に留意し,適切な時期に観察,実験,飼育,栽培などができるように計画する必要がある。
5 生徒の発達段階に応じ,その興味関心を発展させ,生徒の経験や実生活との結びつきを重んじ,つとめて具体的な事物,現象からはいり実証的,研究的な態度で学習させるようにすることがたいせつである。なお,この場合生徒の個人差にも適切に対処できるように考慮する必要があるが,学習可能なことはつとめて扱うようにし,能力や態度については,同じことがらについて反復して積み上げていくようにする。
6 生徒は経験領域が狭いからできるだけ広く観察実験を行なうことが必要であって,実験観察を行なわないで,単に知識のみに偏することは厳に避けなければならない。そのためには,平素から学習の環境を整傭し,自然の事物や現象に接する機会を多くしたり,観察実験がたやすくできるようにし,生徒の学習態度を助長するように指導することが望ましい。
7 学習活動を展開するにあたっては,生徒の特質をじゅうぶんに考慮し,常に生徒とともに学ぶという態度がたいせつで,特に観点を指示することによって,目標を見あやまらないようにすることがたいせつである。
8 基礎的な実験法や計量器,機械,器具などの取り扱いの技能を高めることがたいせつであるが,これらが機械的操作に陥らないように,指導する事項との関連をじゅうぶんに図り,操作の意味を考えさせるように指導する。
9 野外観察,実験などにあたり,事故の防止を特に留意すること,不注意あるいは無意識な動作,好奇心による行動,扱い方を理解しないで操作することなどから,けがをしたり,機械器具を破損したりすることを理解させ,理科の時間ばかりでなく,日常生活においても科学的な考え深い行動をとる習慣をつけるように指導する。



 
第5節 音    楽

第1 目  標

1 聴覚,視覚,振動感覚およびその他の感覚などを通して,音楽経験を豊かにし,音楽的感覚を養うとともに,美的情操の発達を図る。
2 音楽の表現活動に必要な技能の習熟を図り,音楽を表現する喜びを味わう能力を伸ばす。
3 聴覚利用を図ることによってわが国および世界のよい音楽に親しむ心情を伸ばし,鑑賞能力を養う。
4 音楽経験を豊かにするために必要な音楽に関する知識を表現や鑑賞の音楽活動を通して得させる。
5 音楽経験を通して得た能力や情操を実生活に生かし,日常生活にうるおいや豊かさをもたらす態度や習慣を育てる。

 上に掲げた音楽科の目標は,相互に密接な関連をもつものであるが,目標1は,音楽科で指導すべき総括的な目標である。したがって,各学年における具体的な学習が,主として目標2,3および4のいずれにかかる場合においても,常に,その指導の根底には,目標1が考慮されなければならない。目標2,3および4は,それぞれ表現能力,鑑賞能力および知的理解についてその目標を掲げたものであるが,各学年における具体的な学習においては,当然,小学部において,経験したところの身体表現なども含めてこれらのねらいが有機的に結びつけられるとともに,目標5との関連が考慮されなければならない。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 小学部における学習経験の基礎の上に,音楽の表現力をいっそう高めることに重点をおくとともに音楽に親しみそれを理解する力の基礎を養い,中学部における音楽学習の基礎を確立する。
(2) 小学部における学習経験の基礎の上に,身体運動によって,リズム感覚を身につけ,その表現ができるようにする。
(3) 簡易な編成による合奏によって,楽器演奏の技能を養い,合奏の楽しさを味わわせる。
(4) せい唱や輪唱などによって,歌う喜びを深めるとともに,歌唱技能や読譜能力を伸ばす。
(5) 広く,よい音楽を開かせ,鑑賞への興味をもたせるとともに音楽についての初歩的な知識も身につけさせる。
(6) 愛好曲をいっそう豊かにして,学校生活の中に好ましい音楽的ふんい気を作り,これを家庭生活にも及ぼすようにする。

2 内  容
 A 身体表現
(1) 身体運動を通して強弱や速度に対する感覚を伸ばす。
 (ア) 歩幅を広く歩いたり,(大きく手を打ったり)狭く歩いたり,(小さく手を打ったり)歩行,拍手などで強弱表現をする。
 (イ) 速く走ったり,ゆっくり歩いたりして,歩行,拍手などでいろいろな速度表現をする。
 (ウ) 聞いた音楽の強弱や速度に合わせて身体表現をする。
(2) 身体運動を通して基礎リズムを表現する能力を伸ばす。
 (ア) 既習の基礎リズムを手で打ったり,ステップしたり,リズム唱をしたり,またリズム楽器で打ったりする。
 (イ) 腕で拍子をとりながら既習のリズムをステップする。
(3) 拍子感を伸ばす。
 (ア) 腕で拍子をとりながら,既習のリズムをステップする。
 (イ) 腕で拍子をとりながら,歌のリズムをステップする。
(4) フレーズ感を身につける。
 (ア) 歌のリズム・フレーズを身体表現する。
 (イ) 楽譜を見ながら,いろいろのリズム・フレーズを身体表現する。
(5) 即興的にリズム表現をする能力を伸ばす。
 (ア) 与えられたリズム・フレーズに続く次のフレーズを表現する。
 (イ) 即興したリズム・フレーズを記譜する。

 B 器  楽
(1) 楽しく演奏する態度を養う。
 (ア) 音楽に合わせてリズム楽器を打つ。
 (イ) 楽譜を見ながらリズム楽器を打つ。
 (ウ) 旋律楽器で,好きな旋律や歌を演奏する。
 (エ) ひとりで演奏したり,みんなで演奏したりする。
(2) 楽器を演奏する技能を伸ばす。
 (ア) よい姿勢,正しい持ち方,美しい音色で演奏する。
 (イ) その楽曲を最も美しく表現できる速度や強弱に気をつけて演奏する。
 (ウ) 吹奏用けん盤楽器で習った歌の旋律を吹く。
 (エ) オルガンで,習った歌およびいろいろな旋律をひく。
 (オ) 木琴や鉄琴で,習った歌の旋律をひく。
(3) 合奏の能力を伸ばす。
 (ア) 歌唱曲を編曲した簡単な曲を合奏する。
 (イ) フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。
 (ウ) 指揮者の指示に従って合奏する。
 (エ) 総譜に親しむ。
(4) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

 C 歌唱
(1) 楽しく歌う。
 (ア) 伴奏に合わせて楽しく歌う。
 (イ) 歌詞の内容を理解し,気持ちをこめて歌う。
 (ウ) 自分で指揮したり,人の指揮に合わせて歌ったりする。
(2) 歌唱伎能を伸ばす。
 (ア) よい姿勢で歌う。
 (イ) むりのない自然な声で歌う。
 (ウ) はっきりした発音で歌う。
 (エ) 曲に合った速度や強弱に気をつけて歌う。
 (オ) リズムを正しく歌う。
 (カ) 呼吸法に気をつけて歌い出し,息づき,フレーズのくぎり方および歌い終わりを正しく歌う。
 (キ) レガートやスタカートの歌い方に慣れる。
 (ク) せい唱や輪唱などをする。
(3) 読譜および記譜の能力を養う。
 (ア) 楽譜を見ながらリズム唱やリズム打ちをする。
 (イ) 習った歌をなるべく多く階名暗唱する。
 (ウ) 楽譜を見て,歌ったり,書いたりする。
(4) 愛唱歌をもたせる。
 (ア) 習った歌をそらで歌う。

 D 聴覚利用・鑑賞
(1) 楽しく聞く態度を養う。
 (ア) 明るくリズミカルな音楽を聞く。
 (イ) 音楽の美しさを味わって聞く。
 (ウ) 聞いた歌や音楽の主題を口ずさむ。
(2) 静かに注意深く,しかも想像豊かに閑く習慣を養う。
 (ア) いろいろな演奏を静かに注意深く聞く。
 (イ) 放送やレコードなどの音楽を注意深く想像豊かに聞く。
(3) 聴覚,振動感覚およびその他の感覚などによって音楽的感覚を伸ばす。
 (ア) 音楽を閲いてリズムの変化を感じとり,身体表現をする。
 (イ) 音楽の表情を感じとり,身体表現をする。
 (ウ) 対照的な感じの音楽を比較して開く。
(4) 楽器の種類とその特徴を理解させる。
 (ア) オーケストラの楽器や日本楽器の形状や演奏姿勢を理解しその音色に親しむ。
(5) 音楽の種類および演奏形態について理解させる。
 (ア) 声楽曲および器楽曲などいろいろの音楽を聞く。
 (イ) いろいろな演奏形態のあることを理解する。
(6) 愛好曲をもたせる。

3 指導上の留意事項
(1) 入学当初には,生徒のこれまでの音楽経験に違いのあることを考慮しその調整を行なう必要がある。
(2) 特に変声期前なので,声に無理のないよう,留意すること。
(3) 鑑賞曲の選曲にあたっては,生徒の能力に応じて,あまり高度なものにならないような配慮が必要である。

〔第2学年〕
1 目  標
(1)第1学年における学習経験の基礎の上に,多くの,すぐれた楽曲にふれさせ,音楽的感覚をいっそう伸ばす。
(2) 身体運動によって基礎的なリズム感覚を伸ばし,創造的なリズム表現ができるようにする。
(3) 楽器演奏の技能の向上を図るとともに,平易な器楽曲の演奏によって合奏の楽しさを経験させる。
(4) 変声期に即した,歌唱法により,せい唱,輪唱などを通して,歌唱能力を伸ばすとともに読譜および記譜能力をいっそう高め,自主的な学習ができるようにする。
(5) 鑑賞活動を盛んにして,鑑賞への興味を深め音楽について知識を身につけさせる。
(6) 郷土の音楽やいろいろな民謡および世界の名曲に親しませる。
(7) 愛好曲をいっそう豊かにし,学校生活の中に好ましい音楽的ふんい気を作り,あわせて家庭生活においても明るく,楽しいものにしようとする態度や習慣を育てる。

2 内  容
 A 身体表現
(1) 身体運動を通して強弱や速度に対する感覚を伸ばす。
 (ア)リズム・フレーズをいろいろな強弱で表現する。

   
など。
 (イ) リズム・フレーズをいろいろな速度で表現する。
 (ウ) 聞いた音楽の強弱や速度の漸次的変化に合わせて身体表現をする。
  例 クレシェンド,デクレッセンド
    リタルランド,アッチレランド
                   など。
(2) 身体運動を通じて基礎リズムを表現する能力を伸ばす。
 (ア) 既習のリズムのほかに   を含めて,手で打ったり,ステップしたり,リズム唱をしたり,またリズム楽器で打ったりする。
 (イ) 既習の基礎リズムを組み合わせて,手で打ったり,ステップしたり,リズム・カノンをしたりする。
  リズムを組み合わせた曲
   
など。
   
など。

    リズム・カノン例
   
など。

(3) 拍子感を伸ばす
 (ア) 腕で拍子をとりながら既習のリズムのほかに
を含むリズムをステップする。
 (イ) 拍子に合わせて歩きながら,手でリズムを打つ。
(4) フレーズ感を身につける。
 (ア) 合奏曲のフレーズごとに楽器を変えて打つ。
 (イ) リズム・フレーズを,リズム打ちや身体表現してから,書き取る。
(5) 即興的にリズム表現する能力を伸ばす。
 (ア) シンコペーションを含むリズム・フレーズを即興して,演奏する。
 (イ) 即興したリズムフレーズを記譜する。

 B 器  楽
(1) 楽しく演奏する態度を養う。
 (ア) 音楽に合わせてリズム楽器を打つ。
 (イ) 楽譜を見ながらリズム楽器を打つ。
 (ウ) 旋律楽器で,好きな旋律や歌を演奏する。
 (エ) ひとりで演奏したりみんなで演奏したりする。
(2) 楽器を演奏する技能を伸ばす。
 (ア) よい姿勢,正しい持ち方,美しい音色で演奏する。
 (イ) 速度や強弱に気をつけて演奏する。
 (ウ) 吹奏用けん盤楽器で習った歌およびいろいろな旋律を吹く。
 (エ) オルガンで習った歌およびいろいろな旋律をひく。
 (オ) 木琴や鉄琴で,習った歌の旋律をひく。
(3) 合奏の能力を伸ばす。
 (ア) 歌唱教材を編曲した合奏曲や簡単な器楽曲を合奏する。
 (イ) フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。
 (ウ) 指揮者の指示に従って合奏する。
 (エ) 総譜に親しむ。
(4) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

 C 歌  唱
(1) 楽しく歌う態度を養う。
 (ア) 伴奏に合わせて歌う。
 (イ) 歌詞の内容を理解し,気持ちをこめて歌う。
 (ウ) 自分で指揮をしたり,人の指揮に合わせて歌ったりする。
(2) 歌唱技能を伸ばす。
 (ア) よい姿勢で歌う。
 (イ) むりのない自然な声で歌う。
 (ウ) はっきりした発音で歌う。
 (エ) 曲に合った速度や強弱に気をつけて歌う。
 (オ) リズムを正しく歌う。
 (カ) 呼吸法に気をつけて歌い出し,息づき,フレーズのくぎり方および歌い終わりを正しく歌う。
 (キ) レガートやスタカートの歌い方に慣れる。
 (ク) せい唱や輪唱などをする。
(3) 読譜および記譜の能力を伸ばす。
 (ア) 楽譜を見ながらリズム唱やリズム打ちをする。
 (イ) 習った歌をなるべく多く階名暗唱する。
 (ウ) 楽譜を見て,歌ったり書いたりする。
(4) 愛唱歌をもたせる。
 (ア) 習った歌をそらで歌う。

 D 聴覚利用 鑑賞
(1) 楽しく聞く態度を養う。
 (ア) 朋るくリズミカルな音楽のほかに,静かで美しい音楽も聞く。
 (イ) 音楽の美しさを味わって聞く。
 (ウ) 聞いた歌や音楽の主題を口ずさむ。
(2) 静かに,注意深く,しかも想像豊かに聞く。
 (ア) いろいろな演奏を静かに注意深く聞く。
 (イ) 放送やレコードなどの音楽を注意深く,想像豊かに聞く。
(3) 聴覚,振動感覚,およびその他の感覚などによって音楽的感覚を伸ばす。
 (ア) 音楽を聞いて,リズムの変化を感じとる。
 (イ) 音楽の表情を感じとり身体表現をする。
 (ウ) 対照的な感じの音楽を比較して聞く。
(4) 楽器の種類とその特徴を理解させる。
 (ア) オーケストラの楽器や日本の楽器の形や演奏姿勢を理解しその音色に親しむ。
(5) 音楽の種類および演奏形態について理解させる。
 (ア) 声楽曲および器楽曲などいろいろな音楽を聞く。
 (イ) いろいろな演奏形態のあることを理解する。
(6) 愛好曲をふやす。
 (ア) 声楽曲および器楽曲のいろいろな音楽を聞く。
 (イ) 音楽にはいろいろな演奏形態のあることを理解する。

3 指導上の留意事項
(1) C(歌唱)の(2)に掲げたレガートやスタカートなどの歌唱技能は,生従の能力に応じて無理のない取り扱いをすること。
(2) 変声期なので,特に歌唱指導においては,発声に注意すること。
(3) 楽譜を見て直感的に歌ったり器楽演奏したりできるように導くこと。
(4) 内容の(器楽)の指導は,なるべく楽譜と結びつけて指導することが望ましい。
(5) 郷土の音楽を取り上げる際には,その音楽と生活との関係などについて,理解をもたせることにも注意が必要である。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 第1学年および,第2学年における,学習経験をさらに充実し,音楽的諸能力を育てることに重点をおく。
(2) 身体運動によって,基礎的なリズム感覚をいっそう伸ばし,即興的に創造的なリズム表現ができるようにする。
(3) 第2学年までに習得した演奏の技能を活用して,より音楽的な合奏ができるようにさせる。
(4) 変声後の各自の音声に応じた,より充実した,せい唱,輪唱等の歌唱表現の経験を得させるとともに楽譜についての理解を深め,読譜能力および記譜能力をいっそうたかめ,自主的な学習ができるようにする。
(5) 鑑賞活動を盛んにしてよい音楽を積極的に聞こうとする態度を育てるとともに音楽についての知識を身につけさせる。
(6) 広く世界の名曲に親しませ,かつ日本の音楽にも関心を持たせる。
(7) 愛好曲をいっそう豊かにして,学校生活の中に好ましい音楽的ふんいきをつくり,家庭生活や地域社会などにおいても,明るく,楽しいものにしようとする態度や習慣を育てる。

2 内  容
 A 身体表現
(1) 身体運動を通して強弱や速度に対する感覚を伸ばす。
 (ア) 楽曲の強弱に適合した表現をする。
 (イ) 楽曲の速度に適合した表現をする。
 (ウ) 楽曲の強弱や速度をより音楽的に表現する。
(2) 身体運動を通して基礎リズムを表現する能力を伸ばす。
 (ア) 既習の基礎リズムを手で打ったり,ステップしたり,リズム唱したりまた,リズム楽器で打ったりする。
 (イ) 基礎リズムでリズムカノンや複合リズムの表現をする。
 (ウ) 6/8拍子のリズム表現をする。
(3) 拍子感を伸ばす。
 (ア) 合奏や歌唱の指揮をする。
 (イ) 教師の合い図によって,手と足の拍子とリズムを取り替える。


   
          「はい」             「はい」

(4) フレーズ感を身につける。
 (ア) 歌や合奏曲のフレーズをステップする。
 (イ) リズム・フレーズを作って,歌ったり,楽器で打ったりしたあとで書き取る。
(5) 即興的にリズム表現をする能力を伸ばす。
 (ア) 複合リズムのリズム・フレーズを作って書き,それを表現する。
 (イ) 作ったリズム・フレーズを互いに批評しあう。

 B 器  楽
(1) 楽しく演奏する態度を養う。
 (ア) 音楽に合わせて,リズム楽器を打つ。
 (イ) 楽譜を見ながら,リズム楽器を打つ。
 (ウ) 旋律楽器で,好きな旋律や歌を演奏する。
 (エ) ひとりで演奏したり,みんなで演奏したりする。
(2) 楽器を演奏する技能を高める。
 (ア) よい姿勢,正しい持ち方,美しい音色で演奏する。
 (イ) その楽曲を最も美しく表現できる速度や強弱に気をつけて演奏する。
 (ウ) 吹奏用けん盤楽器で習った歌およびいろいろな旋律を吹く。
 (エ) オルガンやアコーディオンで習った歌およびいろいろな旋律をひく。
 (オ) 木琴や鉄琴で,習った歌およびいろいろな旋律をひく。
(3) 合奏の能力を高める。
 (ア) 歌唱教材を編曲した合奏曲や簡単な器楽曲を合奏する。
 (イ) フレーズごとに楽器の組み合わせをくふうして,分担奏や合奏をする。
 (ウ) 指揮者の指示に従って合奏する。
 (エ) 総譜に親しむ。
(4) 楽器の取り扱いや手入れに注意する習慣を養う。

 C 歌  唱
(1) 楽しく歌う態度を養う。
 (ア) 伴奏に合わせて楽しく歌う。
 (イ) 歌詞の内容を理解し,気持ちをこめて歌う。
 (ウ) 自分で指揮したり,人の指揮に合わせて歌ったりする。
(2) 歌唱技能を高める。
 (ア) よい姿勢で歌う。
 (イ) むりのない自然な声で歌う。
 (ウ) はっきりした発音で歌う。
 (エ) 曲にあった速度や強弱に気をつけて歌う。
 (オ) リズムに合わせて正しく歌う。
 (カ) 呼吸法に気をつけ,歌い出し,息づき,フレーズのくぎり方および歌い終わりを正しく歌う。
 (キ) レガートやスタカートの歌い方およびクレシェンドやデクレシェンドの歌い方に慣れる。
 (ク) せい唱や輪唱などをする。
(3) 読譜および記譜の能力を伸ばす。
 (ア) 楽譜を見ながらリズム唱やリズム打をする。
 (イ) 習った歌をなるべく多く階名暗唱する。
 (ウ) 楽譜を見て,歌ったり書いたりする。
(4) 愛唱歌をふやす。
 (ア) 習った歌をそらで歌う。

 D 聴覚利用,鑑賞
(1) 楽しく聞く態度を養う。
 (ア) 明るくリズミカルな音楽のほかに静かで美しい音楽も聞く。
 (イ) 音楽の美しさを味わって聞く。
 (ウ) 聞いた歌や音楽の主題を口ずさむ。
(2) 静かに注意深く,しかも想像ゆたかに聞く習慣を養う。
 (ア) いろいろな演奏を,静かに注意深く聞く。
 (イ) 放送やレコードなどの音楽を注意深く想像豊かに聞く。
(3) 聴覚,振動感覚,その他の感覚などによって音楽的感覚をいっそう伸ばす。
 (ア) 音楽を聞いて,リズムの変化を感じとる。
 (イ) 音楽の表情を感じとり,身体表現をする。
 (ウ) 対照的な感じの音楽を比較して聞く。
(4) 楽器の種類とその特徴を理解させる。
 (ア) オーケストラの楽器や,日本の楽器の形状や演奏姿勢を理解し,その音色に親しむ。
(5) 音楽の種類および演奏形態について理解させる。
 (ア) 声楽曲および器楽曲のいろいろな音楽を聞く。
 (イ) 音楽にはいろいろな演奏形態のあることを理解する。
(6) 愛好曲をふやす。

3 指導上の留意事項
(1) この学年においては,変声期も終わるのであるが,なお,かつ発声には,じゅうぶんな注意が必要である。
(2) いずれの領域についても,あまり,高度のものを求めないように配慮すること。
(3) 世界の名曲に親しませるときには,特に鑑賞と関連させて具体的にはあくさせるよう留意する。
(4) 創作において児童が即興的に歌ったり書いたりした作品は,なるべく,歌唱,器楽および鑑賞と関連を図って取り扱うことが望ましい。

第3 指導計画作成および学習指導の方針
1 各学年の内容は,「表現と聴覚利用・鑑賞」の二つの領域にわたって示し,また「表現」の内容は,身体表現,器楽および歌唱に分けて示してあるが,これらは相互に関連しあうものであり,その指導が統合的に行なわれてはじめて音楽の目標を達成することができる。したがって指導計画を作成することにあたっては,この点に特に留意しなければならない。
2 指導計画を作成するにあたっては,豊かな音楽経験が得られるよう,変化に富んだ取り扱いが必要であるが,一方,歌唱技能,演奏技能,視唱能力など基礎的な能力や技能に関するものは,各学年を通して系統的,累積的に指導する必要がある。
3 音楽の理解に関する学習は領域として示してなく,理解すべき事項は「表現」「聴覚利用・鑑賞」の中に盛り込んであるので,これらの事項は表現や聴覚利用・鑑賞を通して指導する。
4 指導にあたっては知的理解や技能の指導に片寄ることなく,感覚や身体表現に訴えて豊かな音楽経験をさせるようにする。
5 変声期の指導に関しては,各学年の内容に示したもののほか,次の点について考慮する必要がある。
(1) 教師はみずから生徒の変声期に関して理解し,生徒に対してもじゅうぶんこれを理解させる。
(2) 変声期中の生徒には適正な声量によって歌わせ,強声を求めたりまた,長期間を歌唱に充てないこと。
6 けん盤楽器を使用する学習にあっては紙けん盤を利用することもよい。
7 放送,録音機その他スライドや映画などを指導の補助手段として利用することが有効である。
8 選択教科としての音楽の時間においては,各学年の内容に示したものをより深めるという取り扱いをする。
 深めるべき内容としては,すべての領域にわたって行なうのもよいし,生徒の特性に応じて,何かの領域に重点をおいてもよい。



 
第6節 美    術

第1 目  標

1 絵画や彫塑などの表現や鑑賞を通して,美術的な表現意欲を高め,創作の喜びを味わわせる。
2 色や形などに関する学習を通して,美的感覚を洗練し,美術的な表現能力を養う。
3 わが国および諸外国のすぐれた美術作品を鑑賞させ,自然に親しませて,美術や自然美を愛好する心情や鑑賞する力を養う。
4 美術の表現や鑑賞を通して,情操を豊かにするとともに,美術的な能力を生活に生かす態度や習慣を養う。

 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として美術科の目標をなすものであるから,指導にあたっては,この点を常に考慮しなければならない。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 小学部における学習経験の基礎の上に,いっそう美術的な創造力を養う。
(2) 小学部に引き続いて自由な構想力を伸ばすとともに,写生的な表現力もあわせて養う。
(3) 色や形などを美術的に処理する能力や,デザインの能力の基礎を養う。
(4) わが国および諸外国の絵画や彫塑などのすぐれた作品に親しませ,表現能力を養うことに役だたせるとともに,すぐれた作品のよさを味わい楽しむ態度や能力を養う。

2 内  容
 A 表  現
(印象や構想などの表現)
 印象や構想などの表現を,以下写生による表現と構想による表現とに分けるものとする。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 写生による表現の指導においては,対象を観察し,対象物から受けた感動をとらえて表現する能力を養う。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 構想による表現の指導においては,外界の対象や生活経験,物語,詩などをもとにし,記億,想像,空想などを自由に表現する能力を養う。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 小学部における学習経験の基礎の上に,第1学年においては,構想による表現の指導にやや重点おくものとする。
(1) 写生による表現
 生徒の必要や興味によって身近な自然や人工物の中から美しさを見いだし,その印象を率直に表現させたり,対象の形や色を精密に観察して表現させたりする。
ア 絵  画
 (ア) 表現題材は,身辺な風景,動植物,人工物などとする。
 (イ) 表現材料は,鉛筆,コンテ,木炭,墨などの素描材料,水彩絵の具,パス類などの彩画材料その他から適宜選ぶものとする。
 (ウ) 表現方法は,素描的表現,彩画的表現その他(版画など)とする。
イ 彫  塑
 対象物の立体的な組み立てを観察し,量感を豊かに表現させる。
 (ア) 表現題材は,動植物,人物,その他の具象物とする。
 (イ) 表現材料は,繊維性塑材,粘土類,人工材料などの可塑材,木材,硬土類,人工材料などの彫刻材などから適宜選ぶものとする。
 (ウ) 表現方法は,浮き彫り,まる彫りとする。
(2) 構想による表現
 記憶,想像,空想などによって,構想を自由に表現させる。
ア 絵  画
 (ア) 表現題材は,生活経験に関連のあるもの,科学的なもの,文学的なものなどとする。
 (イ) 表現材料は,鉛筆,コンテ,木炭,墨などの素描材料,水彩絵の具,パス類などの彩画材料その他から適宜選ぶものとする。
 (ウ) 表現方法は,素描的表現,彩画的表現その他(版画など)とする。
イ 彫  塑
 (ア) 表現題材は,生活経験に関連のあるもの,科学的なもの,文学的なものなどとする。
 (イ) 表現材料は,繊維性塑材,粘土類,人工材料などの可塑材,木材,硬土類,人工材料などの彫刻材などから適宜選ぶものとする。
 (ウ) 表現方法は,浮き彫り,まる彫り,その他表現に適する任意な方法を選ぶものとする。
(色や形などの基礎練習)
 形体,色彩,材質感などによる構成練習を通して,調和の感覚を訓練し,絵画,彫塑などにおける表現やデザインの基礎的な能力を高めることを主とする。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 第1学年においては,基礎的で,比較的容易なものを扱い,生徒の興味と関心をよび起こさせる。
(1) 配色練習
 配色練習においては,次の練習を通して色の3要素を感覚的に理解させるとともに,色の感情と色の3要素の関係による調和について指導する。
ア 色の3要素を主にした配色練習
 色相関係,明度関係および彩度関係を主にしたものとする。
イ 色彩感情を主にした配色練習
 寒暖の感情,軽重の感情,強弱の感情および材質感と関連して,かたい感情や柔らかい感情をそれぞれ主にしたものとする。
(2) 形の構成練習
 美しい形を見いだしたり,創作したり,また造形の美的秩序を研究させる。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 第1学年においては,次の練習を通して,創造的構成の関心を高める。
ア 自然形をもとにした練習
 自然物の形をもとにして,自由な形体を作り出させるものとする。
イ 抽象形をもとにした練習
 簡単な幾何学的な図形や好きな抽象形を用いて,自由で,とらわれない配置や組み立てをさるせものとする。
(3) 材料についての経験
 材料は,おのおの材料特有の性質と材質感をもつが,それらの材料が美術的表現の材料となる可能性を感づかせ,見いださせる。第2学年および第3学年の場合も同じとする。 第1学年においては,次の活動を通して,材料は造形上おのおの特有の性質と材質感をもつものであることに気づかせ,材料についての興味を深めさせる。
ア いろいろな材料を集めて,比べたり,地はだを調べたりする。
イ 材料の扱い方をくふうして,いろいろな表現効果をためしてみる。
ウ 身近な材料で,立体のおもしろい形をくふうする。
(4) 表示練習
 事物を客観的に表現する態度や能力を養い,表示に必要な理解と能力を高める。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 第1学年においては,説明的によくわかる表現をする能力や態度を養うようにする。
 簡単な器物や動植物などを対象として,鉛筆その他の材料を使って,適切な方法で表示させる。
(美術的デザイン)
 デザインの指導においては,使用目的およびそれに関連するいろいろの条件を考えて,創造的な活動を行ない,美的に総合して物を作り上げる能力を養う。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 デザインの対象となるものは広い範囲に及ぶが,ここにいう美術的デザインの内容として扱うものは,工的技術を主とした,建築や工業的デザインを除いた分野のものとし,デザインの能力とみられる物の配置配合,環境の改善美化もここに加えて指導するものとする。第2学年および第3学年の場合も同じとする。
 第1学年においては,生徒の経験や興味を生かし,次のような身近なものについてのびのびとデザインをさせる。
(1) デザイン
 マーク,表紙,ポスター,包装紙,身近な日用品などから適宜選んで指導する。
(2) 物の配置配合
 文字や写真の配置配合,掲示板内の配置配合など適宜選んで指導する。

 B 鑑  賞
 主として表現の指導に関連して,自然や人工の美を観察,鑑賞させ,また絵画,彫刻などの名作に親しませる。

3 指導上の留意事項
(1) 2A(印象や構想などによる表現)の「(1)写生による表現」については,生徒の年齢上,写生的に表現しようとする傾向や欲求に適応して適切な指導が必要である。しかしあまり程度の高いことを期待して,表現意欲を妨げないようにじゅうぶん注意することが必要である。
 また「(1)写生による表現」においては,まず対象の美しさをじゅうぶん感じとらせることがたいせつである。このために教師は,この学年の生徒にも感じとられるような美しい対象を用意したり,環境を整えてやることか必要である。
(2) 2A(印象や構想などの表現)の「(2)構想による表現」については中学部生徒の年齢になると小学部児童ほど表現活動に自由さがなくなる傾向がみられるので,教師の適切な示唆により,生徒の想像力や,空想力を育て,表現の内容に深みや豊かさをもたせるように指導することが必要である。
 また,表現に移る前に表現の意図を明確にさせるようにする。
(3) 2A(色や形などの基礎練習)の「(1)配色練習」では,彩色や色紙などによって,指導を効果的にする必要がある。なお,彩色については,色の混合も指導するように留意する。
(4) 2A(色や形などの基礎練習)の「(2)形の構成練習」では,概念的な模様作りや,抽象画を求めることにならないように特に留意する。
 また,(2)の「ア 自然形をもとにした練習」では,観察の態度や方法によっていろいろ異なった見え方や感じ方があることなどをそれに適した方法を講じて気づかせ,新鮮な感銘によって形を作り出すことのできるように指導する。
 さらに,(2)の「イ 抽象形をもとにした練習」では,自由にのびのびと扱うことを主旨とするが,その練習は,あまり冗漫になったり,様式的にならないような注意がたいせつである。
(5) 2A(色や形などの基礎練習)の「(3)材料についての経験」では,いたずらに材料の種類を多くしたり,それらを扱う方法について,深入りした指導をしないように留意する。
(6) 2A(色や形などの基礎練習)の「(4)表示練習」で養う能力は,デザインや,絵画,彫塑などの表現に関連をもつものであるが,そのことがかえってそれらの表現が固定したり,定型化したりしないように留意することが必要である。
(7) 2A(美術的デザイン)の「(1)デザイン」の指導にあたっては,よい構想を持ちながら,表示能力が伴わないために,デザイン学習に困難をきたす生徒が多いので,表示の巧拙にかかわらずよい構想を認めるようにし,また,構想に適切な表示方法をくふうするように指導することがたいせつである。
 また,「(2)物の配置配合」における文字,写真などの配置配合の指導にあたっては,それらを単独に取り出して指導する場合もあってもよいが,むしろ他の内容の扱いに関連して指導の機会を見いだすようにすることが望ましい。
(8) 2の「B 鑑賞」における自然や人工の美の観察,鑑賞の指導は他の「A 表現」の内容と関連をとって行なうものとする。
 また,絵画,彫刻などの名作の鑑賞の指導にあたっては,生徒に親しみのある作品を選んで表現指導との関連を考えながら,いろいろな観点から扱うことが望ましい。
 さらに,美術品の扱い方や,作者や作品に対する尊敬の念を育てるように留意する必要がある。
(9) 聾(ろう)生徒は,創作力がとぼしかったり,模倣にかたむいたりする場合があるので,さまざまな表現形式を知らせ,形にはまらないように特に指導する必要がある。
(10) 聾(ろう)生徒の鑑賞指博は,写真,スライド等を多く用意したり,美術展覧会や美術館,博物館などを数多く見学させることに配慮して指導する必要がある。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 第1学年における学習経験の基礎の上に,さらに美術的な創造力を伸ばすとともに,基礎的な表現力や鑑賞力を養う。
(2) 写生的な表現力をいっそう伸ばすとともに,自由な構想力をも伸ばす。
(3) 第1学年における色や形などの基礎棟習や美術的デザインの学習経験を基礎にして,さらに意図的に自分の構想をまとめ,これを表現する能力を養う。
(4) 身近な生活環境を美術的に処理する態度や能力を養う。
(5) わが国および東洋諸国の絵画,彫刻,建築,工芸などの伝統的な作品のよさや美しさを楽しむ鑑賞力を養うとともに,美術文化に対する興味や関心をもたせる。

2 内  容
 A 表  現
(印象や構想などの表現)
 第1学年における学習経験の基礎の上に,写生による表現を主とし,構想による表現も指導する。

(1) 写生による表現
 対象の形体,色彩,材質などを観察して,表現させたり,また全体的,関係的に対象を観察して表現させたり,さらに,適切な構成をくふうさせたりすることによって,対象から受ける感動を表現させる。
ア 絵  画
 (ア) 表現題材は,身近な風景,動植物,人物などから適宜選ぶものとする。
 (イ) 表現材料は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(1)アの(イ)に示したものに同じとする。
 (ウ) 表現方法は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(1)アの(ウ)に示したものに同じとする。
イ 彫  塑
 対象物の立体の組み立てを観察し,均衡に留意して表現させる。
 (ア) 表現題材は,動植物,人物,その他の具象的なものとし,複合体などのやや程度の高いものを扱う。
 (イ) 表現材料は,粘土類,石こう,セメント,人工材料などの可塑材,硬土類,人工材などから適宜選ぶものとする。
 (ウ) 表現方法は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(1)イの(ウ)に示したものに同じとする。
(2) 構想による表現
 記憶,想像,空想などによる構想をやや計画的に表現させる。
ア 絵  画
 (ア) 表現題材は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(2)アの(ア)に示したものに同じとする。
 (イ) 表現材料は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(2)アの(イ)に示したものに同じとする。
 (ウ) 表現方法は,表現に適した任意な方法を選ぶものとする。
イ 彫  塑
 (ア) 表現題材は,第1学年2A(印象や構想などの表現)(2)イの(ア)に示したものに同じとする。
 (イ) 表現材料は,粘土類,石こう,セメント,人工材料などの可塑材,硬土類,軟石類,人工材料などの彫刻材などから適宜選ぶものとする。
 (ウ) 表現方法は,表現に適した任意な方法を選ぶものとする。
(色や形などの基礎練習)
 第1学年の内容として示したものをさらに深め,形体,色彩,材質感などの総合的な練習も行なわせる。
(1) 配色練習
ア 色の明示を主にした配色練習
 類似の調和,対照の調和および目だつ・目だたない関係を主にしたものとする。
イ 色の面積や配置を主にした配色練習
 律動,均衡,動勢および強調の扱い方を主にしたものとする。
(2) 形の構成練習
 形の構成練習において,次の練習を通して,自然の観察力を深めるとともに,構成力を養い,また,材質感についても考えさせる。
ア 自然形をもとにした練習
 自然物の形をよく観察して,形の特徴を生かした新しい形体を構成させるものとする。
イ 抽象形をもとにした練習
 抽象形の配置や組立にあたって,変化や統一などの美的構成に注意しながら行なわせるものとする。
(3) 材料についての経験
 第1学年2A(色や形などの基礎練習)の(3)に示した内容に準ずるが,「(2)形の構成練習」と融合して扱うことに重点をおくものとする。
(4) 表示練習
 第1学年2A(色や形などの基礎練習)の(4)に示した内容に準ずるとともに,明暗,陰影などの描写により,立体感や材質感を表現する能力を養う。
 器物,機械,交通機関などを対象として扱うものとする。
(美術的デザイン)
 デザイン上の諸条件を考え,条件に適応して,次のようなもののデザインをさせる。
(1) デザイン
 第1学年2A(美術的デザイン)の「(1)デザイン」に準ずるが,さらに包装容器,説明図などを加え,これらから適宜選んで指導する。
(2) 物の配置配合
 学校生活,家庭生活における室内のいろいろな用具,日用品などの配置配合を適宜選んで指導する。

 B 鑑  賞
 わが国および東洋諸国の絵画,彫刻,建築,工芸などの作品の鑑賞を通して,伝統的な作品のよさや美しさを楽しむとともに,美術文化への関心をもたせる。

3 指導上の留意事項
(1) 2A(印象や構想などの表現)の「(1)写生による表現」については,表現意欲を高めるように,観察する態度をいっそう養う必要があるので,見慣れたものの中にも美しさがひそんでいることを感得させるようにする。
 また,「(1)写生による表現」について,これを「2A(色や形などの基礎練習)」と関連づけ,いっそう効果的にする技法を指導する。このため時には分析的な指導をするのもよい。
 「(1)写生による表現」においては,写生的な表現に向く傾向の生徒と,これに抵抗を感ずる傾向の生徒が出てくるので,それぞれの生徒の個性を生かした指導をすることが必要である。
(2) 2A(印象や構想などの表現)の「(2)構想による表現」については時間的に制限があり,かつ,生徒の関心の度合いにも差が生じてくるから,「(1)写生による表現」とあわせて指導してもよい。
 また,表現の技法もくふうさせ,意図が芸術的にしだいに深まり,洗練された形で表現されるように指導する。
(3) 2A(色や形などの基礎練習)の「(1)配色練習」の指導は,単独に扱ってもよいが,常に形や材質感と結びつけて扱うことが望ましい。
 また,(1)の「イ 色の明示」を主にした配色構成では,色の3要素相互間の関係と,特に配色構成が背景(地の色)にも深い関係があることを,たとえばポスター,交通標識,看板その他の資料によって指導する。
(4) 2A(色や形などの基礎練習)の「(4)表示練習」中の立体感,材質感などの表示では,普通の素描材料,彩画材料によって表示させることをさし,これ以外の特殊な材料や方法は用いないようにする。
(5) 2A(美術的デザイン)の「(1)デザイン」の指導においては,徐々にデザインの目的や諸条件に適応して創造的な働きができるようにしていくことをねらいとするが,それには,デザインするものの使用目的や,使用環境あるいは製作される過程などの条件をじゅうぶん理解,はあくさせるようにし,これらをもとにして,総合的に新しい考え方をくふうさせるようにする。
 また「(2)物の配置配合」の指導は,美術の時間の指導で終わるというのでなく,学校内外の生活で,生徒が興味と関心をもち,この能力を発揮できるように指導することが望ましい。
(6) 2の「B 鑑賞」の指導にあたっては,わが国の絵画,彫刻,建築,工芸などの作品のすぐれたものの中で,生徒に親しみやすいものを選び,じゅうぶん味わわせるように指導する。
 東洋諸国の美術については,わが国の美術と深い関係のあるものを選んで扱う。
 また,鑑賞の指導が,既成の概念や知的な理解に終わらないように,各種の資料を準備することが望ましい。
 さらに,鑑賞の指導にあたって美術品の保護および取り扱いについて,必要な場合は,国としてどのようなことをしているかを理解させる。
(7) 第1学年「指導上の留意事項」の(9),(10)は,第2学年においても,第1学年と同様に留意して指導する。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 第2学年における学習経験の基礎の上に,表現や鑑賞の力を充実するとともに,生活と美術との関係についての関心を高める。
(2) 表現にくふうをこらし,自信と自由感をもって,表現する能力を養う。
(3) 第1学年や第2学年の色や形などの基礎練習や美術的デザインの学習経験の基礎の上に,これらをいっそう伸ばすとともに,総合的に応用する力を養う。
(4) 地域社会の環境美化について関心をもたせる。
(5) 西洋の絵画,彫刻,建築,工芸などのすぐれた作品のよさや美しさを楽しむ鑑賞力を養い,美術文化に対する関心を高める。

2 内  容
A 表  現
(印象や構想などの表現)
 第2学年2A(印象や構想などの表現)の学習経験の基礎の上に,写生による表現を主とし,構想による表現も指導し,これらの表現の深さを増すように指導する。
(1) 写生による表現
 第2学年2A(印象や構想などの表現)の「(1)写生による表現」に示した内容の程度をさらに高めて,各自に適した表現の態度や方法を見いだし,自信と自由感をもって表現させる。
ア 絵  画
 (ア) 表現題材は,身近な風景,動植物,器物,人物などから適宜選ぶものとする。
 (イ) 表現材料は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)アの(イ)に示したものに同じとする。
 (ウ) 表現方法は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)アの(ウ)に示したものに同じとする。
イ 彫  塑
 対象物の立体の組立を観察し,動勢に留意して表現させる。
 (ア) 表現題材は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)イの(ア)に示したものに同じとする。
 (イ) 表現材料は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)イの(イ)に示したものと同じとする。
 (ウ) 表現方法は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(1)イの(ウ)に示したものと同じとする。
(2) 構想による表現
 第2学年における学習経験を深めて,記憶,想像,空想などによる構想を的確に表現させる。
ア 絵  画
 (ア) 表現題材は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(2)アの(ア)に示したものに同じとする。
 (イ) 表現材料は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(2)アの(イ)に示したものに同じとする。
 (ウ) 表現方法は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(2)アの(ウ)に示したものに同じとする。
イ 彫  塑
 (ア) 表現題材は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(2)イの(ア)に示したものに同じとする。
 (イ) 表現材料は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(2)イの(イ)に示したものに同じとする。
 (ウ) 表現方法は,第2学年2A(印象や構想などの表現)(2)イの(ウ)に示したものに同じとする。
(色や形などの基礎練習)
 第2学年2A(色や形などの基礎練習)の内容として示したものをさらに深めさせる。
(1) 配色練習
 色の機能を主にした配色練習を通して,色の機能性を感覚的にとらえ,色彩設計の基礎の能力を養う。
 ここでは,色の機能を主にした配色は,色彩感情,補色や対比の効果,色の進出膨張性と後退収縮性,色の訴求力などを主にしたものを扱うものとする。
(2) 形の構成練習
 平面上における調和を考えた構成や立体における空間構成について関心を高めさせる。
ア 平面における練習
 いろいろな形によって,律動,均衡などを考えて構成させる。
イ 立体における練習
 材料を扱い,立体における量,空間,方向や律動,均衡などを考えて構成させる。
(3) 材料についての経験
 第2学年2A(色や形などの基礎練習)の(3)に準じ,「(2)形の構成練習」と融合して扱うことに重点をおくものとする。
(4) 表示練習
 物と物との関係や,距離を客観的に表示する能力を高めさせる。
 簡単な遠近法の理解とその描写ができるようにさせる。この場合,図法的な遠近法を厳密に理解させるのではなく,地平線と,消失点との大要を指導する程度にとどめる。
 室内,建築物などを対象として扱うものとする。
(美術的デザイン)
 デザインの諸条件を第2学年2A(美術的デザイン)に示したよりもさらに深く理解し,条件に適応し,かつ創造的価値の高いものになるように次のもののデザインをさせ,また,その表示の能力も伴うように指導する。
(1) デザイン
 第2学年2A(美術的デザイン)の「(1)デザイン」に示した内容に準ずるが,さらに宜伝デザイン,舞台装置,記念物などを加え,これらから適宜選んで指導する。
(2) 物の配置配合
 展覧会展示の配置配合,地域社会の環境美化など,適宜選んで指導する。

 B 鑑  賞
 次の鑑賞などを通して美術文化への関心を高める。
(1) 西洋の絵画,彫刻,建築,工芸などの作品の鑑賞
(2) 郷土の美術作品の鑑賞
 さらに生活と美術との関係についても関心をもたせる。

3 指導上の留意事項
(1) 2A(印象や構想などの表現)の「(1)写生による表現」については,観察の態度をいっそう深く広いものにし,生徒によっては時には美の表現のために,強調した表現もできるように,適切に指導する。また変容なども指導してよい。
 さらに材料,技法は生徒の能力,興味に適したものを取り上げ,あまり細かな技法を強制しないように留意する。
(2) 2A(印象や構想などの表現)の「(2)構想による表現」については,時間的に制限があり,また生徒の関心の度合いにも差が生じてくるから,「(1)写生による表現」とあわせて指導してもよい。
 表現の技法もくふうさせ,意図が芸術的にしだいに洗練される形で表現されるように指導する。
 大きな平面や立体に表現することを指導してもよい。また,共同制作を課してもよい。
(3) 2A(色や形などの基礎練習)の「(1)配色練習」の指導においては,色彩の機能が生活にいかに生かされているかを,たとえば,日常生活と色彩(衣食住),産業能率と色彩,災害防止と色彩,宣伝美術と色彩,都市美と色彩など各種の実例によって指導する。
(4) 2A(色や形などの基礎練習)(2)の「イ 立体における練習」では,身近な材料を扱って指導し,立ち入った材料の組み立ての技法の指導は避ける。
(5) 2A(色や形などの基礎練習)の「(4)表示練習」における遠近法の理解と,描写の指導は,絵画の表現の指導と関連をとって指導することが望ましい。
(6) 2A(美術的デザイン)の「(2)物の配置配合」の指導にあたって,展覧会展示の計画の指導は,その展示について学校行事等と関連をとり,その実際に役だつように配慮することが望ましい。
 さらに地域社会の環境の実態の上に立って,これらを美化する基本的な事項を説用したり,できればこれに関する模型などを共同製作させたりして,指導することも考えられる。
(7) 2の「B 鑑賞」の指導にあたっては,西洋の絵画,彫刻,建築,工芸などの作品のすぐれたものの中で,生徒に親しみやすいものを選び,じゅうぶんに味わわせるように指導する。
 また,鑑賞の指導が,既成の概念や知的な理解に終わらないように各種の資料を準備することが望ましい。
 さらに,郷土に適当な美術作品があれば,適宜これを取り入れて指導することが望ましい。
 美術文化の交流と,国際親善についても適宜指導し,必要によっては美術の動向についても平易な指導をする。
(8) 第2学年「3指導上の留意事項」の(7)は,第3学年においても,第2学年と同様に留意して指導する。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 各学年の内容は,A表現とB鑑賞の二つの領域に大別し,A表現はさらに,印象や構想などの表現,色や形などの基礎練習および美術的デザインの三つに分けてある。したがって指導計画の作成や指導にあたっては,それぞれの特性を生かすとともに相互の有機的な関連を図るように心がけなければならない。
2 指導する事項の扱いにおいては,美術の性格上,生徒の発達段階に応じて同一の事項でもこれを質的に高めていくべき性格のものもあるから,この点に留意しなければならない。
3 各学年の2A(印象や構想などの表現)中の表現題材については,指導計画を作成するにあたって,全学年を通して,生徒の発達段階などを考慮して適切な計画を立てなければならない。
4 選択教科としての美術の時間においては,各学年の内容において示したものを深めるという取り扱いをする。深めるべき内容としては,すべての領域にわたって行なうのもよく,また,生徒の特性に応じて,(印象や構想などの表現)や(美術的デザイン)の面に重点をおいてもよい。
5 指導計画作成にあたっては,特に技術・家庭科との関連を図ることが必要である。
6 指導計画作成にあたっては,学佼の施設設備の状況,付近の風景,季節などを考慮して年間計画などを作成して,指導を計画的に行なうことが必要である。
7 指導する事項の取り扱いや指導法については,教師の興味に偏することなく,多面的になってくる生徒の必要や要求に応ずるようにくふうすることがたいせつである。
8 指導を有効に進めるためには,美術に関する各種の図版,スライドなどの資料を精選して,なるべく多く準備することが望ましい。
9 美術館,博物館,美術展覧会などの見学などに便利のよい地域や機会があるときは,適当にこれらを利用することが望ましい。
10 次に示すものは,必修教科としての美術の年間最低授業時数に対する各領域の授業時数のおよその割合である。

第1学年
A 表  現

(印象や構想などの表現)           50%

(色や形などの基礎練習)           45%
(美術的デザイン)

B 鑑  賞                 5%

第2学年
A 表  現

(印象や構想などの表現)           45%

(色や形などの基礎練習)           45%
(美術的デザイン)

B 鑑  賞                 10%

第3学年
A 表  現

(印象や構想などの表現)           40%

(色や形などの基礎練習)           40%
(美術的デザイン)

B 鑑  賞                 20%



 
第7節 保 健 体 育

第1 目  標

1 心身の発達について理解させるとともに,聴覚の障害を克服し各種の運動を適切に行なわせることによって,心身の健全な発達を促し,活動力を高める。
2 合理的な練習によって,各種の運動技能を高めるとともに,生活における運動の意味を理解させ,生活を健全にし豊かにする態度や能力を養う。
3 運動における競争や協同の経験を通して,公正な態度を養い,進んで規則を守り,互いに協力して責任を果たすなどの社会生活に必要な態度や能力を向上させる。
4 個人生活や社会生活における健康・安全について理解させ,自己や他人を病気や障害から守り,心身ともに健康な生活を営む態度や能力を養う。

 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として保健体育科の目標をなすものであるから,指導にあたってはこの点を常に考慮しなければならない。

第2 各学年の目標および内容

〔第1学年〕
1 目  標
(1) 各種の運動の練習を通して,身体の形態や機能の発達を促し,身体諸機能の調和的発達を図り,基礎的運動能力を伸ばすとともに,運動の技能を養う。
(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚して責任を果たすとともに,共通の目標に向って,互いに協力して運動を行う態度を養う。
(3) 運動を行なうときのきまりや方法をくふうし,計画をもって行なう態度や能力を養う。
(4) 競技における規則や審判や相手の果たす機能を理解し,勝敗に対して公正な態度がとれるようにする。
(5) 運動の練習に関する必要な事項を理解させ,運動を合理的に行ない,生活を豊かにする態度や能力を養う。
(6) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や能力を養う。

2 内  容
(徒手体操)
(1) 次の運動によって,身体の柔軟性を増し,各部位の運動が律動的な動きでできるようにする。
ア 下肢の運動
 (ア) 屈伸(半屈膝・全屈膝)
 (イ) 挙振(側 前・後)
 (ウ) 跳躍(片足・両足)
イ 上肢の運動
 (ア) 挙振(側・前・上・斜上)
 (イ) 屈伸(側・前・上・下)
 (ウ) 回旋(内外・前後・側方)
ウ くびの運動
 (ア) 屈(前・後・側)
 (イ) 転(側)
 (ウ) 回旋
エ 胸の運動
 伸展
オ 体側の運動
 (ア) 屈(横)
 (イ) 倒(側)
カ 背腹の運動
 (ア) 屈(前・後・斜前・斜後)
 (イ) 倒(前・後)
キ 胴体の運動
 (ア) 転(側)
 (イ) 回旋
(2) 徒手体操の効果を理解し,進んで行なう態度を養う。
ア 身体の各部位の動きの範囲を理解する。
イ 徒手体操を準備運動,整理運動および不良姿勢の予防・きょう正などに役だたせる方法を理解する。
ウ 互に批判しあって行なう。

(器械運動)
(1) 次の運動によって,器械運動の基礎的な技能を養う。
ア 鉄棒運動
 (ア) 上がり方
  a 片足外かけ上がり
  b さか上がり
 (イ) おり方
  a うしろおり
  b 前回りおり
  c 踏み越しおり
  d 振りとび
 (ウ) 回転
  a 足かけ後転
  b 足かけ前転
  c 腕立て後転
  d 腕立て前転
 (エ) 連続
  上がり方ーおり方(2種目ないし3種目)
イ とび箱運動
 (ア) とび越し
  とび上がりおり(伸膝・屈膝)
 (イ) 腕立てとび越し
  a 腕立とび上がりおり(横)(女子)(主として女子が行なう。以下単に「女子」という。)
  b 腕立て横とび(伏臥(が))
  c 腕立て開脚とび
  d 腕立て閉脚とび
 (ウ) 転回
  a 前転
  b 腕立て前転(男子)(主として男子が行なう。以下単に「男子」という。)
ウ マット運動
 (ア) 転回
  a 横転(女子)
  b 前転
  c 後転
  d 開脚前転
  e 開脚後転
  f 倒立前転(男子)
 (イ) 腕立て転回
  a 腕立て側転
  b 腕立て前転
 (ウ) 倒立
  a 倒立(補助)
(2) 自己の能力を知り,目標をもって協力して練習を行なう態度を養う。
ア 他人の技能を見てくふうする。
イ 互に技能を批判しあう。
ウ 場所や用具の準備,あとしまつをする。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 場所や用具を清潔にし,安全を確かめる。
イ 準備運動や整理運動をする。

(陸上競技)
(1) 次の運動によって,走・跳の技能を養う。
ア 短距維走
 (ア) 発走法
  クラウチングスタート
 (イ) 疾走法
  腕の振り方,体の前傾のしかたなどを知って走る。
 (ウ) 100mを走り通す。
イ リレー
 バトンタッチ(20mリレーゾーンを用いる。ひとりが50mないし100mを走る。コーナートップの方法も用いる。)
ウ 走幅とび
 そりとびまたははさみとび(足裏全体で踏み切る。踏み切り線で踏み切る。)
エ 走高とび
 正面とびまたベリーロール(助走と踏み切り,とび越し方,着地などに注意してとぶ。)
オ 長距離走
 走法およびペースのとり方(男子は2,000m程度,女子は持久走として1,000m程度とする。)
(2) 自己の能力を知り,目漂をもって協力し行なう態度や勝敗に対する正しい態度を養う。
ア 互い技能を批判しあう。
イ 記録の測定や順位を決定をする。
ウ 必要な規則について知る。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 場所や用具の安全を確かめる。
イ 眺躍順を決める。
ウ 準備運動や整理運動をする。

(格技)(男子のみ)
(1) 次の運動によって,格技の基礎的な技能を養う。
 ≪すもう≫
ア 基本動作
 四股,伸脚,構え,しきり,運び足,攻め,防ぎなどの基本動作をする。
イ 簡易なすもう
 (ア) 押しあいずもう
 (イ) 突きあいずもう
 (ウ) 寄りあいずもう
 (エ) 押し突きあいずもう
 ≪柔道≫
ア 基本動作
 (ア) 受け身
 (イ) 姿勢と組み方
 (ウ) くずしと体さばき
イ 応用技能
 (ア) ひざ車,つりこみ足
 (イ) 大腰,つりこみ腰
 (ウ) けさ固め
ウ 試合
 簡易な規則による試合
 ≪剣道≫
ア 基本動作
 (ア) 自然体,中段の構え
 (イ) 歩み足,送り足
 (ウ) 上下振り,斜め振り
 (エ) 面,小手(右)および胴の打ち方と受け方
 (オ) 連続左右面
 (カ) 正面ー連続左右面
イ 応用技能
 小手ー面,小手ー胴,面ー胴
ウ 試合
 簡易な規則による試合
(2) 自己の能力を知り,互いに協力して練習を行なう態度を養う。
ア 互いに技能を批判しあう。
イ 礼儀正しく行なう。
ウ すもうでは交代で審判をする。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 練習場を整備する。
イ のどわ,指取り,けん突き,頭突き,さばおりなどの禁じわざを守る。
ウ 準備運動や整理運動をする。

(球技)
(1) 次の運動の技能を養い,簡易な規則によるゲームができるようにする。
 ≪バレーボール≫
ア 基本技能
 (ア) パス(上手・下手)
 (イ) サーブ(下手)
イ ゲーム
 簡易な規則によるゲームとその審判
 ≪バスケットボール≫
ア 基本技能
 (ア) パスとキャッチ(チェストパス,バウンズパス)
 (イ) ドリブル
 (ウ) ショット(両手セットショット,ランニングショット)
イ 応用技能
 (ア) 走りながらパス
 (イ) ドリブルからショット
 (ウ) 2人で1人を攻める。
ウ ゲーム
 簡易な規則によるゲームとその審判
 ≪サッカー≫(男子のみ)
ア 基本技能
 (ア) キック(インステップキック,サイドキック)
 (イ) ドリブル
 (ウ) ヘッディング
 (エ) トラッピング
 (オ) シュート
 (カ) スローイン
イ 応用技能
 (ア) 2人の間のパス
 (イ) トラッピングからシュート
ウ ゲーム
 簡易な規則によるゲームとその審判
 ≪ソフトボール≫
ア 基本技能
 (ア) 投球(オーバースロー,アンダースロー)
 (イ) 補球
 (ウ) 投手の投球
 (エ) 打撃
 (オ) 走塁
イ 応用技能
 フリーバッティングと守備
ウ ゲーム
 簡易な規則にるゲームとその審判
(2) チームを作り,位置や役割を決め,互いに協力して練習やゲームを行う態度を養う。
ア 練習やゲームに必要な規則を決める。
イ 互いに技能を批判しあう。
ウ 各自の位置を守り責任を果たす。
エ 味方の失敗を許す。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 練習場を清潔にし,危険物を除く。
イ 用具(パットなど)の取り扱いに注意する。
ウ 乱暴なプレーをしない。
エ 準備運動や整理運動をする。
(水泳)
(1) 次の泳ぎや飛び込みの技能を養う。
ア クロール
イ 平泳ぎ
ウ 横泳ぎ
エ 潜水
オ さか飛び込み
(2) 規則を守り,互いに協力して練習を行なう態度を養う。
ア プールなどの使用についての規則に従って泳ぐ。
イ 互いに技能を批判しあう。
(3) 水泳の心得を守り,安全に練習を行なう態度を養う。
ア 水にはいる前や水や出たあとは身体を清潔にする。
イ 健康を害しているとき,空腹のとき,疲労しているときなどは泳がない。
ウ ひとりだけで泳がない。
エ あぶないときは大声で助けを求める。
オ 安全で清潔な水泳場の選び方を理解する。
カ 準傭運動や整理運動をする。

(ダンス)(女子)
(1) 次のダンスの技能を養い,フォークダンスや美しい表現ができるようにする。
ア フォークダンス
 (ア) ナポレオン,オクラホマミクサー,さくら踊りなどをする。
 (イ) 1重円2重円で,ツーウステップ,ヒールエンドトウポルカ,ミクサー,日本民踊の手ぶり・足どりなどをする。
 (ウ) それぞれの国の踊りの特徴を知って踊れるようにする。
イ 表現
 (ア) 植物,自然現象,日常生活事象などから題を選んで表現し,ひとつのまとまりをもつようにまとめる。
 (イ) 4人ないし6人で歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒などの1,2,3,4拍動作を強度や連続を変え,また相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。
 (ウ) 題や内容の選び方,あらわし方,まとめ方,などについてよい表現を見分ける。
 (エ) 内容にふさわしい伴奏音楽(リズム楽器,旋律楽器,歌を歌うなど。)を選ぶ。
(2) グループごとに計画をもち,自主的に練習を行なう態度を養う。
ア 役割を決め,寅任をもって分担する。
イ 発表会を計画し,運営する。
ウ グループの中で,互いに長所,短所を見つけて直しあう。

(体育に関する知識)
(1) 運動種目の特性と選択
ア 運動種目の特性
 徒手体操,器械連動,陸上競技,格技,球技,水泳,ダンス,野外活動などの特性を身体の発達や生活との関係において理解させる。
イ 運動種目の選択
 自己の身体の状態・運動能力,季節,施設および将来の職業などと運動種目の特性との関係について知らせ,適切な運動種目を選んで実践することが必要であることを理解させる。
(2) 練習の重要性と練習に関する諸条件
ア 練習の重要性
 運動の練習と技能の上達との関係について知らせ,練習のもつ意味とその重要性を理解させる。
イ 練習に関する諸条件
 練習と意志,協力などとの関係ならびに運動と栄養,疲労,休養,疾病,傷害などとの関係について知らせ,合理的に練習を行なうことの必要を理解させる。
(3) 練習の方法
ア 練習のしかた
 準備運動や整理運動などのもつ意味,分習法や全習法の適用などについて理解させる。
イ 練習の計画
 練習の日数,時間,強さなどと練習の能率および生活との関係について知らせ,計画的に練習することの必要を理解させる。
(4) 運動生活の設計
 校内競技,運動のクラブ活動,対外運動競技,野外活動などの意味や家庭における運動の意味を理解させ,学校や家庭における自己の運動生活を設計するように努めさせる。

3 指導上の留意事項
(1) 「(徒手体操)」では,座臥(が)姿勢でも行なうように考慮し,また,きょう正運動,補強運動などとして行なうときは組み体操も考慮する。このことについては第2学年および第3学年においても同様である。
(2) 「(陸上競技)」の(1)のエにおいて,ベリーロールを指導する場合には,指導の方法ならびに砂場の整地など特に安全に注意する。このことについては第2学年においても同様である。
(3) 「(格技)」については,「≪すもう≫」,「≪柔道≫」または「≪剣道≫」のうちいずれか1種目を指導するものとする。このことについては第2学年および第3学年においても同様である。
(4) 「(水泳)」において,初心者には,面かぶり,沈み方,浮き方立ち方などの練習によって,水に慣れさせ,泳ぎや飛び込みの練習にはいれるようにする。なお,指導に際しては,事前に学校医の診断を受け,必要に応じて適切に指導する。このことについては,第2学年および第3学年においても同様である。
(5) この時期は姿勢が悪くなりやすいので,姿勢の指導には,特に留意する。
(6) 各運動の指導において,日常の正しい歩き方についても適切に行なうようにする。
 このことについては第2学年および第3学年においても同様である。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 各種の運動の練習を通して,身体の形態や機能の発達を促し,身体諸機能の調和的発達を図り基礎的運動能力や運動の技能を高める。
(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚して責任を果たすとともに,チームやグループが互いに協力して運動を行なう態度を養う。
(3) 運動を行なうときのきまりや方法をくふうし,計画をもって行なう能力を育て,校内競技などの計画や運営に参加できるようにする。
(4) 競技における規則や審判や相手の果す機能を理解し,勝敗に関する問題を適切に処理する態度や能力を養う。
(5) 運動の身体的・精神的効果を理解させ,進んで運動を行ない,生活を豊かにする態度や能力を養う。
(6) 傷害とその防止について理解させ,傷害の防止や救急処置に必要な態度,能力および技能を養う。
(7) 環境の衛生について理解させ,これに基づいて適切な環境の衛生的な処置を行なう態度,能力および技能を養う。
(8) 心身の発達の状態を正しく理解させ,これに基づいて心身の健全な発達を図ろうとする態度や能力を養う。
(9) 栄養について理解させ,望ましい食生活を営む態度や能力を養う。
(10) 疲労と学習や仕事の能率との関係について理解させ,これに基づいて学習や仕事を健康的に行なう態度や能力を養う。

2 内  容
 A 体  育
(徒手体操)
(1) 次の運動によって,身体の柔軟性を増し,各部位の運動がのびのびと力強くできるようにする。
ア 下肢の運動
 (ア) 屈伸(半屈膝・全屈膝)
 (イ) 挙振(側・前・後)
 (ウ) 跳躍(片足・両足)
イ 上肢の運動
 (ア) 挙振(側・前・上・斜上)
 (イ) 屈伸(側・前・上・下)
 (ウ) 回旋(内外・前後・側方)
ウ くびの運動
 (ア) 屈(前・後・側)
 (イ) 転(側)
 (ウ) 回旋
エ 胸の運動
 伸展
オ 体側の運動
 (ア) 屈(側)
 (イ) 倒(側)
カ 背腹の運動
 (ア) 屈(前・後・斜前・斜後)
 (イ) 倒(前・後)
キ 胴体の運動
 (ア) 転(側)
 (イ) 回旋
(2) 互いに協力して,一連の体操をくふうする能力を養う。
ア グループで,互いに体操を作り,批判しあう。
イ 運動の組み合わせの順序をくふうする。

(器械運動)
(1) 次の運動によって,器械運動の技能を養う。
ア 鉄棒運動
 (ア) 上がり方
  a 片足中かけ上がり
  b さか上がり
  c 背面さか上がり(男子)
  d け上がり(男子)
 (イ) おり方
  a 前おり(背面)
  b 踏み越しおり
  c 懸垂振りとび
 (ウ) 回転
  a 足かけ後転
  b 足かけ前後
  c 腕立て後転
  d 腕立て前転
  e ともえ(男子)
 (エ) 連続
  回転ーおり方(2種目ないし3種目)(男子)
イ とび箱運動
 (ア) とび越し
  とび上がりおり(女子)
 (イ) 腕立てとび越し
  a 腕立てとび上がりおり(縦)(女子)
  b 腕立て横とび
  c 腕立て閉脚とび
  d 腕立て斜め開脚とび(男子)
 (ウ) 転回
  a 前転
  b 腕立て前転(男子)
ウ マット運動
 (ア) 転回
  a 横転(女子)
  b とび込み前転(男子)
  c 伸膝前転
  d 開脚後転
 (イ) 腕立て転回
  a 腕立て側転
  b 腕立て前転(男子)
 (ウ) 倒立
  倒立歩行(男子)
(2) グループごとに計画をもって,練習を行なう態度を養う。
ア 種目の組み合わせ,順序,段階を考えて計画する。
イ 場所や用具の使用について協定する。
ウ 互いに技能を批判しあう。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 場所や用具の安全を確かめる。
イ 準備運動や整理運動をする。

(陸上競枝)
(1) 次の運動によって,走・跳の技能を高める。
ア 短距離走
 (ア) 発走法
  クラウチングスタート
 (イ) 疾走法
  腕の振り方,体の前傾のしかたなどを知って走る。
 (ウ) 100mを走り通す。
イ 障害走
 (ア) ハードルをとび越す。
 (イ) ハードル(高さ約70cm)の間隔は7m程度とし,調子よく走る。
ウ 走幅とび
  そりとびまたははさみとび(約15mの助走)
エ 走高とび
  正面とびまたはベリーロール
オ 長距離走
  自分の能力に応じて調子よく走る。(男子は2,000m程度,女子は特久走として1,000m程度とする。)
(2) 計測係,記録係,用具係などの役割を決め,計画的に練習や競伎を行なう態度を養う。
ア チームを作って競技し,自己の責任を果たす。
イ 規則に従って競技し,その審判ができる。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 長距離走のあとはじゅうぶん休息する。
イ 砂場やハードルの安全を確かめる。
ウ 準備運動や整理運動をする。

(格技)(男子のみ)
(1) 次の運動によって,格技の基礎的な技能を高める。
 ≪すもう≫
ア 基本動作
 四股,伸脚,構え,しきり,運び足,攻め,防ぎ,前さばきなどの基本動作をする。
イ 簡易なすもう
 (ア) 寄りあいずもう
 (イ) 押し突きあいずもう
 (ウ) 押し突き寄りあいずもう
 ≪柔道≫
ア 基本動作
 (ア) 受け身
 (イ) くずしと体さばき
イ 応用技能
 (ア) 大外刈り,大内刈り
 (イ) 体落とし
 (ウ) かみ四方固め
ウ 試合
 簡易な規則による試合
 ≪剣道≫
ア 基本動作
 (ア) 面,小手(右)および胴の打ち方と受け方
 (イ) 連続左右面
 (ウ) 正面−連続左右面
イ 応用技能
 (ア) 払い面
 (イ) ひき面
 (ウ) 面すり上げ面
 (エ) 面抜き胴
ウ 試合
  簡易な規則による試合
(2) 役割を決め,練習や競技を計画し,運営する態度や能力を養う。
ア 練習や競技に必要な規則を決める。
イ 体格や能力のあう者で組み合わせを作る。
ウ すもうでは交代で審判をする。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 練習を清潔にし,安全を確かめる。
イ のどわ,指取り,けん突き,頭突き,さばおりなどの禁じわざを守る。
ウ 準備運動や整理運動をする。

(球技)
(1) 次の運動の技能を養い,簡易な作戦を立ててゲームができるようにする。
 ≪バレーボール≫
ア 基本技能
 (ア) パス
 (イ) トス(真上)
 (ウ) タッチ
 (エ) サーブ(下手・上手)
イ 応用技能
 (ア) トスとキル
 (イ) ネットにかかったボールのプレー
 (ウ) パス・トス・キルのプレー
ウ ゲーム
  正規に近い規則によるゲームとその審判
 ≪バスケットボール≫
ア 基本技能
 (ア) パスとキャッチ(オーバーヘッドパス,アンダーハンドパス)
 (イ) ドリブル
 (ウ) ショット(ジャンプショット)
 (エ) ガード
イ 応用技能
 (ア) 3人で2人を攻める。
 (イ) カットインプレー(2人で2人を攻める。)
ウ ゲーム
  正規に近い規則によるゲームとその審判
 ≪サッカー≫(男子のみ)
ア 基本技能
 (ア) キック(動いているボールを止めないでける。)
 (イ) ドリブル(だ行してドリブルをする。)
 (ウ) ヘッディング
 (エ) トラッピング
 (オ) シュート
イ 応用技能
 (ア) 3人の間のパス
 (イ) 1人対1人で攻めたり,守ったりする。
 (ウ) 2人で1人を攻める。
ウ ゲーム
  正規に近い規則によるゲームとその審判
(2) チームを作り,自己の位置や役割を自覚して責任を果たすとともに互いに協力して練習やゲームを行なう態度を養う。
ア 計画をもって練習する。
イ 練習やゲームのしかたをくふうする。
ウ 審判の判定に従う。
エ 失敗の原因を考える。
オ チームとチームで練習の場所や用具を協定する。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 乱暴なプレーをしない。
イ 場所や用具を清潔にし,安全を確かめる。
ウ 準備運動や整理運動をする。

(水泳)
(1) 次の泳ぎや飛込みの要領を会得し,その能力を高める。
ア クロール(スタート,ターンも含む。)
イ 平泳ぎ(スタート,ターンも含む。)
ウ 横泳ぎ
エ 潜水
オ さか飛び込み
(2) 互いに協力して能力に応じた計画をもって練習を行なう態度を養う。
ア 能力に応じたグループを作り,グルーブごとに計画を立てる。
イ 練習に必要な規則を決め,順序よく泳ぐ。
ウ 互いに技能を批判しあう。
(3) 水泳の心得を守り,安全に練習を行なう態度を養う。
ア 水にはいる前や水から出たあとには身体を清潔にする。
イ 健康を害しているとき,空腹のとき,疲労しているときは泳がない。
ウ 安全な水泳場の選び方について理解する。
エ おぼれている者に,さお,綱,板などを与えて助ける。
オ 準備運動や整理運動をする。

(ダンス)(女子)
(1) 次のダンスの技能を高め,フォークダンスや美しい表現ができるようにする。
ア フォークダンス
 (ア) ドードレブスカポルカ,トトウール,若きつどいなどをする。
 (イ) 1重円や2重円または自由に,ウォーキング,ポルカ,ツーステップターン,グランドチェーン,日本民踊の手ぶり・足どりなどをする。
 (ウ) それぞれの国の踊りの特徴を知って踊れるようにする。
イ 表現
 (ア) 植物,自然現象,音楽や生活感情などから題を選んで表現し,変化のあるまとまりをつける。
 (イ) 4人ないし8人または他のグループと関係をもって,歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒,波動などの1,2,3,4,6拍動作を強度や連続を変え,また相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。
 (ウ) 題や内容の選び方,表わし方,まとめ方などについて美しい表現のしかたを見分ける。
 (エ) 内容にふさわしい伴奏音楽(リズム楽器,旋律楽器,歌を歌うなど。)を理解させるようにくふうする。
(2) 計画をもって,互いに協力して練習や発表を行なう態度を養う。
ア 役割を決め,責任をもって分担する。
イ 発表会を計画し,運営する。
ウ グループの中で長所,短所を見つけて直しあう。

(体育に関する知識)
(1) 運動の身体的効果
ア 運動と身体の形態的発達
  運動の身長,体重,胸囲などの発達や体型に及ぼす効果を理解させる。
イ 運動と生理的機能の発達
  運動の呼吸・循環機能などの発達に及ぼす効果を理解させる。
ウ 運動と運動能力の発達
  運動の走・跳・投・懸垂などの基礎的運動能力,運動技能および筋力,敏しょう性,柔軟性などに及ぼす効果を理解させる。
エ 運動と姿勢
  正しい姿勢の意義と重要性,不良姿勢や職業固癖の予防ときょう正の方法などについて理解させるとともに,常に正しい姿勢を保つように努めさせる。
オ 運動能力の測定
  各種の運動能力の測定法を理解させ,各自の運動能力の現状を知って運動することの必要を理解させる。
(2) 運動の精神的効果
ア 情緒の安定と感情の純化
  運動が活動の喜びや情緒の安定をもたらし,身体の美的表現などによって美的情操が高められることを理解させる。
イ 運動と社会性の発達
  運動が自主,責任,協力,公正などの社会性を養うのに貢献することを理解させる。

 B 保健
(1) 傷害の防止
ア 傷害とその防止
  骨折,脱きゅう,ねんざ,創傷,火傷などの傷害の種類や原因について理解させ,傷害の発生の防止に努めさせる。
イ 事故災書とその防止
  交通事故,労働災害などの現状や原因について理解させ,事故災害の発生の防止に努め,また,事故災害の発生した際の応急措置が適切に行なえるような態度や能力を養う。
ウ 救急処置
  傷病者のでたときの取り扱いや傷の処置,止血法,包帯法,人工呼吸法などの救急処置のしかたを理解させ,また救急処置の目的や限界を知り,救急の場合に,適切な処置ができるようにする。
(2) 環境の衛生
ア 環境と心身との関係
  環境衛生の意義と必要性や環境の条件の心身に及ぼす影響などについて知らせ,環境と心身との関係について理解させる。
イ 環境の衛生検査
  水質検査,気温・気湿・気流の測定,換気の測定,じんあい・ばい煙・一酸化炭素・炭酸ガスの測定の方法とそれぞれの衛生基準について理解させる。
ウ 環境の衛生的な処理
  水の簡易ろ過,保温,防暑,採光照明などの衛生的な維持改善や汚物・廃棄物の処理,ねずみ族・こん虫の駆除,消毒法について理解させ,家庭生活などにおける環境の衛生的な処理が適切にできるようにする。
(3) 心身の発達と栄養
ア 中学部生徒の心身の発達の特徴
  心身の発達の年齢差および男女差,中学校生徒の身体的発達・精神的発達・行動の特性および身体的発達と精神的発達との関係について理解させるとともに,身体の発達の測定方法を知らせ,自己の心身の発達の理解に努めさせる。
イ 心身の発達に影響する条件
  心身の発達は,遺伝,内分泌,病気,栄養,運動,労力,環境などにより影響を受けることを理解させ,自己の心身の発達を図ろうとする態度を養う。
ウ 栄養の基準と食品の栄養価
  年齢別,性別,労作別の栄養基準量や食品の栄養価を理解させ,健康の保持増進の立場から,食品の選択や栄養障害と食生活との関係について考えさせ,食生活の改善に努める。
(4) 疲労と作業の能率
ア 疲労と学習や仕事の能率
  疲労と学習や仕事の能率との関係,疲労の自覚や判断のしかた,疲労による心身の状態の変化などについて理解させる。
イ 疲労の回復
  疲労の回復に必要な休養・栄養の取り方や環境の整え方および疲労の回復を図ることによって,学習や仕事の能率が向上することを理解させる。
ウ 学習や仕事の能率と生活の調和
  学習や仕事,余暇利用,睡眠などの日の時間的組み立てを,疲労の回復や能率向上の立場から,効果的にする方法を理解させ,これを日常生活に実践しようとする態度を養う。

3 指導上の留意事項
(1) A「(格技)」において,この学年ではじめて指導する種目については,第1学年の内容として示したものから指導をはじめる。このことについては第3学年においても同様である。
(2) この時期の生徒は,相当組織だった運動を求めるようになり,また男女の特性もかなりはっきりしてくるので,各運動の指導においては,この点をじゅうぶんに考慮する。
(3) B「(2)環境の衛生」については,学校および地域における実情を考慮して指導する。
(4) B「傷害防止」については,聴覚の障害の状態や運動能力等の個人差に特に留意し身近な問題を通して指導するようにする。
(5) B「(3)心身の発達と栄養」特に栄養については,理科,技術・家庭などとの関連を考慮して指導する。聴覚の障害に関する遺伝については慎重に取り扱うようにする。
(6) B「(4)疲労と作業の能率」については,生徒の家庭や学校における日常生活の状態を考慮し,これと密接な関連をもって指導する。
 
〔第3学年〕
1 目  標
(1) 各種の運動の練習を通して,身体の形態や機能の発達を促すとともに,身体諸機能の調和的発達を図り各運動の技能をいっそう高め,生活に役だたせるようにする。
(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚して責任を果たすとともに,チームやグループが互いに協力して運動を行なう態度を養う。
(3) 運動を行なうときのきまりや方法をくふうし,計画を立てて行なう能力を高め,校内競技などを計画し,運営できるようにする。
(4) 競技における規則や審判や相手の果たす機能を理解し,勝敗に関する問題を適切に処理する態度や能力を伸ばす。
(5) 生活におけるスポーツやレクリエーションの意味を理解させ,それらを日常生活に取り入れて,生活を豊かにする態度や能力を高める。
(6) 病気とその予防について理解させ,病気の予防に必要な態度や能力を養う。
(7) 精神の健康について理解させ,これに基づいて生活を楽しく営む習慣や態度を養う。
(8) 集団の健康について理解させ,進んでその健康を高めることに協力する態度を養う。
(9) 個人の健康成立の条件や健康の考え方について理解させ,これに基づいて心身ともに健康な生活を営む態度や能力を養う。

2 内  容
 A 体  育
(徒手体操)
(1) 次の運動によって,身体の柔軟性をいっそう高め,各部位の運動が正確にできるようにする。
ア 下肢の運動
 (ア) 屈伸(半屈膝・全屈膝)
 (イ) 挙振(側・前・後)
 (ウ) 跳躍(片足・両足)
イ 上肢の運動
 (ア) 挙振(側・前・上・斜上)
 (イ) 屈伸(側・前・上・下)
 (ウ) 回旋(内外・前後・側方)
ウ くびの運動
 (ア) 屈(前・後・側)
 (イ) 転(側)
 (ウ) 回旋
エ 胸の運動
  伸展
オ 体側の運動
 (ア) 屈(側)
 (イ) 倒(側)
カ 背腹の運動
 (ア) 屈(前・後・斜前;斜後)
 (イ) 倒(前・後)
キ 胴体の運動
 (ア) 転(側)
 (イ) 回旋 
(2) 互いに協力して,各自の行なうスポーツに応ずる体操をくふうする態度や能力を養う。
ア 各部位の運動の正確な動きについて理解する。
イ 自己の行なうスポーツに応ずる補強運動をくふうする。
ウ 健康の保持増進を目的とした日常生活で行う徒手体操をくふうする。

(器械運動)
(1) 次の運動によって,器械運動の技能をいっそう高める。
ア 鉄棒運動
 (ア) 上がり方
  a さか上り(女子)
  b け上がり(男子)
 (イ) おり方
  a 踏み越しおり
  b 横とび越しおり(男子)
  c 振りとび(腕立て姿勢から)(男子)
 (ウ) 回転
  a 腕立て後転(女子)
  b 腕立て前転(女子)
  c ともえ(男子)
 (エ) 連続
  上がり方ー回転ーおり方(2種目ないし3種目)(男子)
イ とび箱運動
 (ア) とび越し
  とび上がりおり(女子)
 (イ) 腕立てとび越し
  a 腕立てとび上がりおり(女子)
  b 腕立て横とび(あおむけ)
  c 腕立てあおむけとび(男子)
  d 腕立て水平開脚とび(男子)
 (ウ) 転回
  a 前転
  b 腕立て前転(男子)
ウ マット運動
 (ア) 転回
  a 横転(女子)
  b とび込み前転(男子)
  c 伸膝前転
  d 伸膝後転
 (イ) 腕立て転回
  a 腕立て側転
  b 腕立て前転(男子)
 (ウ) 倒立
  倒立(男子)
(2) グループで計画を立て,互いに協力して練習や発表を行なう態度や能力を養う。
ア グループごとに計画を立てる。
イ 競技の規則を決める。
ウ 発表会を計画し,運営する。
エ 互いに技能を批判しあう。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 場所や用具の安全を確かめる。
イ 準備運動や整理運動をする。

(陸上競技)
(1) 次の運動によって,走・跳・投の技能を高める。
ア 短距離走
  不必要な緊張を除いて100mを走り通す。
イ 三段とび(男子)
  15m程度の助走でホップ・ステップ・ジャンプを調子よくとぶ。
ウ 長距離走
  自分の能力に応じて調子よく走る(男子は2,000m程度,女子は持久走として1,000m程度とする。)
エ 砲九投げ(男子)またはソフトボール投げ。
  脚や腰の力を利用して正しく投げる。
(2) グループが互いに協力して,練習や競技を行なう態度を養う。
ア 必要な規則について知る。
イ 競技会を計画し,運営する。
ウ 公正な審判をする。
エ グループが互に場所の協定をする。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 長距離走のあとはじゅうぶん休息する。
イ 準備運動や整理運動をする。

(格技)(男子のみ)
(1) 次の運動によって,格技の基礎的な技能を高める。
 ≪すもう≫
ア 基本動作
  四股,伸脚,しきり,運び足,攻め,防ぎ,前さばきなどの基本動作をする。
イ 簡易なすもう
 (ア) 押しあいずもう
 (イ) 突きあいずもう
 (ウ) 寄りあいずもう
 (エ) 押し突きあいずもう
 (オ) 突き寄りあいずもう
 (カ) 押し突き寄りあいずもう
 ≪柔道≫
ア 基本動作
 (ア) 受け身
 (イ) くずしと体さばき
イ 応用技能
 (ア) 出足払い,送り足払い
 (イ) 浮き腰,払い腰
ウ 試合
  簡易な規則による試合とその審判
 ≪剣道≫
ア 基本動作
 (ア) 面,小手(右)および胴の打ち方と受け方
 (イ) 連続左右面
 (ウ) 正面−連続左右面
イ 応用技能
 (ア) 出ばな面
 (イ) 小手すり上げ面
 (ウ) 胴打ち落とし面
ウ 試合
  簡易な規則による試合とその審判
(2) グループで計画を立てて,練習や競技を行なう態度を養う。
ア グループごとに計画を立てる。
イ 競技に必要な規則を決める。
ウ 礼儀正しく行なう。
エ 交代で審判をする。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 練習場を整備し,安全を確かめる。
イ のどわ,指取り,頭突き,けん突き,さばおりなどの禁じわざを守る。
ウ 準備運動や整理運動をする。

(球技)
(1) 次の運動の技能を高め,相手を考え,作戦を立ててゲームができるようにする。
 ≪バレーボール≫
ア 基本技能
 (ア) パス
 (イ) トス(真上・流し)
 (ウ) キル
 (エ) タッチ
 (オ) ストップ
 (カ) サーブ(下手・上手)
イ 応用技能
 (ア) パス・トス・キルの攻撃
 (イ) ネットにかかったボールのプレー
 (ウ) パス・トス・キルの攻撃やそれに対するストップを用いるプレー
ウ ゲーム
  正規に近い規則によるゲームとその審判
 ≪バスケットボール≫
ア 基本技能
 (ア) パスとキャッチ
 (イ) ドリブル
 (ウ) ショット(レイアップショット,ジャンプショット,セットショット)
 (エ) ガード
イ 応用技能
 (ア) 3人で2人を攻める。
 (イ) 3人で3人を攻める。
 (ウ) ゾーンやフリースローから速攻する。
ウ ゲーム
  正規に近い規則によるゲームとその審判
 ≪サッカー≫(男子のみ)
ア 基本技能
 (ア) キック(飛んでくるボールを落とさずにける。)
 (イ) ドリブル(相手を抜いてトリブルする。)
 (ウ) ヘッディング
 (エ) トラッピング
 (オ) シュート
イ 応用技能
 (ア) ボールを止めないでパスをする。
 (イ) 2人のパスからのシュート
 (ウ) 3人で2人を攻める。
ウ ゲーム
  正規に近い規則によるゲームとその審判
(2) ゲームにおける役割を自覚して,その責任を果たし,互いに協力して練習やゲームを行なう態度を養う。
ア 各人がチームの作戦に従って動き,かってな行動をしない。
イ 審判は明確な判定を下す。
ウ チームが相互に協力して練習する。
(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度を養う。
ア 乱暴なプレーをしない。
イ 場所や用具を清潔にし,安全を確かめる。
ウ 準備運動や整理運動をする。

(水泳)
(1) 次の泳ぎや飛び込みの技能をいっそう高める。
ア クロール(スタート,ターンも含む。)
イ 平泳ぎ(スタート,ターンも含む。)
ウ 背泳ぎ(スタート,ターンも含む。)
エ 横泳ぎ
オ 立泳ぎ
カ 潜水
キ さか飛び込み
(2) 練習や競技の計画を立てて行なう態度や能力を養う。
ア 練習や競技に必要な規則を決める。
イ 互いに技能を批判しあう。
(3) 水泳の心得を守り,安全に練習を行なう態度を養う。
ア 水にはいる前や水から出たあとは身体を清潔にする。
イ 健康を害しているとき,空腹のとき,疲労しているときは泳がない。
ウ 人工呼吸法について習熟する。
エ おぼれている者を水にはいって助ける方法について理解する。
オ 準傭運動や整理運動をする。

(ダンス)(女子)
(1) 次のダンスの技能を高め,フォークダンスや美しい表現ができるようにする。
ア フォークダンス
 (ア) オスロワルツ,ネリーブライ,郷士民踊などをする。
 (イ) 1重円・2重円・方形で,ワルツターン,ステップターン,スライド,スイング,日本民踊の手ぶり・足どりなどをする。
 (ウ) それぞれの国の踊りの特徴を知って踊れるようにする。
イ 表現
 (ア) 自然,生活事象,生活感情などからの題を選んで表現し,変化のあるまとまりをつける。
 (イ) 4人ないし8人または他のグループと関係をもって,歩・走,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒,波動などの1,2,3,4,6,8拍動作を強度や連続を変え,また相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。
 (ウ) 題や内容の選び方,表わし方,まとめ方などについて,いろいろな美しい表現を見分ける。
 (エ) 内容にふさわしい伴奏音楽(リズム楽器,旋律楽器,歌を歌うなど。)をくふうする。
(2) グループごとに計画を立て,互いに協力して練習や発表を行なう態度を養う。
ア グループごとに計画を立てる。
イ 役割を決め,責任をもって分担する。
ウ 発表会を計画し,運営する。
エ グループの中で,互いに長所,短所を見つけて直しあう。
オ 他のグループと互いに長所,短所を見つけて直しあう。
(体育に関する知識)
(1) 競技会
ア 国際競技
  国際競技の発展の大要やその役割について理解させる。
イ 国内競技
  国内のおもな競技会の特徴を国民生活との関連において理解させたり,身体障害者スポーツ大会についても理解させる。
ウ アマチュアスポーツと職業スポーツ
  アマチュアスポーツと職業スポーツの特徴について理解させる。
(2) 生活と運動によるレクリェーション
ア 現代のレクリェーション
  世界のおもな国のレクリェーションにふれて,現代生活におけるレクリェーションの意味を理解させる。
イ レクリェーション生活の設計
  地域社会の生活や職場の生活においてレクリェーションの必要なことを理解させ,生活にレクリェーションを計画的に取り入れようとする態度や能力を養う。

 B 保健
(1) 伝染病の予防
ア 伝染病および寄生虫病とその予防
  赤痢,腸チフスなどの消化器系伝染病,結核などの呼吸器系伝染病,その他の伝染病および寄生虫病の病原体,感染経路,症状およびその予防などの大要について理解させ,伝染病および寄生虫病の予防に必要な生活を実践する態度を養う。
イ 循環器系の疾患とその予防
  高血圧,狭心症,慢性リューマチ性心臓疾患などの循環器系の疾患の原因,症状およびその予防などの大要について理解させ,循環器系の疾患の予防に努めさせる。
ウ 呼吸器系の疾患とその予防
  気管支炎,肺炎,気管支ぜんそくなどの呼吸器系の疾患の原因,症状およびその予防などの大要について理解させ,呼吸器系の疾患の予防に努めさせる。
エ 消化器系の疾患とその予防
  胃炎,腸炎,胃かいよう,胃拡張症,十二指腸かいよう,虫垂炎などの消化器系の疾患の原因,症状およびその予防などの大要について理解させ,消化器系の疾患の予防に努めさせる。
オ その他の病気とその予防
  精神神経症その他の精神障害,神経痛その他の神経系の疾患,職業病,じん臓病,中耳炎・アデノイド・慢性副鼻腔(くう)炎などの耳鼻咽喉(いんこう)疾患などの原因,症状およびその予防などの大要について理解させ,これらの病気の予防に努めさせる。
カ 病気の処置と病後の注意
  病後の看護のしかたや病後の生活のしかたなどについて理解させ,病気をすみやかに回復させ,また再発しないように努めさせる。また医薬品の正しい利用のしかたについて理解させ,医薬品の誤った使用によって事故を起こさないようにさせる。
(2) 精神衛生
ア 精神の健康
  精神の健康は,身体の健康,家庭生活,社会生活に密接な関係があることや酒,たばこ,麻薬などの乱用によって精神の健康がそこなわれることおよび精神の健康がそこなわれると望ましくない行動をしがちになることを知らせ,精神の健康の意義や精神を健康に保つ必要を理解させる。
イ 精神の健康を守るための生活
  精神の健康を守るには,自己や他人をよく理解し,気分の転換や不満の解消を適切にし,また望ましくない生活態度や習慣を改めることなどが必要であることを理解させ,これを日常生活で守るように努めさせる。
(3) 国民の健康
ア 国民の健康状態
  国民の平均余命,死因とおもな病気,栄養,体格体力などの現状および推移の大要について知らせ,国民の健康状態の大要を理解させる。
イ 健康とその重要性ならびに社会との関係
  既習の内容を総合して,結核などの主要な国民病から自己の健康を守るため,日常生活の実践をどのようにすればよいか,また健康診断,予防接種を積極的に受ける必要を理解させ,その実践に努めさせる。
以上のことから,さらに健康と日常生活や社会との関係,個人の健康成立の条件,健康の考え方,保健活動の必要性を理解させる。
ウ 健康な国民生活
  国民の健康のための制度,組織,施設についてその大要を理解させ,進んでその健康を高めることに協力するように努めさせる。

3 指導上の留意事項
(1) 生徒の卒業後の生活を考慮し,各運動ができるだけ,生活に活用されるよう,内容や指導の方法をくふうする。
(2) B「(1)病気の予防」については,理科および小学部における体育科との関連を図り,人体の構造・機能に関する指導も考慮する。なお,性病についても適宜指導する。
(3) B「(3)国民の健康」については,公衆衛生における個人の立場に重点をおき,また既習の理解に立って,健康および健康生活について正しい考え方をもたせて,進んで保健活動を推進させるように指導する。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 各学年の体育の分野と保健の分野の標準授業時数は,次のとおりである。

    学年    分野 第1学年 第2学年 第3学年
体 育 105単位時間 70単位時間 70単位時間
保 健   35単位時間 35単位時間
105単位時間 105単位時間 105単位時間
 
 
 
2 次の表は,体育の分野の年間の標準授業時数に対する各領域の授業時数のおよその割合を示したものである。(各学年共通)
       男女別       領域 男子 女子
徒手体操 5〜10% 5〜10%
機械運動 15〜20% 10〜15%
陸上競技 15〜20% 10〜15%
格 技 5〜10%  
球 技 30〜40% 25〜35%
水 泳 5〜10% 5〜10%
ダンス   20〜25%
体育に関する知識 5〜10% 5〜10%

3 第2に示す体育の分野の内容は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱うことを必要とするものであるが,地域や学校の実態を考慮し,特に必要と認められる場合は,これに示していない運動種目を加えて指導してもさしつかえない。しかし,いたずらに指導する種目を多くしたり,程度の高い項目を取り扱ったりして,示された目標や内容の趣旨を逸脱したり,負担過重にならないよう慎重に配慮しなければならない。
4 適切な水泳場がないなどで,水泳を指導できない学校では,これを欠くことができる。
 この場合,水泳に割り当てられた時数は,他の領域に充てる。
 ただし,上記の場合でも,人工呼吸法については,保健学習との関連を図って指導する。
5 積雪地,寒冷地の学校では,スキー,スケートを指導することができる。
 この場合,上記2の表に示した各領域の授業時数の割合をあまり変更しない程度で各領域の時数をさいて,これに充てる。
6 体育において指導計画を作成するにあたっては,それぞれの運動の特性,生徒の健康状態,生徒の運動の経験,男女の特性などを考慮しなければならない。その場合には,運動種目を組み合わせたり,基礎的運動能力の測定を行なうなども含めて,学習の効果をあげるように配慮する。
 また,保健においては,学校における保健管理と密接な関連を図り,能率的な指導ができるようにする。
7 指導する事項の配列にあたっては,特別教育活動,学校行事等,季節および施設用具などを考慮する。
8 各学年に示した「(体育に関する知識)」についての指導は,体育の全体計画の中に位置づけて,できるだけ各運動の指導と密接な関連を図るとともに保健との関連にも留意する。
9 体育学習においては,指導のねらいや運動の特性に応じ,単に運動技能の指導のみに陥ることなく必要な内容が,片寄りなく学習されるように考慮する。
10 集団行動については,各運動の指導と関連させ,小学部における学習の基礎の上に,いっそうその能力を高めるよう適切に指導する。
11 各運動の指導においては,生徒の健康状態や運動能力および男女の特性などに応じて指導する事項の程度や取り扱いを考慮する。
12 各運動の指導にあたっては,病弱者,身体虚弱者および肢体不自由者などに対しては,学校医と連絡をとり,その程度に応じて適切な指導をする。
13 心身の発達,病気の予防,精神衛生などの学習においては,性教育を考慮して指導する。
14 聴覚を保護したり,視覚障害やその他の身体障害を防止するために,指導にあたっては,耳鼻科医および眼科医などと、あらかじめ連絡をとり,指導するようにする。
15 保健学習では,視聴覚教材,教具をじゅうぶんに活用し,また,適宜に実習,調査,見学なども加え,学習の効果があがるようにする。



 
第8節 技術・家庭

第1 目  標

1 生活に必要な基礎的技術を習得させ,創造し生産する喜びを味わわせ,近代技術に関する理解を与え,生活に処する基本的な態度を養う。
2 設計・製作などの学習経験を通して,表現・創造の能力を養い,ものごとを合理的に処理する態度を養う。
3 製作・操作などの学習経験を通して,技術と生活との密接な関連を理解させ,生活の向上と技術の発展に努める態度を養う。
4 生活に必要な基礎的技術についての学習経験を通して,近代技術に対する自信を与え,協同と責任と安全を重じる実践的な態度を養う。

 以上の目標の各項目は,相互に密な関連をもつて,全体として技術・家庭科の目標をなすものである。1は,基礎的技術について主として実践活動を通して学習させ,必要な知識,技能,態度を身につけさせるという技術・家庭科の総括的目標であり,2,3または4のいずれかにかかわる指導においても常に1が根底にならなければならない。

第2 各学年の目標および内容

 生徒の現在および将来の生活が男女によって異なる点のあることを考慮して,「各学年の目標および内容」を男子を対象とするものと女子を対象とするものとに分る。

 A 男子向き
〔第1学年〕
1 目  標
(1) 設計・製図,木材加工,金属加工に関する基礎的技術を習得させ,考案設計の能力を養うとともに,技術と生活との関係を理解させ,ものごとを合理的に処理する態度を養う。
(2) 設計・製図では,簡単な図面を正しく読んだり描いたりするのに必要な基礎的技術を習得させ,ものごとを計画的に進め,精密,確実に処理する態度を養う。
(3) 木材加工・金属加工では,木材製品や金属製品の製作に関する基礎的技術を習得させ,造形的な表現能力を発展させるとともに,作業を安全かつ協同的に進める態度を養う。

2 内  容
(1) 設計・製図
 木材製品や金属製品の考案を表示するのに必要な技術の基礎的事項を指導し,これらがある程度習得された後は,「(2)木材加工・金属加工」の「(実習例)」にあげた製作学習と合わせて指導する。
ア 表示の方法
  図面の種類,スケッチによる表示など。
イ 製図用具の使用法
  製図板・丁定規・三角定規・ものさし・コンパス・デイバイダ・鉛筆など。
ウ 線と文字の使用法
  実線・破線・鎖線・アラビア数字・漢字・かな・ローマ字など。
エ 平面図法
  線分の二等分,垂線,平行線,線分の任意等分,角の二等分,正三角形,正方形など。
オ 展開図
  三角柱,四角柱,円柱など。
カ 投影法
  第一角法,第三角法など。
キ 寸法の記入法
  寸法線,寸法補助線,矢印,寸法数字,各種記号,寸法基準線,角度の寸法,円弧の寸法など。
ク 工作図
  尺度,図面の形式,作図の順序など。
ケ 図面と生活との関係
  日常生活と図面,日常生活と日本工業規格など。
(2) 木材加工・金属加工
 木材加工では主として板材,金属加工では主として薄板金を加工するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作に即して指導するとともに,考案設計・製図・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。なお,加工法については特殊な工芸技法にわたらないこととする。
ア 木材・金属材料
  (木材加工)スギ,マツ,ヒノキ,サクラ,ホウ,セン,合板など。
  (金属加工)スズめっき鋼板,亜鉛めっき鋼板,黄銅板,アルミニウム板など。
イ 接合材料
  (木材加工)くぎ,木ねじ,合成樹脂接着剤など。
  (金属加工)リベット,はんだなど。
ウ 塗料
  ワニス,ペイント,エナメルなど。
エ 木工具・金工具の使用法
  (木材加工)のこぎり,かんな,きり,つち,けびき,ねじ回しなど。
  (金属加工)けがき針,けがき用コンパス,金切りばさみ,押し切り,ハンドドリル,折り台,打ち木,ペンチ,はんだごて,鋼尺,直角定規,つち,ねじ回しなど。
オ 工作機械の使用法
  糸のこ盤など。
カ 工作法
  (木材加工)木取り,のこぎりびき,かんなけずり,穴あけ,くぎ打ち,ねじしめ,接着,組み立て,塗装など。
  (金属加工)けがき,切断,穴あけ,折り曲げ,縁まき,ひずみとり,接合,組み立て,塗装など。
  (実習例)木材加工……花びん敷き,本立て,整理箱など。
       金属加工……ちりとり,角形容器など。

3 指導上の留意事項
(1) 「(2)木材加工・金属加工」の実習では,特に工具や機械の取り扱いや工作機繊の安全装置に注意して,災害の防止に努める。
 また,工具の使用と保管,材料の購入と配分などについては製作の段階において,その管理に関する基礎的な理解を得させるようにする。
(2) この学年における授業時数の割合は,「(1)設計・製図」30%,「(2)木材加工・金属加工」70%(木材加工45%,金属加工25%)を標準とする。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 設計・製図,木材加工・金属加工に関する基礎的技術を習得させ,考案設計の能力を高めるとともに,技術と生産との関係を理解させ,生活の向上と技術の発展に努める態度を養う。
(2) 設計・製図では,第1学年の「設計・製図」の学習を発展させるとともに,簡単な機械製図に関する基礎的技術を習得させ,工業規格の意義や図面と生産との関係を理解させ,製作意図を正確に表現する能力を養う。
(3) 木材加工・金属加工では,第1学年の「木材加工・金属加工」の学習を発展させるとともに,主として工作機械の基礎的な取扱法を習得させ,作業を精密確実に進める態度を養う。

2 内  容
(1) 設計・製図
 第1学年の「(1)設計・製図」の学習を基礎にし,その応用発展として,主として実際に用いられている簡単な機械製図の基礎的事項を指導し,これらがある程度習得された後は,「(2)木材加工・金属加工」の「(実習例)」にあげたものの製作の学習と合わせて指導する。
 なお,製図はすべて鉛筆による製図とし,からす口による墨入れは行なわない。
ア 工作図
  組み立て図と部分図など。
イ 断面図
  全断面図,半断面図,部分断面図など。
ウ 複写図,見取り図
  (複写図)トレースの方法,トレースの順序,青写真など。
  (見取図)フリーハンド・プリント・型取りによるスケッチの方法,スケッチの順序など。
エ 製図用具の使用法
  第1学年にあげたもののほか,パス,ノギスなど。
オ 機械要素の略画法
  小ねじ,ボルト,ナットなど。
カ 図面と生産との関係
  生産工程と図面,工業製品の標準化など。
(2) 木材加工・金属加工
 第1学年の「(2)木材加工・金属加工」の学習を基礎にし,その応用発展として,木材加工では主として角材,金属加工では主として厚板金および棒材を加工するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作に即して指導するとともに,考案設計・製図・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。
 なお,加工法については特殊な工芸技法にわたらないこととする。
ア 木材・金属材料
  第1学年にあげたもののほか,軟鋼板,軟鋼棒,黄銅棒などの金属材料。
イ 接合材料
  第1学年にあげたもののほか,次のものを加える。
  (木材加工)補強金具,ボルト,ナットなど。
  (金属加工)ねじなど。
ウ 切削油
  植物油,鉱油など。
エ 塗料
  第1学年にあげたもののほか,ラッカー,合成樹脂塗料など。
オ 木工具・金工具の使用法
  第1学年にあげたもののほか,次のものを加える。
  (木材加工)のみなど。
  (金属加工)弓のこ,たがね,やすり,タップ,ダイス,バイトドリル,といしなど。
カ 測定具の使用法
  パス,ノギス,トースカン,Vブロックなど。
キ 工作機械の使用法
  第1学年にあげたもののほか,のこ盤,かんな盤,卓上ボール盤,小型旋盤,両頭型研削盤など。
ク 工作法
  第1学年にあげたもののほか,次のものを加える。
  (木材加工)そりの修正,のみきざみ,相欠きつぎ,組みつぎ,ほぞつぎなど。
  (金属加工)切断,穴あけ,やすりかけ,旋削,研削,ねじ切りなど。
  (実習例)木材加工……腰掛け,庭いす,学校備品など。
       金属加工……補強金具,ブックエンド,ぶんちん,学校備品など。

3 指導上の留意事項
 この学年の授業時数の割合は,「(1)設計・製図」30%「(2)木材加工・金属加工」70%(木材加工30%,金属加工40%)を標準とする。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 機械および電気に関する基礎的技術を習得させ,近代技術を活用する能力を養うとともに,近代技術と生産や生活との関係を理解させ,生活に処する基本的な態度を養う。
(2) 機械では,機械の整備に関する基礎的技術を習得させ,機械技術の特性およびそれと生活や産業との関係を理解させ,作業を精密,確実に進め,安全に留意する態度を養う。
(3) 電気では,簡単な電気器具の取り扱いや製作に関する基礎的技術を習得させ,電気技術の特性およびそれと生活や産業との関係を理解させ,作業を精密,確実に進め,安全に留意する態度を養う。

2 内  容
(1) 機械
 自転車,裁縫ミシン,農業機械などを整備するのに必要な技術の基礎的事項を,取り上げる機械に即して指導するとともに,機械の材料や要素は,取り上げる機械と関連させて重点的に指導する。
ア 機械材料
  鋼,合金鋼,鋳鉄,軽合金,潤滑油など。
イ 機械要素
  締結用(ねじ,キー,ピンなど。)
  軸用(軸,軸受けなど。)
  伝導用(べルト,鎖,歯車,カム,リングなど。)
ウ 故障の点検
  日常の点検,使用中の留意事項,点検の順序,故障の原因など。
エ 分解・組み立て・調整
  工具の使用法,分解・組み立ての順序,部品の手入れと交換,調整の要領など。
オ 洗浄・給油
  日常の手入れ,洗浄法,給油法など。
カ 機械と生活や産業との関係
  生活の能率化と機械の利用,機械技術の進歩が各種産業に及ぼす影響など。
  (実習例)自転車,縫裁ミシン,農業機械など。
(2) 電気
 照明器具,電熱器具,電動機などの製作や修理に必要な技術の基礎的事項を,取り上げる製品に即して指導するとともに,電気計器の取扱法は,取り上げる製品と関連させて重点的に指導する。特に製作学習を行なう場合は,計画・準備・材料加工・部品検査・組み立て・配線・試験・調整について一貫した指導を行なうようにする。
ア 電気配線図
  一般電気用記号など。
イ 電気計器の取扱法
  回路計による電流・電圧・抵抗の測定,部品検査法,導通試験など。
ウ 電気工作法
  電線の接続・分岐・紹縁法,配線工作,部品交換など。 
エ 配線器具の点検と修理
  屋内配線の方式,許容電流・定格値,電線・コード,開閉器・接続器・点滅器など。
オ 照明器具,電熱器具の製作・点検・修理
  (実習例)けい光燈,電気こんろ.電気アイロンなど。
カ 電動機の保守と管理
  (実習例)単相誘導電動機など。
キ 電気と生活や産業との関係
  生活の能率化と電気の利用,電気技術の進歩が各種産業に及ぼす影響など。

3 指導上の留意事項
 この学年における授業時数の割合は,「(1)機械」40%,「(2)電気」60%を標準とする。

 B 女子向き
〔第1学年〕
1 目  標
(1) 調理,被服製作,設計・製図,家庭機械・家庭工作に関する基礎的技術を習得させ,考案設計の能力を養うとともに,技術と生活との関係を理解させ,ものごとを合理的に処理する態度を養う。
(2) 調理では,日常食の調理に関する基礎的技術を習得させ,青少年期の日常食の献立作成の能力を養うとともに,食生活を合理的に営む態度を養う。
(3) 被服製作では,日常着の製作,被服の整理および簡単な編物に関する基礎的技術を習得させ,衣生活を合理的に営む態度を養う。
(4) 設計・製図では,簡単な図面を正しく読んだり描いたりするのに必要な基礎的技術を習得させ,ものごとを計画的に進め,精密,確実に処理する態度を養う。
(5) 家庭機械・家庭工作では,調理,被服の製作と整理に用いられる機械の正しい取り扱いおよび簡単な木材加工に関する基礎的技術を習得させ,生活を合理的に営む態度を養う。

2 内  容
(1) 調理日常食を調理するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた食物の調理に即して指導するとともに,青少年向きのものを中心にして,その献立・調理・評価などの各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。
 また,青少年期の日常食の献立に必要な知識は,取り上げる献立に即して重点的に指導する。
ア 献立
  青少年期の栄養,食品の栄養的特質,性別・年齢別・食品群別摂取量のめやす,青少年向きの献立作成。
イ 調理材料
  米,めん類,パン,粉類,いも類,食用油脂,豆製品,魚,貝,肉,卵,乳,海そう,緑黄色野菜,くだもの,調味料など。
ウ 調理用具・食器
  計量器,炊飯器,フライパン,その他普通用いられる調理用具・食器。
エ 調理用熱源
  木炭,石油,ガス類など。
オ 調理法
  はかり方,洗い方,切り方,ゆで方,煮方,焼き方,いため方,調昧のしかたなど。
カ 食物と生活
  青少年期の好みと食生活,食習慣の改善など。
  (実習例)米食(カレーライス)・粉食の調理,魚の煮付けと油焼き,野菜の油いためなどの日常食の調理。
(2) 被服製作
 青少年期における女子の活動的な日常着を作ったり,簡単な編み物をしたり,被服を整理するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作や整理に即して指導するとともに,計画・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。特に繊維の性能,布地の用途,用具,洗剤などは,計画の段階において,取り上げる「(実習例)」に関連させて重点的に指導する。
 また,編み物は基礎的な編み方について指導し,それらを適当に組み合わせることによって各種の模様編みができることを理解させて,「(実習例)」にあげたもののうち一つを取り上げて,その考案設計を行なわせ,それに基づいて製作させるようにする。
ア 繊維・布地と編み物用糸
  天然繊維(もめん,羊毛),再生繊維,合成繊維の性能と,それらで織られた布地の用途,編物用糸の規格。
イ 被服製作・被服整理の用具,機械,施設
  ピンキングはさみ,たらいとその台,乾燥用具,その他普通に用いられるもの,干し場など。
ウ 被服整理用剤
  せっけん,中性洗剤,けい光増白剤,のり類,普通に用いられる防虫剤,しみぬき剤など。
エ 被服製作・被服整理・編み物の方法
 (ア) 被服製作
 洋服構成の基本,採寸,製作計画,型紙の選択とその補正のしかた,用布の積もり方,裁ち方,仮縫い,補正,本縫い,仕上げのしかた。
 (イ) 被服整理
  a 洗たく
    予洗,本洗,すすぎ,脱水,乾燥,仕上げのしかた,つくろい方。
  b しみぬき
    日常つきやすいしみの除去法。
  c 保管
    乾燥,ブラシのかけ方,アイロンのかけ方,防虫剤の使用法,しまい方,容器と保管のしかた。
 (ウ) 編み物
  かぎ針および棒針を用いる基礎編みとその編み目の記号,基礎編み応用の簡単な模様編み,ゲージの決め方。
オ 被服と衣生活
  整容,被服と活動との関係,繊維や被服整理用剤の進歩と衣生活。
  (実習例)被服製作……ブラウス,スカート類。
       被服整理……スリップ,ブラウス,ソックスなどの洗たく。
       編み物………こども帽子,手袋,ソックスなど。

(3) 設計・製図
 家庭機械や家庭工作に必要な製図の基礎的事項を指導し,これらがある程度習得された後は,「(4)家庭機械・家庭工作」の学習と合わせて指導する。
ア 表示の方法
  図面の種類,スケッチによる表示など。
イ 製図用具の使用法
  三角定規,ものさし,コンパス,ディバイダ,鉛筆など。
ウ 線と文字の使用法
  実線・破線・鎖線,アラビア数字など。
エ 投影法
  第一角法,第三角法など。
オ 寸法の記入法
  寸法線,寸法補助線,矢印,寸法数字,寸法基準線,角度の寸法,円弧の寸法など。
カ 工作図
  尺度,図面の形式,作図の順序など。
キ 図面と生活との関係
  日常生活と図面,日常生活と日本工業規格など。
(4) 家庭機械・家庭工作
 家庭機械の取扱および実用品や装飾品の製作に必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの取り扱いや製作に即して指導する。この場合,家庭機械の取扱は,調理や被服製作の学習と関連させて指導するようにし,家庭工作は考案設計・製図・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。
ア 家庭機械の取扱
  操作法,使用中の留意事項,日常の手入れなど。
イ 家具用木材
  スギ,マツ,ヒノキ,サクラ,カツラ,ホウ,セン,合板など。
ウ 接合材料と塗料
  くぎ,木ねじ,合成樹脂接着剤などの接合材料。
  ペイント,ラッカーなどの塗料。
エ 木工具の使用法と工作法
  のこぎり,かんな,きり,つち,ねじ回しなどの工具。
  木取り,のこぎりびき,穴あけ,くぎ打ち,ねじしめ,接着,組立て,塗装などの工作法。
  (実習例)家庭機械……裁縫ミシン,洗たく機,電気アイロンなど。
       家庭工作……花びん敷き,壁掛けなど。

3 指導上の留意事項
(1) 調理や被服製作では,火気の取り扱いや衛生にじゅうぶん注意して,事故の防止に努める。
(2) この学年における授業時数の割合は,「(1)調理」25%,「(2)被服製作」45%(被服製作・被服整理35%,編物10%),「(3)設計・製図」10%,「(4)家庭機械・家庭工作」20%(家庭機械5%,家庭工作15%)を標準とする。

〔第2学年〕
1 目  標
(1) 調理,被服製作,家庭機械・家庭工作に関する基礎的技術を習得させ,考案設計の能力を高めるとともに,技術と家庭生活との関係を理解させ,生活の向上と技術の発展に努める態度を養う。
(2) 調理では,第1学年の「調理」の学習を発展させるとともに,日常食および常備食の調理に関する基礎的技術を習得させ,家族の日常食の献立作成の能力を得させ,生活を明るく営む態度を養う。
(3) 被服製作では,第1学年の「被服製作」の学習を発展させるとともに,休養着の製作および簡単なししゅうに関する基礎的技術を習得させ,生活を快適に営む態度を養う。
(4) 家庭機械・家庭工作では,第1学年の「家庭機械・家庭工作」の学習を発展させるとともに,家庭機械の整備や家具の修理に関する基礎的技術を習得させ,それらを活用する能力および生活を能率的に営む態度を養う。

2 内  容
(1) 調理
 日常食の調理および日常食の献立に必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた食物の調理に即して指導するとともに,成人向きのものを中心にして,その献立・調理・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。また,家族の日常食の献立に必要な知識は,取り上げる献立に即して重点的に指導する。
ア 献立
  家族の栄養,性別・年齢別・労作別による食品群別摂取量のめやす,食品と季節,家族の献立作成。
イ 調理材料
  第1学年にあげたもののほか,乾物,かんづめなど。
ウ 調理用具・食器
  第1学年に準ずる。
エ 台所の施設設備
  流し,調理台,こんろ台,食卓,戸だななどとその配置。
オ 調理用熱源
  第1学年にあげたもののほか,まき,練炭,電熱など。
カ 調理法
  第1学年にあげたもののほか,乾物のもどし方,かんづめ・びんづめを用いる調理のしかた,ジャム・つくだ煮・つけものなどの作り方など。
キ 食物と生活
  家事労働の能率化と調理法および台所の施設設備,食物費と家庭経済。
  (実習例)米食(すし)・粉食の調理,しるもの・あえもの・よせもの・酢のものなどの日常食の調理,ジャム・つくだ煮などの常備食の調理など。
(2) 被服製作
 青少年期の女子の休養着を製作したり,簡単なししゅうを行なうのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたもののうちからそれぞれ一つを選んで,製作に即して指導するとともに,計画・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。
 また,被服の修理・更生・新調などの計画の立て方についても指導する。
 ししゅうは,基礎的なししゅうのしかたの概要を知らせて,「(実習例)」にあげたもののうちから一つを選んで,その考案設計を行なわせ,それに必要なししゅうの基礎的なしかたを指導し,これに基づいて製作させるようにする。
ア 布地
  ゆかた地,タオル地,ネル,ブロード,ギンガム,ポプリンなど。
イ 被服製作・ししゅうの方法
 (ア) 被服製作
  a 和服
    和服構成の基本,寸法,製作計画,用布の積もり方,裁ち方,しるしつけのしかた,縫い方,仕上げのしかた。
  b 洋服
    第1学年「(1)被服製作I,(ア)」に準ずる。
 (イ) ししゅう
  基本的なししゅうのしかた。
ウ 被服と生活
  被服と休養との関係,被服の修理・更生・新調の計画,被服費と家庭経済。
  (実習例)被服製作……休養着(ひとえ長着女物またはパジャマなど。)
       ししゅう……手さげ袋,テーブルクロス,エプロンなど。
(3) 家庭機械・家庭工作
 家庭機械の整備や家具の修理に必要な技術の基礎的事項を「(実習例)」にあげたものに即して指導するとともに,機械の材料や要素は,取り上げる機械と関連させて重点的に指導する。
ア 家庭機械の材料
  スズめっき鋼板,亜鉛めっき鋼板,黄銅板,アルミニウム板,鋳鉄,鋼,合金鋼,軽合金など。
イ 機械要素
  締結用(ねじ,キー,ピンなど。)
  軸用(軸,軸受けなど。)
  伝導用(ベルト,鎖,歯車,カム,リンクなど。)
ウ 家庭機械の整備
  工具の使用法,故障の原因と点検,分解・組み立ての順序,部品の手入れと交換,調整の要領,給油法など。
エ 家具の取扱法と簡単な修理
  日常の点検,接着剤,補強金具,はんだ,ねじによる修理など。
オ 刃物のとぎ方と手入れ
  といしによる方法など。
カ 機械と生活
  生活の能率化と機械の利用,機械技術の進歩が家庭生活や産業に及ぼす影響など。
  (実習例)家庭機械……裁縫ミシンなど。
       家庭工作……家具類の修理,刃物の手入れなど。

3 指導上の留意事項
(1) 調理用熱源については,その地域で一般に多く用いられるものについて実習させ,各種熱源について比較研究させる。
(2) この学年の授業時数の割合は,「(1)調理」30%,「(2)被服製作」45%(被服製作35%,ししゅう10%),「(3)家庭機械・家庭工作」25%「家庭機械20%,家庭工作5%」を標準とする。

〔第3学年〕
1 目  標
(1) 調理,被服製作,保育,家庭機械・家庭工作に関する基礎的技術を習得させ,近代伎術を活用する能力を養うとともに,近代技術と生活との関係を理解させ,生活に処する基本的な態度を養う。
(2) 調理では,第2学年の「調理」の学習を発展させるとともに,老人・病人などの食物の調理,客ぜん調理および行事食の調理に関する基礎的技術を習得させ,食生活を改善する態度を養う。
(3) 被服製作では,第2学年の「被服製作」の学習を発展させるとともに,日常着の製作,被服整理および簡単な染色に関する基礎的技術を習得させ,衣生活を改善する態度を養う。
(4) 保育では,幼児の衣食住に関する技術を総合的に習得させ,こどもを愛育する態度を養う。
(5) 家庭機械・家庭工作では,一般に使われている家庭用電気器具の取り扱いおよび室内整備に必要な家具の修理に関する基礎的枝術を習得させ,それらを活用する能力および生活を能率的に営む態度を養う。

2 内  容
(1) 調理
 既習事項と有機的な関連を図りながら,消化しやすい食物,客ぜん調理や行事食などの調理に必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた食物の調理に即して総合的に指導する。また,客ぜん調理や行事食の調理はそれぞれ地域における生活習慣との関連において,それらを合理的,能率的に改善する態度を養うように指導する。
ア 献立
  幼児・老人・病人などの栄養,幼児・老人・病人などの食事,行事食・客ぜん調理などの献立作成。
イ 調理材料
  第2学年に準ずる。
ウ 調理用具・食器
  第2学年にあげたもののほか,蒸し器,天火,電気調理器具などの調理用具。
  普通に用いられる幼児・病人の食事,行事食,客ぜん調理などの食器・容器。
エ 調理法
  第2学年にあげたもののほか,消化しやすい食物の調理のしかた,蒸し方,揚げ方,あわたてのしかた,うらごしのしかたなど。
オ 食物と生活
  食生活の習慣や年中行事などとそれらの改善。
  (実習例)米飯(たきこみ飯)・茶わん蒸し・卵焼き・つけ焼き・吸い物・揚げ物・サラダなどの調理,消化しやすい食物の調理など。
(2) 被服製作
 青少年期における女子の日常着・外出着の製作,被服整理および簡単な染色を行なうのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作や整理に即して指導する。
 また,染色は基礎的な染め方を簡単に指導し,これに基づいて「実習例)」にあげたもののうちから一つを選んで,その考案設計を行なわせ,これに基づいて製作させるように指導する。
ア 繊維・布地
  第1学年にあげたもののほか,麻,絹およびそれらの交織物など。
イ 被服の付属品
  装飾用ボタン,バックルなど。
ウ 被服製作・被服整理・染色の方法
 (ア) 被服製作
    第2学年の洋服に準ずる。
 (イ) 被服整理
    絹や毛の洗たく方法。
 (ウ) 染色
    ろうけつ染めや紋り染めの基礎。
エ 被服と生活
  衣生活の改善。
  (実習例)被服製作……ワンピースドレス類。
       洗たく………絹物,毛糸編み物など。
       洗色…………手さげ袋,のれん,テーブルクロース,ふろしきなど。
(3) 保育
 幼児の生活を中心にその衣食住について総合的に指導する。
ア 幼児の衣食住
  幼児食,間食,幼児服,おもちゃ,遊び場。
イ 保育と家庭生活
  幼児の心身の発達と衣食住。
  (実習例)間食などの調理,幼児服の考案設計,おもちゃの製作,遊び場など。
(4) 家庭機械・家庭工作
 配線器具,照明器具,電熱器具,電動機などを点検・修理するのに必要な技術の基礎的事項を,取り上げる製品に即して指導する。また家庭工作では,家具の手入れを中心に,すまいについて研究させる。
ア 間取り図と屋内配線図
  建築記号,一般電気用記号など。
イ 電気計器の取扱法
  回路計による電流・電圧・抵抗の測定,導通試験など。
ウ 配線器具の点検・修理
  屋内配線の方式,許容電流・定格値,電線・コード,開閉器・接続器・点減器など。
エ 照明器具,電熱器具の点検・修理
  (実習例)けい光燈,電気こんろ,電気アイロンなど。
オ 電動機をつけた家庭用機器の取り扱い・点検
  (実習例)単相電動機など。
カ すまいのくふう
  換気,採光,照明,清潔などの条件とすまい,家具の配置・配合,清掃・洗浄,塗料の選定と使用法など。
  (実習例)間取りの設計,家具の塗装など。
キ 電気と生活
  生活の能率化と電気の利用,電気技術の進歩が家庭生活や産業に及ぼす影響など。

3 指導上の留意事項
(1) 第3学年では既習事項と有機的な関連を図り,近代技術を活用して家庭生活を合理化し,家事労働を能率化する能力を養うようにする。また,必要に応じて適当な機会に家庭生活における衣食住の計画,記帳などについて総合的な指導を行ない,家庭生活の経営についてまとまりのある理解を得させるようにする。
(2) この学年における授業時数の割合は,「(1)調理」25%,「(2)被服製作」40%(被服製作・被服整理30%,染色10%),「(3)保育」10%,「(4)家庭械機・家庭工作」25%(家庭機械20%,家庭工作5%)を標準とする。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 技術・家庭科は主として実践的活動を通して学習させる教科であるから,実習を中心にして計画し,指導する。この場合単なる技能の習熟に片寄らないように留意する。
2 各学年の内容の各項目の組織や配列は,必ずしもそのまとめ方や指導の順序を示すものではないから,「第1目標」および各学年の目標や指導上の留意事項をじゅうぶん考慮して,適切な組織順序をもった指導計画を作成して指導することが望ましい。
3 内容の項目に示してある「(実習例)」は,その項目に示してある基礎的事項を学習させるのに適当と思われるものを例示したものである。指導計画を作成する場合は,学校の事情や生徒の必要などを考慮して,この例にならって適切なものを取り上げるようにする。
4 指導計画の作成にあたっては,生徒の学習のための集団の作り方や時間割などをくふうして,指導が円滑に行なわれるようにする。
5 学習の環境を整備し,実習のために服装を整えさせ,各種の規定を守らせ,安全・清潔・あとかたづけなどに留意させて,事故の防止に努める。



 
第9節 外  国  語

第1 目  標

1 外国語の音声,聞くことおよび話すことを理解させる基礎を養う。
2 外国語の基本的な語法を知らせ,読むことおよび書くことができるようにさせる。
3 外国語を通して,その外国語を日常使用している国民の日常生活,風俗習慣,ものの見方などについて基礎的な理解を得させる。

 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として外国語科の目標をなすものであるから,指導にあたっては,この点を常に考慮しなければならない。

第2 英語についての目標および内容

1 目  標
(1) 英語の発音,アクセント,初歩的な抑揚ならびに,聞くことおよび話すことについて理解させる。
(2) 英語の初歩的な語,句,文に親しませ,読むことや書くことができるようにさせる。

2 内  容
(1) 言語材料
ア 音声
 (ア) 発音については,現代のイギリスまたはアメリカの標準的な発音によるものとする。
 (イ) アクセントについては,第1次アクセントを用いて話し,読むこと。
 (ウ) 抑揚については,下降調および上昇調を用いて話し,読むことができるようにさせる。
イ 文は単文を主とし,文型はおよそ次の程度とする。
 (ア) 平叙文
  a 肯定文
   (a) 主語十動詞 の文型については,
    主語十動詞
    主語十動詞十副詞
    主語十動詞十副詞句
   (b) 主語十動詞十補語 の文型については,
    主語+be動詞十名詞
    主語+be動詞十代名詞
    主語+be動詞十形容詞
   (c) 主語十動詞十目的語 の文型については,
    主語十動詞十名詞
    主語十動詞十代名詞
   (d) その他の文型については,
    There is(are)〜
    Here is(are)〜
    Let us 〜
  b 否定文
    上記aの文型に基づくもの。
 (イ) 疑問文
  a 動詞または助動詞で始まり,上記(ア)の文型に基づくもの。
  b 前項aの文型に基づき,orを含むもの。
  c How,What,When,Where,Which,WhoまたはWhoseで始まり,上記(ア)の文型に基くもの。
 (ウ) 命令文
   動詞または助動詞で始まり,上記(ア)の文型に基づくもの。
 (エ) 感嘆文
  a Howで始まり,be動詞で終わるもの。
  b Whatで始まり,be動詞またはhave動詞で終わるもの。
ウ 語および連語
 (ア) 新語の数は,およそ300語程度とし,その中に別表1に示したもののうちから選択したものを含める。
 この場合,名詞のうち不規則な複数形および複合名詞,代名詞の性,数および格の変化の語,動詞のうち不規則な過去形ならびに形容詞および副詞のうち不規則な変化の語は,それぞれ1語として数える。
 (イ) 連語については,別表2に示したもののうちから選択したものを含める。
エ 文法事項は,およそ次の範囲とする。
 (ア) 名詞
    主として普通名詞および固有名詞とし,数および格を扱う。
 (イ) 代名詞
    人称,指示,疑問および数量を表わすものとし,性,数および格を扱う。
 (ウ) 形容詞
    性質,状態および数重を表わすものとし,比較は主として規則的な変化とする。
 (エ) 副詞
    比較は,主として規則的な変化とする。
 (オ) 動詞
    時制は現在形および現在進行形とし,活用は現在形および現在分詞とする。
オ 文字はアルファベットの活字体および筆記体の,大文字および小文字とし,符号は終止符,コンマ,疑問符,感嘆符,アポストロフ,ハイフン,引用符などとする。
(2) 題材
 題材は,主として英語国民の日常生活,風俗習慣,物語,地理,歴史などに関するもののうちから変化をもたせて選択し,特定のものに片寄らないようにする。なお,題材の形式は,主として対話文および説明文とする。
(3) 学習活動
 学習活動には,次のものを含めるものとする。
ア 聞くこと,話すこと
 (ア) 英語を聞き取らせる。
 (イ) 英語を聞かせ,これにならって言わせる。
 (ウ) 英語を聞かせ,これに動作で答えさせる。
 (エ) 英語を暗記し,暗唱させる*。
 (オ) 実物,絵画,動作などについて英語で言わせる。
 (カ) 文の一部を置き換えて言わせる*。
 (キ) 文を転換して言わせる*。
 (ク) 英語で問答させる。
イ 読むこと
 (ア) 範読にならって音読させる。
 (イ) ひとり音読させたり,集団で暗読させたりする。
 (ウ) 対話の登場人物を分担して読ませる。
ウ 書くこと
 (ア) 習字をさせる。
 (イ) 英語を見て書き写させる。
 (ウ) 語のつづりを言わせたり,書かせたりする。
 (エ) 英語を書き取らせる*。
 (オ) 暗記した文を書かせる。
 (カ) 文の一部を置き換えて書かせる*。
 (キ) 文を転換して書かせる*。
 〔備考〕 *印を付した学習活動は,授業時数を105単位時間以上(週当たり3単位時間以上)実施する場合に,深めるものとする。

3 指導上の留意事項
(1) 学年初めのある期間は,基本的な文型や語を聞かせ,これにならって言わせたり,これに動作で答えさせたり,また,問答をさせたりして,英語の音声に慣れさせる。発音指導にあたっては補聴器を活用するとともに,発音の正確さについて過度の要求をしないようにする。
(2) 英語特有の発音を指導するために,その補助的な手段として万国音標文字のうち必要なものを掲示してもよい。
(3) 暗記および書取の指導にあたっては,運用度の高い言語材料を精選し,できるだけ回数を重ねて行なうようにする。
(4) 読むことと書くことにある程度慣れさせた後,英和辞書のひきかたを指導する。
(5) 日常生活で使いなれている外来語のうち英語と関係のあるものに気づかせたり,視聴覚教材を活用して英語学習への興味,関心を高める。
(6) 読みの指導については,文の組み立てや語句の使い方に注意させ日本語との相違に気づかせる。

別表1 次の語は英語の学習の中等教育の段階で取り扱う語いである。なお,前節に示す目標・内容との関連から基本的で使用頻度の多い語をおよそ300語程度選び,生徒の学習の実情に応じて指導する。


a about above across after
afternoon again ago all almost
along already also always am
America American among an and
animal another answer any anybody
anyone anything April are arrive
as Asia ask at August
autumn away back be because
become been before begin behind
beside best better between big
bird black blackboard blue book
both box boy bread breakfast
bring brother build building but
buy by call can carry
catch chair chalk child children
city class classroom clock cloud
cold colo(u)r come cool could
country cross cry cup cut
dark daughter day dear December
desk diary dictionary did dinner
do doctor does door down
drink during each early earth
east easy eat eight eighteen
eighth eighty either eleven eleventh
else England English enough Europe
even evening ever every everybody
everyone everything face fall familly
for fast father February feet
few fifteen fifth fifty find
fine finish first fish five
flower fly food foot for
forget forty four fourteen fourth
Friday friend from fruit game
garden gentleman get girl give
glad glass go good goodby(e)
grass great green grow had
half hand happy hard has
have he head hear help
her here hers herself high
him himself his hold holiday
home hope hot hour house
how hundred I if ill
in ink interesting into invite
is it its January Japan
Japanese July June Just keep
kind knife know lady large
last learn leave left lend
lesson let letter lie light
like listen little live long
look low lunch make man
many March May may me
meet men mile milk mine
minute Miss Monday month moon
more morning most mother mountain
Mr. Mrs. Mt. much must
my myself name near need
never new next nice night
nine nineteen ninety ninth no
noon north not notebook nothing
November now o'clock October of
off often old on once
one only open or other
our ours ourselves out over
page past pen pencil people
perhaps picture play please pocket
poor present pretty pupil put
quarter question quite rain rather
reach read ready red rich
ride right rise river room
round run same Saturday say
school sea season second see
sell send September seven seventeen
seventh seventy shall she shine
short should show shut sick
since sing sister sit six
sixteen sixth sixty sky sleep
slowly small smile snow so
some somebody someone something sometimes
son song soon sorry south
speak sport spring stand star
still stop story street strong
study such summer sun Sunday
supper swim table taKe talk
tall teach teacher tell ten
tenth than thank that the
their theirs them themselves then
there these they thing think
third thirteen thirty this those
though thousand three through Thursday
till time to today together
tomorrow too town tree try
Tuesday twelfth twelve twenty two
under understand up us use
very village visit walk wall
want warm was wash watch
water way we Wednesday week
well were west what when
where which while white who
whom whose why wide will
wind window winter wish with
within without woman women word
work world would write year
yellow yes yesterday yet you
young your yours    

 〔備考〕できるだけ基礎的な語から指導するとともに,2義以上をもつ語については基本的な意味から指導する。

別表2 次の連語については,生徒の学習の実情に応じ,前節に示す目標・内容との関連において必要なものを選び,指導する。


a few a great many a little
a lot of a pair of a piece of
as〜as as〜as〜can as soon as
be able to be afraid of be fond of
both〜and each other either〜or
had better have to in front of
lots of not only〜but(also) of course
one another out of plenty of
so〜that too〜to  

〔備考〕できるだけ基本的な連語から指導する。

第3 英語についての指導計画作成および学習指導の方針

1 1単位時間の学習指導においては,聞くこと,話すこと,読むことおよび書くことの3領域にわたって,つりあいのとれた形で進めることが必要である。
2 第1学年および第2学年においては,表現できる程度まで指導する言語材料をできるだけ多くし,第3学年に進むに従って,理解にとどめる言語材料を取り入れるようにする。
3 基本的にして運用度の高い言語材料は,各学年を通して反復させるとともに,その上にしだいに程度の高い言語材料を積み重ねていくように計画することが必要である。
4 第1学年,第2学年および第3学年の指導計画は,2の内容に示す各活動を生徒の実態に即し,3ケ年に配分して各学年の計画を立てるようにする。
5 上記の各学年の内容に示した,言語材料における用語は,その範囲または程度を示すために用いたものであるから,指導にあたっては用語の掲示は最小限にとどめるようにする。
6 指導にあたっては,特定の指導法に片寄ることなく,生徒の心理,特性,特に聴覚障害の程度経験などに即して進めるようにする。
7 英語は,日本語とその語系語族を別にし,音声,文字および語法に大きな相違があるので,聞くこと,話すこと,読むこと,および書くことの各領域にわたって,特に反復練習させる必要がある。
8 音声を指導する補助的な手段として,補聴器,レコード,録音機,放送などを利用することが望ましい。
9 文法は,聞くこと,話すこと,読むことおよび書くことの中で指導し,ある期間の終わりごろに既習の文法事項を整理させることなどは必要である。
10 英語を通して英語国民についての基礎的な理解を得させることはたいせつであるが,風物や制度などの説明に深入りしないようにするとともに,英語学習の結果英語国民に対する偏見をもつことのないように努める。

第4 その他の外国語

 英語以外の外国語については,「第1目標」に基づき英語に準じて行なうものとする。



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第10節 農    業

第1 目  標

1 農業(林業を含む)に関する基礎的な知識と技能を習得させる。
2 農業技術の科学的な根拠を理解させ,これを実際に活用する能力を養う。
3 協同と責任を重んじる態度を養う。

第2 内  容
 A 養  畜
 1 家畜・家きんなどの飼育を通して,養畜の基礎的な知識と技能を習得させ,それらを合理的,能率的に育成する態度を養う。
(1) わが国の農業の概要と畜産物の需給状況,養畜と機業経営との関係
(2) 家畜・家きんの飼育
 品種・繁殖・育成,日常の管理,飼料とその調理法・与え方・貯蔵法,病気・害虫とその対策,搾乳・肥育・せん毛,生産物の処理,家畜舎・家きん舎の施設設備など。
  (実習例)ニワトリ,ヤギ,ブタなど。
 2 指導上の留意事項
(1) 「養畜」は家きん・小家畜の飼育から始めて,養畜に対する関心を高めさせ,経営経済的な観点に立って飼育するように指導し,必要によりニワトリの卵の人工ふ化,育すう,点燈飼育あるいは肥育・去勢などの内容を加えて指導する。
(2) 「養畜」の授業時数は70単位時間を標準とする。

 B 農  耕
 1 主要食用作物の栽培を通して,農耕の基礎的な知識と技能を習得させ,それらを合理的,能率的に育成する態度を養う。
(1) 主要食糧の需給状況およびそれと農業経営との関係
(2) 作物の栽培
 自然環境と農耕との関係,品種,種物の選択と準備,育苗,耕作のしかた,作物の性質と日常の手入れ,土と肥料,病気・害虫とその対策,取り入れ,貯蔵など。
(3) 作付け計画
 輪作と連作,間作と混作,作付け計画の立て方など。
(4) 農耕に用いる農具や機械とその使い方
  (実習例)食用作物………イネ,ムギ,マメ,イモ類など。
 2 指導上の留意事項
(1) 栽培法の機械化や電化については「技術・家庭科A男子向き〔第3学年〕」の内容との関連において指導する。また農業用の殺虫剤,殺菌剤,除草剤,植物ホルモン,土の化学的反応,肥料などについては,調査,測定,観察などによる実験的な取扱を加えて指導する。
(2) 「農耕」の授業時数は70単位時間を標準とし,地域の事情によって,「C造林」を学習させることができる。

 C 造  林
 1 苗木の育成,林木の植え付けや手入れを通して,造林の基礎的な知識と技能を習得させ,林木を合理的,能率的に育成する態度を養う。
(1) 林産物の需給状況およびそれと林業経営との関係
(2) 造  林
 自然環境と造林との関係,樹種,種物の選択と準備,育苗,植え付け,植え付け後の手入れ,林木の病気,害虫,山火事,風雪害などとその対策など。
(3) 植樹計画
 植樹計画の立て方など。
  (実習例)スギ,ヒノキ,アカマツ,クロマツ,カラマツ,エゾマツ,クヌギ,モウソウチク,マダケ,など。
(4) 林産物の利用
 すみやき,きのこの栽培など
 2 指導上の留意事項
(1) 「(実習例)」にある樹種を参考にして,その地域に適した樹種1〜2種を取り上げて,育苗,植え付け,手入れについて実習を中心に指導することとし,植え付け,手入れについては学校行事等の学校植林,環境緑化活動などとじゅうぶんに連絡させて計画的に行なうようにする。
(2) 「造林」の授業時数は35単位時間を標準とする。

 D 園  芸
 1 主として野菜類の栽培を通して,園芸の基礎的な知識と技能を習得させ,それらを合理的,能率的に育成する態度を養う。
(1) 園芸生産物の需給状況およびそれと農業経営との関係
(2) 野菜類の栽培
 自然環境と園芸との関係,品種,種物の選択と準備,育苗,耕作のしかた,作物の性質と日常の手入れ,土と肥料,病気・害虫とその対策,取り入れなど。
(3) 作付け計画
 作付け計画の立て方など。
(4) 促成栽培,抑制栽培,育苗などに必要な施設設備とその作り方や管理
 防風防寒用のかこいの作り方,簡易温床やビニールハウスの作り方,ガラス室や固定フレームの温室・温床としての使い方とその管理,園芸用農具など。
  (実習例)葉菜類,根莱類,果莱類など。
 2 指導上の留意事項
(1) 「B2の(1)」に準じて指導する。
(2) 「園芸」の授業時数は35単位時間を標準とする。

 E 農産加工
 1 農産物の加工・貯蔵を通して,加工・貯蔵の基礎的な知識と技能を習得させ,合理的,能率的に作業する態度を養う。
(1) 農産物の加工・貯蔵と農業経営との関係
(2) 農産物の加工・貯蔵
 原料の選定と調整,加工の用具とその準備,調味料・香料・着色料などの選定と配合,加工の種類に応じた各種の操作,製品検査,加工と食品衛生,加工・貯蔵の施設設備とその管理など。
  (実習例)乾燥野菜,つけ物,果じゅう,乳酸飲料,ジャム,ゼリー,かんづめ,びんづめなど。
 2 指導上の留意事項
(1) 加工・貯蔵の方法には簡易で便宜的な方法や,高度の品質管理のもとに大規模の施設設備を用いて行なう方法などがある。施設設備のないために簡易な方法で指導する場合にも,いたずらに結果を急ぐことを戒めて,特に原料の選定,消毒,温度や湿度の管理,作業工程などを正確に行ない,単なる操作法や技能の習得に陥らないようにし,伝統的な方法などを改善する能力を養うように指導する。
(2) 特に食品の衛生と清潔に留意して事故の防止に努める。
(3) 「農産加工」の授業時数は35単位時間を標準とする。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 この教科の授業時数を140単位時間とする場合は,内容のA,B(C),D,Eの順に指導する。この場合,飼育と栽培に関する学習は年間を通して行なうことが適切である。
2 この教科は,将来農業およびこれに関係のある職業に従事しようとする者の必要に応じて設けられたものであるから,農業に従事する者に必要な心構えを養うことがたいせつである。このためには,実習や実験を重視した学習指導を行なうように留意する。
3 生徒の既有の学習成果や生活経験を有効に利用するとともに,それぞれの項目の基礎的な知識,技能,態度を含むもので,生徒の興味や関心の深い具体的なものから始めて,応用的,総合的なものに及ぶようにその内容を配列する。また自然環境の影響を受けやすい生物を対象とする学習が多いので,季節や天候などを考慮して弾力性のある指導計画を立てる。
4 指導計画の作成にあたっては,生徒の学習のための集団の作り方や時間割りなどをくふうして,指導が円滑に行なわれるようにする。また,家庭実習を行なう場合は,精密な計画を立てて効果的に行なうようにする。
5 家畜や作物の日常の管理作業を行なうために,休業日,時間割に示された以外の時間に農場当番などを設ける場合は,特別教育活動,学校行事等との関連において計画し,実施する。
6 実習のために服装を整えさせ,作業規律を励行させ,農具などの正しい取り扱いに慣れさせ,清潔や安全に留意させて,事故の防止に努める。



 
第11節 工    業

第1 目  標

1 工業に関する基礎的な知識と技能を習得させる。
2 工業技術の科学的な根拠を理解させ,これを実際に活用する能力を養う。
3 協同と責任を重んじる態度を養う。

第2 内  容

 A 手仕上げ
 1 主として手仕上げ作業について機械工作の基礎を系統的に学習させ,あわせて材料と工作法との関連をも理解させる。
(1) 手仕上げ作業のあらまし
 機械工作と手仕げ,手仕上げ作業の内容。
(2) 手仕上げ工場の設備
 おもな設備,工具の種類と使い方。
(3) けがき・心出し
 トースカンによるけがき,片パスおよびトースカンによる心出し。
(4) 平面仕上げ
 平面の精度,平たがねおよびやすりによる平面仕上げ。
(5) やすりによる曲面仕上げ
 外曲面および内曲面の仕上げとやすりの選び方。
(6) 穴あけ
 手作業および卓上ボール盤による穴あけ。
(7) ねじ立て
 ねじ立て工具,ねじ下穴のけ方,ねじの立て方,切削剤。
(8) 鍛造作業
 鍛造用材料と鍛造法,延ばし方,曲げ方,切り方など。
(9) 熱処理
 鋼の焼き入れと焼きもどし,焼きなましなど。
(10) 機械工作図
 手仕上げ作業に必要な工作図の読み方。
(11) 工場における管理の方法
(12) 安全と能率
 2 指導上の留意事項
 「手仕上げ」の授業時数は70単位時間を標準とする。

 B 機械仕上げ
 1 工作機械を使用する機械仕上げ作業の基礎を系統的に学習させ,金属切削加工のあらましを理解させる。
(1) 機械仕上げ作業のあらまし
 おもな機械仕上げ作業,工作機械の種類と用途など。
(2) 旋盤工作法のあらまし
 おもな旋盤工作法,旋盤の種類と用途など。
(3) 旋盤作業
 旋盤の操作,工作物の取り付け,外周削り,端面削りなど。
(4) 形削り盤作業
 形削り盤の操作,工作物の取り付け,平面削り,段削りなど。
(5) 刃物の種類と使い方
 工作機械に使われるおもな刃物の種類と用途。
(6) 刃物のとぎ方
 バイトのとぎ方など。
(7) 材料と切削
 材料,工具,切削剤,切削速度などの相互関係。
(8) 機械工作図
 機械仕上げ作業に必要な工作図の読み方。
(9) 工場における生産の方式
(10) 安全と能率
 2 指導上の留意事項
 「機械仕上げ」の授業時数は70単位時間を標準とする。

 C その他

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 この教科の授業時数を140単位時間とする場合は,内容のA,Bの順に指導する。
2 この教科は,将来工業の分野に進もうとする者の必要に応じて設けられたものであるから,工業に従事する者に必要な心構えを養うことがたいせつである。このためには,実験や実習を重視した学習指導を行なうように留意する。
3 それぞれの項目の基礎的な知識,技能,態度を体系的に析出し,より基本的なものがくり返し学習され,身につくように指導計画を作成する。
4 それぞれの項目の基本となる要素作業とその関係知識とを一体として学習させ,次いでそれらの組み合わされた仕事の学習に進むように,組織的,系統的な学習指導を行なう。
5 指導計画の作成にあたっては,生徒の学習のための集団の作り方や時間割りなどをくふうして,指導が円滑に行なわれるようにする。
6 学習指導にあたっては,常に危険の防止に留意させ,安全に関する意識の高揚に努める。このためには服装の整備,学習環境の整理・整とん,作業規律の励行などをゆるがせにしないように指導する。
7 内容の「Cその他」については,たとえば木材加工など内容のA,B以外の領域について履習する場合は,第1目標に準じて適切な目標・内容を設け指導計画を作成する。



 
第12節 商    業

第1 目  標

1 商業に関する基礎的な知識と技能を習得させる。
2 事務や経営管理に関する実務を能率的に行なう能力と態度を養う。
3 経済生活を合理的に営む態度を養う。

第2 内  容

 A 商事活動
 1 商業事象について,実務的な知識,理解を得させ,それを生活および職業の上に役だてる能力と態度を養う。
(1) 売  買
 購入,販売,取り引き関係書類,物品の受け渡し,代金の決済,店舗の設計と装飾,広告など。
(2) 運送・通信
 陸上・海上・航空による旅客・貨物の運送,郵便・電信などの利用。
(3) 保  管
 倉庫の利用。
(4) 金  融
 銀行その他の金融機関の利用,一般の金銭貸借の方法,小切手・手形の利用。
(5) 保  険
 各種の損害保験および生命保険の利用。
(6) 有価証券・取引所
 株式および公債・社債と投資,証券取引所および商品取引所の働きと取り引き方法のあらまし。
(7) 企業の形態と組織
 会社・組合などの種類と特徴,企業の規模,事業外の内部組織。
 2 指導上の留意事項
(1) 学習指導の順序は必ずしもこの項目の配列の順序によらなくてもよいし身辺,日常生活に密接な関連のあるものに限ってよい。
(2) 単に知識として得させるだけでなく,それを実際に役だてるように指導する。
(3) 「商事活動」の授業時数は70単位時間を標準とする。

 B 経  理
 1 簿記の基礎的な知識,技能を習得させ,経理を明確に処理する能力と態度を養う。
(1) 金銭収支の記帳
 記帳の必要性,記帳の一般原則,現金出納帳の記録,預金や貸借の記録,伝票の利用。
(2) 商品売買の記帳
 仕入れ帳・売り上げ帳・商品有高帳の記録,伝票の利用。
(3) 仕訳と勘定科目
 仕訳の原則,勘定科目の種類,仕訳帳・元帳の記録。
(4) 決算と財務諸表
 帳簿の締め切り,試算表・たな卸表・貸借対照表・損益計算書の作成。
(5) 税  務
 税金の計算,青色申告。
 2 指導上の留意事項
(1) 記帳を実践させることに重点をおいて指導する。
(2) 勘定科目の種類は基本的なものに重点をおき,決算についても複雑なものは避ける。
(3) 税務については,所得税を中心として一般的な税の計算のしかたに重点をおいて指導する。
(4) 「経理」の授業時数は70単位時間を標準とする。

 C 計算事務
 1 各種の計算用具による計算技術を習得させ,計算事務を能率的に処理し,ものごとを計数的に判断する能力と態度を養う。
(1) 珠  算
 加減算,乗除算,暗算,応用計算。
(2) 計算機操作
 加減算,乗除算。
 2 指導上の留意事項
 「計算事務」の授業時数は35単位時間を標準とする。珠算の指導においては,読み上げ算より見取り算に重点をおくこと。

 D 文書事務
 1 文書の作成および整理に関する技術を習得させ,文書事務の能率を増進する能力と態度を養う。
(1) 文書作成
 複写,謄写,タイプライティング。
(2) 文書整理
 文書の受け付け,発送,整理,保管などの方法。
 2 指導上の留意事項
(1) 文書作成に関連して,活版印刷に関する事務や事務用文書の形式・内容について指導するのもよい。
(2) 「文書事務」の授業時数は35単位時間を標準とする。

第3 指導計画作成お上び学習指導の方針

1 この教科の授業時数を140単位時間とする場合は,内容のC,D,A,Bの順に指導する。
2 この教科の指導にあたっては,つとめて実践的に学習させるように留意する。



 
第13節 家    庭

第1 目  標

1 家庭生活に必要な衣食住,保育・看護および家庭径営について理解させ,家事その他の実務に役だつ基礎的技術を習得させる。
2 家庭生活を合理的,能率的にし,明るく快適にする態度を養う。

第2 内  容

 A 被  服
 1 日常の衣生活について理解させ,これに必要な洋裁,和裁,手芸に関する基礎的技術を習得させて,それらの製作能力を高めるとともに,衣生活を改善する態度を養う。
(1) 衣生活
ア 活動・休養と被服,被服と保健衛生,被服と作法
イ 衣生活の計画,衣生活と家庭経済・家事労働
ウ 衣生活の改善,最近のわが国における和洋裁・手芸併用の傾向と被服の推移,わが国の衣料事情
(2) 被服製作
ア 被服の製作・整理に関する改善
イ 洋  裁
 「技術・家庭科B女子向き〔第1学年〕にあげたことのほか,用途による形の選び方。
ウ 和  裁
 「技術・家庭科B女子向き〔第2学年〕」にあげたことのほか,用途による形の選び方。
エ 手  芸
 機械編み,手編み,簡単な織物,ししゅうなどの方法。
  (実習例)
  洋裁………エプロン,スカート,ボレロ,スラックスなど。
  和裁………大裁ちひとえ長着男物,中裁ち,小裁ちのひとえ長着など。
  手芸………セーター,カーディガン,下ばき,羽織下,テーブルクロス,袋類など。 2 指導上の留意事項
(1) 衣生活に関する内容は,できるだけ「(実習例)」にあげたものの製作に関連させて指導する。
(2) 将来被服製作関係の職業に従事しようとする者の必要に応じ,裁縫ミシン,編み物機などの操作に慣れさせるように留意する。

(3)「被服」の授業時数は105単位時間を標準とし,地域の事情によって洋裁70単位時間,手芸35単位時間とするか,または和洋裁70単位時間,手芸35単位時間とする。

 B 食  物
 1 日常の食生活について理解させ,これに必要な献立・調理に関する基礎的技術を習得させて,それらの能力を高めるとともに,食生活の改善を図る態度を養う。
(1) 食生活
ア 日常の食品,食品の鑑別法
イ 地域の家庭や自分の家族の栄養の実態,わが国の食糧事情
ウ 食物と衛生
エ 食生活の改善
(2) 献立・調理
ア 調理法の改善,台所や食品貯蔵場などの改善
イ 食物の味に関する感覚
ウ 献立作成の練習
エ 調理法
  飯類・パン類・めん類の調理,蒸し物・しるもの・煮物・焼き物の調理,菓子の作り方,郷土料理の作り方など。
  (実習例)どんぶり物・ホットケーキ・めん類の調理,赤飯,スープ・煮こみ・含め煮の調理,なべ料理・姿焼き・蒸し焼きなど。
 2 指導上の留意事項
(1) 献立作成の練習と「(実習例)」にあげた調理実習とは,じゅうぶん関連を図って指導する。
(2) 「食物」の授業時数は70単位時間を標準とする。

 C 保育・看護
 1 保  育
 乳幼児の心身の発達に応じた扱い方やその衣食住について理解させ,それに必要な技術を習得させて,こどもを愛育する態度を養う。
(1) 乳幼児の身体の発育,生理機能
(2) 乳幼児の栄養,妊産婦および授乳婦の栄養,離乳期および幼児期の食物,乳児の被服
(3) 乳幼児の精神の発達,幼児理解の方法,こどもの絵,おもちゃ,遊び,環境
  (実習例)流動食・半流動食その他消化しやすい食物の調理,紙しばい,人形しばい,自然物のおもちゃのくふうなど。
 2 看  護
 日常かかりやすい病気について,家庭における看護法を理解させ,それに必要な看護技術を習得させる。
(1) 病気の早期発見,医師を招くまでの処置
(2) 病状の観察とその記録
(3) 病人の衣食住に関する世話のしかた,簡単な手当法,排せつ物の処置など。
(4) こどもに多い病気の予防とその看護法
(5) 家庭常備薬と家庭看護用品の整備
  (実習例)体温・脈はく・呼吸の測り方とその記録,病室・病床の整え方,病衣の換え方,食事の与え方,薬の用い方と与え方,かん腸,便器の扱い方など。
 3 指導上の留意事項
(1) 「1 保育」の乳幼児食と「2 看護」の病人食については,消化しやすい食物の調理としてあわせて実習させる。
(2) 「保育・看護」の授業時数は,18単位時間を標準とする。

 D 住居・家庭経営
 1 住  居
 すまいの機能について理解させ,すまいを衛生的,能率的に,また安全,快適にくふう改善するのに必要な能力と態度を養う。
(1) 健康とすまい
 排水・給水,防そ・防虫など。
(2) 家族の生活の場としてのすまい
 家族生活を中心とするすまい,職業の場とすまいの分離,家事労働と休養の場としてのすまい,各室の機能と配置,すまいの広さ。
(3) 地域や職業とすまい
(4) 住居とその施設設備のくふう改善
  (実習例)勉強の場所や押し入れなどの考案設計。
 2 家庭経営
 家庭生活における衣食住,保育などの総合的な運営について理解させ,それに必要な経営の能力と態度を養う。
(1) 家庭経済
 物の選択,購入,使い方,家庭における経済生活のめやす,支出と収入,記帳,予算,決算,剰余・不足の処置,家族の協力,家庭経済に影響を与えるもの。
(2) 家事労働
 家事労働と休養・余暇,家族の協力と分担,生活時間の計画と実行,年中行事その他の風習の反省と改善。
(3) 家庭生活
 これからの家庭生活,家族の一員としての望ましい生活,衣食住・保育・看護・家庭経営と家族関係。
  (実習例)記帳(家計簿),生活時間の計画。
 3 指導上の留意事項
(1) 「1 住居」については,その地域の実態に即して指導する。
(2) 「2 家庭経営」は,衣食住などと緊密に関連させて取り扱う。
(3) 「住居・家庭経営」の授業時数は17単位時間を漂準とする。

第3 指導計画作成および学習指導の方針

1 この教科の授業時数を210単位時間とする場合は,内容のA,B,C,Dの順に指導する。
2 この教科は,将来家事その他の実務に従事しようとする者の必要に応じて設けられたものであるから,実践的活動を重視して指導する。
3 この教科は,特に「技術・家庭科B女子向き」の各学年の指導と密接な関連を図り,その応用発展としてじゅうぶん効果をあげるようにするとともに,その地域の行事,風俗,習慣などの社会環境や季節その他の自然環境を考慮して計画し,指導する。
4 指導計画の作成にあたっては,生徒の学習のための集団の作り方や時間割りなどをくふうして,指導が円滑に行なわれるようにする。また家庭実習を行なう場合は,精密な計画を立てて効果的に行なうようにする。
5 実習のために服装を整えさせ,規定を守らせ,用具の正しい取り扱いに慣れさせ,清潔や衛生に留意させて,事故の防止に努める。




 

第3章 道徳,特別教育活動および学校行事等

第1節 道  徳

第1 目  標

 人間尊重の精神を一貫して失わず,この精神を,家庭,学校その他各自がその一員であるそれぞれの社会の具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造と民主的な国家および社会の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成することを目標とする。

第2 内  容

 道徳教育の内容は,教師も生徒もいっしょになって理想的な人間のあり方を追求しながら,われわれはいかに生きるべきかを,ともに考え,ともに語り合い,その実行に努めるための共通の課題である。
 道徳性を高めるに必要なことがらは,本来分けて考えられないものであって,道徳的な判断力を高めること,道徳的な心情を豊かにすること,創造的,実践的な態度と能力を養うことは,いかなる場合にも共通に必要なことであるが,上の目標を達成するためのおもな内容をまとめて示すと,次のとおりである。
 1 日常生活の基本的な行動様式をよく理解し,これを習慣づけるとともに,時と所に応じて適切な言語,動作ができるようにしよう。
(1) 生命を尊び安全の保持に努め,心身ともに健全な成長と発達を遂げるように励もう。
 自己はもとより,他のすべてのものの生命を尊ぶことは,人間が意義ある生活を営むための第一歩である。からだも心も,いたずらにその場の気分に負けないで,節度があり均衡のとれた生活をすることによって,健康な成長と発達を遂げるように努めよう。
(2) 正確適切なことばづかいや能率的な動作がてきるように努めよう。
 集団生活は,お互いの理解と協同の上になりたつものであるから,他人に不快な感じをもたせることのないように表情や身なりにも注意し,時と所に応じて,正確適切なことばづかいや能率的な動作ができ,しかもそれらが個性的で,他人から敬愛されるものになるように努めよう。
(3) 整理整とんの習憤を身につけて,きまりよくものごとが処理できるようにしよう。
 平素から身のまわりを整理整とんし,清潔と美化に努めることは,気持ちを整え,ものごとをきまりよく処理できるもとになるから,ものぐさにならないように,よい習慣をつけよう。
(4) 時間や物資や金銭の価値をわきまえて,これらを活用しよう。
 合理的で充実した生活を営むために,時間や物資や金銭などの価値をよくわきまえて,これらをむだにすることなく,計画的に活用しよう。特に決められた時刻はよく守り,公共のものはそまつにしないように気をつけよう。
(5) 仕事を進んで行ない,根気よく最後までやりぬく態度や習慣を身につけよう。
 お互いの生活を向上させるために,ひとりひとりが自分の果たさなければならない仕事の役割と責任を自覚して進んで行ない,困難にも負けないで,根気よく最後までやりぬくように努めよう。
 2 道徳的な判断力と心情を高め,それを対人関係の中に生かして,豊かな個性と創造的な生活態度を確立していこう。
(1) 人間としての誇りをもち,自分で考え,決断し,実行し,その責任をみずからとるように努めよう。
 人は,生存を維持するための生物的な欲求に動かされ,また,社会の慣行に盲従しやすい弱くてもろい面をもつが,同時に自分で考え,決心し,自主的に行動する力を与えられている。
 つとめて衝動をおさえ,冷静に考えて,正しいと信ずるところを実行し,その結果にみずから責任をとろうとすることに,誇りを感ずるようになろう。
(2) すべての人の人格を尊敬して,自他の特性が,ともに生かされるように努めよう。
 人格とは,人はその根本において,お互いに自由であり平等であるという自覚から生まれたことばである。
 人間の尊重とは,現実の人間関係の中において,自分の人格をたいせつにするばかりでなく,他のすべての人格を尊敬していこうとする人間の本性に根ざした精神であって,民主的社会における基本的人権も,この精神によってささえられているものである。
 この自覚にたって,お互いの人格を敬愛しあい,各人の個性や長所を伸ばしあっていくようにしよう。
(3) つとめて謙虚な心をもって,他人の意見に耳を傾け,自己を高めていこう。
 人は,自主自律であるとともに,謙虚であって,はじめて自己をよりよく伸ばすことができる。ことに青年期においては,一方的な自己主張にはしりやすいが,精神的に未成熟であり,経験もふじゅうぶんであるから,両親や教師や先輩などの意見に謙虚に耳を傾けて,暖かい援助に対してはすなおな感謝の心を表わしていこう。
 また,省みてすぐれた先人の生き方に学び,自己のよりいっそうの向上を心がけよう。
(4) 他人と意見が食い違う場合には,つとめて相手の立場になってみて,建設的に批判する態度を築いていこう。
 人は,先入観や感情にとらわれたり,無批判に他の意見に支配されたりして,しばしば真実を見失いがちである。自分の偏見を捨てるとともに,相手の立場にもなってみて,事実に基づいて合理的に批判し,よりよい結論に到達しようとする建設的な態度を築いていこう。
(5) あやまちは率直に認め,失敗にはくじけないようにしよう。また,他人の失敗や不幸には,つとめて暖かい励ましをおくろう。
 人は,とかくあやまちを犯したり,失敗をしがちなものである。しかも,自分のあやまちを率直に認めることはむずかしいことであって,言いわけをしようとしたり,責任を他に転嫁したりしがちである。しかし,自分のあやまちや失敗を潔く認め,卑屈になったり他人の成功をねたまないで,それらの原因を冷静に究明し,再起に役だたせよう。また,他人のあやまちに対しては寛容で,その失敗に対しては,暖かい励ましをおくることに努めよう。
(6) 異性関係の正しいあり方をよく考え,健全な交際をしよう。
 男女の相互敬愛は,民主的社会において尊重されなければならない。相互の愛情は,人生にとって貴重なものであるが,そのあり方は,自己および相手の一生の運命にかかわることであるばかりでなく,その影響を周囲の人々にも及ぼすものである。
 中学生の時期には,異性への関心も目ざめてくるし,そのためにかえって相互に反発する傾向も出てくる。男女が相互に理解しあい,敬愛しあう心構えを養い,一時の軽はずみな行動をとることなく,親や教師にも相談して,公明で清純な交際をするように努めよう。
(7) 常に真理を愛し,理想に向かって進む誠実積極的な生活態度を築いていこう。
 真理を愛し,現実の困難にもかかわらず,あくまで理想を追求することは,青年にふさわしいりっぱな態度である。しかし,ともすると夢を追って空想にはしったり,また,現実のきびしさに負けて,世をいとうようになりがちであるが,それは,理想と現実の関係を正しく理解しないからである。
 人間は現実のただ中にあって,良心を失わず,真理の追求と理想実現の努力を続けることを通して成長するものであることを理解し,誠実積極的な生活態度を築いていこう。
(8) 真の幸福は何であるかを考え,絶えずこれを求めていこう。
 人はだれしも幸福を願うものであり,それは尊重されなければならない。物質的な豊かさや感覚的な快楽を求めることも,それが人間の幸福を高め,かつ,社会的に承認される形で充足されるかぎりは,意義のあることである。しかし,このような欲求の充足のみで真の幸福が得られるとはいえない。心の底から満足でき,しかも,長続きのする幸福は何かをいつも自分の心に問い,高い精神的価値を求める誠実な生活態度を築いていこう。
(9) 情操を豊かにし,文化の継承と創造に励もう。
 自然に親しみ,動植物を愛護し,健全な娯楽や身体に適したスポーツを選ぼう。また,古典を友とし,すぐれた文学,美術,音楽,映画,演劇などを鑑賞し,その伝統を尊び,みずからもその新しい創造に直接間接に参加して,日々の生活を趣味あり情操豊かなものにしよう。
(10) どんな場合にも人間愛を失わないで,強く生きよう。
 長い人生には,すべてに激しく絶望して,何もかも信じられなくなるときもあろう。その場合,宗教は多くの人に永遠なものへの信仰を与え,魂の救いとなってきた。これらの宗教を信ずる者も信じない者も,人間愛の精神だけは最後まで失わないで,正しく生き,民主的社会の平和な発展に望みをかけていこう。
 3 民主的な社会および国家の成員として,必要な道徳性を発達させ,よりよい社会の建設に協力しよう。
(1) 家族員相互の愛情と思いやりと尊敬とによって,健全な家庭を築いていこう。
 家族は,本来深い愛情でつながっているものであるが,親しさのあまり感情を露骨に表わして,ともすれば他人どうしの場合よりもかえって気まずい空気をかもし出しがちである。
 このようなことを反省して,お互いの立場を理解することに努め,許しあい,いたわりあって,暖かく健全な家庭を築いていこう。
(2) お互いに信頼しあい,きまりや約束を守って,集団生活の向上に努めよう。
 学校や職場などの集団生活は,お互いが正直誠実で一定のきまりや約束を守らなければなりたたない。それゆえに,集団の意義や目標と自己の分担する役割をよく理解し,成員としての自覚をはっきりもって,お互いに信頼しあうことがたいせつである。また,各自が勤労の尊さを理解し,勤労を通じて集団生活の向上に努めよう。
(3) 狭い仲間意識にとらわれないで,より大きな集団の成員であるという自覚をもって行動しよう。
 社会には,それぞれ目標や立場の違う多くの集団がある。われわれは自分の集団の目標や立場だけにとらわれがちであるが,そうすると,他の集団との間に利害の対立や,考え方の相違に基づく争いが起こりやすい。このような集団的利己主義を反省して,他の集団に対する理解を深め,お互いにより大きな集団の成員でもあるという自覚をもって連帯共同の実をあげるように努めよう。
(4) 悪を悪としてはっきりとらえ,決然と退ける強い意志や態度を築いていこう。
 社会生活の中で,人は多くの悪に直面しないわけにはいかない。われわれは誘惑を受ければ,悪に陥りやすい弱さをもち,また,集団の中においては,友情や義理の名のもとに悪に引きずり込まれたり,悪を見のがしたりするものであるが,悪を悪としてはっきりとらえ,勇気をもってこれに臨む強い意志や態度を築くことに努めるとともに,みんなで力を合わせて悪を退けるくふうを続けていこう。
(5) 正義を愛し,理想の社会の実現に向かって,理性的,平和的な態度で努力していこう。
 正義が支配する理想の社会をつくることは,これまでも人間が絶えず願ってきたことである。しかし,人はとかく自己のいだく思想や所属する集団の立場からのみ,何が正義であるかを判断しがちであり,そのような考え方から専制や暴力や過激な感情も正当化されやすい。
 われわれは,制度や法の意義を理解し,公私の別を明らかにして,公共の福祉を重んじ,権利を正しく主張するとともに義務も確実に果たして,少数者の意見をも尊重し,平和的,合法的方法で,よりよい社会をつくっていくことに力を合わせよう。
(6) 国民としての自覚を高めるとともに,国際理解,人類愛の精神をつちかっていこう。
 われわれが,国民として国土や同胞に親しみを感じ,文化的伝統を敬愛するのは自然の情である。この心情を正しく育成し,よりよい国家の建設に努めよう。
 しかし,愛国心は往々にして民族的偏見や排他的感情につらなりやすいものであることを考えて,これを戒めよう。そして,世界の他の国々や民族文化を正しく理解し,人類愛の精神をつちかいながら,お互いに特色ある文化を創造して,国際社会の一員として誇ることのできる存在となろう。

第3 指導計画作成および指導上の留意事項

1 指導計画は,学校の教育活動全体に通ずる道徳教育の計画の一環として,各教科,特別教育活動および学校行事等における道徳教育と密接な関係を保ちながら,これを補充し,深化し,統合し,またはこれとの交流を図り,生徒の発達に即し,組織的,発展的に指導できるものでなければならない。この指導計画の作成にあたっては,学校のすべての教師がこれに参加し,協力することをたてまえとする。
2 上記第2に示した内容の配列は,指導の順序を示すものではない。指導計画は,内容の各項目の単なるられつにとどまることなく,各学校において生徒の生活の実態や地域の特色などを考慮して具体化したものでなければならない。
3 指導計画は,固定的なものでなく,生徒の生活場面に時々に起こってくる問題や時事的な問題などをも適宜取り入れることのできるような弾力性をもたせることが必要である。
4 指導にあたっては,道徳的な観念や知識を明確にするとともに,理解,判断,推理などの諸能力を養い,さらに習慣,心情,態度などのすべてにわたって健全な発達を遂げさせ,これらが統合されて,自我の強さが形成されるように適切な指導を与えることが必要である。
5 生徒の道徳性は,家族,友人,学校,地域社会,職場,国家,国際社会など,いろいろの場との関連において形成されるものであることを常に念願において,指導がなされなければならない。
6 指導の効果をあげるためには,生徒の道徳性形成に関係のある家庭環境,心身の障害の程度,生育歴,地域の特性や交友関係などに関する資料を収集・整理し,これを活用することが必要である。
7 教師は,深い愛情をもって公平に生徒に接し,できるだけ許容的な態度で,気長に生徒の道徳的な自覚を育てる必要がある。しかし,それとともに,生徒が悪や低俗な行為に引きずられ,望ましい転換がなかなか起こらないような場合には,適時に適切な積極的指導を与えることも必要である。
8 指導にあたっては,生徒の経験や関心を考慮し,なるべくその具体的な生活に即しながら,討議(作文などの利用を含む。),問答,説話,読み物の利用,視聴覚教材の利用,劇化,実践活動など種々な方法を適切に用い,一方的な教授や,単なる徳目の解説に終わることのないように特に注意しなければならない。
9 生徒の道徳性の発達は,その素質と環境条件の差によって同一年齢においても,かなりの個人差を示すものであることを考慮して,適切な指導方法をとる必要がある。特に生徒が聴覚障害から起こる種々の困難を克服して,強く明るい生活態度を養い,安定した健全な人生観を育てるよう留意することがたいせつである。


 
第2節 特 別 教 育 活 動

第1 目  標

1 生徒の自発的,自治的な活動を通して,楽しく規律正しい学校生活を築き,自主的な生活態度や公民としての資質を育てる。
2 健全な趣味や豊かな教養を養い,余暇を活用する態度を育て,個性の伸長を助ける。
3 心身の健康の助長を図るとともに,将来の進路を選択する能力を養う。

第2 内  容

 特別教育活動においては,生徒会活動,クラブ活動,学級活動などを行なうものとする。
 A 生徒会活動
  生徒会は,全校の生徒を会員とし,主として学校における生徒の生活の改善や福祉を目ざす活動,およびクラブ活動,学級活動などの生徒活動の連絡調整に関する活動を行なう。
 B クラブ活動
  クラブは,学年や学級の所属を離れて同好の生徒をもって組織し,共通の興味・関心を追求して,それぞれ文化的,体育的または生産的などの活動を行なう。
 C 学級活動
  学級活動においては,学級としての諸問題の話し合いと処理,レクリエーション,心身の健康の保持,将来の進路の選択などに関する活動を行なう。
  なお,特に将来の進路の選択に関する活動においては,次の事項についての指導を進路,特性に応じて行なうことが必要である。
(1) 自己の個性や家庭環境などについての理解
 自己分析をしたり,諸検査の結果を検討したりして,各自の個性や家庭環境を理解するとともに,それらと学習や進路との関連,学習や進路の計画・相談の必要,進路選択の一般的めやすなどについて理解すること。
(2) 職業・上級学校などについての理解
 職業については,産業との関連を考慮して,仕事の内容,社会的な役割,資格その他の諸条件,就職の機会などの概要について理解するとともに,聾(ろう)学校高等部や,上級学校や学校以外の教育施設などについては,将来の職業との関連を中心にして,それらの内容を理解すること。
(3) 就職(家事・家業従事を含む。)や進学についての知識
 求人申し込みの状況,事業所の要求,事業所の選び方,進学先の特色と選び方,採用試験,卒業者の進路状況などについて知ること。
(4) 将来の生活における適応についての理解
 職業生活と学校生活との相違,将来の生活への適応のしかたなどについて理解すること。

第3 指導計画作成および指導上の留意事項
1 特別教育活動においては,生徒の自発的な活動を助長することがたてまえであるが,常に教師の適切な指博が必要である。なお,小学部,高等部の特別教育活動と適切な調和が保たれているものであることが望ましい。
2 指導計画の作成にあたっては,各活動相互の関連ならびに各教科,道徳,学校行事等との関連に留意することが必要である。
3 指導計画においては,なるべく生徒がみずから計画を作り,自主的に活動するのを奨励し,援助するように図ることが望ましい。
4 学級活動は,毎学年35単位時間以上実施するものとし,このうち進路指導については,毎学年計画的に実施し,卒業までの実施時数は40単位時間を下ってはならない。
5 生徒会活動やクラブ活動などは,学佼の事情に応じ適当な時聞を設けて,計画的に実施するように配慮する必要がある。
6 クラブ活動に全校生徒が参加できることは望ましいことであるが,生徒の自発的な参加によってそのような結果が生まれるように指導することがたいせつである。
7 クラブ活動は教科の学習と深い関連をもつ場合もあるが,そのような場合には,単に教科の補習を目ざすようなものとならないように注意する必要がある。
8 学級活動の指導は,学級担任の教師か担当することを原則とするが,進路指導などの場合には,その内容に応じて適当な他の教師の協力を受けることが望ましい。なお,生徒相互の話し合いが正しく活発に行なえるよう配慮すること。
9 特に学級活動における進路指導においては,一方的な知識の注入に陥らないように留意し,生徒の自主的な活動を促すとともに,できるだけ具体的な事例に即して指導を行なうなど,効果的な方法をくふうする必要がある。
 なお,個々の生徒に対する進路指導を徹底するためには,適当な機会をとらえて,面接相談などによる指導を行なうことが望ましい。
10 生徒会などにおいては,必要により中学部全体または学年の集会活動を計画し,実施したり,また,小学部,高等部や地域社会との関係において奉仕活動を行なう場合も考えられるが,この場合には,学校行事等との関連をじゅうぶん図るように指導するとともに,その教育的価値の限界について配慮する必要がある。


 
第3節 学校行事等

第1 目  標

 学校行事等は,各教科,道徳および特別教育活動のほかに,これらとあいまって聾(ろう)学校教育の目標を達成するために,学校が計画し実施する教育活動とし,生徒の心身の健全な発達を図り,あわせて学校生活の充実・発展に資する。

第2 内  容

 学校行事等においては,儀式,学芸的行事,保健体育的行事,遠足,修学旅行,学校給食,その他上記の目標を達成する教育活動を適宜行なうものとする。

第3 指導計画作成および指導上の留意事項

1 学校行事等は,学校が計画し,実施するものであるが,その計画や実施にあたっては,生徒に自主的な協力をさせるように配慮し,特に特別教育活動との関連を図ることが望ましい。
2 学校行事等の計画にあたっては,年間を通ずる指導計画のもとに,各教科,道徳および特別教育活動との関連を配慮して,その種類,ならびに実施の時期,時間,回数,方法などを決定するものとする。この際,生徒の発達段階に即応するよう留意するとともに,小学部,高等部または寄宿舎の諸行事との関連を配慮する必要がある。
3 地域社会の要請と関連して,学校行事等の計画を作成し,実施する場合には,その教育的価値をじゅうぶん検討し,学校全体の教育計画を乱すことのないよう,特に留意する必要がある。
4 学校行事等の計画や実施にあたっては,生徒が常に積極的な意欲をもって障害を克服するよう配慮するとともに,学校生活に変化を与え,生徒の生活を楽しく豊かなものにするとともに,集団行動における生徒の規律的な態度を育てることなどにじゅうぶん配慮する必要がある。
5 学校行事等の計画や実施にあたっては,生徒の負担過重に陥ることのないように考慮し,その健康や安全に特に留意しなければならない。
6 国民の祝日などにおいて儀式などを行なう場合には,生徒に対してこれらの祝日などの意義を理解させるとともに,国旗を掲揚し,君が代をせい唱させることが望ましい。
7 学校給食の実施にあたっては,給食時において,関係の教科,道徳および特別教育活動との関連を考慮して,適切な指導を行なうようにしなければならない。

施行期日
 この聾学校学習指導要領中学部編は,昭和40年4月1日から施行する。





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