養護学校高等部学習指導要領


○文部省告示第152号

 学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第73条の10並びに第73条の14第1項及び第2項の規定に基づき,養護学校(精神薄弱教育)高等部学習指導要領、養護学校(肢体不自由教育)高等部学習指導要領及び養護学校(病弱教育)高等部学習指導要領を次のように定め,昭和48年4月1日から施行する。ただし,この告示は,同日以降養護学校の高等部の第1学年に入学した生徒に係る教育課程及び全課程の修了の認定から適用する。
 
 昭和47年10月27日
 
 文部大臣 稻葉 修


精神薄弱教育 / 肢体不自由教育 / 病弱教育



養護学校(精神薄弱教育)高等部学習指導要領

目次
第1章 総則
 第1節 教育目標
 第2節 教育課程一般
 第3節 道徳教育
 第4節 養護・訓練
 第5節 体育
第2章 各教科
 第1節 各教科
  第1 国語
  第2 社会
  第3 数学
  第4 理科
  第5 音楽
  第6 美術
  第7 保健体育
  第8 職業
  第9 家庭
  第10 その他特に必要な教科
 第2節 指導計画の作成と各教科全体にわたる内容の取り扱い
第3章 養護・訓練
  第1款 目標
  第2款 内容
  第3款 指導計画の作成と内容の取り扱い
  第4章 道徳および特別活動
 第1節 道徳
  第1款 目標および内容
  第2款 指導計画の作成と内容の取り扱い
 第2節 特別活動
  第1款 目標および内容
  第2款 指導計画の作成と内容の取り扱い

第1章 総則

第1節 教育目標

高等部における教育については,学校教育法第71条に定める目的を実現するために,生徒の精神発育の遅滞や社会適応の困難性などを考慮し,次に掲げる目標の達成に努めなければならない。

(1) 中学部における教育の目標を,なおじゅうぶんに達成するとともに,その成果をさらに発展拡充させること。

(2) 生徒の将来の職業生活や家庭生活に必要な能力や態度を身につけさせること。

第2節 教育課程一般

1 学校においては,法令およびこの章以下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目ざし,その精神発育の遅滞の状態および心身の発達段階と特性ならびに学校や地域の実態をじゅうぶん考慮して,適切な教育課程を編成するものとする。
 2 各教科は,国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,職業および家庭(以下「各教科」という。)ならびにその他特に必要な教科とする。
 3 各教科,養護・訓練,道徳および特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。
 4 学校において特に必要がある場合には,心身の障害の状態により学習が困難な生徒について,各教科の目標および内容に関する事項の一部を欠き,またはその一部を当該各教科に相当する中学部の各教科の目標および内容に関する事項の一部によって代えることができる。
 5 精神発育の遅滞の程度が著しく重い生徒および精神薄弱と他の心身の障害をあわせ有する生徒のうち,学習が著しく困難な生徒については,各教科,道徳および特別活動の目標および内容に関する事項の一部を欠き,または各教科に代えて養護・訓練を主として指導を行なうことができる。
 6 学校においては,各教科(2で示すその他特に必要な教科を含む。以下同じ。),養護・訓練,道徳および特別活動について,相互の関連を図り,全体として調和のとれた具体的な指導計画を作成し,発展的,系統的な指導を行なうものとする。
 なお,指導計画の作成に当たっては,この章および第2章以下に示す各教科,養護・訓練,道徳および特別活動の指導計画の作成に関する事項にじゅうぶん留意するものとする。
 7 第2章以下に示す各教科,養護・訓練,道徳および特別活動の内容に関する事項の指導に当たっては,特に示す場合のほか,それぞれの目標および内容の趣旨を逸脱しない範囲内で,生徒の実態を考慮して,重点のおき方に適切なくふうを加え,指導の効果を高めるように努めるものとする。
 8 授業時数については,次に示すところによるものとする。

(1) 総授業時数は,各学年とも1,190単位時間(1単位時間は50分として計算する。)を標準とする。この場合,各教科,養護・訓練,道徳および特別活動の目標および内容を考慮し,それぞれの年間の授業時数を適切に定めること。

(2) 養護・訓練に充てる授業時数は,生徒の心身の障害の状態に応じて,適切に定めること。

(3) 各教科,養護・訓練,道徳および特別活動の授業は,それぞれ年間35週以上にわたって行なうように計画すること。この場合,生徒の精神発育の遅滞の状態をじゅうぶん考慮し,週当たりの授業時数が負担過重とならないようにすること。

(4) それぞれの授業の単位時間の実施については,学校や生徒の実態および授業の内容や方法に即して適切に定めること。

9 学校においては,卒業までに履修させる各教科,養護・訓練,道徳および特別活動の授業時数を3,570単位時間を標準として定めるものとする。この場合,精神発育の遅滞の程度が著しく重い生徒および精神薄弱と他の心身の障害をあわせ有する生徒について,特に必要がある場合は,その実態に応じた適切な授業時数を定めるものとする。校長は,これらの授業時数を履修した者で各教科,養護・訓練,道徳および特別活動の成果がそれらの目標からみて,満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。
 10 指導計画の作成に当たって配慮すべき事項

(1) 個々の生徒の精神発育の遅滞の状態を的確に把握し,個人差に即応した指導を行なうとともに,あわせて適切な進路の指導を行なうこと。

(2) 生徒の経験および興味や関心を特に重んじ,自主的,自発的に学習する意欲を高めるように指導すること。

(3) 教師と生徒および生徒相互の好ましい人間関係を育て,日常生活の指導の充実を図ること。

(4) 学校生活全体における言語環境を整え,生徒の言語活動が適正に行なわれるように努めること。

(5) 教科書その他の教材・教具を有効に活用し,学校図書館を計画的に利用すること。

なお,生徒の障害の実態に即した教材・教具を創意くふうし,それらを活用して指導の効果を高めるようにすること。

(6) 指導の効率を高めるため,教師の特性を生かすとともに,教師の協力的な指導が行なわれるようにくふうすること。

(7) 個々の生徒について,指導の成果を絶えず評価し,指導の改善に努めること。

(8) 実験・実習等に当たっては,特に,安全と保健に留意すること。

(9) 学校医等との連絡を密にし,生徒の心身の障害の状態に応じた保健および安全にじゅうぶん留意すること。

(10) 家庭等との連絡を密にし,指導の効果をあげるように努めること。

第3節 道徳教育

学校における道徳教育は,学校の教育活動全体を通じて行なうことを基本とする。したがって,道徳の時間はもちろん,各教科,養護・訓練および特別活動においても,それぞれの特質に応ずる適切な指導を行なわなければならない。

道徳教育の目標は,教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基づく。すなわち,道徳教育は,人間尊重の精神を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造と民主的な社会および国家の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。

その際,生徒の心身の発達に即応して,特に,自律の精神や社会連帯の精神および責任を重んずる態度や差別のないよりよい社会を実現しようとする態度を養うための指導が適切に行なわれるようにしなければならない。

第4節 養護・訓練

心身の障害に基づく種々の困難を克服させ,社会によりよく適応していく資質を養うため,養護・訓練に関する指導は,養護・訓練の時間はもちろん,学校の教育活動全体を通じて適切に行なうものとする。

特に,養護・訓練の時間における指導は,各教科,道徳および特別活動と密接な関連を保ち,個々の生徒の心身の障害の状態や発達段階に即して行なうよう配慮しなければならない。

第5節 体育

健康で安全な生活を営むのに必要な習慣や態度を養い,心身の調和的発達を図るため,体育に関する指導については,生徒の心身の障害の状態や発達段階に即して,学校の教育活動全体を通じて適切に行なうものとする。

特に,体力の向上については,保健体育の時間はもちろん養護・訓練,道徳および特別活動においても,じゅうぶん指導するよう配慮しなければならない。

第2章 各教科

第1節 各教科

第1 国語

1 目標

生活に必要な国語についての理解を深め,国語を使用する能力をいっそう高める。

2 内容

(1) いろいろな場を通じて,適切に,要領よく,聞いたり話したりする。

(2) 生活に必要な語句,文,文章を正しく読んだり書いたりする。

第2 社会

1 目標

社会のしくみやはたらきについて理解を深め,社会生活に必要な能力を高める。

2 内容

(1) 人の立場を理解し,互いに協力して,いろいろな活動をする。

(2) 社会や国のいろいろなきまりや法律を知り,それらを守る。

(3) 公共の施設,機関などのはたらきを知り,それらを適切に利用する。

(4) 生産,流通,消費などに関することがらを知る。

(5) いろいろな地域の自然や生活の様子を知る。

第3 数学

1 目標

生活を合理的にしていくために必要な数学的能力を高める。

2 内容

(1) 生活に必要な数量の処理や計算をする。

(2) 図形や図表を理解し,生活に利用する。

第4 理科

1 目標

自然の事物・現象についてのしくみやはたらきについて,科学的な知識を習得し,生活に役だたせる。

2 内容

(1) 生物について理解を深め,生命のたいせつなことを知る。

(2) 生活に関係のある物質や機械・器具の性質,しくみおよびはたらきについて知る。

(3) 自然の事物・現象について理解し,自然と生活との関係を知る。

第5 音楽

1 目標

いろいろな音楽経験を通して,音楽的表現技能や情操を高め,明るくうるおいのある生活ができるようにする。

2 内容

(1) いろいろな音楽を楽しく鑑賞する。

(2) 正確に美しく独唱,斉唱,合唱,輪唱をする。

(3) 音楽を聞いて感じたことを,からだの動きで表現したりする。

(4) 打楽器や旋律楽器の奏法に慣れ,合奏や独奏をする。

第6 美術

1 目標

造形活動を通して,造形的表現能力や情操を高め,豊かな生活ができるようにする。

2 内容

(1) 経験や想像をもとにして,創造的にかいたり,作ったり,飾ったりする。

(2) いろいろな材料や用具,工具,機械などの性質や扱い方をじゅうぶん理解して,じょうずに使う。

(3) 自然の風景や絵画,彫刻,工芸,建造物などのすぐれた作品を鑑賞する。

第7 保健体育

1 目標

健康や体力についての理解を高め,適切な運動を通して,心身の調和的発達を図り,健康で安全な生活ができるようにする。

2 内容

(1) 体操,器械運動,陸上運動,水泳,ボール運動,格技,ダンスなどをする。

(2) 保健に関する理解を深め,よい健康習慣を身につける。

第8 職業

1 目標

勤労の意義を理解させるとともに,職業生活に必要な能力を高める。

2 内容

(1) 道具や機械などを合理的に使って安全に実習をする。

(2) 仲間と協力し,積極的に実習に参加する。

(3) 職業生活についての知識を深め,適切に進路を選ぶ。

(4) 実習や現場実習によって,実際的な職業生活を経験する。

(5) 職業生活に必要な健康管理や余暇利用の方法を知る。

第9 家庭

1 目標

明るく豊かな家庭生活を営む上に必要な能力を高め,態度を養う。

2 内容

(1) 家庭における役割を分担し,楽しい家庭づくりに協力する。

(2) 被服,食物,住居に関する実習をする。

(3) 保育や看護などに関することがらを知る。

(4) 消費や余暇利用の方法などについて知る。

第10 その他特に必要な教科

その他特に必要な教科は,学校や地域の実態および生徒の進路,特性等により,特に必要がある場合に,この章の第1から第9までにおいて定める教科のほかに設けることができる。この場合においては,その学校の設置者が,教科の名称,目標,内容等について適切に定めるものとする。

第2節 指導計画の作成と各教科全体にわたる内容の取り扱い

1 学校においては,中学部および高等部を通して,一貫性のある指導計画を作成することが必要である。

2 各教科の内容の全部もしくは一部を合わせ,または各教科,養護・訓練,道徳および特別活動の内容の全部もしくは一部を統合して,指導計画を作成するに当たっては,生徒の実態に即し,個人差に応ずるよう適切にくふうすることが必要である。

3 指導計画の作成に当たっては,生徒の精神発育の遅滞の状態や経験等を考慮しながら,実際に指導する事項を選定し,配列して,効果的な指導を行なうことができるよう配慮する必要がある。

4 この章の各教科に示されていない内容を加えたり,示されている内容を除いたりして指導するに当たっては,それらの内容を生徒の精神発育の遅滞の状態や心身の発達段階に即応して適切に定めるよう配慮することが必要である。

5 職業および家庭の指導計画の作成に当たっては,職業生活,家庭生活に必要な実際的な知識,技能および態度を身につけさせる指導に重点をおくことがたいせつである。

第3章 養護・訓練

第1款 目標

生徒の心身の障害の状態を改善し,または克服するために必要な知識,技能,態度および習慣を養い,もって心身の調和的発達の基盤をつちかう。

第2款 内容

A 心身の適応

(1) 健康状態の回復および改善に関すること。

(2) 心身の障害や環境に基づく心理的不適応の改善に関すること。

(3) 障害を克服する意欲の向上に関すること。

B 感覚機能の向上

(1) 感覚機能の改善および向上に関すること。

(2) 感覚の補助的手段の活用に関すること。

(3) 認知能力の向上に関すること。

C 運動機能の向上

(1) 肢体の基本動作の習得および改善に関すること。

(2) 生活の基本動作の習得および改善に関すること。

(3) 作業の基本動作の習得および改善に関すること。

D 意思の伝達

(1) 言語の受容技能の習得および改善に関すること。

(2) 言語の形成能力の向上に関すること。

(3) 言語の表出技能の習得および改善こ関すること。

第3款 指導計画の作成と内容の取り扱い

(1) 指導計画の作成に当たっては,個々の生徒の心身の障害の状態,発達段階および経験の程度に応じて,それぞれに必要とする第2款内容の具体的な事項を選定し,個別にその指導の方法を適切に定めるようにすることがたいせつである。

(2) 指導計画の作成に当たっては,各教科,道徳および特別活動における指導と密接な関連を保つようにし,組織的,計画的に指導が行なわれるようにすることが必要である。

(3) 内容の指導に当たっては,あわせ有する他の障害にとらわれて,かたよったものとならないよう生徒の全人的な発達を図ることがたいせつである。

(4) 養護・訓練の時間の指導は,専門的な知識,技能を有する教師が中心となって担当し,全教師の協力のもとに,効果的な指導を行なうようにすることが必要である。

第4章 道徳および特別活動

第1節 道徳

第1款 目標および内容

道徳の目標および内容については,小学部,中学部における目標および内容を基盤とし,さらに,青年期の特性を考慮し,健全な社会生活を営む上に必要な道徳性をいっそう高めることに努めるものとする。

第2款 指導計画の作成と内容の取り扱い

(1) 指導計画の作成に当たっては,生徒や地域の実態をじゅうぶんに考慮し,弾力性をもたせることがたいせつである。

(2) 指導計画の作成に当たっては,各教科,養護・訓練および特別活動とその内容を統合して指導できるよう配慮することが必要である。

(3) 内容の指導に当たっては,個々の生徒の精神発育の遅滞の状態や発達段階に即応して,適切に指導の重点を定めたり,指導すべき事項をできるだけ具体化したりする必要がある。

第2節 特別活動

第1款 目標および内容

特別活動の目標および内容については,小学部,中学部における目標および内容を基盤として,青年期の特性を考慮し,自律的,自主的生活態度をいっそう養うことに努めるものとする。

第2款 指導計画の作成と内容の取り扱い

(1) 指導計画の作成に当たっては,各教科,養護・訓練および道徳とその内容を統合して指導できるよう配慮することが必要である。

(2) 指導計画の作成に当たっては,学校規模および学級編成の実態に即するとともに,学級指導,生徒活動,学校行事等のそれぞれの関連性を考慮して指導する必要がある。

(3) 内容の取り扱いに当たっては,個々の生徒の精神発育の遅滞の状態や発達段階に即応して,適切に指導の重点を定め,できるだけ具体的に指導する必要がある。

(4) 指導計画の作成に当たっては,学校や地域の実情に応じてできるだけ他校との交流の機会を設けるようにすることが望ましい。

養護学校(肢体不自由教育)高等部学習指導要領

目次
第1章 総則
 第1節 教育目標
 第2節 教育課程の編成
  第1款 一般方針
  第2款 各教科・科目の標準単位数
  第3款 各教科・科目の履修
  第4款 養護・訓練の履修
  第5款 各教科および養護・訓練以外の教育活動の履修
  第6款 単位の修得および卒業の認定
 第3節 教育課程編成に当たって配慮すべき事項等
  第1款 教育課程編成に当たって配慮すべき事項
  第2款 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
  第3款 道徳教育
  第4款 養護・訓練
  第5款 体育
 第4節 重複障害者等に関する特例
第2章 各教科
 第1節 各教科の目標および各教科・科目の目標と内容
 第2節 各教科・科目に関する指導計画の作成と内容の取り扱い
  第1 国語
  第2 社会
  第3 数学
  第4 理科
  第5 保健体育
  第6 芸術
  第7 外国語
  第8 家庭
 第3節 脳性まひ等の生徒に係る各教科についての特例
第3章 養護・訓練
  第1款 目標
  第2款 内容
  第3款 指導計画の作成と内容の取り扱い
第4章 各教科および養護・訓練以外の教育活動

第1章 総則

第1節 教育目標

高等部における教育については,学校教育法第71条に定める目的を実現するために,生徒の心身の障害の状態および能力・適性・進路等をじゅうぶん考慮して,次に掲げる目標の達成に努めなければならない。

1 学校教育法第42条各号に掲げる教育目標。

2 肢体不自由に基づく種々の困難を克服するために必要な知識・技能・態度および習慣を養うこと。

第2節 教育課程の編成

第1款 一般方針

学校においては,法令およびこの章以下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目ざし,その肢体不自由の状態および能力・適性・進路等ならびに学校や地域の実態をじゅうぶん考慮し,学科の特色を生かした教育ができるように配慮して,適切な教育課程を編成するものとする。

第2款 各教科・科目の標準単位数

学校教育法施行規則別表第6に定める各教科に属する科目(以下「各教科・科目」という。)の標準単位数は,次の表のとおりとする。
この表の単位については,1単位時間は50分を標準とし,35単位時間の授業を1単位として計算するものとする。

各教科

各教科に属する科目

標準単位数

国語

現代国語

古典T甲

古典T乙

古典U

社会

倫理・社会

政治・経済

日本史

世界史

地理A

地理B

数学

数学一般

数学T

数学UA

数学UB

数学V

応用数学

理科

基礎理科

物理T

物理U

化学T

化学U

生物T

生物U

地学T

地学U

保健体育

体育

7〜9

保健

芸術

音楽T

音楽U

音楽V

美術T

美術U

美術V

工芸T

工芸U

工芸V

書道T

書道U

書道V

外国語

初級英語

英語A

英語B

15

英語会話

ドイツ語

15

フランス語

15

外国語に関するその他の科目

 

家庭

家庭一般

被服T

2〜6

被服U

2〜6

食物T

2〜6

食物U

2〜6

保育

2〜6

家庭経営

2〜6

被服材料

2〜6

被服管理

2〜6

服飾デザイン

2〜16

服飾史

2〜6

被服製作

6〜20

手芸

2〜10

栄養

2〜6

食品

2〜6

食品衛生

2〜6

食物管理

2〜6

献立・調理

6〜20

集団給食

2〜6

公衆衛生

2〜6

小児保健

4〜12

児童心理

2〜6

児童福祉

2〜4

保育原理

2〜6

保育技術

8〜20

家庭に関するその他の科目

 

その他特に必要な教科

当該教科に関する科目

 


備考

1 この表に掲げる「外国語に関するその他の科目」および「家庭に関するその他の科目」は,学科の特質,学校や地域の実態などにより,この表に掲げる科目だけではその学校の教育課程を編成しがたい場合に用いるものとする。この場合において,その科目の名称,目標,内容,単位数等については,その科目の属する教科の目標に基づき,その学校の設置者の定めるところによる。

2 この表に掲げる「その他特に必要な教科」および「当該教科に関する科目」は,私立学校において宗教教育を行なう場合または普通科,職業教育を主とする学科およびその他専門教育を主とする学科において,その学科の目標を達成するために特に必要がある場合に用いるものとする。これらの場合において,教科および科目の名称,目標,内容,単位数等については,その学校の設置者の定めるところによる。

第3款 各教科・科目の履修

1 次の各教科・科目を第4節に示す重複障害者等を除くすべての生徒に履修させるものとする。

(1) 国語のうち「現代国語」および「古典T甲」

なお,「古典T乙」を履修する場合には,「古典T甲」の履修を要しないものとする。

(2) 社会のうち「倫理・社会」および「政治・経済」の2科目ならびに「日本史」,「世界史」および「地理A」または「地理B」のうち2科目

(3) 数学のうち「数学一般」または「数学T」

(4) 理科のうち「基礎理科」1科目または「物理T」,「化学T」,「生物T」および「地学T」のうち2科目

(5) 保健体育のうち「体育」および「保健」

(6) 芸術のうち「音楽T」,「美術T」,「工芸T」および「書道T」のうち1科目

2 家庭のうち「家庭一般」は,第4節に示す重複障害者等を除くすべての女子に履修させるものとする。
3 職業教育を主とする学科およびその他専門教育を主とする学科を置く場合は,専門教育に関する各教科・科目について,すべての生徒に履修させる単位数は,35単位を下らないようにするものとする。

第4款 養護・訓練の履修

1 養護・訓練は,心身の適応,感覚機能の向上,運動機能の向上および意思の伝達から成るものとする。
2 養護・訓練に充てる授業時数は,週当たり3単位時間(1単位時間は,50分を標準とする。)を標準とするが,生徒の心身の障害の状態に応じて適切に定めるものとする。

第5款 各教科および養護・訓練以外の教育活動の履修

1 各教科および養護・訓練以外の教育活動は,ホームルーム,生徒会活動,クラブ活動および学校行事から成るものとする。
2 各教科および養護・訓練以外の教育活動に充てる授業時数は,次のとおりとする。

(1) ホームルームについては,各学年において週当たり1単位時間(1単位時間は,50分を標準とする。以下同じ。)を下らないものとする。ただし,療養中の生徒について特別の事情がある場合は,その授業時数の一部を減ずることができる。

(2) クラブ活動については,原則として,各学年において週当たり1単位時間を下らないものとする。

(3) 生徒会活動および学校行事については,学校の実態に即してそれぞれ適切な授業時数を充てるものとする。

第6款 単位の修得および卒業の認定

1 学校は,生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し,その成果が教科および科目の目標からみて満足できると認められる場合には,その各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。この場合,1科目を2以上の学年にわたって分割履修したときは,学年ごとにその各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定するものとする。
2 療養中の生徒について通信による教育を一部行なった場合の単位の修得の認定に当たっては,第2節および第3節(第1款の1を除く。)の定めるところによるほか,通信による添削指導1回を5単位時間と換算し,面接による指導を1単位当たり1回行なうことを標準とする。なお,試験は,原則として,1単位当たり1回以上行なうことが望ましい。
3 学校においては,卒業までに履修させる各教科・科目およびその単位数ならびに養護・訓練,各教科および養護・訓練以外の教育活動とそれらの授業時数に関する事項を定めるものとする。この場合,各教科・科目の単位数の計は,第2節第3款に掲げる各教科・科目の単位数を含めて85単位以上とする。
4 学校においては,卒業までに修得させる各教科・科目およびその単位数を定め,校長は,それらの各教科・科目およびその単位を修得した者で,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。この場合,各教科・科目について修得させる単位数の計は,85単位以上とする。

第3節 教育課程編成に当たって配慮すべき事項等

第1款 教育課程編成に当たって配慮すべき事項

教育課程を編成するに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

1 一般的事項

(1) 各教科・科目,養護・訓練,ホームルームおよびクラブ活動の授業は,それぞれ年間35週を下らないように計画すること。

(2) 各学年の週当たりの授業時数は,34単位時間を標準とし,原則として38単位時間をこえないようにすること。

(3) 各教科・科目の授業は,1単位について35単位時間に相当する時間を,原則として1個学年において計画するようにすること。

(4) 生徒の心身の障害の状態および能力・適性・進路等に応じてそれぞれ適切な教育を行なうようにするため,必要により,教育課程の類型を設け,そのいずれかの類型を選択して履修させるようにすること。この場合,その類型において履修させることとなっている各教科・科目以外の各教科・科目を履修させたり,生徒が自由に選択履修することのできる各教科・科目をも設けるようにすること。

2 普通科において職業に関する各教科・科目を履修させる場合に配慮すべき事項

(1) 生徒の必要や地域の実態を考慮して,職業に関する適切な教科・科目を設け,生徒に履修させるように配慮すること。

(2) 職業に関する各教科・科目に,ある程度まとまった時間を配当することができる場合には,各教科・科目を多くするなどして系統的に履修させ,専門的な知識と技術を習得させるように配慮すること。

第2款 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項

1 学校においては,各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動について相互の関連を図り,全体として調和のとれた具体的な指導計画を作成し,発展的,系統的な指導を行なうものとする。
なお,指導計画の作成に当たっては,この章および第2章以下に示す各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の指導計画の作成に関する事項にじゅうぶん留意するものとする。
2 第2章に示す各教科・科目の内容は,特に示す場合を除き標準単位数に基づいて示したものであるが,学校において標準単位数をこえて単位数を配当する場合には,第2章に示した事項にいっそう習熟させることをたてまえとする。
3 学校においては,第2章以下に示していない事項を加えて指導することもさしつかえないが,その場合には,第2章以下に示している教科および科目,養護・訓練または各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標や内容の趣旨を逸脱したり,生徒の負担過重となることのないようにするものとする。
4 第2章に示す各教科・科目の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては各事項のまとめ方や順序にくふうを加え,効果的な指導を行なうものとする。
5 第2章以下に示す各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の内容に関する事項の指導に当たっては,特に示す場合のほか,それぞれの目標および内容の趣旨を逸脱しない範囲内で,生徒の実態を考慮して,重点のおき方に適切なくふうを加え,指導の効果を高めるように努めるものとする。
6 以上のほか,次の事項について配慮するものとする。

(1) 個々の生徒の肢体不自由の状態および能力・適性等の的確な把握に努め,個人差に即応した指導を行なうとともに,進路指導を適切に行なうこと。特に肢体不自由と他の心身の障害をあわせ有する生徒については,生徒の実態に即した適切な指導を行なうこと。

(2) 生徒の社会性の伸長や好ましい人間関係のかん養など心身の調和的発達を図るためにも,できるだけ他の高等学校の生徒および地域社会の人々とともに行なう活動の機会を設けるようにすること。

(3) 教師と生徒および生徒相互の好ましい人間関係を育て,生徒指導の充実を図ること。

(4) 学校生活全体における言語環境を整え,生徒の言語活動が適正に行なわれるように努めること。

(5) 教科書その他の教材・教具を活用し,学校図書館を計画的に利用すること。

なお,学校および生徒の実態に即して視聴覚教材を適切に選択し,活用して,指導の効果を高めること。

(6) 指導の効率を高めるため,教師の協力的な指導が行なわれるようくふうするとともに,生徒の興味や関心をじゅうぶん把握し,自主的,自発的に学習する意欲を高めるように指導すること。

(7) 個々の生徒について,指導の成果を絶えず評価し,指導の改善に努めること。

(8) 実験・実習に当たっては,特に安全と保健に留意すること。

(9) 学校医等との連絡を密にし,生徒の心身の障害の状態に応じた保健および安全にじゅうぶん留意すること。

(10) 家庭または医療機関等との連絡を密にし,指導の効果をあげるように努めること。

第3款 道徳教育

学校における道徳教育は,学校の教育活動全体を通じて行なうことを基本とする。したがって,各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動においてそれぞれの特質に応ずる適切な指導を行なわなければならない。
道徳教育の目標は,教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基づく。すなわち,道徳教育は,人間尊重の精神を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造と民主的な社会および国家の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。
その際,生徒の心身の発達に即応して,特に,自律の精神や社会連帯の精神および責任を重んずる態度や差別のないよりよい社会を実現しようとする態度を養うための指導が適切に行なわれるようにしなければならない。

第4款 養護・訓練

心身の障害に基づく種々の困難を克服させ,社会によりよく適応していく資質を養うため,養護・訓練に関する指導は,養護・訓練の時間はもちろん,学校の教育活動全体を通じて適切に行なうものとする。
特に,養護・訓練の時間における指導は,各教科・科目ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動と密接な関連を保ち,個々の生徒の心身の障害の状態や発達段階に即して行なうよう配慮しなければならない。

第5款 体育

健康で安全な生活を営むのに必要な習慣や態度を養い,心身の調和的発達を図るため,体育に関する指導については,生徒の心身の障害の状態や発達段階に即して,学校の教育活動全体を通じて適切に行なうものとする。
特に,体力の向上については,体育および保健の科目の時間はもちろん養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動においても,じゅうぶん指導するよう配慮しなければならない。

第4節 重複障害者等に関する特例

1 肢体不自由と他の心身の障害をあわせ有する生徒(以下「重複障害者」という。)については,各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標および内容に関する事項の一部を,あわせ有する障害の種類に対応する養護学校(精神薄弱教育)高等部学習指導要領,養護学校(病弱教育)高等部学習指導要領,盲学校高等部学習指導要領または聾学校高等部学習指導要領に示す各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標および内容に関する事項の一部によって代えることができる。
 この場合,卒業の認定に当たって,校長は,あわせ有する障害の種類に対応するそれぞれの学習指導要領に示してある教育活動の履修の成果がその目標からみて満足できると認められるものについて高等部の全課程の修了を認定するものとする。
 2 重複障害者のうち,脳性まひ等の生徒に係る各教科について,特に必要がある場合は,第2節第1款および第2款に示すところにかかわらず,第2章第3節に示すところによるものとする。
 この場合,卒業の認定に当たって,校長は,各教科について35単位時間を1単位として計算して85単位以上履修した者で,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。
 3 重複障害者のうち,学習が著しく困難な生徒については,各教科・科目ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標および内容に関する事項の一部を欠き,または各教科・科目に代えて,養護・訓練を主として指導を行なうことができる。
 この場合,卒業の認定に当たって,校長は,各教科・科目およびそれに代えて履修した養護・訓練について,35単位時間を1単位として計算して85単位以上履修した者で,全体の履修の成果がその目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。
 4 学校において特に必要がある場合には,心身の障害の状態により学習が困難な重複障害者以外の生徒について,各教科・科目の目標および内容に関する事項の一部を欠き,またはその一部を,各教科・科目に相当する養護学校(肢体不自由教育)中学部の各教科の目標および内容に関する事項の一部によって代えることができる。
 この場合,卒業の認定に当たって,校長は,各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の履修の成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。

第2章 各教科

第1節 各教科の目標および各教科・科目の目標と内容

各教科の目標および各教科・科目の目標と内容については,高等学校学習指導要領第2章第1節から第8節までに示すところに準ずるものとする。

第2節 各教科・科目に関する指導計画の作成と内容の取り扱い

各教科・科目に関する指導計画の作成と内容の取り扱いについては,高等学校学習指導要領第2章第1節から第8節までに示すところに準ずるもののほか,次に示すところによるものとする。

第1 国語

1 指導計画の作成に当たっては,生徒の肢体不自由または言語障害の状態に応じて,「聞くこと,話すこと」,「読むこと」および「書くこと」の各領域相互の関連を図りつつ,効果的な指導ができるように重点のおき方についてくふうすることが必要である。

2 「現代国語」の指導に当たっては,生徒の言語能力や心身の発達段階に即した基礎的学習の充実を図るとともに,言語による思考能力を高めるように,配慮することが必要である。

3 「現代国語」の指導のうち「読むこと」,「聞くこと」の事項の指導に当たっては,生徒の障害の状態に応じて,要点を速く的確に把握させるように指導することが必要である。

4 「現代国語」の指導のうち「話すこと」,「書くこと」の事項の指導に当たっては,生徒の言語障害および書写の能力に応じて,養護・訓練との関連を図り,適切に取り扱うことが必要である。

5 「古典」の指導に当たっては,「現代国語」の指導と関連させ,生徒が「読むこと」に対する興味をもち,進んで鑑賞する態度を身につけるよう配慮することが必要である。

6 書写の事項の指導に当たっては,生徒の書写の機能の状態に応じた筆記用具をくふうし,また適切な補助用具の活用などの配慮が必要である。

第2 社会

1 指導計画の作成に当たっては,生徒の心身の状態に応じ適切な事項を選定して発展的,組織的に指導できるようにすることが必要である。

2 「倫理・社会」に関する事項の指導に当たっては,生徒の実態に即してわが国や世界の現状を具体的に理解できるようにくふうし,つとめて生徒の視野を広めるように配慮することが必要である。

3 「政治・経済」に関する事項の指導に当たっては,医療,教育,職業などにおける生活と関連づけるようにすることが必要である。

4 「歴史」に関する事項の指導に当たっては,基本的な事項を重点的かつ弾力的に取り扱うようにすることが望ましい。

5 「地理」に関する事項の指導に当たっては,基本的な事項を重点的かつ弾力的に取り扱うようにすることが望ましい。

6 内容を取り扱うに当たっては,生徒の肢体不自由の状態に応じて,効果的に資料が活用できるように配慮することが必要である。

7 内容を取り扱うに当たっては,生徒の社会的経験および見聞を広げられるようにし,つとめて地域社会の特色を生かした観察,見学および調査を取り入れたり,視聴覚教材を利用するなどのくふうをすることが必要である。

第3 数学

1 指導計画の作成に当たっては,特に進度の遅れやすいことを考慮し,効果的で系統的な指導ができるよう,内容の配列や重点のおき方をくふうすることが必要である。

2 内容を取り扱うに当たっては,つとめて具体的な扱いをし,基本的な事項の理解が確実にできるように,生徒の肢体不自由の状態に応じた効果的な指導をくふうすることが必要である。

3 内容を取り扱うに当たっては,教育機器等を有効に利用するなどして,生徒の肢体不自由の状態や能力をじゅうぶんに考慮して,個々の生徒に即した取り扱いができるようにすることが望ましい。

4 計算,作図,図表,グラフの作成など,作業をともなう事項の指導に当たっては,生徒の肢体不自由の状態に応じて,計算尺,計算機,その他の用具などの活用を図るなど適切な配慮をすることが必要である。

第4 理科

1 指導計画の作成に当たっては,生徒の実態に即して,自然の事物・現象と人間生活との結びつきについての認識が深められるように考慮するとともに,特に生活を科学的,合理的に処理する能力と態度が身につくように配慮することが必要である。

2 生徒の肢体不自由の状態の回復,改善と関係がある内容の取り扱いに当たっては,養護・訓練との密接な関連を図って,適切な指導計画を作成することが必要である。

3 実験,観察の指導に当たっては,生徒の肢体不自由の状態に応じたくふうや配慮をすることが必要であり,特に機械・器具の使用に際しては,危険の防止にじゅうぶん留意することが必要である。

4 自然界のいろいろな事象についての生活経験が不足している生徒の指導に当たっては,可能な限り観察,実験および野外調査の機会を多くしたり,視聴覚教材の活用を図って,自然科学についての理解を高めるようにすることが必要である。

第5 保健体育

1 指導計画の作成に当たっては,生徒の肢体不自由の状態や能力に応じて,各領域の中から,進度に応じた事項を選定し,発展的,組織的な指導ができるようにすることが必要である。

2 「体操」および「器械運動」の事項の指導に当たっては,特に生徒の肢体不自由の状態の改善を考慮して,個々に必要な運動を課すものとする。

3 「陸上競技」や「球技」などの事項の指導に当たっては,生徒の肢体不自由の状態や能力に即したくふうをすることが必要である。

4 「水泳」の事項の指導に当たっては,段階的な指導を徹底し,安全にじゅうぶん留意することが必要である。

5 「格技」の事項の指導に当たっては,規則や審判法,競技の見かたなどの学習に重点をおくようにすることが必要である。

6 「体育理論」や「保健」の事項の指導に当たっては,特に日常生活や養護・訓練と関連のある内容を精選して指導することが必要である。

7 運動機能の障害が重度の生徒については,他者の補助により各種の運動を経験させたり,可能な役割を分担することにより集団活動に参加させたりするように配慮することが必要である。

8 運動を課すことによって,肢体不自由の状態の悪化が予測される生徒については,学校医等との連絡を密にして適切に指導するものとする。

9 生徒の健康状態にじゅうぶん留意し,運動の質や量を生徒の体力や健康状態に応じて適切に定め,生徒が疲労しすぎたり,健康を害したりすることのないように配慮するものとする。

10 生徒の安全にじゅうぶん留意し,傷害や事故の発生の防止に努めるとともに,自己の身体を安全に処する技能を習得させるように配慮するものとする。

第6 芸術

1 音楽

(1) 「基礎」の事項の指導に当たっては,生徒の肢体不自由や言語障害の状態に応じて読譜,聴取および身体的表現の方法についてくふうすることが必要である。

(2) 「歌唱」の事項の指導に当たっては,呼吸や発声・発語器官に障害のある生徒,音域の狭い生徒およびリズム表現等に障害のある生徒について,特に養護・訓練との関連を図って,個々の生徒に即した取り扱いをくふうすることが必要である。

(3) 「器楽」の事項の指導に当たっては,親しみやすい教材の選定や編曲などに努めるとともに,生徒の肢体不自由の状態に応じた適切な楽器を選択し,また補助用具を活用することが必要である。

(4) 「創作」の事項の指導に当たっては,生徒の表現機能の障害を考慮しつつ創作意欲を高め,創作したものを引き出すくふうをすることが必要である。

(5) 「鑑賞」の事項の指導に当たっては,鑑賞意欲を刺激するとともに,いろいろな楽曲のもつ美しさやおもしろさを味わわせるようにすることが必要である。

(6) 歌唱および演奏が困難な生徒の指導に当たっては,「鑑賞」を中心とした指導を展開するか,あるいは指導の方法および用具に特別のくふうをする必要がある。

2 美術

(1) 「絵画」の事項の指導に当たっては,技巧にとらわれず製作過程を重んじ,自己表現の喜びを味わわせるようにくふうすることが必要である。

(2) 「彫塑」の事項の指導に当たっては,生徒の肢体不自由の状態に応じて素材を選定し,技巧にとらわれず,直観や想像を率直に立体的に表現できるようにくふうすることが必要である。

(3) 「デザイン」の事項の指導に当たっては,構想やデザインの基礎的能力を伸ばすことに重点をおいて取り扱うことが必要である。

(4) 「鑑賞」の事項の指導に当たっては,すぐれた美術作品に接する機会を多くするなどの配慮が必要である。

(5) 「絵画」,「彫塑」および「デザイン」などの表現学習が特に困難な生徒の指導に当たっては,内容の「鑑賞」に示された事項をもって表現学習の指導に代えることが必要である。

(6) 用具の使用に当たっては,特に危険防止に留意するとともに,生徒の肢体不自由の状態に応じて補助用具のくふうをすることが必要である。

(7) 内容を取り扱うに当たっては,特に養護・訓練との関連を密接に図ることが必要である。その際,視聴覚教材をじゅうぶんに活用することが望ましい。

3 工芸

(1) 「構成と表示」の事項の指導に当たっては,生徒の肢体不自由の状態に応じ技巧にこだわらず基本的な事項を重点的に取り扱うようにすることが必要である。

(2) 「デザインと製作」の事項の指導に当たっては,技巧にとらわれず,生徒の美的な創造力を伸ばすことに重点をおくとともに,製作に必要な材料や用具の選定や使用について,じゅうぶん配慮することが必要である。

(3) 「構成と表示」および「デザインと製作」の事項の学習が困難な生徒の指導に当たっては,演示および視聴覚教材の活用により工芸についての正しい理解を与えることが必要である。

(4) 「鑑賞と理論」の事項の指導に当たっては,生活に密着した工芸品を鑑賞しながら工芸品に対する関心を高めるようにすることが必要である。

4 書道

(1) 「表現」の事項の指導に当たっては,生徒の肢体不自由の状態に応じて適切な事項を選定し,発展的,系統的に指導することが必要である。

(2) 「鑑賞」の事項の指導に当たっては,「表現」と相互に密接な関連を図ったり,視聴覚教材等の活用を図ったりして,指導の効果を高めるようにすることが必要である。

(3) 毛筆による臨書や創作することの困難な生徒の指導に当たっては,指導の方法について特別のくふうをすることが必要である。また,特に必要がある場合には,示範および視聴覚教材の活用により書道について正しい理解を与えるようにすることが必要である。

第7 外国語

1 指導計画の作成に当たっては,「聞くこと,話すこと」,「読むこと」および「書くこと」について,調和を保つようにすることが望ましいが,生徒の肢体不自由または言語障害の状態に応じて効果的な指導ができるように,重点のおき方についてくふうすることが必要である。

2 内容を取り扱うに当たっては,生徒の必要や興味に基づき,しかも経験の拡充に役だつような題材を選択することが必要である。

3 「聞くこと,話すこと」に関する事項の指導に当たっては,特に視聴覚教材や教育機器などを活用して,外国語の音声や基本的語法に慣れさせるように努めることが必要である。

4 「聞くこと,話すこと」および「読むこと」に関する事項の指導に当たっては,言語に障害のある生徒について,発音や抑揚などにあまりとらわれず,音読などによる反復練習を通して,基本的なことがらを効果的に取り扱うように配慮することが必要である。

5 「書くこと」に関する事項の指導に当たっては,書写の機能に障害のある生徒について,個々の障害の状態に応じた特別のくふうや配慮をすることが必要である。

第8 家庭

1 指導計画の作成に当たっては,生徒の肢体不自由の状態に応じて,生活の自立に役だつ事項を選択し,弾力的な計画を立てることが必要である。

2 実習に関する指導計画の作成に当たっては,生徒の肢体不自由の状態に応じ,実習可能な内容を重点的に選定したり,学習可能なように事項を変更したり,また可能な限り同等の教育的価値を有すると認められる他の学習をもって実習の指導に代えたりすることが必要である。

3 生徒の肢体不自由の状態により,実習,製作などの実践的な学習が困難な場合は,視聴覚教材の活用,演示,見学などを通して指導の効果が高められるようにくふうすることが必要である。

4 内容を取り扱うに当たっては,共同作業を取り入れ,生徒の肢体不自由の状態に応じた仕事を分担させるなどのくふうをすることが望ましい。

5 機械・器具や材料の使用に当たっては,安全でしかも学習の効果があがるように,生徒の肢体不自由の状態に応じた改善やくふうをするとともに,特に危険の防止に留意することが必要である。

第3節 脳性まひ等の生徒に係る各教科についての特例

第1 各教科全体にわたる目標

心身の障害の状態の改善を図るとともに,生徒の心身の諸能力を可能な限り発達させる。

第2 内容

1 生活

(1) 日常の身辺生活を処理する技能が身につくようにする。

(2) 日常生活に必要な簡単な技能が身につくようにする。

(3) 社会生活における望ましい習慣や態度が身につくようにする。

(4) 社会の事象や自然の事象に興味や関心をもち,人間生活との関係について理解できるようにする。

(5) いろいろな実習を通して,職業生活に必要な基礎的知識,技能および働く態度が身につくようにする。

2 国語

(1) 他人のことばや話などを聞いてわかるようにする。

(2) 経験したことや自分の思うことなどが話せるようにする。

(3) 日常生活に必要な簡単な読み書きができるようにする。

3 算数

(1) 日常生活において物を数えたり,簡単な計算をしたりすることができるようにする。

(2) 日常生活に必要な簡単な量の比較や測定,図形の理解ができるようにする。

(3) 日常生活に必要な金銭の処理ができるようにする。

4 音楽

(1) 歌ったり,リズムに合わせて身体を動かしたり,楽器を演奏したりして,表現の喜びを味わえるようにする。

(2) 音楽に親しみ,興味や関心をもって聞くようにする。

(3) いろいろな表現活動に進んで参加するようにする。

5 図画工作

(1) 絵をかいたり,物を作ったりして,表現の喜びを味わえるようにする。

(2) いろいろな材料や用具を扱えるようにする。

(3) 美しいものに興味や関心をもつようにする。

6 体育

(1) いろいろな運動やゲームに興味や関心をもち,進んで行なうようにする。

(2) 健康な生活に必要な習慣や態度が身につくようにする。

(3) 安全な生活に必要な習慣や態度が身につくようにする。

第3 指導計画の作成と各教科全体にわたる内容の取り扱い

1 指導計画の作成に当たっては,次の事項について配慮するものとする。

(1) 個々の生徒の能力・適性等に即して,第2の内容の各教科に掲げる事項を合わせ,適切に組織すること。

(2) 生徒の心身の発達段階に応じ,年間,学期,月または週ごとに,具体的な指導のねらいを明確に設定すること。

(3) 指導のねらいを達成するための生徒の望ましい経験や活動を選択・配列すること。

なお,生徒の経験や活動の選択・配列に当たっては,個々の生徒の生活経験や心身の障害の状態に即した適切なものを選び,それらが相互に関連しあうように配列すること。

2 内容を取り扱うに当たっては,次の事項について配慮するものとする。

(1) 心身の発達の遅れ,経験の不足などをじゅうぶん考慮して,遊びや戸外活動などの具体的経験を通して効果的な学習ができるようにくふうすること。

(2) 生徒の心身の障害や発達の状態の差異に応じ,また個々の細かな行動の変化に即して,個別に指導できるようにくふうすること。

第3章 養護・訓練

第1款 目標

生徒の心身の障害の状態を改善し,または克服するために必要な知識,技能,態度および習慣を養い,もって心身の調和的発達の基盤をつちかう。

第2款 内容

A 心身の適応

1 健康状態の回復および改善に関すること。

2 心身の障害や環境に基づく心理的不適応の改善に関すること。

3 障害を克服する意欲の向上に関すること。

B 感覚機能の向上

1 感覚機能の改善および向上に関すること。

2 感覚の補助的手段の活用に関すること。

3 認知能力の向上に関すること。

C 運動機能の向上

1 肢体の基本動作の習得および改善に関すること。

2 生活の基本動作の習得および改善に関すること。

3 作業の基本動作の習得および改善に関すること。

D 意思の伝達

1 言語の受容技能の習得および改善に関すること。

2 言語の形成能力の向上に関すること。

3 言語の表出技能の習得および改善に関すること。

第3款 指導計画の作成と内容の取り扱い

1 指導計画の作成に当たっては,次の事項について配慮するものとする。

(1) 個々の生徒の心身の障害の状態とその適応の状態,発達段階および経験の程度に応じて,それぞれに必要とする第2款の内容の具体的な事項を選定し,個別にその指導の方法を適切に定めるようにすること。

(2) 各教科ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動における指導と密接な関連を保つようにし,組織的,計画的に指導できるようにすること。

(3) 生徒の心身の障害の状態とその適応の状態により,特に必要がある場合には,専門の医師および他の専門家と密接な連絡をとり,適切な指導ができるようにすること。

2 第2款の内容の取り扱いに当たっては,次の事項について配慮するものとする。下記(1)から(3)までに示す内容のまとまりに組織して指導計画を作成し,指導を行なうことが望ましい。

(1) 内容のCの1および2を中心として,次の内容のまとまり(以下,これを「機能訓練」という。)に組織し,計画すること。

ア 肢体の基本動作の習得および基礎的身体機能の改善

イ 起立・歩行動作の習得および改善

ウ 変形の予防および矯正

(2) 内容のCの2および3を中心として,次の内容のまとまり(以下,これを「職能訓練」という。)に組織し,計画すること。

ア 肢体の応用動作の習得および改善

イ 日常生活動作の習得および改善

ウ 作業動作の習得および改善ならびに作業能力の向上

(3) 内容のDを中心として,次の内容のまとまり(以下,これを「言語訓練」という。)に組織し,計画すること。

ア 言語発達遅滞の改善

イ 呼吸調節・発声能力の改善および向上

ウ 発語器官の機能および構音障害の改善

3 上記2に示す機能訓練,職能訓練および言語訓練の指導計画の作成に当たっては,特に次の事項について配慮するものとする。

(1) 機能訓練,職能訓練および言語訓練の相互の密接な関連を図ること。

(2) 機能訓練,職能訓練および言語訓練については,生徒の心身の障害の状態や発達段階に応じて,第2款の内容に示すAおよびBのそれぞれから必要とする具体的な事項を加えること。

4 指導に当たっては,個々の生徒の能力・適性等に応じた具体的な目標を明確にし,生徒の意欲的な活動を促すようにすることが必要である。
 5 内容を取り扱うに当たっては,特に次の事項について配慮することが必要である。

(1) 自己の心身の障害を正しく理解させ,自覚させること。

(2) 自己の心身の障害の状態を改善するために必要な機能訓練等の意義を理解させ,その方法を理解,習得させること。

(3) 自主的,積極的に機能訓練等を行なう態度および習慣を養うこと。

6 養護・訓練の時間の指導は,専門的な知識・技能を有する教師が行なうことを原則とし,学校においては,全教師の協力のもとに養護・訓練に関する指導体制を整え,効果的な指導を行なうようにすることが必要である。

第4章 各教科および養護・訓練以外の教育活動

 各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標,内容および指導計画の作成と内容全体にわたる取り扱いについては,高等学校学習指導要領第3章に示すところに準ずるほか,次に示すところによるものとする。
 1 指導計画は,生徒の心身の障害の状態,発達段階や特性を考慮するとともに,各教科・科目および養護・訓練との密接な関連のもとに,高等部教育の目標を達成するための教育活動であることを明確にし,特に学校の創意と教育的識見を生かして作成されなければならない。
 2 指導計画の作成に当たっては,生徒の少人数による種々の制約を解消し,積極的な集団活動が行なわれるように配慮しなければならない。
 3 学校内および学校以外で行なわれる教育活動の指導に当たっては,生徒の心身の障害の状態および能力,適性等を考慮しながら学校生活に変化を与え,生徒の生活を楽しく豊かなものにするとともに,集団行動における生徒の規律的な態度や障害を克服する積極的な意欲を育てることなどにじゅうぶん配慮しなければならない。

養護学校(病弱教育)高等部学習指導要領

目次
第1章 総則
 第1節 教育目標
 第2節 教育課程の編成
  第1款 一般方針
  第2款 各教科・科目の標準単位数
  第3款 各教科・科目の履修
  第4款 養護・訓練の履修
  第5款 各教科および養護・訓練以外の教育活動の履修
  第6款 単位の修得および卒業の認定
 第3節 教育課程編成に当たって配慮すべき事項等
  第1款 教育課程編成に当たって配慮すべき事項
  第2款 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
  第3款 道徳教育
  第4款 養護・訓練
  第5款 体育
 第4節 重複障害者等に関する特例
第2章 各教科
 第1節 各教科の目標および各教科・科目の目標と内容
 第2節 各教科・科目に関する指導計画の作成と内容の取り扱い
  第1 国語
  第2 社会
  第3 数学
  第4 理科
  第5 保健体育
  第6 芸術
  第7 外国語
  第8 家庭
第3章 養護・訓練
  第1款 目標
  第2款 内容
  第3款 指導計画の作成と内容の取り扱い
第4章 各教科および養護・訓練以外の教育活動

第1章 総則

第1節 教育目標

高等部における教育については,学校教育法第71条に定める目的を実現するために,生徒の心身の障害の状態および能力・適性・進路等をじゅうぶん考慮して,次に掲げる目標の達成に努めなければならない。

1 学校教育法第42条各号に掲げる教育目標。

2 病弱・身体虚弱に基づく種々の困難を克服するために必要な知識,技能,態度および習慣を養うこと。

第2節 教育課程の編成

第1款 一般方針

学校においては,法令およびこの章以下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目ざし,その病弱・身体虚弱の状態および能力・適性・進路等ならびに学校や地域の実態をじゅうぶん考慮し,学科の特色を生かした教育ができるように配慮して,適切な教育課程を編成するものとする。

第2款 各教科・科目の標準単位数

学校教育法施行規則別表第6に定める各教科に属する科目(以下「各教科・科目」という。)の標準単位数は,次の表のとおりとする。
この表の単位については,1単位時間は50分を標準とし,35単位時間の授業を1単位として計算するものとする。

各教科

各教科に属する科目

標準単位数

国語

現代国語

古典T甲

古典T乙

古典U

社会

倫理・社会

政治・経済

日本史

世界史

地理A

地理B

数学

数学一般

数学T

数学UA

数学UB

数学V

応用数学

理科

基礎理科

物理T

物理U

化学T

化学U

生物T

生物U

地学T

地学U

保健体育

体育

7〜9

保健

芸術

音楽T

音楽U

音楽V

美術T

美術U

美術V

工芸T

工芸U

工芸V

書道T

書道U

書道V

外国語

初級英語

英語A

英語B

15

英語会話

ドイツ語

15

フランス語

15

外国語に関するその他の科目

 

家庭

家庭一般

被服T

2〜6

被服U

2〜6

食物T

2〜6

食物U

2〜6

保育

2〜6

家庭経営

2〜6

被服材料

2〜6

被服管理

2〜6

服飾デザイン

2〜16

服飾史

2〜6

被服製作

6〜20

手芸

2〜10

栄養

2〜6

食品

2〜6

食品衛生

2〜6

食物管理

2〜6

献立・調理

6〜20

集団給食

2〜6

公衆衛生

2〜6

小児保健

4〜12

児童心理

2〜6

児童福祉

2〜4

保育原理

2〜6

保育技術

8〜20

家庭に関するその他の科目

 

その他特に必要な教科

当該教科に関する科目

 


備考

1 この表に掲げる「外国語に関するその他の科目」および「家庭に関するその他の科目」は,学科の特質,学校や地域の実態などにより,この表に掲げる科目だけではその学校の教育課程を編成しがたい場合に用いるものとする。この場合において,その科目の名称,目標,内容,単位数等については,その科目の属する教科の目標に基づき,その学校の設置者の定めるところによる。

2 この表に掲げる「その他特に必要な教科」および「当該教科に関する科目」は,私立学校において宗教教育を行なう場合または普通科,職業教育を主とする学科およびその他専門教育を主とする学科において,その学科の目標を達成するために特に必要がある場合に用いるものとする。これらの場合において,教科および科目の名称,目標,内容,単位数等については,その学校の設置者の定めるところによる。

第3款 各教科・科目の履修

1 次の各教科・科目を第4節に示す重複障害者等を除くすべての生徒に履修させるものとする。

(1) 国語のうち「現代国語」および「古典T甲」

なお,「古典T乙」を履修する場合には,「古典T甲」の履修を要しないものとする。

(2) 社会のうち「倫理・社会」および「政治・経済」の2科目ならびに「日本史」,「世界史」および「地理A」または「地理B」のうち2科目

(3) 数学のうち「数学一般」または「数学T」

(4) 理科のうち「基礎理科」1科目または「物理T」,「化学T」,「生物T」および「地学T」のうち2科目

(5) 保健体育のうち「体育」および「保健」

(6) 芸術のうち「音楽T」,「美術T」,「工芸T」および「書道T」のうち1科目

2 家庭のうち「家庭一般」は,第4節に示す重複障害者等を除くすべての女子に履修させるものとする。
3 職業教育を主とする学科およびその他専門教育を主とする学科を置く場合は,専門教育に関する各教科・科目について,すべての生徒に履修させる単位数は,35単位を下らないようにするものとする。

第4款 養護・訓練の履修

1 養護・訓練は,心身の適応,感覚機能の向上,運動機能の向上および意思の伝達から成るものとする。
2 養護・訓練に充てる授業時数は,週当たり3単位時間(1単位時間は,50分を標準とする。)を標準とするが,生徒の心身の障害の状態に応じて適切に定めるものとする。

第5款 各教科および養護・訓練以外の教育活動の履修

1 各教科および養護・訓練以外の教育活動は,ホームルーム,生徒会活動,クラブ活動および学校行事から成るものとする。
2 各教科および養護・訓練以外の教育活動に充てる授業時数は,次のとおりとする。

(1) ホームルームについては,各学年において週当たり1単位時間(1単位時間は,50分を標準とする。以下同じ。)を下らないものとする。ただし,療養中の生徒について特別の事情がある場合には,その授業時数の一部を減ずることができる。

(2) クラブ活動については,原則として,各学年において週当たり1単位時間を下らないものとする。

(3) 生徒会活動および学校行事については,学校の実態に即してそれぞれ適切な授業時数を充てるものとする。

第6款 単位の修得および卒業の認定

1 学校は,生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し,その成果が教科および科目の目標からみて満足できると認められる場合には,その各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。この場合,1科目を2以上の学年にわたって分割履修したときは,学年ごとにその各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定するものとする。
2 療養中の生徒について通信による教育を一部行なった場合の単位の修得の認定に当たっては,第2節および第3節(第1款の1を除く。)の定めるところによるほか,通信による添削指導1回を5単位時間と換算し,面接による指導を1単位当たり1回行なうことを標準とする。なお,試験は,原則として,1単位当たり1回以上行なうことが望ましい。
3 学校においては,卒業までに履修させる各教科・科目およびその単位数ならびに養護・訓練,各教科および養護・訓練以外の教育活動とそれらの授業時数に関する事項を定めるものとする。この場合,各教科・科目の単位数の計は,第2節第3款に掲げる各教科・科目の単位数を含めて85単位以上とする。
4 学校においては,卒業までに修得させる各教科・科目およびその単位数を定め,校長は,それらの各教科・科目およびその単位を修得した者で,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。この場合,各教科・科目について修得させる単位数の計は,85単位以上とする。

第3節 教育課程編成に当たって配慮すべき事項等

第1款 教育課程編成に当たって配慮すべき事項

教育課程を編成するに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

1 一般的事項

(1) 各教科・科目,養護・訓練,ホームルームおよびクラブ活動の授業は,それぞれ年間35週を下らないように計画すること。

(2) 各学年の週当たりの授業時数は,34単位時間を標準とし,原則として38単位時間をこえないようにすること。

(3) 各教科・科目の授業は,1単位について35単位時間に相当する時間を,原則として1個学年において計画するようにすること。

(4) 生徒の心身の障害の状態および能力・適性・進路等に応じてそれぞれ適切な教育を行なうようにするため,必要により,教育課程の類型を設け,そのいずれかの類型を選択して履修させるようにすること。この場合,その類型において履修させることとなっている各教科・科目以外の各教科・科目を履修させたり,生徒が自由に選択履修することのできる各教科・科目をも設けるようにすること。

2 普通科において職業に関する各教科・科目を履修させる場合に配慮すべき事項

(1) 生徒の必要や地域の実態を考慮して,職業に関する適切な各教科・科目を設け,生徒に履修させるように配慮すること。

(2) 職業に関する各教科・科目に,ある程度まとまった時間を配当することができる場合には,各教科・科目を多くするなどして系統的に履修させ,専門的な知識と技術を習得させるように配慮すること。

第2款 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項

1 学校においては,各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動について相互の関連を図り,全体として調和のとれた具体的な指導計画を作成し,発展的,系統的な指導を行なうものとする。
なお,指導計画の作成に当たっては,この章および第2章以下に示す各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の指導計画の作成に関する事項にじゅうぶん留意するものとする。
2 第2章に示す各教科・科目の内容は,特に示す場合を除き標準単位数に基づいて示したものであるが,学校において標準単位数をこえて単位数を配当する場合には,第2章に示した事項にいっそう習熟させることをたてまえとする。
3 学校においては,第2章以下に示していない事項を加えて指導することもさしつかえないが,その場合には,第2章以下に示している教科および科目,養護・訓練または各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標や内容の趣旨を逸脱したり,生徒の負担過重となることのないようにするものとする。
4 第2章に示す各教科・科目の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては各事項のまとめ方や順序にくふうを加え,効果的な指導を行なうものとする。
5 第2章以下に示す各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の内容に関する事項の指導に当たっては,特に示す場合のほか,それぞれの目標および内容の趣旨を逸脱しない範囲内で,生徒の実態を考慮して,重点のおき方に適切なくふうを加え,指導の効果を高めるように努めるものとする。
6 以上のほか,次の事項について配慮するものとする。

(1) 個々の生徒の病弱・身体虚弱の状態および能力・適性等の的確な把握に努め,個人差に即応した指導を行なうとともに,進路指導を適切に行なうこと,特に病弱・身体虚弱と他の心身の障害をあわせ有する生徒については,生徒の実態に即した適切な指導を行なうこと。

(2) 生徒の社会性の伸長や好ましい人間関係のかん養など心身の調和的発達を図るためにも,できるだけ他の高等学校の生徒および地域社会の人々とともに行なう活動の機会を設けるようにすること。

(3) 教師と生徒および生徒相互の好ましい人間関係を育て,生徒指導の充実を図ること。

(4) 学校生活全体における言語環境を整え,生徒の言語活動が適正に行なわれるように努めること。

(5) 教科書その他の教材・教具を活用し,学校図書館を計画的に利用すること。

なお,学校および生徒の実態に即して視聴覚教材を適切に選択し,活用して,指導の効果を高めること。

(6) 指導の効率を高めるため,教師の協力的な指導が行なわれるようくふうするとともに,生徒の興味や関心をじゅうぶん把握し,自主的,自発的に学習する意欲を高めるように指導すること。

(7) 個々の生徒について,指導の成果を絶えず評価し,指導の改善に努めること。

(8) 実験・実習に当たっては,特に安全と保健に留意すること。

(9) 学校医等との連絡を密にし,生徒の心身の障害の状態に応じた保健および安全にじゅうぶん留意すること。

(10) 家庭または医療機関等との連絡を密にし,指導の効果をあげるように努めること。

第3款 道徳教育

学校における道徳教育は,学校の教育活動全体を通じて行なうことを基本とする。したがって,各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動においてそれぞれの特質に応ずる適切な指導を行なわなければならない。
道徳教育の目標は,教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基づく。すなわち,道徳教育は,人間尊重の精神を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造と民主的な社会および国家の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。
その際,生徒の心身の発達に即応して,特に,自律の精神や社会連帯の精神および責任を重んずる態度や差別のないよりよい社会を実現しようとする態度を養うための指導が適切に行なわれるようにしなければならない。

第4款 養護・訓練

心身の障害に基づく種々の困難を克服させ,社会によりよく適応していく資質を養うため,養護・訓練に関する指導は,養護・訓練の時間はもちろん,学校の教育活動全体を通じて適切に行なうものとする。
特に,養護・訓練の時間における指導は,各教科・科目ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動と密接な関連を保ち,個々の生徒の心身の障害の状態や発達段階に即して行なうよう配慮しなければならない。

第5款 体育

健康で安全な生活を営むのに必要な習慣や態度を養い,心身の調和的発達を図るため,体育に関する指導については,生徒の心身の障害の状態や発達段階に即して,学校の教育活動全体を通じて適切に行なうものとする。
特に,体力の向上については,体育および保健の科目の時間はもちろん養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動においても,じゅうぶん指導するよう配慮しなければならない。

第4節 重複障害者等に関する特例

1 病弱・身体虚弱と他の心身の障害をあわせ有する生徒(以下「重複障害者」という。)については,各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標および内容に関する事項の一部を,あわせ有する障害の種類に対応する養護学校(精神薄弱教育)高等部学習指導要領,養護学校(肢体不自由教育)高等部学習指導要領,盲学校高等部学習指導要領または聾学校高等部学習指導要領に示す各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標および内容に関する事項の一部によって代えることができる。
 この場合,卒業の認定に当たって,校長は,あわせ有する障害の種類に対応するそれぞれの学習指導要領に示してある教育活動の履修の成果がその目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。
 2 重複障害者のうち,学習が著しく困難な生徒については,各教科・科目ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標および内容に関する事項の一部を欠き,または各教科・科目に代えて,養護・訓練を主として指導を行なうことができる。
 この場合,卒業の認定に当たって,校長は,各教科・科目およびそれに代えて履修した養護・訓練について,35単位時間を1単位として計算して85単位以上履修した者で,全体の履修の成果がその目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。
 3 学校において特に必要がある場合には,心身の障害の状態により学習が困難な重複障害者以外の生徒について,各教科・科目の目標および内容に関する事項の一部を欠き,またはその一部を,各教科・科目に相当する養護学校(病弱教育)中学部の各教科の目標および内容に関する事項の一部によって代えることができる。
 この場合,卒業の認定に当たって,校長は,各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の履修の成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。

第2章 各教科

第1節 各教科の目標および各教科・科目の目標と内容

各教科の目標および各教科・科目の目標と内容については,高等学校学習指導要領第2章第1節から第8節までに示すところに準ずるものとする。

第2節 各教科・科目に関する指導計画の作成と内容の取り扱い

各教科・科目に関する指導計画の作成と内容の取り扱いについては,高等学校学習指導要領第2章第1節から第8節までに示すところに準ずるもののほか,次に示すところによるものとする。

第1 国語

1 学習が遅れている生徒の指導計画の作成に当たっては,国語の基礎を確かにするようにし,各科目に示されている目標,内容の中から,生徒の能力,進度に応じた適切な事項を選定して,発展的,系統的な指導ができるようにすることが必要である。

2 授業時数が制約されている生徒や身体活動の困難な生徒等の指導計画の作成に当たっては,各科目の教材を精選し,基本的な事項を重点的に取り上げるとともに,言語伝達のための視聴覚教材等の活用を図って,集約的に指導の効果を高めるようにすることが必要である。

3 「現代国語」の「聞くこと,話すこと」および「書くこと」の指導に充てる授業時数に対する割合は,病弱・身体虚弱の種類や程度に応じて適切に定めるようにすることが必要である。

4 言語経験の不足している生徒の指導に当たっては,特に,読書活動に必要な環境を整備して読書の機会を多くすることが必要である。

第2 社会

1 学習が遅れている生徒の指導計画の作成に当たっては,生徒の能力,進度に応じた適切な事項を選定して発展的,組織的な指導ができるようにすることが必要である。

2 授業時数が制限されている生徒の指導計画の作成に当たっては,基本的な事項を重点的に取り上げるようにし,教育機器等の活用を図って集約的に指導の効果を高めるようにすることが必要である。

3 描図,統計,その他の資料の作成,図表化等が困難な生徒の指導に当たっては,指導の方法や用具等について特別なくふうをすることが必要である。また,特に必要がある場合には,演示および視聴覚教材等の活用により描図等の作成の指導に代えるようにすることがたいせつである。

4 「倫理・社会」および「政治・経済」に関する事項の指導に当たっては,寄宿舎および医療機関等における生活と関連づけるようにすることが必要である。

5 社会生活の経験の不足およびかたよりのある生徒の指導に当たっては,可能な限り,討議,見学や調査の機会を多くするとともに,新聞,図書および視聴覚教材等の活用を図って,社会生活への関心や意識を高め,急速に変化発展している社会の現状,動向を把握し公正に判断しようとする基礎的な態度,能力を養う必要がある。

第3 数学

1 学習が遅れている生徒の指導計画の作成に当たっては,各科目に示されている目標,内容の中から,生徒の能力・適性・進路等に応じた適切な事項を選定して,発展的,系統的な指導ができるようにすることが必要である。

2 授業時数が制約されている生徒の指導計画の作成に当たっては,基本的な概念,原理・法則の理解に関する事項を重点的に取り上げるようにし,教育機器等の活用を図って集約的に指導の効果を高めるように配慮することが必要である。

3 内容の指導に当たっては,生徒の身体活動の状態や能力・適性等をじゅうぶん考慮して,個々の生徒に即した取り扱いができるように配慮することが望ましい。また,公式などの単なる記憶や形式的な計算にかたよらないようにし,数学的な考え方を育成するようにすることが特にたいせつである。

4 計算,作図,図表・グラフの作成,実験・実習などが困難な生徒の指導に当たっては,計算機およびその他の教育機器等を活用して指導の効果を高めるなどの指導の方法や用具について特別なくふうをすることが必要である。その際,特に必要がある場合には,視聴覚教材の活用や演示などにより,計算および作図等の指導に代えるようにすることがたいせつである。

第4 理科

1 学習が遅れている生徒の指導計画の作成に当たっては,各科目に示されている目標,内容のなかから,生徒の能力,進度に応じた適切な事項を選定して,発展的,組織的な指導ができるようにすることが必要である。

2 授業時数が制約されている生徒の指導計画の作成に当たっては,各科目のそれぞれの事項にかたよることのないようにするとともに,指導する事項は,基本的な事項を精選し,系統的に理解を高めていくことができるように組織し,教育機器等の活用を図って集約的に指導の効果を高めるようにすることがたいせつである。

3 健康状態の回復,改善と関係がある内容の取り扱いに当たっては,養護・訓練との密接な関連を図って,適切な指導計画を作成することが必要である。

4 観察,実験および野外調査等が困難な生徒の指導に当たっては,指導の方法および用具等に特別なくふうをすることがたいせつである。また必要に応じて演示や視聴覚教材等の活用により,観察,実験の指導に代えるようにすることが必要である。

5 自然についての生活経験が不足している生徒の指導に当たっては,可能な限り観察,実験および野外調査の機会を多くしたり,視聴覚教材の活用を図って自然科学についての理解を高めるようにすることが必要である。

6 観察,実験および野外調査の指導に当たっては,事故の防止に留意するとともに,実施の時期,季節または内容の選定等を考慮し,負担過重になることのないようにすることが必要である。

第5 保健体育

1 学習が遅れている生徒の指導計画の作成に当たっては,各領域の中から,ひとりひとりの能力,進度に応じた事項を選定し,発展的,組織的な指導ができるようにすることが必要である。

2 授業時数が制約されている生徒の指導計画の作成に当たっては,それぞれの健康状態に応じて,適切な指導が行なわれるようにすることが必要である。

3 身体活動に制限を受けている生徒の運動領域の指導計画の作成に当たっては,学習可能な領域や種目を重点的に選定したり,学習可能なように内容を変更したりして,可能な限り運動の指導が行なわれるようにすることが必要である。

4 運動が困難な生徒の指導に当たっては,指導の方法および用具に特別なくふうをすることが必要である。視聴覚教材の活用や演示などにより,運動の指導に代えるようにすることがたいせつである。

5 運動領域の指導に当たっては,指導の効果を高めるために,学級ごとの指導のほか,学年を合わせて行なう機会をもつようにすることを考慮する必要がある。

6 運動領域の指導に当たっては,各教科および養護・訓練以外の教育活動で行なわれる体育的行事,保健安全的行事および養護・訓練との密接な関連を図って,適切な指導計画を作成する必要がある。

7 体育理論や保健の指導においては,特に,日常生活や養護・訓練と関連のある内容を精選して指導することが必要である。

8 運動の指導に当たっては,負担過重になることのないようにするとともに,事故の防止に留意する必要がある。

第6 芸術

1 音楽

(1) 学習が遅れている生徒の指導計画の作成に当たっては,生徒の能力,進度に応じた適切な事項を選定して,発展的,組織的な指導ができるようにすることが必要である。その際,特に感性の育成を重視し,豊かな音楽経験が得られるようにすることがたいせつである。

(2) 授業時数が制約されている生徒の指導に当たっては,音楽的感覚の発達を図ることに重点をおくものとし,健康状態の回復,改善に従って,順次「基礎」,「表現」および「鑑賞」の各領域の有機的な関連を保ちながら適切な指導をすることがたいせつである。

(3) 身体活動に制限を受けている生徒の指導に当たっては,「鑑賞」を中心とし,病弱・身体虚弱の種類や程度に応じて「基礎」,「歌唱」および「器楽」などの表現活動を適宜これに加えるとともに「創作」の指導も加え,適切な指導を行なうことがたいせつである。

(4) 歌唱および演奏が困難な生徒の指導に当たっては,「鑑賞」を中心とした指導を展開するか,あるいは,指導の方法および用具に特別のくふうをするなどして「創作」などの表現活動を経験させることが必要である。

(5) 「歌唱」における呼吸法,発声法または「器楽」の指導に当たっては,病弱・身体虚弱の種類や程度に応じて適切な指導の方法を考慮するとともに,生徒の身体的負担過重になることのないようにすることが必要である。

2 美術

(1) 学習が遅れている生徒の指導計画の作成に当たっては,生徒の能力,進度に応じた適切な事項を選定して,発展的,組織的な指導ができるようにすることが必要である。その際,生徒が興味をもって意欲的に表現学習に取り組めるようにすることがたいせつである。

(2) 授業時数が制約されている生徒の指導計画の作成に当たっては,いずれかの領域を重点的に指導できるように配慮することが必要である。その際,つとめて表現学習を重視するようにし,健康状態の回復,改善にしたがって,順次調和のとれた各領域の指導がなされるようにすることがたいせつである。

(3) 各科目に示されている表現材料や表現方法に制限を受けている生徒の指導に当たっては,実態に応じて適切な材料や用具および表現方法についてくふうすることが必要である。

(4) 「絵画」,「彫塑」および「デザイン」などの表現学習が特に困難な生徒の指導に当たっては,内容の「鑑賞」に示された事項をもって表現学習の指導に代えることがたいせつである。その際,視聴覚教材をじゅうぶんに活用することが望ましい。

(5) 表現学習の指導に当たっては,表現の過程を重視し,表現を楽しみ,ねばり強くやりとおすように指導することが必要である。その際,生徒の負担過重にならないようにすることがたいせつである。

3 工芸

(1) 学習が遅れている生徒の指導計画の作成に当たっては,生徒の能力,進度に応じた適切な事項を選定して,発展的,組織的な指導ができるようにすることが必要である。その際,「構成と表示」に密接に関連して,生徒が意欲的に創作活動を行なえるようにすることがたいせつである。

(2) 授業時数が制約されている生徒の指導計画の作成に当たっては,基本的な事項を重点的に取り上げるようにし,視聴覚教材等の活用を図って集約的に指導の効果を高めるようにすることが必要である。

(3) 身体活動に制約のある生徒の指導計画の作成に当たっては,「構成と表示」または「表示」,「デザインと製作」におけるデザインおよび「鑑賞と理論」を中心とし,病弱・身体虚弱の種類や程度に応じて,「デザインと製作」における製作を適宜これに加えて適切な指導ができるようにすることが必要である。

(4) 「構成と表示」または「表示」および「デザインと製作」における実習が困難な生徒の指導に当たっては,演示および視聴覚教材の活用により,創作活動についての正しい理解を与え,実習の指導に代えるようにすることがたいせつである。

(5) 「デザインと製作」の指導に当たっては,構想を練り表示するデザインの過程を重視するとともに,製作に必要な材料や用具の選定や使用についてじゅうぶんに配慮することがたいせつである。その際,生徒の負担過重になることのないようにすることが必要である。

4 書道

(1) 学習が遅れている生徒の指導計画の作成に当たっては,生徒の能力,進度に応じた適切な事項を選定して,発展的,系統的な指導ができるようにすることが必要である。

(2) 授業時数が制約されている生徒の指導計画の作成に当たっては,「表現」,「鑑賞」および「理論」を重点的に取り上げるようにし,視聴覚教材等の活用を図って集約的に指導の効果を高めるようにすることが必要である。

(3) 毛筆で臨書や創作をすることの困難な生徒の指導に当たっては,指導の方法について特別のくふうをすることが必要である。また,特に必要がある場合には,示範および視聴覚教材の活用により書道についての正しい理解を与えるようにすることが必要である。

(4) 書経験の不足している生徒の指導に当たっては,日常生活のあらゆる生活場面において計画的に指導し,生活書を重視して書を生活に生かすようにくふうすることが必要である。

第7 外国語

1 学習が遅れている生徒の指導計画の作成に当たっては,各科目ごとに示されている内容の中から,生徒の進度に応じた適切な事項を選定して,発展的,系統的な指導ができるようにすることが必要である。

2 授業時数が制約されている生徒の指導計画の作成に当たっては,「聞くこと,話すこと」および「読むこと」を重点的に取り上げるようにし,もっとも基本的な言語材料を用いて,集約的に指導ができるように配慮することが必要である。

3 指導の効果を高めるために,個別指導を重視するとともに,視聴覚教材等の活用を図って外国語の音声に接する時間をより多くすることが必要である。また,生徒の能力・適性等に応じて,辞書の引き方および国際音声記号の読み方を指導し,できるだけ多読をすすめることも必要である。

4 書写が困難な生徒の指導に当たっては,指導の方法および用具について特別なくふうをすることが必要である。

第8 家庭

1 学習が遅れている生徒の指導計画の作成に当たっては,基本的事項が欠けることがないように配慮し,生徒の能力に応じた適切な事項を選定して総合的,発展的な指導ができるようにすることが必要である。

2 授業時数が制約されている生徒の指導計画の作成に当たっては,日常の家庭生活に必要な知識と技術を重点的に選定して教育機器等の活用を図り,集約的に指導の効果を高めるようにすることがたいせつである。

3 健康状態の回復,改善と関係がある内容の取り扱いに当たっては,養護・訓練との密接な関連を図って,適切な指導計画を作成することが必要である。

4 身体活動に制限を受けている生徒の実習に関する指導計画の作成に当たっては,実習可能な内容を重点的に選定したり,学習可能なように事項を変更したり,また可能な限り同等の教育的価値を有すると認められる他の学習をもって実習の指導に代えるようにすることが必要である。

5 実習が困難な生徒の指導に当たっては,指導の方法および用具等に特別なくふうをすることが必要である。また特に必要がある場合には視聴覚教材の活用および演示により,実習の指導に代えるようにすることがたいせつである。

6 実習の指導に当たっては,負担過重になることのないようにすることが必要である。

第3章 養護・訓練

第1款 目標

生徒の心身の障害の状態を改善し,また克服するために必要な知識,技能,態度および習慣を養い,もって心身の調和的発達の基盤をつちかう。

第2款 内容

A 心身の適応

1 健康状態の回復および改善に関すること。

2 心身の障害や環境に基づく心理的不適応の改善に関すること。

3 障害を克服する意欲の向上に関すること。

B 感覚機能の向上

1 感覚機能の改善および向上に関すること。

2 感覚の補助的手段の活用に関すること。

3 認知能力の向上に関すること。

C 運動機能の向上

1 肢体の基本動作の習得および改善に関すること。

2 生活の基本動作の習得および改善に関すること。

3 作業の基本動作の習得および改善に関すること。

D 意思の伝達

1 言語の受容技能の習得および改善に関すること。

2 言語の形成能力の向上に関すること。

3 言語の表出技能の習得および改善に関すること。

第3款 指導計画の作成と内容の取り扱い

1 指導計画の作成に当たっては,次の事項について配慮するものとする。

(1) 個々の生徒の心身の障害の状態とその適応の状態,発達段階および経験の程度に応じて,それぞれに必要とする第2款の内容の具体的な事項を選定し,個別にその指導の方法を適切に定めるようにすること。

(2) 各教科ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動における指導と密接な関連を保つようにし,組織的,計画的,具体的に指導できるようにすること。

(3) 生徒の心身の障害の状態とその適応の状態により,専門の医師およびその他の専門家と密接な連絡をとり,適切な指導ができるようにすること。

2 第2款の内容に示す事項の取り扱いに当たっては,下記(1)および(2)に示す内容ならびに肢体に機能の障害を有する生徒に対しては(3)に示す内容のまとまりに組織して指導計画を作成し指導を行なうことが望ましい。

(1) 内容のAの1を中心として,次の内容のまとまり(以下「養護」という。)を組織し,計画すること。

ア 自己の病弱・身体虚弱の状態の理解

イ 健康状態の回復,改善を図るために必要な生活様式の理解

ウ 健康状態の回復,改善を図るために必要な諸活動

(2) 内容のAの2および3を中心として,次の内容のまとまり(以下「心理適応」という。)を組織し,計画すること。

ア 病弱・身体虚弱および環境からくる情緒不安の解消

イ 健康状態の回復,改善の意欲を高め,障害を克服しようとする習慣,態度の育成

(3) 内容のCの1,2および3を中心として,次の内容のまとまり(以下「肢体機能の訓練」という。)を組織し,計画すること。

ア 肢体諸機能の改善

イ 残存機能の維持向上

ウ 代償機能の開発

エ 生活の基本動作の確立

オ 作業の基本動作の確立

3 上記2に示す養護,心理適応および肢体機能の訓練の指導計画の作成に当たっては,特に,次の事項について配慮するものとする。

(1) 必要に応じて,養護,心理適応および肢体機能の訓練との密接な関連を図ること。

(2) 養護,心理適応および肢体機能の訓練には,生徒の心身の障害の状態とその適応の状態ならびに能力・適性等に応じて,第2款の内容に示すBおよびDのそれぞれから必要とする具体的事項を加えること。

4 内容の事項の到達目標は,個々の生徒の心身の障害の状態および能力等をふまえて設定するが,究極的には社会生活に参加できるようにすることをねらいとすることが必要である。
 5 指導に当たっては,次の事項について配慮するものとする。

(1) 生徒のあわせ有する他の障害の状態にとらわれて,かたよったものとならないよう生徒の全人的発達を図ること。

(2) 個々の生徒の心身の障害の状態および能力・適性等に応じた具体的な目標を明確にし,生徒みずからの意志による意欲的な活動を促すようにすること。

(3) 各種の教材・教具を活用するとともに指導法をくふうして指導の効果を高め,常にその効果を確かめ,指導の計画や方法の改善に努めること。

(4) 日常の健康観察や検査等に基づき,常に心身の状態を把握のうえ適切な指導を行なうこと。

6 養護・訓練の時間における指導は,専門的な知識,技能を有する教師が中心となって担当し,全教師の協力のもとに,効果的な指導を行なうようにすることが必要である。

第4章 各教科および養護・訓練以外の教育活動

 各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標,内容および指導計画の作成と内容全体にわたる取り扱いについては,高等学校学習指導要領第3章に示すところに準ずるほか,次に示すところによるものとする。
 1 指導計画は,生徒の心身の障害の状態,発達段階や特性を考慮するとともに,各教科・科目および養護・訓練との密接な関連のもとに,高等部教育の目標を達成するための教育活動であることを明確にし,特に学校の創意と教育的識見を生かして作成されなければならない。
 2 指導計画の作成に当たっては,生徒の少人数による種々の制約を解消し,積極的な集団活動が行なわれるように配慮しなければならない。
 3 学校内および学校以外で行なわれる教育活動の指導に当たっては,生徒の心身の障害の状態および能力・適性等を考慮しながら学校生活に変化を与え,生徒の生活を楽しく豊かなものにするとともに,集団行動における生徒の規律的な態度や障害を克服する積極的な意欲を育てることなどにじゅうぶん配慮しなければならない。