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知的障害のある子どもへの配慮

災害時における障害のある子どもへの配慮

1 知的障害のある子どもについて

 知的障害とは、「発達期に起こり、知的機能の発達に明らかな遅れがあり、適応行動の困難性を伴う状態」をいいます。
 知的障害のある子どもの状態は多様であり、言葉によるコミュニケーションをとってみても、日常会話に支障のない子どもから、会話でのやりとりが困難な子どもまでがいます。知的障害の状態像としては、年齢相応の学習や行動が難しいということが挙げられますが、その状態の顕著な子どももいれば、一見しただけでは、知的障害であることが分かりにくい子どももいます。

2 知的障害のある子どもへの配慮

(1)コミュニケーションに関する配慮

 知的障害のある子どもについては、全体への指示や説明そのものが理解できないことが多く、さらには、話し手に注意を向けることや、指示等を理解していなくても、思慮が不十分なまま「はい」、「わかった」という返事をしてしまうことがあります。
 知的障害のある子どもに対するコミュニケーションに関する配慮としては以下のことが考えられます。

  • 伝えるべき内容を絞って伝えること。
  • 具体的で平易な表現で伝えること。
  • ゆっくりと丁寧に、また繰り返し伝えること。
  • 言葉だけでなく、実物や写真、絵カードの活用による視覚化を促すこと
    (詳細については、コミュニケーション支援ボード(明治安田こころの健康財団(全国特別支援学校知的障害教育校長会)
     http://www.my-kokoro.jp/kokoro/communication_board/を参照)。
  • 内容によっては、実演するなど具体的な動作を見せることも有効。
  • 一つ一つ手順を分かりやすく伝えていくこと。
  • 伝えたことを聞き直すなどして、理解したかどうか確認すること。
  • 可能な範囲で個別または小グループにして伝えることや、用件を伝える前に名前を呼ぶ、または全体に対して話すということをまず伝え、注意を向けるようにすること。

     これらのことは、災害による避難時及び避難後の生活等において特に重要となります。
(2)心理面・身体面での配慮

 震災後は精神的に不安定な状態が続き、極端に行動が少なくなったり、不安な表情を見せたりすることがあります。また、そうした不安な気持ちなどを表出することができずにため込み、ふとしたきっかけでパニックになったりすることもあります。
 「~したらだめ」などの否定的な表現は、子どもには分かりにくいので避け、「~をします」「~をしよう」など、とるべき行動が具体的に分かるように表現することが必要です。このことは、自閉症を併せ有する子どもの場合には特に重要です。
 また、子どもによっては、てんかん等の他の病気があり服薬等が必要な場合や、ダウン症のように心臓疾患への対応や頸椎への負担をかけないようにするなどの身体面への特別な配慮が必要な場合があるので、病気等の有無を確認する必要があります。

 (※「知的障害のある子どもへの配慮」は、「自閉症の子どもへの配慮」と一部重なります。) 

(2024/01/29 確認)

研究企画部