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肢体不自由のある子どもへの配慮

災害時における障害のある子どもへの配慮

1 肢体不自由のある子どもについて

 肢体不自由とは、身体の動きに関する器官が、病気やけがで損なわれ、歩行や筆記などの日常生活動作が困難な状態をいいます。肢体不自由といっても、その状態は不自由な部位や程度により様々です。右手や右半身だけの、あるいは両足の、さらには全身の運動・動作が不自由という場合があります。また、その程度も、日常生活にさほど困難を感じない者、松葉つえや車いす等の補装具を必要とする者、さらには多くの活動に介助を必要とする者など多岐にわたっています。 
 肢体不自由のある子どもへの対応をする際には、身体の運動・動作の困難さだけではなく、併せ有する他の障害による困難さへの配慮もきわめて大切です。

2 肢体不自由のある子どもへの配慮

(1)身体面の問題への配慮

 姿勢を整えたり移動したりする際に、介助や見守りが必要な子どもが少なくありません。寝返りや座位での移動など自分で動くことが可能な場合には、安全面への配慮が必要です。段差などは、車いすの移動を妨げるだけでなく、歩行が不安定な子どもにとっては、思わぬ転倒事故の原因となります。また、着替えなどをする場合にも、他の子どもより広いスペースを使うこと、時間がかかることなどへの配慮が必要です。
 また、肢体不自由のある子どもは、体調が変化しやすいことがあります。そのため、災害後の避難生活などでは、子どもの健康状態に十分留意することが必要です。「普段なら風邪ですむところが、あっという間に肺炎にまで進んでしまった。」ということがないように、日常以上の健康観察が大切です。
 さらに、自分で身体を動かすことが困難な場合、子どもにとって楽な姿勢や移動の際の介助方法を確認しておきます。車いす上やベッド上に長時間同じ姿勢でいると、床ずれを起こしてしまうことがあります。痛みや不快感などが続くことがないように対応することが大切です。

(2)心理・行動面の問題への配慮

 環境の変化に伴い、「自分でできていたことができなくなる」場面が多くなることで、ストレスや不安が高じてきます。そうしたことから、極端に消極的になったり、依頼心が増す場合があります。「自分でできる環境」を可能な限り整えてあげ、時間がかかっても「見守る」ことも大切です。できないことを介助する際も、本人の意思を確かめて、本人のペースを尊重しながら必要な援助をするように心がけましょう。

(3)日常生活における基本的な動作への配慮

 ①食事
 肢体不自由のある子どもは、食事にも配慮が必要な場合が少なくありません。「刻み食」や「おかゆ」など食べられる食形態を用意することが必要です。
 また、自分の使いやすいスプーンやお皿などの食器を用意することで、自分で食べることができるようになり、それが心理的な安定にもつながります。
②トイレ
 車いすでもトイレまでの移動がしやすいこと、洋式便器で手すりなどがあり安定して安全に排泄ができる環境が必要です。また、おむつやしびん等を使用する場合でも、プライバシーが十分に保たれるように配慮することが必要です。
③入浴
 避難所等の生活で、介助が必要な場合、同性の家族がいないと、例えば「男子を女性用のお風呂に入れることができずに困る。」というようなことが想定されます。同性の介助者を確保するなどプライバシーを保てるように配慮することが必要です。 

(2024/01/31確認)

研究企画部