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言語障害のある子どもへの配慮

災害時における障害のある子どもへの配慮

1 言語障害のある子どもについて

 言語障害とは、発音が不明瞭である(構音障害)、話すときに詰まったり繰り返したりする様子が見られる(吃音)、ことばの理解や言語概念の形成につまずきがある(言語発達の遅れ)などの状態を指します。
 また、そのために周囲の人とのコミュニケーションが円滑に進まず、子ども自身が引け目を感じるなど、社会生活上不都合な状況にあることをいいます。言語障害は、一見して障害があるということが分かりにくく、子どもの困っている状況が周囲の人々に理解されないことがあり、一人ひとりの状態に応じて配慮することが重要です。
災害時にうまく周囲に伝えることができず困っている子どもがいます。そこで、次のような点について、配慮してかかわってみましょう。

2 言語障害のある子どもへの配慮

(1)発音の誤りのある子どもへの配慮

 発音の誤りがある子どもは、相手に話の内容が分かってもらえないことが多く、進んで話そうとする意欲が育ちにくい状況にあります。災害時において、子どもの発音にだけ、注目するのではなく、話の内容を最後まで聞き取り、何を伝えたいか確認することが大切です。発音が不明瞭で、伝わりにくい場合には、文字で書いて確認したり、絵、写真等を指さして選択したりして、子どもの気持ちや伝えたいことを理解するようにしましょう。

(2)吃音の子どもへの配慮

 吃音のある子どもは、会話に対する心理的負担を日常的に感じています。災害発生時のような緊張感、切迫感のある状況では、さらに言葉が出づらくなります。緊急事態において、必要な返事がすぐに返ってこない場合、言葉だけに頼らず、筆談や空書で返事ができるよう配慮してみましょう。また、うなずきや首ふりで返答できる質問をする、言葉が出るまでゆっくり待つなどの配慮をすることも大切になります。

(3)ことばに遅れのある子どもへの配慮

 ことばに遅れのある子どもは、周囲の人が説明していることを理解したり、自分の思っていることを言葉で伝えたりすることが難しいことがあります。
 災害時に、子どもと話す時には、短い文で具体的に伝えたり、伝わらなかったときは、もう一度丁寧に繰り返したり、文字や図、絵、動作等を用いて伝えたりして見ましょう。また、子どもの話の内容が分かりにくい場合には、 話の内容を推察し、言葉だけでなく文字や図、絵、動作等で示すなどして丁寧に確認し、子どもの話を理解するようにしましょう。

(4)心理面への配慮

 言語障害のある子どもは、話すことへの不安などで、日頃から、困っていても、周囲の人には伝えないことがあります。災害時には、そのような傾向が高まることが考えられます。そこで、子どもが不安や不快な感情を示した時には、周囲の大人が共感的に「気持ちがわかるよ。」「心配だよね。」としっかり子どもの気持ちを受け止めることが大切です。また、不安や不快な感情を表現しても構わないということを伝えていくことで、子どもが安心できる環境を整えていきましょう。

(2024/02/19 更新)

研究企画部