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障害のある子どもの教育について学ぶ

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アセスメント 佐藤克敏

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  1. アセスメントとは
  2. アセスメントとは,「個人の状態像を理解し,必要な支援を考えたり,将来の行動を予測したり,支援の成果を調べること」といわれています。つまり,状態像を理解することだけがアセスメントではないということを示しています。学校教育において,状態像を理解するということは,児童生徒の特性や障害があることによって生じている困難さを理解することだけではありません。児童生徒がどのように生活しているのか,周囲の人とどのように関わっているのかということを考える必要があります。児童生徒の障害の特性や障害があることによって生じている困難さだけでなく,周囲の人や環境を含めた生活を理解することで,今後必要となる支援や将来の行動を予測することが可能となります。また,アセスメントには,支援の成果を調べるということも含まれています。

  3. アセスメントを指導に展開する
  4. アセスメント結果を指導に展開するためには、現在生徒が示している問題や能力の限界、つまりどのような問題を起こす、何ができない、どこでつまずく等の否定的な情報のみを集めても問題を解決する糸口は見つけにくいでしょう。重要なことは、対象となる生徒自身の情報のみを集めるのではなく、個とその周りの環境とのやり取りとその変容を通した相互作用の情報を収集すること、いつどんな状況(どのような手だてがあれば)なら問題を起こさないのか、何ができているのか、どのように援助すればつまずかないのかといった肯定的情報も同時に集めることです。これらの情報は、生徒へのちょっとした関り方の工夫や生徒が手掛かりとして利用しやすいもの、その生徒に合った環境の調整の仕方などのきっかけを見つけるための重要なキーとなります。

  5. 行動観察によるアセスメント
  6. 日常の学習場面や生活場面での行動をアセスメントする方法に行動観察があります。重要なことは、具体的な水準でターゲットを何にするのかを決めておくこと、ターゲットとする行動だけではなく、直接的なきっかけとなっている状況(行動の前)とターゲットとした行動が生じた結果、生徒が何を得た(失ったもしくは逃れた)のかを分けて記録し、分析することです。

    行動が生じる前の状況を分析することにより、行動が生じたきっかけがなんであったのかを推測しやすくなります。また、行動が生じた結果について、生徒が何を得た(失ったもしくは逃れた)のかを分析することは、何によって行動の動機づけが得られているのか(もしくは得られていないのか)を推測する情報となります。

  7. 標準化された知能検査を利用したアセスメント
  8. 近年では、WISC-VやK-ABCのような個人の知的機能の弱いところと強いところを知ることができる知能検査を用いて、軽度障害のある生徒を評価することが多くなりました。これらの検査は、生徒の知的機能の水準について知るだけではなく、知的機能の弱いところと強いところを知ることができます。生徒の強いところを利用したり、弱いところに負担がかからないように、手がかりを与えたりすることによって,児童生徒の指導を展開することができます。

    WISC-Vでは、言語性知能と動作性知能、また群指数として言語理解、知覚統合、注意記憶、処理速度の4つの尺度を測定することができます。言語性知能や言語理解における得点が低い生徒は、ことばによる指示や説明がうまく理解できないことが多くみられます。このような場合、視覚的な手掛かり(絵や文字やモデルなど)を用いた指導方法や環境の整え方を考えることが生徒の強いところを利用した方法ということになります。

    K-ABCでは、物事の順序的・系列的な情報として処理する継次処理と1つの全体として処理する同時処理の2つの認知的処理過程と、これまで獲得されてきた知識を測定することができます。同時処理が強い場合、完成したものを見せ,具体的なイメージを予め持たせたり,手順を絵や文字で示した表などを作成し,全体の構図が見られるように手掛かりを与えたりすることが重要となります。一方,継次処理が強い場合,ステップに従って進められるように,言葉で逐次説明したり,一つずつの手順を示したカードを提示し,チェックさせながら,遂行できるようにしたりすることが重要となります。

    これらの知能検査の結果は、検査結果のみでなく,検査場面の行動、日常生活場面での様子、生育歴等の情報を関連づけて総合的に解釈する必要があります。また,検査結果は子どもの認知機能に関する仮説的概念であり、指導経過や指導結果としての子どもの変容を通して仮説の検証が可能となるということを忘れてはいけません。

  9. 指導結果を利用したアセスメント
  10. 指導結果を評価するということは,より適切な手だてを考えるためのアセスメントです。指導を通して継続して集められた情報は,どのような手だてが有効であるかを考える材料となります。そのためには,実際の正誤の記録を数値として記録する,児童生徒が完成させた成果をそのときの状況のメモといっしょにファイルする,作成過程を写真として記録するなど,事実を記録し,評価するなど,事実をあつめる必要があります。事実と考えや感じたことを同時に記録することは重要ですが,適切なアセスメントを行うためには,両者を区別する必要があります

  11. まとめ
  12. アセスメントは指導と対になってこそ意味をなします。アセスメントの結果は仮説であり、その後の指導や支援の過程における生徒の変容を通して,初めて仮説が正しかったかどうかを確かめることができます。指導は、次の段階へのアセスメントであるということを忘れてはいけません。

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