このページの先頭です:本文へスキップ

障害のある子どもの教育について学ぶ

現在の位置:トップページ >障害のある子どもの教育について学ぶ >重複障害教育 >「盲ろう」という障害を理解するために(3) 視覚障害と聴覚障害を受けた時期が、盲ろう者がどのようなコミュニケーション方法をつかうかに影響を及ぼします 
ここから本文
「盲ろう」という障害を理解するために(3) 視覚障害と聴覚障害を受けた時期が、盲ろう者がどのようなコミュニケーション方法をつかうかに影響を及ぼします 中澤惠江

PDFファイル

盲ろうの人の視覚障害と聴覚障害の程度は一人ひとりさまざまですし、その他の状態や状況も、一人ひとり異なります。盲ろう児・者は少数ではありますが、とても多様な状態像とニーズをしめす人たちです。このような違いは大切にしながらも、盲ろうの人たちのコミュニケーション方法について、どのような方法がその人にとって楽に使えたり覚えられたりするかを把握するための目安をもつことは大切です。その一つの鍵が、前節で述べた、その盲ろう児・者にとって活用できる感覚と、その感覚がもっとも活用できる距離や範囲を押さえることでした。

もう一つの鍵があります。それは、その盲ろうの人が、視覚障害を受けた時期と聴覚障害を受けた時期を知っておくことです。この情報は、その盲ろうの人がどのようなコミュニケーション方法を使いやすいか、あるいは学びやすいかということについて、大きなヒントを与えてくれます。

視覚と聴覚の受障時期の組み合わせによって、以下の表のように、大きく4つのグループに分けることができます。

  1. 先天性盲ろう......先天性あるいは言語を獲得する以前の幼い時期に盲ろうになった場合
  2. ろうベースの盲ろう......先天性あるいは幼い時期から聴覚障害があり、成人してから視覚障害となった場合
  3. 盲ベースの盲ろう......先天性あるいは幼い時期から視覚障害があり、成人してから聴覚障害となった場合
  4. 成人期盲ろう......成人してから、視覚障害と聴覚障害となった盲ろう

表1 視覚障害と聴覚障害の受障時期による組み合わせ

 先天性または幼い時からの視覚障害大人になってからの視覚障害
先天的または幼い時からの聴覚障害「先天性」の盲ろう「ろうベース」の盲ろう
大人になってからの聴覚障害「盲ベース」の盲ろう「成人期」盲ろう

先天性の盲ろうの人は、情報が極端に少ない中で育っていくため、母子関係をはじめとする人間関係の育成、あらゆる概念の形成、さまざまな因果関係の理解、そしてコミュニケーションの獲得に通常の何倍もの時間と工夫を必要とします。このため、コミュニケーションもより基礎的な段階の方法を使う期間が長く、手話・指文字・点字等の、形式の整った言語を獲得するに至る場合もあれば、基礎的な段階のコミュニケーション方法を一生に渡って使っていく場合もあります。他の障害を併せもつ場合は、とくにこの傾向は強くなります。大切なことは、その人の概念の数や生活の幅に応じた「語彙」のある、その人が使いやすいコミュニケーション方法をえらんでいくことです。

ろうベースの盲ろう者は、それまでのろう者としての教育やコミュニケーション方法(手話・指文字等)を土台にして、新たなコミュニケーション方法を積み上げていくことが、より楽により早く、盲ろうという新たな状態に適したコミュニケーション方法を身につけていくことにつながります。ただし、すべてのろう者が手話を獲得しているわけではないので、注意を必要とします。なお、先天性の聴覚障害に網膜色素変性による進行性の視覚障害をもたらすアッシャー症候群は、盲ろうの原因として、とても大きなものです。海外では、盲ろう者の約半数がこの疾患によるものとされています。網膜色素変性は、周辺視野を冒して行き、トンネルをのぞくような見え方をもたらします。

同様に、盲ベースの盲ろう者は、それまでの盲者としての教育やコミュニケーション方法(特に点字)を土台にして、新たなコミュニケーション方法を積み上げていくことが有利です。多くのばあい、盲ベースの盲ろう者は、発信には音声言語を用いることができるので、コミュニケーションにおいてろうベースの盲ろう者よりも、周囲の人に自らの意志や決定を伝えやすい状況にあると言えます。

成人期盲ろう者は、視覚と聴覚の両方を成人してから失う状況におかれます。このグループには、多くの高齢期盲ろう者が含まれます。

次節ではまず、ろうベース、盲ベース、成人期盲ろうの人たちが主としてつかうコミュニケーション方法について説明します。その次の節で、先天性盲ろう児・者の多様なコミュニケーション方法とその発達的な段階について説明します。

(文責 中澤 惠江)
本文おわりです

ページの先頭に戻る

メインナビゲーションへ戻る
このページはここで終わりです