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1-1-2b 聴覚障害児のための支援システム

日本アイ・ビー・エム

平成14年度より、通信・放送機構の企画するプロジェクトの1つとして、「聴覚障害児のための学習支援システム」の2年間に渡る実証実験が、開始されました。実験校として横須賀市立ろう学校の協力を得て、推進しています。昨年度は、システムの仕様検討、開発を実施し、今年度から実証実験を進めています。開発までに至る経緯とその背景、システムの特徴をご紹介します。


1) 現状

現在、多くの聴覚障害者のコミュニケーション手段は、口話・手話・筆談などが用いられています。教育現場でこれらの伝達手段を用いて、新しい事柄を教えていくこと、また、学んでいくことは、大変難しいことです。先生方は、少しでも生徒達の理解を図ろうと話し言葉を補うために、たくさんの補助教材を準備して授業を進めていきます。生徒は、授業に集中して、できるだけ先生の話し言葉を読み取る努力をします。また、教室では先生と生徒だけのコミュケーションだけではなく、他の生徒が発言した内容を聞くこと、知ることも学習するために重要なことですが、実現が難しい状況です。

2) 課題の解決

これらの課題を解決するひとつの方法として、音声認識システムとリアルタイムのコラボレーションシステムの適用を考えました。

3) 音声認識システム

従来のコミュニケーション手段をベースとして、更に生徒達の理解度を向上させるために音声認識を用いた情報伝達方法を授業に組み込むことで、少しでも授業を円滑に進めることができるようにシステムを導入しました。但し、現在の技術では100%の認識率を得ることはできません。事前に話し手の声の特徴、使用する言葉などを登録する準備を実施していただくことにより、認識率向上を図る事が必須となります。

4) 音声認識率向上のために

音声認識率向上のために、学年別、教科別に合わせた辞書を作成しています。また、誤認識の時に先生に負担なく修正できる機能を用意しました。

5) コラボレーション実現のために

口話を読み取るためには、話し手と向き合わなければ、正確に理解することは困難です。互いの情報交換ができるように生徒の発言をプロジェクターに写し、疑問点、質問などを情報交換することで理解を促進することを目的として、コラボレーションシステムを開発しました。

授業中に重要なことは、生徒同士が意見交換できる環境、また、質問できる環境を整備することだと考えています。生徒達はタブレットに手書き入力し、先生のPC、またデジタルボードに表示させることにより、円滑な相互のコミュニケーションの実現を試みました。

6) ホワイトボードの利用

生徒達の理解の促進を図るため、音声認識した言葉と同時に、板書の代替であるホワイトボード、補助教材を画面に共有で表示する機能も提供しました。

7) 補助教材

口話を中心としたコミュニケーションが主たる授業での手法である限り、生徒達は先生の口話を読み取りながら、ノートを取ることは非常に難しいことです。今回は、先生の話し言葉、また、使用した教材をファイルに保存し、データベースに蓄積する機能を整備しました。生徒は自宅に帰ってから、授業の内容を復習することも可能にします。

8) 授業方法改革

開発したシステムを利用し授業を進めていくには、先生方のご協力をいただき、従来の授業の進め方、やり方を見直して、新しい授業のあり方を考えていく必要があります。実際の現場の先生方、また生徒達の反響を大切にして、この4月から実証実験の中で、一緒に進めていきたいと考えています。

9) 実証実験

この新システムを利用して、先生や生徒達と授業の形を考えていきます。現在、先生方にはシステムの操作方法、音声の登録、そして、どうやってこれらのシステムを利用することが円滑な授業に結びつけることができるかを考えていただき、各教科担当の先生達のご協力をいただきながら、授業で活用いただくことを実証実験として、結果を分析しシステム評価を行っていく予定です。

今回、開発した学習支援システムが聴覚障害児にとってコミュニケーションの向上・学習効果向上のために、役に立つよう今後も学校と協力して進めていく予定です。

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