本文へ移動します
ユニバーサルデザイン 文部科学省・プロジェクト 学校インターネット
ユニバーサルデザインのもくじに戻る(0)
授業実践事例のもくじに戻る(9)

●聾学校 中学部 [特別活動、自立活動、総合的な学習の時間]

大学生の支援を受けたWebページ作り 

(1)「思い出アルバム」のWebページを作ろう (2)生徒会のWebページを作ろう

■支援機器
コミュニケーション支援
■学習活動
読む・書く
作る・描く
コミュニケーションする

もくじ

概要

図1:共同作業の様子

生徒の情報活用の実践力を高めることを目的として、聾学校中学部での学習成果や学校行事への取り組みなどをまとめてWebページを作成し、情報発信を行った。生徒がコンピュータの操作に習熟し、より効果的に学習を進めるためには、きめ細かな個別指導が必要とされるが、通常の指導では手が届きにくい部分がある。そこでコンピュータに堪能な大学生の支援を受け、より少人数で話し合う活動を通して共同でWebページを作成し、その成果をインターネット上に公開した。

<指導形態:教員と大学生の連携によるチームティーチング>

<実施日・実施時間:平成11年10月〜12月 16時間(平成11年度)、平成12年7月 〜10月 12時間(平成12年度)、平成13年6月〜7月 6時間(平成13年度)>

このページのもくじへ移動します

キーワード

Webページ、共同学習、情報活用能力

このページのもくじへ移動します

学部・学年・対象児

中学部生徒(3年生)

このページのもくじへ移動します

単元の目標

  1. 中学部での3年間の活動内容をふり返り、まとめる。
  2. 学習内容をWebページとして記録に残し、発信する。
このページのもくじへ移動します

新学習指導要領との対応

  • 特別活動1、2
  • 自立活動5
  • 総合的な学習の時間の取扱い2(2)、5(1)、(2)
このページのもくじへ移動します

授業展開の基本的な考え方

中学部生徒と大学生が共同でWebページを作成する活動は、教員と生徒だけで実施できる活動の枠を広げて、よりダイナミックな活動と成りうる。生徒の考えをWebページという開かれた場で表現するには、リテラシーに関して大学生の持つ力量は貴重な情報源となる。またこの学習活動は、技術的な側面だけに止まらずさらに違った側面を併せ持つともいえる。生徒にとっては、聾学校以外の大学生とのコミュニケーションそのものが学習活動となる。すなわち自分たちのアイデアを伝え、大学生と話し合いながらWebページの原型を作ることは通常の聾学校の生活では得難い体験である。またWebページ作りを支援する大学生にとっては、自分の得意なコンピュータの操作を教えることが他の人にも役立ち社会的にも意味を持つことを体験できる機会であるが、同時に通常は接することの少ない聾学校の生徒と交流する場面にもなっている。どちらの側からも、教育の場で「共生」を考える契機と成り得る。

このページのもくじへ移動します

メディア活用の意義

各教科の授業で校内LANに接続したコンピュータでインターネットを活用して情報を収集している。しかし、それは受動的な活動である。生徒が不特定多数の人々へ情報を発信する一つの方法として、Webページを作成し学校のWebページにリンクさせた。そのWebページを閲覧した人々から電子メールで感想が寄せられている。インターネットを活用することにより、双方向の情報伝達が可能である。

このページのもくじへ移動します

メディア利用環境

(1)使用機器

  • デスクトップ型コンピュータ 8台(平成11、12年度は4台)
  • デジタルカメラ 1台
  • イメージスキャナ 1台

(2)補助入力装置等

特になし

(3)使用ソフト

IBM社『ホームページビルダー6』(平成11、12年度はHTMLのタグ使用)

(4)教室環境

校内LANに接続して活用

このページのもくじへ移動します

学習展開

「思い出アルバム作り」の場合

指導計画
時間 学習展開 学習活動 指導上の留意点
(1)インターネットとWebページの概要を知る。 インターネットの利点や将来の活用に関して学び、ネットサーフィンを体験して様々なWebページを比較する。 インターネットを利用する時のモラルについても配慮が必要であることを確認する。
(2)支援の大学生との交流会の実施 大学生に積極的に話しかけ、お互いをよく知るように交流する。 この時間だけでの交流ではなく、文化祭へも招待するようにした。
(3)作成するWebページのイメージ作り 3年間の中学部での学校生活や活動の中から、どの活動をどの程度Webページに取り入れるかをグループごとに話し合い、画面の内容と構成を考える。 学年活動、文化祭、修学旅行などを題材として、イメージや内容を伝えるための生徒用プリントを活用する。
(4)共同作業によるWebページ作り 生徒2〜3人のグループに大学生1人が加わる形で作業グループを作り、共同でWebページ作りを行う。 お互いの意志疎通を図ることを重視しながら、オリジナリティのある構成を考えるようにする。
(5)Webページの完成とアップロード 生徒2〜3人のグループに大学生1人が加わる形で作業グループを作り、共同でWebページ作りを行う。 未完成の部分は支援の大学生が整理し、教員がさらにまとめた上でインターネット上に公開する。
このページのもくじへ移動します

学習活動の実際、および学習者の反応

(1)思い出アルバム作り(平成11年度)

平成11年10月、インターネットやWebページについての概要を説明・視聴後、大学生と交流会を持った。11月には、生徒たちが行ってきた活動の中で、どの活動をどの程度、Webページの内容に取り入れるかを話し合った。修学旅行、学年活動、体育祭など9つの内容を2ないし3人の班で担当することになり、各班ごとに準備するもの等を話し合った。その結果、しおりや計画書、作文などを持ち寄り、さらに活動の様子を記録した写真やビデオテープなどを利用する班も出てきた。12月の大学生との共同作業では、事前に用意した資料をお互いに検討しながら作業を進めていった。その場で新たなアイデアが生まれるなど、お互いの意見を尊重し合う場面が随所に見られた。

図2:webページの画面案の例

図2:Webページの画面案の例

(2)生徒会のWebページ作り (平成12年度)

最近は「総合的な学習の時間」や「福祉・ボランティア体験」の一環として、普通中学校からの交流・見学の問い合わせが非常に多くなってきた。中にはかなり遠方からの依頼もある。そこで1学期中にそれぞれの委員会や部活動でどんなページを作りたいかという話し合いを持ち、コンピュータに向かっての作業は、夏休みの補習の合間を利用して3年生が行った。生徒は皆、大学生と楽しく交流しながら、意欲的に作業を進めていた。原型は活動を行った日のうちにある程度できあがったが、ネット上で公開できる形になるまでには、支援の大学生と連絡を取り合いながら、その後数ヶ月を要した。

(3)修学旅行のWebページ作り(平成13年度)

生徒会・部活動のページを持つことで「最近・最新の情報発信」が可能になったので、学年のページ、つまり各年度ごとの「思い出アルバム」を揃えていこうということになった。13年度は工房スタッフとの連携時期が6〜7月となったので、修学旅行を終えた3年生が、印象の鮮明なうちにその記録をまとめるということでスタートした。

このページのもくじへ移動します

学習評価の方法とその結果

(1)思い出アルバム作り(平成11年度)

Webページを作り終えた後のアンケート結果から生徒の感想を一部紹介する。
「大学生のお兄さんお姉さんと一緒の楽しく活動できましたか」に対しては、19名中、16名が「楽しく活動できた」としていた。また、「ホームページ作りで楽しかったこと・印象に残っていることは何ですか」に関しては、「字を打ち込んだり、色をつけたりしたのが楽しかった。ビデオも取り入れることができるのが印象に残った。」「林間学校についてお兄さんお姉さんといろいろ話したこと。」といった感想があった。「今回のように、他の人と共同で作り上げていく活動についてどう思いますか」に関しても、「みんなと協力しあい、いろいろ考えて最高のホームページができたと思う」など、前向きの意見が回答されていた。同様に支援の大学生に実施したアンケートでも、「非常に明るくて驚きました。」「“こだわり”というものを全ての生徒に感じた」「壁新聞を作る感覚でホームページを作ってほしいです。」「一人ひとりと関わることがとても重要で必要なことだと思います。」等の回答があった。

(2)生徒会のWebページ作り(平成12年度)

主な活動が夏休み中であったため、アンケートという形では残していないが、生徒達の意欲・反応・協力体制、また完成させたことの自信や満足度は目を見張るものがあった。生徒会の活動が軌道に乗り、他校との交流手段として「自分たちも情報発信のページを持ちたい」というニーズが高まっていたからに他ならない。

(3)修学旅行のWebページ作り(平成13年度)

修学旅行で土地の人達とのコミュニケーションを重ね、その楽しさを実感した直後だったために、初対面の大学生とも短時間で心を通い合わせることができた。

(4)生徒の特徴的な感想

以下、生徒の感想のうち、特徴的なものを紹介する。「活動を通じて、楽しかったことはなんですか。」の問いに対しては、「ホームページ作りがおもしろいとわかったこと。」「学生さん達とわいわい盛り上がりながら作れたこと。」といった回答があった。

また「活動を通じて、難しかったことはなんですか。」の問いには、生徒は「絵や写真をはりつけたり移動すること。」「グループ内で意見が食い違った時、それをまとめるのが大変だった。」と述べている。さらに「できあがったページがインターネットにつながったのを見てどんな気持ちですか。」の問いに対しては、「いつでもどこでも見られるし、たくさんの人に見てもらえてうれしい。」「スタッフや学生さんに協力してもらった結晶だと思った。自分で作ったのを公開するのはうれしいけど、少し恥ずかしい。」と感想を述べていた。大学生との連携による活動に関しては、「わからなかったことを親切に教えてもらってよかった。」「教えてくれるだけでなく、いろいろおしゃべりしたり、交流できてよかった。」などの意見があった。

このページのもくじへ移動します

授業の成果

(1)思い出アルバム作り

この活動を通して、生徒たちは過去の学習や行事で使用した資料を持ち寄り、それをもとに積極的な話し合いを持つことができた。またグループで担当した内容についても、できるだけまとまっていてしかも楽しいものを作ろうとするなど、様々な角度から自らの活動をふり返ることができた。この活動を通して、生徒は情報を発信する際に考慮しなければならないことに気づくなど、情報教育の一端に触れることができたと感じている。

図3:「思い出アルバム」のwebページ画面例

図3:「思い出アルバム」のWebページ画面例

(2)生徒会のWebページ作り

「生徒会のWebページを作る」という観点から、改めて日頃の委員会や部活動の目的や活動内容をふり返ってみる機会ができたことが、一番有意義だったと思う。「自分たちの委員会は何をするところなのか、何をしてきたのか。」という極めて素朴な疑問である。

課題としては、メンバーの変更や最近の大会結果など、新しいデータへの書き換えがなかなか間に合わず、古い内容を提示してしまっていることである。

図4:委員会のwebページ画面の例

図4:委員会のWebページ画面の例

(3)修学旅行のWebページ作り(平成13年度)

当初予定したことはほぼ達成できたが、ブラウザやコンピュータ画面の設定によってフレームの形が崩れたりすることがあり、修正が必要である。これをベースにして、文化祭や、他の行事も加えて「思い出アルバム」の形に仕上げていきたい。

このページのもくじへ移動します

今後の課題

ここ3年間の取り組みから、連携によって生徒のアイデアを生かしたWebページを作成できることが確かめられた。今後は共同作業の学習の過程をより細かく把握し検討するとともに、視覚的によりわかりやすい構成や表現を工夫するようにしていきたい。

このページのもくじへ移動します

その他

今回報告したWebページ作りの活動は、「学習指導の工夫と総合的な学び」(中学部編著2000年)の中でも一部を紹介してある。また大学生による支援にあたっては、大東文化大学苅宿ゼミナール、学習環境デザイン研究工房の協力を得た。


このページの先頭へ(x)
授業実践事例のもくじに戻る(9)
ユニバーサルデザインのもくじに戻る(0)