●知的障害養護学校 高等部 [情報]
プレゼンテーションソフトを利用した修学旅行の報告
[修学旅行の報告書を作ろう]
- ■学習活動
読む・書く
まとめて発表する
もくじ
概要/キーワード/学部・学年・対象児/単元の目標/新学習指導要領との対応/授業展開の基本的な考え方/メディア活用の意義/メディア利用環境/学習展開/学習活動の実際、および学習者の反応/学習評価の方法とその結果/授業の成果/今後の課題/参考
概要
図1:コンピュータ教室での
授業の様子
知的障害のある生徒は、経験や印象を取捨選択して記録文を書くことが苦手である。学校生活の最終学年を締めくくる一大イベントである修学旅行についても、原稿用紙に向かうと記憶にある事柄をとりとめもなく書き連ねてしまいがちである。そこで、プレゼンテーションソフトを利用して、旅行の印象を場面ごとに時系列で簡潔に整理・記録することを考えた。プレゼンテーションの1ページごとに片側半分に記録写真1枚を配し、もう片側半分にその写真についての説明や感想と名前を入力する。写真を見ながら入力できるので印象が生き生きとよみがえる。同時に、文字入力出来る範囲が限られているので、文章も長すぎるものにはならない。プレゼンテーションの入力は生徒個別に1ファイルずつ行うが、完成後学年の生徒全体の作品をコピーアンドペーストで時系列に1つのプレゼンテーションに統合し、学科集会などで後輩の前で発表する。コンピュータを液晶プロジェクタに接続して拡大投影し、ページごとに入力した生徒が文章を読み上げるのである。説明・感想の入力はローマ字変換による文字入力の訓練になり、発表は効果的な発声やマイク使用の練習になる。後輩にとっては、修学旅行へのモチベーションとなる。
<指導形態:一斉指導と個別実習>
<実施期間:平成12年5月>
学部・学年・対象児
- 高等部産業技術科3年、軽度知的障害の2学級 生徒各8名
- 全員企業就労をめざしており、卒業後事務職やサービス業に従事する生徒の中には、実習中や就労後に簡単なコンピュータ操作を経験する者もいる。全員がコンピュータの操作には興味を持っており、キーボードやマウスの操作に不自由はない。人数は少ないが中学校以前にローマ字学習やコンピュータ操作を経験した生徒や自宅にコンピュータのある生徒がおり、そうした生徒は入力操作が速い。漢字の読み書きは全員得意ではない。
授業展開の基本的な考え方
修学旅行は高等部3年間のまとめの学習である。この学習を静止画と文章を組み合わせて思い出深い報告書に残す時には、デジタル化することで友だちとの合作が容易になった。保護者・後輩の前で発表することにより、効果的な発表を意識した情報のまとめ方を実際に体験させたいと考えた。
メディア活用の意義
(1)デジタル画像の活用
デジタルカメラは撮り直しがきくので、生徒に携帯させて撮影させることができる。30万画素程度の安価なものであれば、1万円未満で入手できる。記録写真をデジタル化したファイルやデジタルカメラで撮影した静止画像は容易に複製できるので、校内ネットワークを通じて生徒全員の個人フォルダへ配布することができる。
(2)校内ネットワークの活用
個人フォルダのアクセス権は生徒本人だけに与えられているので、自分自身のファイル作成に専念できる。教師は校内ネットワークを通じて生徒の個人フォルダにアクセスできるので、授業時以外にも職員室にいながら作成作業の進捗状況をチェックすることができる。発表するために個々の生徒のプレゼンテーションからスライドを抽出して編集する作業も、職員室の自分の机上からネットワークを経由して行うことができる。
メディア利用環境
(1)使用機器
- デスクトップ型コンピュータ 生徒用6台
- ノート型コンピュータ 生徒用2台
- デスクトップ型コンピュータ 画像蓄積・画像投影用1台
- デジタルスティルカメラ
- カラーイメージスキャナ
- フィルムスキャナ
- イヤホンマイク等
(2)補助入力装置等
特になし
(3)使用ソフト
Microsoft社「PowerPoint」
(4)教室環境
通信衛星経由インターネット接続 ドメイン構成による校内LAN整備、生徒作品はファイルサーバに保存
学習展開
| 学習展開 | 学習活動 | 留意点 |
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「教材」フォルダへの共有アクセス権を生徒グループに与えておく。 | |
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余裕のある生徒にはページごとにアニメーションやサウンド効果を工夫させる。 | |
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あとでコメント記入のあったページのみを教員が時系列に学年全体で連結し、一つのファイルとして完成させる。 |
学習活動の実際、および学習者の反応
(1)修学旅行中の活動
事前に各学級1名の記録係を決め、デジタルカメラを携帯させる。撮影時にはどうしても露出不足やピンぼけ画像が多くなる。また、背景を配慮せずに友だちのポートレートをむやみに撮影する。そのため別に教師がデジタルカメラを携行し、主要な場面の撮り残しが無いように配慮する。
(2)作成実習中の活動
国語の授業で書いた作文なども参考にしながら、コメントをつけられる画像を選び、説明や感想を入力していく。入力しながら友だち同士で記憶を確かめ合ったり、感想を言い合ったりして和やかな雰囲気で作成実習が進んでいく。作成進度は生徒により異なるが、速い生徒には画面の装飾方法をアドバイスする。
学習評価の方法とその結果
- ●保護者や後輩の前で発表し、聞き手からの感想を聞く。
- 旅行先に一緒にいるかのように楽しめた。
- ●発表後の感想を生徒に尋ねる。
- 聞き手に楽しんでもらえて良かった。
- 必ずしも思い出に残っている場面の写真が残っているわけではなかった。
授業の成果
- 修学旅行の思い出を、静止画像と文章とで、時系列に整理することが出来た。
- 生徒それぞれの関心の在処について、友だち同士で理解し合うことが出来た。
- 修学旅行中の様子について、保護者や後輩に報告することが出来た。
- 入力した文章を一度口に出して読んでみることにより、かなづかいの間違いなどに自分で気づくことが出来た。
今後の課題
- 旅行中のディジカメ撮影については、生徒が事前に練習できる機会を設けるようにする。
- 生徒同士の思い出ではあっても、旅行記録としてはあまり意味のない画像もあるので、発表時を想定して、あらかじめとりあげる画像を絞り込んでおく。
- 写真を選んでから生徒自身がファイルに挿入していく方法も考えられるが、生徒全員が正しく画像を取り扱えるわけではないので、あらかじめ挿入したファイルを用意して、生徒はページ単位で消去するだけにした方が指導しやすい。

