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●特殊学級 小学校 [特別活動、日常生活指導]

学習日記をコンピュータで

肢体不自由学級の学習環境 [朝の時間割り確認・家庭学習による日記]

■支援機器
その他
■学習活動
読む・書く

もくじ

概要

図1:朝の時間割り確認の一例

小学校肢体不自由学級の児童が毎朝その日の時間割り等をコンピュータに入力し、一言日記を書き続ける継続的な取り組みである。はじめは、コンピュータの電源の入れ方やマウスの使い方などの基本操作を教師と一緒に行い、徐々に児童が一人で操作し、文章を考えて書けるように指導していった。このことで、児童が文字表現のよさを感じ、表現能力を高めていけるのではないかと考えた。日にち、曜日、時間割りの教科名等を打ち込む簡単な作業を基本にしており、短時間で毎日続けて取り組めることから、児童も根気強く続けて取り組むことができた。日々の積み重ねによりコンピュータの基本操作を身に付けることができ、また、自分で考え、文章表現を楽しむこともできるようになった。

<指導形態:個別指導>

<実施期間:平成12年7月〜平成14年3月>

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キーワード

表現、時間割り確認、日記

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学部・学年・対象児

小学校特殊学級(2年生2名、4年生1名)

4年生児童は、上肢にマヒがあり、鉛筆で文字を書くことは可能ではあるが、時間がかかり、形も整えにくい。また、発音が不明瞭でゆっくりであるため、相手が十分聞き取れないこともあり、気持ちを十分伝えることが難しいこともある。今後、音声言語よるコミュニケーション以外にも、自分を表現する手段を持つことも必要であると考えられる。

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単元の目標

(1)朝の時間割り確認

日にち、曜日、時間割り等を入力することで、今日の日課を確認し、一日の生活に見通しを持って活動することができる。

(2)家庭学習による日記

今日一日の生活を振り返り、簡単な文章を書くことで、文字で自分の気持ちを表現できることの素晴しさを感じ、進んで表現しようとすることができる。

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新学習指導要領との対応

特別活動

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授業展開の基本的な考え方

一日の生活の見通しを持ったり、振り返ったりの活動をすることで、児童自身が自分を見つめ、自分の生活を高めていこうという気持ちを持つことができるとともに、表現力を高め、進んで表現することができるようにしていきたいと考えた。そのための一つの道具としてコンピュータが有効であると判断した。また、日常的に繰り返し取り組むことで、少しずつ自分を見つめる目や表現力が高まるのではないかと考えている。そこで、短時間ででき、かつ、毎日行う活動として、朝に時間割り確認をする活動と、一言日記をあわせて取り組むことにした。

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メディア活用の意義

上肢にマヒのある児童で、鉛筆と紙では文字を書くことに時間がかかったり、形を整えて書くことが難しかったりする場合でも、コンピュータを使用して文章表現等ができるようになることで、自由に思いを表現し、コミュニケーション能力の一つとして使いこなすことができる。また、肢体の不自由さから、出かけて行って実際にあうことが難しいと思われる場合でも、相手に気持ちを伝える道具として活用することができる。

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メディア利用環境

(1)使用機器

デスクトップ型コンピュータ 3台、ノート型コンピュータ 1台、プリンタ 1台

(2)補助入力装置等

特になし(2年生の1名には、マウス操作によるポインタの大きな移動が難しいため、タッチパネルも併用した。)

(3)使用ソフト

AppleWorks 6  Microsoft Word  Microsoft PowerPoint

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学習展開

指導計画
時期、期間 単元名 学習活動
通年(毎朝10分程度) 朝の時間割り確認 毎朝登校したら、今日の日にち、曜日、時間割りを掲示物を見て確認しながら、個々に自分の時間割りを入力し、今日の一言も書き添えて、印刷し、黒板に貼る。
通年(家庭学習) 家庭学習による日記 家庭での取り組み。
毎日、日にち、曜日、天気、気温、その日の出来事などを書いて、印刷し、ファイルに綴じて、翌日提出する。
年に数回(交流学級の国語の学習時間等) 作文(行事後や年度末) 見学旅行の感想文、読書感想文、一年を振り返っての作文、など、ワープロソフトを使用して作文する。
年に数回 お世話になった人へのお礼の手紙 学級で飼うことになったハムスターを譲って下さった方へお礼のお手紙、学級レクリエーションでカレーライスを作ってくれたお母さんや来てくれた先生方などへのお礼のお手紙、など、ワープロソフトを使用して書き印刷する。
総合的な学習の時間等の交流学級の学習時間 調べ学習のまとめ 総合的な学習の時間に調べた「カタツムリ」について、わかったことやみんなに教えてあげたいことをプレゼンテーションソフトを使用してまとめる。
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学習活動の実際、および学習者の反応

(1)時間割り確認、日記の基本設定

時間割りおよび日記の枠をあらかじめAppleWorks(富士通マシンはMSWord)で作成し、テンプレート(MSWordはひな形で保存)を用いて記入する。使用するコンピュータは個人別に3台を固定して割り当てた。自宅でも使用する4年生児童は家庭と同じMacintoshとし、環境に差違がないよう配慮した。本学級児童の実態から考え、ひらがな入力を使用した。デスクトップ上にエイリアスを置いておくことで、児童が自分でコンピュータ本体の電源を入れ、デスクトップ上の「4の3時間割り(日記)」をダブルクリックするだけで、時間割り(日記)の入力ができるように設定している。

はじめ(平成12年度)は、日にち、曜日、時間割りを入力することを主とし、ゆとりがある時に、下に一言を書かせる程度にとどめた。まず、文字を打つことに慣れること、自分で打つことで時間割りを確認し一日の学校生活の見通しを持つことを大事な学習とした。

操作になれ、時間割り確認がスムーズにできるようになってきたころから(平成13年度)は、「みんなに伝えたい今日の一言」にも、今日の楽しみなことや昨日家であったことなどを簡単に書くように指導した。

(2)日常的実践の中での操作能力の高まり

文字入力は、はじめはキーボードのどこにその文字があるかをさがすのに時間がかかっていたが、幼時間割りの入力では、出てくる文字が限られているので、毎日くり返す中で、覚え、操作が速くできるようになっていき、鉛筆で書くよりも速くなった。

濁音、促音や拗音、句読点などの入力の仕方も、繰り返しの中で身につけていくことができた。

アプリケーションの終了の仕方や、印刷の仕方なども、特別に指導はしていないが、毎日一緒にやっていく中で、いつの間にか覚えていた。現在は、自分一人で、日課としてコンピュータやプリンタの電源を入れ、印刷し、アプリケーションを終了させて、システムを終了させる等の一連の操作ができるようになった。

(3)児童の様子など(エピソード)

  • 時間割りの入力の中で「学活」というのがあるが、これは「学級活動」の短縮なので、ワープロで「がっかつ」と打っても正しく漢字に変換してくれない。「「学」は「がっ」と読むけど「がく」という漢字なんだよねー」などの言葉掛けをし、繰り返しているうちに、児童自身が、漢字はその字の違う読み方で入力してもよいということに気が付いた。ある木曜日、「「木」は「もく」と打つよりも「き」の方が速い」と言いながら曜日を入力していた。

  • 「図工」は2時間続きで行われることが多い。はじめは教えていなかったのだが、ある時、「じつは魔法のやり方があるよ」ということで、コピー&ペーストのやり方を見せると、次から自分でも使うようになっていた。はじめは範囲を選択せずにコピーしたつもりでうまくいかないこともあったが、2、3回で覚え、行事で一日中同じ時(例えば1時間目から5時間目まで運動会とか社会見学とか)や、今日の一言の部分に教科名を張り付けて書くなどするようになった。

  • 交流学級の仲間がはじめてコンピュータを使う場面で、漢字の変換、促音や拗音、句読点の打ち方がわからない友だちが隣の席で困っていた時、「こうするんだよ」と自ら進んで教えてあげていた。日頃、お世話される、教えてもらう側がどうしても多くなってしまいがちであるが、他者に教えてあげることができ、満足していたようである。

  • 言葉遊びや文字遊びが出てきた。同音異語の言葉をわざと違う漢字で書いてみたり、文末に遊びを入れたりして、「見て?」とわざと間違えた文を見せてから、消して書くなど、活動を楽しみながら書くことができている。

図2:時間割り確認と今日の一言の一例

図2:時間割り確認と今日の一言の一例

図3:家庭学習での日記の一例

図3:家庭学習での日記の一例

(4)応用場面での様子

  • 作文学習でも、ノート型コンピュータを使用した。鉛筆と作文用紙で筆記すると、どうしても時間がかかってしまい、文に表す前に忘れてしまい、何が書きたかったのか十分に表現しきれないままになってしまうことも多かったが、日常的に使用し、操作にも慣れているワープロソフトを使用することで、以前よりも長い作文を書くことができるようになった。また、誤字や脱字の点検も自分で確認でき、直すことができるので、自分できれいに文を修正できる点でも、児童自身が満足して取り組めたのではないかと考えている。

  • 総合的な学習の時間の調べ学習のまとめでは、プレゼンテーションソフトであるPowerPointを使用したが、次々と操作方法を覚え、学習してわかったことなどの入力をしていくことができた。(写真や図の取り込みについては教師の方で行った。)文字に色をつけるなどの操作もあっという間に自分のものとしていた。これは、この学習までに日常的にコンピュータに慣れ親しんでいたことの成果だと考えている。ソフトがかわっても、コンピュータが自分の表現したいことを他者に伝えるための表現手段の一つであるということにかわりがないことを理解していた結果ではないかと考えている。

図4:お礼のお手紙の一例

図4:お礼のお手紙の一例

図5:調べ学習のまとめの一例

図5:調べ学習のまとめの一例

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学習評価の方法とその結果

入力し終えたら、印刷して、提出させる。朝の時間割りについては黒板に掲示し、他の児童にも見てもらえるようにしている。日記も朝の取り組みもはじめの頃は大人が手伝ったり言葉掛けをしたりしているのに対し、現在は本人が一人で取り組んでいるため、印刷されたものだけを見比べると、一見以前より誤字脱字が目立つなど悪くなっているように見られるかもしれないが、そうではなく次への段階にいるととらえている。

時々「(自分が家で書いてきた日記を)読んで?」と言ったり、朝の今日の一言の部分を「(みんなに)紹介しないの?」と言ったりすることが出てきた。書かされているのではなく、書きたい、表現したい気持ちの現れであると見ている。

毎日印刷した用紙はファイルに綴じ込んでいき、家庭学習の日記は、書いた分だけスタンプを押したりシールを貼ったりしている。一学期間で2cm程度の厚みにもなる用紙とスタンプやシールが励みとなり、毎日続けて取り組むことができる。また、学期末には綴じ込んだものを返却するが、その際にいくつか過去に書いた文を紹介し、教師とともに、本人も、自分の学習や学校生活を振り返ることができる。

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授業の成果

●メディアリテラシーの高まり
文字を打つ能力だけでなく、コンピュータを使いこなす力全体を高めていくことができた。自分を表現する道具の一つとして、今後も有効活用していけるとよい。
●漢字や句読点の使い方などの習得
毎日使用する教科名、曜日や天気、「今日」「君」「楽」などの漢字や句読点の使い方についても毎日の中で自然に習得してきている。
●見通しを持ったり、振り返ったりすること
毎日の自分の生活について、ただ何となくではなく、文章表現することを通して、見通しを持ったり、振り返ったりして、自分の生活を高めていく気持ちを持つことができてきている。
●気持ちを表す表現力の高まり
事実のみの記述ではなく、「きもかった(気持ち悪かった)」「またやりたい」などの「楽しかった」「楽しくなかった」だけではない、気持ちを表す表現ができるようになりつつある。
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今後の課題

●文の内容(作文指導)
表現能力が高まってきたとは言え、十分とは言い難い。あまり考えずにパターン化した文を書くこともある。気持ちを表現することの便利さや楽しさが更に感じられる方法を今後考えていく必要がある。
●ネットワーク環境
現在教室に置いているコンピュータはどれもインターネットの接続はできていないが、今後ネットワーク環境を整え、メールで、離れた場所にいる人との文のやり取りができれば、コンピュータを使用してのコミュニケーションの方法が今以上に広がっていくのではないかと考えている。
●取り扱う時間帯
現在は朝の短学活の時間と、家庭学習での取り組みが中心である。日常的に、毎日少しずつ取り組むことで成果もあらわれているので、短期間で一気に成果のあらわれるものではないと考える。今後、どういった時間の中でどのような取り組みをしていくのか、新指導要領とも照らして検討していく必要がある。

これらのことを工夫しながら、学校教育を終えた後でも、社会とつながりを持ち、コミュニケーションしていけるための道具の一つとして、コンピュータが活用できる力を身に付けさせていきたい。


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