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本文 CHARGEシンドローム

重複障害教育研究部 重複障害教育第一研究室

CHARGEシンドロームについて

菅井裕行(重複障害教育研究部)

*以下に掲載する文章は、私たちの研究室主催による「盲ろう教育実践」に関するワークショップ(2001年2月実施)において配布した資料の一部です。

 チャージ症候群は、以下に示すようないくつかの病気(主症状)が複合した状態をいいます。それぞれの病気について名前の頭文字を並べてCHARGE(チャージ)といいます。
C・・・Coloboma(コロボーマ)(瞳と網膜に関して)
C・・・Cranial nerve problems (脳神経の異常)ー顔面麻痺、燕下障害
H・・・Heart malformations 心臓奇形
A・・・Atresia of the nasal choanae (鼻腔の異常)
R・・・Retardation of growth and/or develpment 発達や成長の遅れ
G・・・Genitourinary anomalies 泌尿生殖器の奇形
男・・・小陰茎、停留睾丸
女・・・小陰唇 尿路奇形
E・・・Ear anomalies(特徴的な耳)−蝸牛、アブミ骨の不全、伝音性および感音性難聴

 また副症状として次のようなことが言われています。
・ 気管食道_
・ 食道閉鎖
・ 成長障害
・ DiGeorge症候群

 顔と耳の形に特徴的な様相があるといわれていますが、様々な症状の組み合わせであることから、類似した症状を示す遺伝子病もあって診断には慎重を要するようです。

特徴

コロボーマ
網膜や視神経のコロボーマは、重篤な視覚障害を引き起こし、特に視野の上半分の欠損を引き起こすことがあります。視力も障害され、近視や遠視になりがちです。手術は目のコロボーマを直すことは出来ませんが、眼鏡は視力補正を助けます。チャージのある子どもはしばしば光に非常に敏感です(まぶしさ)。多くの子どもにおいては、室内であってもサングラスがあると快適です。

脳神経障害
チャージのある子どもの40%は、顔面神経麻痺を伴っており、少なくとも30%は嚥下障害を伴っています。顔面神経のある子どもは、感音性難聴を伴いがちです。嚥下障害は数年続きますが、大抵は7歳から8歳までに解決するようです。80%のチャージの子どもは心臓障害を持って生まれます。多くの場合は、程度は軽いのですが、何らかの治療や場合によっては手術が必要です。チャージに見られる複雑な心臓障害(ファロー四徴など)の中には生命に危険を及ぼす場合もあります。

鼻腔の異常
鼻腔は、鼻の後ろからのどへの息が通る通路です。チャージのある子どもの場合、この通路が塞がれていたり、狭くなっていたりします。外科的手術はしばしば有効です。多重な手術が必要な場合もあります。

成長の遅れと育ち
大抵のチャージの子どもは誕生時には平均的な大きさで生まれてきますが、多くの場合、栄養障害や心臓障害や成長ホルモン障害のために小さな体つきになりがちです。けれども数年の後に医療的な問題が解決し、摂食の問題が解決することもあります。
チャージの子どもは多くの場合、発達的に遅れを示すことがあります。しばしば、それは感覚障害による場合があり、あるいは幼児期の病院生活のせいである場合もあります。また、なかには知的な障害をもつ場合もあり、それは脳障害を伴ったり伴わなかったりします。

生殖器および泌尿器の障害
チャージの男の子の多くが小陰茎で、なかには停留睾丸の場合があります。女の子では小陰唇の場合があります。また、男女ともに思春期にいたる前にホルモン療法を受ける必要がある人もいます。また腎臓や泌尿器管の障害、特に逆流などの問題をもつ人もいます。

耳・聴機能の障害
多くのチャージの子どもは、外耳(耳輪)の奇形を伴います。また柔らかな軟骨のために耳全体がやわい状態になっていることもあります。チャージの子どもの80−85%は聴覚障害をもっており、障害の程度は軽度の場合から高度まで幅があります。しかしその程度に関する聴能評価は併せ持つ様々な他の障害ゆえに難しい場合が多く、また聴覚検査が困難である場合も少なくありません。多くのチャージの子どもがバランスの障害をもっています。

* 引用・参考:アメリカ チャージ症候群協会のパンフレットより

チャージの子どもの発達に関して

見かけの遅れについて
多くのチャージの子どもは知的な発達の遅れを有しているといわれていますが、これは必ずしも正確ではありません。なぜなら、様々な障害を併せ持つことによって発達の遅れが生じていて、そのために見かけ上知的な障害をもっているかのように見えることがあるからです。このことについて、アメリカの研究者(Sandra L.H. Davenport)は、次のような要因をあげています。
1) 生まれつきの前庭機能(内耳のバランス感覚に関係する部分)の欠如や障害のために這い這いや歩行がどこか不自然に見えることがある。
2) 筋の低緊張(しばしば上半身でそれが見られる)のため、幼児期に這い這いの姿勢をとることや立位をとることに困難が生じやすい。
3) 視覚に障害があるために、少し離れた場所にむけて頭をあげて探索することについての動機づけがなされにくい。
4) 複雑な聴覚障害が言語発達を遅らせる。
5) 顔面神経の麻痺が、たとえそれが片側であっても、表情に乏しい顔や応答性の悪い顔をもたらしやすい。
6) ときに重篤な、あるいは慢性的な医学上の問題。
7) 感覚重複障害について知識の乏しい検査者によって心理評価をされるために、評価の信頼性に問題が生じやすい。
といったようなことです。


 また、その他の問題として次のようなことも挙げられています。
乳幼児期に長期にわたって病院生活を送ることの影響。これらの子どもにときとして発達の遅れがみられたりします。
バランス感覚に障害をもつことが多く、そのことはボディ・イメージの形成に問題を引き起こしがちです。とくに四つ這いの姿勢をとることが難しかったりします。そのため寝返りや腕による這い這い、背這いなどの姿勢をとる場合があります。ある調査では、チャージの子どもの始歩年齢の平均は3−4歳とも言われているようです。またバランス感覚の欠如があると、過度の回転やめまいの活動を嗜好することがあるようです。
視覚の障害、とくに視野に関係するそれはものの見方に影響を及ぼします(首を傾けて見たり)。さらに聴覚の障害を併せ持ってコミュニケーションに問題があったり、顔面神経の麻痺があったりすると、一見自閉的傾向とも思えるような行動を見せることもあります。したがって、保有視覚野をただしく評価して、その範囲内でものを見せたり視覚的なコミュニケーション(手話を示す場合も)をするよう心がけることも大事になります。
聴覚に関しては中耳炎を起こしやすいために、正確な聴力評価が出来にくくなることがよくあるので、チューブなどを使う場合はそれらが適切に処置された後に評価をすることが必要です。また外耳(耳輪部分)がやわらかいために、補聴器の装用が難しい子どももいます。
視覚と聴覚の二重障害の場合、例えば視覚障害専門機関ではそれ以外の感覚障害についての有益なアドバイスがもらえないなどの不便があるので、盲ろうに関する専門機関へ相談することが必要な場合があります。様々な心理評価についても、同じことが言えます。

このような問題にくわえて重要なこととして次のようなことがいわれています。
「まず、大事なことは有効なコミュニケーション・システムを作り出すことです。なぜなら、学習においても認知的な機能の評価においてもコミュニケーションが鍵になるからです。」
将来の状態については、様々な要因が関係するだけに簡単には予測がつきませんが、育てていく過程において、同じような状態のチャージの子どもを育てた経験のあるほかの人と情報交換することは有益です。そのようなネットワークに加わることも薦められています。


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