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本文 調査3.13-15

重複障害教育研究部 重複障害教育第一研究室

平成11年度 視覚聴覚二重障害を有する児童・生徒の実態調査報告書

3.全体の調査結果と考察 (続き)

13)担当者について
 視覚聴覚二重障害を有する幼児・児童・生徒を担当するに際し、一人の視覚聴覚二重障害者を何人の担当者が受け持つのかについて、選択方式で質問した。
 機関ごとに分けて整理した結果は表13に示すとおりであった。

表13. 担当者の担当のあり方

 全体を通してみると、「特定の担当者はいるがそれ以外の教師も係わる」が208件で最も多く60%を占めている。次いで「基本的に一人に固定」が84件(24%)、「担当者が数人いて、その人数だけが係わる」が46件(13%)であった。「その他」が10件あり、内容としては、教員全員で係わる、特定の担当者は配置していない。という記述があった。
 この結果から、一人の視覚聴覚二重障害者には特定の担当者が一人ついている場合が多く、担当を一人に特定化しない場合は全体の16%程度であることがわかった。
 また、機関別にみると、病弱養護学校を除いたすべての機関で、「特定の担当者はいるがそれ以外の教師も係わる」が多く、各機関ごとの回答数に占める割合では50%をこえている。一方、病弱養護学校では、「基本的に一人に固定」が43.6%でこの項目が各機関の合計に占める割合においては最も高い比率であった。盲学校、聾学校、知的障害養護学校、施設では、「特定の担当者はいるがそれ以外の教師も係わる」の件数が、「基本的に一人に固定」の件数の倍以上であった。
 次に主たる担当者の担当年数について質問したところ、回答は初めて担当(担当年数0年)から15年の幅があった。結果は図8に示したとおりである。

図8

 これによると、初めて担当した(担当年数0年)場合が139件と最も多く、全体の41.7%であった。上位3項目をみると、0年,1年,2年の順に並んでおり、2年以内の担当という場合だけで、全体の89.1%を占めている。このことから、3年以上の長い年月を担当する場合は少なく、ほとんどが1年から2年の担当年月であることが示された。
 また、担当者に現在の担当以前に重複障害児の教育の経験があるかどうかを質問した。  289人の回答があり、経験がない(経験年数0年)と回答した人数は58人(20.0%)、経験年数1年が30人(10.4%)、2年が32人(11.1%)となっており、担当者の40%が経験年数2年以下となっている。経験者の経験年数は0.1年から29年と幅が広かった。
 経験者の数をみると肢体不自由養護学校が50人と最も多く、盲学校46人、知的障害養護学校45人、聾学校34人、病弱養護学校24人、併置養護学校18人、施設7人の順であった。
 現在担当している視覚聴覚二重障害児・者以外に、他の視覚聴覚二重障害児・者に出会った経験があるかどうかについて質問した。結果は表14および図9に示したとおりである。
 335人の回答があり、出会ったことがある人が181人(54%)、ない人が154人(46%)であった。機関別にみると、盲学校が47人と最も多く、聾学校23人、知的障害養護学校26人、肢体不自由養護学校27人、病弱養護学校27人と、ほぼ似通った人数であり、併置養護学校13人、施設が18人であった。対象者を担当する教師のほぼ半数以上が過去に視覚聴覚二重障害者に出会った経験があることが示された。

表14. 担当者の視覚聴覚二重障害児との出会いの経験

14)研修の必要性と研修の場について
 担当するにあたって、対象者が利用するコミュニケーション方法の研修を受けたことがあるかどうかについて質問した。結果は表15および図10に示したとおりである。339人の回答があり、研修を受けたと回答した人が61人、受けていないと回答した人が256人、その他が22人であった。研修を受けた経験のある教師は、全体の約18%であった。機関別にみると、聾学校が16人と最も多く、次に肢体不自由養護学校14人、盲学校10人で、それ以外は5〜6人であった。
 視覚聴覚二重障害の教育に関する研修について、担当者自身が受けることの必要性について、必要性の有無について選択式で、その理由について自由記述式で質問した。
 必要性を感じていると回答したのは311人で、全体の91.4%、一方、必要性を感じていないと回答した人は29人で、8.5%であった。無記入が13人あった。自由記述に関しては、次のような回答例があった。

表15. コミュニケーションに関する研修経験(人)

(1)必要性を感じている:理由
(1-1) 係わり方・子どもの理解(69)
・生徒をより理解し、援助するために知識や技能を高めたいから
・子どもが受け取りやすい、もっと関わりたいと感じることのできるような、様々な感覚に働きかける関わりが必要だと思うが、それには教師自身の子どもをみる目が確かでなければならないと思うので
・実際にどのように接していくか、いろいろな方法を学びたい。また注意する点も学びたい
・子どもとやりとりする上でどんなアプローチがあるのか知りたい
・日常生活のなかで配慮しなければいけないこと、また特に意図的にしなければいけないこと等が何か
・ 行動を理解する上で、見えの具合、聞こえの具合、知的な遅れの影響の有無についての把握の仕方

(1-2) コミュニケーションについて(65)
・コミュニケーションをさらに拡げていくための方法を学びたい。この先どのような方向に学習を進めていけばよいか、参考になることがあったらぜひ教えて頂きたい
・子どもとかかわるチャンネルを拡げたい
・係わり手と子どもがお互いに気持ちを通じ合わせるにはどうしたら良いか、という点でいつも立ち止まってしまうので、コミュニケーション手段等の研修を受けたい
・コミュニケーション手段をより明確なものにし、対象児との意思の疎通をはかりたい
・ コミュニケーションの取り方、指導方法など高い専門性が求められる

(1-3) 個別への対応について(13)
・話し方や本人の精神的プレッシャーなど知る必要がある
・担当している子どもの可能性の拡大のため
・ 個別の指導計画を作成する必要があるので

(1-4) 教材・教具、補助具、機器について(17)
・補助具の仕組み、使用方法、効果的な使い方を知りたい。授業の進め方など、みんなで話し合う場がほしい
・色々な機器の進歩等知る必要がある
・ 本人の力を伸ばしていくために教材・教具または補助具等を工夫することが必要で、もっと見え方、聞こえ方についても把握する必要がある

(1-5) 聴覚障害について(8)
・盲学校なので視覚に関するデータは得られやすいが、聴覚に関する(補聴器、聴力管理)知識が必要である
・盲学校にきて1年目なので、まず目の障害について知ること、さらにそれぞれの障害について、よく知り、教育していくため
・盲学校なので、聴覚障害に対する知識や補助具についての知識を得るための研修が必要
・ 聴覚障害についてほとんど知識がなく、現在の職場にもほとんど専門家がいない。日常生活の場面でも困惑することがある

(1-6) 視覚障害について(11)
・自分(担当者)が目と耳の両方に障害のある子どもに関わるのがはじめてだから。いぜん聾学校に勤めていて多少聴覚障害者への対応はわかるが、視覚活用が十分できない場合にどうしたらよいか
・目の健康や視力の維持について、生徒に指導できる基礎的な事柄について捉える必要があるから
・ 日常家庭で配慮することや、視覚障害に対する専門的アプローチの仕方などについて具体的な指導が十分できない

(1-7) 重複障害について(18)
・重複障害があるということがどんなことかイメージをもつこと。子どもとの関係をつくる上でどんな方法が在るのか知っていれば、担当する側に少し余裕ができる(受けとめてあげる)のではないか
・担当する子どもが重度・重複化しているため指導者の専門性を高め、資質向上を図ることが必要だと思う
・ 盲聾の研修よりも、超重症児の教育に関する研修を受けたい。講義よりも現場で指導を受けて一緒に考えていきたい

(1-8) 盲聾障害の独自性について(7)
・あるモノや事柄について、どのように興味をもってもらうか、目と耳の両方、障害のある子どもに伝えることの難しさを感じているため
・視覚だけの障害、聴覚だけの障害と分けて考えられないこともあり、また、ケースが少ないため研修の機会が少ない
目と耳の両方に障害がある子どもでも、その状況により他のケースがあまり参考にならないように思う
・単一障害と重複の指導方法がかなり異なるため
・目と耳の両方に障害を持つ子供の現状や、指導方法等
・子どもの実態がつかみにくい
・ 盲ろう児の基本的な障害の特性に関して

(1-9) 専門性の向上について(15)
・盲聾児における教育の内容については専門的知識および観点が必要と思われる。先行事例も少ないので対象児に対して系統的にコミュニケーションを土台にした指導をしていきたい。担当者自身の障害の状況がわかり、状況に応じた適切な指導内容を提供するために研修の場が設けられることを望む
・基礎的な専門的な知識をもって指導にあたりたいと考えるから。優れた実践を見て勉強したい
・目と耳の両方に障害のある子どもの教育についての資料はとても少なく、参考にできるものも少ないので
・ 聴覚障害のみならず視覚障害があると、子どもの好むおもちゃ・教材の工夫からはじまり食事の指導にいたるまで、細かいステップをふんで指導をしていく必要性を感じているので

(1-10) 他の実践について(8)
・コミュニケーション手段や信頼関係をさらに発展させていくためには、たくさんの事例や経験者の話を聞いて学習する必要性はある
・同じ障害を持った子どもがいないため、情報が必要。また研修の機会もない
・ 校内には対象児のようなタイプの子が少ないので、指導について相談する相手や場がないため

(1-11) 授業づくり・指導計画について(8)
・現状況から判断してより必要と思われることを日々の活動の中に取り入れ行っているが、日々本児の状況が好転していく様子をみていると、逆にもっと専門的にあるいは段階的に必要なことを積み残したり、判断ミスがあるのではないかと不安になったりあせりを感じる。専門家からのプログラム等や教育内容をチェックする力等、自分自身を向上させるために必要
・授業全般において行き詰まっている。目と耳、どちらもはっきり機能していないと診断されているわけではないが、どちらにはたらきかけても反応がないので何か効果的な方法があれば勉強したい
・目と耳だけでなく中枢神経系にも障害があるため、すべての感覚がどれくらい使えているのかわからない。また、学習時に反応がほとんどないため、どんな授業を作ればよいかわからない。有効な授業内容の参考になる情報を知りたい
・ 指導方法、内容等について難しい面があるため

(1-12) その他(21)
・進行性疾患のため残存機能の活用に終始することが現実。目と耳と知的障害(軽度)を伴う場合の将来を見通した指導に不安を感じている
・目と耳の障害というより、超重症の生命維持ぎりぎりで生きている生徒である。こういった児童への対応について

(2)必要性を感じていない:理由
・職業教育段階では、本人が何らかの手段を得た上で入学させるので、専門的・高度な研修は必要ない
・具体的な指導方法はもちろん、生きる力や目的等に話が言及されると指導に限界を感じ、勉強の必要性を思う
・話し言葉でのコミュニケーションが可能、その他のかかわり方にしても特に必要性を感じていない
・日常生活・学習指導で不自由を感じるほどではない
・コミュニケーションに不自由を感じない
・様々な研修を受け勉強する必要はあるが、この生徒については現在は必要性を感じていない
・対象者は知的な遅れのため視覚、聴覚の統合がなされておらず、見えているかどうか測定不能である。目と耳の障害というより重度重複障害児についての研修が必要だと思う
・基本的なつながりは持てるし、コミュニケーションに不都合はないと感じているので
・重複障害児は一人一人障害が多種多様なので、研修を受けたところでどうなるものでもないのが実感
・重複の度合いなど、子どもによってかなりの違いがあり、一般的な研修に意味があるとは思えないから
・肢体不自由でもあり、視力よりも、身体の緊張をとり、音楽等を楽しむことに主眼をおいているため、現在とくに必要を感じない
・ 目と耳の障害に限定した研修では対象児の実態にそぐわない

(3)また希望する研修内容について質問した。
 「目と耳の両方に障害のある子どもの教育を実践している学校や施設の見学」が97件で最も多く、次が「コミュニケーション手段の研修」で95件であった。
 「対象者に必要な教材・教具・補助器具の研修」「専門家などに学校や施設に来てもらい教育の問題を一緒に考え対応する」といったより個々の対象者に焦点をあてた研修が強く求められており、「専門家などの講義」「専門機関で研修を受ける」「他の目と耳の両方に障害のある人にあって話しをきく」などの項目よりも人数が多かった。
 「その他」の項目では次のような記述があった。
・ 担当者の感情や欲望をコントロールする研修
・ 指導場面を通した実践的な指導
・ それぞれの事例についての資料をもちより専門家と共同で取り組む研修
・ 保護者の話しを聞く研修
・ 重度の知的障害を伴う場合の研修
・ 摂食指導
・ 心理カウンセリング
・ 視覚聴覚二重障害の疑似体験研修

15)連携について
(1)経験者の存在について 
 過去に視覚聴覚二重障害教育を経験した指導者(教師)が同じ職場にいるかどうかについて質問した。103件の回答があり、「いる」と回答があったのはすべて盲学校で72件、「いない」は11件、不明もしくは無記入が20件であった。結果は図11に示すとおりである。これによれば、経験者は盲学校に集中しており、現担当者と連絡を取り合っている可能性があるのは、盲学校に限られている。

図11

(2)他機関との連携について
 対象者の療育・教育等についてこれまで連絡をとった機関および現在も継続して連携をとっている機関について質問した。結果は表16に示したとおりである。

表16. 連携機関(複数回答)

表16からわかるように、ほぼ同じ傾向があるが、継続して連携している機関について「なし」という回答が289件ある。その他付加的な情報として、教育機関以外に、種々の医療機関・リハビリテーションセンター等と連絡を取っているという記述が多数あった。

(3)サポートについて
 学校や施設の場以外で対象者やその家族へのサポートについて現在行われていることについて質問した。回答数は91であった。これらを以下のように分類できた。
1. ボランティア・・・・・・10件
2. 当事者による団体・・・・23件
3. 教育・福祉・医療関係者・35件
4. 地域のサービス・・・・・23件

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