発達障害のある子どもも共に学び育つ通常の学級での授業・集団づくり
~協同学習(学び合い)の実践から~


 涌井 恵 (教育情報部 主任研究員)
 

 発達障害のある子どもが共に学ぶ通常の学級における学級経営や授業づくりは、学校現場の喫緊の課題の一つとなっています。学習における困難だけでなく、友達との対人関係でトラブルに心を痛めている発達障害のある子ども、また、学級経営に苦戦している学級担任も少なくありません。

 この連載(全6回)では、このような課題の解決の一つのヒントとして、子どもたちの学力、社会性、仲間関係の改善や向上に効果があると指摘されている「協同学習(cooperative learning)」(学校現場では、「学び合い」と表現されることも多いようです)による授業づくり、集団づくりの解説や実践例を紹介していきます。

 近年、通常の学級におけるユニバーサルデザインが注目されています。これは、特別な支援が必要な子どもだけでなく、どの子どもにも過ごしやすく学びやすい学校生活・授業を目指すことを意味します。「協同学習」には一人一人の学び方の多様性に柔軟に対応できる学習技法であるという利点があるので、ユ二バーサルデザインな学習技法ともいえます。海外では、障害のある子どもが同じクラスの仲間として、障害のない子どもと同じ教室で学ぶというインクルーシブ教育場面においても、よく活用されています。日本での実践はまだこれから、という段階ですが、通常の学級の中で活用できそうな、学び方の多様性に対応した教材例等の紹介もしていきたいと考えています。

以下は、これまでの連載記事と今後の連載スケジュール(予定)です。