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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第82号(平成26年1月号)
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■目次
【新年のご挨拶】
【お知らせ】研究活動についての意見募集について
【お知らせ】第36回全国特別支援教育振興協議会の開催について(終了報告)
【お知らせ】平成25年12月7日の世界自閉症啓発デー2013 in 横須賀の開催
について(終了報告)
【お知らせ】平成25年度「辻村賞」授賞式・記念講演会の開催について
(終了報告)
【NISEトピックス】諸外国の特別支援教育の動向について
【海外情報の紹介】海外スヌーズレン関連施設の視察と情報収集について
【特別支援教育関連情報】キャリア発達支援研究会第1回大会のお知らせ
【研修員だより】   
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】新年のご挨拶
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 皆様、新年明けましておめでとうございます。本メールマガジンをいつも
ご愛読いただき、誠にありがとうございます。
 昨年末には、政府の独立行政法人改革の方針がまとめられています。その
とりまとめに当たっての議論の中で、多くの方から特別支援教育の重要性、
本研究所の機能強化のご意見をいただきました。
 新しい年を迎え、思いも新たに本研究所の将来像を描き、機能強化を図る
べく、所員の知恵を結集し、本研究所が我が国の特別支援教育の充実・発展
に寄与できるよう、努めて参りたいと考えています。
 まず、昨年から開始したインクルーシブ教育システム構築のための合理的
配慮に係るデータベースの作成と発信が挙げられます。
 次に、平成26年度の予算案に計上されています、教材・教具に係るポータ
ルサイトの作成が挙げられます。
 本研究所が、各都道府県の特別支援教育センター等とのネットワークを形
成し、行政や学校等に役立つ情報等の提供を行えるようにしていきたいと考
えています。
 本研究所の特色である、行政施策や学校等の喫緊の課題に対応した研究活
動を基に、それを活用した研修事業や情報普及活動等を進めていくことで、
我が国の特別支援教育に関わるナショナルセンターとしての役割を果たして
いく所存です。
 今年も、このメールマガジン等を通して、特別支援教育に関する最新の情
報や研究所の動向をお伝えしていけるよう、更なる内容の充実を図っていき
たいと考えておりますので、忌憚のないご意見やご感想をお寄せいただけれ
ば幸いです。
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

               独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
                      理事長 宍戸 和成

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【2】お知らせ
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●研究活動についての意見募集について
 研究課題の精選・採択や研究計画・内容の改善を図るため、「平成26年度
専門研究課題(案)」及び「平成26年度に継続する専門研究の研究課題」に
ついて、また、研究計画の事後評価を通じた研究の質の向上のため、「平成
24年度に終了した研究課題(研究成果報告書サマリー集、研究成果報告書)」
について、ご意見を募集します。具体的には1月中旬から2月上旬の間、研
究所Webサイト等にて実施する予定ですので、ご協力お願いいたします。
 なお、お寄せいただいたご意見については、個人が特定できない形で公開
させていただく可能性がありますので、その旨ご了承願います。

 ○意見募集URL(1月中旬から掲載します。)
  https://www.nise.go.jp/cms/6,0,26,224.html

●第36回全国特別支援教育振興協議会の開催について(終了報告)
 12月6日(金)午前に開催された全国特別支援教育推進連盟の結成50年記
念式典に引き続き、同日午後及び7日(土)に、国立オリンピック記念青少
年総合センターにおいて、全国特別支援教育推進連盟、文部科学省及び本研
究所の共催による第36回全国特別支援教育振興協議会が開催されました。
 今年度は、2日間にわたり開催され、第1部を全国特別支援教育推進連盟
加盟団体による意見発表「特別支援教育における新たな展開について」、第
2部を小・中学校及び特別支援学校のPTAによる情報交換及び協議「共生社
会の実現に向けたPTA活動について」、第3部を幼稚園、小学校、中学校、
特別支援学校のコーディネーターによる実践報告及び協議「特別支援教育コ
ーディネーターの役割と関係機関等との連携の在り方」を主題とし、取組状
況の発表と活発な協議等が行われました。

 ○全国特別支援教育推進連盟のホームページはこちら→
  http://homepage3.nifty.com/suishinrenmei/index.html

●平成25年12月7日の世界自閉症啓発デー2013 in 横須賀の開催について
(終了報告)
 今年で4回目となる世界自閉症啓発デー2013 in 横須賀は、今年は横須賀
市が後援する「障害者週間キャンペーンYOKOSUKA」の一環として、自閉症の
理解啓発を目的に、「自閉症の世界を知ろうよ ~ちいさな つながりをひ
ろげよう~」のテーマで、12月7日(土)に横須賀市総合福祉会館を会場と
して開催しました。
 当日は、横須賀市立横須賀総合高校から12名の高校生ボランティアの参加
があり、若々しい「こんにちは」の声とともに参加者を迎えることができま
した。参加者は全部で160名。小さなお子さん連れの方から年配の方まで、
多くの市民の方々が参加してくださいました。最後の当事者からのメッセー
ジまで充実した内容で、参加者は熱心に耳を傾けていました。

●平成25年度「辻村賞」授賞式・記念講演会の開催について(終了報告)
 「辻村賞」は、本研究所の初代所長であるとともに、我が国の特別支援教
育の第一人者として、その振興・発展のために尽力された故辻村泰男先生の
ご遺徳を永く記念するため、特別支援教育の領域において、特に顕著な功績
のあった方や、特に優秀な研究を行った方に対し、授与するものです。
 これまで「辻村賞」は、障害児教育財団において長年実施されておりまし
たが、財団の解散に伴い、特別支援教育の振興に資するものとして、「辻村
賞」を今年度から国立特別支援教育総合研究所において実施することとしま
した。
 平成25年度「辻村賞」は、11月に開催された選考委員会において、宮﨑英
憲様(東洋大学名誉教授(参与))の受賞が決定され、12月11日(水)に本
研究所にて、授賞式及び記念講演会を開催しました。
 記念講演会では、「共生社会の形成に向けた特別支援教育の推進~インク
ルーシブ教育システム構築に向けた特別支援教育の充実~」と題したプレゼ
ンテーションによるご講演をいただき、所員にとって大変貴重な機会となり
ました。

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【3】NISEトピックス
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●諸外国の特別支援教育の動向について
                      企画部国際調査・交流担当

 本研究所では、アメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ、フランス、オー
ストラリア、アジア(中国・韓国)、北欧(ノルウェー・フィンランド・ス
ウェーデン)の国別調査班を編成し、それぞれの国の基礎的な情報を収集し
ています。また、イギリス、イタリア、ドイツ、韓国、ノルウェーについて
は、当該国に在住し、日本の特別支援教育についての知識を有する方に外国
調査研究協力員を委嘱しています。
 このようにして収集した情報は、毎年3月に刊行予定の『国立特別支援教
育総合研究所ジャーナル』の中で、「諸外国における障害のある子どもの教
育」として掲載しています。また、昨年11月に開設された『インクルーシブ
教育システム構築支援データベース』の中でも、「諸外国における障害のあ
る子供の教育に関する情報」として情報提供を行っています。是非、下記の
Webサイトをご覧ください。

 ○国立特別支援教育総合研究所ジャーナル第2号はこちら→
  https://www.nise.go.jp/cms/7,8001,32,133.html
  ※なお、本年3月には新しい情報が提供されます。

 ○インクルーシブ教育システム構築支援データベースの「諸外国における
  障害のある子供の教育に関する情報」はこちら→
  http://inclusive.nise.go.jp/?page_id=86

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【4】海外情報の紹介
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●海外スヌーズレン関連施設の視察と情報収集について
             大崎 博史(教育研修・事業部 主任研究員)

 10月19日(土)~28日(月)、デンマークとオランダにある、Snoezelen
(以下、スヌーズレン)関連施設を視察してきました。
 スヌーズレンとは、オランダ語で「鼻でクンクンにおいをかぐ」という意
味のSnuffelen(スヌッフレン)と「ウトウト居眠りをする」という意味の
Doezelen(ドースレン)を組み合わせた造語に由来しています。特に、障害
のある人が、視覚、聴覚、触覚、嗅覚等の感覚を活用し、心地よい環境の中
で自由に探索活動を行える環境づくりを進めることがスヌーズレンの基本的
な理念です。  
 スヌーズレンの始まりは、オランダの知的障害者のための施設の職員であ
ったAd Verheul(アド・フェアフール)氏とJan Hulsegge(ヤン・フルゼッ
ヘ)氏が、1978年にその施設を利用する人々のための活動場所として、様々
な感覚に働きかける「The activities tent 1978(活動小屋1978)」を建て
たことから始まっています。
 さて、今回の視察では、スヌーズレンの創始者であるフェアフール氏にお
会いし、直接お話を伺うことができました。1970年代のオランダの知的障害
者のための施設では、そこに入所している人たちに対して、医療的な対応と
食事や排泄等の基本的な介助しかなされていなかったそうです。その人たち
は、いつもベッドに寝かされていて、自由な活動もほとんどできない状態だ
ったそうです。そこで、「一人の人間の生き方として、本当にこれで良いの
か」と疑問を持ったフェアフール氏らが、日中にその人たちが楽しんで活動
できる、レクリエーションの場所を設置したそうです。それが、世界初のス
ヌーズレン・ルームである「活動小屋1978」です。現在は、スヌーズレン施
設である「ハルテンベルグセンター」が設置され、ボールプール・ルーム、
ホワイト・ルーム(視覚の部屋)、振動する床を備えた聴覚の部屋など、様
々な感覚に働きかけるスヌーズレン・ルームが設置されています。また、廊
下の壁等にも、触ったりにおいを嗅いだりできる、ワクワクするような様々
な物が設置されています。実際に障害のある方も多数、その人のペースに合
わせてこの施設を利用している様子がうかがえました。その他にも、オラン
ダでは、スヌーズレンに関連する機材等を制作している会社や、スヌーズレ
ン・ルームが設置されている特別支援学校(重度・重複障害)も訪問し、実
際の授業等で児童生徒が利用している様子を視察しました。
 次に、デンマークでは、現在、国際スヌーズレン-MSE(多重感覚環境)協
会会長のMaurits Eijgendaal(モーリッツ・エージェンダール)氏にお話を
伺うとともに、デンマークのスヌーズレン・センターである「Guldhornet(ゴ
ールド・ホルン)」を視察しました。バイキングの象徴である角笛のような
形の建物の中には、最新のスヌーズレン関連の機器等が設置されていて、人
間の様々な感覚に働きかけるような複数の部屋があり、ここでも障害のある
方が日中の活動を楽しむ様子が見られました。その他にも、特別支援学校(
知的障害)や特別支援学級を視察したり、18歳以上を対象とした障害のある
方とない方が共に学ぶ学校である、Egmont Højskolen(エグモント・ホイス
コーレン)の休暇村に宿泊し、そこに留学している13人の日本人の学生とも
交流を深めたりすることができました。
 今回の視察で、スヌーズレンの理念の源流をあらためて知ることができ、
また、一方では、最新のスヌーズレンの事情や教育におけるスヌーズレンの
活用についての知見を深めることができました。日本においても、スヌーズ
レン・ルームを設置している特別支援学校がいくつかあります。今後はこの
視察で得た知見を教育現場に還元できたらと思います。
 今回、このような有意義な視察ができたことについては、昨年度の本研究
所の特別支援教育専門研修員で、京都府立聾学校を休職されて、現在オラン
ダに家族で赴任されている井上乙弁先生をはじめ、たくさんの方が支援して
下さったおかげによるものです。あらためて、皆様に感謝とお礼を申し上げ
ます。

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【5】特別支援教育関連情報
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●キャリア発達支援研究会第1回大会のお知らせ
 キャリア教育は、一人一人の社会的・職業的自立に向けてキャリア発達を
促す教育です。どの子どもも、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分
らしい生き方を実現していく過程を通してキャリア発達をしていきます
 本大会では、キャリア発達を支援することの基本的な理解を深め、その意
義を学ぶための講演会と、全国各地のキャリア教育の現状や課題に関する情
報交換、及びキャリア教育推進に向けた取り組みの充実を促す協議等を実施
します。関心のある方は、ご参加いただきますよう、よろしくお願いいたし
ます。

 ◇日時:平成26年2月8日(土)10:00~17:10
     平成26年2月9日(日) 9:00~12:10の2日間
 ◇会場:国立特別支援教育総合研究所 研修棟講堂
    (神奈川県横須賀市野比5-1-1)
 ◇主催:キャリア発達支援研究会(会長:尾崎祐三)
 ◇定員120名(定員で締切)
 ◇参加費:3,000円

 ※申し込み期間は1月15日(水)まで
 ○詳しい内容はこちら(ジアース教育新社)
  http://www.kyoikushinsha.co.jp/seminar/career/index.html

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【6】研修員だより
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 今号は、平成22年度第二期特別支援教育専門研修を修了された増田知洋先
生からお寄せいただきました。

「研修の成果を日々の仕事で実感する」
               増田 知洋(東京都立江東特別支援学校)

 10月になっても、半袖でちょうどいい日が続いた暑い年だったことを記憶
しております。特別支援教育と出会い、教員になって8年目にこの研修の機
会をいただきました。この研修は、専門性が高くまさに今聞きたい最新のお
話ばかりという贅沢な毎日で、とても刺激的であり、これからの私の人生に
おいて大きな起点になったことは間違いありませんでした。しかし、研修中
は内容ばかりが膨れあがっていき、それを整理し今後にどういかせていける
かを考えるのに追われる毎日でした。
 研修を終えて現場に戻り、子どもたちと直接関わっていく中で、次第に今
やるべきことを整理することができるようになっていったと思っています。
研修で得ることができた知識を、実践に結びつけられるように意識すること
で、日々の教育活動に厚みを生むことができているな、という手応えを少し
ずつ感じられるようになりました。手応えを感じるためにはやはり子どもの
成長を確認することが一番です。
 子どもたちの成長を確認するためには、実態把握から指導の計画、実践と
評価見直しまで、それぞれ具体的な計画が大事だと考えています。具体的な
計画を立てるためには、やはり専門性が大切です。その専門性を向上させる
ためには、知識を得る努力を怠ることはできません。この研修では、高い知
識を得られるだけでなく、今後どのようにして、最新の情報や知識を獲得し
ていけばよいのか、ということも学ぶことができました。
 これからも、子どもたちのために努力を惜しむことなく、前に進んでいき
たいと思っています。

 ○東京都立江東特別支援学校のWebサイトはこちら→
  http://www.koto-sh.metro.tokyo.jp/cms/html/top/main/index.html

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【7】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

 ○アンケートはこちら→
  https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=51913&lang=ja

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【8】編集後記
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 あけましておめでとうございます。
 いつも国立特別支援教育総合研究所メールマガジンをご愛読いただきあり
がとうございます。第82号を平成26年1月号としてお届けいたします。
 平成26年がスタートし、本研究所のメールマガジンにて新年のご挨拶をす
るのは、もう7度目となります。
 本年度もメールマガジンを通して、研究所での研究成果や研究活動をお届
けします。少しでも読者の皆様との距離を身近に出来ればと思いますので、
どうぞ、皆様からのご意見をお寄せいただければ幸いです。
 今年も、特別支援教育の充実に向けた多くの施策や事業が実施される予定
です。これらの動向を捉えつつ、皆様のご要望、ご期待に応えるべく内容の
充実に一層努めて参りたいと思います。本年も、どうぞよろしくお願いしま
す。
                    (第82号編集主幹 小澤至賢)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第82号(平成26年1月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
          ([アットマーク]を@にして送信してください。)

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     https://www.nise.go.jp/cms/6,3646,13.html

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