II 調査結果(注) |
1.フランスの教育制度について |
教育体系としては図1の通りである。
図のように、小学校(école élémentaire)が5年、コレージュ(collège 中学校)が4年、リセ(lycée 高等学校)が3年ある。義務教育は6歳から16歳である。ただし、実際には、3歳から幼稚園(école maternelle)に受け入れられるべきとされており、16歳以降も、職業資格を得るレベルに達しなかった生徒は、教育の権利が認められている。
その特徴としては、伝統的に中央集権的な教育制度である。その権限は、国の出先機関として地方に置かれる大学区事務局を通じて行使される。地方自治体(地域圏 region、県 départment、市町村 commune)には、それぞれのレベルに対応して、大学区総長、大学区視学官、国民教育視学官が置かれ、国の施策の実施、監督を行う。ただし、1982年の「地方分権化法」により、行政機構全体の地方分権化(権限の委譲)が進められた。
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図1.フランスの教育体系(文献3)の図を転載)
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教育財政に関しても、幼稚園および小学校は市町村が、コレージュ(中学校)は県が、リセ(高等学校)は地域圏が財政を担当する、というように変化した。ただし、その教師については国の管轄であり国が給与を払う。
また、学業達成目標が高い。バカロレア(中等教育修了認定と大学入学資格付与を兼ねる国家資格)もある。教師の意識としても、学業を教えるという意識が強い。
注:以下、1〜4については、フランス国民教育省(文部省)、シュレーヌ国立センターでのインタビューを含む調査結果をもとに、既存の文献資料及び今回の調査により入手した文献資料をまじえて整理したものである。文献としては、主として今回の調査で入手した4)5)を元とし、他の文献については、その都度、明示した。訪問先でのインタビューによる調査結果については、随時、その情報源を示す。
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