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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第76号(平成25年7月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
■目次
【NISEトピックス】平成25年度教育支援部の活動紹介
【海外情報の紹介】「Council for Exceptional Children」年次総会参加及
びテキサス盲学校訪問
【研究紹介】専門研究A「インクルーシブ教育システムにおける教育の専門
性と研修カリキュラムの開発に関する研究」
【連載コーナー】サバン-自閉症の不思議で大きな可能性- 第4回
【特別支援教育関連情報】平成25年度「心の輪を広げる体験作文」「障害者
週間のポスター」の募集について
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】NISEトピックス
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●平成25年度教育支援部の活動紹介
             尾崎 祐三(教育支援部長/上席総括研究員)

 教育支援部は、学校教育支援と教育相談支援の大きく2部門の業務を担当
しています。
 学校教育支援に関しては、幼・小・中・高等学校担当、小中学校(通級・
特別支援学級)担当、特別支援学校・教育センター等担当の3セクションの
体制で、障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に
向けた支援・連携を推進するための活動に取り組んでいます。
 幼・小・中・高等学校担当は、特別支援教育のさらなる充実を図っていく
ために、今年度新たにセクションを設けました。今後は、全日本私立幼稚園
連合会、全国国公立幼稚園長会、全国連合小学校長会、全日本中学校長会、
全国高等学校長協会との連携・協力を進め、特別支援教育の理解啓発に努め
ていきます。
 小中学校等(通級・特別支援学級)担当は、特に、全国特別支援学級設置
学校長協会との連携を積極的に進めています。全国の特別支援学級の実態調
査に関して、精度の高い調査結果が得られる等、連携の成果が認められるよ
うになってきています。
 特別支援学校担当は、全国特別支援学校長会(以下「全特長」)との連携
に努めています。本研究所と全特長との組織的な連携が円滑に進むように、
本研究所の研究活動に関する調整を行うとともに、全特長事務局等の各組織
との連絡・調整を担っています。全特長が行う調査研究についても連携・協
力が進んでおり、平成25年度から各特別支援学校に関する基本情報の共有が
実現しました。同じセクションの教育センター等担当の業務では、特別支援
教育に関連する研修や相談等において重要な役割を果たしている全国の都道
府県、指定都市等の教育センター及び特別支援教育センターとの連携を深め
ることを任としています。このため、特に特別支援教育センターとの情報交
換ならびに連携・協力を進め、教育センターの機能を充実させるための具体
的な取組の在り方について検討しています。
 教育相談支援に関しては、教育相談支援企画・日本人学校担当、教育相談
情報提供システム担当、教育相談連携・支援担当の3セクション体制です。
これらの担当は所内における教育相談に係る調整等を行ったり、外部からの
教育相談等のニーズに応えることにより、障害のある子どもたちの教育の充
実に向けた活動に取り組んでいます。
 教育相談支援企画・日本人学校担当は、発生頻度の低い障害等の対応が困
難な個別の教育相談や国外に在住する日本人学校等の保護者や教員を対象と
した教育相談への対応をしています。
 教育相談情報提供システム担当は、教育相談実施機関における資質の向上
を支援することを目的に開設された教育相談に関わるデータベースである「
教育相談情報提供システム」の運営と維持管理を行っています。
 また、教育相談連携・支援担当は、障害のある子どもの教育に関するコン
サルテーションの受理や連絡調整等を行っています。
 このように教育支援部では障害のある子どもの教育に携わる教職員や障害
のある子どもを持つ保護者の方々を支援する業務に取り組んでおります。

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【2】海外情報の紹介
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●「Council for Exceptional Children」年次総会参加及びテキサス盲学校
訪問
             齊藤 由美子(企画部 主任研究員)
             熊田 華恵(教育研修・事業部 主任研究員)

 Council for Exceptional Children(CEC)は、障害のある子ども及びギ
フティッド(生まれつき才能がある、すぐれた知能をもつ)の子どもの教育
に関する学会としては、世界最大の学会です。アメリカ合衆国を中心に、世
界各国に約50,000人の会員がいると言われています。
 2013年4月3日~6日、アメリカ合衆国のテキサス州サンアントニオで開催
されたCECの年次総会に、筆者らは参加しました。今年の年次総会には、研
究者、教員、行政関係者、PT・ST等の関連職、保護者、当事者等、4,000人
以上の参加があり、4日間で1,000を超える数のセッション(ポスター発表、
口頭発表、デモンストレーション等)が行われた他、200の会議やイベント
が催されました。カナダをはじめ、南米、アジア、アフリカ、ヨーロッパの
様々な国と地域からの参加者も多く見られました。
 筆者らは、日本における特別支援教育の現状に関するポスター発表を行い
ました。日本の特別支援教育に関する情報、特に2007年の制度改正とそれ以
後の展開に関する情報については、国際的にあまり知られていないため、日
本の特別支援教育のシステムやコンセプトには多くの関心が集まりました。
インクルージョンへの志向は国際的な動向であり、今後日本が目指すインク
ルーシブ教育システムの構築に向けて、アメリカ合衆国、中国、台湾、韓国
の研究者との情報や意見の交換ができました。
 また、障害の重い子どもの早期からの家族へのサポート、医療的ケアを必
要とする子どものQOL、重複障害のある子どもの教育に関するウェブによる
情報発信等、筆者らが参加した様々なセッションでは、最新の研究動向や情
報を得ることができました。
 さらに、今回の訪米ではテキサス盲学校を訪問し、知的障害を伴う重複障
害の子どもや盲ろうの子どもの教育実践を見学する機会を得ました。一人一
人の子どもに合わせたコミュニケーションの方法や、校内・教室内のわかり
やすい学習環境の整備、学校で働く様々な職種間の連携と情報の共有など、
参考になる多くの情報を得ることができました。
 CECの年次総会は、毎年4月初旬に開催されます。日本からの参加は、中
国、韓国、台湾等のアジアの近隣諸国に比べると少ないので残念だ、という
声も聞かれました。改めて、日本から諸外国に向けての情報発信の必要性と
国際的な情報交流の意義を確認した訪米となりました。

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【3】研究紹介
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●専門研究A「インクルーシブ教育システムにおける教育の専門性と研修カ
リキュラムの開発に関する研究」(平成23~24年度)
       研究代表者 澤田 真弓(教育研修・事業部 総括研究員)

 子ども一人一人の多様な教育的ニーズに応じた指導・支援を行うには、教
員個々の専門性の向上を図るだけでなく、教員一人一人の力がより一層発揮
されるようなシステムの構築を考えていく必要があります。さらには、組織
や地域としての専門性を担保していく仕組みが必要です。
 本研究では、インクルーシブ教育システムの構築に向かう国の政策の方向
性に対応し、その要となる人材育成及び専門性を担保するためのシステムに
ついて検討し、関係機関に情報提供を行うことを目的としています。本取組
では、国内外から関係する情報を収集し、職種・役割に応じた専門性につい
て整理した上で、すべての教員が必要とする基盤となる資質・能力とは何か
について検討しました。そして、まずはすべての教員に求められる資質・能
力を習得するための研修の方策例である「インクルーシブ教育システムの構
築に向けた研修ガイド 多様な学びの場の教育の充実のために-特別支援教
育の活用-」(試案)を取りまとめました。またインクルーシブ教育システ
ムを構築し、推進するための組織及び地域としての専門性の担保の仕組みに
関する情報をまとめました。
 本研究の成果報告書は後日Webサイトから閲覧できる予定です。

○「インクルーシブ教育システムにおける教育の専門性と研修カリキュラム
 の開発に関する研究」の詳細はこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/8,4164,52,275.html

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【4】連載コーナー
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●サバン -自閉症の不思議で大きな可能性-
         渥美 義賢(国立特別支援教育総合研究所客員研究員)

 第4回 サバンと自閉症(3) -驚異的な数学的能力-

 サバンの中で、前回の連載記事に書いたカレンダー・サバンと重複するこ
とが少なくない、またそれに次いで多いともされているのが数学的サバンで
す。数学的サバンは、非常に大きな数の四則演算を瞬時に遂行したり、大き
な数に至るまでの素数を同定したり、複雑な時間計算を瞬時に遂行すること
ができます。しかもその能力は苦労して学習することなく、自然に身に付い
ていくものです。
 他の能力を示すサバンと同様に、数学的サバンのほとんどは自分に備わっ
た能力がどのような情報処理過程で行われるのかを説明できません。しかし
Daniel Tammetというアスペルガー症候群の診断を受けているサバンは、自
分の特異な能力が共感覚と関係していることを的確に説明しています。
 今回は数学的サバンとして報告されている事例を紹介し、その特徴をまと
めます。さらに、Tammetの脳の中で起きていることも、Tammetが自分で書い
ていることに基づいて紹介します。

 ・・・続きはこちら→
  http://www.nise.go.jp/cms/6,8418,13,257.html

 ・・・全6回の連載内容はこちらのリンクへ→
  http://www.nise.go.jp/cms/6,7827,13,257.html

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【5】特別支援教育関連情報
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●平成25年度「心の輪を広げる体験作文」「障害者週間のポスター」の募集
について
                内閣府政策統括官(共生社会政策担当)

 障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共
生社会」を目指し、障害のある人に対する理解の促進を図るため、「心の輪
を広げる体験作文」と、「障害者週間のポスター」を募集します。

◆心の輪を広げる体験作文
 募集テーマ: 出会い、ふれあい、心の輪 ~障害のある人とない人との
       心のふれあい体験を広げよう~
 応募資格: 小学生以上(特別支援学校の小学部、中学部及び高等部の児
      童生徒を含む。)

◆障害者週間のポスター
 募集テーマ: 障害の有無にかかわらず、誰もが能力を発揮して安全に安
       心して生活できる社会の実現(高齢者や子育て中の人なども
       含め、皆が互いの違いを認め、支え合う社会について描くこ
       とも可。)
 応募資格: 小学生及び中学生(特別支援学校の小学部及び中学部の児童
      生徒を含む。)

◆応募期間: 平成25年7月1日(月)から各都道府県又は指定都市が定める
      日まで(必着)

 ○今年度の募集要項及び過去の入賞作品等詳細につきましては、こちらを
ご覧ください→
  http://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/index-kk.html#sakubun

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【6】研修員だより
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 今号は、平成23年度第三期特別支援教育専門研修を修了された木村美江先
生からお寄せいただきました。

「研修を終えて 今」
               木村 美江(京都市立呉竹総合支援学校)

 早いもので、研修を終えて1年半近くになりました。学校はもちろん、特
に家族の応援なしには実現できなかった研修。私にとって本当に大事な時間
であったと、今、改めて思っています。毎日の研修の内容は私にとって、と
ても刺激的!で楽しく充実しており、2か月共に生活した仲間の先生たちと
の日々もかけがえのないものとなりました。しかしながら研修を終えてしば
らくは、盛りだくさんの情報が整理できずやや放心状態にあったのも事実で
す。
 現在、私が勤務する呉竹総合支援学校は、障害の種別を超えた総合制の支
援学校です。元は肢体不自由児の学校として開設されましたが、今では肢体
不自由だけではなく、知的障害、聴覚障害、視覚障害等の障害が重複してい
る子どもたちが学んでいる総合制の特別支援学校です。研修では視覚障害教
育専修プログラムで、白杖の指導や点字等について盲学校ならではの内容が
多くありましたが、そこには総合制の特別支援学校での教育に活かせるエッ
センスが数多く含まれていることに驚き、さらに意義のある学びとなりまし
た。
 研修の終わりの日に、担当の先生から「2か月の研修で得たことはたくさ
んあるからと直ぐに現場に活かそうと焦らなくてもよい。まず現場の生活に
戻り、子どもたちを見るように。そこから見えてくるものがあるはずだから
」との言葉をいただきました。研修で得た知識や情報に、今、目の前の子ど
もたちの姿を重ね合わせた時に、いろいろと学んだことが活かされていくの
だと思っています。見えない・見えにくい状態にある子どもたちの発達を学
び、どのように働きかけていくことが子どもたちの力をつけていくことにな
るのか、研修から得た様々な視点を総合制の特別支援学校の教育に活かした
いと思っています。
 
 ○京都市立呉竹総合支援学校のWebサイトはこちら→
  http://cms.edu.city.kyoto.jp/weblog/index.php?id=400602

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【7】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

 ○アンケートはこちら→
  https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=73523&lang=ja

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【8】編集後記
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 去る6月21日に全国特別支援学級設置学校長協会が、また、6月25日には全
国特別支援学校長会が、それぞれ創立50周年記念式典を開催しました。これ
らの式典では、発足50年の歴史を振り返るとともに永年にわたり障害のある
子どもたちの教育の発展にご尽力された方々の功労者表彰も行われました。
 この間、障害のある子どもたちの教育は、比較的障害の重たい児童生徒と
障害のない児童生徒を同じ場で教育しようとする統合教育、養護学校(当時)
の義務化、通級による指導、そして、特殊教育から特別支援教育への転換等、
様々な変遷を遂げてきました。今後はインクルーシブ教育システムの構築と
いう大命題の達成に向かって進もうとしています。
 このことを踏まえれば、この先の50年が障害の有る無しにかかわらず、よ
り一人一人の教育的ニーズに応えていくことができる社会であってほしいと
願わずにはいられません。
                    (第76号編集主幹 田中良広)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第76号(平成25年7月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
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