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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第77号(平成25年8月号)
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■目次
【お知らせ】平成25年度就学相談・支援担当者研究協議会の開催
【お知らせ】平成25年度特別支援学校寄宿舎指導実践指導者研究協議会の開催
【NISEトピックス】教育研修・事業部の活動紹介
【海外情報の紹介】スウェーデン特別支援学校教員来訪の報告
【研究紹介】専門研究A「インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別
な支援を必要とする児童生徒への配慮や特別な指導に関する研究」(平成23
~24年度)
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】
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【1】お知らせ
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●平成25年度就学相談・支援担当者研究協議会の開催
 7月17日~18日、本研究所において就学相談・支援担当者研究協議会を開
催しました。本研究協議会は、各都道府県及び指定都市において教育支援委
員会(仮称)等、就学相談・支援に関わる業務に関し、指導的立場にある者
による研究協議等を行い、担当者の専門性の向上及び就学相談・支援の充実
を図ることを目的として今年度から開催するものであり、全国から指導主事
等68名が参加しました。
 第一日目は、就学相談・就学先決定の在り方についての講義、文部科学省
初等中等教育局特別支援教育課による行政説明、本研究所職員による事業報
告が行われました。二日目は、市区町村における就学相談・支援の取組につ
いての話題提供の後、参加者の提出レポートに基づき、都道府県と指定都市
の分科会ごとに早期からの一貫した支援体制と就学先決定における本人・保
護者との合意形成について班別協議が活発に行われました。

●平成25年度特別支援学校寄宿舎指導実践指導者研究協議会の開催
 7月25日~26日、本研究所において特別支援学校寄宿舎指導実践指導者研
究協議会を開催しました。本研究協議会は、各都道府県等において指導的立
場にある寄宿舎指導員等の専門性の向上並びに寄宿舎における指導等の充実
を図ることを目的として毎年開催しているものであり、本年度は全国から寄
宿舎指導員等79名が参加しました。
 第一日目は、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課による行政説明、
寄宿舎における指導実践についての発表がありました。二日目は、本研究所
職員による講義の後、参加者の提出レポートに基づき、障害種別による部会
別協議が活発に行われました。

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【2】NISEトピックス
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●教育研修・事業部の活動紹介
           小林倫代(教育研修・事業部長、上席総括研究員)

 教育研修・事業部は、本研究所が実施する研修事業の企画及び立案、研修
プログラムの開発、研修修了者へのフォローアップ、地方における教員研修
の支援、インターネットによる研修コンテンツの作成提供等の業務を行って
います。また、研究所セミナーの企画・実施、連携協力・交流、保護者団体
等との連携事業の企画・実施、医療・福祉・労働関係機関等に対する理解・
啓発及び連携事業等の業務を行っています。
 研修事業は、各都道府県等における特別支援教育政策や教育研究及び教育
実践等の推進に寄与する指導者を養成することを目的として行っています。
本年度は、特別支援教育専門研修(第一期:知的障害・肢体不自由・病弱教
育コース、第二期:視覚障害・聴覚障害教育コース、第三期:発達障害・情
緒障害・言語障害教育コース)と4つの研究協議会(就学相談・支援担当者
研究協議会、特別支援学校寄宿舎指導実践指導者研究協議会、発達障害教育
指導者研究協議会、交流及び共同学習推進指導者研究協議会)を実施してい
ます。
 インターネットによる研修コンテンツは、各都道府県等において障害のあ
る児童生徒等の教育に携わる教員の資質向上を図る取組を支援することを目
的に提供しています。コンテンツは、平成25年7月末現在、「特別支援教育
研修講座基礎編」45本、「特別支援教育研修講座専門編」54本となっていま
す。今後、専門編においてインクルーシブ教育システムに関連する講義を収
録していく予定です。
 研究所セミナーは、本研究所の研究成果の普及や教育現場等関係機関との
情報の共有を図るために毎年度開催しています。本年度は、平成26年1月30日
(木)~31日(金)に、国立オリンピック記念青少年総合センターで行い
ます。「インクルーシブ教育システム構築に向けた特別支援教育の推進」と
いうテーマで企画を考えています。詳細は、11月頃に研究所Webサイトにて
案内を掲載する予定です。ご期待ください。

 ○研修事業の詳細はこちら→
  https://www.nise.go.jp/cms/9,0,21.html

 ○インターネットによる講義配信はこちら→
  https://www.nise.go.jp/cms/9,0,20.html

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【3】海外情報の紹介
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●スウェーデン特別支援学校教員来訪の報告
 4月26日、スウェーデンからタルバッカ特別支援学校の校長先生、副校長
先生、重度・重複クラスの担任の先生、支援機器担当の先生の4名が来所さ
れました。
 タルバッカ特別支援学校の先生方は、姉妹校提携を結んだ日本の特別支援
学校を訪れた後、本研究所に来訪されました。先生方は、「日本の特別支援
教育の事情をより詳しく知りたい」との希望をお持ちだったため、日本の特
別支援教育のしくみについて、たくさんの質問をいただきました。スウェー
デンの特別支援学校では、重度・重複障害のある子どもや重度の自閉症のあ
る子ども等、手厚い支援や個々に応じた教育プログラムを必要とする子ども
たちが一緒に学んでいるとのことです。障害種別に学んでいる日本の特別支
援学校は、スウェーデンの先生方の目には新鮮に映った様子でした。
 所内見学では、発達障害教育情報センターや教育支援機器の展示室である
iライブラリーの教材や支援機器を熱心にご覧になりました。タルバッカ特
別支援学校の支援機器担当の先生は、「ここに展示されている支援機器は、
ほとんど私たちの学校にあるものばかりで、子どもたちが毎日使っています
よ」とおっしゃっていました。スウェーデンの特別支援学校では、教育の大
きな目標の一つとして、重い障害のある子どもたちが、普段の生活の中で支
援機器を使って自分の意思を表現できるようにすることを重視されていると
のことです。また、通常の学校で教科の学習を行う際にも、電子黒板をはじ
めとして、個々の子どもの必要に応じた支援機器が日常的に使われていると
のことです。そのお話を伺い、日本の学校においては、今後、さらなる支援
機器の導入と普及が必要であること、そして、本研究所がその役割の一端を
担っていることを説明しました。
 1週間の日本滞在を振り返って、タルバッカ特別支援学校の先生方は「日
本人の親切さ、協調性、熱心さに感銘を受けた。ぜひ、スウェーデンの学校
の先生方には、日本の特別支援教育から学んでほしい。スウェーデンの取組
で進んでいる部分については、日本に情報提供していきたい」との感想を述
べられていました。

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【4】研究紹介
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●専門研究A「インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別な支援を必
要とする児童生徒への配慮や特別な指導に関する研究」(平成23~24年度)
      研究代表者 藤本裕人(教育情報部 上席総括研究員)

 本研究は、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が共に学んでいる場
面をとらえ、その際の配慮や指導方法等の現状を実地調査し、これからのイ
ンクルーシブ教育システムの構築に必要な配慮や指導方法を導き出すことを
目的として取り組みました。
 事例の検討では、平成24年7月23日に中央教育審議会初等中等教育分科会
より公表された「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築
のための特別支援教育の推進(報告)」に示された新しい概念である「合理
的配慮」の11観点及び「基礎的環境整備」の8観点に沿って、望ましい配慮
や指導方法等として12の実践例を紹介しました。
 本研究では、「合理的配慮」は、次の4点が重要であるとの結論に至りま
した。その4点とは、(1)障害のある児童生徒について一般的に必要とされ
る配慮に留まることなく個々の子どもの実態や教育的ニーズに焦点をあてた
配慮が行われていること、(2)児童生徒の成長段階や状況の変化に応じて合
理的配慮について継続的に検討・修正しながら対応を行っていること、(3)
既存の制度や現状の基礎的環境整備を有効に活用していること、(4)障害の
ある児童生徒に合理的配慮を行うことで当該児童生徒の学習目標の実現・達
成に資していることです。
 本研究の成果報告書は、後日、Webサイトから閲覧できる予定です。

 ○「インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別な支援を必要とする
 児童生徒への配慮や特別な指導に関する研究」の詳細はこちら→
  https://www.nise.go.jp/cms/8,4171,52,275.html

 ○「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特
 別支援教育の推進(報告)」はこちら→
  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/houkoku/1321667.htm

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【5】研修員だより
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 今号は、平成24年度第三期特別支援教育専門研修を修了された山田景子先
生からお寄せいただきました。

「たくさんの気付き」
              山田 景子(学校法人顕真学園慈教幼稚園)

 特別支援教育について専門的な知識をほとんど持ち合わせていなかった私
は、どのような事前準備が必要なのかもわからず不安な思いを抱えたまま半
年前、研修初日を迎えました。振り返ると、あの緊張が今でも蘇ります。
 今まで幼稚園という世界しか知らなかった私にとって、講師の先生方や研
究所の先生方、そして一緒に研修に参加した全国の先生方のお話は、新鮮で
大変興味深く貴重なものでした。もちろん聞いたこと全てを理解できたわけ
ではなかったと思います。立場や環境が違えば考え方が異なるのは、当然の
ことです。大事なのは、相手を受け止め、理解しようとする姿勢であると改
めて学びました。この思いを持ち続けていくことで、子どもたちや保護者に
対して円滑な支援を継続していくことができるのだと実感しています。
 研修を通して得ることのできた専門的な知識を保育のどの場面で活かすこ
とができるのか、試行錯誤の日々ですが、子どもたちにとって最善の方法を
探す手がかりが増えたことをとてもうれしく思っています。講義でいただい
た数々の資料は、心強い見方です。研修を終えた今、視野が広がり、周りの
見え方が少し変わったと感じています。

 ○学校法人顕真学園慈教幼稚園のWebサイトはこちら→
  http://homepage3.nifty.com/jikyou/

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【6】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

 ○アンケートはこちら→
  https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=68558&lang=ja

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【7】編集後記
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 皆様がお住いの地域では、この時期、夏祭りや花火大会等の催しが行われ
ている(控えている)のではないでしょうか。今年、私は町内会の幹事を務
めており、この数か月間、町内清掃や夏祭りの準備とその実施等で例年にな
く地域の方と交流させていただく機会をいただいています。地域の活動に参
加し、地域の方と触れ合うことで気づかされたことがありました。本研究所
が野比の地に設立されて42年が経ちますが、地域の方にはその建物の存在は
知られていても、研究所が何をしているところなのかについては、意外に知
られていないことがわかりました。
 私達は、研修やセミナー等の事業、そして、このメルマガを通して全国に
研究所の役割とその意義を伝えていくように努めています。しかし、最も身
近な地域にそのことが伝わっていなかったことに驚くとともに、反省しまし
た。まずは身近な地域に目を向けていくことにより、障害のある子どもが地
域住民の方からの理解や支援を得て、地域社会で生きていくために研究所の
果たすべき使命は何か考えていきたいと思います。
                   (第77号編集主幹 柳澤亜希子)

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連載「サバン-自閉症の不思議で大きな可能性-」は、今号はお休みとさせ
ていただきます。

次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第77号(平成25年8月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
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