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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第132最新号  

国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第132号

メールマガジン

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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第132号(平成30年3月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
■目次
【お知らせ】
・世界自閉症啓発デー2018について
・平成29年度国立特別支援教育総合研究所セミナーの報告(速報)
・平成29年度「辻村賞」授賞式の開催(終了報告)
【NISEトピックス】
・平成29年度地域実践研究フォーラムについて
【NISEダイアリー】
【特別支援教育関連情報】
・平成30年度特別支援教育関連予算案について
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】お知らせ
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●世界自閉症啓発デー2018について
 毎年4月2日は、国連総会で定められた世界自閉症啓発デー(World Autism
Awareness Day)です。厚生労働省と当研究所を含む関係団体で組織された
世界自閉症啓発デー・日本実行委員会では、毎年、自閉症についての理解を
広めることを目的にシンポジウムを開催しています。
 今年のシンポジウムのテーマは、「知りたい、知らせたい、発達障害のこ
と~こども、若者、スポーツ、アートの視点から~」です。本シンポジウム
では、自閉症のある人々の充実した生活を支えるための地域のリーダー(首
長)や福祉及び民間団体の取組をご紹介します。

日時:平成30年4月7日(土)10:00~16:30
会場:全社協・灘尾ホール(新霞が関ビル内:東京都千代田区霞が関) 

また、4月2日(月)には、東京タワーの屋外特設ステージで「ライト・イ
ット・アット・ブルー」の催しを行います。
 本シンポジウムの詳細や参加申込方法については、世界自閉症啓発デー・
日本実行委員会のWebサイトをご覧ください。

○世界自閉症啓発デー・日本実行委員会のWebサイトはこちら→
 http://www.worldautismawarenessday.jp

●平成29年度国立特別支援教育総合研究所セミナーの報告(速報)
 本研究所では、中期目標「特別支援教育に関する教育現場等関係機関との
情報共有及び研究成果の普及を図る」ために、研究所セミナーを毎年度開催
しています。今年度のテーマは「インクルーシブ教育システムの推進~多様
な学びの場における特別支援教育の役割~」とし、平成30年2月16日(金)、
17日(土)の2日間、国立オリンピック記念青少年総合センターを会場として
実施しました。
 初日は、行政説明の後、基調講演「新学習指導要領等を踏まえた教育の展
開-特別支援教育の推進とさらなる充実の視点から-」、シンポジウム「新
学習指導要領に関する、多様な学びの場における取組や課題について」、そ
して、二日目には、研究所の研究成果報告(基幹研究と地域実践研究)、発
達障害の理解啓発セミナー及び教材等の展示、演習を含めた支援機器等展示
会を実施しました。
 最終的に、811名の参加があり、活発に協議を行うなど、充実したセミナー
となりました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。なお、
幼小中高の教員の参加は229名と例年に比べると多くの方に参加いただきま
した。
 当日の内容や様子については、下記のWebサイトにて掲載しますので、ご
覧ください。
 なお、次年度は、諸事情により会場の変更を予定しています。充実したセ
ミナーとなるように企画・運営を行いますので、メルマガ、ホームページ等
でお確認ください。

平成29年度国立特別支援教育総合研究所セミナーのWebサイトはこちら

●平成29年度「辻村賞」授賞式の開催(終了報告)
 本研究所では、2月16日(木)に平成29年度「辻村賞」の授賞式を開催しま
した。
 「辻村賞」は、本研究所の初代所長であり、我が国の特別支援教育の第一
人者として、その振興・発展に尽力された故辻村泰男先生のご遺徳を永く記
念するため、特別支援教育の領域において、特に顕著な功績のあった個人あ
るいは団体や、特に優秀な研究を行った個人あるいは団体に対し授与してい
ます。
 本年度は、社会福祉法人日本ライトハウス前理事長で本研究所の名誉所員
でもある木塚泰弘氏が受賞されました。
 木塚泰弘氏は、盲学校の卒業生であり、大学卒業後、都立久我山盲学校
(現在の都立久我山青光学園)に教員として勤務され、昭和47年から本研究
所の研究職員として、約27年間、点字教育や乳幼児教育の充実に尽力されま
した。また、視覚障害者福祉向上やユニバーサルデザインの普及にも尽力さ
れ、日本点字委員会の会長として、日本の点字文化の発展にも大きく貢献さ
れました。今回の受賞は、これまでの視覚障害教育の向上に貢献された功績
が高く評価されたものです。
 なお、木塚泰弘氏におかれましては、2月9日、慢性心不全のためご逝去
されました。葬儀につきましては、授賞式と同日にご家族・ご親族のみで営
まれ、ご家族の強いご意向により、葬儀を終えてからの周知となりました。
心からご冥福をお祈りいたします。

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【2】NISEトピックス
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●平成29年度地域実践研究フォーラムについて
    インクルーシブ教育システム推進センター地域実践研究事業担当

 地域実践研究フォーラムは、本研究所の地域実践研究事業に参画している
都道府県市において、地域実践研究の成果を速やかに普及し、インクルーシ
ブ教育システム構築の推進に資することを目的に行っています。平成29年度
は指定研究協力地域である青森県、埼玉県、千葉県、静岡県、長野県、和歌
山県、奈良県にて開催しました。
各県で行われました地域実践研究フォーラムの概要は次のとおりです。
 青森県、埼玉県、千葉県は「インクルーシブ教育システム構築に向けた研
修に関する研究」に参画しました。教員研修や高等学校の取組の現状の研究
報告を行い、これからの校内外における教員研修システムや学校体制づくり
の在り方を考えました。和歌山県と奈良県は「地域におけるインクルーシブ
教育システム構築に関する研究」に取り組みました。地域における学校間連
携の現状や個別の教育支援計画の活用状況等の研究報告を行い、インクルー
シブ教育システム構築に向けた地域の体制整備ついて理解を深めました。静
岡県は「交流及び共同学習の推進に関する研究」に参画しました。静岡県教
育委員会指定による特別支援学校の研究成果と地域実践研究における教育委
員会及び小学校への訪問調査の研究報告を行い、今後の交流及び共同学習の
具体的な進め方について考えました。長野県は「教材教具の活用と評価に関
する研究」に取り組みました。長野県内の特別支援教育におけるICT機器の
活用の現状と取組に関する調査、及びICT機器の活用の実際に関する研究報
告を行い、学校におけるICT機器の更なる普及を考えました。
 各県において、特別支援学校、幼稚園、認定こども園、小学校、中学校、
高等学校の教員、県教育委員会及び市町村教育委員会の職員などおよそ60人
から300人の方々が参加し、熱心に研究報告を聞くとともに活発な質疑応答
も行われました。地域実践研究フォーラム終了後の参加者アンケートからは、
本研究所及び地域実践研究事業に対する期待や要望が多く寄せられました。
 地域実践研究フォーラムの開催に当たり、各県教育委員会をはじめ多くの
方に御尽力いただきましたことに感謝いたします。当日の様子については、
インクルーシブ教育システム推進センター年報や本研究所Webサイトでも紹
介する予定ですので、御覧いただければ幸いです。

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【3】NISEダイアリー
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            「発問の工夫」
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 2月の初めに、よそで話す機会があった。特別支援教育や新学習指導要領
等について、学生や小・中の先生方等向けに説明した。最後に、特別支援教
育を進めるためには、日々の授業実践が大切であることを述べた。
 質疑応答の時間に、ある学校現場の先生から次のような質問を受けた。
 「今、授業の中で、『振り返り』が大切だと言われています。」、「それで、
『(今日の授業、)どうだった?』と発問して、振り返りをしています。」、
「振り返りの発問として、どう思われますか?他にいい発問がありますか?」
と。
 私が、自分の経験として、聾学校時代の発問について触れたので、それが
きっかけだったのだと思う。
 発問は子どもの思考を導くもの。だから、子どもの立場になって、「今、
子どもに何を考えさせたいか」と、授業中の場面場面で頭をひねったことを
思い出す。発問の工夫は面白いことでもあるが、なかなか容易なことではな
い。
 確かに、今、「授業の振り返り」が話題となっている。特別支援学校でも、
授業の終末にそうした時間が設けられている。ホワイトボードや掲示物、時
には、録画したビデオの再生等を通じて、子どもにその時間の活動を振り返
らせたりしている。例えば、小学部高学年の授業であれば、その際の発問は
何か?やはり、「今日の勉強はどうだった?」と、私も訊ねると思う。そし
て、子どもの反応に応じて、細部を訊ねるだろう。「どこが面白かったの?
」、「何が分かったの?」、「どうしてそう思ったの?」などと。だから、
導入の発問としては、「どうだった?(どうでしたか?)」が重要な役割を
果たすと思う。そして、「どう?」というのは、子どもにとっては嬉しい発
問でもある。どうしてかというと、何を答えても、間違いにはならないから
である。先生に間違いを指摘されないからこそ、次を考えようとするのだろ
う。その意味で、この「どう?」(HOW)という発問は、大切だと思う。
 5W1Hと言われる。発問は、これらのいずれかに、ほぼ該当する。だか
ら、「誰?」と訊かれたらどう答えるか、「どこ」や「いつ」と訊かれたら
どう答えるかが、子どもの中で理解されていないと、発問に答えて、授業を
進めていくことはできない。子どもの考えを導いていくことは難しいと思う。

 それでは、最初の話に戻ろう。ある先生の質問に、私はどう答えたか?
聾学校での先輩の教えが頭に浮かんだ。「授業で5W1Hの発問に答えられ
るようにするためには、『生活』の中で、5W1Hの問いに答えられるよう
にしておかないといけないよ。」と、何度も言われたことを。
 給食を食べた後に、「今日のおかず、どうだった?」と訊ねたり、遠足の
翌日に、「昨日の遠足、どうだった?」と問い掛けたりして、「どう?」に
対して、どのように答えればいいのかが、子どもに理解されていないと「会
話」にはならない。会話や対話は、話す者同士で作っていくものである。
 結局、「『どう?』という発問がいいとか悪いではなく、日常の生活や遊
びの中で、『どう?』に答えられるように練習しておく必要があると思いま
す。」と回答した。発問の工夫も日々の生活から。そう思って欲しいのだが
・・・。

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【4】特別支援教育関連情報
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●平成30年度特別支援教育関連予算案について
 平成30年度政府予算案の閣議決定に伴い、文部科学省において、本年1月、
予算案の発表資料が同省のWebサイトに掲載されました。詳しくは下記をご
覧ください。
 
○文部科学省が公表した内容はこちら→
 http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2018/01/16/1400423_5.pdf

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【5】研修員だより
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 今号は、平成29年度第一期特別支援教育専門研修を修了された浅田知彦先
生からお寄せいただきました。

「出会いに感謝」
                   浅田 知彦(栃木県立聾学校)

 昨年5月、聴覚障害教育専修プログラムに参加し、全国から集まった志の
高い先生方と一緒に、久里浜の素晴らしい環境のもと、とても充実した日々
を過ごしました。
 私は、研修以前は、まさに「井の中の蛙」でした。知的、肢体不自由、聴
覚の特別支援学校を経験し色々なことを分かったつもりでいた自分が、実は
何も分かっていなかったのだと、研修当初は、恥ずかしさや申し訳ない気持
ちで一杯でした。特に聴覚障害教育の内容については、自分の学校のことさ
え、知らなさ過ぎると猛省いたしました。
 実践経験豊富な多くの講師陣の講義や全国の先生方とのかかわりを深める
ことで自分自身の学校のことはもちろん、他県の様子や最新の情報等、本当
に数多くのことを学ばせていただきました。
 研修前は自分がついていけるだろうかなどと、不安な気持ちでしたが、今
ではもっと学びたい、そして学んだことを学校現場で実践していきたいと、
思っています。
 また他県・他校種の先生方とのつながりも出来て、研修後の今でもそれぞ
れが課題を抱えた時、共に相談し合えたり、お酒を酌み交わしながら一緒に
考えたりすることもあり、素晴らしい財産ができた、「この出会いに感謝」
と改めて感じています。

○栃木県立聾学校のWebサイトはこちら→
 http://www.tochigi-edu.ed.jp/rogakko/

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【6】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=73665&lang=ja

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【7】編集後記
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 3月になりました。学校は卒業式の季節です。
 ふと、私が特別支援学校(聴覚障害)の小学部の担任をしていた時の話を
思い浮かべました。3年生の子どもの日記にこんなことが書いてありました。
 『きょうは、ゲームをいっぱいしていたら、お母さんが部屋に来て、「ゲ
ームは、ほどほどにしなさいね。」と言われた。』
 私は、お母さんが「ほどほど」という言葉を教えたかったのかなと思いま
した。改めて親や教師は、その場に合った、しかも子どもの理解できる言葉
を使うことが大切なのだと思いました。聞こえにくい子どもにとって、副詞
は、特に難しいものです。しかし、こうした地道な言葉かけの積み重ねが、
子どもの言葉の力を育てていくものと、お母さんから教わりました。
 今号の発行においても、たくさんの方々とのつながりを感じました。
 平成29年度国立特別支援教育総合研究所セミナーや地域実践研究フォーラ
ムにお集まりいただいた先生方や保護者の方々とのつながり、専門研修の先
生方とのつながりなどです。
 新年度も特別支援教育の更なる充実のために、本メールマガジンで様々な
情報発信をしていきます。引き続きご愛読の程よろしくお願い致します。
                   (第132号編集主幹 山本 晃)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第132号(平成30年3月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
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