障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

平成17年度第一期短期研修 聴覚障害教育コース講義等内容

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講義題目等 講師氏名(所属・職名) 講義内容
専門講義・演習
聴覚障害児の言語力評価 我妻敏博
(上越教育大学・教授)
 言語指導と言語評価・標準化されたテスト・言語力評価の観点と方法
聴覚障害児の音声言語臨床 須藤正彦
(筑波技術短期大学・助教授)
 聴覚機能と音声言語の習得について概説し、音声言語の形式、機能について討論する。聴覚からの情報入力に制約がある際、起こりがちな問題や発音指導の意義について再考する。
手話の活用 I 小田侯朗
(教育支援研究部・総括主任研究官)
①手話の言語学的特徴について
②コミュニケーション手段としての手話
③聴覚障害教育における手話活用の現状と課題
聴覚心理学 星名信昭
(上越教育大学・教授)
情報受容器官と聞こえのメカニズムについて概説し、聴覚障害によって生じる感覚の歪みや聞こえの特徴を浮き彫りにする。それを基に聴覚補償 やその教育について心理学的に検討する。
成人聴覚障害者の心理と社会適応 野澤克哉
(東京都立保健科学大学・非常勤講師)
・聞こえないことに関わる幾つかのジョーク
・20年以上やってきた写植廃業の例
・ことばの幅が狭くて生じるトラブルや誤解
・社会受容ということ
・ろう運動の事例(法改正運動)
・ことばより手話表現が豊かである
聴覚的リハビリテーション(1) 高橋信雄
(愛知大学・教授)
 聴覚障害児の聴覚の活用を補聴器から人工内耳までを見据えて講義する。特に、聴覚障害児者の聴覚認知と活用に伴う聴能の形成および教育との接点について、症例を含めて講義する。
大脳の生理・病理 森本行雄
(聴力障害者情報文化センター・所長)
 聴覚障害者にとって、社会生活を送る上での情報保障は必要欠くべからざるものです。
この講義では、下記の内容で教育関係職員が必要とする知識と実技について学びます。
・情報保障の手段とその歴史
・関係法規(著作権等)
・情報保障のあり方
・ 情報保障実習(ロールプレイ)など
情報保障 長谷川恒雄
(伊豆韮山温泉病院・名誉院長)
 脳の構造と機能。運動、感覚、知覚の生理、自律神経、内分泌の機能。高次脳機能記憶(記憶、情報、認知、行為、意識、睡眠、言語など)。脳疾患(能血管障害、脳変性疾患、遺伝子異常疾患その他)。障害児の脳病変、脳画像、機能などについて解説する。(言語コースと共通)
脳と音・音楽・言葉 進藤美津子
(上智大学・教授)
以下について講義する。
1.脳と音楽
2.聴覚障害と音楽
3.音楽療法
4.音楽と言葉
5.音を楽しむ
耳科学的疾病と教育 寺崎雅子
(小田原市立病院耳鼻咽喉科・部長)
耳鼻咽喉科疾患は解剖学的に他科との境界が多いため、患者の訴えが耳鼻咽喉科領域にとどまらない事がある。生理学的にも成長期の子どもと大人とで、対応が大きく異なる事もある。しばしば遭遇する疾患について解説する。
聴覚障害児の表現教育 青木淑子
(福島県立富岡高等学校・校長)
 聴覚障害教育の可能性を示す一つの実践として福島県立聾学校での表現教育を紹介し、心と体を開いていく教育活動の中で、表現への意欲と表現手段の獲得を可能にする課程をワークショップを交えて講義する。
庄崎隆志
(デフ・パペット・シアターひとみ・代表)
 聴障児の表現ワークショップの土台にあるのは他者を気持ちよく受け入れるという姿勢です。どんな人でも温かく迎え入れ、たがいに心地よい時間を作ってともに楽しむことがワークショップの目標です。コミュニケーションが取りにくい人に対してどのようにホスピタリティを発揮していく。かという課題は参加者にとって重要なテーマです言葉にたよらない身体と心のコミュニケーションを体験します。
言葉発達の基礎条件 岡本夏木
(元京都女子大学・教授)
はじめに、言語のもつ基本的性質と、その獲得
・発達過程をとらえる時の視点について述べる。つづいて段階的にその発達において不可欠と思われる諸条件をあげ、具体的な例を示す。最後にことばの使用が、子どもの発達全体にとってもつ意味を考える(言語コースと共通)
聴覚・言語障害の生理病理 石戸谷淳一
(横浜市立大学・助教授)
 耳は、空気振動を神経の電気的信号に変換するとても巧妙で微細な器官であり、発声もまた巧妙なシステムである。講義では“聞く”、“しゃべる”といった日常的な生命現象の解剖・生理・病理を概説する。また、人工内耳医療についても言及する。
聴覚検査 佐藤正幸
( 教育支援研究部・総括主任研究官)
 本講義では、外耳・中耳・内耳などの聴覚器官の構造及びその役割について概説する。そして、これらの基礎知識を踏まえて、どのような聴覚機能の評価を行うかについて検討し、その検査(評価)法の一つである純音聴力検査について実習を 行いながら概説する。
補聴器フィッティングの理論と実際 中川辰雄
( 横浜国立大学・教授)
佐藤正幸
(教育支援研究部・総括主任研究官)
 最近、子どもたちもデジタル補聴器を使用することが多くなってきました。そこで、この講義では午前中を中心に、デジタルやアナログ補聴器について説明します。午後からは、皆さんに参加していただいて、補聴器の調整の仕方や考え方について実習を通して学んでいただきたいと思います是非、皆さんが担当されているお子さんの補聴器の事例をお持ち下さい。
特殊教育諸学校・特殊学級等の教育課程 宍戸和成
(文部科学省初等中等教育局・視学官(兼)特別支援教育課・特殊教育調査官)
教育課程の基準である学習指導要領に基づいた聾学校の教育課程編成及び難聴・言語障害特殊学級や通級による指導の教育課程編成について説明する(言語コースと共通)
ろう学校における乳幼児教育(1) 室端むつ子
(神奈川県立平塚ろう学校・教諭)
 本校乳幼児相談・指導について、目的・内容・スタッフ・両親援助等。現状と課題。超早期のケース、手話や人工内耳についての両親の対応とそれに対する援助のあり方等、ビデオや母親の記録をもとに話したい。
ろう学校における乳幼児(2) 相川利江子
(千葉県立千葉聾学校・教諭)
 幼稚部在籍41名、継続相談児10名、乳幼児教育相談室40名の本校の乳幼児教育の概要及び実践について紹介し併せて今後の課題を考えるまた「地域におけるセンター的機能」に関わる本校の実際を紹介する
重度・重複障害児の指導の実際 中川はすみ
(神奈川県立中原養護学校・教諭)
1.肢体不自由児に合併する聴覚障害(歴史と現況)
2.重度・重複障害児の聴覚機能の評価
3.聴覚障害を併せもつ児の指導(聴覚管理、聴覚補償、聴覚学習、コミュニケーション指導)
4.養護学校と他機関との連携
子どもの知覚とその障害-聴覚を中心として- 田中美郷
(帝京大学・名誉教授)
 聴覚障害児教育は今大きな転機を迎えている。人工内耳、手話による教育、新生児聴覚スクリーニングの実用化重複障害児の多様化と増加などどれをとっても新しい課題である。民主的な聴覚障害児教育とは何か、これらを総合的に展望して今後の教育を考える。
手話の活用Ⅱ 小田侯朗
(教育支援研究部・総括主任研究官)
①手話教授法について
②手話実技演習
③授業での手話活用の実際と課題
関係論的発達論 鯨岡峻
(京都大学大学院・教授)
1.なぜ関係論視点に立つのか
2.発達概念を再考する
3.両義性という概念がなぜ必要か
4 「関係障碍」という概念を巡って
5.障碍のある子どもの自己性の発達を考える
(言語コースと共通)
聴覚障害教育業論 菅原廣一
(国立特殊教育総合研究所・名誉所員)
1.聴覚障害児教育における授業の構造化の方法を解説する。特に聴覚障害に対応した授業方法の基本事項を具体的に提示する。
2.授業におけるコミュニケーション手段について、近年の学術的知見の紹介と活用の実際についても具体的に言及する。
3.講義は、聴覚障害児の生活変容の視点を重視しながら進める。
聴覚障害児(者)の自己理解と教育 小田侯朗
(教育支援研究部・総括主任研究官)
1.聴覚障害児の言語環境
2.聴覚障害児の障害認識
3.人的環境とコミュニケーション
4.自立活動における言語教育
交流教育 藤本裕人
(企画部・総括主任研究官)
 交流教育の始まり、小・中学校や盲・聾・養護学校における交流教育の意義、多様な形態とその特徴、総合的な学習の時間との関連などについて触れ、聾教育の活性化に果たす交流教育の役割について考える。
聴覚活用とコミュニケーション 中瀬浩一
(筑波技術短期大学・講師)
 聴覚障害児への指導をおこなう際に留意したい事項を聴覚的支援や情報補償、心理的な側面から解説したい。聾学校在籍児だけでなく通常学級等に在籍する聴覚障害児への支援をおこなうことを想定した内容としたい。
聴覚障害児の療育・指導 鷲尾純一
(企画部・総括主任研究官)
以下について講義する。
1.聴覚障害児療育の理念とわが国の現況
2.早期診断および新生児聴覚検査の意義
3.重複障害児の聴力評価と聴覚補償
4.重度難聴児の初期言語発達とその評価
5.特別支援教育における地域ネットワークの形成
聴覚的リハビリテーション(2) 中井弘征
(奈良県立ろう学校・教諭)
 聴覚活用を進めるには、まず実態を把握し適切な支援プログラムの作成が大切です。支援プログラムをどのように作成し、主体的な活動となるようにどんな援助が必要か、具体的にビデオ等を用いて解説します。
聴覚障害乳幼児の心理と両親援助 南村洋子
(東京都立大塚ろう学校・非常勤講師)
 新生児聴覚スクリーニング検査の実施についての私見と共に、乳・幼児期の子どもと母親に対する援助について、教育実践例と私自身の聴こえない娘の子育ても加味しながら、大切なことについて話したい。
「盲ろう」障害の理解と支援(講義・演習) 中澤惠江
(教育支援研究部・総括主任研究官)
藤鹿一之
(東京都盲ろう者友の会・理事)
新井千賀子
(企画部・研究員)
 盲ろうの代表的な困難は「外部からの情報摂取」「コミュニケーション「移動・方向定位」にある。ここでは、全盲ろうの疑似体験によって、コミュニケーション能力や情報収集能力を著しく低下させ、その低下が自分の行動や思考や感情に何をもたらすのかを体験し、共感・理解を試みることで、盲ろうという重複障害の理解とともに、自らの児童・生徒とのかかわり合いについて見つめ直すきっかけを提供することを目的としている。(視覚コースと共通)
難聴学級及び通級指導室における指導 松本裕子
(茨城県つくば市立竹園東小学校・教諭)
・難聴学級における指導の実際
・支援のための授業の取り組み
(直接的支援と間接的支援)
・情報保障(教育補助員・字幕ボランティア・手話)
・本人たちの声と、今後の方向性
言語獲得とコミュニケーション 牧野泰美
(企画部・主任研究官)
 この講義では「言語」「言語獲得」に関する基礎的知見、及びコミュニケーションの本質について概説するとともに、言語獲得及びコミュニケーションの成立や深まりを支える関わりのありようについて考えてみたい。
言語指導法 藤本裕人
(企画部・総括主任研究官)
 聾学校における言語指導について、言語指導法の歴史的推移・幼児児童生徒の発達段階やコミュニケーション手段の特性等を踏まえ、学校教育活動の中でどのようにして言語概念を形成するか、現在の指導法を検討するとともに、教科指導への発展などについて解説し、今後の在り方を展望する。
進路指導 根本匡文
( 筑波技術短期大学・教授)
(1)聾学校卒業生の進路
(2)筑波技術短期大学卒業生の進路
(3)聾学校における職業教育と進路指導
(4)障害を併せ持つ生徒の進路
(5)聴覚障害者の就労上の諸問題
(6)大学進学者の支援
(7)これからの進路指導
発音指導法 小野禎子
(元横須賀市立ろう学校・教諭)
1.発音指導のねらいと歴史的背景
2.発音指導法
筋肉運動感覚法 日本語の語音 発音器官 発音指導のステップ 基礎訓練 教具等
3.各音の指導法、語調指導、発音矯正
教科教育(数学) 大竹一成
(筑波大学附属聾学校・教論)
1.高等部における数学の指導
2.国語科の読解指導を行う際の配慮について。
2.数学が不得手な生徒の指導
3.生徒はどういうところでよく誤るか
4.数学を通して何を伝えるか。
5.数学の学習意欲を高めるための工夫
等の内容でお話をする予定です。
ろう者の文化と教育 米内山明宏
(㈲手話文化村・代表取締役)
①ろう文化とは?
②ろう者の言語とは?
③理想のろう教育とは?
教科教育法(国語) 点神林吉寛
(筑波大学附属聾学校・教諭)
1.教科学習に必要なことばの力を育てる。
2.国語科の読解指導を行う際の配慮について。
高等教育における国語教育 渡邉研
(筑波技術短期大学・名誉教授)
1.聴覚障害教育の困難性
2.これまでの国語教育の方法の変遷
3.これからの国語教育の方法の改善
4.高等教育における国語教育の問題点
5.望ましい国語教育の指導の展開
教科教育法(英語) 松藤みどり
(筑波技術短期大学・助教授)
かつては「むりだ、むずかしい、むだだ」とも言われた聴覚障害者に対する英語教育が、どのような変遷を辿ったか。戦後の聾教育と共に考察し、課題と展開を探る英検の改革についても述べる。
寄宿舎活動と援助 山根昭治
(北海道旭川ろう学校・寄宿舎指導員)
1.寄宿舎教育の歴史的変換
2.寄宿舎生活を体験したろう者の声
3.今後、寄宿舎教育に対して求められていること
教育情報機器の利用とその実際 横尾俊
(企画部・研究員)
以下について取り上げる
①聾教育におけるコンピュータ利用
②今後の利用可能性
③コンピュータリテラシー
④利用法の実際
実地研修
題目等 研修先 研修内容
1.筑波大学附属久里浜養護学校の指導の実際 筑波大学附属久里浜養護学校
副校長 馬場信明
小学部主事 浜津平一
幼稚部主事 吉川明守
教務主任 工藤貴子
 平成16年度より国立大学法人筑波大学付属久里浜養護学校となる。知的障害を伴う自閉症の児童の教育についての研修を行い、自閉症教育のあり方について考える機会とする。
筑波大学附属久里浜養護学校
〒239-0841 神奈川県横須賀市野比5-1-2
2.聾学校における指導法 神奈川県立平塚ろう学校
校長 青野滋
教頭 高橋義雄
教務主任 江藤欽也
 聾学校において行われている教育の実践の見学と施設見学
神奈川県立平塚ろう学校
〒254-0074 神奈川県平塚市大原2-1
研究協議・自己研修
講義題目等 内容等
研究協議  研修員が持ち寄った実践例等をもとに,共通な課題を設定し,協議を行う予 定である。
自己研修  自らの課題解決に向け、図書室等での資料収集や、他機関の見学など、主体的に研修できる時間である。全体で10コマ設定している。他機関の見学を希望する場合は所定の手続きによる。
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