平成18年度第一期短期研修 情緒障害教育コース専門講義等内容
専門講義・演習
講義題目等 | 講師氏名(所属・職名) | 講義内容 |
---|---|---|
脳のはたらきとその障害 |
渥美 義賢 (教育支援研究部・上席総括研究員) |
脳の構造と機能及びその障害についての基礎的な知識と情緒障害児をみる際の脳機能障害と心理・環境要因の関連について講義する。 |
校内支援体制を活用した障害のある子どもへの支援について | 廣瀬 由美子 (教育支援研究部・総括研究員) |
特別支援教育の背景とその概要について説明し、校内支援体制の構築や特別支援教育コーディネーター等の役割について述べる。 |
情緒障害教育の概念の変遷と今後 |
大南 英明 (帝京大学・教授) |
学校教育における情緒障害の対象の児童生徒等の教育を充実していくため、これまでの歴史的変遷について述べ、今後のあり方を論ずる。 |
重度・重複障害のある子どもの教育におけるAAC活用 |
渡邉 章 (教育研修情報部・総括研究員) |
重複障害のある子どもの教育におけるAACの活用について、具体的な実践例や情報機器等の紹介を交えながら講義する。 |
発達障害児の思春期・青年期の諸問題 |
廣沢 郁子 (東京都立梅ヶ丘病院 ・非常勤医師) |
自閉症児を含む発達障害児の思春期・青年期の問題を整理し、長期的な視野をもった指導の在り方について考えてみたい。 |
情緒障害教育の展望と課題 |
石塚 謙二 (文部科学省初等中等教育局 特別支援教育課・特殊教育調査官) |
特別支援教育行政からみた情緒障害教育の現状や今後の展望について概説をし、これからの特別支援教育における課題について考える。 |
教育課程の編成 | 宮崎 英憲 (東洋大学・教授) |
知的障害養護学校・特殊学級における情緒障害教育の指導内容及び教育課程の編成について述べる。 |
情緒障害教育の指導内容・方法の変遷 | 太田 正己 (皇學館大学・教授) |
情緒障害教育、特に自閉症児の学校教育の歴史について、教育方法の変遷を中心に詳しく述べる。 |
ADHD児等における医療と教育の連携 | 市川 宏伸 (東京都立梅ヶ丘病院・院長) |
児童・小児神経科で対応を必要とする疾患、及び使用される薬物について、臨床における実際とその理論的背景について触れると共に、医療と教育の連携の在り方について論ずる。 |
養護学校における指導の実際 |
井上 昌士 (筑波大学附属久里浜養護学校・教諭) |
筑波大学附属久里浜養護学校における自閉症教育の実践を、教育方針、学校経営、教育課程、自閉症に特化した指導方法・教育環境の整備等の観点から解説する。 |
精神医学的な子どもの見方 |
竹内 直樹 (横浜市立大学医学部 ・助教授) |
精神医学的な面接の事例を通して子どもや保護者への見方や対処や小児と成人の精神障害の違い、個々の障害についての診断について講義する。 |
LD・ADHD・高機能自閉症等への支援 | 渥美 義賢 (教育支援研究部 ・上席総括研究員) |
LD、ADHD、高機能自閉症、アスペルガー障害等の概念や行動特徴について解説し、研究報告や事例をもとにその理解や支援のあり方に |
不登校児童生徒への指導 |
金澤 純三 (開善塾教育相談研究所 ・所長) |
大きな社会問題となっている不登校・引きこもりに対して「訪問指導」の実際を、多数の事例をもとに技術的なことも含めて論ずる。 |
自閉症教育におけるTEACCHの理論実際 | 佐々木 正美 (川崎医療福祉大学・特任教授) |
自閉症児への総合的な支援の在り方について、TEACCHの理論と実践例を講義する。 |
特別なニーズのある子どもの個別の指導計画の作成 | 廣瀬 由美子 (教育支援研究部・総括研究員) |
今後、通常の学級担任も個別の指導計画を作成することを念頭におき、情緒障害特殊学級での自立活動の時間における指導において、事例を中心に個別の指導計画の作成・実践・評価の観点から述べる。 |
自閉症児の行動分析の理論と実際 |
加藤 哲文 (上越教育大学・教授) |
応用行動分析の理論的背景について解説し、自閉症児を中心とする具体的な指導事例等を通しながら、体系的に述べる。 |
情緒障害特殊学級における指導の実際 | 高橋 由紀子 (一関市立南小学校・教諭) |
情緒障害特殊学級において、特に表出言語のない自閉症児の事例を紹介しながら、多面的な評価の在り方や環境設定の仕方、コミュニケーションの取り方等について、実践例を交えながら講義する。 |
発達障害児の心理検査 | 海津 亜希子 (企画部・研究員) |
子どもの認知特性を把握する検査(WISC-ⅢとK-ABC)を取り上げ、結果を解釈する際のポイントや結果をどう指導や支援につなげていくかについて、事例を通しながら概説する。 |
自閉症児の診断と評価 | 山崎 晃資 (臨床児童精神医学研究所 ・所長) |
児童精神医学の観点から、自閉症児等の診断と評価について、事例等を取り上げながら、講義する。 |
発達障害児の医学概論 | 太田 昌孝 (東京学芸大学・教授) |
発達障害、特に自閉症のとらえ方について、表象機能の獲得段階を評価し、子どもの発達段階に合わせて認知発達を促す太田ステージの視点から解説する。 |
高機能自閉症等の行動観察とその支援 | 東條 吉邦 (茨城大学・教授) |
行動観察の目標、枠組み、具体的な技法及び記録方法などについて概説し、自閉症児の示す多彩な行動上の問題について、それらの諸原因と教育的対応の基本について講義する。 |
発達障害者における就労支援 | 小川 浩 (大妻女子大学・助教授) |
発達障害者支援法には、発達障害者の就労支援の体制整備及び特性に応じた適切な就労支援の確保がうたわれている。発達障害者の自立・社会参加について、ジョブコーチによる就労支援等を中心に講義する。 |
自閉症児の保護者との連携 | 藤原 義博 (上越教育大学・教授) |
特に日常指導が難しい自閉症児をもつ保護者と学校との連携について、その意義と具体的な方法、そして連携を深めるための留意点について考える。 |
教材・教具の作成 と活用 | 石本 隆士 |
|
発達検査の利用と演習 | 大柴 文枝 |
自閉的な特徴のある子ども(自閉症スペクトラム児)の臨床像の理解と、指導計画の立案に役立つものとして、CARS(小児自閉症評定尺度)と PEP-R(心理教育プロフィール)を取り上げる。子どものビデオ記録を基に、前者について実習すると共に、後者を利用して、個別の指導計画の立案の実習を行う。 |
特殊学級及び通級指導教室の役割 | 笹森 洋樹 (教育支援研究部・総括研究員) |
特別支援教室(仮称)の構想に向けて、特殊学級及び通級指導教室の弾力的な運用が求められている。今後の情緒障害特殊学級及び通級指導教室の役割等について考える。 |
情緒障害特殊学級における教科指導と 地域連携 | 佐藤 貢 (仙台市教育局学校教育部教育相談課・指導主事) |
算数科、国語科における授業実践を中心に、情緒障害特殊学級における指導の実際を紹介する。また、交流教育や保護者、専門機関、教師間及び地域との連携の実際についても紹介する予定である。 |
子ども虐待の理解と対応 |
庄司 順一 (青山学院大学・教授) |
急増を続けている子ども虐待は、今日、もっとも深刻な問題の一つといえる。この講義では、子ども虐待の基本的な理解と対応のあり方について論じる。 |
高等養護学校における軽度発達障害者 への支援 | 花輪 敏男 (山形県立上山高等養護学校 ・校長) |
高等養護学校に在籍する軽度の障害のある生徒に対する教育的支援について、障害特性に応じた対応、思春期・青年期の問題、進路指導等も含めその在り方を考える。 |
事例研究の進め方 | 花輪 敏男 (山形県立上山高等養護学校 ・校長) |
事例検討は単なる事例報告会ではなく、参加者が共有の財産となるように進めることが大切である。演習を通して事例研究法について学ぶ。 |
年長自閉症児・者への支援 | 須田 初枝 (けやきの郷・理事長) 佐々木 敏宏 (ワークセンターけやき ・施設長) |
思春期・青年期の自閉症児が抱える諸課題について紹介し、社会適応の質を高めるための具体的なケアーの在り方や、今後の福祉の在り方等について述べる。 |
通常学級における支援・配慮の実際 | 楠原 薫 (神戸市立井吹東小学校 ・教諭) |
通常学級に在籍するLD、ADHD、高機能自閉症等の児童に対する教育的支援について、学級の中での個別的な指導と学級全体への指導の取り組みを通して考える。 |
養護学校におけるセンター的機能の実際 | 森下 由規子 |
養護学校のセンター的機能の実践をしている地域支援部の教員と、実際にその支援を受けている小学校教員との連携と協働について話題提供を行う。 |
自閉症児のコミュニケーション指導の 理論 |
小林 芳文 (横浜国立大学・教授) |
感覚・知覚・精神運動を中心としたムーブメント教育法によるコミュニケーション支援の在り方について、M.フロスティッグやE.キパードの理論を交えながら講義する。 |
自閉症児のコミュニケーション指導の実際 | 是枝 喜代治 (東京福祉大学・教授) |
自閉症児の個々に応じたコミュニケーション支援の在り方について、事例を交えながら述べると共に、コミュニケーションに関連したアセスメントの幾つかを紹介する。 |
幼児期における支援 | 幸田 栄 (横浜市中部地域療育センター ・心理主任) |
発達障害の幼児期における具体的対応や支援の在り方について、地域支援の立場から、具体的な実践例を交えて解説する。 |
通級指導教室にお ける指導の実際 | 伏見 孝一 (横浜市立市ヶ尾小学校・教諭) |
情緒障害通級指導教室におけるLD、ADHD、高機能自閉症等について、特性に応じた指導や通常の学級担任との連携、保護者への支援等も含め教育的支援のあり方について述べる。 |
自閉症児の進路指導と地域との連携 |
白石 安英 (弘前大学教育学部 附属養護学校・教諭) |
自閉症児は、その障害特性から、地域社会の中で生活しにくい面が各所で報告されている。ここでは、自閉症児の指導に関して、特に、地域との連携の在り方について事例を交えながら紹介する予定である。 |
LD・ADHD児の心理 | 玉木 宗久 (教育支援研究部・研究員) |
LD・ADHD児の行動、認知、生理学的特性をふまえ、それらが家庭や学校等日常生活の場でどのように表現されるかを整理し、問題となる行動の促進・緩和要因を考える。また、それをもとにLD・ADHD児の指導で配慮すべき点を検討する。 |
情緒障害等に随伴する行動障害への対応 | 馬場 博雄 (長野県若槻養護学校・教諭) |
情緒障害短期治療施設に入所するADHD児等への対応を基に、情緒的な問題行動のとらえ方、その対応等について具体例を挙げながら講義する。 |
学校コンサルテーションとコーディネーター | 高橋 あつ子 (川崎市総合教育センター・指導主事) |
相談機関における学校コンサルテーションについて概説し、ケース発動及び学校発動による具体的な相談事例をもとに、学校コンサルテーションのあり方やコーディネーターとしての役割について述べる。 |
カウンセリングの理論と演習 |
大柴 文枝 (教育相談センター・主任研究員) |
カウンセリングのあらゆる立場の共通な基盤として、C.R.ロジャースのクライエント中心療法と、彼の教育に関する考え方を紹介する。その上で、相互にカウンセラー、クライエントの立場を交換しながら、双方の立場での体験をすることを通じて、カウンセリングやカウンセリング関係の理解を体験的に深めていく。 |
不登校児童生徒への支援の実際 | 川端 久詩 (横須賀市立公郷中学校 ・教諭) |
中学校における不登校生徒への対応と支援の在り方について、相談学級における具体的な指導事例等を交えながら解説する。 |
障害児の性教育 | 蓮香 美園 (東京学芸大学附属養護学校・教諭) |
性教育に関する内外の動向を踏まえ、学校教育の中で性教育を進めていく上での諸課題や指導方法、評価の在り方について論述し性教育のプログラムについて紹介・検討する。 |
自閉症教育における指導 | 内田 俊行 (教育支援研究部・研究員) |
知的障害を併せ有する自閉症のある児童生徒の教育的支援について、本研究所プロジェクト研究の成果をもとに、指導内容、指導法、環境整備を中心に検討する。 |
実地研修
題目等 | 研修先 | 研修内容 |
---|---|---|
筑波大学附属久里浜養護学校の指導の実際 | 筑波大学附属久里浜養護学校 副校長 馬場 信明 小学部主事 浜津 平一 幼稚部主事 意東 純子 |
平成16年度より国立大学法人筑波大学付属久里浜養護学校となる。知的障害を伴う自閉症の児童の教育についての研修を行い、自閉症教育のあり方について考える機会とする。 筑波大学附属久里浜養護学校 〒239-0841 神奈川県横須賀市野比5-1-2 |
情緒障害施設における指導の実際 | 社会福祉法人 けやきの郷 理事長 須田 初枝 |
昭和60年7月に知的障害者の入所施設『初雁の家』を開所し、自閉症と診断された人達を主な対象に、労働と生活を通して自閉症者のトータルライフを支援している。また、平成2年に福祉ホーム『潮寮』を、平成6年にグループホーム『しらこばとの家』を、平成7年に福祉工場『やまびこ製作所』を開設し、自閉症者の社会参加を積極的にすすめている。 実地研修により、自閉症者や知的障害者のための施設の現状や、社会自立に向けた諸課題等について学ぶ機会とする。 社会福祉法人 けやきの郷 〒350-0813 埼玉県川越市平塚新田字高田町162 |
養護学校における指導の実際 | 学校法人聖坂学院聖坂養護学校 | 昭和42年に前身である日本水上学校の発展的閉校と共に、新たに知的障害児を対象とする養護学校として開校し、発展してきた。キリスト教の教えを基本理念とする私学の養護学校の一つである。実地研修により、養護学校における指導の実際として、小中高等部及び専攻科までの一貫した教育の現状について学ぶ機会とする。 学校法人聖坂学院聖坂養護学校 〒231-0862 神奈川県横浜市中区山手町140 |
研究協議・課題研究
題目等 | 内容先 |
---|---|
研究協議 | ここでは研修員が各自持ち寄った課題について班毎に協議をし、課題解決に向けて研修を深めていく。全体で12コマ設定しており、「事例研究協議」及び「テーマ別研究協議」を行う予定である。 ①「事例研究協議」(7コマ): 各研修員の指導事例を報告し合い研究協議を行う。 グループ編成は研修員の所属校種等を参考にあらかじめ編成する予定。 ②「テーマ別研究協議」(5コマ): 各研修員の関心のあるテーマに基づいて、できるだけ共通のテーマに即してグル ープ編成をし、研究協議及びそのまとめの発表を行う。 |
課題研究 | 研修員それぞれの課題の解決に向け、図書館での資料収集、他機関への訪問等、受講者が主体的に計画を立てて取り組む研修の時間である。 全体で10コマを設定している。 所外での研修を行う場合は、所定の手続きによる。 |