平成18年度第一期度短期研修 言語障害教育コース専門講義等内容
専門講義・演習
講義題目等 | 講師氏名(所属・職名) | 講義内容 |
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大脳の生理・病理 | 西牧 謙吾 (教育支援研究部 ・上席総括研究員) |
言語障害をコミュニケーションの障害と考えることで、子どもへの支援の幅が大きく広がっていく。子どもを学校や家庭・地域等周囲環境の中で生活する主体として見つめること、子どもを暮らしの中で繰り広げられる周囲との関わり合いの中で捉えることを通して、子どものコミュニケーション上に生じる様々な躓きに対して支援していくという関係への支援のあり方について考えていく。 |
コミュニケーション障害とその援助 | 松村 勘由 (教育研修情報部・総括研究員) |
盲学校に在籍している幼児児童生徒の障害が重度化・多様化している現況においては、幼児児童生徒の保有する感覚を最大限に活用する手立てを講ずると共に、教材・教具等を工夫することによって、日常生活や学習の基礎となる基本的な概念を形成していくことが必要である。 本講義では、様々な触察教材等を用いて、段階的に基本的な概念形成を図る方法等について実践的な理解を深める。 |
子どもと保護者のニーズに応じた個別の指導計画 |
小林 倫代 (教育相談センター・総括研究員) |
子どもと出会ってから、指導計画を作成するまでに、どのような視点で子どもを見て、目標や課題を立てていくのでしょうか。全国調査の結果を紹介したり、先生方実践例を聞かせていただきながら考えていきたい。 |
言語機能とコミュニケーション |
牧野 泰美 (企画部・主任研究員) |
「言語機能」、「言語機能の獲得と障害」、「コミュニケーションの成立や深まり」といったことに関する基礎的な知見を解説するとともに、コミュニケーションを深め拡げるという観点から、子どものことばを支える関わりについて考える。 |
言語発達の遅れの指導の基礎 |
久保山 茂樹 (教育支援研究部・主任研究員) |
乳幼児期の言語・コミュニケーションの発達について、子どもの発達の全体像と関連させながら、概説する。 |
言語発達の遅れの指導の実際(1) -言語・コミュニケー ションの指導- |
久保山 茂樹 (教育支援研究部・主任研究員) |
ことばの遅れのある乳幼児との「早期出会い」の場である乳幼児健診、「早期からかかわり」の場である療育について、その目的や内容を保護者のおもいとともに概説し、ともに考えたい。 |
言語障害教育の歴史と制度 | 宍戸 和成 (文部科学省初等中等教育局 ・視学官) |
言語障害教育の始まり、特殊学級における指導から通級指導教室での指導への移行などの歴史的な推移を踏まえ、「通級による指導」の意義と今日的な課題について、共に考えたい。 |
言語障害教育の教育課程 | 宍戸 和成 (文部科学省初等中等教育局 ・視学官) |
教育課程の基準である学習指導要領に基づいた難聴・言語障害特殊学級や通級による指導の教育課程編成について説明する。 |
発達の理論 | 鯨岡 峻 (京都大学大学院・教授) |
1.なぜ関係論視点に立つのか 2.発達概念を再考する 3.両義性という概念がなぜ必要か 4.「関係障碍」という概念を巡って 5.障碍のある子どもの自己性の発達を考える (聴覚コースと共通) |
構音障害の基礎 | 後上 鐵夫 (企画部・上席総括研究員) |
表記法を含む日本語の構音に関する基礎的事項を整理し、さらに言葉の発達に課題のある子どもの行動観察やアセスメント等の方法について考える。 |
吃音の基礎 |
小林 宏明 (金沢大学教育学部・助教授) |
吃音のある子どもと関わるに当たり必要となる基礎事項、及び吃音について現在までに明らかにされている事項を整理するとともに、吃音臨床における問題は何か、どのような指導・支援が可能なのかについて言及する。 |
口蓋裂の医療 | 大久保 文雄 (昭和大学医学部・助教授) |
口蓋裂は先天性の比較的頻度の多い疾患であり、その治療には多数の構成メンバーによるチーム医療が必要とされている。その理解のために口蓋の解剖、生理、発生及び、口蓋裂の病理、外科的治療について解説する。 |
言語獲得とコミュニケーション |
菅井 邦明 (東北大学・理事) |
1.コミュニケーション関係の成立から言語獲 得のプロセス-各種事例の歌遊びから- 2.言語発達のつまずき、滞りを分析する視点 3.げんこつ山のたぬきさんで言語発達評価が できる? 4.音楽活動と言語と認知発達 |
言語心理学 | 林部 英雄 (横浜国立大学・教授) |
障害の有無に関わらず、ことばの発達を考える上での最も基本的な枠組みとして重要な、臨界期等の概念を含んだ生物学的基礎について述べると同時に、ことばの機能の観点についてもおわかりいただけるよう講義する。 |
言語発達の理論 | 浜田 寿美男 (奈良女子大学・教授) |
ことばは人と人とをつなぐ。しかしことばによってはじめて、人と人とがつながるのではない。それどころかむしろ逆に、人と人がつな-がるところにことばは生まれる。本講ではこのことばの発生の問題を考える。 |
構脳機能と発達の障害 |
長澤 泰子 (日本橋学館大学・教授) |
1.構音障害児と構音の障害を持つ子ども 2.構音発達の条件 3.構音評価と子どもの評価 4.指導の原則及び指導者の条件 5.指導の実際 |
点字学習とコンピュータ | 渥美 義賢 (教育支援研究部 ・上席総括研究員) |
脳の構造と機能及びその障害についての基礎的な知識と発達障害児をみる際の脳機能障害と心理・環境要因の関連について講義する。 |
吃音への指導と支援 | 伊藤 伸二 (日本吃音臨床研究会・会長) |
吃音児への真の支援とは何か。吃音症状の軽減や消失を目標とする従来の指導から脱却し、新しい吃音観に立った実践を、ことばの教室でどのように展開できるかを、吃音親子サマーキャンプの実践などを通して提示する。 |
身体運動とコミュニケーション | 木舩 憲幸 (福岡教育大学・教授) |
言語の基礎には認知がある。認知発達の基礎である感覚運動発達過程について講義する。さらに、言語における感覚間統合の重要性について述べる。全体を通して、基礎と指導の実際を融合させて述べる。 |
口蓋裂の指導 | 岡崎 恵子 (馬込ことばの相談室)諭) |
口蓋裂及びその類似疾患をとり上げ、鼻咽腔閉鎖機能ならびに構音の評価について述べる。構音障害の訓練法について具体的に説明する。事例があれば報告して欲しい。 テキスト;岡崎恵子、加藤正子編:口蓋裂の言語臨床(医学書院)参考文献;阿部稚子:構音障害の臨床(金原出版) |
言語発達の遅れの指導の実際(2) -読み・書きの指導- |
海津 亜希子 (企画部・研究員) |
読み書きが困難な子どもの指導について、アセスメントから個別の指導計画、そして指導の実際について概説する。 |
吃音の指導の実践 | 杉原 晃 (大阪市立大阪北小学校・教諭) |
吃音を再現することは、子どもの指導に役立つだけでなく、指導者自らの吃音に対する態度にふれることになるだろう。積極的に吃音を持つ子どもを支援することについて、共に考えたい。 |
吃音と自己肯定感 | 牧野 泰美 (企画部・主任研究員) 松村 勘由 (教育研修情報部・総括研究員)後上 鐵夫 (企画部・上席総括研究員) 伊藤 由美 (教育相談センター・心理療法士) |
吃音のある子どもへの指導・支援においては、吃症状のみでなく、それがあることによって生じる様々な困難さを視野に入れる必要がある。ここでは、吃音のある子どもが、自己を肯定的に捉えていくためにどのような支援が可能なのか、現在研究所で取り組まれている課題別研究の議論・成果も踏まえて考えてみたい。 |
構音障害の指導の実践 | 西田 立郎 |
音作り 歪み音(側音化構音・口蓋化構音)の指導 |
重通級指導教室と福祉機関との連携 | 清水 英子 (横浜市南部地域療育センター ・ソーシャルワーカー) |
横浜市南部地域療育センターにおける幼児期への対応と関わりについて、 1.幼児期の福祉制度の利用について、 2.初期相談、初期療育における親への対応、 3.幼稚園、保育園への巡回相談(子どもの問題と対応)について、概説する。 |
聴覚機能の障害と支援 | 横尾 俊 (企画部・研究員) |
聴覚機能について生理学的、心理学的に概説する。さらに、実践事例を通して聴覚障害児の支援について概説する。 |
地域におけることばの教室の役割 | 八木 玲子 (行方市立津澄小学校・教諭) 山本 田鶴子 (北浦教育相談室 「チャットルーム」・教育相談員) |
ことばの教室は、言語を入口として、様々な悩みの相談所の役割を果たすことが多い。 学校内では支援体制に関与し、地域では、諸機関との連携のコーディネーター的役割を担うことも多い。教室に併設されている「チャットルーム」の活動と就学時、就学中、進学時の諸問題を例に上げて報告する。 |
言語障害教育授業論 |
菅原 廣一 (国立特殊教育総合研究所・名誉所員) |
1.言語障害の種々相を概説しながら、おのお のの障害に対応した授業の基本事項を具体的 に解説する。 2.授業形態の観点から、①個別の授業②小集 団の授業③通常学級での授業での授業に大別 して解説する。 3.言語障害教育の専門性の具体と、特別支援 教育の成果高揚策を考案しながら講義と協議 を進める。 |
社会性とコミュニケーション | 涌井 恵 (教育支援研究部・研究員) |
社会性・ソーシャルスキルとは何か、児童生徒のソーシャルスキルの評価と指導の実際、学校内や学級内での指導への応用について解説する。 |
校内支援体制におけることばの教室役割 | 戸田 淑子 (相模原市立橋本小学校・教諭) |
ことばの教室から提案してすすめてきた校内支援の取り組み、支援した子どもたち、相模原市の地域条件などを話題として、校内支援に必要な源、通常の学級との連携、校内の体制作りなどについて述べる。 |
言語発達の遅れの指導の実践 | 阿部 厚仁 (世田谷区立駒沢小学校・教諭) |
ことばの発達に遅れや偏りのある子どもの理解、教材教具等の活用、指導の実際について考える。 |
実地研修
題目等 | 研修先 | 研修内容 |
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筑波大学附属久里浜養護学校の指導の実際 | 筑波大学附属久里浜養護学校 副校長 馬場 信明 小学部主事 浜津 平一 幼稚部主事 意東 純子 |
平成16年度より国立大学法人筑波大学付属久里浜養護学校となる。知的障害を伴う自閉症の児童の教育についての研修を行い、自閉症教育のあり方について考える機会とする。 筑波大学附属久里浜養護学校 〒239-0841 神奈川県横須賀市野比5-1-2 |
言語障害児の指導の実際 | 鎌倉市立御成小学校 教 諭 眞壁 成子 教 諭 増田 純子 教 諭 磯部 真理 |
言語障害通級指導教室において行われている教育実践と施設の見学を行う。 鎌倉市立御成小学校 〒248-0012 神奈川県鎌倉市御成町19-1 |
研究協議・課題研究
題目等 | 内容先 |
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研究協議 | 研修員が持ち寄った実践例等をもとに、共通な課題を設定し、協議を行う予定である。 |
課題研究 | 研修員それぞれの課題の解決に向け、図書館での資料収集、他機関への訪問等、受講者が主体的に計画を立てて取り組む研修の時間である。 全体で10コマを設定している。 所外での研修を行う場合は、所定の手続きによる。 |